最近の石油市場の動きに関する一考察

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1 JOGMEC 石油天然ガス開発推進本部 野神隆之 最近の石油市場の動きに関する一考察 はじめに 前回 本誌に執筆した ( 最近の石油市場の動きに関する一考察 Vol.51 No.6) 時点から1 年が経過した 昨年の今頃までの約 1 年間は 原油価格の水準によって 世界の石油供給に大きな影響を与える米国のシェールオイルを中心とする原油生産の増加と減少に関する観測が市場で強弱を繰り返したことから 原油価格は WTI で 1 バレルあたり40ドル台前半 ~ 50ドル台前半の比較的限られた範囲内で推移していた しかし それ以降の1 年間原油価格は変動領域を切り上げてきている ( 図 1) 本稿では この1 年間 ( 概ね 年 9 月 ~ 年 9 月 ) 石油市場において どのような要因がどのように作用してきたか そして今後の見通しについて市場はどのように考えているか もしくは考えられるか を中心に述べることとしたい まず この1 年間の原油価格に影響を与えた主な要因として市場関係者から指摘される点に触れ 続いて 原油価格変動領域を切り上げた背景について説明する 加えて この間 OPEC 産油国等の原油生産方針についても動きがあったので これについても述べる さらに この1 年間の特に後半部分の石油市場に大きな影響を与えたイランをめぐる状況についても触れる そして2019 年 ( つまり来年 ) 中期 ( 年まで ) さらにはその先の長期的な石油市場等の展望につき考察を試みることとしたい 最後に石油市場の足元の状況について補足的に筆者の見解を述べる ドル / バレル 月 WTI ブレントドバイ出所 : 各種資料を基に推定 図 1 原油価格 (2016 ~ 2018 年 ) 1 石油 天然ガスレビュー

2 年 9 月 ~ 年 9 月の原油価格と そこに作用した主な要因 はじめに でも述べたように 原油価格は 2016 年 9 月から2017 年 9 月にかけてWTIの終値ベースで1バレおおむルあたり概ね45 ~ 5 5 ドル程度で推移していた その後 2017 年 11 月初頭には 55 ドルを 12 月末には 60 ドルを さらに 2018 年 5 月上旬には 70 ドルを突破 6 月 29 日に は ドルと 2014 年 11 月 24 日 ( この時点の価格は同 ドル ) 以来の高水準に到達するなど ( さらに 10 月に 入り価格はこの高水準を超過した これについては最後 に触れる ) 総じて上昇傾向となった 以下にこの 1 年 間の原油価格の動きとそこに作用した主な要因を概観す る 2017 年 8 月中旬から 9 月中旬にかけては 米国原油生 産およびその見通し ハリケーン ハービー (Harvey) の米国メキシコ湾岸地域来襲に伴う製油所の操業停止と 原油需給緩和懸念等が原油相場に下方圧力を加えた そ の半面 原油やガソリン 留出油在庫の減少を示す統計 類 米国石油坑井掘削装置 ( 以下 リグ (rig) ) 稼働数の 伸び悩み ハリケーン通過後の製油所の操業再開と原油 購入活発化観測 OPEC 事務局や国際エネルギー機関 (IEA) による世界石油需要の上方修正等が原油相場に上 方圧力を加え 原油価格は WTI でそれまでの 1 バレル あたり 40 ドル台後半から 9 月 20 日には同終値で 1 バレ ルあたり 50 ドルを突破 9 月 25 日には ドルと 4 月 18 日以来の高値に到達した ただ それ以降は 9 月の OPEC 産油国原油生産量増加 の報告等が相場に下方圧力を加えたことから 10 月上 旬には再び 40 ドル台後半に下落 それでも OPEC 産 油国等による減産の再延長 ( 後述 ) に対する市場の期待や イラク中央政府とクルド人自治区の対立激化の懸念 米じゅんしゅ国のトランプ大統領がイランが核合意を遵守していない と認定したこと等により 原油価格はその後反発 さら に米国原油在庫等の減少 リグ稼働数の伸び悩み ベネ ズエラによる債務再編の意向やナイジェリアでの武装勢 力の攻撃再開の示唆等の地政学的リスク要因 さらには 11 月 30 日に開催される予定であった OPEC 総会等で 2018 年末までの減産延長が決定されることに対する期 待が市場で膨らんだこと Keystone パイプラインや英 領北海の Forties パイプラインが原油流出により操業を 停止したこと等で 相場は押し上げられ 11 月 24 日に は 1 バレルあたり ドルに到達した さらに イエメンの武装勢力がサウジアラビアのリヤ ドに向け弾道ミサイルを発射した旨発表したこと リビ アでの原油パイプライン爆破と操業停止 イラン各地での反体制デモの発生といった地政学的リスク要因に伴う市場での石油供給途絶懸念の高まりや 米国原油在庫の減少 また 北東部への寒波来襲による暖房油需要増加観測に伴う暖房油価格の上昇 加うるに米国株式相場の上昇 米ドルの下落等から 原油価格の上昇基調は継続し 2018 年 1 月 26 日にはWTIで1バレルあたり66.14 ドルと 2014 年 12 月 4 日以来の高水準の終値に到達した しかし 米国リグ稼働数の増加 また 同国原油生産量見通しの上方修正 株式相場下落 米ドルの上昇等が相場に下方圧力を加えた結果 原油価格は下落傾向となり 2 月 10 日前後には終値で60ドルを割り込む場面も見られた その後市場では OPECと一部非 OPEC 産油国による減産協力関係継続の意向の顕在化と石油需給引き締まりに対する市場の期待の増大 リビアでの油田操業の停止等が相場に上方圧力を加えた その半面 米国シェールオイルの生産増加見通し等が原油相場に下方圧力を加えた そのようななかで 国務長官 ( ティラーソン氏 ) 解任に伴う同国の政治 経済 外交情勢をめぐる不透明感に加え 株式相場や米ドルの変動等の影響を受けつつ 原油相場は2 月中旬から3 月中旬にかけWTIで1バレルあたり60ドル台前半を中心とする比較的限られた範囲で推移した ただ 3 月下旬にはイランに対する米国の制裁再発動の可能性をめぐる市場の懸念が増大したこともあり 原油価格は上昇基調となり 3 月 26 日には1バレルあたり65.55ドルに到達した しかし その後は米国の原油在庫や生産量の増加に関する各種情報 米国の中国に対する関税賦課の方針の表明と中国による報復関税賦課の方針の発表による 両国間での 貿易戦争 勃発に伴う両国等の成長減速と石油需要の伸びの鈍化に対する市場の不安感の増大が相場に下方圧力を加え 4 月上旬から半ば頃にかけ原油価格は下落傾向となり 4 月 6 日には1バレルあたり62.06ドルとなった それでも 4 月中旬にかけては 中国が貿易政策に関し融和的な方針を表明したことで米中間の貿易戦争に対する市場の不安感が後退 これに加え 米国がシリアに対し軍事行動をとる旨示唆したことにより 中東情勢の不安定化と当該地域からの石油供給途絶に対する懸念が市場で増大した また 米国原油在庫減少 OPECと一部非 OPEC 産油国の減産延長に対する市場の期待の増大の他 ベネズエラの石油供給減少懸念 米国のイラン核 Vol.52 No.6 2

3 最近の石油市場の動きに関する一考察 合意離脱に対する悲観的な見方の広がりと 実際の核合意離脱および対イラン制裁再発動の発表に伴うイラン原油供給減少による石油需給引き締まり観測の増大と中東情勢が不安定化することによる石油供給途絶懸念の強まり 米国の駐イスラエル大使館移転に伴うパレスチナ人とイスラエル軍との衝突 ベネズエラ大統領選挙での現職再選に伴う米国の対ベネズエラ追加制裁の発動等により 原油価格は押し上げられ 5 月 21 日にはWTIの終値で1バレルあたり72ドルを超過した その後はOPEC 産油国等により実施されている減産措置の緩和に関する情報が伝えられたこと 米国の原油生産が増加を示したこと 米ドルが上昇したこと および主要 7 カ国 (G7) 財務相 中央銀行総裁会議で貿易政策に関し米国と他の諸国との対立が鮮明になったことで世界経済と石油需要に関する懸念が市場で広がったこと等により 原油価格は 6 月初頭には再び1バレルあたり65ドル近辺に下落した そして6 月下旬にかけては 米国の中国に対する追加関税賦課の方針表明が原油相場に下方圧力を加えた一方で リビアの石油ターミナルの操業停止や米国原油在庫の減少が逆に上方圧力を加えるなか OPEC 総会および OPECと一部非 OPEC 産油国による閣僚級会合を控え 増産が決定されるかどうか 決定すればどの程度の規模になるか などに関する観測で 相場は1バレルあたり 6 0 ドル台後半の比較的限られた範囲内で推移した こうしたなか 6 月 22 ~ 23 日に開催されたOPEC 総会等では具体的な増産 ( 減産緩和 ) の数値設定で合意できず 予想される増産規模が当初見込みよりも小さくなるとの観測が市場で発生したこと その後米国がイラン原油輸入国に対して輸入の完全停止を要求している旨明らかになったことに加え カナダのオイルサンド改質装置 の停止 リビア情勢の複雑化 米国原油在庫減少等により 原油価格は この総会以降上昇傾向となった 実際 6 月 29 日にはWTIの終値で1バレルあたり74.15ドルに到達する場面も見られた それでも その後 7 月 13 日にトランプ政権が500 万 ~ 3,000 万バレル程度 またはそれ以上の戦略石油備蓄 (SPR) 放出を検討している旨報じられたこと 中国国内総生産 (GDP) の鈍化 サウジアラビアによる原油供給拡大に関する情報等から 価格は7 月中旬には1バレルあたり70ドルを割り込んだ さらに 中国の経済成長減速 米国と中国やトルコとの関税賦課合戦 ロシア原油生産増加の情報 米国原油在庫の増加等が相場に下方圧力を加えたことから 8 月中旬にかけ価格は1バレルあたり65ドル台へと下落している それでも 9 月中旬にかけては 米国原油在庫とリグ稼働数の減少 熱帯性低気圧 ゴードン (Gordon) の米国メキシコ湾地域来襲の予報と石油産業への影響に対する市場の不安感の増大 イランからの原油輸出量減少の情報 米ドルの下落等が上方圧力を加えたため 価格は再び上昇傾向となり WTIは 8 月末には70ドルを突破した ただ ゴードン が米国メキシコ湾地域の石油産業の中心地域を直撃しなかったこと また 米国ガソリン ならびに留出油在庫が増加したこと等が原油相場に下方圧力を加えたことから WTIは 9 月中旬にかけ再び60ドル台後半に下落した とはいえ ハリケーン フローレンス (Florence) が米国南東部に向かったことで 避難住民によるガソリン需要増加観測や石油製品輸送インフラへの影響に対する市場の懸念の増大 それに米国原油生産見通しの下方修正等もあり 9 月中旬以降には再び概ね70ドルを超過する水準で推移している ( 後述 ) 年 9 月 ~ 年 9 月の原油価格変動の背景にある動き 原油価格に影響を与えた個々の主な要因は以上見たとおりであるが 原油価格が変動領域を切り上げた背景には何があるのか きっかけの一つは 2017 年 8 月に米国メキシコ湾岸地域に来襲したハリケーン ハービー である ハービー は米国メキシコ湾沖合の油田関連施設よりも湾岸地域の製油所により大きな被害をもたらした 一時は同国の原油精製処理能力日量約 1,860 万バレル中 300 万バレル超が操業を停止した この結果 米国では石油製品 生産に相当程度の影響が出た しばらくして被害を受けた製油所の操業は徐々に回復し始めたものの ほぼ同時期に欧米およびアジア諸国では秋場の製油所のメンテナンス作業時期に入った このため ハリケーン来襲時に続き 石油製品生産が低迷し 特に冬場の暖房用石油製品を十分に生産できず 当該製品在庫を積み上げることができないまま冬場の暖房シーズンに伴う暖房用石油製品需要期に突入した しかも 欧米やアジア諸国の一部では 2017 ~ 2018 年の冬季はしばしば気温が平年を 3 石油 天然ガスレビュー

4 割り込んだことから 暖房用石油製品需要が盛り上がることになった これにより 同製品価格が上昇するとともに 原油価格がそれに引きずられて上昇するという構図となった あおまた 石油需要増加に対する市場の期待感が煽られたことで 原油価格にそれが反映される といった側面もあった トランプ政権は2017 年 9 月 27 日に減税措置の実施方針を発表したが これが経済成長加速に対する期待感を生み同国の株式相場が上昇 それに伴い石油需要が増加するとの観測が市場で発生し 相場に上方圧力を加える場面も見られた さらに OPECと一部非 OPEC 産油国による原油生産削減措置も相場の押し上げに関わっている OPEC 一部非 OPEC 産油国は2016 年 11 月 30 日および12 月 10 日に通常総会 閣僚級会合をそれぞれ開催し 2017 年 1 月よりOPEC 産油国 1 1 カ国 ( 当時 ) で日量 万 4,000 バレルの減産 非 OPEC 産油国 1 2 カ国 ( 当時 ) で同 55 万 8,000バレルの減産を それぞれ決定した 当初 6カ月間の実施予定であった減産措置はしばしば延長され 本稿執筆時点でもなお実施中である ( なお 2016 年 12 月 10 日時点では非 OPECであった産油国の一部が その後 OPECに加盟していることから OPEC 産油国 非 OPEC 産油国それぞれの減産参加国数および合計減産目標数値は変動している ) かつてOPEC 産油国は 減産目標を設定しても概してその遵守率は高くなく また以前ロシアも OPEC 産油国の減産協力を表明したものの 後で見てみると 減産協力を行っているようには見受けられない場面も見られるなど 減産措置が全て成功裏に遂行されたとは言い難かった しかし 今般の OPEC および一部非 OPEC 産油国による減産では サウジアラビアが軒並み目標を超過するほどの減産を実施 ロシアもその目標近くまで減産を実行した 他方 ベネズエラは 年 3 月 5 日に病死したチャベス前大統領の後継者に指名されたマドゥロ副大統領 ( 当時 ) が2013 年 3 月 8 日に暫定大統領となり 同年 4 月 14 日に実施された大統領選挙を経て同年 4 月 19 日に大 統領に就任した マドゥロ大統領はチャベス前大統領の政策を引き継ぎ 石油収入の相当部分を社会対策に使用したことから 結果として石油産業への再投資が制限され 世界最大の原油埋蔵量を保有しているにもかかわらず 同国の原油生産は頭打ちとなった さらに2014 年後半には価格が下落 同国の石油収入が大幅に減少して同国経済が窮地に陥ったこともあり 2015 年 12 月 6 日に開催された国会議員選挙で反マドゥロ大統領派が圧勝 ひめん し 同大統領の罷免運動が盛り上がった このため 大 統領は反大統領派の弾圧に乗り出したほか 2017 年 8 月 4 日には自身を支持する勢力で固めた制憲議会を発足させ 同年 8 月 18 日には国会の機能を事実上の停止に追い込んだ これらを踏まえ 米国は同年 8 月 25 日にベネズエラが新規に発行する債券の購入を禁止する等の大統領令を発効させた このため 同国経済は資金調達面を中心にさらに困窮するとともに 原油生産量の減少ペースが加速 2018 年 9 月には減産量が目標の9 倍程度に達し OPECと一部非 OPEC 産油国の減産遵守率を押し上げる格好となった こうした事情もあり 米国での原油生産量は増加傾向となっていたにもかかわらず 消費国の石油在庫は減少傾向となった OECD 諸国の石油在庫は減産実施直前の 2016 年 12 月末時点では過去 5 年平均在庫水準 ( これがいわゆる 平年並み 在庫水準として市場では認識される ) である27 億バレルを3 億バレル程度上回っていたが 2018 年 7 月末時点では過去 5 年平均を5,000 万バレル程度下回るなど 市場関係者の認識する余剰在庫は一掃され 需給の引き締まり感が強まってきている さらに 2018 年 5 月 8 日に米国がイラン核合意から離脱するとともに対イラン制裁の再発動を発表したことから イランから世界石油市場への原油供給が低下することによる石油需給の引き締まり観測が市場で広がったことが 原油相場を下支えし 他の要因 ( カナダのオイルサンド改質装置の停止による原油供給停止 リビアでの油田操業停止等 ) も加わって 相場に上方圧力を加える場面も見られるようになったのである 3. OPEC 産油国等の動き 前述のとおり OPEC と一部非 OPEC 産油国は 2016 年 11 月 30 日および 12 月 10 日の会合で 2017 年 1 月 1 日から減産を実施することを決定した OPEC 産 油国による減産と言えば 従来から抜け駆けが多く遵守 Vol.52 No.6 4

5 最近の石油市場の動きに関する一考察 状況があまりよくないといった印象を市場に与えており 今回も市場から懐疑的な目で見られていた面もあった しかし 当初 とりあえず半年程度と言われていた減産措置は 開始から 1 年 9 カ月 ( 執筆時点 ) を経た現在においても依然継続中である ( 表 ) ただ その方針については変化も見られる ここでOPEC 等の減産措置実施方針につき簡単に振り返るとともにその背景等を概観しておく (1) 2017 年 11 月 30 日開催のOPEC 総会等で OPEC 一部非 OPEC 産油国が減産措置の 2018 年末までの延長で合意 1 協議内容等 OPEC 産油国は2017 年 11 月 30 日にオーストリアのウィーンで通常総会を開催し 2016 年 11 月 30 日の総会で2017 年 1 月 1 日から実施する旨決定し 2017 年 5 月 25 日の総会で当初の期限予定であった2017 年 6 月 30 日を2018 年 3 月末まで延長する旨決定した減産につき 2016 年 10 月原油生産量 1 基準原油生産量 ( 推定 ) 原油生産目標 2 減産目標 3 ( 注 ) 赤道ギニアは 2017 年 5 月 25 日までは非 OPEC 産油国として減産に参加 出所 :OPEC 月報等を基に推定 表 OPEC および一部非 OPEC 産油国原油減産状況 2018 年 9 月原油生産量 4 日量千バレル 減産量減産目標減産遵守率 (OPEC:4-2) 超過量 (5 3) ( 非 OPEC:4-1) (2018 年 9 月 ) (%) 5 (5-3) アルジェリア 1,091 1,089 1, , アンゴラ 1,498 1,751 1, , エクアドル 赤道ギニア ガボン イラン 3,709 3,707 3, , イラク 4,571 4,561 4, , クウェート 2,848 2,838 2, , カタール サウジアラビア 10,566 10,544 10, , UAE 3,068 3,013 2, , ベネズエラ 2,072 2,067 1, , OPEC 減産参加国合計 30,954 31,108 29,932 1,176 29,648 1, リビア , ,800 ナイジェリア 1, , OPEC 小計 33,097-32,732-32, コンゴ OPEC 合計 33, , ロシア 11, , メキシコ 2, , オマーン 1, アゼルバイジャン カザフスタン 1, , マレーシア バーレーン 南スーダン スーダン ブルネイ 非 OPEC 合計 18, , 減産措置に参加する OPECと非 OPEC 合計 49, ,722 47,569 1, 減産措置に参加する OPECと非 OPEC 合計 ( イラン除く ) 45, ,812 44,122 1, 石油 天然ガスレビュー

6 さらに2018 年末まで実施期限を再延長することで合意した ( 表 ) これまで政情不安等により減産目標設定から除外されていたリビア ナイジェリアについては 2018 年の原油生産量を 両国の2017 年推定生産量の合計である日量 万バレルを超過しない水準にするとの目標が設定されたと伝えられる ( ただし 本件は声明には盛り込まれていない ) さらに OPEC 総会に続き OPEC 産油国 一部非 OPEC 産油国との間で閣僚級会合も開催され 2016 年 12 月 10 日に決定した減産につき OPEC 産油国と同様に再延長する ( つまり 減産実施期限を2018 年末までとする ) ことでも合意した 他方 石油需給面での不透明性に鑑み 市場の状況によっては2018 年 6 月に減産方針の再調整を行う機会を設けることを検討する旨決定した また 共同閣僚監視委員会 (JMMC:OPEC-Non-OPEC Joint Ministerial Monitoring Committee 参加国はサウジアラビア 議長国 クウェート アルジェリア ベネズエラ ロシア 共同議長国 オマーン ) およびそれを補佐する役割の OPEC 事務局の共同技術委員会 (JTC:Joint Technical Committee) が引き続き減産状況等を監視するとともに 必要に応じて適切な進言をすることとなった なお 今次 OPEC 総会では アラブ首長国連邦 (UAE) のマズルーイエネルギー相が2018 年 1 月 1 日から1 年間 OPEC 議長を務めることも決定した また 次回 OPEC 総会 ( 通常総会 ) を2018 年 6 月 22 日にオーストリアのウィーンで開催する旨決定した 2 会合の背景等 2017 年 1 月 1 日より実施されていたOPEC 産油国 一部非 OPEC 産油国による減産は 実際の減産量が目標を超過するなど遵守状況は比較的良好であった これを反映して 例えばOECD 諸国の石油在庫余剰幅は減少しつつあり 10 月末時点でOECD 諸国の石油在庫余剰は 2017 年 5 月から1 億 4,000 万バレル近く減少 余剰分は 1 億 4,000 万バレルである旨 OPEC 事務局は今次総会時点で明らかにしている しかし 石油在庫余剰は 実際の石油在庫量と過去 5 年平均石油在庫量との差となっており 2016 年のOECD 諸国石油在庫が極めて高水準であった影響で 2017 年の過去 5 年平均石油在庫量は総じて上振れしていた 総会開催時点でのデータに基づけば ( 以下同様 ) OECD 諸国の石油在庫は2016 年 12 月末が29 億 9,000 万バレルであったのに対し 2017 年 10 月末は29 億 5,000 万バレルと4,000 万バレルの減少にとどまっている しかし一方で過去 5 年平均在庫量は2016 年末の27 億バレルが2017 年 10 月末には28 億 1,000 万バレルと1 億 1,000 万バレル増加しており この結果合わせて1 億 5,000 万バレル石油在庫余剰が縮小していると解釈される ( 図 2) このように 実際の石油在庫の減少速度は比較的緩やかであるが これは 米国の原油生産量が当初見込みよりも堅調に増加していることに加え 当初政情不安で原油生産量が低迷しているとされていたナイジェリアやリビアがその後増産していることなどが背景にあったと考 億バレル 月 過去 5 年幅過去 5 年平均 2016~2017 年 ( 注 )2017 年 11 月 30 日 OPEC 総会時点でのデータに基づく 出所 :IEA データ等を基に推定 図 2 OECD 諸国石油在庫 (2016 ~ 2017 年 ) Vol.52 No.6 6

7 最近の石油市場の動きに関する一考察 えられる そして このような状態のまま2018 年 3 月末で減産を終了した場合 2018 年は全ての四半期で供給が需要を上回る状態となると見込まれた その結果 OECD 諸国の石油在庫は第 2 四半期以降再び増加を始め 2018 年末時点では30 億バレル台後半に到達し2017 年 1 月並みの水準にまで戻ることになる それとともに 石油在庫余剰 ( つまり過去 5 年平均値との差 ) も再び拡大 2018 年末には2 億バレルを超過する可能性があると見られた ( 図 3) このため 減産を2018 年第 1 四半期で終了した場合には世界石油需給緩和感が市場で醸成されるので 価格下落のリスクを抱えることになる したがって そうした事態を回避するために OPEC 産油国等は 年末まで減産を延長する旨決定したと考えられる この減産延長により 2018 年は世界の石油需給がほぼ均衡することから 例えばOECD 諸国石油在庫自体は 2018 年第 2 四半期以降ほとんど減少しないものの 過去 5 年平均値が上昇するため 石油在庫余剰量は最大で 7,000 万バレル程度縮小すると予想される そうなれば 石油需給引き締まり感が市場で醸成され 原油価格を下支えしやすくなる ただ 他方で 価格が上昇してきたこともあって 米国のリグ稼働数が回復する兆候を見せつつあり シェールオイル増産が加速することにより OPEC 一部非 OPEC 産油国による減産効果が相殺される結果 原油価格が下落する可能性があるとのロシアの懸念も2017 年 11 月 29 日に伝えられた また ロシアは 原油価格上 昇に伴うルーブル上昇の自国経済 ( 特に輸出産業 ) への悪影響についても不安視していたと見る向きもある これらを踏まえ 原油価格の行き過ぎた上昇を抑制することを目的として 減産方針の再調整を行う機会を設けるべく検討することも決定したと推察される さらに リビアやナイジェリアなど減産目標設定外の OPEC 産油国が増産したことが 2017 年前半に世界的に需給緩和感を市場にもたらし価格下落を引き起こした一因となったと考えられた これによって 両国合わせせて日量 280 万バレルの生産量 (2017 年の両国推定生産量と報じられる ) を超過しないとの減産目標が設定されたと伝えられる ( ちなみに2017 年 10 月時点では ナイジェリアの生産量が日量 169 万バレル リビアが同 97 万バレル 合計同 266 万バレルとなっている ) 7 月 24 日に開催されたJMMCでは ナイジェリアの生産量が日量 180 万バレルで安定すれば生産を制限することで同国が合意した旨明らかになっていることから この水準で合意が得られれば 一方のリビアの生産目標は日量 100 万バレル程度になる ただ 同国には 同 160 万バレルの生産を認められる権利がある ( これは2011 年のカダフィ大佐追放のための住民蜂起以前の生産量にほぼ等しい ) 旨 12 月 4 日に同国 OPEC 理事が発言するなどしており 総会後においても日量 100 万バレルの事実上の減産目標に関して依然協議中である旨伝えられるなど 今後同国の生産が実際に制限されるかどうかは不透明な部分も残る格好となった 32 億バレル 月 過去 5 年幅過去 5 年平均第 1 四半期減産終了 2018 年末まで減産継続 ( 注 )2017 年 11 月 30 日 OPEC 総会時点でのデータに基づく 出所 :IEA データ等を基に推定 図 3 OECD 諸国石油在庫シナリオ (2017 ~ 2018 年 ) 7 石油 天然ガスレビュー

8 (2) 2018 年 6 月 22 日開催のOPEC 総会等で OPEC 産油国等が減産遵守率引き下げで合意 1 協議内容等 OPEC 産油国は2018 年 6 月 22 日にオーストリアのウィーンで通常総会を開催し 2018 年末を期限とする減産措置につき 同年 7 月 1 日から減産実施延長期限 ( 同年末 ) までの期間において 現状 152%(6 月 22 日 OPEC 事務局発表 なお 6 月 12 日に発表されたOPEC 月報のデータに従えば OPEC 産油国の減産遵守率は 162% となる ) とされるOPEC 産油国減産遵守率を 100% に引き下げるべく努力していくことで合意した また翌 6 月 23 日には OPEC 一部非 OPEC 産油国による閣僚級会合が開催され 前日の総会と同様 2018 年 7 月 1 日から現行の減産実施期限内に 現状 147% とされるOPEC 非 OPEC 産油国減産遵守率を100% とすべく自主的に努力していくことで合意した また 閣僚級会合では JMMCが引き続き全体の遵守状況を監視し OPECと一部 OPEC 産油国閣僚級会合に報告していくことでも合意した 次回の OPEC 総会 ( 通常総会 ) は2018 年 12 月 3 日に OPEC と一部非 OPEC 産油国による閣僚級会合は翌 12 月 4 日に それぞれオーストリアのウィーンで開催されることも併せて決定された ( ただし 10 月 1 日には OPEC 総会を12 月 6 日に OPECおよび一部非 OPEC 産油国閣僚級会合を12 月 7 日に それぞれ延期する旨明らかになっている ) なお 今次 OPEC 総会ではコンゴ民主共和国がOPECに加盟することも承認された ( 即日発効 ) が近接している欧州地域の代表的原油であるブレントの価格を想定しているものと思われる ) が 1バレルあたり 80ドルを希望する 100ドルでさえあってもいい といった政府関係筋の情報が伝えられるなど 原油価格上昇を容認する姿勢が示された また 4 月 17 日には さらに可能であれば2019 年においても減産を継続することを OPEC 産油国等は6 月 22 日の総会で検討するであろう旨 クウェートのラシディ石油相が明らかにしているが これはサウジアラビアの原油価格上昇容認姿勢と軌を一にするものであった 他方 トランプ大統領は 4 月 20 日 OPECがまたやっているようだ ( 中略 ) 原油価格は人為的に高い! これはよくないし容認できない! 旨表明 これに対し 同日 サウジアラビアのファリハエネルギー産業鉱物資源相は エネルギー利用効率改善もあり現状の原油価格水準 (4 月 2 0 日時点で ブレントで 1バレルあたり ドル WTIで同 68.38ドルの終値 ) では世界経済への影響はないと考えている旨明らかにしている また 同日 UAE のマズルーイエネルギー産業相 (2018 年 OPEC 議長 ) も原油価格は人為的に高いわけではない旨示唆した ただ 米国がイラン核合意離脱を発表した5 月 8 日の前日に米国政府関係者がサウジアラビアに対し供給途絶が発生した場合には価格を安定化させてほしい旨要請したとされた ( この内容は6 月 7 日に報じられた ) こうした米国側からの圧力もあり サウジアラビアは方針を転換して減産緩和 ( つまり事実上の増産 ) を検討し始めたと見られ 5 月 25 日には 関係筋から OPEC 産油国が日量最大 100 万バレル増産する可能性がある旨伝えられ始めた 同時 2 会合の背景等 OPEC 産油国による減産遵守率は 2018 年 2 ~ 4 月は160 ~ 170% 程度 5 月においても % となるなど 高水準で推移していた 他方 減産に合意した非 OPEC 産油国の遵守率は 上下に変動していたが とりわけロシアは2017 年 5 月以降 90% 前後かそれ以上の遵守率に到達していると推定される また OPEC 産油国と一部非 OPEC 産油国を合計した減産遵守状況も減産目標を超過するなど良好であった 事実 例えばOECD 諸国の石油在庫余剰幅 ( 実際の石油在庫が過去 5 年平均水準を上回る量 ) は 2016 年 12 月には3 億バレル程度あったが 2018 年 6 月にはマイナス5,000 万バレル程度と推定されるなど 余剰分はほぼ一掃されているので 石油需給均衡は達成されている形となった しかし サウジアラビアは 国営石油会社 Saudi Aramco の株式公開 (IPO) や経済構造改革 (Vision ) 実施のための資金需要もあり 4 月 18 日には 原油価格 ( 中東地域と相対的に市場 に 同日 OPEC のバルキンド事務局長が増産の検討は トランプ大統領の発言によるものであると明らかにした トランプ大統領がサウジアラビアをはじめとする OPEC 産油国に対し増産圧力を加えたのは 米国のイラ ン核合意離脱と対イラン制裁再発動に伴い イランから の原油供給減少による世界石油需給引き締まり懸念か ら 原油相場に上方圧力が加わったことにより 米国の ガソリン小売り価格が上昇してきたことが背景にあると 見られる 全米平均のガソリン小売り価格は 3 月後半以 降上昇傾向を示しており 5 月下旬には消費者心理に大 きく影響する水準とされる 1 ガロン ( 約 4l) あたり 3 ド ルを超過したことから 国民の不満の高まりと政権支持きぐへの悪影響をトランプ大統領が危惧したことによるもの と考えられる また ロシアは 国営石油会社のみならず民間石油会 社を抱えていることが 減産遵守過程を複雑にしていた ( つまり 減産しないで済むなら それに越したことは Vol.52 No.6 8

9 最近の石油市場の動きに関する一考察 ない ) ことに加え 価格上昇が過熱すれば 米国のシェールオイル開発 生産が加速し 原油価格が乱高下して制御が難しくなることを懸念したと見られる また 原油価格上昇に伴うルーブル上昇の自国経済への悪影響についても不安視していたと見る向きもあることは既述した このようなこともあり ロシアは サウジアラビア等による減産措置緩和の動きに同調したものと考えられる ただ 同国のノバクエネルギー相は OPEC 総会 およびOPEC 一部非 OPEC 産油国閣僚級会合において 2018 年第 3 四半期に日量 150 万バレルの増産を提案する予定である旨明らかにしたと6 月 19 日に伝えられるなど サウジアラビアとロシアの間では減産緩和規模に関する考え方に相違がある旨示唆されていた また サウジアラビアのファリハエネルギー産業鉱物資源相は 重要なのは石油需給を均衡させることであり 石油市場に対し調整し過ぎるつもりはない旨 5 月 24 日に明らかにするなど 相対的に慎重な姿勢も示していた ちなみに2018 年第 3 四半期はOPEC 産油国が5 月の生産水準を維持すれば 石油需給は概ね均衡すると見られていた イランやベネズエラ等が減産に向かうといっても 同年第 3 四半期に突然日量 150 万バレル減少するとは考えづらかったことから ノバク氏の発言で原油価格は急落する場面も見られた 他方 この減産緩和措置は 元はといえば 米国のイラン核合意離脱と対イラン制裁再発動に伴うイランからの原油の事実上の禁輸措置による価格上昇懸念が一因となっている 米国からの圧力で サウジアラビア ( 現在 イランと敵対関係にある ) をはじめとする他のOPEC 加盟国の増産によりイラン産原油の減少を相殺する結果 イランとしては 価格が上昇しないうえ 供給が削減されることにより原油収入の減少が予想される半面 サウジアラビア等は価格は上昇しないものの増産することを通じて原油収入の落ち込みをある程度相殺できることが予想された これは 特に生産余力のあるサウジアラビア ( および同国と同盟を組む中東湾岸産油国 ) を相対的に利する展開となる可能性があると見られた このような背景もあり イランは OPEC 産油国等による増産に反対する旨 同国のアルデビリOPEC 理事が6 月 19 日に明らかにしていた また マドゥロ大統領による反体制派弾圧に対し 2017 年 8 月 25 日に米国がベネズエラの新規発行債券の取引を禁止するとの制裁を発動したベネズエラに加え イラク アルジェリアが減産措置の緩和に反対していると6 月 19 日に伝えられた こうしたなか トランプ大統領は 6 月 1 3 日に再び 原油価格は高過ぎる OPECがまたやっている よくない! 旨表明したこともあり ファリハ氏はSaudi Aramcoの株式公開 ( 当初は2018 年に実施を予定 ) について 2019 年に実施できればいいが 実施時期は重要ではない 旨 6 月 21 日に明らかにした そしてそのようななか サウジアラビアは あくまで日量 100 万バレルといった具体的な増産幅を声明に盛り込むことにより 市場心理への影響を通じ原油価格の沈静化を図ろうとしていたように見受けられ 6 月 21 日に開催されたJMMC では 名目的に 日量 100 万バレル増産することをOPEC 総会に進言することで合意した この増産量は減産に参加する OPEC 一部非 OPEC 産油国間で比例配分方式により割り当てられると6 月 22 日伝えられたが 同日ファリハ氏は減産参加国のなかには増産が不可能な国もあることから 実際の増産量は名目的数値よりも小規模なものになる旨 6 月 22 日に明らかにしていた ( この場合 増産が可能な国はサウジアラビア UAE クウェート ロシア オマーン イラクも一部増産余力がある可能性もある で 日量 60 万バレル程度になる推定される ) それでも 今回のJMMCに特別に出席し協議していたイランのザンギャネ石油相は中途退席 その際周辺にいた記者に対し OPEC 総会では合意できないと思う 旨言い残していったとされる イランはあくまで日量 100 万バレル程度の具体的な ( それも相当規模の ) 増産数値を声明に盛り込むことに対しては たとえそれが名目的なものであっても 難色を示したものと察せられる このようなこともあり そもそも原油価格の沈静化を目指すサウジアラビアをはじめとするOPEC 一部非 OPEC 産油国と イランとの間で合意に至るかどうかは微妙なところであったが 果たして6 月 22 日に開催されたOPEC 総会では最終的には両者間での妥協として 声明には具体的な増産数値は盛り込まず 現在減産目標を超過している実際の減産量を7 月 1 日以降既存の減産期限である 12 月 31 日まで減産目標の水準に戻すべく努力していくことで合意したわけである イラン側としては 減産目標自体は従来の合意にのっとったものであることから これを完全に遵守することに関しては 異論はなかったものと思われる 他方 サウジアラビア等にとっては 現在減産目標を上回っている減産量を目標の水準にまで戻すことで 事実上増産を確保できる なお ファリハ氏はOPEC 総会終了後 記者団に対し 名目上日量 100 万バレルの増産で合意した 旨表明したが これは いわゆる報道による 見出し効果 により 市場心理への影響を通じ原油価格沈静化を狙ったものと考えられ 実際 総会後複数の報道機関から OPEC 総会で日量 100 万バレルの増産で合意 した旨報じられている 9 石油 天然ガスレビュー

10 4. OPEC 産油国等の減産と原油の流れ OPEC 一部非 OPEC 産油国は2017 年初から減産を実施した この結果 世界の原油輸入国における原油の流れにどのような変化が生じたか ここでは 各産油国で生産される原油の欧米諸国とアジア主要原油輸入国 ( 日本 韓国 中国 インド ) への流れを考察する なお その期間は OPEC 等の減産の影響を測定するという目的とデータの利用可能性に鑑み 原則 2017 年 1 月 ~ 2018 年 3 月 ( アジア主要原油輸入国 ) 2017 年 1 月 ~ 2018 年 6 月 ( 米国 ) 2017 年 1 月 ~ 2018 年 6 月 ( 欧州 ) とする 米国ではOPEC 一部非 OPEC 産油国による減産開始後暫くは原油輸入の影響が判然としなかった ( 図 4) 例えば2017 年 4 月のサウジアラビアからの原油輸入量は日量 115 万バレルと2016 年 12 月に比べ同 14 万バレルの増加となっている また 米国の OPEC 産油国全体からの原油輸入量も同様であった しかし その後は米国のサウジアラビアからの原油輸入量は減少傾向となり 7 月以降は それまでの日量 100 万バレル超の輸入量が同 60 万 ~ 90 万バレル程度へと大幅に減少した また サウジアラビアのみならず クウェートとベネズエラからの輸入量も減少傾向を示している 例えばベネズエラからは2016 年 12 月時点では日量 72 万バレルであったが 2018 年 2 月は同 41 万バレルへと減少した ( これにはベネズエラの国内事情もある ) それに伴いOPEC 産油国 全体からの輸入量も それまでの日量 300 万バレル超だった水準がしばしば同 200 万バレル台半ばから後半程度の水準へと低下する場面が見られた 他方 米国のカナダやメキシコ ( 同国はOPEC 産油国の減産に協力する産油国のうちの一つである ) 等非 OPEC 産油国については明確な減少傾向は認められない それでも結果としては サウジアラビアをはじめとするOPEC 産油国からの輸入量減少の影響を受け 米国の輸入量は減少に向かった 欧州 OECD 諸国のサウジアラビアからの輸入量も米国同様減少傾向となった ( 図 5) 例えば2017 年 12 月の輸入量は日量 54 万バレルと2016 年 12 月の同 93 万バレルから同 39 万バレル減少した また 欧州 OECD 諸国のアルジェリア アンゴラ 赤道ギニア クウェート ガボンおよびベネズエラからの輸入量も多少なりとも減少している ただ イラクからの輸入量には明確な減少傾向は認められない UAE やカタールからの輸入は全くないか あっても限定的である 他方 一部の OPEC 産油国は欧州 OECD 諸国への原油輸出を増加させている 例えば ナイジェリアやリビアがそれに当たる ナイジェリアの 年 4 月の輸出量は日量 91 万バレルと2016 年 12 月比で同 45 万バレルの リビアの2017 年 9 月の輸出量は同 82 万バレルと同 49 万バレルの それぞれ増加となっている 非 OPEC 産油国を見ると 2018 年 6 月の欧州 OECD 諸国のロシアからの輸 5,000 日量千バレル 4,500 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1, 月 サウジアラビア クウェート イラク ナイジェリア アンゴラ ベネズエラ エクアドル ブラジル コロンビア その他 出所 : 米国エネルギー省データを基に作成 図 4 米国原油輸入 ( カナダおよびメキシコを除く )(2016 ~ 2018 年 ) Vol.52 No.6 10

11 最近の石油市場の動きに関する一考察 入量は日量 301 万バレルと2016 年 12 月 ( 同 331 万バレル ) から減少している ただ アゼルバイジャンやカザフスタンからの輸入については明確な傾向は示されていない 全体として 2018 年 6 月の欧州 OECD 諸国の域外からの輸入量は日量 934 万バレルと2016 年 12 月比で同 4 万バレル減少しているが これはサウジアラビア等の減産をリビアやナイジェリアの増産で相殺しているためだと言えよう 主要アジア消費国 ( 中国 インド 日本 韓国 ) においては 原油輸入に関する傾向が曖昧である ( 図 6) まず これら諸国のサウジアラビア クウェート イラクなど主要 OPEC 産油国からの輸入量に関しては 明確な減少傾向は認められない またUAEに関しては 中国 インドと韓国では若干ながら減少傾向を示しているように見受けられるものの 日本ではその傾向ははっきりしない 他方 日本や韓国ではベネズエラからの輸入はほとんどない一方で 中国やインドはベネズエラから輸入しているが これは減少傾向を示していないか あっても限定的な規模である ( 中国は融資の返済を原油で行う契約を有するほか インドではRelianceがベネズエラ国営石油会社 PDVSAから日量 30 万 ~ 40 万バレルの重質原油を15 年間にわたり供給を受ける契約を 年 9 月 25 日に締結しているなど 両国はベネズエラから事実上長期にわたる原油調達体制を構築していることが背景にあると考えられる ) また ナイジェリアに関しては 中国 日本 韓国はほとんど輸入していないが インドは そ れなりの輸入があり その規模は概ね一定の範囲内に収まっている さらに 非 OPEC 産油国を見ると ロシアに関しては インド 日本 韓国ともに明確な減少傾向は見られない 一方 中国のロシアからの原油輸入は増加傾向にある 他方 インドでは オマーンからの輸入が また 韓国ではカザフスタンからの輸入量が増加している そして 中国 日本 韓国は最近では米国からの輸入を活発化させていたが 中国は米国との貿易戦争の影響で 米国からの輸入を絞り込む動きが出ていると伝えられる 以上 今回のOPEC 産油国の減産は 地域的に見れば 欧米諸国 特に米国に対し相対的に大規模に実施されているように見受けられる また ロシアの原油供給の削減は対アジア諸国というよりは欧州に向けて実施されているようである サウジアラビア等のペルシャ湾岸産油国にとっては 欧米諸国 特に米国では国内原油生産のみならず カナダ 中南米 アフリカ等の産油国からの輸入といった 原油調達面での競合が相対的に厳しいことから 原油販売価格に下方圧力が加わりやすく アジア向け原油販売価格に比べて割安になりやすい ( 図 7) 一方で 競争相手の少ないアジア諸国にはそのような下方圧力が加わりにくいことから 相対的に収入獲得が難しい欧米 ( 特に米国 ) 市場向けの原油販売を絞り込む一方で 収入が得られやすいアジア市場での原油販売を維持したものと考えられる 12,000 日量千バレル 10,000 8,000 6,000 4,000 2, 月 ロシア サウジアラビア イラン リビア ナイジェリア イラク メキシコ アルジェリア アンゴラ クウェート ベネズエラ ブラジル アゼルバイジャン カザフスタン エジプト 米国 その他域外 出所 : 各種資料を基に推定 図 5 欧州の域外からの原油輸入 (2016 ~ 2018 年 ) 11 石油 天然ガスレビュー

12 25,000 日量千バレル 20,000 15,000 10,000 5, 月 サウジアラビア クウェート UAE イラク イラン カタール ベネズエラ ナイジェリア アンゴラ ロシア オマーン 米国 メキシコ ブラジル その他 中国 インド 日本 韓国出所 : 各種資料を基に推定 図 6 主要アジア消費国 の原油輸入 (2016 ~ 2018 年 ) ドル / バレル 月欧州 -アジア米国 -アジア出所 : 各種資料を基に推定 図 7 アラビアン ライト販売価格の地域差 (2016 ~ 2018 年 ) 5. イランをめぐる情勢 現在世界石油市場において 市場から最も注目される要素の一つとして挙げられるのが米国のイラン核合意離脱をめぐる情勢である ここでは それが石油市場にもたらす影響につき 核合意の歴史的背景とともに考察する 第二次大戦後の世界列強間での核軍備に対する脅威が 増大するなか 1953 年 12 月 8 日 米国のアイゼンハワー大統領が 平和のための原子力 に関する演説を通じ 事実上の国際原子力機関 (IAEA) の設立を提案したことで IAEAが1957 年 7 月 29 日に設立された 続いて 1968 年 7 月 1 日には核兵器不拡散条約 (NPT:Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons) に62カ国 Vol.52 No.6 12

13 最近の石油市場の動きに関する一考察 が調印 1970 年 3 月 5 日に発効した これにより1967 年 1 月 1 日以前に核兵器等の核爆発装置を製造しかつ爆発させた 米国 ロシア 英国 フランス 中国の5カ国の 核兵器国 以外の国においては 原子力の平和利用と軍事技術への転用を防止するために IAEAが査察等を実施することに加え 原子力が平和利用に限定されているという認定を獲得するためのIAEAによる手続きを受け入れる義務を負うこととなった イランは1958 年 5 月 16 日にIAEAに加盟 1968 年 7 月 1 日にNPTに署名 (1970 年 2 月 11 日批准 ) 1974 年 5 月 15 日にはIAEAと査察等受け入れのための包括的保障措置協定 (CSA : Comprehensive Safeguards Agreement) を締結した そして 同国は 年 5 月 1 日に同国南西部にあるブシェールで原子力発電所の建設を開始した しかし 1979 年 2 月にイスラム革命が発生 同年 4 月 1 日にイラン イスラム共和国が建国され 宗教指導者 ホメイニ師が最高指導者に就任した その際 原子力発電を反イスラム的なものであると判断したホメイニ師の指示によりブシェール原子力発電所建設と同国の核開発活動は中断された上 1984 年 3 月 24 日には当時のイラン イラク戦争 (1980 年 9 月 22 日 ~1988 年 8 月 20 日 ) の相手国であったイラクが同発電所を爆撃した なお ホメイニ師死去 (1989 年 6 月 3 日 ) 後の1995 年 1 月 8 日にイランはロシアとブシェール原子力発電所建設のための協定に調印 同発電所は2011 年 9 月 4 日に稼働を開始している 他方 1987 年 10 月 26 日には米国のレーガン大統領 ( 当時 ) が イランがペルシャ湾において米国や湾岸諸国の船舶に対し攻撃を加えていること等を受け イランからの原油の全面輸入禁止を含む制裁の実施を発表している 1990 年 8 月 2 日のイラクのクウェート侵攻とそれに伴う湾岸戦争 (1991 年 1 月 17 日 ~2 月 28 日 ) の際 ブッシュ ( 父 ) 政権 ( 当時 ) 下の米国は 年 7 ~ 1 1 月に限定量ながらイランから原油を輸入した ( 湾岸戦争拡大による石油供給不足の可能性に備えたものであったとされる ) ものの 基本的には今日までイランからの原油輸入はほとんどなされていない また 2002 年 8 月 14 日にはイランの反体制派である国民抵抗評議会 (NRC: National Resistance Council) が イラン政府は IAEAに申請することなく2カ所の核施設を建設している旨明らかにした 2003 年 2 月 21 日からはIAEAがイラン中部ナタンツにある原子力関連施設で査察を実施したが ウランを濃縮するための複数の遠心分離機が発見された旨明らかになったと2 月 22 日に報じられた他 同年 8 月 26 日にはIAEAが採取したサンプルから高濃度の濃縮 ウランが検出された旨判明した このため 同国が核兵器開発に必要なウラン濃縮活動を実施していたのではないかとの疑惑が広がったことを受け 11 月 10 日にはイランは国際的な信頼性を取り戻すために同日ウラン濃縮活動を停止する旨表明した しかし 2006 年 2 月 6 日には一転してアフマディネジャド政権 ( 当時 ) 下でイランはウラン濃縮活動を再開する旨表明 同年 2 月 13 日には同国中部にあるナタンツの核関連施設でウラン濃縮活動を開始した旨明らかになった さらに2009 年 9 月 25 日には イランがIAEAに対し未申告でウラン濃縮施設を新たに建設している旨明らかにした他 2010 年 2 月 7 日にはアフマディネジャド大統領が 20% の濃縮ウラン製造作業を開始するよう指示した このような一連のイランのウラン濃縮活動の動きに対し 国連安全保障理事会は 2006 年 12 月 23 日にイランのウラン濃縮活動停止を求め ウラン濃縮活動関連物資や技術の輸出禁止 活動に関与する個人や団体の金融資産凍結といった制裁決議を採択した 制裁は 2007 年 3 月 24 日には イランからの武器輸出の禁止および個人と団体の金融資産凍結拡大 2008 年 3 月 3 日には 核およびミサイル開発に関与するイラン政府機関幹部や技術者の渡航禁止 2010 年 6 月 9 日には イランによる核弾頭が搭載可能な弾道ミサイル発射等の禁止 イランへの戦車を含む大型兵器の売り渡し禁止 さらにイランの個人および団体の金融資産凍結範囲のさらなる拡大 へと強化された イランはこれらの制裁決議に反発しつつ 自国のウラン濃縮活動を進めていった そして 2011 年 11 月 8 日には IAEAが イランのウラン濃縮等の核開発活動に軍事的利用の意図が見られるとする報告書をまとめたことで ウラン濃縮問題に伴う西側諸国との対立が一層激化 2011 年 12 月 31 日には米国のオバマ大統領 ( 当時 ) がイランに対し新たな制裁 (2012 会計年度国防授権法 ) に署名 EUも2012 年 1 月 23 日に開催された外相理事会で対イラン制裁の実施を決定した これに対しイランの国会議員であるコーサリ氏が 原油輸出が不可能となるのであればホルムズ海峡を封鎖する旨表明したと2012 年 1 月 24 日に報じられる 米国の制裁は 180 日以内 (2012 年 6 月 28 日が期限 ) にイランから 相当程度 の原油引き取りの削減を実施しなければ イランと原油取引を行う諸国を本拠地とする金融機関に対し米国での新規口座開設を禁止したり 既存口座に制限を課したりする といった内容のものであった そしてこの 相当程度 については 具体的な数値は明示されておらず これは大統領の意向次第といったところであった そして イランからの原油輸入を20% 13 石油 天然ガスレビュー

14 削減したトルコや 原油輸入を20% 削減する方針を示したインドが 米国からの制裁を免除されたこともあり 後日 相当程度 の削減は少なくとも 2 0 % 程度 の削減と解釈されるようになった 他方 EUによる制裁はイランからの原油購入につき新規契約は即時禁止 既存契約も2012 年 7 月 1 日には禁止するといった内容であった これらを背景に まずEU 諸国によるイランからの原油輸入は2012 年中頃までには皆無となった ( 図 8) EU 諸国以外の国もどの程度イラン産原油輸入を削減すれば 米国からの制裁を免れるのかにつき 半ば手探 りの状態となったこともあり 2012 年中頃には20 ~ 100% の削減となった イラン産原油輸入国による当該輸入は月によって変動がある一方で 欧米諸国による制裁によりイランの原油輸出は2011 年の日量 254 万バレルが 2012 年には同 210 万バレル 2013 年には同 122 万バレルと大幅に減少した それに従って 同国の原油生産量は2011 年の日量 362 万バレルが2012 年後半には同 270 万 ~ 280 万バレル程度 2013 年前半には同 270 万バレル弱へと減少した ( 図 9) また この過程でイランの姿勢が硬化 対抗措置として原油を武器として使用 300 日量万バレル 月 インド 中国 日本 韓国 ドイツ フランス ギリシャ イタリア オランダ スペイン トルコ その他 OECD 出所 :IEA 他各種資料を基に推定 図 8 主要国のイランからの原油輸入量 (2011 ~ 2012 年 ) 400 日量万バレル 年 出所 :IEA データを基に作成 図 9 イラン原油生産量 (2011 ~ 2018 年 ) Vol.52 No.6 14

15 最近の石油市場の動きに関する一考察 することも否定しない旨イラン政府関係者が発言したこともあり イランが面するホルムズ海峡 ( 年で日量 1,700 万バレル 2016 年で同 1,850 万バレルと世界需要の約 2 割の石油が通行するとされる ) が封鎖され 中東湾岸諸国の石油輸出や余剰原油生産能力の利用可能性が大きな影響を受けるのではないか との懸念が市場で増大したことにより 年 3 月 1 日にはブレント原油で 1 バレルあたり ドルに到達する場面も見られた しかし 実際にはホルムズ海峡が封鎖されたことはなく また イランと西側諸国等とのウラン濃縮活動をめぐる交渉は一進一退の状況で 大きな進展が見られない代わりに西側諸国による軍事介入などの事態も差し迫らないなど 状況は大きく悪化するというわけでもなかった むしろ2013 年 8 月 3 日に保守穏健派であるロウハニ師が大統領に就任 強硬だったアフマディネジャド前大統領と異なり 西側諸国等に対し対話路線を推進した結果 2015 年 7 月 14 日にはイランと西側諸国等 6カ国 ( 米 英 仏 露 中 独 ) との間でイランの核開発制限とイランに対する制裁の解除について合意 そして実際イランが核開発制限を実施している旨確認した後 2016 年 1 月 16 日に欧米諸国等はイランに対する制裁を解除した 2017 年 1 月 20 日に就任した米国のトランプ大統領は イラン核合意に関し 1イランの核開発制限には期間が設けられている ( ウラン濃縮のために稼働する遠心分離機を10 年間にわたり5,060 基に制限 合意前は約 1 万 9,000 基 濃縮ウランは15 年間にわたり3.67% 以下の濃度のものを300kgの保有に制限等 ) 2 弾道ミサイル開発が制限されてない といった核合意上の欠陥を指摘した他 3イランが中東諸国への関与を強めつつあること 等を懸念 これらのいわゆる欠陥が修正されなければ核合意から離脱する意向である旨 2018 年 1 月 12 日に表明した その後も欠陥が修正されたとは判断されなかったと見られ 同年 5 月 8 日には核合意から離脱するとともに イランに対し制裁を再発動する旨表明した 今回は2012 年時のように欧州ではイランからの原油輸入制限に関する制裁は発動されていない しかし 米国で発動される制裁内容は2011 年末にオバマ前大統領によって発動されたものと同様である すなわち180 日以内 (2018 年 1 1 月 4 日が期限 ) に イランから 相当程度 の原油引き取りの削減を実施しなければ イランと原油取引を行う諸国を本拠地とする金融機関に対し米国での新規口座開設を禁止したり 既存口座に対する制限を課したりする といった内容で これは あらゆる国に適用され得るものである そして 今回も制裁免除を受けるには 相当程度 の原油取引の削減が必要とされる トランプ大統 領は 最大規模の経済制裁 を課する旨表明していることから 今回の 相当規模 は 2011 年末の制裁時に適用されたとされる 20% 以上になるのではないかと予想されたが 2018 年 6 月 26 日には米国はイランの原油輸入国に対し輸入を完全に停止させる方針である旨明らかにした 一方 米国によるイラン核合意離脱により 離脱決定日 (2018 年 5 月 8 日 ) 以前に締結した イランと西側諸国等の企業間の契約等において 2018 年 8 月 6 日あるいは 11 月 4 日の猶予期限 ( 対象となる物品もしくは役務等の内容による ) 以降に実施した 西側諸国等企業によるイランの相手側当事者に対する物品や役務の供与 または融資もしくは信用の供与については 米国財務省外国資産管理局 (OFAC:Office of Foreign Asset Control) による除外の承認がなされなければ 米国における金融取引や資産の凍結等の制裁の対象となる可能性があり 当該制裁を免除するかどうかについては 個々の事例 ( ケース バイ ケース ) によって判断する旨 米国財務省は明らかにしている また 財務省は 2018 年 5 月 8 日以降制裁猶予期限である2018 年 8 月 6 日 または2018 年 11 月 4 日までにイランで新規の事業等を開始することは可能であるが OFACは制裁を実施する際には 猶予期間中のイランに関する活動の終了への努力と イランとの間で新規事業等を実施したかどうかを 考慮することになる ( つまり イランに対し猶予期間中に新規に事業を開始した企業に対してはそれだけ制裁の程度が重くなる可能性があることを示唆する ) としている イランの最高指導者ハメネイ師は 5 月 23 日に イランで生産される原油の輸出とイランとの貿易にかかる代金の銀行での決済を確保すること イランの弾道ミサイル開発と中東地域への関与を認めること等を欧州側に求め これに欧州側が対処できない場合には ウラン濃縮活動を再開する旨明らかにしていた ただ これより前の5 月 21 日には 米国のポンペオ国務長官にイランに対する新戦略を発表 このなかでイランに対し米国の要求 ( 参照 ) を突き付けた これはトランプ大統領がイラン核合意の欠陥として主張した項目 ( 前述 ) をより具体化したものであり 従来の路線を強化こそすれ後退しているわけではなく イランがそのような戦略を受け入れなければ ( そして 前述のように5 月 23 日にハメネイ師が表明した核合意維持のための条件を考慮すると イランとしては ポンペオ長官の要求は受け入れられないことが示唆される ) 制裁が一層厳しくなる旨同長官は示唆したのである 15 石油 天然ガスレビュー

16 ポンペオ国務長官による対イラン新戦略におけるイランに 対する要求 ( 仮訳 ) 1 イランは IAEA に対し核プログラムにつきこれまでの軍事 的側面の全てを宣明し 永久に そして立証できる方法で そのような作業を廃止しなければならない 2 イランはウラン濃縮を停止しプルトニウムの再処理を決し て追求しない これには重水炉の閉鎖を含む 3 イランは IAEA に対しイラン全土と全ての場への無条件の アクセスを提供しなければならない 4 イランは弾道ミサイルの増設を終了し さらなる核搭載可 能なミサイル施設の稼働もしくは開発を停止しなければな らない 5 イランは 偽りの罪で拘留されている米国市民 もしくは その友好国または同盟国の市民を解放しなければならな い 6 イランは レバノンのヒズボラ ハマス そしてパレスチ ナのイスラム聖戦機構を含む中東のテロリスト集団への支 援を終了しなければならない 7 イランはイラク政府の主権を尊重し シーア派武装勢力の 非武装化 動員解除 再構築を実施できるようにしなけれ ばならない 8 イランはフーシ派武装勢力に対する軍事的支援を終了さ せ イエメンの平和裏による政治的解決に向け行動を取ら なければならない 9 イランはシリア全土からイラン指導下にある全ての部隊を 撤収させなければならない 10 イランはアフガニスタンおよびその周辺地域のタリバンと かくま他のテロリストへの支持をやめアルカイダの上級幹部を匿 うことを停止しなければならない 11 イランは同国革命防衛隊コッズ部隊の世界中のテロリスト や軍事的提携先への支援を終了させなければならない 12 イランは その多くが米国の同盟である近隣諸国に対する 脅迫行為を終了させなければならない これはイスラエル 破壊への脅威 サウジアラビアや UAE へのミサイル発射 を明らかに含む また 国際海上輸送への脅威と破壊的な サイバー攻撃を含む 欧州企業等のなかには米国から制裁対象となり米国での事業遂行上の制約を受ける可能性を排除すべく イランでの事業からの撤退を検討する動きも見られた これに対し イランは米国からの制裁を課されることにより同国経済が影響を受ける上に ウラン濃縮を制限される状況に価値を見出せない ということになれば イランも核合意から離脱するとともに 無制限のウラン濃縮活動を再開すると警告している ( また 従来どおり弾道ミサイル開発と中東諸国等への関与は継続すると見られる ) こうなった場合には米国も報復措置を示唆 もしくは実際に措置を講じ それに対してイランはホルムズ海峡封鎖等石油を武器として使用する可能性も排除しない旨表明している (10 月 1 日にはイラン外務省のアラグチ次官が ホルムズ海峡封鎖の警告は空手形ではない旨発言したと報じられる ) 他 イスラエル対イラン ( イスラエル領であるゴラン高原とシリアのイラン革命防衛隊の拠点に対しての両国軍のミサイル発射 ) サウジアラビア対イラン ( イエメンでのハディ暫定大統領を支援するサウジアラビアが主導する有志連合軍とハディ暫定大統領と対立するフーシ派武装勢力 イランが支援しているとされるが イランは公式には支援を否定している との間での有志連合軍によるフーシ派武装勢力への空爆およびフーシ派武装勢力によるサウジアラビアのリヤドや南西部のジーザーン等に向けたミサイル発射 もしくはフーシ派武装勢力による紅海等海上のサウジアラビア船籍タンカー等への攻撃 ) といった対立が激化することに伴い 中東地域の不安定化とともに当該地域からの石油供給途絶懸念が市場で高まる可能性が排除できない状態となっている それは例えば イエメンから発射したミサイルがサウジアラビアの油田地帯もしくは原油出荷関連施設に飛来する もしくはイランまたはイスラエルがさらにミサイルの標的範囲を拡大するとともに そのミサイルが両国の間に位置するトルコ イラク クウェート サウジアラビア等の油田 原油パイプライン 製油所や港湾等の石油関連施設に飛来する可能性に対する市場の不安感が増大することを含む このような石油供給途絶懸念が強まると原油を速やかに かつ潤沢に確保しておこうとする心理が市場で強まることから 原油相場に上方圧力が加わるといった展開も否定できない Vol.52 No.6 16

17 最近の石油市場の動きに関する一考察 年の世界石油市場に対する関係者の見方等 2019 年の世界石油需給は どのようになると市場では考えられているのか IEAは2018 年 6 月 13 日に OPECは7 月 11 日に それぞれ初めて2019 年の世界石油需給見通しの詳細を発表した ここでは 既に1 月 9 日に2019 年見通しの詳 ことによる インドでは金融財政政策の変更に伴う経済混乱 (2016 年 11 月 8 日に発表された紙幣交換を実施する際の新紙幣供給不足 ) もあり 2017 年は経済成長と石油需要の伸びが抑制されたが その影響がなくなる 2018と2019 年は経済が回復することもあり石油需要 細を発表しているEIAを含め2019 年の世界石油需要および供給見通し等の特徴などにつき述べる ( なお データは原則 IEA が 年 10 月 12 日 EIAが10 月 10 日 OPECが 10 月 11 日に それぞれ発表したものに基づくものとする ) まず 需要面について 2019 年の世界石油需要は 前年比で日量 136 万 ~ 149 万バ 日量万バレル レル程度の増加を見込む (IEA が同 万バ IEA EIA OPEC レル 前年比 1.4% EIAも同 149 万バレル 同 出所 : 各機関資料を基に作成 1.5% OPECが同 136 万バレル 同 1.4% ) の それぞれ増加 )( 図 10) 世界的に堅調な経 図 10 各機関の世界石油需要増加見通し ( 前年比 ) 済成長とともに 石油化学産業の発展等が石油需要の成長を下支えすると見られている また 世界石油需要の伸びの中心は非 OECD 諸国である ( 図 11 図 12) OECD 諸国での石油需要の伸びの中心は米国であり ガソリン ジェット燃料と NGL(Natural Gas Liquids: 天然ガス液 ) の需要が伸びるが 増加規模は限定されると認識されている NGL 需要の増加の大部分は石油化学部門でのエタ 日量万バレル IEA EIA OPEC ン利用の増加である 米国では新規のエチレ ン生産プラントを建設中で2018 年後半から 2019 年にかけ稼働を開始することから 出所 : 各機関資料を基に作成図 11 各機関の OECD 諸国石油需要増加見通し ( 前年比 ) 2019 年には当該需要が拡大すると考えられ ている また 個人可処分所得の増加と雇用 水準の上昇で 2019 年は自動車運転距離数 140 日量万バレル が適度に拡大する ( ガソリン需要増加と解釈 できる ) と予想されている さらに 可処分 120 所得の増加に伴う航空旅行の機会増大が ジェット燃料消費の拡大に貢献するとの見方 100 もある 中国の石油需要増加はガソリンとジェット 80 IEA EIA OPEC 燃料が主導すると見られている また中国の 石油化学部門での消費の増加も予想されているが これは稼働する石油化学プラント数が 出所 : 各機関資料を基に作成図 12 各機関の非 OECD 諸国石油需要増加見通し ( 前年比 ) 増加することによりプロパン需要が拡大する 17 石油 天然ガスレビュー

18 は堅調な伸びに戻る さらに中東もサウジアラビアが発電所で原油の直接燃焼を促進することが需要拡大に寄与すると予想される また 中東では経済成長が見込まれることもあり 特にサウジアラビアで 石油化学用原料と建機稼働のための燃料に加えガソリン 自動車用軽油を中心として石油需要が増加すると予想されている 他方 中南米ではブラジルでの石油需要増加が寄与すると考えられている ( 背景には経済成長 国営石油会社 Petrobrasの汚職問題の影響もあり同国の2017 年の経済成長率は1.0% にとどまったのに対し2018 ~ 2019 年は1.4 ~ 2.4% 程度の成長に回復する見込み があるものと見られる ) ただ IEAのように発展途上国における対米ドルでの自国通貨価値下落による石油輸入価格の上昇や 貿易戦争の激化に伴い 経済成長上のリスクが顕在化すれば 石油需要に影響する恐れがある旨示唆する機関もある 非 OPEC 産油国による石油供給について 2019 年は 前年比で日量 179 万 ~ 227 万バレル程度の増加になると見込まれている (IEAが同 179 万バレル 前年比 3.0% EIAが同 227 万バレル 同 3.7 % OPECが同 212 万バ と鈍化すると見られている その背景には当該地域での パイプラインの能力上の制約から 地域の原油生産者の 井戸元価格が 2019 年第 3 四半期にかけ抑制されること により 生産を鈍化させる方向で作用すると考えられて いることがある パーミアン盆地での輸送等インフラ能 力は 2019 年半ば前後頃までは大きく改善される可能性 は低いと見られる ( 後述 ) 加えて 労働力不足 道路渋 滞 水処理上の制約も生産拡大ペースを減速させるもの と考えられている それでも この地域での原油生産のけんいん増加が 2019 年の米国での原油生産増加を牽引すると 予想されている これは 生産者の多くが 50 ドル台半 ばの価格水準で採算を確保できる旨明らかにしているこ ともあり 生産された原油を より高コストの方法でも 米国メキシコ湾岸地域に輸送するといった方策を採用し 得ることが一因であるとされる 他方 一部の生産者は 石油資産に対する投資をパーミアン盆地からバッケン等 他の地域に移行させるかもしれないとしている 米国メキシコ湾沖合では 2018 年には 10 の新規プロジェ クトが生産を開始し 2019 年もさらに七つの新規プロジェ クトが生産を開始すると予想されており これらの油田 レル 同 3.5% の それぞれ増加 )( 図 13) これは増加量で見ても増加率で見ても IEA EIA OPECともに 2018 年よりも伸びが鈍化すると見ている ( 年は IEA が同 219 万バレル 前年比 3.8% EIAが同 240 万バレル 同 4.1 % OPECが同 221 万バレル 同 3.8% の それぞれ増加) そしてその伸びに影響を与えている主要因は米国である 2019 年の米国の石油生産量は前年比で日量 119 万 ~ 144 万バレルの増加と予想されているが IEA が同 万バレル ( 前年 日量万バレル IEA EIA OPEC 出所 : 各機関資料を基に作成 比 7.9%)( 図 14) EIA が同 万バレル ( 同 8.2 %) OPEC が同 138 万バレル ( 同 8.5 %) の伸びと見ており EIA と OPEC が IEA を 図 13 各機関の非 OPEC 諸国石油供給増加見通し ( 前年比 ) 上回る伸びの予測を行っている これが非 OPEC 産油国の石油供給の伸びの相違に反映されているものと考えられる 米国での主な増産地域はパーミアン盆地 ( テキサス州西部からニューメキシコ州にかけての地域に賦存 ) に加え バッケン ( ノース 日量万バレル ダコタ州 ) イーグル フォード( テキサス州 ) 米国メキシコ湾等である パーミアン盆地は良好な地質と技術面及び操業面での改善で最も経済的な原油生産地域になるとされる しかし 2019 年は2018 年の伸び率に比べる 0 IEA EIA OPEC 出所 : 各機関資料を基に作成図 14 各機関の米国石油供給増加見通し ( 前年比 ) Vol.52 No.6 18

19 最近の石油市場の動きに関する一考察 日量万バレル IEA EIA OPEC 出所 : 各機関資料を基に作成図 15 各機関のカナダ石油供給増加見通し ( 前年比 ) 日量万バレル IEA EIA OPEC 出所 : 各機関資料を基に作成図 16 各機関のブラジル石油供給増加見通し ( 前年比 ) での増産や新規生産開始が当該地域での原油生産増加に寄与するものと考えられている このなかには 既に 2018 年 2 月 5 日に生産開始を発表した Stampedeプロジェクト 同年 5 月 31 日に生産が開始されたKaikias 油田 ( 第 1 期 ) が含まれるが さらに Big Footプロジェクトや Appomattoxプロジェクトでも生産が開始されると見込まれる 実現すれば 年は米国メキシコ湾沖合の生産量は史上最高水準に到達すると見られている 他方 アラスカの生産は維持されると考えられている 年 11 月に 1H News プロジェクトが原油生産を開始し また 2018 年遅くには Greater Moose s Tooth 1プロジェクトが生産を開始する予定であることで 近年の当該地域の原油生産減少傾向を抑制すると見られている そして シェールオイル等の供給増加により 2018 年 6 月および8 月は米国の原油生産量がロシアのそれを上回っており ( 既に 年 2 月にサウジアラビアの原油生産量を上回っている ) 2018 年の残りの期間 また 2019 年に向け米国は世界最大の原油産出国の地位を継続するであろう旨 EIA は指摘している 天然ガス処理施設におけるNGLの生産量は 米国での天然ガス生産と処理施設能力の拡大に沿って増加すると見られる ただ 2017 年から2019 年にかけてのNGL 生産の増加の半分超はエタンの生産増加によるものである これは米国内外の石油化学工業の原料としてのエタン需要の拡大に伴う ( 天然ガスからの ) エタン回収率の上昇による カナダでは オイルサンドが供給増加に貢献する Fort Hillsプロジェクトが2018 年晩期に生産を開始 2019 年にはさらに生産が増加する予定である また 在来型油田ではHebron 油田の生産が2019 年に増産する見込みで これも同国での石油供給拡大に寄与しよう しかし カナダでは新規プロジェクトが減速することや 輸送能力上の問題が発生すると見られることもあり 生産増加ペースは鈍化するとIEAやEIAは見込んでいる ( 図 15) ブラジルでは 既に2018 年 5 月にAtlanta 重質油田と Buzios 油田の P-74FPSO 施設で生産を開始した他 Tartaruga Verdeと Tartaruga Mestica 油田が 6 月末に生産を開始した また2018 年には Berbigao(Lula) 油田のP-67( ただし2019 年 1 月に遅延する可能性がある ) とP-69 またBuzios 油田の P-75 P-76が生産を開始する予定である 2019 年には Berbigao(Lula) 油田の P-68 Buzios 油田の P-77 Atapu 油田のP-70で生産が開始される予定であり これら油田の生産増加がカンポス盆地での生産減退を相殺して余りある状態であるとされている ( 図 16) ロシアでは 西シベリアを中心とする地域の Tagulskoye(2018 年 11 月生産開始予定 ) やRusskoye(2018 年 12 月生産開始予定 ) Srednebotoubinskoye( 同 ) Messoyakhinskoye(2019 年生産開始予定 ) および Uvat 油田群 ( 同 ) などで 2019 年に生産が開始 もしくは増加すると見られる他 東シベリアのYurubcheno- Tokhomskoyeも早ければ2019 年に生産が開始される可能性がある これらにより 少なくとも同国の石油生産は増加すると予想されている ただしOPECはこれらの増産が既存の老朽化油田による減産により相殺されることから 2019 年の石油供給増加量を保守的に見込んでいるようである ( 図 17) このように 2019 年は米国 カナダ ブラジル等での増産が 他の一部非 OPEC 産油国 ( 新規プロジェクト 19 石油 天然ガスレビュー

20 日量万バレル IEA EIA OPEC 出所 : 各機関資料を基に作成図 17 各機関のロシア石油供給増加見通し ( 前年比 ) 3,400 3,300 3,200 3,100 3,000 日量万バレル IEA EIA OPEC 出所 : 各機関資料を基に作成図 18 各機関の対 OPEC 原油需要等見通し OPEC 原油需要等 ( Call on OPEC ただしこれには在庫変動も含まれる ) は 2019 年については IEAが日量 3,156 万バレル EIAが同 3,186 万バレル OPECが同 3,179 万バレルになると予想 これはいずれも 2018 年に比べると減少した数値だ (IEAが前年比で日量 49 万バレル EIAが同 80 万バレル OPECが同 87 万バレルの それぞれ減少 )( 図 18) 非 OPEC 産油国による石油供給等の伸びが世界石油需要のそれを超過していることが 対 OPEC 原油需要等を低下させる一因となっている これに対し2018 年 9 月現在のOPEC 産油国原油生産量はIEAで日量 3,278 万バレル EIAで同 3,185 万バレル OPECで同 3,276 万バレルであるから OPEC 産油国が現状の原油生産量を維持するなら 2019 年の世界石油需給は概ね均衡状態近辺もしくは 多少なりとも供給過剰の状態で推移すると考えられる しかし OPEC 産油国のうち イランやベネズエラの原油供給は今後減少することが予想される このため サウジアラビア等の中東湾岸産油国がイラン等の供給減少を代替しなければならず その分だけOPEC 産油国の余剰生産能力は減少すると考えられる (OPEC 産油国の原 が欠如していたり既存油田での生産量が減少したりして油生産能力は2019 年にはほとんど増強されないため ) いる エジプト インドネシア ノルウェー メキシコ また 世界にはイランやベネズエラ以外にも リビアおよび中国等を含む ) の減産を相殺すると予想されてい等他の産油国でも政情不安定が原油生産に影響を及ぼする リスクを抱えている さらに その他の産油国でも油田他方 OPEC 産油国の NGL 石油供給はイランとカター労働者のストライキや油田関連施設の故障等により 原ルが伸びを牽引すると見られている ただ OPEC 産油油生産上支障が発生することも否定できない 国では 今後 18カ月間原油生産能力に関する新規の増以上を総合すると 2019 年においては 米国のイラ加はほとんどないとIEAは見ており 日量 24 万バレルン産原油輸出の事実上の禁止が緩和されなければ 世界程度の生産能力増加は2015 年以来停止している中立地石油需給の引き締まり感が市場で増大するか もしくは帯の油田の操業が再開されることに伴うものである他 余剰生産能力の減少に伴う供給上の余裕のなさを市場がイラクとUAEで若干ながら能力が増強されることによ感じる度合いが強まるかすることにより 原油相場に上る また ベネズエラの原油生産量は減少が続くと予想方圧力を加える展開となることが排除できないと判断すされているが これはPDVSAとベネズエラ政府の財務る これに対し 米国のシェールオイルの増産がどこま状況がより危機に瀕することによると見られている で上振れするか 当面の市場での注目点となると考えらそして 世界石油需要から非 OPEC 産油国石油供給とれる OPEC 産油国のNGL 供給等を差し引いた いわゆる対 Vol.52 No.6 20

21 最近の石油市場の動きに関する一考察 7. 中期シナリオが示唆する世界石油需給の今後の方向性 前章で 2019 年はイランやベネズエラを含めOPEC 産油国が現状の原油生産量を維持するのであれば いわゆる対 OPEC 原油需要等は 2018 年に比べ減少する結果 年の世界石油需給は概ね均衡状態近辺 ( または多少の供給過剰 ) になるとIEA EIAおよびOPECによる 年見通しから示唆される旨述べた では 年以降の中期的 (2018 年から5 年後の2023 年までを想定する ) 時間軸では 世界石油需給の方向性はどのようなものになる可能性があり また 市場においてどのような要素に注目すべきであろうか ここでは 2018 年 3 月 5 日にIEA 事務局から発表された2018 年版中期オイル マーケット レポート (Market Report Series Oil ) 2018 年 11 月 23 日にOPEC 事務局が発表した世界石油展望 2018 年版 (World Oil Outlook 2018) さらには 増加になると考えられる ( 図 20 もっとも 後述の米国石油供給シナリオ策定の際に用いられている 極端に高水準や低水準の原油価格が発生した場合には 需要にも影響が及ぶ可能性があることに留意する必要があろう ) また 非 OPEC 産油国の石油供給は 米国以外の産油国については 主流は在来型石油資源の探鉱 開発 生産活動に基づくものであることから 概ね長期油田開発計画に沿った供給になると見られ その結果 原油価格や資源賦存量等の潜在性によってこの先大きく変動する可能性は低いと考えられる このため 米国を除く非 OPEC 産油国の石油供給シナリオはIEAのそれを適用することとする なお 米国以外では主にカナダやブラジルで石油供給が増加する見込みであるが 2014 年に原 EIAが2018 年 2 月 6 日に発表した 年次エネルギー見通し2018 年版 (Annual Energy Outlook 2018) 等を基に 中期石油需給シナリオを作成し 2023 年までの世界石油需給の方向性等につき考察する なお シナリオ策定に当たっては それぞれの見通しの発表時から現時点に至るまでの石油需要 供給状態の変化を考慮した まず 世界石油需要であるが 過去 % 年間 (1988 ~ 2017 年 ) の平均世界経済成長率は年率 3.6% 程度であった これに対し 2018 年 10 月 9 日にIMFが発表した 世界経済見通し (World Economic Outlook) による 2018 ~ 2023 年の世界経済成長 年 IMF 過去 30 年平均出所 : 各種資料を基に試算図 19 世界経済成長シナリオ 率も概ね 3.6% 近辺である ( 図 19) これ までしばしば IMF の世界経済見通しは 過去の平均世界経済成長率を上回っていたことから 筆者が過去に実施した中期世界石油市場分析では IMF 予測による世界経済成長率を適用するシナリオと 過去 30 年間の平均世界経済成長率を将来に延長するシナリオの二つを想定したが 今回は双方の成長率にほとんど相違が見られないため IMFの世界経済成長率見通しに基づき石油需要シナリオを構成することとする その結果 世界石油需要は2018 ~ 2023 年にかけ年率 1.3 ~ 1.4% 程度 量としては年間日量 136 万 ~ 141 万バレルの 日量百万バレル 年 IMF 過去 30 年平均出所 : 各種資料を基に試算図 20 世界石油需要シナリオ 21 石油 天然ガスレビュー

22 油価格が大幅に下落した結果 石油会社は石油探鉱 開発投資額を相当程度削減したことにより その影響が 2020 年以降に現れることもあり 非 OPEC 石油供給の伸びは2020 年以降鈍化する傾向が見られる 他方 米国の石油供給は その主力であるシェールオイル生産の大幅増加現象が現れてから10 年足らずということもあり 資源の潜在性等につき市場や産業関係者の知見が十分蓄積しているわけではないことから この 先の供給見通しに関し不透明感が強いた め EIAが採用している幾つかのシナリオ ドル / バレルを適用することとしたい すなわち シェー 160 ル資源上の制約が小さく かつ原油価格が 概ね中庸な場合 ( 米国高 1シナリオ ) もしくは資源上の制約が大きく かつ原油価格が概ね中庸な場合 ( 米国低 1シナリオ ) 原油価格が大幅に上昇した場合 ( 米国高 2シナリオ ) および原油価格が大幅に下落した 場合 ( 米国低 2シナリオ ) そして資源制約 年米国低 1 米国低 2 米国中米国高 1 米国高 2 が中庸であり かつ価格も中庸な場合 ( 米 出所 : 米国エネルギー省データを基に作成図 21 原油価格シナリオ 国中シナリオ ) の計 5シナリオとなる ( 各シナリオに適用される原油価格 WTI は図 21) 米国高 1と米国高 2シナリオでは 米国の石油供給が相当程度増加するのに対 し 米国中 米国低 1と米国低 2シナリオ 日量百万バレル では当該石油供給に伸び悩みが見られる ( 図 22) 20 また 米国を含めた非 OPEC 産油国の石 19 油供給量は米国の石油生産シナリオによっ 年 て大きく異なり 米国高 1と米国高 2の各シナリオは 米国中 米国低 1および米国低 2の各シナリオに比べ 非 OPEC 産油国石油供給の伸びが旺盛となるものの いず 米国低 1 米国低 2 米国中 米国高 1 米国高 2 れにしても 2023 年に向けその増加ペー 出所 : 各種資料を基に試算図 22 米国石油供給シナリオ スは鈍化する方向性となっている ( 図 23) 世界石油需要シナリオから 非 OPEC 産 油国とOPEC 産油国のNGL 等の供給を差 し引いたものが対 OPEC 産油国原油需要等 日量百万バレル ( これには在庫増減を含む ) となる ( 図 24) 米国高 1と米国高 2の各シナリオでは当該需要等は時間が経過しても それほど大きな増加は見られないが 米国中 米国低 1 と米国低 2シナリオでは 当該需要等は時間の経過とともに相当程度増加していくことになる 他方 OPEC 産油国の生産能力 59 については UAEは現行日量 320 万バレ 年米国低 1 米国低 2 米国中米国高 1 米国高 2 ルの原油生産能力を2018 年末までに同 出所 : 各種資料を基に試算図 23 非 OPEC 産油国石油供給シナリオ 350 万バレルに引き上げる予定である旨マズルーイエネルギー産業相が表明したと9 月 25 日に報じられた ただ 10 月 4 日に Vol.52 No.6 22

23 最近の石油市場の動きに関する一考察 37 日量百万バレル 年 米国低 1 米国低 2 米国中 米国高 1 米国高 2 出所 : 各種資料を基に試算 図 24 対 OPEC 産油国石油需要等シナリオ 万バレルとなるなど 当該能力の増加は比較的緩やかに進むと見ている そして OPEC 産油国原油生産能力から対 OPEC 産油国原油需要等を差し引けば OPEC 産油国余剰生産能力が算出される ( 図 25) それをシナリオごとに見ると 米国低 1 米国低 2 米国中の各シナリオでは 当該能力が低下することにより 2023 年の余剰生産能力は現在よりも低水準にとどまる 他方 米国高 1 米国高 2 の各シナリオでは 2023 年時点においても 日量 400 万バレル台強の余剰生産能力を確 保できることになる ただ その場合 例 えばイランに対する制裁で実際には原油生 日量百万バレル 年米国低 1 米国低 2 米国中米国高 1 米国高 2 出所 : 各種資料を基に試算図 25 OPEC 産油国余剰生産能力シナリオ 産能力を保有していても世界市場に供給ができない場合には その分だけ利用可能な余剰原油生産能力は実質的に減少することに注意する必要があろう このように見てくると 2023 年にかけ OPEC 産油国の余剰生産能力を日量 300 万バレルで維持するには 原油価格が上昇すること もしくは米国でのシェールオイル資源上の制約が少ない旨判明すること もしくはそのような想定なしでも技術革新等を通じ さらにはパイプライン等のインフラの整備も併せ 米国シェールオイル生産 増加が継続するか 世界の石油需要の伸び が減速することが必要になろう 仮に米国 はサウジアラビアのファリハエネルギー産業鉱物資源相が現行日量 1,200 万バレルの原油生産能力を同 1,300 万バレルに引き上げる決定はまだ行っておらず この生産能力の引き上げには 億ドルの費用と数年間の期間を要すると考えられる旨示唆している このようなこともあり OPEC 産油国の原油生産能力が2023 年にかけ大きく増加するとは考えにくいことから ここでは IEAによる2023 年に向けたOPEC 原油生産能力シナリオを採用することとする 当該シナリオでは OPEC 産油国の原油生産能力は2018 年の日量 3,546 中シナリオにおいて世界石油需要の伸びの減速のみで 2023 年時点でOPEC 産油国余剰原油生産能力を日量 300 万バレル確保しようとした場合 世界石油需要の伸びは年率 1.1% 程度 つまり世界経済成長率は年率 2.4% 程度とIMFの見通しから相当程度減速する必要がある したがって 今回の分析では 今後少なくとも中期的に世界石油市場が安定的に推移するためには 米国のシェールオイルの増産具合 ( そしてどのような条件下でその増産が実現するのか ) が極めて重要な要素になると言えよう 万バレルから同 75 万バレル増強 ( その大半はイラク UAE イラン リビアである ) し 年には日量 3, 石油 天然ガスレビュー

24 8. 長期石油市場等に対する市場関係者の考え方 さらに 長期の石油市場を見直した場合 どのような ことが考察し得るか 2017 年 11 月から 2018 年 2 月にかけ 主な市場関係 者により 2040 年等にかけての世界長期エネルギー展 望の類いが発表されている そこで ここでは それら を総合することにより 石油を含むエネルギー市場につ いての関係者間での長期的展望に対する認識の大きな流 れにつき触れておきたい ここで考慮する長期エネル ギー展望資料については IEA(WEO2017: World Energy Outlook 年 11 月 14 日発表 ) OPEC(WOO2017: World Oil Outlook 年 11 月 7 日発表 ) ExxonMobil(The Outlook for Energy:A View to 年 2 月 2 日発表 ) BP (BP Energy Outlook 年 2 月 2 0 日発表 ) など 各 機関発表のものとする 原則 これら機関による展望類 ( これら機関が中心的な議論を行っている いわゆる 標 準ケース ) につき考察を加えるとともに 適宜 前回発 表された同様の展望類と比較する また 必ずしも世界のエネルギーの包括的な展望と なっているわけではないが 一部地域の一部エネルギー 資源をめぐる情勢を展望している機関も存在する 例え ばそれは EIA(AEO 2018:Annual Energy Outlook 年 2 月 6 日発表 ) や Shell(Shell LNG Outlook 年 2 月 2 6 日発表 ) であるが これ ら報告における議論内容についても部分的ながら考慮す る なお 機関によっては 必ずしも統計数値が明示され ていない場合があるので その場合は筆者が推定するこ ととした 予測期間については 特に明記し ない限り 年までの期間とする さらに 前回 の見通しは IEA が WEO (World Energy Outlook 年 11 月 16 日 発表 ) OPEC が WOO2016(World Oil Outlook 年 11 月 8 日発表 ) ExxonMobil が Outlook for Energy:A View to 2040 (2016 年 12 月 16 日発表 ) BP が BP Energy Outlook( 年 1 月 2 5 日 発表 ) EIA が AEO2017(AEO 2017: Annual Energy Outlook 年 1 月 5 日発表 ) を指す まず 世界の 1 次エネルギー需要の 2040 年までの伸び率について IEA が年率 1.0% % の増加 OPEC が同 1.2 % の増加 ExxonMobil が 0.9 % の増加 BP が 1.3% の増加である ( 図 26) そして 石油 天然ガス 石炭を合計した化石燃料の 1 次エネルギーに 占める割合は 2015 年または 2016 年時点で 81 ~ 85% であるが 2040 年には 74 ~ 75% と低下はするものの 引き続き相当程度を占めると見られている このうち 天然ガス需要の伸び率は IEA が年率 1.6% OPEC が同 1.8 % ExxonMobil が同 1.3 % また BP が同 1.6% となっている 他の化石燃料に比べると伸びが際 立っているが 前回見通し (IEA: 年率 1.5% OPEC: 同 2.1% ExxonMobil: 同 1.5% BP: 同 1.6%) に比して 機関によって上方修正 下方修正 そして据え置きと 判断が分かれている ( 図 27) 下方修正している OPEC は 最近の経済成長の鈍化 石炭との競合 再生可能エ ネルギーの普及を見通しに反映させた旨示唆している が 他の機関も 政府の環境政策により 天然ガス需要 が左右されると考えている つまり 環境政策の推進度 合いが弱い場合には 石炭から天然ガスの転換が進まず 天然ガス需要が伸び悩む半面 環境政策が極めて強力に 推進される場合には 再生可能エネルギーの普及が急速 に進むことから やはり天然ガス需要が抑制されること になる また 天然ガス需要は非 OECD 諸国の経済発 展に伴い これらの諸国の産業部門や発電部門 そして 民生部門を中心に増加していくと予想されている ちなみに 天然ガスの供給面は 2040 年にかけての 需要の伸びを賄うには十分な資源が存在すると考えられ ている 今後の供給の伸びの中心は北米 アフリカ 旧 ソ連 中東 アジアになると見られているが 北米 ア IEA OPEC ExxonMobil BP 前回 今回 ( 注 ) 今回 は IEA と OPEC が 2015 ~ 2040 年 ExxonMobil と BP が 2016 ~ 2040 年 前回 は IEA と OPEC が 2014 ~ 2040 年 ExxonMobil が 2015 ~ 2040 年 BP が 2015 ~ 2035 年 出所 : 各機関見通しを基に推定 図 26 世界 1 次エネルギー需要伸び率 ( 年率 ) Vol.52 No.6 24

25 最近の石油市場の動きに関する一考察 % IEA OPEC ExxonMobil BP 前回 今回 日量十億立方フィート 年地域内消費 LNG 地域間パイプライン ( 注 ) 今回 は IEA と OPEC が 2015 ~ 2040 年 ExxonMobil と BP が 2016 ~ 2040 年 前回 は IEA と OPEC が 2014 ~ 2040 年 ExxonMobil が 2015 ~ 2040 年 BP が 2015 ~ 2035 年 出所 : 各機関見通しを基に推定 出所 :BP Energy Outlook2018 データを基に作成 図 28 天然ガスの貿易形態 図 27 世界天然ガス需要伸び率 ( 年率 ) フリカ 旧ソ連 中東は需要が供給を下回る結果 天然ガスが輸出されるが アジアについては 需要が供給を上回ることから 天然ガス輸入が増加すると見られている そして 天然ガス輸入地域と同輸出地域が遠隔の地である場合が多くなることから 今後 LNG による貿易がさらに活発化していくと考えられている ( 図 28) LNG の主な輸入地域としてはアジアの他 域内の天然ガス生産が低下する欧州が想定される一方で LNGの主な輸出地域としては 米国 カタール 豪州 ロシア アフリカ等になると見られている そしてLNG 取引が活発化するにつれ 柔軟で流動性のあるLNG 市場が発展し 世界の天然ガス市場がより統合化の方向に向かう旨示唆する向きもある 石炭需要の伸び率は IEA(2040 年までの年伸び率 0.1 %) OPEC( 同 0.4 %) と BP( 同 0.0%) が前回見通し (IEA: 年率 0.2 % OPEC: 同 0.6 % BP: 同 0.2 %) から下方修正している他 ExxonMobilは前回見通しとほぼ同様の伸び率であるが 年率 0.1% の減少となっており 少なくとも長期的には石炭需要は伸び悩み気味であるとの見方が強まっていることが示されている ( 図 29) また 1 次エネルギーに占める割合も2015 ~ 2016 年が25 ~ 28% であるのに対し 2040 年は20 ~ 23% に低下すると展望されている 背景としては 地球環境問題や大気汚染等の公害問題対策により 石炭から他のエネルギー源 ( 天然ガスや再生可能エネルギー等 ) への転換が進むことが挙げられる そして 重工業中心からサービス業中心の産業構造へと移行しており 相対的に環境問題に敏感なOECD 諸国では石炭需要が減少傾向になると考えられている 中国においても 環境問題や産業構造の変化により 石炭需要が継続的に減少傾向となるか 中期的には増加 しても長期的には減少に転じると見通されている ただし中国の場合 政府による政策の効果浸透や産業構造の転換までには時間を要することから 石炭需要が減少傾向になるとの見通しにおいても 中期的には減少傾向は限られた程度にとどまると見られている 他方 インドを含む南アジアや東南アジア諸国等では 石炭資源が豊富に賦存する国を抱えており また 現時点では電力が供給されていない住民に対して 今後電力供給が行われていく過程で 当該需要が増加していくことや経済が発展していくことに伴い重工業等が発達することを背景として 石炭需要が比較的堅調に増加すると予想されている 風力や太陽光等の再生可能エネルギー ( 水力とバイオエネルギーを除く ) の伸び率については それぞれ IEAが年率 7.2% OPECが同 6.9% ExxonMobilが同 4.6% となっている ( 図 30) 地球環境問題等に対処する各国政府の政策の実施により 1 次エネルギー源のなかでは 最も高い増加率となっている また 前回見通し (IEA: 年率 6.9% OPEC: 同 6.6% ExxonMobil: 同 4.0%) から上方修正されていることを付記しておきたい ( なお BPは今回の展望では再生可能エネルギーにバイオ燃料が含まれているのに対し前回のそれには含まれていないと推察されることから 比較対象から除外した ) 再生可能エネルギーのコスト低減が当初予想以上に進展していることが 需要見通しの上方修正に寄与していると考えられる 部門としては発電部門が大半であるが 熱供給等においても再生可能エネルギーが利用される旨指摘する機関もある ただ 現時点では 導入が極めて低水準であることもあり 伸び率は高いとはいえ 2040 年時点においても 1 次エネルギーに占める再生可能エネルギーの割合は限定的なものにとどまる (IEA:6% 25 石油 天然ガスレビュー

26 OPEC:5 % ExxonMobil:5 %) また 足元の需要の 絶対量が少ないこともあり 中期的には相対的に高い伸 び率になるが 導入が進むにつれて需要の絶対量が拡大 することもあり 伸び率は鈍化すると考えられている % IEA OPEC ExxonMobil BP 前回 今回 ( 注 ) 今回 は IEA と OPEC が 2015 ~ 2040 年 ExxonMobil と BP が 2016 ~ 2040 年 前回 は IEA と OPEC が 2014 ~ 2040 年 ExxonMobil が 2015 ~ 2040 年 BP が 2015 ~ 2035 年 出所 : 各機関見通しを基に推定 % 図 29 世界石炭需要伸び率 ( 年率 ) IEA OPEC ExxonMobil 前回今回 ( 注 ) 今回 は IEA と OPEC が 2015 ~ 2040 年 ExxonMobil が 2016 ~ 2040 年 前回 は IEA と OPEC が 2014 ~ 2040 年 ExxonMobil が 2015 ~ 2040 年 出所 : 各機関見通しを基に推定 % IEA 図 30 再生可能エネルギー需要伸び率 OPEC ExxonMobil BP EIA 前回今回 ( 注 ) 今回 は IEA 及び OPEC が 2015 ~ 2040 年 ExxonMobil BP および EIA が 2016 ~ 2040 年 前回 は IEA および OPEC が 2014 ~ 2040 年 ExxonMobil およびEIAが2015~2040 年 BPが2015~2035 年 出所 : 各機関見通しを基に推定 図 31 世界石油需要伸び率 ( 年率 ) 石油需要の伸び率については IEA が年率 0.4% OPEC が同 0.6% ExxonMobil が同 0.7% BP が同 0.5% また EIA が同 0.6% である これは前回見通し (IEA: 年 率 0.4% OPEC: 同 0.7% ExxonMobil: 同 0.7% BP: 同 0.7% EIA: 同 1.0%) とほぼ同水準か も しくは下方修正された数値である ( 図 31) また IEA OPEC ExxonMobil BP は現 時点から 2040 年にかけての各機関の予測期 間において前半部分はそれなりに需要が堅調 に増加する半面 後半部分は伸びが鈍化する ( 図 32) すなわち 前半部分は中国 インド その他アジア諸国の石油需要が旺盛であって も 後半部分はインドやその他アジア諸国 ( 中 国を除く ) では 経済発展に伴う中産階級の 増大と自動車保有台数の増加が影響し 石油 需要は伸び続けるとはいえ 中国では石油需 要の増加ペースが鈍化することが影響すると 指摘されている また OECD 諸国の石油需要も 2040 年に 至るまで総じて減少傾向になると見られてい る OECD 諸国の石油需要の減少傾向や中国 の石油需要の伸びの鈍化は 乗用車部門での 燃費効率の改善や電気自動車の導入 また 特に中国では産業構造の変化が背景にあると 考えられている なお 電気自動車 ( 発表機 関によってはプラグ イン ハイブリッド型自 動車やハイブリッド型自動車を含む ) の導入 については 2040 年 ( ちなみにこの時点で世 界の乗用車保有台数は約 20 億台と 2016 年 約 11 億台 からほぼ倍増すると推定されている ) において IEA によれば 世界中でほぼ 2 億 8,000 万台に到達することにより 日量 250 万バレルの石油需要が置き換えられるとされ る他 OPEC は 3 億台 ExxonMobil は推定 1 億 6,000 万台 BP は 3 億 2,000 万台 それぞ れ電気自動車が普及すると見ており このた め 電気自動車の普及による世界石油需要 (2040 年において日量 1 億バレル程度 ) への 影響は限定的なものになると見られている 今後電気自動車の普及が加速するといった 展開も否定できないが 例えば ExxonMobil は 2040 年に保有されるほぼ全ての自動車が 電気自動車になるには 2025 年に年間 1 億 1,000 万台程度の電気自動車を販売し始め 2040 年にはそれが 1 億 4,000 万台にまで増加する Vol.52 No.6 26

27 最近の石油市場の動きに関する一考察 % など 2016 年の電気自動車販売台数の 100 倍超の販売 台数が必要となる他 それなりの長期間を要する旨指摘 している IEA OPEC ExxonMobil BP 2015/2016 ~ ~ 2040 ( 注 ) 対象期間は IEA と OPEC が 2015 ~ 2040 年 ExxonMobil と BP が 2016 ~ 2040 年 出所 : 各機関見通しを基に推定 図 32 世界石油需要伸び率 ( 年率 ) 他方 トラックやバスなど いわゆる商用車部門の石 油需要は 燃費効率の改善政策を推進している国が現時 点で米国 日本 中国 インド等限られている上 でき るだけ安価な燃料で安定した出力を持つ既存のエンジン を利用者が好む傾向があること 特にアジアの非 OECD 諸国で経済が発展するとともに物流活動が活発化すると 見られることから 軽油等の石油需要は 2040 年に至る まで堅調に増加すると見られている OPEC は 2040 年 時点の商用車保有台数 ( 約 4 億 6,000 万台 これは 2016 年の約 2 億 2,000 万台のおよそ倍となっている ) のうち 電気自動車 ( ハイブリッド型を含む ) は 3,1 0 0 万台にとど まると予想している また ジェット燃料についても 非 OECD 諸国での経済発展により 航空機での往来が 活発化する一方で 石油以外のエネルギー源 への代替もコストや安全性への懸念の問題か ら そう急速には転換が進まないと見られて いることから 需要は伸びると考えられてい る さらに 非 OECD 諸国の経済発展に伴 うプラスチック等石油化学製品の需要増加に 伴い エタン プロパン ブタン ナフサ等 の石油化学用原料向け石油製品も 他の原料 では大幅な置き換えが困難な側面があること から 需要が増加していくと展望されている 石油供給について 石油資源は 2040 年に かけての需要を賄うには十分な水準で存在す ると認識されている (ExxonMobil によれば残 存資源量は現在の需要水準の 150 年分程度を 賄うことができる旨明らかにしている ) が 十分な量の 石油供給を確保するには十分な規模の投資が必要となる と指摘されている また 中期的には米国でのシェール オイル生産を中心として 非 OPEC 産油国の生産量が伸 びていくと予想されている そして 2040 年の世界の シェールオイル生産量 ( ただし大半は米国での生産 ) は IEA で日量 920 万バレル OPEC で同 794 万バレル ExxonMobil で推定 1,520 万バレルとなっている これ は前回 (IEA: 日量 680 万バレル OPEC: 同 601 万バ レル ExxonMobil: 推定同 1,420 万バレル ) から相当程 度上方修正されており ( 図 33) 最近の地質構造の理解 の進展や水圧破砕の効率化等を通じたコスト削減努力を 反映しているとの指摘もある それでも いずれ より 開発 生産効率が悪くコストが相対的に高いシェール鉱 床での開発 生産に移行していく結果 シェール生産は 2040 年の手前で頭打ちとなり減退が始まると考える機 日量百万バレル 年 IEA2017 IEA2016 OPEC2017 OPEC2016 ExxonMobil2018 ExxonMobil2017 出所 : 各機関見通しを基に推定 図 33 世界シェールオイル生産と展望 27 石油 天然ガスレビュー

28 関もある 例えば IEAは2035 年に日量 950 万バレルで OPECは2030 年に同 922 万バレルで それぞれ生産が頭打ちとなることを示唆している ただ ExxonMobil は2040 年に至るまで シェールオイル生産は増加し続けると予想しているようだ そして 大半の機関は 世 界石油供給に占めるOPEC 産油国の占有率について 中期的には伸び悩むものの 長期的には上昇していく ( 図 34) としているが それはつまり 長期的にはOPEC 産油国の市場と価格支配力の増大とともに原油価格が上昇しやすくなる ということを示している 50 % 年 IEA OPEC BP EIA 出所 : 各機関見通しを基に推定 図 34 世界石油供給に占める OPEC 産油国の割合 9. 足元の原油価格に関する補足 - 結びに代えて - 最後に 足元 ( 執筆時点 ) の原油価格とその方向性につき補足し 結びに代えたい 2018 年 6 月にOPEC 総会等が開催された少し後 しばらく原油相場は1バレルあたり60ドル台後半程度の範囲内での変動となった これは サウジアラビアをはじめとするOPEC 中東湾岸産油国やロシアが増産するという観測が市場で増大した半面 イランの原油輸出に減少の傾向が明確には見られなかったこと 米国と中国等の貿易戦争に伴う経済減速と石油需要の伸びの鈍化懸念が市場で発生したことが背景にあると考えられた イランの原油輸出量 ( コンデンセート込み ) は推定だが 2018 年 3 月は日量 230 万バレル強 4 月および5 月が同 270 万バレル程度であった 米国のイラン核合意離脱と対イラン制裁再発動発表後の6 月は260 万バレル強 7 月は230 万バレル弱と減少傾向となったが それでも3 月の水準とほぼ変わらずか 相当程度超過する水準であった このため 市場関係者の間では イランからの原油輸出減少に関しての懸念がいま一つ強まらない状況であったことから 原油相場は継続的に下落傾向になっ たわけではないとはいえ かといって上昇傾向も示されなかった しかし 8 月下旬には 同月前半のイランからの原油輸出量が7 月比で日量 60 万 ~ 70 万バレル減少していることが明らかになった このことから イラン産の原油が世界市場から排除され始めているとの観測が市場で広がるとともに 石油需給の引き締まり感が強まったことにより 原油相場に上方圧力が加わり始めた 9 月 20 日には トランプ大統領がOPEC 産油国に価格を引き下げるよう再度圧力を加えたものの 9 月 23 日に開催された JMMCは 明確な増産量を打ち出すことなく終了した 加えて 9 月 24 日にシンガポールで開催された石油市場関係セミナーで 大手石油商社が 米国のイラン制裁と OPEC 産油国の余剰生産能力の減少から ブレント原油価格が2019 年前半にかけ 1バレルあたり100ドルに到達する可能性がある旨示唆したり 9 月下旬に一部金融機関がこの先の原油価格予想を上方修正したりしたことが 市場関係者の強気心理を一層強めることになった このようなこともあり 原油相場は8 月後半以降上昇傾 Vol.52 No.6 28

29 最近の石油市場の動きに関する一考察 向を示すようになっている 米国では シェールオイルを含む原油は増産しつつあるが さらなる原油生産増加ペースの上振れには 坑井掘削 水圧破砕 生産関連装置の据え付け 周辺のパイプラインへのつなぎ込み等の作業が必要となるため 実際に増産が上振れするまでには概ね半年かそれ以上の期間を要することになる 加えて 米国では 現時点でのシェールオイル生産の中心地であるパーミアン盆地での原油生産量 (2018 年 1 1 月見通しで日量 万バレル ) に対し 当地域から地域外へと原油を流出させるパイプライン等の能力 ( 日量 350 万 ~ 360 万バレル程度とされる ) が追いつかなくなりつつある ( 主要原油パイプラインによるもう一段の能力増強は早くても2019 年半ば頃前後と言われている ) このことから 販売量の伸びの鈍化懸念の下 当該地域でのシェールオイル開発活動が減速するとともに リグ稼働数が伸び悩むといった展開が発生し得る こうした情勢から 米国のシェールオイル等原油生産増産ペースの上振れは イラン等の減産 そしてその相殺のための他のOPEC 産油国等による増産に伴う余剰生産能力の低減に対する市場の石油需給引き締まり感を後退させるには時間が足りない可能性がある このため 例えば 米国がイラン産原油の事実上の輸出禁止といった措置を緩和しなければ OPEC 産油国等による余剰生産能力が減少することにより 世界の石油供給余力の低下 ( または石油供給不足の可能性 ) に対する不安感が市場で増大しやすい環境となる 9 月のOPEC 産油国の余剰生産能力の世界石油需要に占める割合は2.7% 程度であ るが これは 原油価格が2008 年前半に1バレルあたり150ドル近くまで上昇した際のOPEC 産油国余剰生産能力の世界石油需要に占める割合である2.6 ~ 2.7% 程度に接近している ( 図 35)( なお2016 年は余剰生産能力比率が低かったが この時はイランの制裁が解除されたことや ナイジェリア 2016 年 8 月 29 日に武装勢力が停戦を宣言 等で地政学的リスクが低下した一方 OPEC 産油国が米国のシェールオイル増産に対抗すべく原油生産を増加させつつあったこと OECD 諸国石油在庫が高水準であったこと OECD 諸国余剰石油在庫量 [ 過去 5 年平均の超過量 ] は3 億 ~ 4 億バレル程度に到達 から 石油需給逼迫感は強まらなかった ) イランやベネズエラの原油供給がさらに低下し それを他のOPEC 産油国で代替すれば この割合は一層低下することから 原油相場をさらに上昇させやすくすると考えられる このため原油相場は少なくとも短期的には上振れする展開がありうる旨 注意する必要があろう そしてその先を見据えれば 中期的な注目点は世界石油需要の状況 ( 米国と中国等の貿易戦争を含めた世界経済成長の度合い ) 米国シェールオイル生産の動向 イラン制裁やベネズエラ政情不安等を含めた OPEC 産油国の生産状況によろうが 長期的には世界石油需要が伸び続ければ 再びOPEC 産油国の市場占有率が高まることになり 原油価格に上方圧力が加わりやすくなる可能性が高まる もっとも これは代替エネルギーを含めた世界石油需要の伸びいかんといった部分もあるので それを逐次考慮しつつ 市場に対する考え方を更新していくことが肝要であろう 8 % 年 出所 : 各種資料より推定 OPEC 産油国余剰生産能力の世界石油需要に占める割合図 35 (2007 ~ 2018 年 )( 四半期ベース ) 29 石油 天然ガスレビュー

30 JOGMECのTRC では 油 ガス田開発における投資コストの削減や可採埋蔵量の増大を実現するための多様な技術開発に取り組み 世界から注目されています 例えば 通常の油田からの原油回収率は一般的に 20~30% 程度ですが 増進回収技術を用いて回収率を上げることができれば 新たな油田を発見したのと同じことになります TRCでは このような増進回収技術に加え 非在来型油ガス田開発技術 探査技術 操業効率化 低環境負荷技術を中心とした技術開発を継続して実施しており 基礎研究から産油国との共同によるフィールドテストまで 幅広い実績を有しています TRC:Technology & Research Centerの略称 炭酸ガス圧入攻法水圧破砕最適化技術超重質油改質技術 貯留層モニタリング技術 随伴水処理技術 大偏距掘削技術有機地化学分析技術特殊コア分析技術 執筆者紹介 野神隆之 ( のがみたかゆき ) 早稲田大学政治経済学部経済学科卒業 米国ペンシルバニア大学大学院修士課程およびフランス国立石油研究所付属大学院 (ENSPM) 修士課程修了 通商産業省 ( 現 経済産業省 ) 資源エネルギー庁長官官房国際資源課 ( 現 国際課 ) 国際エネルギー機関 (IEA) 石油産業市場課等に勤務の後 石油公団 (JOGMEC の前身 ) 企画調査部調査第一課長を経て 現在 JOGMEC 首席エコノミスト 趣味は旅行 ( 国内 国外を問わず ) Global Disclaimer( 免責事項 ) 本稿は石油天然ガス 金属鉱物資源機構 ( 以下 機構 ) 調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが 機構は本稿に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません また 本稿は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり 何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません したがって 機構は本稿に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません なお 本稿の図表類等を引用等する場合には 機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます Vol.52 No.6 30

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(2) 主要シェール オイル鉱床シェール オイルの 3 大産地 ( テキサス州のパーミアン地域とイーグル フォード地域 ノース ダコタ州のバッケン地域 ) での生産量は 全体の約 50% を占めている 広い鉱床を有し 生産性 経済性に優れるテキサス州中西部パーミアン堆積盆地に開発が集中している 20 米国のエネルギーを取り巻く市場 米国ではシェールガス オイルの採掘技術の進歩により生産コストが低下し これまで採算上困難であったシェールガス オイルの生産が商業ベースで可能となってきている すでに多くの議論が紹介されているところであるが 機械を含む製造産業にも影響をもたらす米国エネルギーの最新市場動向や需要予測等について報告する 1. シェール オイル開発と原油生産量の増加 (1) 米国における原油生産量の長期的トレンド米国の原油生産量は

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