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1 17. 汎用原料を使用した CZTS 光吸収層による新型薄膜太陽電池の研究開発 独立行政法人国立高等専門学校機構長岡工業高等専門学校独立大学法人長岡技術科学大学 Ⅰ. 目的 Cu 2 ZnSnS 4 (CZTS) は 地殻中に豊富に存在し広く人類に使用されている元素から構成される化合物半導体である CZTS は 1 4 cm -1 台の大きな光吸収係数と eV の禁制帯幅を併せ持つことから 薄膜太陽電池光吸収層として極めて有望な材料である 長岡工業高等専門学校では 汎用原料で構成できる CZTS 薄膜を硫化法で作製し CZTS を光吸収層とした新型薄膜太陽電池を構成しセル変換効率 1% を目指す 長岡技術科学大学では 非真空プロセスにより光吸収層 界面層 窓層の作製を行い 超低コスト CZTS 薄膜太陽電池の可能性を見極める Ⅱ. 研究開発目標下記の項目により新型 CZTS 薄膜太陽電池のセル化を行い 性能を確認する 1 インライン型 CZTS 製膜装置による製膜条件の最適化 ( 長岡工業高等専門学校 ) 基板セット後 CZTS 光吸収層製膜完了まで清浄な雰囲気を保持できるインライン型 CZTS 製膜装置を導入し 同時スパッタ 気相硫化法による高品質 CZTS 薄膜を作製する 2 大気開放型 CVD 装置による窓層 ZnO:Al 製膜技術の開発 ( 長岡工業高等専門学校 ) 大気開放型 CVD 装置により 安価な窓層 ZnO:Al 製膜技術の開発を行う 3ZnO ウィスカーの光閉じ込め効果の検証 ( 長岡工業高等専門学校 ) 大気開放型 CVD 装置により ZnO ウィスカーの成長を行い 光閉じ込め効果の検証を行う 4 光 化学溶液堆積法による CZTS 薄膜の最適化を図り 低コスト太陽電池の可能性を検証する ( 長岡技術科学大学 ) Ⅲ. 研究開発の成果および課題 1 インライン型 CZTS 製膜装置による製膜条件の最適化インライン型 CZTS スパッタ装置により CZTS 薄膜を作製し セル性能を比較する事によって 硫化水素濃度 金属組成比 硫化温度 CZTS 膜厚 Cu/(Zn+Sn) 比等の作製条件の最適化を図った ( 硫化水素濃度 ) ソーダライムガラス (SLG) 基板上に従来のプリカーサを作製し 硫化時の硫化水素濃度を 5,1,15,2% と変化させて CZTS 薄膜を作製した XRD SEM 光学測定の結果より 従来の硫化水素濃度 5% では結晶成長が不十分である事が判明した 以後の実験においては 2% 濃度の硫化水素を用いる事とした ( 金属組成比 ) プリカーサ作製時の各ターゲット (Cu, ZnS, SnS) に加える RF 電力を制御する事により Cu/(Zn+Sn)=.93 Zn/Sn=1.2 のサンプルにおいて本シリーズの最大変換効率 4.23% が得られた しかし 断面 SEM 観察の結果から全てのサンプルが二層化しているため 硫化不足であると判断された ( 硫化温度 ) 硫化温度を 55 から 625 まで 15 刻みで変化させた セルの I-V 測定結果より 硫化温度 595 で作製した CZTS を用いたサンプルにおいて 最大変換効率 4.94% が得られた (CZTS 膜厚 ) 現状の硫化条件に対する最適な CZTS 膜厚を検討するために 金属組成比一定の条件下で スパッタ時間を 15,3,45,6 分と変化させて実験を行った その結果 スパッタ時間 45min で作製した 2.46µm の CZTS 光吸収層を用いたセルで 最大変換効率 5.33% が得られた (Cu/(Zn+Sn) 比 ) Cu/(Zn+Sn) 比の最適化を行うために ZnS:16W, SnS:1W 一定とし Cu 電力だけを 89,92,95,98W と変化させて実験を行った その結果 Cu 電力 89W と最も Cu 含有量の少ないサンプルにおいて 最大変換効率 5.74% を記録した 本サンプルの組成比は Cu/(Zn+Sn)=.87, Zn/Sn=1.15, S/Metal=1.18 と極めて Culean であった 下図に 本研究で得られたベスト I-V 曲線と各種の特性値を示す 本シリーズ中で最も Cu 含 128

2 有量の少ないサンプルで最大変換効率が得られた事から 今後さらに Cu 電力を低減させ 最適な Cu/(Zn+Sn) 比を明らかにする必要がある V [V] 開放電圧 :662 mv 短絡電流密度 :15.7 ma/cm 2 曲線因子 :.55 変換効率 :5.74% 直列抵抗 :9.4Ω 並列抵抗 :612Ω CZTS 光吸収層の組成比 Cu/(Zn+Sn)=.87 Zn/Sn=1.15 S/Metal=1.18 図. 本研究で得られたベスト I-V 曲線および各種特性値インライン型 CZTS 製膜装置で CZTS 光吸収層を作製し 5.74% の変換効率を達成した CZTS 系薄膜太陽電池の高効率化を達成するためには 上述の極めて多くのパラメータを順次最適化していく必要がある 現段階においては ようやく一巡目の最適化が終了した段階である 今後 さらに詳細な検討を加えていく事で スパイラル的に変換効率を向上させる必要がある 2 大気開放型 CVD 装置による窓層 ZnO:Al 製膜技術の開発大気開放型 CVD 法によりZnO:Al 薄膜を作製し 1-3 Ωcm 台の抵抗率と可視光領域における 9% 台の透過率を達成した しかし 1-4 Ωcm 台まで低抵抗率化する事はできなかった さらに 現状の 1-3 Ωcm 台の抵抗率を得る際には 5 程度まで基板を加熱する必要がある事が判明した 3 ZnO ウィスカーの光閉じ込め効果の検証本研究では 石英ガラスを基板として6 以上の高温領域において基板温度をパラメータとしてウィスカーを作製した 断面 SEM 像より.6μm 程度の平坦な膜が成長した上に.5μm 程度の高さのZnOウィスカーが成長している事が確認された また 表面 SEM 像からは 隙間なくびっしりとウィスカーが成長している様子が確認された 光閉じ込め効果の指標となるヘーズ率を ヘーズ率測定機能を有する分光光度計により求めた その結果 の範囲内で2 3% 程度のヘーズ率である事が確認され この温度範囲内では基板温度に対する依存性は認められなかった 4 非真空プロセスによる CZTS 薄膜の作製本プロジェクトでは非真空プロセスであり 低コストで薄膜堆積可能な光 - 化学溶液堆積法 (PCD 法 ) による CZTS 薄膜の作製法を確立し 低コスト薄膜太陽電池の可能性を追求することを目的として研究を進めてきた PCD 法とは 原料溶液の液面から数ミリほど下に基板を保持し 基板に照射した紫外光により反応を促進させ基板上に薄膜を形成する技術である PCD 法により作製した薄膜において 若干 S 含有量が少ないものの ほぼ化学量論比組成 (Cu:Zn:Sn:S= 29:14:14:43) 実現することができた また X 線回折によりCZTSの (112) (22) (312) 面に対応するピークの確認 光学的評価により バンドギャップが 1.5 evであること 光吸収係数が 1 4 cm -1 台であること 薄膜に光伝導性があることを確認した 作製したCZTS 薄膜を光吸収層とし 窓層 界面層を非真空プロセスである sol-gel 法で堆積させ Al/Al:ZnO/ZnO/CZTS/Mo/SLGlass 構造を構成し 素子化を試みた 残念ながら 発電には至らなかったものの非真空プロセスで 窓層 界面層 光吸収層の三層全てを積層できる可能性を示すことができた 今後の課題は CZTS 薄膜の面積拡大 結晶性の向上 ZnO:Al 層の低抵抗化を図った上で 太陽電池の発電を目指すことである 積層構造において 窓層 ZnO:Al が光吸収層 CZTS を覆っているため より高温でのアニールが可能となり CZTS の結晶性が向上する可能性がある 各層の改善により 非真空プロセスでの新型薄膜太陽電池の発電を目指す 129

3 18. メカノケミカルプロセスを用いたカルコパイライト系薄膜太陽電池の研究開発 龍谷大学 東京工業大学 Ⅰ. 目的従来の製造方法と異なる大幅な低コスト化の可能性を持った要素技術として 龍谷大学と東京工業大学が共同して メカノケミカルプロセスによる CIS 系薄膜太陽電池の製造技術の開発を行うとともに 当該要素技術の実用化への可能性を見極める Ⅱ. 研究開発目標メカノケミカルプロセスによって合成したカルコパイライト型化合物を用いた薄膜太陽電池で変換効率 12% を実現する Ⅲ. 研究開発の成果 1.CIGS 薄膜の形成と太陽電池の作製最初に CIGS スクリ - ン印刷に適した平均粒径が 1μm 以下の CIGS 粉末をメカノケミカルプロセスで合成した つぎに CIGS 微粉末を原料に有機溶剤と焼結助剤を加えてスクリ - ン印刷用のインクを調整し Mo 電極付きのソーダライムガラス上に塗布した後 不活性雰囲気で焼成して太陽電池用の CIGS 膜を得た このようにして形成した CIGS 膜を用いて Al/n-ZnO:B/i-ZnO/CdS/CIGS/Mo/ ソ - ダライムガラス構造の太陽電池を試作した 太陽電池の評価は通常の I-V 特性の他に分光感度測定 また今回のプロセスでは CIGS 光吸収層の微構造が太陽電池特性に大きく影響するので 太陽電池の断面を走査型電子顕微鏡 (SEM) や透過電子顕微鏡 (TEM) を用いて観察した 1μm 2μm 図 1 メカノケミカルプロセスとスクリ - ン印刷 / 焼結法を用いて作製した CIGS 太陽電池の断面微構造 2. 太陽電池の特性図 1 にメカノケミカルプロセスとスクリ - ン印刷 / 焼結法を用いて作製した CIGS 太陽電池の SEM で観察した断面微構造を示す これを見ると CIGS の結晶粒径は 2μm 以上に成長していて 結晶粒も比較的緻密に焼結していることがわかる しかし 膜厚が 1μm 以上で セレン化法や蒸着法で形成した CIGS 膜と比較して非常に厚いことがわかる 図 2 に試作したいくつかの CIGS 太陽電池の電流 (I)- 電圧 (V) 特性を示した いずれの太陽電池も開放電圧 (V oc ) は約.3 V であり 短絡電流密度 (J sc ) や曲線因子 (FF) に差が見られた 現在までに得られた最も高い変換効率は 2.7% で V oc =.325 V, J sc = 28.3 ma/cm 2, FF =.295 である この太陽電池の I-V 特性から 開放電圧と曲線因子において改善の余地があることがわかる 現在の CIGS 光吸収層の厚さは 5-1μm 程度ある CIGS 光吸収層の膜厚としては ~2μm で十分であり これ以上厚い部分は曲線因子を劣化させる原因となる また 今後 CIGS 層の膜厚の薄膜化 均一化を図り直流抵抗成分を抑制することで V oc の向上が期待される 図 3 に変換効率 2.7% を示した CIGS 太陽電池の分光感度特性を示した 5nm 以下の短波長側における QE 低下の主な原因は CdS バッファ - 層による光損失である また 6~1nm の広い波長域における QE の低 13

4 下は pn 接合による電界形成が不十分であることが一因と考えられる これは 膜厚が厚いことが一要因である J(mA/cm 2 ) 3 J sc :24.9 ma/cm 2 V oc :31 mv F.F.:.311 eff. :2.33% 2 J sc :28.3 ma/cm 2 V oc :325 mv F.F.:.295 eff. :2.71% 1 J sc :16.6 ma/cm 2 V oc :327 mv F.F.:.26 eff. :1.42% V(V) 図 2 メカノケミカルプロセスとスクリ - ン印刷 / 焼結法で作製した CIGS 太陽電池の電流 - 電圧特性 Quantum Efficiency Wavelength [nm] 図 3 変換効率 2.7% を示した CIGS 太陽電池の分光感度特性 3. 透過電子顕微鏡による太陽電池の評価図 3 に変換効率約 1% の太陽電池と 変換効率 2.7% を示した太陽電池の断面 TEM 像を示す 変換効率 1% の太陽電池の場合には 表面付近の結晶粒は粒成長と焼結による結晶粒の肥大化と緻密化が確認できるが 内部の方では粒径はまだ小さく膜中に多くのボイドが観察される この試料の場合には CIGS 層と Mo 層の界面に空隙がみられ CIGS 層と Mo 界面の密着性も十分ではないことが分かる これに対して 変換効率 2.7% を示す太陽電池では 全体的に結晶粒の成長と焼結による緻密化が認められ さらに膜内にボイドがほとんど無く Mo から表面まで結晶粒が繋がっていることが分かる このように メカノケミカルプロセスとスクリ-ン印刷 / 焼結法を用いて作製した太陽電池の変換効率を向上させるためには 焼結段階における結晶粒の成長と結晶粒同士の焼結が必要不可欠であることが明らかとなった (a) (b) 5μm 5μm 図 4 変換効率約 1% の CIGS 太陽電池 (a) と変換効率 2.7% が得られた CIGS 太陽電池 (b) の断面 TEM 像 Ⅳ. 成果及び課題のまとめ龍谷大学がメカノケミカルプロセスとスクリ - ン印刷 / 焼結法により作製した CIGS 光吸収層に 東工大グル - プが溶液成長により CdS バッファ層を形成し その上に有機金属気相成長法により ZnO 窓層を形成して太陽電池を試作した 得られた CIGS 太陽電池の最高変換効率は 2.7% であった この変換効率はまだ低いが さらに膜厚等を最適化することで大きな向上が期待できる また 東工大グル - プによる透過型電子顕微鏡 (TEM) を用いた評価で 開発初期の変換効率の低い CIS 太陽電池では CIS 薄膜の表面部分は焼結しているが Mo 電極近傍では十分に焼結していないことがわかった また 変換効率 2.7% を達成した CIGS 薄膜は表面から Mo 電極まで比較的均一に焼結していた 本開発からメカノケミカルプロセスを用いたカルコパイライト系薄膜太陽電池の作製プロセスは 超低コスト CIS 太陽電池の製造プロセスとして有望なことが明らかになった 131

5 19. 半導体電極に注目した高機能色素増感太陽電池の研究開発 九州工業大学大学院 九州工業大学 北九州市立大学 北九州工業高等専門学校 新日鐵化学株式会社 Ⅰ. 目的 21 年以降の太陽光発電の大量普及を実現するために 大幅な低コスト化の可能性を持った色素増感太陽電池の性能向上に関する研究開発を行い 実用化への可能性を見極める Ⅱ. 研究開発目標本研究では色素増感太陽電池のチタニア ( 酸化チタン ) 半導体電極およびその表面 界面に注目する 界面の電子トラップ密度を減少させることにより チタニア内の電子拡散定数を向上し 電子寿命を長くすることにより Jsc および Voc を高め 太陽電池性能の向上を狙う 以下の内容につき研究開発を実施するとともに 太陽電池セルの試作と評価を行い セル変換効率 12% をめざす Ⅲ. 研究開発の成果 1. チタニア半導体電極の表面 界面制御技術の開発 1-1. チタニア電極への高密度色素吸着技術およびブロック層形成技術の開発 ( 九工大院 ) ナノポーラスチタニア表面の色素被覆率を向 浸漬法で作製したチタニア電極 上させると電子トラップが減少し Jsc, Voc の向上が期待できる チタニア界面の色素被覆率を e- e- 上げるために 加圧二酸化炭素中 ( 二酸化炭 素超臨界中 ) でナノポーラスチタニア層表面に色素を結合する方法を提案した ( 図 1) 二酸化 I - 3 炭素超臨界中では有機分子は非常に高い拡 散係数を有することが知られており 複雑に入り 組んだナノポーラスチタニア表面の色素修飾率 を上げることができる 従来の浸漬法に比較し加圧二酸化炭素中で のN3 色素 (Ru 色素 ) 吸着は非常に早く起こり ( 速度 1 倍以上 ) 色素吸着量の増大 太陽電池性能の向上が確認できた ( 図 2) ナノポーラスチタニア層中の電子拡散係数を光変調光電流法 (IMPS) で測定したところ加圧 CO 2 法で作製したチタニア層の電子拡散係数が大きくなっており これがJsc 向上に繋がっていると推定できた 暗電流 ( 逆電子移動 ) は加圧 CO 2 法で作製されたセルのほうが抑制されていた 電子寿命を光変調光電圧法 (IMVS) 法で測定したところ 加圧 CO 2 法で作製されたナノポーラスチタニア中の電子寿命は.24 秒であるのに対し 浸漬法で作製 加圧 CO 2 法で作製したチタニア電極 されたセルの電子寿命は.13 秒と短いことがわ図 23 N3 色素を加圧 CO かった 電子寿命はopen-circuit voltage decay 2 法 又は浸漬法で吸着させたナノポー図 2 ラスチタニア層を使った色素増感太陽電池セルの太陽電池特性 (OCVD) analysis 法でも測定し 同様な傾向が見 N3CO2: 加圧 CO2 法 N3DIP: 浸漬法 ; 前者を使うことにより チタニア界面の色素られた 色素被覆率向上によるチタニア表面トラ被覆率が向上することにより電子トラップが減少 Voc, Jscが向上した ップ密度低下によって逆電子移動が抑制され 電子寿命が伸びていると推定された 浸漬法で作製したN3 色素吸着ナノポーラスチタニア層にさらに加圧 CO 2 中でN3 色素の不完全吸着部分に 安息香酸を吸着させたところ 電子拡散定数の向上 (IMPS) Cole-Cole plotsによるチタニア粒子間電荷移動抵抗の減少が見られ Jscの向上が確認できた この事実は 界面トラップの減少がカルボン酸の吸着効果である Х 図 1 加圧 CO 2 法による界面電子トラップ数の減少 I 3 - 界面トラップ数の減少により電子拡散の向上 (Jsc 向上 ) 逆電子移動の防止 (Voc 向上 ) を期待 Current [ma/cm 2 ] OHP N3DIP Voltage [V] N3CO2 132

6 ことを強く示唆した 熱刺激電流を用いて ナノポ Efficiency 1.42% FF.65 ーラスチタニア界面の電子トラップ分布を調べたと 25. BD_DIP_2 Voc.7 ころ 色素吸着後に電子トラップ数が減少している 2. Jsc ma/cm 2 ことが確認できた Area.2295 cm black dyeを加圧 CO 2 法で吸着させたところ N3 色素と同様に早い吸着を実現することができ Jsc, Vocを向上させることができた 分光学的な考察から加圧 CO 2 プロセスではblack dyeの会合が防止さ れ 浸漬プロセスで作製した同じ色素吸着量のセ ルと比較して高いJscが得られた 加圧二酸化炭 Voltage [V] 素中ではblack dye 分子は二酸化炭素分子に取り図 3 Fig. ブラックダイを加圧二酸化炭素中で吸着させたナノポーラ Photovoltaic performance of 囲まれ単分子として存在しており これがチタニアスチタニア層を使った色素増感太陽電池セルの太陽電池特性 DSC stained by black dye without DCA ( 共吸着剤なし ) に吸着後常圧にも戻す際に二酸化炭素だけが気 化しblack dyeが単分子で残るという機構が考えられる 図 3 にはDCA( 会合防止剤 ) を使わないで作製した太 陽電池特性を示す 1% 程度の効率が得られたが ffが.65 と低く今後 ffを上げる努力が必要である 1-2. 物理的チタニア表面 界面制御 ( 北九州高専 ) チタニア電極を放電時間 5~3minでアルゴンプラズマ 処理を行った ここでチタニア電極は1 次粒子径約 3nm 12 のチタニア粒子含有ペーストから調製したものである 色素吸着量はプラズマ処理時間に伴って一旦増加した後 減少した 図 4 にプラズマ処理前後のチタニア電極の O 1s XPSスペクトルを示す プラズマ処理後に 531.5eV 付近にショルダーが出現したことより チタニア表面に形成する水酸基濃度が増加し 色素吸着量の増加をもたらしたと考えられる Current Density [ma/cm 2 ] 図 4 プラズマ処理前後のチタニア電 1-3. チタニア多孔質膜と基板の界面制御技術 ( 九工大 ) 極のO 1s XPSスペクトルフッ素ドープ酸化スズ (FTO) 膜は 多結晶の膜のため その結晶の優先配向性を変えれば結晶表面の形態が変わり 凹凸の大きな表面や凹凸の少ない表面を作ることができる 色素増感太陽電池に適した FTO 膜の表面を調べた結果 表面凹凸の小さな膜の効率が良好であることがわかった さらに 図 5 に示すように FTO の表面を研磨し その表面に凹凸の少ない FTO 膜を薄く製膜して その上に多孔質膜を製膜した Jsc が向上し太陽電池特性が向上することを見出した スズ原料中の塩素をできるだけ除去し さらにフッ素の導入を促すことによる 低抵抗 高透過特性のフッ素ドープ酸化スズ膜作成を試みた スプレー法で得られた膜図 5 研磨した FTO のは抵抗 9.3Ω/ 可視透過率 84.1% さらに MOCVD 法により得られた膜は抵抗断面 SEM 像 4. 3Ω/ 可視透過率 8.6% であった CVDにより製膜した基板上に緩衝層がない状態で多孔質膜を製膜し 効率を評価した結果 ( 表 1) 8.4% のセルが得られた before plasma treatment 2.after plasma treatment Binding Energy /ev 表 1 色素増感太陽電池特性 ( 色素 : N3 電解液 : WWS 光源 : AM1.5 1mW/ cm 2 で評価 ) 2 Isc ma/cm Voc /mv FF η /% 1. 表面被覆スプレー 電着緻密緩衝層 FTO 研磨オーバーコート 低抵抗 FTO 低抵抗 / 研磨 / 緻密緩衝層

7 2. チタニア半導体電極用高機能材料の開発 2-1. チタニアの均一薄膜生成技術およびその低温焼結技術の開発 ( 北九州市大 ) 図 6 に開発した中性水系でのナノチタニア調製方法を示す 得られたナノチタニアは単分散であり 高純度 高品位な単分散のナノチタニアの調製に成功した 凝集を避けるために 分散剤の検討とさらなる低温焼結化の検討を行った 分散剤 Aの添加に加え TiCl 4 によるチタニア表面処理を行った太陽電池セルでは 変換効率が約 1.3% 向上した また低温焼結実験では 泳動電着法とスキージ法の併用で 8 でも光電変換効率 1.1% を確認し 低出力ながらより低温での焼結技術の可能性を見いだすことができた 2-2. 高純度チタニア半導体の開発 ( 新日鐵化学 ) チタニアに異種元素を添加し 変換効率との関係を調べることにより チタニア中に含まれる不純物元素を 変換効率に顕著な影響を及ぼす元素と変換効率にはほとんど影響を Powder 及ぼさない元素に分けることができた Paste ( 図 7) また E9 元素をドープするこ 1 とで 効率が向上することを見出した ( 図 8).8 ゾルゲルミセル法を用い 高純度のナノチタニア粒子.6 を作製した 純度分析結果.4 を表 2に示す 高純度チタニアを用いることにより セ.2 ルの変換効率は8.6% となった また特定元素をドープ することにより変換効率が向上する傾向が見られ 最適純度制御の基本技術を得ることができた 光電変換効率比 E E1 E3 E6 E7 E8 E15 ドープ元素 E2-3 図 7 異種元素ト ーフ による変換効率への影響 E E4 2 - E 酸素 TiCl 4 +NH 4 OH 水酸化チタン アモルファス酸化チタン アナタース酸化チタン デカンテーション 遠心分離 過酸化水素水 水熱処理 図 6 中性水系でのアナタース型ナノチ タニアの調整方法 表 2 合成したチタニアの純度分析結果 Ratio E7-21 E9 wt% E8-53 E9 - - E9.1wt% E9 concentration E1 - - E E9 1wt% 図 8 各 E9 ドープ濃度の合成チタニアのセル特性比較 : 光電変換効率 :Jsc :Voc :FF 2-3. チタニアへのドーピング技術の開発 ( 北九州高専 ) チタニアペーストをFTOガラス板上に塗布した後 焼成によりチタニア電極を調製した スパッタイオン銃を用いて窒素イオン注入したチタニア薄膜電極を調製した イオン照射量は ~ 個 cm -2 とした イオン注入したチタニア電極に色素を吸着させた後 白金を対極として太陽電池セルを作製した 1 mw cm -2 の光源を用い 作製した太陽電池セルのI-V 特性を測定した Ar + スパッタリングを用いたXPS 測定によるN 1s スペクトルから Ti-N 結合に起因する 396 evのピークが認められた また チタニア表面から深さ方向へピークの減少が観測された これより 深さ数 1 nm 以下のチタニア表面層に窒素は注入されていることが 図 9 未ドープチタニア電極 窒素ドープチタニア電極を用いたセルの I-V 曲線. 窒素イオン照射量 ;(1) 未照射 (2) (3) P17P ions cmp-2p. 134

8 確認された 窒素イオン照射量の増加に従って短絡電流 (Jsc) の増加が確認された ( 図 9) これは 窒素イオン注入量の増加に従い チタニア内に新たに形成される酸素欠陥が増大し その酸素欠陥から生成する電子の余分な電子がN2p 軌道から形成される準位に入り 残りが伝導電子となることが原因だと考えられる 3. 特許調査 ( 新日鐵化学 ) グレッツェル博士 海外研究機関計 1 グループの特許調査を行い セル モジュール構造を中心に権利化状況を解析した ( 表 3) セル構造については4 種類の構造 W 型 Z 型 Monolithic 型 並列型が提案されている ( 図 1) このうち W 型 Z 型については最も出願が早いと考えられる特許 (DE422184, DE ) は権利化されていない しかし 権利化範囲を変えた W 型で GlasTrosh の WO Konarka の WO Z 型で GlasTrosh の WO STI の US が登録 Monolithic 型については EPFL による WO が登録 並列型では GlasTrosh の WO ECN NL12744 が登録となっている 表 3 先行海外研究機関によるモジュール関連特許出願 外国 国内 ( 内数 ) グレッツェル ( スイス ) EPFL GlasTrosh Solaronix ( スイス) 8 STI, STA, Dysol, Greatcellsolar( 豪 ) 17 4 INAP( 独 ) 3 2 ECN ( 蘭 ) 12 7 GlasTrosh ( スイス ) 2 Leclanche ( スイス ) (1) Asulab ( スイス ) 8 6 Konarka( 米 ) Uppsala Univ. ( スウェーデン ) 2 2 Solterra Fotovoltaico S.A( 伊 ) * 国内特許はPCT 出願の場合 今後公表される可能性があるもの多数あり 図 1 Ⅳ. 成果及び課題のまとめ加圧二酸化炭素中で色素 およびカルボン酸をポーラスチタニア層に反応させると セルの開放電圧 短絡電流とも増大することがわかった 表面被覆率が増大し チタニア表面トラップの数が減少したためと説明できた 1.4% 程度の変換効率を達成した 透明導電膜表面を研磨すると太陽電池特性が上がる原因として チタニア透明導電膜基板の電荷移動抵抗が減少することを見出した チタニア電極をアルゴンプラズマ処理することにより 色素吸着量が増加し 光電変換効率が 8~13% 増大することを確認し 変換効率を向上させるための低温プラズマ処理技術を開発できた また チタニア電極を窒素イオン照射処理することにより 短絡電流が増加し 光電変換効率が増大することも確認できた チタニア微粒子と FTO 基板の界面制御を行った FTO 表面の研磨平坦化とチタニア緻密層の導入により チタニア層と FTO との密着性が向上し FTO からチタニア層への不純物の拡散が抑制され 変換効率 9.1% が得られた また熱 CVD 法を駆使した FTO 構造最適化により 低抵抗 高透過率 FTO が得られ 効率向上に指針が得られた 中性アナタースチタニアペーストに対し 分散剤 A を添加することにより凝集の防止に成功し 均一薄膜作製を可能とした 泳動電着によるチタニアの均一塗布による製膜後 13 8 の低温焼成により作成した DSC セル (.25cm2) では それぞれ 2.8% 1.1% の光電変換効率が確認できた チタニアナノ粒子分散媒や分散容器から数種の不純物元素が混入することを見出した 容器材質を最適化し 純度制御したチタニアペースト作製方法の基本指針を得た また E9 元素をドープすることにより効率が向上すること見出した 炭酸ガス エントレーナと色素の三元系における各濃度 圧力 温度でのそれぞれの相互作用について検討した エントレーナの種類と圧力が顕著な影響を与えることを見出した チタニア電極の二酸化炭素下色素吸着 プラズマ表面処理 ドーピング 研磨 不純物などの表面制御技術がエネルギー変換効率を上げる重要な要素であることを明らかにし 1.4% を達成した 今後 これらの界面制御技術を駆使しながら より広帯域の光吸収を可能にする技術を組み合わせた 更なる高効率化が課題となる W 型 Z 型 Monolithic 並列セル モジュール権利化状況 1ESW Quinten GmbH DE A1 1992/6/26 2GlassTrosh Solar WO PR: 1995/3/23 3Konarka: WO /1/25 1ABB Patent GmbH DE A1 1992/8/3 2GlassTrosh Solar WO PR: 1995/3/23 3STI AU PR/AD:1999/3/18 US 特表 EPFL (6) WO PR/AD:1 995/1/31 日特表平 GlassTrosh Solar WO PR: 1995/3/23 3Konarka: US PR/AD:22/1/25 3ECN NL 12744, PR/AD:22/6/4 特表 赤字は登録された特許灰色字は失効した特許 135

9 2. ファイバ型太陽電池の研究開発 古河電気工業株式会社 独立行政法人産業技術総合研究所 Ⅰ. 目的従来の技術とは異なる太陽電池やシステム技術等 大幅な低コスト化の可能性を持った要素技術として 光ファイバ線引技術をベースとする一次元 SOI 基板 ( 石英ファイバを基板とし その基板上に多結晶シリコンを成膜した基板 ) を用いたファイバ型太陽電池を開発するとともに 当該要素技術の実用化への可能性を見極める ファイバ型太陽電池には以下のような特徴がある 1) 製造プロセスの特徴 1 一次元基板の採用 局所化による設備小型化 およびフレキシブル基板による連続プロセス化が可能 2 石英ガラス基板の使用 高温プロセスが採用できプロセスの高速化 高品質化が可能 3 線引法の採用 線引法により基板の研磨加工が省略でき 基板コストの低減が可能 2) デバイスの特徴 1 基板形状 表面構造の設計自由度が高い 基板による自己テクスチャ構造の形成が可能 2 薄肉 透明なガラス基板の採用 内部多重反射の利用により光吸収効率向上が可能 また軽量 フレキシブルな太陽電池が実現可能 Ⅱ. 研究開発目標 Ⅱ-1. 一次元 SOI 基板の開発 ( 古河電工 ): 光ファイバ製造に用いられている線引技術を応用し 単一ファイバの変換効率 13%( 多結晶シリコン結晶粒径 1μm) 以上が期待できる 石英ファイバに多結晶シリコンをオンラインで高速に成膜する一次元 SOI 基板製造技術を開発する Ⅱ-2. 多結晶シリコン成膜技術の開発 ( 産総研 ): 一次元 SOI 基板上にマイクロ波プラズマ CVD 法を用いた多結晶シリコン高速成膜技術を開発する Ⅱ-3. ファイバ型太陽電池の開発 ( 産総研 古河電工 ): ファイバ型太陽電池のセル化プロセスに必要な要素技術を開発し 量産化を見据えたデバイス工程を検討する Ⅲ. 研究開発の成果 Ⅲ-1. 一次元 SOI 基板の開発光ファイバ製造に用いられる線引技術を応用し ファイバ表面に多結晶シリコンを成膜する一次元 SOI 基板製造技術を開発した 石英ファイバの耐熱性を有効に利用するために 赤外線加熱炉を用いた熱 CVD 装置を製作した 得られた膜の断面観察より 柱状結晶が成長しているのが確認できた 結晶粒径は数 μm~1 μm 程度であった また断面観察から計算される平均成膜速度は原料流量比により変化し 原料がSiH 2 Cl 2 の場合で 1nm/sを超える高速成膜が実現できた 高速成膜が実現できた理由としては 細径の反応管を用いることで局所的な高温の熱 CVDが実現できたこと また管内流速を速くでき境界層厚さが薄くなることで効率的に反応が促進されたことが考えられる しかし高温でのCVDであるため 冷却過程において石英ファイバ基板とシリコン膜との線膨張係数の差から シリコン膜へのクラックは抑制できなかった そこで 残留応力緩和方法として ドーパント添加ガラスファイバ基板 ( 線膨張係数差を低減 ) および極薄石英条基板 ( 基板の変形により応力緩和 ) の利用を検討した その結果 いずれの方法においてもクラックのないSOI 基板が得られていることが確認できた 14 Si 膜 最大成膜速度成膜速度 (nm/sec) (nm/s) SiH DCS/(DCS+H 2) 2 Cl 2 /(SiH 2 Cl 2 +H 2 ) (%) 1μm SiO 2 Si SiO 2 3μm Si SiO 2 3μm 図 1 SiH 2 Cl 2 原料の場合の Si 成膜速度 図 2 作製した SOI 基板の断面像 ( 左 : ドーパント添加ガラスファイバ 右 : 極薄石英条 ) Ⅲ-2. 多結晶シリコン成膜技術の開発ファイバ基板上に多結晶シリコンを高速で成膜するために 基板をファイバ型に限定したマイクロ波プラズマ CVD 装置を開発した 本装置ではプラズマ領域がファイバ基板のごく近傍に限定されるため 従来の平 136

10 板基板と比べてサイズが小さいファイバ基板に適した構造といえる 断面 SEM 像より 基板の径方向に均一に膜が作製され 平均 1nm/s 程度の超高速成膜が実現できていることを確認した また 水素希釈比を変えることにより 得られる膜の結晶性を変えることができ 結晶性の膜からアモルファス性の膜まで自在に作製できることを確認した 得られた膜をさらに詳細に分析するために 断面構造を TEM により観察した これより得られた膜の構造は 基板に近い部分と膜表面に近い部分では結晶性が異なり 基板近傍の膜は比較的小さな結晶粒からできているのに対し 膜表面近傍の膜は 1μm を越える大粒径の結晶からなり 完全な結晶シリコンに近い制限視野像が得られることが観察できた 本実験にて得られた超高速成膜性はプラズマ領域を限定していることに起因しており 一次元基板を用いることではじめて 高速成膜のメリットが実用的かつ効果的に活用できると考えられる また ファイバを移動させながら CVD を行い ファイバの長手方向に均一に膜が得られることを確認した SEM 像 TEM 像 55μm (9nm/s) 6μm (1nm/s) 5μm (8nm/s) 表面近傍 中央 基板近傍 2μm 1.2 H 2 /SiH 4 = H 1. 2/SiH 4=4 1.2 H 2 /SiH 4 =6 1. 1μm Intensity (arb. unit) I c /I a = I c /I a =4 1μm.5μm.2μm Raman shift (cm -1 ) Raman shift (cm -1 ) Raman shift (cm -1 ) 図 3 得られたシリコン膜の SEM 像 Raman 測定結果 図 4 得られたシリコン膜の TEM 像と制限視野観察 Ⅲ-3. ファイバ型太陽電池の開発 Ⅲ-1. に示した方法により作製した一次元 SOI 基板を用いてセル作製を行った 膜質の評価に関しては セル作製が容易な熱酸化膜付単結晶シリコンを核形成サイトのない擬似ファイバ基板として用いた まず 熱酸化膜付シリコン基板上に熱 CVD により p 型多結晶シリコン膜を 2μm 作製した 次に PSG 液を用いて P をシリコン薄膜中に拡散させ n 層を作製し 続いて n 層の一部を RIE を用いてメサエッチングを行った 次に p 側電極として Al を蒸着にて n 側電極として Ag をスパッタにて成膜した Al 電極と n 層との距離を p-n 間距離と位置付け その距離を変えた場合の変換効率の違いを I-V 特性の測定により検討した p-n 間距離を小さくしても開放電圧 V oc はほとんど変わらないのに対し 短絡電流 J sc および F. F. は大きく向上することが確認できた 擬似構造セルの変換効率は 1.3% であった 今回作製したセルはプレーナ型構造であるため 積層型構造に比べてキャリアの移動距離が長くなっており また作製したシリコン膜はコラムナー構造となっていることから キャリアは成長した柱状結晶の粒界を横切るように移動することになる したがって キャリアの粒界でのトラップが大きくなり J sc が小さくなっていると考えられる Ⅳ. 成果及び課題のまとめ光ファイバ製造に用いられている線引技術を応用し 石英ファイバに多結晶シリコンを高速に成膜する一次元 SOI 基板製造技術を開発した 石英ファイバの耐熱性を有効に利用した熱 CVD 装置を製作し 反応管内径を小さくし反応領域を局所 高温化し さらに管内流速を上げ境界層厚さを薄くすることで 1nm/s 以上の超高速成膜を実現した 実用化に向けて シリコン膜の成膜速度について目標レベルの高速性が得られたことから 今後はさらに結晶品質の向上 結晶粒拡大方法の検討を行う また 一次元基板上にプラズマ CVD 法を用いた多結晶シリコン高速成膜技術を開発した 基板をファイバ型に限定した同軸型マイクロ波プラズマ CVD 装置を開発した 本装置を用いてファイバ基板上にシリコン膜を作製し 平均 1nm/s の超高速成膜が実現できた 本実験にて得られた超高速成膜性はプラズマ領域を限定していることに起因しており 一次元基板を用いることではじめて 高速成膜のメリットが実用的かつ効果的に活用できると考えられる さらに 熱 CVD により作製した多結晶シリコン膜を用いてセル作製を行った p-n 間距離を小さくすることにより J sc および F. F. が大きく向上することが確認できた また これまでに光学シミュレーションを用いたファイバ型太陽電池の多重反射による光吸収効率向上を検討し さらに石英ファイバ基板上にアモルファスセルを作製しそのフレキシブル性を確認するなど ファイバ型太陽電池の得失に関する検討を行ってきた 今後更なる高効率ファイバ型太陽電池の開発を目指して 表面および粒界パッシベーション ( 水素プラズマ処理 SiN 成膜 RTA など ) による界面不活性化 さらにファイバ型に適したセル構造を検討する必要がある 137

11 21. ナローギャップ結晶系 SiGe 薄膜太陽電池の研究開発 東海大学 独立行政法人産業技術総合研究所 Ⅰ. 目的結晶系 SiGe は全組成領域で結晶構造を保持したまま光吸収係数を広範囲に変化させることが出来る数少ない材料であり 積層化した際に最適なエネルギーギャップを選べることから 高効率化に非常に有利な材料である 本研究では 結晶系 SiGe の特長を活かし従来の技術とは異なる新たな要素技術を開発し 積層型薄膜太陽電池の高効率化による大幅な低コスト化を実現とすることを目的としている Ⅱ. 研究開発目標結晶系薄膜 SiGeを用いた膜厚 1μm 以下の太陽電池において 短絡電流 36mA/cm 2 変換効率 1% を目指すとともに 最適なプロセスを提案する Ⅲ. 研究開発の成果及び課題プラズマCVD(1 MHz) により基板温度 2 C 以下で微結晶 SiGe(μc-Si 1-x Ge x :H, <x<1) を製膜し 薄膜ならびにp-i-nダイオード構造におけるキャリア輸送特性とスペクトル感度特性について調査した 図 1は得られた μc-si 1-x Ge x :H 薄膜における (a) キャリア濃度 (b)hall 移動度 (c) 光 暗伝導度のGe 組成依存性を示している キャリア濃度はx>.75 で 1 18 cm -3 まで急増しており 弱いn 型から強いp 型伝導への遷移が明らかとなった 移動度においては <x<.75 の範囲で単調に増加し その後 n 型からp 型への遷移に伴い減少する傾向がみられた μc-si 1-x Ge x :Hの移動度はバルク結晶 Si Geの移動度に比べて極めて低い値を示しており これはキャリア移動度が粒界の作用により制限されていることを示唆している 電気伝導度は成長条件にはほとんど依存せず 膜中 Ge 組成により支配的に決定されており 暗伝導度は x>.7 で急増する 光感度はGe 濃度の増加にしたがって減少し x~.7 ではほとんど確認できないことから 高 Ge 組成領域でキャリア寿命が著しく低下していることを示唆している Ge 組成が比較的低い領域 (x<.6) では光感度が認められ このような材料においては太陽電池構造で光電変換機能が期待される そこで μc-si 1-x Ge x :Hを光吸収層として用いた単層 p-i-n 型太陽電池を作製し 太陽電池特性のi 層 Ge 組成依存性について調べた 図 2 n / p (cm -3 ) μ (cm 2 /Vs) log σ (S/cm 2 ) (a) (b) (c) σ ph σ d n Ge fraction x 図 1 μc-si 1-x Ge x :H における (a) キャリア濃度 (b) Hall 移動度 (c) 光 暗伝導度の Ge 組成依存性 ( x 1) (c) は異なる放電電力 P 水素希釈 r:[h 2 ]/[GeH 4 ] 条件下で製膜した試料の結果をあわせてプロットしている [circles: (P=3 W, r=18), triangles: (P=15 W, r=18), diamonds: (P=3 W, r=9), squares: (P=15 W, r= 9 )] p 138

12 は i 層の膜厚範囲を.9~1. μmとして作製したμc-si 1-x Ge x :H 太陽電池の量子効率スペクトルを示している (x=.21,.32,.41,.55) Ge 組成の増加にともない若干の赤外感度 (>9 nm) の向上がみられるが スペクトルのピークの低下と特に短波長感度の劇的な減少が見て取れる また 量子効率のバイアス電圧依存性を調べた結果 図 3に示すように -1 Vの逆バイアス印加により量子効率は大幅に増加し その積分値から光電流 27.4 ma/cm 2 が見積もられる Geを含まない厚さ 2.7 μmのμc-si:h 太陽電池の量子効率スペクトルと比較すると 今回作成したμc-Si.6 Ge.4 :H 太陽電池では僅か 1/3 の吸収膜厚でμc-Si:H 太陽電池以上の光電流と赤外感度が得られていることになり 高出力電流を得るという点で結晶系 SiGe 材料の優位性がデバイスで確認できた Quantum efficiency short circuit x= μc-si 1-x Ge x :H p-i-n d:.9-1. μm Quantum efficiency V bias = -1 V μc-si d=2.7 μm V bias = V μc-si.6 Ge.4 d=.9 μm Wavelength (nm) 図 2 μc-si 1-x Ge x :H を i 層に用いた p-i-n 太陽電池量子効率の Ge 組成依存性 (x=.21,.32,.41,.55) Wavelength (nm) 図 3 逆バイアス電圧 1V を印加して測定した μc-si.6 Ge.4 :H 太陽電池量子効率スペクトル ( 比較のため膜厚 2.7 μm の μc-si:h 太陽電池の量子効率スペクトルを示す ) さらにGe 組成比 2% の微結晶 SiGe 太陽電池において 結晶性 ( 水素流量 ) の太陽電池特性に及ぼす影響を調べたところ アモルファスから結晶に遷移する境界条件において 最大の変換効率 3.88% 短絡電流 21.5mA/cm 2 を得た 一方 特殊材料ガスを用いない安全且つ低コスト製法であるH 2 化学輸送法 (H 2 を用いた RFスパッタリング ) による製膜も検討した Ge 組成比 2% の薄膜 SiGeを作製した結果 基板温度 15 ~ 3 で作製したμc-SiGeにおいて 2 桁程度の光感度を得ることに成功した 本材料を用いて太陽電池を試作した結果.72% の変換効率が得られた 素子化プロセスが未熟であるため特性は充分ではないが 化学輸送法により作製したμc-SiGeの初めての太陽電池への応用である Ⅳ. 成果及び課題のまとめプラズマCVD(1 MHz) により基板温度 2 C 以下でμc-SiGeを製膜することに成功するとともに 太陽電池の試作を行った その結果.9μmの吸収膜厚で3 倍以上厚い微結晶シリコン以上の光電流と赤外感度を得ることに成功した またGe 組成比 2% の微結晶 SiGe 太陽電池において変換効率 3.88% 短絡電流 21.5mA/cm 2 を得た この値は目標には及ばないが 多層積層型薄膜太陽電池の高効率化への大きな指針を示すものであり 継続して研究開発を進めていく必要がある 一方 H 2 化学輸送法によって プラズマCVDと遜色ない特性を得ることができ太陽電池の試作に成功した 殊材料ガスを用いない安全なプロセスとして今後検討していく価値があると考えられる 今後は高 Ge 組成比におけるp 型準位による特性低下を水素終端等により克服し 高光吸収材料を実現していく 139

13 22. 粒状シリコン太陽電池セル製造技術の研究開発 富士機械製造株式会社 独立行政法人産業技術総合研究所 ジャパンゴアテックス株式会社 Ⅰ. 目的滴下法によって製造される多結晶粒状シリコンは 生産性も高く スライスによる材料ロスも発生しないため 多結晶シリコン太陽電池の信頼性を損なわず シリコン使用量の低減と低コスト化を実現する また 低倍率の集光構造を備えることによって さらにシリコン使用量の削減が期待できる 本研究開発では 従来の技術とは異なる太陽電池やシステム技術等 大幅な低コスト化の可能性を持った要素技術の開発として シリコン粒の粒径 形状の変動に影響を受けない製造工程で 粒状シリコン表面に太陽光を効果的に集めることのできる集光構造を持つ粒状シリコン太陽電池の製造技術を開発し 実用化への可能性を見極める 尚 平成 17 年度からの研究開発は 富士機械製造 ( 株 ) から産総研 ジャパンゴアテックス ( 株 ) に引き継がれた Ⅱ. 研究開発目標 1. セル発電性能向上のためのシリコン粒製造技術の開発 ( 産総研 ) 2. シリコン粒品質の非破壊評価技術の開発 ( 産総研 ) 3. セル集光構造の最適化及び製造技術の開発 ( ジャパンゴアテックス ) 最終目標としては 45 mm 角モジュールで変換効率 12.5% を目指す Ⅲ. 研究開発の成果 1. セル発電性能向上のためのシリコン粒製造技術の開発落下法による粒状シリコンの作製においては 滴下したシリコン融液の過冷却度の制御が重要であることが分かった 本研究では 過冷却度制御技術の開発を行い 種結晶技術の開発によるシリコン粒の結晶性の向上に成功した この方法では ノズル近くの落下管内に種結晶用のシリコン微粉を供給し 過冷却になったシリコン融液と接合させ 結晶核を生成し 結晶成長を低い過冷却度で開始させる ( 図 1) 種結晶法により作製した粒状シリコンは涙型となり 種結晶なしで作製したツノ型に比べて結晶性が高く 平均ライフタイムも一桁以上高くなった (1 μs を超えるシリコン粒の割合は 2% 未満から 6% 以上に増加 最大値は 4.2 μs) 更に 種結晶の制御により 涙型の収率は 3% 未満から 5% 近くまで向上した 2. シリコン粒品質の非破壊評価技術の開発走査型電子顕微鏡 (SEM) による結晶構造ならびにエッチピットの観察 マイクロ波光伝導減衰 (μpcd) 法によるライフタイムの測定及びフォトルミネセンス (PL) 測定の相関を調査し ライフタイム測定及び高速 PLイメージングによる粒状シリコンの非破壊評価技術の開発を行った 結晶性の高い粒状シリコンのPL 測定では シリコンバンド間発光 (I TO ) 及びボロン不純物による束縛子発光 (B TO ) によるシャープなピークが観察され 二つのPL 強度の比はライフタイム測定結果と比例することが分かった ( 図 2) 逆に 結晶性の低い角型粒状シリコンは 同じ温度でバンド間発光に起因するPLが見られず 不純物あるいは結晶欠陥に起因するブロードなピークのみ観察された これらの結果より 高速 PLイメージング法による粒状シリコンの選別が可能であると考えられる 坩堝ヒータ Si 融液 Si 液滴 Si パウダー Ar ガス Ar ガス雰囲気 排気 Ar ガス 溶解炉 種結晶 Si パウダー分布空間 落下管 捕集部 Si オイル 図 1. 本研究で開発した種結晶技術の概念図 PL Ratio B TO /I TO Sample No. 図 2. 粒状シリコンのシリコンバンド間 (I TO ) 及びボロン不純物による束縛子 (B TO )PL 発光強度比とライフタイム値との相関 Lifetime (μs) 14

14 2 3. セル集光構造の最適化及び製造技術の開発集光効率の高いセル構造を検討するため シリコン粒を保持する透明樹脂層の形状を変えた 3 種 の集光構造を試作して集光性能の評価を行なった フラット型は製造歩留りが最も高いが 集光力が低い 集光レンズ型は垂直光の集光力が最も高いが 配列間隙が生じやすく歩留りが低い 集光ミラー型は粒の配置が難しく集光力も不充分であった そこで 製造方法が容易で 集光効率の高いセル構造として レンズによる集光と 歩留りの高いフラット型下部構造を採りいれた改良レンズ型 ( 図 3) を開発した このモジュールは 膨大な数の粒状シリコンのモジュール化に際し プロセスコストを下げるため樹脂による粒状シリコンの一括封止を行い 後工程となる電極形成などを一括処理できるようにした 樹脂封止の際 ハニカムネットにより液体樹脂界面を抑えこむことで受光面を広げ また ネットの液体樹脂界面安定化作用から 封止樹脂を紫外線硬化樹脂よりはるかに安価な熱硬化樹脂へと切り替えられるようになった 集光レンズの集光倍率は 4.4 倍である 反射面には樹脂封止時に自然形成されるメニス集光レンズカス面を用い これに銀蒸着を行なうことで高反射率の反射面を得た 受光面となるレンズ側 ARC に粒状シリコンの結晶性の高い球状部分を配向 n + -Si 反射面させることで開放電圧を増加させている n 電極 p-si n 電極樹脂層はニッケル蒸着後に銀蒸着を行うことで形成し p 電極ている p 電極はアルミ蒸着膜をYVO 4 レーザー照図 3. 本研究で開発したセル射することで低温形成とともに良好な電気的接の断面構造の模式図及びモジ続が得られている この結果 作製したセルのュールの写真 直列抵抗は.5 Ω/cm 2 以下となり レーザー局所シンタリング法の有効性が実証された 作製した改良レンズ型集光構造セルの変換効率は 単粒セルで 11.3% 2 mm 角 (15 粒 ) モジュールで 5.2% 1 mm 角 (23 粒 ) モジュールで 8.5% が得られた ( 図 4) urrent Density [ma/cm 2 C ] Jsc=28.4mA/cm 2 Voc=.57V FF=69.8% Eff=11.3% Voltage [V] Powder Density [mw/cm ] Current Density [ma/cm 2 ] Jsc=2.67mA/cm 2 Voc=.46V FF=54.5% Eff=5.19% Voltage [V] Power Density [mw/cm 2 ] Current Density [ma/cm 2 ] Jsc=27.17mA/cm 2 Voc=.51V FF=61.37% Eff=8.5% Voltage [V] 図 4. 集光構造モジュールの発電特性 左 : 単粒セル 中 :2 mm 角モジュール (15 粒 ) 右 :1 mm 角モジュール (23 粒 ) また 実証用組み立て装置の開発を行った 粒状シリコンが保持された凹凸面への樹脂塗布精度は ±5 μm となり 2 mm 角 (15 粒 ) モジュールの接続不良率が % となった セル組立の初期工程で 集光レンズを構成する透明樹脂に粒状シリコンを封止してプレート化する集光構造形成装置の開発に着手した 試作した振動整列方式の粒状シリコン配列ユニットでは 粒径 形状の異なるシリコン粒においても 短時間 (15 粒 7 秒 ) で所定の位置に配列することが可能となり 1 W セル ( 約 2 粒 ) でも 1 秒程度で配列する目処がたった Power Density [mw/cm 2 ] Ⅳ. 成果のまとめ (1) 新しい種結晶技術を開発し 結晶性の高い粒状シリコンの収率が5% 程度に達した (2) 粒状シリコンの結晶性 ライフタイムおよびPL 強度の間に強い相関を見出した これらの測定法を最適化すれば 粒状シリコンの非破壊検査法となり得ることが充分期待される (3) レンズ型集光モジュールの開発を行い セル構造の改良とプロセスの変更により 単粒セルでは変換効率 11.3% 2 mm 角モジュールでは (15 粒 )5.2% 1 mm 角モジュールでは (23 粒 )8.5% を得た 141

15 23. 酸化物系薄膜太陽電池の研究開発 大阪市立工業研究所 奥野製薬工業株式会社 Ⅰ. 目的本研究では 高い変換効率が期待できるn 型 ZnO p 型 Ag 2 O p 型 Cu 2 Oのヘテロ接合構造からなる新しい酸化物系薄膜太陽電池 ( 図 1) と水溶液からのソフト溶液プロセスという低コストで環境にも適合した新しい製造方法を開発する すでに開発済みのn-ZnOならびにp-Cu 2 O 層に加え 禁制帯幅が小さく大きな光吸収係数を有するp-Ag 2 O 層を新規に開発し 光吸収層として用いるとともに 各層を高品質化することによって変換効率の向上を図る また 透明電極ならびに金属電極製造工程も含めた全ての工程を水溶液中でのソフト溶液プロセス化することによって低コスト化を図る 図 1 n-zno/p-ag 2 O/p-Cu 2 O 薄膜太陽電池の模式図 ( 図中の数字は II の開発目標 ) ガラス ポリマー基板 ZnO 透明電極 ( 目標 2) n-zno p-ag 2 O( 目標 1) ( 目標 4) p-cu 2 O Cu 電極 ( 目標 3) Ⅱ. 研究開発目標 1 光吸収層用 p 型 Ag 2 O 層の低温形成技術の開発 ( 大阪市立工業研究所 )(H16) 小さい禁制帯幅と大きな光吸収係数を有する高品質 p 型半導体 Ag 2 O 層を均一に低温形成するための水溶液中での電気化学反応を用いたソフト溶液プロセスの開発と製膜条件の最適化を行う 2 ZnO 系透明電極の低温形成技術の開発 ( 奥野製薬工業株式会社 )(H16) 透明電極用 ZnO 層を ガラス基板上に均一に形成するための水溶液中での化学反応を用いたソフト溶液プロセスの開発と製膜条件の最適化を行う 3 Cu 2 O 層上への低温銅電極製造技術の開発 ( 奥野製薬工業株式会社 )(H17) 高抵抗であるp 型 Cu 2 O 層上に金属 Cu 層を形成するための水溶液中に浸漬するだけの化学反応を用いたソフト溶液プロセスの開発と製膜条件の最適化を行う 4 高品質 ZnO/Ag 2 O/Cu 2 O 接合技術の開発と太陽電池の形成 ( 大阪市立工業研究所 )(H17) 上記研究開発結果を統合し ガラス基板 /ZnO 透明電極 /n 型 ZnO/p 型 Ag 2 O/p 型 Cu 2 O/Cu 電極のヘテロ構造を持つ太陽電池を構築し 各層の厚さなどを最適化し太陽電池を完成させる Ⅲ. 研究開発の成果 1 硝酸塩 アンモニア塩ならびに銀塩を含有する 2 の水溶液から 図 2 に示すような結晶粒子径約 3μmの角張った結晶粒の集合体であるAg 2 O 層を形成した このAg 2 O 層は 製膜状態において 186 Ω cm の抵抗率 5.5x1 16 cm -3 のキャリア密度.61cm 2 /Vsの移動度を示した 製膜液組成 製膜条件 ZnOや Cu 2 Oとの積層についての条件を最適化することにより 太陽電池用光吸収層として実用化可能であると考えている 図 2 水溶液から電気化学的に形成した Ag2O 層の表面 FE-SEM 像 142

16 2 硝酸亜鉛とジメチルアミンボランを含有する水溶液に基板を浸漬することによって ZnO 膜を形成した 析 出したままのZnO 層の抵抗率は 製膜温度に大きく依存し 製膜温度の上昇により大きく低下した ZnO 膜を還元雰囲気下で加熱することによって 4.3x1-3 Ωcm 台の抵抗率を得た 太陽電池用の透明電極として実用化可能な電気的性質を得るために 溶液化学的不純物添加法の開発が必要である 3 Cu 2 O 膜をジメチルアミンボラン (DMAB) ならびに水素化ホウ素ナトリウム水溶液に浸漬することによって, Cu 2 O 層上に良好な密着性を有する金属 Cu 層を化学的に形成することができた Cu 層のシート抵抗は.12 Ω 抵抗率は 6.6μΩcmであった また 無電解めっき法により Cu 2 O 層上にオーミックAu 層を化学的に形成することができた 今 5 後 大面積試料への適用などの検討が必要であるが 基本的な 4 (b) プロセスは確立できたと考えている 3 4 ZnO 層とCu 2 O 層の製膜条件を最適化することによって 良好な 2 ( c) 整流性と 1.28% の変換効率を示すZnO/Cu 2 O 積層体を形成する ことができた 図 3 に示すように ZnO/Cu 2 O 積層体の変換効率 1 (a) はCu 2 O 製膜電流密度と密接に関係し -1.mAcm -2 において開 放電圧 (Voc):59mV 短絡電流密度(Jsc):3.8mAcm -2 FF:.58 Voltage / V 変換効率 1.28% の世界最高水準値を示した 現時点での製膜条 図 3 ZnO/Cu 2 O 積層体のAM1.5 件最適化はまだ不十分であるため 今後さらに性能が向上すること 基準太陽光照射下での電圧 - 電流 が期待できる 密度曲線に及ぼすCu 2 O 製膜電流 密度の影響 (-.9(a) -1.(b) -4.(c)mAcm -2 ) Ⅳ. 成果及び課題のまとめ 本研究により 禁制帯幅 1.45eVのAg 2 O 層形成技術 4.3x1-3 Ωcmの抵抗率を有するZnO 透明電極形成技術 ならびにCu 2 O 層へのオーミックCu 電極形成技術を開発した また ZnO/Cu 2 O 系太陽電池において 変換効率 1.28% の世界最高水準値を得た n-zno p-ag 2 O p-cu 2 O 層 透明電極ならびにオーミック金属電極形成を含 む全行程を水溶液中での電気化学製膜法により行うことができたことから 22 年度の目標値である 14 円 /kwhは達成可能である 実用化する最終製品は n-zno p-ag 2 Oならびにp-Cu 2 Oから構成される太陽電池で あり 本研究の成果は いずれも最終製品の性能向上に寄与する成果であり 酸化物系太陽電池の実用化に 必要な要素技術である ただし 実用化に向けて以下の課題が明らかとなった ( 課題 A) 積層体形成のためのAg 2 O 形成用水溶液組 成ならびに形成条件の最適化 :Ag 2 O 形成用水溶液であるアンモニアアルカリ性水溶液中ではZnOならびに Cu 2 O 層が溶解してしまうため ZnOならびにCu 2 O 層への化学的アタックが軽微なAg 2 O 層形成用水溶液を開発 するとともに組成や製膜条件の最適化を行い 積層体形成条件を確立する必要がある ( 課題 B)ZnOならびに Cu 2 O 層形成条件の最適化による界面の高品質化 :ZnO 層ならびにCu 2 O 層の製膜条件によって その積層体の 整流性や変換効率が大きな影響を受けることが明らかとなった 製膜パラメーターが非常に多く最適化が未だ 不十分であることから製膜条件の最適化を推進すると共に バッファ層の導入についても検討し ZnO/Cu 2 O 系 太陽電池の基本構造を確立する必要がある Current density / macm

17 24. 窒化インジウム系薄膜太陽電池の研究開発 国立大学法人福井大学 Ⅰ. 目的 大幅な低コスト化の可能性を持った要素技術として 超高効率タンデム太陽電池の実現が期待される 窒化インジウム (InN) 系薄膜の結晶成長技術を確立し 当該要素技術の実用化への可能性を見極めるこ とを目的とする 特に 5% の変換効率と 1V の開放端電圧が期待される 禁止帯幅.7~2.5eV の InGaN からなる 1 接合タンデム太陽電池の実現に向けた要素技術の確立を図る Ⅱ. 研究開発目標 1. 高品質 InN の薄膜結晶成長と pn 接合形成 高品質 In リッチ InGaN の薄膜結晶成長と多層構造形成 3. 少数キャリア特性の評価 Ⅲ. 研究開発の成果 1. 高品質 InNの薄膜結晶成長とpn 接合形成 1 19 (1) 有機金属気相エピタキシ (MOVPE) 成長 InN の高品質化基板位置 3cm MOVPE 成長 InN 膜の主要成長条件であるNH 3 /TMI 供給モル比 9cm と成長膜の電気的光学的特性との相関について検討した そ 15cm の結果 常圧 MOVPE 成長はN 過剰条件で行われており 成長圧 力が.1 気圧から常圧に変化することによって In 過剰条件 実効的 NH 3 /TMI 比 からN 過剰条件に変化することがわかった 図 1 に示すように 図 1. 残留キャリア濃度の実効的 N 過剰条件においても残留キャリア濃度はNH 3 /TMI 供給モル比 NH 3 /TMI 供給モル比依存性 の増加とともに低下する その結果 cm -3 と いうMOVPE 成長 InNとしては最も低い値が得られた さらに高いNH 3 /TMI 供給モル比条件を採用することで 1 17 cm -3 台のキャリア濃度が実現できる可能性を見出した また この結果から Nサイトを占める不純 物またはN 空孔に関係する欠陥が残留キャリアの起源であることが明らかとなった Nサイトを占める不 純物としては 酸素 (O) の可能性が最も大きい 常圧 MOVPE 成長 InNの電子移動度は 比較的低いNH 3 /TMI 供給モル比の条件で高い値を示し 最高値として 125cm 2 /Vsが得られた 高 NH 3 /TMI 供給モル比条件では 電子移動度の顕著な低下が見られることから キャリアの散乱過程としてはイオン化不純物散乱は支配 的でなく 粒界散乱が主要な散乱過程であることがわかった (2)CP 2 Mgを用いたMOVPE 成長 InNへのMgドーピングの検討 1 2 // Cp 2 Mgを原料としてMOVPE 成長 InN 膜のMgドープによるp 型化の 検討を行った SIMS 分析によりMgがInN 膜にドープされているこ とを確認した しかしながら 作製したInN 膜は全てn 型伝導を 示し Cp 2 Mg 供給量の増加に伴い電子濃度および主要不純物とし cm 9 てC H 濃度が増加することがわかった Cp 2 Mg 供給量の多い条件 15 で成長させたInN 膜は結晶粒が極めて小さく Cp 2 MgがInNの結晶 成長を阻害していることがわかった Cp 2 Mg 供給量が比較的少な // -1 // 3cm い (Cp 2 Mg/TMI 供給モル比 1% 以下 ) 場合 図 2に示すように あ 9 15 る特定のCp 2 Mg 供給量においてキャリアの補償効果を示すと思わ れる キャリア濃度の低下と連動した比抵抗の増加が観測された すなわち キャリア濃度の極小と比抵抗の極大とがほぼ一 1-3 致しており そのような極小 極大を与えるCp 2 Mg 供給量はサセ プタ位置の下流側ほど多くなっていることがわかった これは Cp 2 Mg が熱分解して上流から下流に向かって減少するため ドーピング量が上流から徐々に減少するためである このような補償効果と思われる現象が InN で確認されたのは初めてであり InN の p 型化の可能性を示すものとして注目に値する (3)InN の表面電子蓄積層の解明 残留キャリア濃度 (cm -3 ) Carrier concentration (cm -3 ) Resistivity (Ωcm) 1-4 // Cp 2 Mg/TMI molar ratio(%) 図 2. 残留キャリア濃度 比抵抗の Cp 2 Mg 供給モル比依存性 MBE 成長 InN を中心に InN 膜表面に電子蓄積層が存在し これが InN の pn 接合形成を困難にしていると考えられている そこで MOVPE 成長 InN 膜の深さ方向のキャリア濃度分布についての知見を得るた 144

18 めに 表面 裏面からのフォトルミネッセンス測定を 波長すなわち侵入深さの異なる励起光源を用いて行った その結果 図 3 に示すように MBE 成長試料で報告されている電子蓄積層に類似した高キャ リア濃度層がサファイア基板との界面近くに存在することを見出した そのような高キャリア濃度層は 表面近傍には存在しないこと バッファ層なしで成長させたInN 膜の方が顕著であること さらに 成長後よりもNH 3 中熱処理後の方が著しく顕著であることがわかった MOVPE 成長による今回のInN 膜はIn 極性であることから 高キャリア濃度層は常にN 面側に存在し In 面側には存在しないことになる したがって 高キャリア濃度層の存在はN 面と何らかの関係があることが予想される 最近 InNのN 面が原子状水素によって容易に劣化することが報告されていることから 今回見出された高キャリア濃度層はHによるN 面の劣化ではないかと考えられる したがって 表面電子蓄積層 ピークエネルギーシフト (mev) 1 5 表面 -5 は決して不可避な現象ではないと考えられる 2. 高品質 InリッチInGaNの薄膜結晶成長と多層構造形成 (1)MOVPE 法によるIn-rich InGaN 層の形成 ( 相分離の抑制 ) 最も重要な課題である相分離のない In-rich InGaN の成長条件について検討した その結果 図 4 に示すように In 組成 1~.5 の InGaN については 6~65 付近に比混和領域があることがわかった 比較的低温 (~55 ) では In 組成 1~.5 の全領域で相分離のない InGaN が成長できるが この成長温度は高品質化の観点からは低すぎる 高品質化の観点からは 最適温度領域として比混和領域の高温側の領域を選び In 組成の低下に合わせて成長温度を上昇させる必要があることがわかった 2 h With GaN buffer Without buffer 励起光進入深さ (nm) 図 3. NH 3 中熱処理した InN 膜の PL ピークエネルギーの励起光進入深さ依存性 固相 In 組成 x (InxGa1-xN) : 単一相 ( 相分離なし ) : 相分離有り : 分解領域 成長温度 ( ) 図 4. 相分離に対する成長温度と固相 In 組成 x との関係 3. 少数キャリア特性の評価走査型近接場光学顕微分光システム (SNOM) を用いて InN 膜の少数キャリア寿命のミクロ分布に相当するミクロ PL 強度分布が評価できることを明らかにした Ⅳ. 成果及び課題のまとめ得られた成果および課題を表 1 にまとめて示した これらの成果は 窒化インジウム系多接合タンデム太陽電池の実現可能性を示すものと考えられる 表 1. 研究成果 課題のまとめ研究開発目標研究成果今後の課題 1. 高品質 InN の薄膜結晶成長と pn 接合形成 (1)MOVPE 成長 InN の高品質化 (2)CP 2 Mgを用いたMOVPE 成長 InN へのMgドーピングの検討 (3)InN の表面電子蓄積層の解明 2. 高品質 In リッチ InGaN の薄膜結晶成長と多層構造形成 残留キャリア濃度低減の見通しを得た MOVPE InNとしての最高値を実現した n = 4.5x1 18 cm -3, μ = 125cm 2 /Vs Mg 添加量が多い場合 アクセプタドープにも拘らず電子濃度が増大する 補償効果とみられる抵抗率の増加がみられる (p 型化の可能性 ) 水素が関与したN 面の劣化が起こる この劣化層が表面電子蓄積層に相当する可能性がある 相分離のないIn-rich InGaN 成長条件が明確にできた 残留キャリア濃度 1 17 cm -3 台の実現 Cp 2 Mg 添加条件の最適化による p 型 InN の実現 水素関連劣化の抑制 InGaN 多層構造の形成 界面 3. 少数キャリア特性の評価 SNOM を用いたミクロ PL 強度分布による少数キャリア寿命分布の評価ができた 少数キャリア寿命絶対値の測定評価 145

19 25. 高開放電圧ヘテロ接合薄膜シリコン太陽電池 国立大学法人岐阜大学 Ⅰ. 目的本研究では 高い水素ラジカル耐性を有する透明電極保護用の TiO 2 薄膜上にワイドギャップ微結晶 3C-SiC 薄膜を堆積する技術を確立し 薄膜 Si 系太陽電池の p および n 層として微結晶 3C-SiC 薄膜を応用可能とするヘテロ接合技術の開発を行う 微結晶 3C-SiC 薄膜は光学ギャップエネルギー 2.3eV を有するワイドバンドギャップ材料であり 微結晶 3C-SiC 相における高いドーピング効率により低抵抗化が可能である これらの特徴から 薄膜 Si 系太陽電池で開発された従来のヘテロ接合に比べて より高性能なヘテロ接合の実現が期待できる しかしながら 微結晶 3C-SiC 合金薄膜の堆積には従来の微結晶 Si 薄膜よりも高い水素ラジカル密度が必要であるため 微結晶 Si 薄膜用に開発された ZnO 透明電極保護膜では還元されてしまう この問題を解決するために ZnO 薄膜よりも高い水素ラジカル耐性を有する TiO 2 薄膜を透明電極保護膜に用いる さらに 微結晶 3C-SiC 薄膜を p および n 層に用いた水素化アモルファスシリコン系太陽電池および微結晶シリコン系太陽電池において 高性能なヘテロ接合を形成するための要素技術を確立する 以上の要素技術をもとに 水素化アモルファスシリコン系太陽電池の開放電圧として 1mV 以上 微結晶シリコン系太陽電池では 6mV 以上の開放電圧を実現する事を目的とする Ⅱ. 研究開発目標現有のスパッタリング法に加えて 電子ビーム蒸着法を用いて微結晶 3C-SiC 薄膜の堆積時に還元されない TiO 2 薄膜の作製条件と最適な厚みの探索を行う また SIMS を用いて 還元された金属の微結晶 3C-SiC 薄膜中への混入量の評価も行う また 作製した微結晶 3C-SiC 薄膜の電気的 光電的な特性を評価する 特に 不純物ドーピングにより活性化エネルギーが低くなる作製条件および局在準位密度が低くなる作製条件を探索するための基礎物性評価を行う これらの評価結果をもとにして P, B および Al がより効率良くドーピングできる Cat-CVD 作製条件の探索を行う 以上の結果をもとにして TiO 2 薄膜を透明電極保護膜として利用した微結晶 3C-SiC 薄膜を用いたヘテロ接合形成技術の開発を水素化アモルファスシリコン薄膜太陽電池と微結晶シリコン薄膜太陽電池にて行う また 作製条件と各層の膜厚の最適化を行い開放電圧の目標値を達成する Ⅲ. 研究開発の成果 Cat-CVD 法によりpおよび n 型微結晶 3C-SiC 薄膜の作製を試みた n 型微結晶 3C-SiC:H 薄膜については 水素希釈率 65 倍およびPH 3 のSiH 3 CH 3 に対するドーピング率.4% の製膜条件下にて 結晶粒径 15nm 光学的バンドギャップエネルギー 2.2eV 室温における暗電気伝導度 4.5x1-2 S/cm( 活性化エネルギー.3eV) を有する微結晶 3C-SiC:H 薄膜の作製に成功した 一方 p 型についてはドーピング原料として Al(CH 3 ) 3 を用いたものの 設定基板温度 37 フィラメント温度 18 SiH 3 CH 3 のガス圧力.3Torr 水素希釈率 5 および Al(CH 3 ) 3 のSiH 3 CH 3 に対するドーピング率 9% の製膜条件下にて 室温における暗電気伝導度が 1.7x1-8 S/cm のAlドープμc-3C-SiC:H 薄膜を得 transmittance (%) μc-3c-sic:h 製膜後 μc-3c-sic:h 製膜前 wavelength (nm) るにとどまった Fig.1 TiO 2 コートした透明電極 SnO 2 の光透過率ス電子ビーム蒸着法により μc-3c-sic:h 薄膜の堆積時におペクトル 点線および実線は 微結晶 3C-SiC 薄いて高い耐還元性を示す透明電極保護膜用 TiO 2 薄膜の作製に膜の堆積前および堆積後をそれぞれ表す 取り組んだ 室温での電気伝導度が 2x1-1 S/cmのTiO 2 薄膜が製膜速度.3nm/sで得られ 高周波マグネトロンスパッタリング法で作製したTiO 2 薄膜と比較して 1 桁の製膜速度向上と 3 桁の暗電気伝導度の改善に成功した このTiO 2 薄膜をコーティングした SnO 2 上へのμc-3C-SiC:H 薄膜の堆積を試みた 堆積前後に測定した試料の光透過率スペクト 146

20 ルをFig.1 に示す μc-3c-sic:h 薄膜を堆積させても光透過率の減少は数 % にとどまった 一方 TiO 2 保護膜のないSnO 2 試料は還元のために黒色となった なお TiO 2 薄膜上に堆積した μc-3c-sic:h 薄膜中への金属元素の混入をESCA により予備的に調べた TiおよびSnからの信号は 装置感度の範囲で検出されなかった 以上のことより 微結晶 3C-SiC 薄膜の堆積時に還元されないTiO 2 薄膜の作製が電子ビーム蒸着法により可能となった 上記の成果より透明電極保護膜 TiO 2 上へ微結晶 3C-SiC 薄膜が堆積できるようになり 微結晶 3C-SiC 薄膜を用いたヘテロ接合シリコン系薄膜太陽電池の作製が可能となった 微結晶シリコン系薄膜太陽電池について ガラス基板 /Asahi-U/TiO 2 /μc-3c-sic:h(n)/μc-si:h(i)/μc-si:h(p)/zno/ Alの構造を有するヘテロ接合太陽電池にて 短絡電流密度 12.11mA/cm 2 曲線因子.527 および変換効率 3.22% を得て その開放電圧は.55 Vに到達した 開放電圧の目標値.6Vには到達しなかったものの 太陽電池として動作することを確認できるまでに至った 2 ) current density (ma/cm J 4 sc = 8.31mA/cm 2 V oc =.947 V 2 F.F. =.585 η = 4.6 % voltage (V) Fig.2 TiO2 薄膜上に堆積したn 型微結晶 3C-SiCを用いたアモルファスシリコン系薄膜太陽電池の電流電圧特性 一方 アモルファスシリコン系薄膜太陽電池では以下の成果を得た ガラス基板 /Asahi-U/TiO 2 /μc-3c-sic:h(n)/a-si:h(i)/a-sic x :H(buffer)/a-SiC x :H(p)/ZnO/Al の構造を有するヘテロ接合 a-si:h 系薄膜太陽電池にて 短絡電流密度 8.31mA/cm 2 曲線因子.585 および変換効率 4.6% を得て その開放電圧は.947V に至った (Fig.2) この太陽電池では光入射側が n/i 接合であるにも関わらず 比較的大きな開放電圧が得られた Ⅳ. 成果及び課題のまとめ Cat-CVD 法により p および n 型微結晶 3C-SiC 薄膜の作製を試みた n 型微結晶 3C-SiC:H 薄膜については 室温における暗電気伝導度 4.5x1-2 S/cm( 活性化エネルギー.3eV) を有する微結晶 3C-SiC:H 薄膜の作製に成功した 電子ビーム蒸着法により 室温での電気伝導度が 2x1-1 S/cm の TiO 2 薄膜が製膜速度.3nm/s で得られた この TiO 2 薄膜をコーティングした SnO 2 上への μc-3c-sic:h 薄膜の堆積を試みたところ 堆積後の光透過率の減少は数 % にとどまった 以上のことより 微結晶 3C-SiC 薄膜の堆積時に還元されない透明電極保護膜用 TiO 2 薄膜の電子ビーム蒸着法による作製に成功した 上記の成果より 微結晶 3C-SiC 薄膜を用いたヘテロ接合シリコン系薄膜太陽電池の作製が可能となった 微結晶シリコン系薄膜太陽電池では短絡電流密度 12.11mA/cm 2 曲線因子.527 および変換効率 3.22% を得て その開放電圧は.55V に到達した 一方 アモルファスシリコン系薄膜太陽電池では短絡電流密度 8.31mA/cm 2 曲線因子.585 および変換効率 4.6% を得て その開放電圧は.947V に到達した 今後 生産ラインへの適応性を高めるため 高品質な p および n 型微結晶 3C-SiC 薄膜のプラズマ CVD 法による作製を実現する必要があると思われる このことにより a-si:h 系薄膜太陽電池では より大きな開放電圧を有する太陽電池の実現が可能と考えられる また μc-si:h 系太陽電池では上記の試みに加え μc-3c-sic/μc-si:h 界面特性の改善が必要と思われる そのために 界面に挿入するバッファ層の材料探索および製膜条件等の検討が必要である 147

21 26. マイクロ波プラズマ CVD 装置による薄膜シリコン太陽電池製造技術の開発 国立大学法人東北大学 Ⅰ. 目的低ダメージのプラズマプロセスが可能である マイクロ波励起高密度プラズマを用い 高速 (1 秒以内 ) にチャンバ内のガス組成を切り換えることで 同一チャンバ内でp 型 i 型 n 型のシリコンを 2.5nm/sの成膜レートで成膜しながら 多層タンデム構造を形成し 低コストで高効率の太陽電池を製造するプロセス要素技術の開発を行う 本装置は東北大学により世界で初めて実現された 電子温度が 1eV 以下と小さく かつ電子密度が1 12 cm -3 以上の高密度プラズマであるため 低欠陥密度の高品質なシリコンを 3 以下の低温で高速に堆積することが出来 製造コストを低減しながら 高発電効率の太陽電池の作製が期待できる Ⅱ. 研究開発目標 1) 低コスト薄膜シリコン成膜プロセスの開発 タンデム構造の太陽電池を一台のプロセスチャンバで 1 秒以内の瞬時ガス切換えにより効率良く連続成膜が可能な新規なプラズマ CVD 装置を開発する 超低電子温度のマイクロ波励起高密度プラズマ CVD により 低欠陥密度の薄膜成膜技術を確立する 不純物ガス放出の少ない材料を用いた装置を開発する 膜質を高品質に保ったまま成膜レートを向上させる ( 目標 :2.5nm/s) 2) 高品質薄膜シリコン太陽電池の検証 上記の CVD 装置を使用して 同一チャンバ内で p i n 型のアモルファスシリコン 及び多結晶 ( 微結晶 ) シリコンを狙った膜厚で短時間に成膜する 最適構造設計によりセルを試作し 光変換効率 15% の達成を見極める Ⅲ. 研究開発の成果 1) 高効率連続成膜プラズマCVD 装置の製作 Ar H 2 等のプラズマ励起用ガスにより高密度プラズマを発生させ 低電子温度領域に設置されたシャワーからプロセスガス (SiH4,H2) をフローさせる事により プロセスガスの過剰解離を抑制し 且つイオン照射によるダメージをも低減可能なマイクロ波励起高密度プラズマCVD 装置を新規に製作した ( 図 1) プラズマ励起ガスプロセスガスパージガスFCS ECV 2.45GHz RLSA FCS ECV M.B マグネトロン FCS ECV マッチング ボックス 二重 O- リング FCS ECV FCS ECV FCS ECV 基板 ステージ FCS ECV フロー電気 N コントロール 2 制御バルブシステム TMP ターボ分子ポンプ Back Pump 図 1 製作されたマイクロ波励起高密度プラズマ CVD 装置 ( 装置構成図と概観 ) 本装置では FCS(Flow Control System) とECV(Electrically Controlled Valve) により チャンバ内のガス組成及び圧力を変えても 1 秒以内の高速でプラズマが安定する事を確認し 同一チャンバ内で複数膜の連続成膜が可能な事を確認した この事実はタンデム構造セルが1チャンバで実現可能な事を示すものであり 製造スペースの削減と共に製造コストの大幅低減が可能となる 148

22 2) 成膜技術の基礎検討 チャンバ内圧力及びマイクロ波パワーを変化させて プロセス空間に発生する Si * 量を OES により測定し 成膜速度がマイクロ波パワー Si * 量に比例する事を確認した ( 図 2 図 3) Deposition Rate (nm/sec) Deposition Rate (nm/sec) Microwave Power :3kW Tsub. :3 Gap :8mm 2.45GHz H 2/SiH 4 1/1 5/5 3/ Total Pressure (mtorr) 図 2 トータル圧力の変化による成膜速度とシリコンラジカル (Si * ) 量の変化 Tsub. :3, Gap :8mm Ptotal:1mTorr 2.45GHz H 2/SiH 4 3/15 2/1 1/ Microwave Power (W) OES intensity(a.u.) OES Intensity (a.u.) Si* Hα Total Si* Microwave Power :3kW Tsub. :3 Gap :8mm H 2/SiH 4 1/1 5/5 3/ Total Pressure (mtorr) Temp.:3 Gap :8mm P total:1mtorr 2.45GHz H 2 /SiH 4 3/15 2/1 1/5 Si* SiH* Microwave Power (W) 図 3 マイクロ波パワーの変化による成膜速度とシリコンラジカル (Si * ) 量の変化 図 2 及び図 3 より トータル圧力が 1mTorr でシリコンラジカル (Si * ) 量は最大となり マイクロ波パワー と共に増大し 2.nm/sec の高い成膜速度で柱状微結晶膜が得られる事が確認された 今後は表面反応でのみ成膜反応が生じるようなガスフロー系の改善を行い 膜質の改善と共に 目標の >2.5nm/sec の成膜速度の実現を図る Ⅳ. 成果及び課題のまとめ 1) 成果のまとめ タンデム構造薄膜太陽電池の連続成膜を可能にするプラズマ CVD 装置の設計製作を行い 成膜技術の 基礎検討を行い 1 チャンバで連続成膜が可能な事を確認した 成膜検討の初期段階にて単セル構造微結晶 Si 太陽電池を作成したが 膜中酸素含有量が多く 膜質もポ ーラスであったため 1.27% の変換効率となった 今後は膜質改善と酸素含有量の低減が大きな課題となる 2) 課題のまとめ 1 膜質改善 O- リング技術の改善による酸素含有量の削減 2 最適ガスフロー制御による表面成膜反応技術の確立 ( 原料ガスの高効率利用技術の確立 ) 3 最適タンデムセル構造の確立 ( 膜種 膜厚 ) 3 全層 全膜種について 成膜速度の向上 これらの課題を確実に達成する事で 低欠陥密度の高品質薄膜シリコンによるタンデム構造太陽電池を 1チャンバで高速 連続的に成膜することが可能となり 太陽電池製造コストの大幅低減と高変換効率達成の実現が期待される 149

23 27. 薄膜シリコン太陽電池の次世代プロセス先導研究 太陽光発電技術研究組合三洋電機株式会社 株式会社カネカ 国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 Ⅰ. 目的 22 年に向けた 発電コスト 14 円 /kwh を達成するための太陽光発電システムの製造技術について 本格的な次世代太陽電池の技術開発に入る前段階として先導的研究開発を実施する Ⅱ. 研究開発目標製膜速度 4nm/s で拡散長 2μm の薄膜結晶シリコンを実現するとともに セル効率 16% の見通しが得られるデバイス構造を選定する また 新規薄膜シリコン太陽電池材料の探索を行う Ⅲ. 研究開発の成果 1. 超高スループット製膜技術開発 (1) 革新的新製膜方式の検討 ( 三洋電機 ) プラズマ CVD のプロセス圧力を上げることで薄膜結晶 Si の成膜速度が向上することが知られている しかし 従来の平行平板型プラズマ CVD 装置では安定放電の限界は 1Pa 未満であった これに対して 当社は 1Pa を超える超高圧領域での均一安定プロセスを目指して独自の局在プラズマ CVD 法を開発した 局在プラズマ CVD 装置の電極部の概念図を図 1 に示す 本装置の最大の特徴はカソード電極の形状にある まず電極プレートの表面には周期的なピラミッド状突起を配置している 各ピラミッドの頂点がプラズマの起点となり超高圧領域でも比較的広い電極間隔 (>1mm) で安定放電が可能になる 微視的には起点となるピラミッドの頂点近傍にプラズマが局在するが ピラミッド形状とプロセス条 上部電極 プラズマ 排気供給 基板 下部電極 図 1 局在プラズマ CVD 装置の電極構造 件を適切に選択することで基板面全体に対しては巨視的に均一な放電を実現できる もう一つの特徴は電極プレート面に通常のガス供給孔に加えて排気孔を設けたことである 超高圧条件では材料ガスのプラズマ中滞在時間が長くなり過分解や気相重合を生じやすい また メートル級の大面積装置では基板中央と周辺部分で滞在時間が大きく異なり面内不均一の原因となる 本装置では供給孔と排気孔を近接させることにより 気相重合の抑制と滞在時間の面内均一化を実現している 本技術によって従来の平行平板型の限界を超える 15-2Pa の超高圧力領域での安定かつ均一なプラズマ発生に成功した 本技術を用いて 4.1nm/s という高成膜速度での高品質微結晶 Si 成膜に成功すると共に 同条件で作製した高品質微結晶 Si 膜を用いてキャリアの拡散長を導出し 2.μm 以上の値を得た (2) 大面積化要素技術の検討 ( カネカ ) 超大面積製膜技術開発に向けた要素技術 特に各種製膜技術の検討 調査を実施した 具体的には 現状の技術でどの規格程度の大面積均一製膜が可能かを見極める目的で 現存す化る最大サイズのCVD 装置を用いて 面積 4m 2 膜以上の超大面積厚基板 ( 基板サイズ 1,95mm 2,25mm) 上へのシリコン薄膜の均一形成の可能性を検討するための製膜テストを実施した 基板の面積比から計算したスケールアップファクタを元に 基準となる条件 ( 製膜面積 : 小 ) の延長線上に設定した製膜条件を用いて 面積 4m 2 以上の超大面積基板上に製膜を実施した結果 製膜速度が遅い条件下では基板全面に薄膜 μc-siを均一に形成可能なことを確認した また 超大面積均一製膜を実現する ,95mm 2,25mm Position(mm) 図 2 ガラス基板上シリコン薄膜の膜厚分布 15

24 際の技術課題として 1 製膜速度が速い条件下での膜厚 膜質の均一性 及び装置の信頼性 2 高周波 高パワー条件の適用 3 肉厚がある超大面積基板の搬送 を抽出した 2. 太陽電池の高性能化要素技術開発 (1) 薄膜結晶シリコン系太陽電池の高性能化技術開発 ( 三洋電機 ) 薄膜結晶 Si 太陽電池の性能は発電層の結晶構造に依存する 我々は発電層の下地層組成によって発電層特性の制御を試みた X 線回折から求めた結晶配向性の下地層 Ge 添加量依存性を図 3に示す 太陽電池の発電層に適しているとされる<22> 配向成分比率は Ge 添加量前後で最大値をとり 5% 以上になると急激に減少する この下地層 Ge 添加技術を太陽電池の発電層に適用した結果 高い<22> 成分比率が得られた領域で出力特性向上が見られ 下地層の無い場合と比較して 1 割以上変換効率が向上した ( 22 ) 配向性成分の増加 本研究では微結晶 Si の膜質制御法として下地層組成が 重要パラメータであることを実証するとともに 太陽電池発電 Ge content of n layer ( % ) 層の品質指標として結晶配向性の重要性を再確認した 図 3 (22) ピーク強度比のGe 量依存性 (2) 多接合太陽電池ワイドギャップ材料の検討 ( カネカ ) 多接合太陽電池のデバイスシミュレーションを実施することで 各太陽電池パラメータ向上に必要となる物性的 光学的要件を検討した 具体的にはセル効率 16% 以上を達成するための方策の一つであるトップセルの Voc 1.1V 以上を実現するために トップセル材料に要求される物性値を明らかにすべく a-si 系単接合セルのデバイスシミュレーションを実施した 検討の結果 p 層および i 層の製膜条件を最適化することで a-si 系単接合セルにおいて計算による結果および実デバイスの測定結果で共に 1V 以上の Voc が得られることを確認した さらに多接合太陽電池を回路シミュレーションの手法を用いて解析し 多接合デバイス構造の要素設計を実施した 我々は回路シミュレーションに PSPICE を用いて セル性能 ( 初期値 )18% の実現に必要となるデバイス構造を解析 設計した 図 4 に計算に用いた要素セルモデル及び三接合型太陽電池の I-V 特性 ならびに計算により得られた三接合構造のスペクトル依存性を示す I 22 / (I 111 +I 22 +I 311 ) 12 1 AM1.5, 1mW/cm 2, 25 Triple-J ( 初期効率 :18.1%) 18 Jsc(mA/cm 2 ) Bottom (Voc:.54V) Top (Voc: 1.1V) Middle (Voc:.85V) Efficiency(%) Voltage(V) G b /G t 図 4 要素セルモデル及び三段接合型太陽電池の I-V 特性とスペクトル依存性 3. 次世代太陽電池技術の検討 ( 北陸先端科学技術大学院大学 ) a-si 膜の堆積には 触媒化学気相堆積法を用い 最高 3. nm/s の堆積速度を達成した また 6 sec 以内の RTA で 図 1 に示すような直径 5 nm 程度の微結晶粒が緻密に詰まった構造である nano-grain poly-si (ngp-si) の形成が可能であることを明らかとした 膜厚については 1.5 μm 以上の均一結晶化に成功した 欠陥消去法については 本研究中に高圧水蒸気熱処理法の有効性を見出し 電子スピン共鳴 (electron spin resonance; ESR) 法における測定限界付近まで欠陥密度を低減した ngp-si の形成が可能となった ( 図 2) 移 151

25 動度については p 型 n 型とも約 2 cm 2 /Vs という高いホール効果移動度を実現した キャリア拡散長に関しては 正確な算定ができていないが msec の桁の RTA により結晶化させた膜厚 1.5 μm の ngp-si に 3 MPa 35 の高圧水蒸気熱処理を施した試料の少数キャリア寿命を 反射マイクロ波光導電減衰 (microwave photoconductivity decay; μ-pcd) 法により測定した結果 5-1 μs となる 少数キャリアが多数キャリアと同等 (2 cm 2 /Vs 程度 ) の移動度を持つと仮定すると 1 μm を超える少数キャリア拡散長が得られることになる p-n 接合に関しても p 型 Si 基板に n 型 ngp-si を形成した構造の I-V 特性から評価を行っており ダイオード理想因子 (n 値 ) が 1.97 となり 再結合電流が支配的となっているものの 良好な整流性が確認されている Ⅳ. 成果及び課題のまとめ ( 三洋 カネカ 北陸先端科学技術大学院大学 ) 成果として以下が挙げられる Defect density (cm -3 ) nm 図 1 ngp-si の断面 SEM 像 3nm W/O annealing nm 7 nm 5 nm 3 nm Temperature ( ) 図 2 ngp-si の ESR 欠陥密度の高圧水蒸気熱処理温度依存性 1 独自の局在プラズマ CVD 技術を開発し 4.nm/s 以上の高速製膜で拡散長 2.μm 以上の高品質微結晶 Si 膜の形成を実現 2 超大面積均一製膜を実現する際の技術課題として 1 製膜速度が速い条件下での膜厚 膜質の均一性 及び装置の信頼性 2 高周波 高パワー条件の適用 3 肉厚がある超大面積基板の搬送 を抽出した 3 発電層下地層への微量 Ge 添加によって結晶配向性の制御と太陽電池の出力特性を改善できることを実証 4 多接合太陽電池用トップ層材料開発により実際の a-si 系単接合セルで Voc が 1V 以上を達成できることを確認した 5 デバイスシミュレーションベースでセル性能 ( 初期値 )18% が三接合セルにて実現可能であることを I-V カーブベースで実証した 6 a-si 膜の堆積速度は 3. nm/s まで向上でき 数 1 sec の RTA により 膜厚 1.5 μm 以上の a-si を ngp-si 化できる 7 高圧水蒸気熱処理により ngp-si の欠陥密度を ESR 法の測定限界近傍である 1 16 /cm 3 台前半にまで減少でき 数十枚の同時処理が可能であるため 一枚辺りの処理時間を 2 min 以内に抑えられる 8 ngp-si のホール効果移動度 2 cm 2 /Vs 程度 少数キャリア寿命 5-1 μs から予想される少数キャリア拡散長 1 μm 以上という これまでの堆積型微結晶シリコン薄膜では実現できなかった特性を達成した 今後の課題としては以下が挙げられる 1 局在プラズマ CVD による高性能太陽電池の高速形成実証 さらなる大面積均一形成技術の確立 2 さらなる高効率太陽電池素子技術の開発 3 高 Voc 単接合セルをトップセルに適用した多接合太陽電池の高効率化の可能性について確認する 4 高性能多接合太陽電池のシミュレーション結果を実デバイス構造設計へフィードバックする 5 ngp-si において 5 μm 以上の厚膜 a-si の結晶化 およびその有効な欠陥消去法の確立 さらに安価なガラス基板への熱損傷およびドーパント拡散の少ない msec の桁の RTA による結晶化条件の探索およびその多結晶薄膜の基礎物性の解明 152

26 28. 広帯域スペクトル利用型薄膜シリコン太陽電池 ( 独 ) 産業技術総合研究所 大阪大学 名古屋大学 九州大学 三菱重工業 ( 株 ) Ⅰ. 目的シリコン系太陽電池の 22 年におけるモジュール製造コスト 75 円 /W を目指した次世代技術の先導的技術開発として 多接合の広帯域スペクトル利用型太陽電池の研究開発を行う そのために産学連携の集中研究方式により下記の技術開発を行う 1. 微結晶シリコン / ゲルマニウム超格子の開発 ( 産総研 ) 2. ナノスケール電気特性測定法の開発 ( 阪大 ) 3. 長尺マイクロ波プラズマ生成技術 ( 名古屋大 産総研 ) 4. ナノ結晶シリコントップセル化技術 ( 九大 産総研 ) 5. 微結晶シリコンゲルマニウム高速製膜技術の開発 ( 三菱重工 ) 6. 高密度リモートプラズマユニット開発 ( 三菱重工 産総研 ) Ⅱ. 研究開発目標 1. 微結晶シリコン / ゲルマニウム超格子の開発 3 接合セルのボトムセル材料として微結晶シリコン / ゲルマニウム (μc-si:h/μc-ge:h) 超格子の開発を行う バンドギャップ.9eVの材料において欠陥密度 cm -3 を達成することを目標とする 2. ナノスケール電気特性測定法の開発数 nm~ 数十 nm 領域の半導体デバイスの局所電気特性測定が可能である走査型プローブ顕微鏡 (SPM) を高速製膜微結晶シリコンの評価に適用する また SiGe 等の合金系膜の局所的な導電率分布を計測し Ge の偏析評価等を実施する 3. 長尺マイクロ波プラズマ生成技術長さ2メートルのマイクロ波プラズマ CVD 装置を建設し Si 薄膜の製膜を行う また 小型マイクロ波プラズマ CVD 装置により微結晶 Si 薄膜の高速製膜 (>1nm/s) と高品質化の基礎研究を行う 4. ナノ結晶シリコントップセル化技術ナノ結晶シリコン微粒子の大量合成技術及びナノ結晶シリコン薄膜の作製技術を開発し トップセルの開放電圧が.8Vを超える多接合型薄膜シリコン太陽電池を実現する 1ナノ結晶合成量 1 12 cm -3 以上 2 成膜速度.2nm/s 以上 3ナノ結晶シリコン薄膜の結晶化率 9% 以上 4バンドギャップ 1.5eV 以上 5. 微結晶シリコンゲルマニウム高速製膜技術の開発 3 接合セル用ボトムセル材料としての微結晶シリコンゲルマニウムの製膜速度 1nm/s 欠陥密度 1 16 /cm 3 台 6. 高密度リモートプラズマユニット開発 1 小面積に対する高速高品質微結晶 Si 製膜の実証 ( 動的製膜速度 5nm/s 欠陥密度 /cm 3 以下 )2 長尺均一放電及び製膜の可能性の検証 153

27 Ⅲ. 研究開発の成果 1. 微結晶シリコン / ゲルマニウム超格子の開発 ( 産総研 ) 1 5 図 1はμc-Si:H(2 nm)/μc-ge:h(3 nm) を 18 周期繰り返し積層した x.33 試料の光吸収スペクトルであり 比較のためプラズマCVDで作成した μc-si 1-x Ge x :Hおよび単結晶 Si 単結晶 Geの光吸収スペクトルを示し Ge.7 ている μc-si:h/μc-ge:h 超格子の光吸収スペクトルはGe 組成 Si 5-7% のSiGe 混晶材料に相当する赤外吸収特性を示すことが分か. る 無歪みSi 1-x Ge x におけるバンドギャップと組成の関係を仮定すると 光吸収スペクトルから推定されるμc-Si:H(2 nm)/μc-ge:h(3 nm) 超 格子の光学的バンドギャップは ev 範囲に相当することが考 Si(2nm)/Ge(3nm) 18 periods えられる 一方 ESR 測定によるSi 層の欠陥密度は cm -3 である が Ge 層においてはESR 信号は観測されなかった これは Ge 層は Photon energy (ev) 強いp 型伝導を示すため フェルミレベルがバンド近傍に移動し 不図 1 μc-si:h(2 nm)/μc-ge:h(3 nm) 対スピンをもつ中性ダングリングボンドが減少したためと考えられる 18 周期積層膜の光吸収係数スペクト ル 2. ナノスケール電気特性測定法の開発 ( 阪大 ) 微結晶シリコン系薄膜太陽電池における開放電圧の向上のために必要な膜の成長方向および面内方向で のキャリア輸送特性の評価方法として 走査型プローブ顕微鏡 (SPM) を用いたナノスケール領域における局所 電流測定の測定方法確立を図った 得られたナノスケール領域における形状像に対し フラクタル構造解析手 法であるスケーリング則を用いた解析を行い 優先配向性の異なる膜について表面形状が異なることをスケーリ ング指数により定量的に評価した また これまで報告例の無かった製膜速度 2 nm/s の高速製膜微結晶シリコ ンならびに微結晶シリコンゲルマニウム (SiGe) 系のナノスケール領域における構造ならびに電気特性評価を行 った 結果の一例を図 2に示す 高速製膜微結晶シリコンならびに微結晶 SiGe においても ナノスケール領域に おける局所電流像ならびに形状像の測定に成功し 特に形状像では フラクタル構造解析手法による横方向粒 径が算出された これらの結果より 高速製膜微結晶シリコンならびに微結晶 SiGe においても本評価手法は 適 応可能であることを示した Absorption coefficient (cm -1 ) 図 2 高速 (2.3 nm/s) および低速 (.1 nm/s) 製膜した微結晶シリコンと微結晶 Si 1-x Ge x 合金 ( 組成比 x =.25 および.5) の表面形状像 ( 上 ) および局所電流像 ( 下 ) 154

28 3. 長尺マイクロ波プラズマ生成技術 ( 名古屋大 産総研 ) 図 3に示す長さ 2m 幅.5mのマイクロ波プラズマ源を建設した 放電周波数を 2.45 GHzから 915MHz 下げることにより 1 表面波励起のプラズマ密度領域が一桁低くなり 低密度から広範囲にプラズマを制御でき 2スロット間隔が広くなるため 少ないスロット数で大面積プラズマを生成できる 実験において 低パワーでも効率よく安定なプラズマが得られることを確認した アルゴン放電では 2 メートルの長さにわたって均一な高密度プラズマが容易に生成できた ガスの解離にエネルギーを要する水素放電では パワーが小さいと図 3 (b) の発光写真のようにプラズマの分布は不均一であるが 十分にパワーを供給すると均一な高密度プラズマが得られた 長尺 高密度プラズマ装置を用いて シリコン薄膜堆積の予備的実験を2 種類の条件で行った その第 1 は 25 のガラス基板 (1.8 m x.2 m x 4 mm) 上への製膜で ガス流量比 SiH 4 /H 2 =25 sccm/25 sccm 全圧 7 Paで入力パワーは 6 kwである 第 2 の実験条件は 18 のポリマーフィルム (1.8 m x.3 m) 上への製膜で ガス流量比 SiH 4 /H 2 =25 sccm/1 sccm 全圧 12 Paで入力パワーは 4 kwである 得られた膜のラマンスペクトルとXRD スペクトルから 第 1 条件で得られた膜は粒径 3 nm 程度 体積結晶化率 7% 程度の微結晶膜であった (a) 2 メートル長尺プラズマ CVD 装置 (b)h 2 プラズマの発光写真 915MHz マイクロ波 Optical Emission 図 3 メートル級シリコン薄膜 CVD 装置 4. ナノ結晶シリコントップセル化技術 ( 九大 産総研 ) ナノ結晶シリコン微粒子の大量合成に適したマルチホロー電極を開発し 大量合成に適した放電電力 圧力 シランと水素の混合比 ガス流速等の条件を明らかにした この装置では ナノ粒子のサイズをナノ粒子の放電領域滞在時間で 密度をガス圧力と放電電力で 結晶性をシランと水素の混合比で制御することが出来る 開発した電極を用いたVHF 連続放電で ナノ結晶シリコン微粒子を サイズ 2. ±.5 nm 結晶化率 1% 従来比で 2 桁以上高い数密度 1 12 cm -3 で合成することに成功した ナノ結晶を緻密に薄膜化するため 気相合成したナノ結晶微粒子同志の衝突を回避して基板に堆積させる技術を開発した ナノ粒子の基板への付着確率 輸送効率がそれぞれ 1% となる条件を見出した 結晶化率 -7% の範囲のナノ結晶シリコン薄膜を作製することに成功した このナノ結晶シリコン薄膜は a-si:hより光安定であり ( 図 4) a-si:hと同程度の光吸収特 defect density (cm -3 ) a-si:h V f =.5% V f =57% V f =67% light exposure time (hours) 2.4SUN, 5 o C 図 4 ナノ結晶 Si 薄膜の欠陥密度の光照射時間依存性 ナノ粒子の体積分率 V f がパラメータ 155

29 性を有することを示した 光導電率 暗導電率は 結晶化率 5% 以下では Scm Scm -1 程 度 結晶化率 6% で Scm Scm -1 程度 6% より大きな結晶化率では急激に暗導電率が高く なる傾向があった 5. 微結晶シリコンゲルマニウム高速製膜技術の開発 ( 三菱重工 ) 微結晶 Si 膜の高速高品質製膜技術開発で培った高圧 狭ギャップ条件を微結晶 SiGeに適用した結果 微結晶 SiGe 製膜においてもギャップ長を狭くすることで 欠陥密度を /cm 3 から /cm 3 に半減することが出来た ( 図 5) また 狭ギャップ化により微結晶 SiGeシングルセル効率の向上も確認できた 高圧力化の効果とパワーを調整して 製膜速度 1.4nm/s 欠陥密度 /cm 3 の微結晶 SiGeを得て目標を達成した 工業化に必要と考えている最終製膜速度 2nm/sを達成可能な目処が得られた 欠陥密度 ( 1 16 /cm 3 ) 12 total 1 Si 目標レベル Ge d-1 d+1 d+6 ギャップ長 (mm) 図 51 ギャップ長と欠陥密度との関係 6. 高密度リモートプラズマユニット開発 ( 三菱重工 産総研 ) 1プラズマ解析から高圧力化 高周波数化の指針を得 製膜試験を実施した パワー条件調整により 製膜速度 13.5nm/s( 静止製膜 ) 欠陥密度 /cm 3 を達成し 高速製膜条件にて作製した微結晶 Si 膜においてセル効率 5.3% が得られた 2 長尺 (1m 長 ) 均一放電及び製膜電圧分布解析を用いて長尺放電均一性を検討し 独立行政法人産業技術総合研究所 ( つくば市 ) 設置の大型 CVD 装置に 長尺電極を取り付けて製膜試験を実施した 電極構造 プロセス条件の調整等により 8mm 長の範囲において微結晶 Si 膜の製膜速度及び膜質 ( ラマン比 ) の均一性 ±1% を得た ( 図 6) : 製膜速度 : ラマン比 図 6 電極製膜結果 Ⅳ. 成果及び課題のまとめ 1. 微結晶シリコン / ゲルマニウム超格子の開発プラズマCVDを用いてガラス基板上にμc-Si:H/μc-Ge:Hを積層した試料を作製し その構造解析を行った結果 各層は界面でミキシングすることなく層状に形成されていることが明らかとなった μc-si:h(2 nm)/ μc-ge:h(3 nm) を周期的に積層した超格子薄膜の光学評価を行った結果 Ge 組成 5-7% のSiGe 混晶材 156

30 料に相当する赤外吸収特性が得られ その光学的バンドギャップは.95-1.eVの範囲にあることが推察された ESR 測定によるμc-Si:Hとμc-Ge:H 各層の欠陥密度は目標値を達成しているが μc-si:h/μc-ge:h 超格子材料の改良には Ge 層のp 型化抑制が重要であるとの指針を得た 2. ナノスケール電気特性測定法の開発表面形状測定より 自己相関性から統計的に意味を有する横方向粒径の算出方法を確立した これにより 微結晶層の局所的な膜質が数値化されることから 生産管理への応用も可能である 局所電流および粒径評価方法が製膜速度 2nm/s の高速製膜微結晶シリコンならびに SiGe 系へ適応可能であることを示した 今後は算出した横方向粒径と光キャリア面内輸送特性との相関に関する系統的な研究が必要である 3. 長尺マイクロ波プラズマ生成技術マルチスロット方式を採用し 大面積の誘電体板に沿って一様に表面波を励起することができた これらの技術開発により 2メートルを超える大面積 高密度プラズマ生成の技術を確立した 大面積化に有利な低周波数 (915MHz) のマイクロ波を用い 長さ2m 幅.5mの高密度 長尺プラズマCVD 装置を建設し 2.45GHz 放電よりも低パワーで低電子密度 (~1 1 cm -3 ) からプラズマを生成できた この装置にシラン / 水素混合ガスを導入して 長さ約 2メートルのガラス基板とフィルム基板にガス混合比や基板温度を変えて製膜した結果 アモルファスおよび微結晶のシリコン薄膜の形成の実験に成功した また 小型装置において1 nm/sを超える微結晶 Si 薄膜の高速堆積を実証した 誘電体窓を石英からアルミナに換え 薄膜の体積結晶化率の向上と欠陥密度 (ESRによるスピン密度測定で6 1^16 cm-3 程度 ) の抑制に成功したが 一層の膜質改善が必要である 4. ナノ結晶シリコントップセル化技術マルチホロー電極を用いたVHF 連続放電でナノ粒子のサイズ 2.±.5nm 結晶化率約 1% を達成した ナノ粒子の基板への付着確率 輸送効率が約 1% となる条件を見出した 薄膜中のナノ粒子体積分率 6% 以上を実現した ESR 測定による初期欠陥密度が cm -3 程度で しかもa-Si:Hより光安定であるナノ結晶シリコン薄膜を作製することに成功した セルの開放電圧が.8V 以上になることの実証 トップセルの高い効率と光安定を両立する最適なナノ結晶シリコンの膜中体積分率の探索 ナノ結晶シリコン薄膜の高速大面積均一製膜技術の開発が残された重要課題である 5. 微結晶シリコンゲルマニウム高速製膜技術の開発 1nm/s 以上の高速製膜において デバイスレベルの膜質の微結晶 SiGe 材料を得た しかし トリプル接合型太陽電池として高効率化を達成するには デバイス構造改良と膜質のさらなる高品質化が必要である 6. 高密度リモートプラズマユニット開発高品質 大面積製膜技術は (1) 高速 高品質製膜 可能なプラズマ源を並べて (2) 長尺の均一製膜 を実現し (3) 基板移動製膜 により高速 高品質 大面積製膜の実現を狙ったものである 本研究により (1) 及び (2) 項に関する要素技術が検証できたので 基板移動製膜に関する要素技術の検証が今後の課題である 157

31 29. CIS 系大粒径薄膜太陽電池の研究開発 東京工業大学 龍谷大学 Ⅰ. 目的変換効率 25% の超高効率 CIS 系太陽電池を実現するための技術課題抽出と それを踏まえた先導的な要素技術開発を行い 超高効率セル実現の可能性を見極めることを目的に CIS 膜の大粒径化技術の開発を行う Ⅱ. 研究開発目標 CIS 光吸収層の再結晶大粒径化技術の開発として A. ホットフィラメント溶融 (HFM) 法による CIS 光吸収層の大粒径化 ( 東工大 ) B. 溶媒移動結晶成長 (TSM) 法による CIS 光吸収層の大粒径化 ( 龍谷大学 ) C. 太陽電池の作製並びに評価 ( 東工大 ) を行い 平成 17 年度までに 結晶粒界による効率低下の少ない高品質カルコパイライト系薄膜の製造技術を確立し CIS 系薄膜太陽電池の変換効率と結晶粒界との関係を明らかにする Ⅲ. 研究開発の成果 CIS 光吸収層の再結晶大粒径化技術の開発 CIGS 薄膜は多結晶膜であるため多数の粒界を有している また ワイドバンドギャップ化を図り Ga 組成を増加させると Ga 量の増加に伴い CIGS 膜の粒径が小さくなる 現在 粒界と太陽電池との関係は現必ずしも明確ではないが 電気的特性を考えた場合 これが効率制限の一要因になっていると考えられる そこで本研究では CIGS 膜の大粒径化技術を開発し この点を明確にすることを目的に実験を遂行した HFM 法による大粒径化ホットフィラメント溶融 (HFM) 法は 基板直上に高温のフィラメントを配置し フィラメントからの輻射熱により CIGS 膜を局部加熱 大粒径化を図る手法である 本研究では ホットフィラメントとして直径.5mm 長さ 1cm の 3 本のタングステン フィラメントを用いた また フィラメントからの輻射とは別に基板加熱を行い 輻射熱を有効に CIGS 膜内に閉じ込めるようにした HFM 処理に用いた CIGS 膜は 龍谷大学にてメカノケミカル プロセスにより作製されたサンプルである 図 1 にフィラメント電流 16.5A( フィラメント温度約 19 ) 基板温度 5 で処理したときの表面の走査型顕微鏡 (SEM) 像を示す フィラメントの移動速度は.1mm/s である 熱処理を行わない場合には 粒界に隙間があることがわかる HFM 処理により粒同士が密着し 焼結が進むと共に 結晶化が促進している このとき 膜組成の若干のズレ (Se, In-Se 化合物の脱離 ) が見られたが (a) 無処理 (b) HFM 処理 (16.5A) HFM 処理時に Se を照射することで 図 1 HFM 処理による CIGS 表面の変化組成ズレを防げることが明らかとなった また フィラメント電流を一定に保ち基板温度を変化させ 膜表面の構造を SEM により観測した その結果 基板温度 5 および 6 において図 1 と同様な粒の焼結が進むことが確認された また 基板温度の上昇に従い焼結がより促進されることも確認された さらに 基板温度 7 においては 一部 表面の溶融が見られた これら実験結果を元に CIGS 膜の溶融を試みた 溶融条件は フィラメント電流 15A 基板温度 7 とした 図 2 にこのときの表面および断面 SEM 像を示す CIGS 表面が溶融し 粒界が無くなっていることが確認できる 158

32 これより この条件下では CIGS 表面が融点である 1 程度に達していると考えられる また 断面 SEM 像から 表面から約 1μm 程度が完全に溶融していることが確認できる 通常 CIGS 薄膜太陽電池の膜厚は 1.5~2μm 程度であるため この溶融深さは応用上十分であると判断できる これにより 当初の目標であった CIGS 膜の再結晶大粒径化が HFM 法により可能であることが示された 1.μm 1.5μm 1.5μm (a) 表面 SEM 像 (b) 断面 SEM 像図 2 基板温度 7 において HFM 処理した CIGS の SEM 像 TSM 法による大粒径化龍谷大学では 溶媒移動結晶成長 (TSM) 法による CIS 膜の大粒径化を行った TSM 法は CIS 膜を大気圧 窒素ガス雰囲気中で加熱処理を行い 基板上の CIGS 粉末を焼結 結晶粒成長させ 大粒径化を図る手法である 本研究で用いた TSM 炉は 4 つのヒーターをそれぞれ異なる温度に設定することにより管内部に複数の温度域を設け温度勾配を作り出すことができる CIGS 試料は この温度勾配中を移動し 試料中の溶融体が順次移動することで結晶の粒成長を行った TSM 処理用の試料は メカノケミカル プロセスとスクリーン印刷法により作製した 現在 多元蒸着法によるCIS 系光吸収層の形成には 膜の表面に形成されるCu-Se 系融液層を利用して膜厚方向に粒界の少ないカルコパイライト型 CuInSe 2 薄膜を作製している 本研究で実施したTSM 法では Cu-Se 系融液層を膜の水平方向に移動させ 再結晶化を行う この再結晶化に対して 溶融部の移動速度及び温度プロファイルを変化させ 膜の微構造の変化を詳細に調べた その結果 焼成温度が高すぎたり 焼成時間が長すぎると 融点以下での温度処理にもかかわらずCIS 膜からSeが最蒸発し CISが分解するとの新たな知見が得られた 以上の実験結果を踏まえ 最適化された焼成条件で TSM 処理を行った 処理後の CIS 膜の表面 SEM 像を図 3 に示す CIS の結晶粒が非常に大きく成長し 平均粒径 1μm となり全体が均一でボイドもほとんど見られなり これにより 当初の目標であった CIS 膜の大粒径化に成功した 2 µm 図 3 最適焼成条件で TSM 処理した CIS 膜の微構造 Ⅳ. 成果及び課題のまとめ本研究では CIS 膜の大粒径化手法の開発を行った その結果 1. ホットフィラメント溶融 (HFM) 法を用いることで CIS 表面から 1μm 程度の CIGS 層が溶融可能であり 膜の大粒径化が図られることが明らかとなった ( 東工大 ) 2. 溶媒移動結晶成長 (TSM) 法において CuSe フラックスを用いることで 粒径 1μm 程度の大粒径 CIS 薄膜の作製に成功した ( 龍谷大学 ) これにより CIGS 薄膜の溶融 大粒径化という当初の目標は達成され HFM 法及び TSM 法ともに CIGS 薄膜の溶融 大粒径化手法として有望であることが示された 今後は CIGS 薄膜太陽電池を作製し 両手法の有効性を実証していく必要がある 本研究で取り上げた HFM 法及び TSM 法はともに CIGS 薄膜太陽電池製造プロセスにおいて 安価な後処理として適用可能である 従って 低コストプロセスにより CIGS 薄膜太陽電池の高効率化が図れる技術へと発展する可能性がある 159

33 3. CIS 系多接合薄膜太陽電池の研究開発 青山学院大学 東京工業大学 Ⅰ. 目的太陽光発電ロードマップ (PV23) におけるCIS 系太陽電池の目標変換効率 25% を達成するためには 多接合 ( タンデム ) 型太陽電池が1つの候補と考えられる 本研究開発では 変換効率 25% の CIS 系多接合セルを実現するための技術課題抽出と それを踏まえた先導的な要素技術開発を行い 超効率セル実現の可能性を見極めることを目的とした - Ⅱ. 研究開発目標 1. 高品質 CIGS 系製膜技術開発 1 レーザー アシスト製膜 (LAD) 法の開発 ( 青学大 ) 2 イオン化 Ga 蒸着法の開発 ( 東工大 ) 2. ワイドギャップ バッファ層の開発 1 CBD-Zn(S,O,OH) 系 ( 青学大 ) 2 ZnMgO 系 ( 東工大 ) 3. 耐熱性 CIGS ボトムセルの試作 ( 青学大 ) 4. 多接合セルの試作 ( 青学大 ) 上記の取り組みにより CIS 系多接合太電池を作製するための要素技術を開発し 平成 17 年度までにメカニカルスタック構造において変換効率 1% の実現を目指し 超効率セル実現の可能性を見極める トップセル ボトムセル Al MgF 2 ZnO:Al ZnO CdS AIGS ITO or IMO Soda Lime Glass Al MgF 2 ZnO:Al ZnO CdS CIGS or CIS Mo Soda Lime Glass 図 1.2 端子構成メカニカルスタック型 CIGS 系多接合セル + Ⅲ. 研究開発の成果 CIGS 系多接合太陽電池において重要な CIGS 薄膜の高品質化と新規バッファ層の開発を青学大と東工大で共同実施した さらに メカニカル スタック型セルを試作し CIGS 系多接合セル実現のための課題抽出を行い その可能性を検討した 以下は本研究で得られた主な成果である 1. 高品質 CIGS 系製膜技術開発新たに開発した LAD 法で製膜した CIGS 薄膜は 従来の 3 段階法に比べ 粒径の増大 粒界低減 膜の緻密化が促進された LAD-CIGS 薄膜太陽電池のセル特性は Ga 濃度に依らず 開放電圧 V oc と曲線因子 FF が改善され 変換効率が向上した また 時間分解 PL 法で測定した TRPL ライフタイムは 3 段階法に比べ長く LAD 法による CIGS 太陽電池の変換効率の改善を裏付ける結果となった LED 3-stage process LAD 3-stage V oc (V) J sc (ma/cm 2 ) FF Eff. (%) μm 1μm Life time (ns) 図 1. LAD 法 ( 左 ) および3 段階法 ( 右 ) により作製した CuInSe 2 薄膜のSEM 写真 表 1 LAD 法と3 段階法により作製した CIGS 薄膜太陽電池の特性比較 他方 イオン化 Ga 蒸着法を試みた結果 CGS 薄膜の粒径増大を確認できた 現状の CGS 膜中には Cu-Se 相を含んでいるが 今後 これを除去することで高効率太陽電池の実現が期待できる 2. ワイドギャップ バッファ層の開発 Zn(S,O,OH) バッファ層に亜硫酸アンモニウムを添加することで 膜中の O/S 比が増大し 禁制帯幅が 3.6 から 3.3 ev まで変化することを見出した 一方 有機金属気相成長 (MOCVD) 法により Zn 1-X Mg X O 薄膜の作製が可 16

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