スライド 1

Size: px

Start display at page:

Download "スライド 1"

ゆずさあさま
5 years ago
Views:

1 骨粗鬆症の診断と治療ツカザキ病院整形外科堀芳郎

3 背骨の圧迫骨折 (83 歳 )

4 大腿骨骨折 (76 歳 ) 転倒して受傷手術後

5 百寿者数の推移 8 割介護必要

6 日本人口の推移 ( 年齢 3 区分 )

7 2 : 1 20 年後

8 骨粗鬆症の頻度と大腿骨頚部骨折の発生頻度

9 わが国における大腿骨頸部骨折の発生頻度 ( 人 ) 100,000 大腿骨頸部骨折の患者数 (2007 年 ) 女性 116,800 人 / 年男性 31,300 人 / 年男性 92,600 80,000 女性 71,600 60,000 58,000 40,000 39,700 20,000 13,500 19,000 20,800 25, 年 1992 年 1997 年 2002 年

10 骨折したときの費用 ( モデルケース ) A 骨折したものの, 寝たきり状態にならなかった場合 70 歳骨粗鬆症発症腰痛 8 年 (96ヵ月) 外来治療万円歳大腿骨頸部骨折退院後通院 3ヵ月入院治療 140 万円 2 年間外来治療万円計万円 B 骨粗鬆症から骨折, さらに寝たきり状態になった場合 70 歳骨粗鬆症発症腰痛 8 年 (96 ヵ月 ) 外来治療万円歳大腿骨頸部骨折退院後寝たきり状態 3ヵ月入院治療万円年間特別養護老人ホーム入所万円計 740 1,270 万円万円 70 歳骨粗鬆症発症 A ( 骨折通院 ) B ( 骨折寝たきり ) 腰痛外来治療 480 万円 5 万円 96ヵ月外来治療 480 万円 78 歳骨折退院骨折入院 3ヵ月入院外来 140 万円 120 万円 3 ヵ月入院 140 万円万円 ( 平均 74 万円 / 年 ) 万円 24ヵ月特養入所寝たきり 78~80 歳 27.1 万円 24ヵ月 650 万円 1,270 万円 ( 平均 127 万円 / 年 ) [ 第 3 回大腿骨頸部骨折全国調査成績 ( 厚生省研究班 ) 日本醫事新報 3961 : 46, 1999][Clinical Calcium 9 : 1186, 1999] の図を元に改変

11 寝たきりの原因となる骨折転倒に注意不明 2% 寝たきりの主な原因かぜ肺炎 3% 心臓病 4% その他 15% リウマチ関節炎 5% 痴呆 9% 骨折転倒 12% 脳血管疾患 36% 高齢による衰弱 14% 骨折転倒は寝たきり原因の第 3 位です ( 平成 10 年国民生活基礎調査 )

12 骨粗鬆症の基礎知識骨粗鬆症は骨が弱くなり骨折しやすくなる病気です健康な人の骨骨粗鬆症の骨健康な人の背骨は中身がぎっしり詰まって丈夫そうですね骨粗鬆症の人の背骨は骨の量が減ってスカスカになり骨折しやすい状態になっています

13 骨粗鬆症の基礎知識骨形成と骨吸収のバランスの乱れが骨粗鬆症の原因になります骨芽細胞 ( 骨をつくる細胞 ) 破骨細胞 ( 骨を溶かす細胞 )

14 骨粗鬆症の基礎知識年齢による骨量の変化年齢と骨量の変化骨を守るはたらきをしている女性ホルモンが減ると骨量も減少しますなるほど閉経後は骨量が急激に減っていますね

15 骨粗鬆症の基礎知識骨粗鬆症は女性に多い病気です骨粗鬆症患者の比率の推計 ( 女性 ) 50% 48.5% 53.2% 56.3% 40% 41.0% 30% 26.3% 33.0% 20% 10% 60~64 歳 65~69 歳 70~74 歳 75~79 歳 80~84 歳国内の骨粗鬆症患者約 1,000 万人のうちわずか 10~20% しか治療を受けていないといわれています 85 歳 ~ (Osteoporosis Japan 10;4: )

16 骨粗鬆症の臨床像椎体骨折

17 骨粗鬆症の症状骨粗鬆症の主な症状背中や腰が曲がる身長が縮む骨折しやすくなる背中や腰が痛む

18 骨粗鬆症の症状圧迫骨折による症状骨粗鬆症でもろくなった骨に力が加わると骨が潰れたり変形することがあります背骨や腰の骨が潰れる ( 圧迫骨折 ) と急性や慢性の痛みの原因になります楔状椎扁平椎魚椎

19 脊柱変形による姿勢の変化代償 arc 正常円背凹円背円背の代償 arc ( 腰椎前彎 ) 全後彎 ( 骨盤後傾と膝屈曲 ) 代償破綻 ( 杖 ) 日本臨床 :62 増刊号 2,259(2004)

20 骨粗鬆症の症状骨粗鬆症で骨折しやすい部分腕のつけ根背骨手首足のつけ根足のつけ根の骨折は寝たきりの原因になることがあります

21 骨粗鬆症の症状骨粗鬆症で骨折しやすい部分 - 腕のつけ根 -

22 上腕骨近位部骨折

23 骨粗鬆症の症状骨粗鬆症で骨折しやすい部分 - 背骨 -

24 腰椎圧迫骨折

25 MRI (T1 強調画像 ) 所見の変化例典型的な新鮮椎体骨折の画像典型的な陳旧性椎体骨折の画像受傷時 5 週後 3 ヵ月後 6 ヵ月後経過良好例経過不良例 ( 中野哲雄. 関節外科 2004) ( 中野哲雄. 脊椎脊髄ジャーナル 2009)

26 骨粗鬆症の症状骨粗鬆症で骨折しやすい部分 - 手首 -

27 橈骨遠位端骨折

28 橈骨遠位端骨折術後

29 橈骨遠位端骨折術後

30 骨粗鬆症の症状骨粗鬆症で骨折しやすい部分 - 足のつけ根 -

31 大腿骨頚部骨折 84 歳女性大腿骨頚部骨折にて人工骨頭置換術後 1 年で反対側の骨折をきたす

32 大腿骨頚部骨折反対側にも人工骨頭置換術を行なうが車イス生活となる

33 医療面接医療面接での質問項目受診の目的症状および ADL 年齢および閉経時期既往歴および現在治療中の病気過去の骨粗鬆症検査の有無と結果服薬状況骨粗鬆症骨粗鬆症性骨折の家族歴骨折の既往食事内容嗜好品運動の頻度および程度子どもの有無 WHO の提唱した FRAX に用いられる危険因子年齢性体重, 身長両親の大腿骨近位部骨折歴現在の喫煙ステロイド薬の使用関節リウマチ続発性骨粗鬆症の有無アルコール摂取 (1 日 3 単位 (1 単位 : エタノール 8~10g) 以上 ) 大腿骨近位部骨密度 (Kanis JA, et al. Osteoporos Int 2007)

34 FRAX

35 骨折の危険因子低骨密度既存骨折喫煙危険因子 Marshall D, et al. BMJ 1996 Johnell O, et al. J Bone Miner Res 2005 Klotzbuecher CM, et al. J Bone Miner Res 2000 Kanis JA, et al. Bone 2004 Kanis JA, et al. Osteoporos Int 2005 Vestergaard P. J Intern Med 2003 骨密度と独立した危険因子飲酒 Kanis JA, et al. Osteoporos Int 2005 ステロイド薬使用 Kanis JA, et al. J Bone Miner Res 2004 van Staa TP, et al. Osteoporos Int 2002 骨折家族歴 Kanis JA. Bone 2004 運動不足 Gregg EW, et al. J Am Geriatr Soc 2000 Joakimsen RM, et al. Osteoporos Int 1997 骨密度を介した危険因子体重,BMI De Laet C, et al. Osteoporos Int 2005 カルシウム摂取不足 Wells G, et al. Endocr Rev 2002

原発性骨粗鬆症の診断基準 #1 脆弱性骨折あり骨粗鬆症骨密度 #2 が YAM の 70% 未満または骨粗鬆化 #3 あり #1 脆弱性骨折なし YAM: 若年成人平均値 (20~44 歳 ) 骨密度が YAM の 70% 以上 80% 未満または骨粗鬆化の疑いあり骨密度が YAM の 80% 以上かつ骨粗鬆化なし骨量減少正常 #1 : 脆弱性骨折 : 低骨量 ( 骨密度が YAM の

36 原発性骨粗鬆症の診断基準 #1 脆弱性骨折あり骨粗鬆症骨密度 #2 が YAM の 70% 未満または骨粗鬆化 #3 あり #1 脆弱性骨折なし YAM: 若年成人平均値 (20~44 歳 ) 骨密度が YAM の 70% 以上 80% 未満または骨粗鬆化の疑いあり骨密度が YAM の 80% 以上かつ骨粗鬆化なし骨量減少正常 #1 : 脆弱性骨折 : 低骨量 ( 骨密度が YAM の 80% 未満, あるいは脊椎エックス線像で骨粗鬆化がある場合 ) が原因で, 軽微な外力によって発生した非外傷性骨折, 骨折部位は脊椎, 大腿骨頸部, 橈骨遠位端, その他 #2 : 骨密度は原則として腰椎骨密度とするただし, 高齢者において, 椎体変形などのために腰椎骨密度の測定が適当でないと判断される場合には大腿骨頸部骨密度とするこれらの測定が困難な場合は, 橈骨, 第二中手骨, 踵骨の骨密度を用いる #3 : 脊椎エックス線像での骨粗鬆化の評価は, 従来の骨萎縮度判定基準を参考にして行う

37 骨粗鬆症の検査骨粗鬆症の検査方法骨密度測定レントゲン検査血液検査尿検査

38 原発性骨粗鬆症診療で健康保険が適用される骨代謝マーカーマーカー名略語測定法骨粗鬆症診療で算定される保険点数骨吸収マーカー血清血清血漿血清血漿尿尿尿 Ⅰ 型コラーゲン架橋 N テロペプチド Ⅰ 型コラーゲン架橋 C テロペプチド酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼデオキシピリジノリン Ⅰ 型コラーゲン架橋 N テロペプチド Ⅰ 型コラーゲン架橋 C テロペプチド NTX CTX TRACP 5b DPD NTX CTX EIA,CLEIA EIA,ECLIA EIA EIA,CLEIA,HPLC * EIA EIA 160 点 170 点 160 点 200 点 160 点 170 点骨形成マーカー血清血清血漿骨型アルカリホスファターゼ Ⅰ 型プロコラーゲン N プロペプチド BAP P1NP CLEIA,EIA RIA,ECLIA * 170 点 170 点骨マトリックス関連マーカー血清低カルボキシル化オステオカルシン ucoc ECLIA 170 点 * : 健康保険適用外

39 検査の種類検査結果原疾患 I. 血液検査 II. 尿検査続発性骨粗鬆症の鑑別に必要な血液尿検査とその結果に対応する原因 1) 血算正球性貧血多発性骨髄腫小球性低色素性貧血白血球増加吸収不良症候群, 摂食障害などクッシング症候群, ステロイド薬内服 ( 顆粒球増加好酸球とリンパ球減少 ) 2) 生化学高 Ca 血症原発性副甲状腺機能亢進症低 Ca 血症低リン血症高 ALP 血症肝機能異常低コレステロール血症高血糖ビタミン D 欠乏症骨軟化症, ビタミン D 欠乏症原発性副甲状腺機能亢進症, 甲状腺機能亢進症, 骨軟化症, 骨パジェット病肝硬変などの重症肝疾患甲状腺機能亢進症糖尿病, ステロイド薬内服 3) 血清 CRP 高値関節リウマチおよびその他の慢性炎症性疾患 1) 一般尿検査尿糖糖尿病尿蛋白多発性骨髄腫 ( 患者によっては陰性 ) 2) 生化学高 Ca 尿症原発性副甲状腺機能亢進症など

40 骨粗鬆症の検査さまざまな骨密度測定の方法超音波法かかとの骨に超音波を流して測定します MD 法手の骨を X 線で撮影します pqct 専用の小型 CT 装置で手首の骨を測定します DXA( デキサ ) 法全身の骨を X 線で測定しますほかにも SXA や QCT などさまざまな測定方法があります

41 骨粗鬆症の検査骨代謝の状態を調べる骨代謝マーカー破骨細胞に由来する骨吸収マーカー尿検査血液検査骨芽細胞に由来する骨形成マーカー治療に適した薬を選んだり治療効果をチェックするために骨代謝の状態を調べます

42 骨粗鬆症の検査骨吸収マーカー ( 尿血液検査 ) 尿検査破骨細胞に由来する骨吸収マーカー血液検査骨吸収の状態を調べます

43 骨粗鬆症の検査骨形成マーカー ( 血液検査 ) 血液検査骨芽細胞に由来する骨形成マーカー骨形成の状態を調べます

44 低骨量を呈する疾患

45 骨粗鬆症の予防骨粗鬆症骨折予防のためにプラス食生活運動ドクター環境指導検査くすりなど

46 骨粗鬆症の予防 1 食生活毎日 600mg 以上のカルシウムをとりましょう 1 日に最低限必要なカルシウムの量 ( 女性 ) 1,100mg 1,000mg 800mg 600mg 500~ 700mg 700mg 600mg 600mg 900mg 400mg 200mg 小児思春期成人期 51 歳以上妊娠期授乳期最低でも毎日 600mg のカルシウムが必要ですが骨粗鬆症予防のためにできるだけ多く (800mg 以上 ) 摂取してください ( 第六次改訂日本人の栄養所要量 )

47 骨粗鬆症の予防いろいろな食品からカルシウムをとりましょう 1 食生活牛乳 (1 本 /200g):220mg スキムミルク ( 大さじ 2.5 杯 /20g):220mg ヨーグルト (1 カップ /100g):120mg アイスクリーム (1 カップ /100g):140mg 豆腐 ( 半丁 /150g):180mg 納豆 (1 パック /40g):36mg マイワシ ( 丸干し /30g):132mg 桜エビ ( 素干し /10g):220mg しらす干し ( 大さじ 1 杯 /2.5g): 13mg 小松菜 (1 人分 /70g):119mg 干しワカメ (1 回分 /5g):39mg カルシウムの吸収をたすけるビタミン D 干しシイタケサケサンマなど ( 五訂食品成分表 )

49 ビタミン D

50 骨粗鬆症の予防ちりめん寿司手軽でカンタンカルシウムクッキング春菜の花とあさりの白あえ 1 食生活 1 人分のカルシウム量 172mg 1 人分のカロリー量 312kcal 1 人分のカルシウム量 238mg 1 人分のカロリー量 116kcal ( 手軽でカンタンカルシウムクッキング )

19kcal 1 人分のカルシウム量 1 人分のカロリー量 78mg ミルクゼリー梅酒かけ :

51 骨粗鬆症の予防手軽でカンタンカルシウムクッキング夏 1 食生活ひじきの梅肉あえミルクゼリー梅酒かけフルーツのヨーグルトあえ 1 人分のカルシウム量 100mg 1 人分のカロリー量 19kcal 1 人分のカルシウム量 1 人分のカロリー量 78mg ミルクゼリー梅酒かけ : フルーツのヨーグルトあえ : 114mg 85kcal ミルクゼリー梅酒かけ : フルーツのヨーグルトあえ : 132kcal ( 手軽でカンタンカルシウムクッキング )

52 骨粗鬆症の予防さんまと凍り豆腐の揚げ煮手軽でカンタンカルシウムクッキング秋 1 食生活切り干し大根のごま酢あえ 1 人分のカルシウム量 131mg 1 人分のカロリー量 346kcal 1 人分のカルシウム量 128mg 1 人分のカロリー量 77kcal ( 手軽でカンタンカルシウムクッキング )

53 骨粗鬆症の予防手軽でカンタンカルシウムクッキング冬 1 食生活野菜のグラタンチーズスープ 1 人分のカルシウム量 308mg 1 人分のカロリー量 227kcal 1 人分のカルシウム量 154mg 1 人分のカロリー量 171kcal ( 手軽でカンタンカルシウムクッキング )

54 骨粗鬆症の予防健康な中年期の女性エアロビクス運動で骨と筋肉を鍛えましょう膝や足首が弱い人水泳高齢者散歩 2 運動骨が弱くなる前に比較的激しい運動で骨に刺激を与えましょう水の中での運動は膝や足首にあまり負担をかけませんあまり運動ができなくても散歩を欠かさないようにすればだいぶ違います転倒予防が主眼です ( 運動不足の方へ )

55 骨粗鬆症の予防運動で骨と筋肉を鍛えましょう 2 運動

56 骨粗鬆症の予防部屋マットを固定転倒を防ぐ住まいづくり敷居 3 環境ゆるやかな斜面をつける階段手すりをつける足下灯を設置浴室手すりをつける滑り止めマットやすのこを敷く ( 転ばない読本より抜粋 )

57 転倒の危険因子内的要因不可変的因子年齢転倒の既往虚弱 ( 健康状態の悪化 ) 慢性疾患 ( 特に歩行障害をもたらす痴呆パーキンソン病片麻痺変形性関節症など ) 可変的因子視力障害 ( 白内障近視 ) 薬物服用 ( 長時間作用鎮静剤 ) 平衡機能失調 ( ふらつき ) 下肢筋力低下低身体活動性アルコール飲用 ( 酩酊 ) 外的要因 1~2cm 程の室内段差 ( 敷居 ) 滑りやすい床履物 ( スリッパ ) つまずきやすい敷物 ( カーペットの端ほころび ) 電気器具コード類照明不良戸口の踏み段鈴木隆雄 :Osteoporosis Japan 7(1):20-21, 1999

58 転倒を予防するための日常生活の室内では室内を生理整頓電気コードじゅうたんのへりなどに注意廊下床に滑らない工夫を階段に手すりやすべり止めをつける敷居などの段差を少なくする足下を明るくする外出時は安定性のよい靴をはく足さばきのよい服装をする雨の日は外出をひかえるステッキを使用するその他ポイント薬の種類によって眠気やめまいふらつきを起こすことがあるので注意をうながす ( 高血圧症の薬かぜ薬など )

59 原発性骨粗鬆症の薬物治療開始基準 #1 : 女性では閉経以降, 男性では50 歳以降に軽微な外力で生じた, 大腿骨近位部骨折または椎体骨折をさす #2 : 女性では閉経以降, 男性では50 歳以降に軽微な外力で生じた, 前腕骨遠位端骨折, 上腕骨近位部骨折, 骨盤骨折, 下腿骨折または肋骨骨折をさす #3 : 測定部位によってはT スコアの併記が検討されている #4 :75 歳未満で適用するまた,50 歳代を中心とする世代においては, より低いカットオフ値を用いた場合でも, 現行の診断基準に基づいて薬物治療が推奨される集団を部分的にしかカバーしないなどの限界も明らかになっている #5 : この薬物治療開始基準は原発性骨粗鬆症に関するものであるため,FRAX の項目のうち糖質コルチコイド, 関節リウマチ, 続発性骨粗鬆症にあてはまる者には適用されないすなわち, これらの項目がすべてなしである症例に限って適用される

60 骨粗鬆症の治療薬 a. カルシウム製剤 b. 女性ホルモン製剤 c. 活性型ビタミン D 3 製剤 d. ビタミン K 2 製剤 e. ビスホスホネート製剤 f. SERM( 選択的エストロゲン受容体モジュレーター ) g. カルシトニン製剤 h. 副甲状腺ホルモン薬根気よく骨粗鬆症の治療を続けましょう! i. その他 ( イプリフラボン蛋白同化ホルモン製剤 )

61 骨粗鬆症治療薬の推奨グレード一覧カルシウム薬分類薬物名骨密度 L- アスパラギン酸カルシウム椎体骨折非椎体骨折大腿骨近位部 C C C C リン酸水素カルシウム C C C C エストリオール C C C C 女性ホルモン薬結合型エストロゲン *1 A A A A エストラジオール A C C C アルファカルシドール B B B C 活性型ビタミン D 3 薬カルシトリオール B B B C エルデカルシトール A A B C ビタミン K 2 薬メナテトレノン B B B C * 1 : 骨粗鬆症は保険適用外

62 骨粗鬆症治療薬の推奨グレード一覧分類薬物名骨密度椎体骨折非椎体骨折大腿骨近位部エチドロン酸 A B C C ビスホスホネート薬アレンドロン酸 A A A A リセドロン酸 A A A A ミノドロン酸 A A C C SERM カルシトニン薬 *2 副甲状腺ホルモン薬その他ラロキシフェン A A B C バゼドキシフェン A A B C エルカトニン B B C C サケカルシトニン B B C C テリパラチド ( 遺伝子組換え ) A A A C イプリフラボン C C C C ナンドロロン C C C C *2 : 疼痛に関して鎮痛作用を有し疼痛を改善する ( グレード A)

63 服薬率の低下要因薬物理由中止例中の頻度すべての薬物に共通アレンドロネートリセドロネートラロキシフェン治療への無理解費用負担他の健康上の問題 ( 低 ADL, 喫煙など ) 薬物への不信服薬動機の不足他剤への変更胃腸障害骨格筋に対する作用服薬の不便さ胃腸障害その他の副作用血栓副作用への不安下肢の不快感下肢の痙攣浮腫 11% 5 ~12% 2 ~10% 3 ~5% 21% 19% 48 ~52% 5 ~10% 14% 15% 5% 30% 6 ~30% 5% 4% 3% (Papaioannou A, et al. Drugs Aging 2007)

64 骨粗鬆症治療薬のコンプライアンスに影響を与える要因コンプライアンス良好に関連する要因新規骨折の発生既存椎体骨折定期的な運動の習慣早発閉経骨粗鬆症の家族歴服薬を継続する意思骨密度や骨代謝マーカーの測定と結果の解説女性合併症が少ないこと施設入所鎮痛薬の使用ステロイド薬の使用コンプライアンス不良に関連する要因痛みの存在副作用骨密度を測定していないこと骨密度の結果を理解していないこと睡眠導入薬の使用胃腸障害に対する服薬ビスホスホネート薬では連日服用が週 1 回服用よりも劣る制酸薬の投与喫煙 (Berecki-Gisolf J, et al. Menopause 2008) (Papaioannou A, et al. Drugs Aging 2007)

65 骨粗鬆症における骨代謝マーカー測定骨代謝マーカー測定 #1 などによる治療薬の選定 SERM 病態改善効果を評価するためのマーカー #1 : ビスホスホネート服用者は少なくとも 6 ヵ月, その他の骨粗鬆症治療薬は 1 ヵ月間休薬してから測定するテリパラチドによる治療については未確立骨折発生時には 24 時間以内であれば, 骨折の影響は少ない #2 : 長期ビスホスホネート治療予定者は, 骨吸収マーカーと BAP あるいは P1NP を測定 #3 : 骨吸収マーカーと骨形成マーカーを各 1 種類測定する #4 : エルデカルシトールを除く

66 骨代謝マーカーを用いた骨粗鬆症治療薬の治療効果評価のフローチャート

67 ヒスホスホネート製剤における課題非定型大腿骨骨折顎骨壊死

68 非定型大腿骨骨折

69 非定型大腿骨骨折大腿骨骨幹部での皮質骨の肥厚軽度の衝撃で骨折 2~78 人 /10 万人服薬期間が長いと発症しやすい?

70 顎骨壊死

71 顎骨壊死 0.01~0.02% リスクファクター BP 製剤侵襲的歯科治療口腔衛生状態不良がん高齢者腎透析ステロイド喫煙飲酒投与期間 3 年未満でリスクファクターなし休薬の必要なしそれ以外は骨折のリスクとのかねあいで決める休薬期間 :3カ月? 服薬再開 : 歯科処置後 2~3 週後 ( 粘膜上皮 ) 2~3カ月後 ( 骨性治癒 )

72 骨粗鬆症は生活の質 (QOL) の低下を招きます背骨の骨折や変形痛み背中や腰が曲がる姿勢が悪くなり歩きづらくなるバランスが悪くなり転倒しやすくなる内臓が圧迫されて食欲不振や食道炎の原因に体形へのマイナスイメージ転倒への不安感引きこもりがちになる転倒による骨折 ( 足のつけ根の骨折 ) 痛み転倒への不安感外出や運動をためらうようになり活動範囲が狭くなる引きこもりがちになる寝たきりの原因に日常生活動作 (ADL=Ability of Daily Life) や生活の質 (QOL=Quality of Life) が低下

73 生活の質 (QOL) を改善して健康寿命をのばしましょう生活の質 (QOL) の改善ふらつきにくくなる背中腰が伸びる転びにくくなる ( 丈夫な骨でいきいきライフ ) 健康長寿

平成25年6月14日

平成25年6月14日平成 27 年 9 月 7 日受講者各位 MP ラーニング運営委員会骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015 年版発刊に伴う改訂のポイント掲載のお知らせ平素は MP ラーニングサービスをご利用いただき誠にありがとうございますこの度骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015 年版が発刊されましたガイドラインの主な改定ポイントを次のページよりご説明します骨粗鬆症コンテンツにつきましては