Index 本テキストの内容 1. 画像処理の基礎 1-1. 核医学画像の特性 1-2. 各種フィルタ処理の効果 2.SPECT の基礎 2-1. 再構成の概要 2-2. 技術的な問題点とその対策 2-3.ML-EM 法 3. 臓器別画像解析の注意事項 3-1. 腎機能定量解析 3-2. 脳血流定量

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1 核医学における画像処理 基礎と処理上の注意事項 Daiichi Radioisotope Lab,LTD. Clinical Application Technology (CAT) Group Page 1

2 Index 本テキストの内容 1. 画像処理の基礎 1-1. 核医学画像の特性 1-2. 各種フィルタ処理の効果 2.SPECT の基礎 2-1. 再構成の概要 2-2. 技術的な問題点とその対策 2-3.ML-EM 法 3. 臓器別画像解析の注意事項 3-1. 腎機能定量解析 3-2. 脳血流定量解析 3-3. 心筋 SPECT 解析 本テキストは 3 章に分かれています 最初は 画像処理の基礎として 核医学画像の特性と各種フィルタ処理の効果を簡単に紹介します 次に SPECT の基礎として 再構成の概要と SPECT 画像に影響を及ぼす技術的な問題点を取り上げます また この章では 最近普及しはじめた逐次近似を用いた再構成法である ML-EM 法についても簡単に紹介しています 最後は 臓器別画像解析の注意事項として 腎機能定量 脳血流定量 心筋 SPECT 解析での主な注意事項を取り上げます Page 2

3 1-1. 核医学画像の特性 カウント 分解能の指標 -FWHM- Full Width at Half Maximum ( 半値幅 ) FWHM は 2 つの点線源を近づけて識別できる最短距離にあたる FWHM より近づいた場合 50% Full Width at Tenth Maximum (1/10 幅 ) 10% ピクセル FWHM 以上離れている場合 ガンマカメラの分解能は 厳密には検出器固有の分解能 ( 固有分解能 ) とコリメータの分解能を加味したシステム全体の分解能 ( システム分解能 ) で定義されます 画像上で分解能を単に数値として表わす場合には FWHM(Full Width at Half Maximum : 半値幅 mm) が用いられます 点線源を収集することを考えた場合 点線源はシステムの分解能に応じてスポットの点としてではなく ある程度の広がりをもった球体として検出されます そのため 2 つの点線源を分離して検出するためには ある程度の距離が必要になります 2 つの点線源を近づけていき その識別が可能な限界距離は ちょうど点線源のプロファイルカーブの最大値の 50% になる座標を結んだ距離と一致します これを FWHM と呼び 分解能を評価する上での一つの指標としています また 最大値の 10% の距離を FWTM(1/10 幅 ) と呼び コールドスポットの識別能を表す指標として求める場合もあります 分解能の指標として FWHM や FWTM を求める場合には専用のスリットファントムを使用しますが 日常の QC としてはバーファントムを使用しての視覚評価が一般的です 分解能には上記の空間分解能の他に エネルギー分解能があります これは光電ピークの FWHM の光電ピークのエネルギーに対する割合 :% で表されます Page 3

4 1-1. 核医学画像の特性 分解能の指標 -MTF- MTF(Modulation Transfer Function): 変調伝達関数 横軸が距離 縦軸がカウントの空間領域で表わされた広がり関数を フーリエ変換し 横軸を波の周波数 縦軸を各々の周波数の波の大きさ ( 振幅 ) で表わしたものを変調伝達関数 MTF(Modulation Transfer Function) と呼びます MTF は周波数が 0 cycle/cm つまり直流の振幅を 1 とし それを基準に各周波数の振幅を表現したものです MTF は空間的な周期構造が対照の画像にどの程度伝達されるかを表わし 分解能を直接表現する特性と考えることができます 但し 分解能を評価するためには先ほどの半値幅 FWHM を使用するのが簡便であり 一般的です Page 4

5 1-1. 核医学画像の特性 部分容積効果 : PVE(Partial Volume Effect) 真の分布分解能の良いシステム 分解能のあまり良くないシステム 線源がシステムの分解能に応じた広がりをもって検出されると データ上の最大カウントは実際の放射線量よりも低くカウントされることになります この現象は同じ放射線量の線源であっても 線源のサイズが小さいほどその影響を大きく受けます 線源のサイズがある大きさ以上になればその影響は一定となり データ上の最大カウントは保存されます このように 線源のサイズが小さくなるほど実際の放射線量よりも低く見積もってしまう現象を部分容積効果 (Partial Volume Effect:PVE) と呼んでいます 一般に 線源のサイズがシステム分解能 FWHM の 2~3 倍程度の大きさまでは この影響を受けると言われています Page 5

6 1-1. 核医学画像の特性 統計ノイズ 1 ピクセルあたりのカウント (n) 中に含まれる統計ノイズの比率 n 100(%) n= n= n= n= n= n= n= n= n= n= 核医学画像には 放射線計測に伴う統計ノイズが必ず含まれています カウントデータ中に含まれる統計ノイズの比率はここに示す式で表わされます この式からも分かりますように ピクセルあたりのカウント値が大きいほど ノイズの比率が小さくなり S/N が改善します SPECT では収集データにおける目的臓器の平均カウントが 100count/pixel 以上になることが目安になっています スライド右下の数値を見ても分かりますように 50count/pixel 以下では S/N が極端に劣化してきます Page 6

7 1-1. 核医学画像の特性 吸収 散乱 L I I μ I =Ie -μl 吸収 散乱 ガンマカメラで検出される放射線は 体内を通過する際に吸収や散乱の影響を受けます 実際の臓器内の RI 分布を再現するには これらの影響を補正する必要があります 吸収や散乱の補正法には様々なものが考案されていますが 詳細は後のスライドでご紹介します Page 7

8 1-1. 核医学画像の特性 計数率特性 観測計数率最高計数率 理想曲線 20% 計数率損失 Observe 20% Loss 20% 計数率損失 Incident 真の計数率 Anger 型のガンマカメラでは入射したガンマ線の位置やエネルギーを正確に求めるために全 PMT の出力を集める必要があります その時間 (900nsec 程度 ) がデットタイム ( 不感時間 ) となり 入射するガンマ線が多くなるほど真の計数率に対して観測値が低下することになります これが 数え落とし で 最新のシステムでも 185MBq( 5mCi) で 3% 程度の数え落としが発生すると言われています 計数率特性の指標としては 最大計数率 ( 観測される最大の計数率 ) と 20% 計数率損失 ( 観測計数率が真の計数率に対して 20% ロスする計数率 ) が用いられています 尚 数え落とし は波高分析器の前で発生しますので その割合は最終的に選られるエネルギーウィンドウ内のカウントには比例しません このことは ヨード 123 の 数え落とし が同じ Activity のテクネチウムの数倍になる原因にもなっています Page 8

9 1-1. 核医学画像の特性 コントラスト C1 = (D1-D2)/D2 or = (D1-D2)/(0.5*(D1+D2)) or = (D1-D2)/(D1+D2) コントラストの種類 1. 画像自体のコントラスト 2. 表示系のコントラスト コントラストとは画像上の隣り合わせた領域でのカウントやフィルム濃度の違いとして上記の式で表現されます コントラストには 収集カウントまたは SPECT 値のように画像自体で評価したコントラストと 画像に表示スケール ( 白黒 カラー ) ウィンドウレベル フィルム補正カーブなどの特性を加味したコントラストがあります Page 9

10 1-2. 各種フィルタ処理の効果 フィルタ処理とは画像情報の中から人間の視覚またはコンピュータ解析によってその特徴を抽出しやすくするために行う画像処理 主な目的 : 1) 平滑化 ( ノイズの除去 ) 2) 輪郭強調 種類 : 1) 実空間で使用するコンボリューションフィルタデジタルフィルタ (3*3,5*5,,,) と画像との重畳積分 2) 周波数空間で使用するフーリエ関数 ( フィルタ ) 核医学画像には Butterworth フィルタがよく使用される 次に フィルター処理の効果を見ていきます フィルタ処理とは 収集した画像情報の中から人間の視覚評価やコンピュータによる画像解析によってその特徴を抽出しやすくするために行う画像処理のことを言います フィルタ処理の主な目的としては 平滑化によるノイズを含む画像上の変動成分の除去 及び 臓器の輪郭抽出の際に利用される微分演算処理等があります この他にガンマカメラシステムの有限な解像度に起因するボケを復元させるためのフィルタもあります フィルタには 実空間上で掛ける 9 ポイント (3*3) や 25 ポイント (5*5) のコンボリューションフィルタと画像を 2 次元フーリエ変換した後の周波数空間で掛けるフーリエフィルタがあります コンボリューションフィルタは各々のフィルタ値 ( カーネル値 ) を変えることで 平滑化や輪郭強調を行っています また 核医学画像にはフーリエフィルタとして Butterworth フィルタがよく用いられています Page 10

11 1-2. 各種フィルタ処理の効果 各種コンボリューションフィルタ Smooth Median Original Sobel Laplacian 心筋 STATIC 画像を例に各種フィルタの効果を見ています スライドのコンボリューションフィルタは全て 9 ポイントです 尚 フィルタの効果を評価しやすいように画像の心筋内の 4 画素 (2*2) のカウントを 2 倍にしています A B C f1 f2 f3 E = D E F * f4 f5 f6 / k G H I f7 f8 f9 平滑化 ( k =Σfn ) Smooth: Median: 9ポイントの計数の中央値に置き換え ( 頑固なノイズの除去 ) 輪郭強調 ( k = 1 ) Sobel:(1 次微分 ) Laplacian:(2 次微分 ) & Page or

12 1-2. 各種フィルタ処理の効果 アンシャープマスク処理 MTF + K * - = Original Original Blur + K * - = スライドは コンボリューションフィルタを使用して画像の鮮鋭度を強調する手法として Computed Radiology(CR) で一般的に行われているアンシャープマスク処理の効果を見ています アンシャープマスク処理は画像の高周波成分を強調する古典的な処理です この処理では画像を意図的に平滑化し 原画像との差分画像を作成することで画像の鮮鋭成分を取り出し この差分画像を原画像に加算することで画像の鮮鋭化を行っています スライドの K は強調係数と呼ばれ 画像の鮮鋭化の度合いを調整するために用いられています また スライド右上の MTF( 変調伝達係数 ) を見ても分かりますように 平滑化の程度によって強調したい周波数を調整することもできます 核医学画像に対してこの処理を行うのは一般的ではありませんが スライドの画像でも分かりますように核医学画像に対しても有効な場合があります Page 12

13 1-2. 各種フィルタ処理の効果 周期と周波数 周期 = 同じパターンが繰り返される pixel 数 周波数 =1/ 周期 (cycle/pixel または c/p) cycle/8pixel=0.125(c/p) cycle/4pixel=0.25(c/p) cycle/2pixel=0.5(c/p) これ以上の周波数は表現できない ナイキスト周波数 周波数空間で使用するフィルタの特性を理解する上で 周波数空間の概念を理解しておく必要があります デジタル画像の世界で周波数を考えると スライドのようになります ある数値をもったピクセルの並びの中で 同じ並びが何ピクセルごとに繰り返されるかを示すのが周期にあたります 周波数はその逆数で定義され 1 ピクセル中に含まれる周期の数を表わします デジタル画像で表現することができる最高周波数はスライドに示しますように 0.5cycle/pixel であり この値はナイキスト周波数としてフィルタの特性やピクセルサイズの決定の際の指標の一つとなっています Page 13

14 1-2. 各種フィルタ処理の効果 実空間と周波数空間 画像データ ( 実空間 ) f(x)=σa(k)cos(kx-ψk) k=0 A(k): 振幅 ψk: 位相 A(k) とψk の関数として表現できる カウント値 (f(x)) 振幅 フーリエ変換 周波数空間 Pixel 位置 (x) 周波数 デジタル画像上での周期と周波数を感覚的に紹介したところで 実際のデータに対してこれをどう適用しているのかを考えてみます 説明を簡単にするために 画像データの 1 ラインだけを抜き出した 1 次元データを例に説明します このデータはスライドの左下の図に示しますように ピクセル位置とカウント値をパラメータとする平面データ ( ヒストグラム ) として表わされます これを 右上の図のように連続関数の形に置き換えてみます 実際の RI データでは 前ページの図で示したような規則正しい並びが出てくることなどないので デジタル空間の周期の定義から言えば 何の周期性もないように見えます この 周期がない ということを言い換えると 周期は無限大であると考えることもできます 数学的には 周期 の ( あるいは無周期の ) 連続関数は いろいろな周波数の三角関数の和 : すなわち いろんな周期関数の足しあわせで表現できるという法則があり スライドに示す数式が成立します この式により もとはピクセル位置とカウント値をパラメータとする表現であったものを振幅と周波数をパラメータとする表現に置き換えることができるわけです このように情報の表現形態を変えることを数学的に行うのがフーリエ変換 (FT) です 尚 この説明は連続量であるアナログ画像を対象としたもので デジタル画像に対しては離散的フーリエ変換 (DFT) や DFT を高速化した高速フーリエ変換 (FFT) が定義されています Page 14

15 1-2. 各種フィルタ処理の効果 周波数空間でのスムージングフィルタ ノイズは高周波成分 ゲインを下げる とは? ノイズのゲインを下げた投影データ 変化の激しいところをスムーズにすることであり 信号をカットするわけではない ( 色の部分の面積はそれほど変わらない ) スムージングフィルタは統計ノイズを低減させるためのものですが 統計ノイズは周波数空間上では高周波成分に反映されることが知られています ガンマカメラのシステム分解能に応じてデータはある程度ボカされるため あるピクセルとその近傍のピクセルではカウントが大きく変化しないことが推定されます つまり 極端に短い周期 = 高い周波数の情報は本来の情報である可能性は低いことになり ノイズと見なすことができます 従って 統計ノイズを低減させるには 高周波成分のゲインを下げる特性をもった周波数関数をかければ良いことになります 尚 ゲインを下げる という表現は凸凹の激しいところをスムーズにすることで 信号をカットするという意味ではありません 従って フィルタをかけることで個々のピクセルのカウントは変化しますが 画像全体の総カウントはそれほど変わりません ( 参考 ) 核医学でLow Passフィルタと言えばほとんどの場合 Butterworthフィルタのことを指します Low Passフィルタにはこの他にWienerフィルタ ハニングフィルタなどが知られています いずれも高周波成分のゲインを下げる特性がありますが 復元フィルタの一種であるWienerフィルタは低周波成分の一部に増幅する部分をもっており画像のコントラストを高める効果がある反面 本来の情報も意図的に変えてしまうことになりますので 定量化が重要視されている最近の核医学では使われることが少なくなっています ハニングフィルタは単調に減衰する特性を持っていて 音響分野でよく使われていますが 核医学画像とはデータ特性が異なるのでマッチングが難しく あまり使われていません Page 15

16 1-2. 各種フィルタ処理の効果 Butterworth フィルタの式 F(w) = 1 ( 機種により違いあり ) 1+(f/fc) n fc: カットオフ周波数 (cycle/pixel) ( n: オーダー ( 減衰の傾き ) 東芝 : { 1 + (f / fc) n } -1 f,fc:[cycle/pixel] GE : { 1 + (f / fc) p } -1/2 f,fc:[cycle/cm] (p=2n) Picker : { 1 + (f / fc) 2n } -1 f,fc:[cycle/pixel] (cycle/cm)=(cycle/pixel) / (cm/pixel) 単位に注意! ここからは Butterworth フィルタに絞って スムージングフィルタの効果をもう少し詳しく見てみることにします Butterworth フィルタの式はスライドに示す式で表され 特性を決めるパラメータとしてカットオフ周波数とオーダーを設定します 注意しなければならないのは スライド下段に示しますように 機器メーカや機種によってこの式や単位が異なっていることです 従って 数値を単純比較できないことを知っておく必要があります 各施設で使用している機種がどの式を採用しているかは機器メーカに確認する必要があります Page 16

17 スペクトラム強度核医学における画像処理 1-2. 各種フィルタ処理の効果 Butterworth フィルタ : オーダーの変化 オーダー Order f (cycle/pixel) まず カットオフ周波数を一定にして ( ここでは 0.25cycle/pixel) オーダーを変えたときのフィルタ特性の変化です オーダーの意味合いを一言で言えば ノイズの落し方の急激さを表わす指標です オーダーが低すぎると高周波ノイズの低減が不十分になり 逆に低周波成分のゲインを下げてしまうことで全体としてノイズっぽくコントラストが低下した画像になります しかし ある程度の値以上になれば あまり変化しません スライド右側の脳血流 SPECT 画像のように 実際の臨床画像ではある程度の値以上であれば 画像上目に見えるような違いはほとんど生じません オーダーの決め方には特に明確な法則があるわけではなく これまでの経験的な数値として 4~10 を使用している施設が多いようです 尚 横軸の上限はナイキスト周波数 (0.5c/p) で それ以上はゼロになります Page 17

18 1-2. 各種フィルタ処理の効果 Butterworth フィルタ : カットオフ周波数の変化 スペクトラム強度カットオフ周波数 Cutoff f (cycle/pixel) 度次に オーダーを一定にして ( ここでは 8) カットオフ周波数を変えたときの特性変化 を示します 当然のことですが カットオフ周波数以上の周波数成分のゲインを下げますので カットオフ周波数が低くなるほど 高周波ノイズは確実に低減します しかし あまりカットオフ周波数を低くしすぎると本来の情報である低周波成分も低下してしまい スライド右上の心筋 SPECT の画像のように平滑化されすぎてメリハリがなくなり 俗な言い方をすればベッタリとした画像になってしまいます スライド右側の心筋 SPECT の画像を見ても分かりますように カットオフ周波数の違いにより画像全体の総 SPECT 値はそれほど変化しませんが 臓器内の最大カウント等の局所の SPECT 値は変化します 従って 心筋 SPECT の Bullseye 解析のように最大カウントを扱うような解析を行う場合にはカットオフ周波数を固定しておく必要があります Page 18

19 1-2. 各種フィルタ処理の効果 Butterworth フィルタ : Planar 画像での効果 ( fc = 0.5 c/cm ) n = 5 n = 2.5 n = 10 Original ( n = 5 ) fc = 0.5 fc = 0.25 fc = 1.0 スライドは Butterworth フィルタのオーダー (n) とカットオフ周波数 (fc) を変更した際の Planar 画像への影響を見ています スライドからも分かりますように 核医学画像ではオーダーを変更するよりもカットオフ周波数を変更した方が画像への影響を視覚的に理解しやすくなっています ( 参考 ) 最適な係数の決め方の例目的臓器の平均カウントをノイズが無視できるまで ( 例えば 10000カウント : ノイズ1 %) 収集し その画像を理想画像とします 通常の検査での収集時間で収集した画像にいろいろな係数でフィルタを掛け その画像と理想画像の目的臓器内の全カウントを合わせた後 目的臓器内の個々の画素値の差の2 乗和の平方根を計算します この値が最小になる係数の組み合わせが最適な条件となります Page 19

20 Index 本テキストの内容 1. 画像処理の基礎 1-1. 核医学画像の特性 1-2. 各種フィルタ処理の効果 2.SPECT の基礎 2-1. 再構成の概要 2-2. 技術的な問題点とその対策 2-3.ML-EM 法 3. 臓器別画像解析の注意事項 3-1. 腎機能定量解析 3-2. 脳血流定量解析 3-3. 心筋 SPECT 解析 次は SPECT の基礎として 再構成の概要の簡単な紹介と 我々が今までにユーザからいただいた質問やクレームの中で 実際は技術的な問題であったものを紹介します これらの問題はいろいろな学会や研究会で議論されていますが 日常の臨床画像を見る際に常に頭に入れておくことが重要です また 最後に 最近普及しはじめた逐次近似を用いた再構成法である ML-EM 法についても簡単に紹介します Page 20

21 2-1. 再構成の概要 再構成の基本的な流れ 実空間 投影データ フーリエ変換 周波数空間 周波数空間データ スムージングフィルタ (Butterworth など ) 再構成フィルタ (Ramp など ) 逆投影 (Back Projection) 逆フーリエ変換 画像再構成の基本的な流れを簡単に説明します 画像再構成には 大きく分けて 実空間データのままスムージングフィルタと再構成フィルタをコンボリューションフィルタとしてかけてから逆投影を行う方法と データをいったんフーリエ変換して周波数空間のデータに置き換え 周波数空間上のデータにフィルタをかけてから実空間データに戻して 逆投影する方法があります この 2 つの方法は手法の違いであり 最終的な再構成画像に違いはありません Page 21

22 2-1. 再構成の概要 フィルタの種類とその目的 スムージングフィルタ 収集データに含まれる統計ノイズを低減させるためにかける Butterworth フィルタが代表的 再構成フィルタ 単純な逆投影で生じる被写体の周りのボケを防ぐ目的で投影データにかける Ramp Shepp&Logan フィルタが代表的 被写体を収集 投影データを単純に逆投影して被写体を再構成 画像再構成時には必ずフィルタ処理を行いますが フィルタ処理を何のために行っているのか ここで一度見直してみることにします 画像再構成時に使用するフィルタには スムージングフィルタと再構成フィルタの 2 つがあります スムージングフィルタは データに含まれる統計ノイズを抑えるためのもので よくご存知の Butterworth フィルタがこれにあたります 再構成フィルタは 投影データを単純に逆投影したときに被写体の周りに生じるスパーク上のボケを取り除くためにかけるもので Ramp フィルタや Shepp&Logan フィルタが該当します Filtered Back Projection(FBP) 法でのフィルタとは 本来この再構成フィルタのことを指しています 統計ノイズは放射線計測上 被写体の周りのボケは逆投影の原理上生じるものなので 問題の出所が違います 従って 2 種類のフィルタを使い分けているのです Page 22

23 2-1. 再構成の概要 再構成処理全体の流れ スライドは 楕円ファントムを例に再構成処理全体の処理過程を示しています この例では吸収補正に Sorenson 法を使用しているために収集して得られたプロジェクションデータに対して最初に吸収補正が行われています Chang 法の場合には逆投影後の Transaxial 像に対して補正を行います これら均一吸収補正の精度は吸収係数の値と吸収補正を行う範囲を決める体輪郭の設定で決まります 特に IMP の Split Dose 法や ECD の RVR 法のような同じ患者の複数のデータから定量画像を作成する場合には それぞれの再構成処理において同じ体輪郭を設定することが重要になります 次にフーリエ変換を行われ 再構成フィルタである Ramp フィルタをかけた後 逆フーリエで実空間に戻して 逆投影しています 一部のメーカではここでフーリエ変換を行わず コンボリューションフィルタとしての Ramp フィルタを重畳積分しています 画像に大きな影響を及ぼす均一性の補正はこれらの処理の前に 回転中心のズレの補正は逆投影までのどこかの Step で行われています また ノイズを抑え S/N を上げるためのスムージングフィルタはこれらの再構成処理の前か後に掛けます Page 23

24 2-2. 技術的問題点とその対策 回転中心のズレ -2pixel SPECT 画像に影響を及ぼす技術的問題点とその対策を見ていきます SPECT 画像に影響を及ぼす要因 問題点として回転中心のズレがあります これは基本的には機械的な検出器の中心とその検出器から得られる画像の電気的な中心のズレであり ある一つの値で表されます スライド上段は 180 度収集での回転中心のズレの影響を心筋 SPECT の Transaxial 像で見ています 左からマイナス方向のズレ ズレなし プラス方向のズレがあった場合です 一般的に回転中心の問題は心筋 SPECT では心尖部の歪みとして比較的認識しやすいと言われています 回転中心の問題は点線源を切ると一番よく分かります スライド下段は 上が 180 度収集 下が 360 度収集で 各々左からマイナス 2 ピクセル 1 0 プラス 1 2 ピクセル それぞれズレた場合の点線源の Transaxial 像です SPECT 画像に歪みや分解能の劣化がある場合には回転中心の問題を外すためにも QC としてこのような点線源での実験をすることが推奨されています Page 24

25 2-2. 技術的問題点とその対策 均一性の劣化 均一性には検出器固有の均一性とコリメータの感度ムラを含めた総合均一性がありますが SPECT の再構成処理で補正の対象になるのは総合均一性です プラナー画像ではノイズに隠れて問題にならないような数 % の不均一でも SPECT ではリングアーチファクトの原因になり その補正が必要になっています スライド左側のように 不均一が視野中心に無い場合には 再構成画像上にリング状のホットまたはコールドのアーチファクトが発生します 臨床画像では不均一によるリングアーチファクトが認識しづらい場合があります スライド右側の左上はコバルトの面線源を使用したフラッドイメージ 右上は心筋 SPECT の収集イメージ 左下が Transaxial 像 右下が Vertical 像です 各々左側が不均一の無い場合で右側がある場合です 不均一により SPECT 画像上にコールドのリングアーチファクトが発生し 心筋の下壁に欠損を作っていますが SPECT 画像だけではアーチファクトの存在を認識できません 日常の QC として左上のようなフラッドイメージを収集し 評価することが重要になります Page 25

26 2-2. 技術的問題点とその対策 フィルタ処理 ( 再構成フィルタ :Ramp) : Original (μ= /cm ) 225mm 185mm 145mm 125mm Scatter Corrected (μ= /cm ) SPECT の再構成では ノイズを抑え S/N を上げるためのスムージングフィルタと再構成フィルタの 2 種類のフィルタが使用されます 通常 再構成フィルタとして Ramp フィルタが使用されていますが このフィルタの問題として サンプリングの段階で発生するエリアジングがあります スライドは円柱ファントムを使用してこの問題の SPECT 画像への影響を見てみます スライドは円柱ファントムの再構成画像です ファントムの直径は左から 225mm 185mm 145mm 125mm です 各ファントム内の放射能濃度は一定にしていますので 本来は同じ SPECTT 値になるはずですが ファントムサイズによって SPECT 値が変化しています 尚 下段は TEW 法で散乱補正を行っていて SPECT 値のサイズ依存の問題は散乱線とは無関係であることが分かります Page 26

27 2-2. 技術的問題点とその対策 フィルタ処理 ( スムージングフィルタ :Butterworth) : 点線源 スムージングフィルタとして Butterworth フィルタの係数をどう設定するかは各施設で主観的に決めているのが現状です この係数は画質の他に SPECT 値自身も変えてしまうため 定量解析等で問題になる場合があります 2 つの SPECT 画像の SPECT 値を使用して Washout や %Increase 等の定量解析を行う場合には 画質を無視してもこの係数を固定しておく必要があります ( カットオフ周波数を決定するための基本的な考え方 ) スライド左下の図のようにシステム分解能に応じてデータはある程度ボカされるため あるピクセルとその近傍のピクセルではカウントが大きく変化しないことが推定されます それよりも短い周期 = 高い周波数の情報は本来の情報である可能性は低いことになり ノイズと見なすことができます 従って ノイズを除去するためのカットオフ周波数は下記の式より導き出すことができます カットオフ周波数 [c/cm]=1/(2* システム分解能 FWHM[cm]) 他の施設での係数を参考にする場合には メーカごとの式や係数の違いを把握して おく必要があります 東芝 : { 1 + (f / fc) n } -1 f,fc:[cycle/pixel] GE : { 1 + (f / fc) p } -1/2 f,fc:[cycle/cm] Picker : { 1 + (f / fc) 2n } -1 f,fc:[cycle/pixel] 尚 同じ機器メーカでも機種ごとに違う式を採用している可能性もあるため 正確な 式は機器メーカの方に確認する必要があります Page 27

28 2-2. 技術的問題点とその対策 均一吸収補正 吸収の大きさを決める要因 吸収体の厚さ (L) ( 吸収体固有の線減弱係数 (μ) ( 核種のエネルギー L 均一吸収補正法 Sorenson 法 ( 投影データを補正 ) Chang 法 (Transaxial 像を補正 ) I 吸収補正あり I μ (Chang 法 μ=0.1) 1 I =Ie -μl 均一吸収補正の考え方 吸収体の外側に体輪郭を囲み その中を均一な吸収体とみなして 補正を行う 補正なし 補正あり (Chang μ=0.1) 体内の RI から放出されるガンマ線の一部は体内を通過する際に吸収されます 投影データはその影響を含んだまま収集されていますので 吸収による減衰分を補正しないと臓器での実際の RI 分布を再現することができません そのために行うのが吸収補正です 吸収の程度を決める因子には 通過してくる吸収体の厚さ 吸収体固有の線減弱係数 核種のエネルギーなどがあります SPECT に用いられる均一吸収補正法には Sorenson 法 Chang 法があります どちらの方法も 吸収体の体輪郭を設定し その中を均一な吸収体とみなして補正を行う点では共通です この処理を投影データに対して行うか 再構成画像に行うかが大きな違いであり 両者の補正効果に大差はありません 尚 多くの機種では体輪郭の設定に Threshold 法を用いています Page 28

29 2-2. 技術的問題点とその対策 均一吸収補正の種類 Sorenson 法 ( 前処理法 ) 対向する投影データを加算平均後 通過してきた被写体の厚さに応じて補正係数をかけ 逆投影により画像を再構成する p(x,θ) μ T p(-x,θ+π) Chang 法 ( 後処理法 ) 吸収がないものとして画像再構成後 各ピクセルにおける平均吸収量から作成した補正係数マトリクスをかけて補正する μ T (x0,y0) i=5 i=4 i=3 i=2 i=1 Sorenson 法と Chang 法の概要を示します 理論については大まかにおさえておく程度でよいと思います Sorenson 法は画像を再構成する前の投影データに対して行うので前処理法 Chang 法は画像を再構成した後で行うので後処理法と呼ばれることもあります Page 29

30 2-2. 技術的問題点とその対策 均一吸収補正の問題点 Sorenson 法の問題点 コールド領域の補正の正確性に劣る Chang 法の問題点 吸収体の径が大きくなると中心が盛り上がる スライス毎に補正マトリクスを作成する必要があるので 処理に時間がかかる 共通の問題点 いずれも均一吸収体を前提とした方法である 今まで紹介した均一吸収補正法は 必ずしも完全なものではなく ここに上げるような問題点もあります Sorenson 法は 円筒ファントムに対しては Chang 法よりも正確に補正しますが コールド領域がある場合にはその抜け ( コントラスト ) が悪いことが知られています Chang 法は 吸収体の径が大きくなると中心部が盛り上がる問題があることが知られています もう一つの問題である処理時間に関しては最近の処理機の性能からすれば無視できる範囲です 共通の問題として いずれも吸収体全体の吸収係数を一定と仮定しており 円筒ファントムのような均一吸収体であれば効果的ですが 人体に応用する場合には 本来 より精度の高い不均一吸収補正が必要です 但し 精度が悪いから補正をしないということではなく 出来る限り真の値に近づけるように 特に頭部と腹部に関しては 現状でも可能なこれらの均一吸収補正を実施していただく方が望ましいと考えています Page 30

31 2-2. 技術的問題点とその対策 散乱補正 オリジナル画像 散乱線推定画像 1 2D Filter 2D Filter = 散乱線補正画像 提供 : 東芝 散乱補正に関する技術的問題について見てみます 最近 TEW 法で散乱補正を行う施設が増えていますが そのことでリングアーチファクトを作っている施設も複数経験しています その主な原因を紹介します 一つは 画像データをインテジャつまり整数として扱うシステムでは スライド左下のようなカウントの少ない散乱推定画像にフィルタ処理をすると小数点以下が丸められるか 切り捨てられてしまうための誤差が生じることです この問題は TEW 法自体の問題ではなく システム側の制限です また そういうシステムでも収集した 2 つのデータに予め同じ定数を掛けて小数点以下の影響を少なくすることである程度は改善させることができます TEW 法に関するもう一つの問題は均一性です 入射ガンマ線とフォトマルの位置関係や個々のフォトマルの特性の微妙な違いによって 視野内の各位置においてガンマ線のエネルギーに対する反応にバラツキがあることが 均一性を劣化させる主要な原因の一つになっています 通常 データ収集時に設定するエネルギー Window の幅はこのバラツキを加味して ある程度大きめに設定しています TEW 法に限らず OFFSET をかけたり狭い Window のイメージを臨床に使用する場合には 使用しているシステムがそれに耐えうる性能かどうかは 予め QC として同様の実験をして検討していただく必要があると考えています Page 31

32 2-2. 技術的問題点とその対策 ピクセルサイズと収集カウント 128x128(1.88mm) 64x64(3.75mm) FWHM 27 c/p 108 c/p SPECT の画質や定量精度を向上させるためには S/N を確保することが重要になります スライドは 128 で収集したデータを 左側はそのまま再構成したイメージ 右側は 64 に圧縮してから再構成したイメージです 64 の方が明らかに画質が改善しています 分解能を重視するために 128 を使用する施設が多くなってきていますが 多検出器システムは必ず 128 と決め付けるのではなく スライドのように 128 で収集することで目的臓器の平均カウントが 10 とか 20 になってしまうのであれば 64 も検討していただきたいと考えています SPECT の最適ピクセルサイズに関しては日本アイソトープ協会から勧告が出ています スライド右下の図のように SPECT の分解能 FWHM の 1/2 から 1/3 がデータ収集に適したピクセルサイズです スライドで 64 でのピクセルサイズが 3mm 台であることが問題のような気がしますが 通常のガンマカメラのシステム分解能は 10mm を超えていますので 3mm 台のピクセルサイズは特に問題にはならないだろうと考えています Page 32

33 2-2. 技術的問題点とその対策 表示カラースケール 100% 収集データ 0% 収集データ Square Original スライドは同じデータを表示スケールを変えて見ています 左側が二乗スケール 右側が直線スケールです SPECT 画像は カラーコピーとフィルムの両方を提出することが多く また フィルムには二乗スケールを使用する場合もあります スライドでも分かりますようにレインボーパターンのようなカラーパターンに二乗スケールを組み合わせてしまうと見た目の印象が変わる黄色のレベルが極端に高くなってしまうために 同じレインボーパターンでも通常使用している直線スケールのイメージとは印象の違ったイメージに見えてしまいます Page 33

34 2-3.ML-EM 法 ML-EM 法の概要 最尤推定 - 期待値最大化 (ML-EM:Maximum ( Likelihood - Expectation Maximization) ) 再構成法は 最尤 (ML) ( 推定法と期待値最大化 (EM) ( 法という 2 つの考え方を組み合わせることで未知数である体内の RI 分布を収集した投影データから統計的手法によってもっとも可能性の高いケースとして推定する方法である 1.ML 法 ( 最尤推定法 :Maximum : Likelihood) 最も確からしい値の推定 MAP 推定 ( 最大事後確率推定 :Maximum : A Posteriori) 2.EM 法 ( 期待値最大化法 :Expectation Maximization) 繰り返し ( 逐次 ) 計算による推定 ML-EM 法では 推定した体内の RI 分布から計算した投影データを実際に収集した投影データにできるたけ近づけるように逐次近似法を用いて体内の RI 分布を繰り返し修正していく 現在 ML-EM 法を高速化した変法として OS-EM(Ordered Subsets - EM) 法が開発され 臨床に使用され始めている ML-EM 法の概要についてです そのまま読みます : 読んでもピンときませんが ML-EM 法の基になっている2つの考え方であるML 法 ( 最尤推定法 ) とEM 法 ( 期待値最大化法 ) については原理を紹介する際に触れたいと思います : : です Page 34

35 2-3.ML-EM 法 OS-EM 法の概要 投影データをいくつかの Subset( ( グループ ) に分割して 1 回の Iteration( ( 繰り返し ) でこの Subset の数だけ画像の更新を行う つまり 計算の収束を早めるためにラフな推定 ( 更新 ) を頻繁に行うように工夫している ML-EM 法の一種であり Subsetを1 にすれば ML-EM 法と同じ 1 つの Subset にどの方向を使用するか 及び 各々の Subset の使用順序は任意であるが 通常は偏りがないような組み合わせにする 1 Iteration Subset 1 (24) ML-EM 法と同じ 投影方向 :24 : Subset 4 (6) Subset 6 (4) このスライドでは ML-EM 法の変法で現在各機器メーカがソフトウェアを提供している OS-EM 法の概要を紹介しています そのまま読みますので スライド下段の図を見ながらお聞きください : : : です 但し 最後の件は技術的な評価が固まっているようで 現在各機器メーカが提供しているソフトウェアでは変更ができないようになっています 通常 ユーザが指定できるのは Subset の数と Iteration の回数になりますが Subset の数も変更できないようにしているソフトウェアもあります Page 35

36 2-3.ML-EM 法 収束性の比較 数値ファントム (128x128) ( [ 投影方向 :90 : ] Cold region:0 BG region:20 Hot region:80 counts/pixel ML-EM 法 Hot region BG region Cold region Iteration counts/pixel Subset = 15 Cold region OS-EM 法 Hot region BG region Iteration 提供 : 島津製作所 スライドは数値ファントムを使用して ML-EM 法と OS-EM 法の収束性を比較しています 数値ファントムは Cold 領域が 0 Hot 領域が 80 Background 領域が 20 になっています また OS-EM 法では Subset を 15 つまり全投影方向が 90 ですので 1Subset あたり 6 方向にしています 各々の領域でのカウントのグラフを見ると 左側の ML-EM 法では まず Background 領域が 6 回程度の Iteration で真の値に収束しています 次に Hot 領域が 10 回程度で収束しています 但し Cold 領域に関しては 20 回の Iteration でも真の値である 0 になっていません Cold 領域を 0 に収束させるためには 30 回程度の Iteration が必要になっています 一方 右側の OS-EM 法では Background 領域 Hot 領域とも 1 回の Iteration で真の値に収束しています Cold 領域に関しても 5 回程度の Iteration で収束しています このように OS-EM 法では ML-EM 法の 10 分の 1 程度の Iteration で真の値に収束します OS-EM 法は ML-EM 法を基礎としていますが ソフトウェア的には ML-EM 法を含んだ形になっていることもあって 現在ほとんどの機器メーカが提供しているソフトウェアは OS-EM 法のソフトウェアです Page 36

37 2-3.ML-EM 法 Subset と Iteration FBP OS-EM Subset Iteration 提供 : 東芝 スライドは脳血流 SPECT の臨床データを OS-EM 法による画像再構成の処理条件を変えて見ています 左上が参照用の FBP 法の画像です その下が Subset が 1 つまり ML-EM 法での画像 次が Subset が 5 10 で各々左から Iteration が 1 回 2 回 3 回 4 回 5 回 10 回です これらの画像を見ても分かりますように Subset 数 Iteration 数が増えるにしたがって 画像がボケたものから シャープでノイズっぽい画像に変化しています 先ほどの数値ファントムのようにノイズがない場合には Iteration の回数を増やすことで必ず真の値に収束することが保証されていますが 実際のデータにはノイズが多く含まれていますので Subset 数 Iteration 数をどう指定するかが重要になってきます 但し 現在では 各機器メーカから推奨の条件が聞けるようになりましたので OS-EM 法のソフトウェアが出た当初ほどの混乱はないようです 尚 Subset*Iteration=30~ 100 が一般的なようです Page 37

38 2-3.ML-EM 法 再構成の流れ FBP 投影データ OS-EM (ML-EM) システム分解能以上の高周波数成分に真実の情報はない FWHM=1cm T=2cm f=0.5cycle/cm 散乱補正吸収補正スムージングフィルタ (Butterworth ( など ) 収集データは真実 但し 統計的に揺らいでいる 再構成フィルタ画像再構成 (Ramp など ) with 散乱補正逆投影吸収補正 (Back Projection) 分解能補正但し 現状のソフトウェアにはこれらの補正は組み込まれていない 投影 ( 収集 ) 逆投影 最後に FBP 法と比べての利点を見ていきますが はじめに画像再構成の流れの違いを見てみます スライド左側の FBP 法では 基本的に FBP 法とは別な処理として散乱補正や吸収補正 スムージング等の処理が行われています OS-EM 法では 画像再構成の段階で散乱補正 吸収補正 及び 分解能の補正を行います ( 但し 現在各機器メーカが提供しているソフトウェアではこれらの補正は行われていません ) OS-EM 法でもスムージング処理は別な処理ということになりますが スムージング処理を画像再構成の前に行うか後に行うかは機器メーカごとに違いがあるようです また 原理的には ML-EM 法のような統計を基礎とする再構成を行う場合 収集した個々のデータは真の値であるが統計的なゆらぎを持っていると考えますので スムージング処理を行うにしてもその意味合いは FBP 法とは違ったものになります 現在のところ OS-EM 法による画像再構成に適したスムージングフィルタの種類や条件に関する文献は出ていないと思います Page 38

39 2-3.ML-EM 法 FBP 法と比べての利点 FBP 法における再構成フィルタに起因する問題の改善 投影単純投影 Ramp フィルタ ( 実空間 ) ストリークアーチファクトが発生しない 低カウント領域での S/N が良い SPECT 値のサイズ依存の問題が発生しない 式に 測定系で起る物理現象を織り込むことによって さまざまな補正が可能 ( 吸収 散乱 分解能 : ボケ ) クリスタル コリメータ 半影により 距離に依存したボケが発生 FBP 法と比べての利点を紹介します 最初は FBP 法における再構成フィルタに起因する問題の改善に関してです スライド上段の図のように各方向から収集した投影データを単純に逆投影しただけでは 被写体の周りにボケが生じます FBP 法において この周辺に生じるボケを補正するためにかけるフィルタが再構成フィルタです OS-EM 法では FBP 法でのこのフィルタに起因する問題が改善することが知られています 具体的には ストリークアーチファクトが発生しない 低カウント領域での S/N が良い SPECT 値のサイズ依存の問題が発生しない です 次の利点は 式に 測定系で起る物理現象を織り込めむことによって さまざまな補正ができることです この物理現象とは具体的には吸収 散乱 分解能 : ボケですが ここで分解能 : ボケと言っているのは右下の図に示しますようにコリメータの半影によって目的方向以外の場所からのガンマ線も入射してくることによるコリメータと対象物の距離に依存した分解能の劣化を意味しています この問題はスライド下段の図のように対象物が回転中心付近に存在する場合には 各角度のデータが同程度にボケるために右側の再構成画像の対象物に単純なボケを発生させます 一方 対象物が回転中心にない場合にはこの問題はボケとともに画像歪みを発生させることがあります 個人的には OS-EM 法が普及するためには OS-EM 法にこの分解能 : ボケに対する補正を組み込むことが必須であろうと考えていますが この補正に関しては まだ一般臨床で使用できる段階にはありません それでは これらの利点を実際の画像で見ていきたいと思います Page 39

40 2-3.ML-EM 法 ストリークアーチファクトの改善 (Phantom) ( 収集データ 収集データ FBP OS-EM Transaxial FBP Coronal OS-EM 最初は OS-EM 法によるストリークアーチファクトの改善についてです スライドはストリークアーチファクトに関して FBP 法と OS-EM 法の違いをファントムを使用して見ています 左側は線線源 右側は直径 8cm のボトルと 1.5cm のバイアルを使用してのファントム実験の結果です 両方ともテクネを使用しています ボトルとバイアルの放射能濃度の比は 1 対 10 です 各々上が収集データ 左下が FBP 法 右下が OS-EM 法での再構成画像で 線線源では Transaxial 像 ボトルとバイアルでは Coronal 像を表示しています 尚 再構成画像の表示は負の値が分かるように表示のロアレベルをマイナスにしていますので 0 カウントにも色が付いています 画像を見ると明らかなように FBP 法で発生しているストリークアーチファクトが OS-EM 法ではほとんど消えています ここで 注意していただきたいのは 線線源によるストリークアーチファクトは両端の 2 つの線源から発生していることです つまり 各角度の収集データにおいてその線源のカウントやボケの程度が変化する場合にストリークアーチファクトが目立ってくるこいうことです 逆に言うと各角度の収集データにおける線源のカウントやボケの程度が一定である中央の線源によるストリークアーチファクトはそれほど目立ちません Page 40

41 2-3.ML-EM 法 ストリークアーチファクトの改善 ( 骨 Ga) FBP Transaxial MIP OS-EM FBP OS-EM 提供 : 千葉がんセンター スライド左側の骨 SPECT では 肋骨への転移病巣に極めて強い集積があり FBP 法ではストリークアーチファクトが発生しています 右側のガリウムの全身 SPECT ではマルチに Hot Spot が存在しますが FBP 法では矢印で示す小さな Hot Spot が隣の強い Hot Spot からのストリークアーチファクトによって消されてしまっています このように FBP 法ではより強い Hot Spot によってその周辺の小さな または 弱い Hot Spot が覆い隠されてしまう可能性があります そういう例でも OS-EM 法では分離して見えてきますので 骨やガリウムのようなマルチの Hot Spot が存在する画像に有用であることが分かります Page 41

42 2-3.ML-EM 法 FBP 法における 180 度収集でのアーチファクトの増強 収集データ 180 度 FBP 360 度 Transaxial Coronal Transaxial Coronal 提供 : 昭和大学藤が丘 FBP 法では 180 度という不完全な収集において極端なストリークアーチファクトを発生させる可能性があります スライドは FBP 法における 180 度収集でのストリークアーチファクトの増強を心肝ファントムで見ています スライド左上の収集データの正面の画像を見ると分かりますが このファントムは肝臓の右葉を極端に起上させています 臨床データにおいても時々肝臓が心臓と同じ高さに起上してくることがありますが このファントムはそういうデータを模擬しています また ヨード製剤やテクネ製剤では肝臓に心筋と同等かそれ以上の強い集積を示すことがありますので 今回の実験では放射能濃度の比を心筋の 1 に対して肝臓が 0 の場合と 3 の場合の 2 種類のデータを収集して比較しています スライド右側は全て FBP 法で再構成した画像です 左側が 180 度収集 右側が 360 度収集で上が肝臓が 0 下が 3 の画像です 尚 再構成画像の表示は心筋 Max に対してアッパーレベルを 100% に ロアレベルを -30% にセットしていますので 0 カウントが色をもっています まず 肝臓を 0 つまり ただの水だけを入た場合ですが 結果は 180 度収集でも 360 度収集でも心基部側に若干の違いはありますがほぼ同等の画像になっています ところが 肝臓に RI を入れたデータの場合 180 度収集では肝臓の横方向に強い負の扇を作って矢印で示すように心筋の下壁に欠損が発生しています スライド左側は臨床の収集データですが この画像でも分かりますように肝臓がよく写っている角度の端の角度の投影方向に沿ってより強い負のベルトを作ることがあります このベルトが発生する原因はスライド左下のように再構成フィルタで処理した後の肝臓のプロフィールカーブの負の部分が 180 度という不完全なデータであるために最終的に相殺されずに残ってしまうためです このベルトによって心筋の基部側が削られたり 中隔 下壁に欠損を作る可能性があるわけです 一方 360 度収集の場合には ストリークアーチファクトが多少残るために心筋の分布を不均一にしてはいますが 負の扇やベルトが抑えられるために 180 度収集で発生していた下壁の欠損は明らかに改善しています Page 42

43 2-3.ML-EM 法 ストリークアーチファクトの改善 ( 心筋 ) FBP OS-EM Transaxial Vertical Short 提供 : 松下記念 スライドは先ほどと同じファントムを使って実験したデータで 180 度収集で左側が FBP 法で右側が OS-EM 法で再構成した画像です 上から Transaxial 像 Vertical 像 Short( 短軸 ) 像です Transaxial 像の表示は心筋 Max に対してアッパーレベルを 100% に ロアレベルを -30% にセットしています FBP 法で発生している中隔や下壁の欠損が OS-EM 法で改善していますが 完全ではありません これは吸収 散乱 分解能補正をしていないのが原因であると考えています 尚 このデータは Transaxial 像を見ると分かりますがファントムを傾けて収集しましたので左上に表示している先ほどの画像と比較すると負の扇やベルトの角度が変わっています また 負の扇やベルトの影響が弱くなっていますが これは今回の実験では放射能濃度の比を心筋の 1 に対して肝臓を 2 に抑えたことと縦隔に水を入れなかったために吸収が少なかったことで肝臓が全方向から見えていたことが原因です Page 43

44 2-3.ML-EM 法 ストリークアーチファクトの改善 ( 心筋 ) Planar (ANT) FBP OS-EM FBP OS-EM 提供 : 札幌医大 スライド左側はテクネ製剤を使用した 180 度心筋 SPECT の臨床データです この例のようにテクネ製剤やヨード製剤を使用した場合には肝臓や胆嚢に高集積が見られることがあります スライド上段は左から収集データの正面像 Coronal 像 Vertical 像 Short( 短軸 ) 像で 断層像は各々上が FBP 法 下が OS-EM 法の画像です 尚 中央の Coronal 像の表示は心筋 Max に対してアッパーレベルを 100% ロアレベルを - 30% にしています FBP 法での Coronal 像を見ると下壁の欠損は肝臓の高集積によって生じた水平に走るストリークアーチファクトの影響であることが分かります 各断層像を見ると FBP 法で発生した下壁の欠損が OS-EM 法で改善していることが明らかです 下段の短軸中央スライスにおける Circumferential profile 解析では カーブ中央の下壁の %Uptake が FBP 法の約 50% から OS-EM 法では約 70% と改善しています %Uptake が 50 ~60% を Critical line( ポジティブかネガティブかの境界値 ) にする施設が多いようですが その場合スライドの症例では FBP 法と OS-EM 法で診断結果が変わることになります スライド右側もテクネ製剤を使用した 180 度心筋 SPECT の臨床データです この例は LAD7 番に狭窄を有する症例ですので 心尖部に限局しての低カウントは臨床と合っていますが FBP 法ではその他に肝臓からのストリークアーチファクトによって下壁に抜けを作ってしまっています Page 44

45 2-3.ML-EM 法 ストリークアーチファクトの改善 ( 心筋 ) 提供 : 札幌医大 スライド左側は健常者 9 名から作製した MIBG の平均 Bullseye 画像です 左側が Early 右側が 3 時間後の Delayed で 上段が FBP 法 下段が OS-EM 法の画像です Early Delayed とも下壁領域が OS-EM 法に比らべて FBP 法でより低カウントになっていることが分かります また FBP 法では負のベルトの影響だと思いますが 心基部側が OS-EM 法に比べて低カウントになっています スライド右側は平均 Bullseye 画像の %Uptake を領域ごとに評価したものです 左側が Early 右側が 3 時間後の Delayed です また 領域は左から心尖部 前壁 中隔 下壁 側壁の 5 領域に分けています 各々左側が FBP 法 右側が OS-EM 法の結果です OS-EM 法では Early Delayed とも全領域で %Uptake が上がり より均一な分布になっていることが分かります また 下壁では両者の間に有意差があることを示しています Page 45

46 2-3.ML-EM 法 低カウント領域での S/N の改善 数値 Phantom 低カウント高カウント FDG-PET OS-EM FBP 提供 : 島津製作所 提供 :GEYMS : 次は OS-EM 法による低カウント領域での S/N の改善についてです スライド左側はノイズを加えた数値ファントムです 左側が低いカウントの場合 右側が高いカウントの場合で 上が OS-EM 法 下が FBP 法での再構成画像です FBP 法の場合 再構成フィルタによって統計ノイズも強調されてしまいます 従って スライドの画像を見ても分かりますように 特にカウントの低い画像において OS-EM 法でより安定した画像が得られると言われています スライド右側は FDG を使用した PET のイメージで 同じ収集データを再構成法を変えて見ています 上が OS-EM 法 下が FBP 法で再構成した Coronal 像です スライドでも明らかなように OS-EM 法では FBP 法に比べて低カウント領域での S/N が改善しています この利点は SPECT でもガリウムやタリウムを使用した腫瘍イメージングにおいて威力を発揮すると言われています Page 46

47 2-3.ML-EM 法 低カウント領域での S/N の改善 (Tl ( 腫瘍 ) FBP Tumor Mean = 52.7 %cv = 42.0 Normal Mean = 7.11 %cv = 98.9 TNR = 7.4 Tumor Mean = 13.7 %cv = 27.3 Normal Mean = 0.47 %cv = TNR = 29.1 OS-EM Tumor Mean = 89.9 %cv = 37.7 Normal Mean = 28.6 %cv = 29.5 TNR = 3.2 Tumor Mean = 26.5 %cv = 6.8 Normal Mean = 7.25 %cv = 21.1 TNR = 3.7 提供 : 横浜南共済 スライドはタリウムを使用した上段が肺 下段が脳の腫瘍 SPECT の Coronal 像で それぞれ左が FBP 法 右が OS-EM 法の画像です 表示はロアレベルをマイナスにしています これらの画像や正常領域の ROI 内の CV 値 ( 変動係数 ) からも OS-EM 法では FBP 法に比べて低カウント領域での S/N が改善していることが分かります OS-EM 法では正常領域のカウントがより安定して得られるために Tumor to Normal Ratio(TNR) 等の ROI 解析の精度も向上することが期待されています 但し スライドのように TNR の値自体は FBP 法に比べて低い値になる傾向があります 従って FBP 法で求めた悪性度等の診断基準は OS-EM 法では使えません OS-EM 法を採用する場合には OS-EM 法での新たな基準が必要になっています Page 47

48 2-3.ML-EM 法 吸収 散乱補正への応用 式内に吸収 散乱の項目を織り込むことで 再構成の段階で補正ができる μ マップ (X 線 CT,TCT) OS-EM AC-,SC- AC+,SC- 下壁の過補正 AC+,SC+ 提供 :GEYMS : 吸収 散乱補正は SPECT の定量精度を向上させるための必須条件になっています 現在 OS-EM 法の吸収 散乱補正への応用は各機器メーカごとに独自に進められていて 今後 一般臨床にどう降りてくるかは分かりません 但し 共通して言えることは定量のためには吸収補正と散乱補正は両方行う必要があるということです 例えば スライドの心筋 SPECT において吸収補正だけで散乱補正をしないと下壁が過補正されることになりますし スライドにはないのですが散乱補正だけで吸収補正をしないと下壁が低カウントになって評価しづらくなります Page 48

49 2-3.ML-EM 法 コリメータの半影による画像のボケと画像歪み クリスタル 画像歪み : 収集角度ごとに目的臓器のボケの程度が変化することによって発生する FBP コリメータ 半影 次は 分解能補正についてです コリメータの半影によるボケの問題は 中央上段の図のように対象物が回転中心付近に存在する場合には 各角度のデータが同程度にボケるために下段の再構成画像の対象物に単純なボケを発生させます 一方 対象物が回転中心にない場合にはこの問題はボケとともに画像歪みを発生させることがあります 右の画像は 180 度収集の心筋 SPECT でこの問題を見たものです この症例は LCx13 番に狭窄を有する症例ですので 後側壁のカウント低下は臨床に合っていますが その他に画像歪みにより Short( 短軸 ) 像の歪みと Bullseye 及び Short( 短軸 ) 像の 10 時方向にスジ状の抜けができています 左上の収集データを重ね合わせたイメージはアップワードクリープやトランケーションが発生していないことを示しています SPECT では目的臓器を回転中心におくことが基本ですが 多検出器システムでは心筋 SPECT において心筋を回転中心におくことが困難であり 体に近接してのデータ収集を行う場合もありますので 今後もこの問題が発生するのではないかと考えています 個人的には 精度の違いはあるにせよ吸収や散乱に対する補正は FBP 法でもできていますので 通常の FBP 法では補正できない分解能の補正を組み込んだ OS-EM 法のソフトウェアこそ OS-EM 法の一般臨床への普及の起爆剤になる思っています 但し この補正に関しては まだ一般臨床で使用できる段階にはありません アップワードクリープ : 負荷心筋検査で問題になる収集中の呼吸数の減少に伴う心筋の傾きの変化 ( 下壁を中心に低カウント領域が発生 ) トランケーション : 目的臓器を含む同一水平面内の各臓器が収集角度によって視野から外れること ( 画像歪みが発生 ) Page 49

50 2-3.ML-EM 法 FBP 法における SPECT 値のサイズ依存の改善 OS-EM 法では FBP 法での Ramp フィルタのエリアジングの問題は発生しない SC+, AC+ (μ= 0.153/cm ) 81% 100% 110% 115% Original FBP 225mm 185mm 145mm 125mm Zero Padding 97% 100% 102% 102% 提供 : 横浜南共済 最後は FBP 法における SPECT 値のサイズ依存の問題の改善に関してです スライドはこの問題を円柱ファントムの再構成画像で見ています ファントムの直径は左から 225mm 185mm 145mm 125mm です 各ファントム内の放射能濃度は一定にしていますので 本来は同じ SPECT 値になるはずですが スライド上段のオリジナル画像ではファントムサイズによって SPECT 値が変化してしまっています 尚 TEW で散乱補正を行っていますので この問題は散乱線の影響によるものではありません 下段はこの問題を改善させる一つの方法である Zero Padding 法を行ってから再構成した画像です FBP 法における再構成フィルタに起因するこの問題は FBP 法でも処理の工夫により改善させることができますが OS-EM 法では原理的にこの問題は発生しません Page 50

51 2-3.ML-EM 法 現時点での課題 統計ノイズを含む臨床の SPECT データに応用する際の一般的な規則がない Iteration, Subset OS-EM 法を単独で使用する場合の問題点が十分検討されていない 臓器毎の FBP 法の画像との違い 各種 ( 定量 ) 解析結果への影響 心筋 SPECT 解析 脳血流 SPECT 定量解析 腫瘍 SPECTのROI 解析 (TNR,Retention ( Index) 吸収 散乱 分解能補正への応用も含め 基礎 及び 臨床データの蓄積が必要である スライドに OS-EM 法の現在の課題をまとめてみました そのまま読みます : : : です OS-EM 法のこのような課題がいろいろな施設で検討され また 吸収 散乱 分解能補正への応用が進むことで OS-EM 法が核医学検査の価値を向上させることを期待しています Page 51

52 参考 : 最尤 (ML) 推定 もっとも確からしい値の推定 濃度 λ[mbq MBq] の RI を1 つの検出器で n 回測定 (x1, x2, x3,,, xn) λ c x 検出器 λ:ri 濃度 [MBq] c : 検出確率 (DCF ( を含む ) x : 計数 [count/min] 計数 x の最尤推定値 = 濃度 λの最尤推定値 = n $ xi i=1 n : 最尤推定において最も基本的な計算 x1+x2+ c + c + +xn + c = n $ xi i=1 nc 参考に ML-EM 法の原理について簡単にご紹介します まず始めに ML-EM 法の基本である最尤 (ML) 推定 つまり もっとも確からしい値の推定の考え方について見てみます スライドのように濃度 λmbq の RI を 1 つの検出器で n 回測定する場合を考えます ここでは 各々の計数を x1,x2,x3,,,xn RI から放出された光子が検出器で検出される確率を c としています この検出器をドーズキャリブレータ ( キューリーメータ ) と考えた場合 カウントをドーズ MBq に変換するドーズキャリブレーションファクター :DCF もこの c の中に含まれることになります スライド下段の式のようにこの場合の計数 x の最尤推定値 つまり もっとも確からしい計数は全ての計数の総和を測定回数 n で割ったものになります これが最尤推定において最も基本的な計算で こうなる理由はきちんと証明されていますが その証明方法を知らなくても経験的に納得できる計算式です 同様に 濃度 λ の最尤推定値 つまり もっとも確からしい濃度は全ての計数の総和を全ての検出確率の総和で割ったものになります 検出確率という確率を足すということに躓く人がいますが 分母 分子ともそれぞれ計数 検出確率の平均を求めるための測定回数 n で割る部分が省略されていると考えれば納得しやすいかもしれません この総和同士で割るという式は各々の測定における検出確率が違っている場合でも適用できるという意味で重要になります Page 52

53 参考 : 最尤 (ML) 推定 もっとも確からしい値の推定 E RI から検出器に向かって毎秒平均 1000 個の光子が放出されている それを検出器で 6 回測定したが その内 3 回の検出確率は 1 残りの 3 回は であった それぞれの計数が (980,1000,1020,0,0,1 ( 980,1000,1020,0,0,1) ) であった場合の放出光子数の最尤推定値は? n $ xi i=1 n $ ci i=1 = = = n $ i=1 xi ci 980 / n = / = ( ) / 6 = = スライドには濃度 λの最尤推定値を求める簡単な例を示しています 説明を簡単にするために ここでは検出確率にドーズキャリブレーションファクターを加味しない場合 つまり 求めるものはRIから検出器に向かって放出された光子の数ということにしています : ここで 求めたい放出光子数は毎秒平均 1000 個であることが分かっています 枠内の最尤推定値を求める式の答えは999.3ですが スライド下段のように測定条件の違う測定値の平均を求める場合によく用いられる測定条件を規格化した後に加算平均する式を使用してしまうと答えが違ってきてしまいます 一つの原因に対して複数の条件の違う結果が選られた場合には枠内の式のように結果の総和を全ての測定条件の総和で割る式を使わなくてはならないことが理解できます Page 53

54 参考 : 最尤 (ML) 推定の画像再構成への応用 濃度 λ[mbq MBq] の RI を1 つの検出器で n 回測定 (x1, x2, x3,,, xn) 断層画像 λ c 計数 x の最尤推定値 = 濃度 λの最尤推定値 = 投影データ : x n $ xi i=1 n 検出器 ( 投影データ上の 1 画素 ) : : 最尤推定において最も基本的な計算 x1+x2+ c + c + λ: 断層画像上の 1 画素の RI 濃度 c : 検出確率 x : 投影データ上の 1 画素の計数 +xn + c = n $ xi i=1 nc 最尤 (ML) 推定を画像再構成に応用する場合 λ は断層画像上の 1 画素の RI 濃度 検出器は投影データ上の 1 画素 x はその計数になります Page 54

55 参考 : 最尤 (ML) 推定の画像再構成への応用 n 画素 j の濃度 λ j の RI をn 方向の検出器で測定 (x 1j, x 2j, x 3j,,, x nj 断層画像 λ j x 3j 検出器 3 c ij m x 2j 投影データ : x 1j 検出器 2 画素 j の濃度 λ j の最尤推定値 = 検出器 1 ( 投影データの1 画素 ) : x 1j +x 2j + c 1j +c 2j + 1j 2j +x nj +c nj 3j = nj ) i : 投影データ上の各画素 (1-n) ( 各画素を検出器と考える ) j : 断層画像上の各画素 (1-m) λ j : 画素 jの RI 濃度 c ij : 画素 j から放出された光子が検出器 i で検出される確率 ( 吸収 散乱 分解能 : ボケ ) x ij : 画素 j から放出され検出器 i で検出される光子数 n $ x ij i=1 n $ c ij i=1 それでは 最尤 (ML) 推定を画像再構成に応用してみます 最初に記述の説明をします iは投影データ上の各画素 (1-n) で 各画素を検出器と考えます この画素 ( 検出器 ) の総数 nは投影データのマトリクスサイズと投影方向を掛けたものになります jは断層画像上の各画素 (1-m) で マトリクスサイズが64であれば画素の総数 mは 64*64(=4096) になります λjは画素 jのri 濃度です cijは画素 jから放出された光子が検出器 iで検出される確率で この確率には吸収 散乱 分解能 : ボケが影響します xij は画素 j から放出され検出器 i で検出される光子数です 今 画素 j の濃度 λj の RI を n 方向の検出器で測定する場合を考えます ここでは 各検出器の計数を x1j,x2j,x3j,,,xnj とします 吸収体の存在により 各方向ごとに検出確率が変わりますが画素 j の濃度 λj の最尤推定値 つまり もっとも確からしい濃度を求める式は先ほどと同じで 全ての計数の総和を全ての検出確率の総和で割ったものになります Page 55

56 参考 : 最尤 (ML) 推定の画像再構成への応用 n 実際には周辺の画素にも RI が存在するので x ij は直接測定できない λ j y 3 x ij の MAP 検出器 3 c ij m MAP 推定値 = y 2 y 1 : 検出器 1 ( 投影データの1 画素 ) : 検出器 2 y i c ij λ j c i1 λ 1 +c i2 λ 2 + 投影データ上の各画素のカウント (y ( i ) から推定する必要がある 最大事後確率推定 (MAP 推定 ) +c im λ m = y i c ij λ j m $ c ij λ j j =1 ところが 実際には周辺の画素にも RI が存在しますので xij は直接測定できません 従って 検出器 i における各画素からの計数値の総和である投影データ上の各画素のカウント yi から推定する必要があります この時に用いるのが最大事後確率推定 (MAP 推定 ) という考え方です スライド下段は xij の MAP 推定値の計算式で 投影カウント yi と各画素の推定 RI 濃度 検出確率から xij を推定しています この式は 結果である yi が与えられたという条件の下で その原因である xij を推定することを意味しています 具体的に説明します スライドの検出器 1 の投影カウント y1 を例に考えた場合 散乱やボケの問題を無視すれば 検出確率は画素 j を含む投影方向 ( 横方向 ) の画素以外は全て 0 になります 従って この投影方向の全画素の推定 RI 濃度と各々の検出器 1 への検出確率を掛け合わせた値 ( 計算上の投影カウント ) に対する画素 j の推定 RI 濃度 λj と検出確率 c1j を掛けた値 ( 計算上の x1j) の割合に y1( 実際の投影カウント ) を掛けることで y1 が与えられたという条件の下での x1j を推定しています Page 56

57 参考 : 最尤 (ML) 推定の画像再構成への応用 つまり 最尤 (ML ( ML) 推定によって求めたい未知数である画素 jの 濃度 λ j をc ij とx ij から推定するが x ij は直接測定できないため MAP 推定によって求めることになる ML 推定 λ j = n $ x ij i=1 n $ c ij i=1 MAP 推定 x ij y i c ij λ j m $ c ij λ j j =1 = 1 n $ c ij i=1 n $ i=1 y i c ij λ j m $ c ij λ j j =1 この式は λ j について解けないので EM 法による逐次式を作成する つまり ML 推定によって最終的に求めたい未知数である画素 j の濃度 λj を cij と xij から推定しますが xij は直接測定できないため MAP 推定によって求めることになります スライド下の式は ML 推定の式の xij に MAP 推定の式を代入したものですが この式には右辺にも λj があり λj について解けませんので EM 法による逐次式を作ることになります Page 57

58 参考 : 最尤 (ML) 推定の画像再構成への応用 ML-EM 法の基本式 λ j k λ k j n y i c ij λ k+1 j = $ n i=1 m $ c ij $ c ij λ k j i=1 j =1 i x ij y i i : 投影データ上の各画素 (1-n): 各々の画素を検出器と考える j, j : 断層画像上の各画素 (1-m) λ k j,λ k+1 j, λ k j : 画素 j, j における k 回目 k+1 回目の逐次近似での推定 RI 濃度 y i : 検出器 i で検出された全光子数 ( 投影カウント ) c ij, c ij : 画素 j, j から放出された光子が検出器 i で検出される確率 ( 吸収 散乱 分解能 : ボケが影響 ) ということで スライドが ML-EM 法の基本式になります 先ほどの式の右辺の λj を逐次近似における k 回目の推定値 左辺の λj をこの式の計算によって得られた k+1 回目の推定値としています 実際の計算では 点線内の値を補正係数のように扱い k 回目の推定値にこの係数を掛けることで k+1 回目の推定値を求めています Page 58

59 参考 : 最尤 (ML) 推定の画像再構成への応用 ML-EM 法を理解するための簡単なモデル 投影方向数を 2 断層画像のマトリクスサイズを 3*3 とし 各検出確率 c ij は投影方向にのみ 1 他は 0 と仮定 投影カウント y i 真の値 推定値 λ 1 λ 2 λ 3 λ 4 λ 5 λ 6 λ 7 λ 8 λ 9 最初に 全ての λ 値 ( を 1 と仮定し 推定計算を行う λ 1 1 = 1 * (12/3 + 6/3) / 2 = 3.0 λ 1 2 = 1 * (15/3 + 6/3) / 2 = 3.5 λ 1 3 = 1 * (18/3 + 6/3) / 2 = 4.0 : λ 1 9 = 1 * (18/3 + 24/3) / 2 = 7.0 値 (λ 10,λ 20,λ 30,,,λ 9 0 ) λ j k+1 n y i c ij = λ jk $ m i=1 $ c ij λ k j j =1 n $ c ij i=1 1 回目の推定値 ML-EM 法の原理は複雑に感じますが 計算の仕方としては実は意外とシンプルです スライドは ML-EM 法を理解するための簡単なモデルを示しています ここでは 投影方向数を 2 断層画像のマトリクスサイズを 3*3 とし 各検出確率 cij は投影方向にのみ 1 他は 0 と仮定しています つまり 投影方向以外の画素からは計測されないと仮定していますので スライド左の断層画像の各画素の値を真の値とした場合には 2 方向の投影データの各計数値は投影方向の画素値の総和になります ここでは この 2 つの投影データから逆に断層画像の各画素の値 λ1 から λ9 を推定してみます スライド左下は ML-EM 法の基本式ですが 最初に λ1 から λ9 までの全ての値を 1 であると仮定して この式で計算を行います λ1 の 1 回目の推定値を求める式の中で最初の項である (1) は λ1 の初期値です 点線内が補正係数を求める部分ですが (12/3) の項は λ1 の縦方向の実際の計数値 (12) と λ1,λ4,λ7 の値から推定した計数値 (1+1+1=3) の比です この方向しか投影データがなければ補正係数はこの比 4 になり 初期値に対して 4 倍すれば良いことになります 同様に横方向に対しても ( 6/3) で比を求め その和を cij の総和である 2 で割って 平均の補正係数を求めています 同じことを全ての画素で行い 1 回の逐次近似が終了します 左下の値が 1 回目の推定値です Page 59

60 参考 : 最尤 (ML) 推定の画像再構成への応用 1 回目の推定値 投影データ y i 回目の推定値 この計算を指定した回数だけ繰り返す 1 回目の推定値を用い 同じ計算を繰り返す λ 2 1 = 3.0 * (12/( ) + 6/( )) / 2 = 2.2 λ 2 2 = 3.5 * (15/( ) + 6/( )) / 2 = 2.8 λ 2 3 = 4.0 * (18/( ) + 6/( )) / 2 = 3.3 : λ 2 9 = 7.0 * (18/( ) +24/( )) / 2 = 8.1 真の値 回目の近似では 1 回目の推定値を初期値として 先ほどと同じ計算を行います 以下 同じことを指定した回数だけ繰り返すことになります 投影像にノイズが含まれない場合は 最終的に真の値に収束することが保証されています これが ML-EM 法による画像再構成のごく基本的な計算になります Page 60

61 Index 本テキストの内容 1. 画像処理の基礎 1-1. 核医学画像の特性 1-2. 各種フィルタ処理の効果 2.SPECT の基礎 2-1. 再構成の概要 2-2. 技術的な問題点とその対策 2-3.ML-EM 法 3. 臓器別画像解析の注意事項 3-1. 腎機能定量解析 3-2. 脳血流定量解析 3-3. 心筋 SPECT 解析 最後に 臓器別画像解析の注意事項として 摂取率法による腎機能解析 脳血流定量解析 心筋 SPECT 解析での解析上の注意事項を紹介します Page 61

62 3-1. 腎機能定量解析 数え落とし count rate ( cps ) 実測値予測値 0 activity ( MBq ) 提供 : 山形大学 摂取率法による腎機能定量解析の技術的な問題点を示します 最初は 静注前のシリンジの収集で問題になる数え落しについてです アンガー型ガンマカメラでは正確な位置信号 エネルギー信号を得るためには各フォトマルの出力を積分する 900nsec 程度の時間が必要になります この時間を不感時間と言いますが 検出器に入射するガンマ線が多くなると この不感時間のために数え落としが発生します 最新のシステムでも 185MBq 5mCi で約 3% の数え落としがあると言われています よく勘違いすることですが 数え落としの問題は波高分析器の前で発生するので Window 幅を狭めることでは解決しません また テクネとヨード 123 の数え落としが極端に違う原因も Window には入ってこないガンマ線の数の差によるものです Page 62

63 3-1. 腎機能定量解析 オーバーフロー 8bit : max pixel count = 255 実測値予測値 count 0 Sampling Time 提供 : 山形大学 左の図は画素当たり 8Bit つまり最大 255 カウントのシステムで点線源のオーバーフローを見ています 右の図のように収集時間を伸ばしていくとオーバーフローを起こす画素が増えることにより全収集カウントも低下してきます 最近の主流である 16Bit マシンでも 370MBq 10mCi 以上のシリンジを 1 分間収集するとマトリックスによってはオーバーフローを起こします オーバーフローの問題で躓いているのはこの問題を普段気にしていないせいか 8Bit マシンのユーザではなく 16Bit マシンのユーザに多いようです この問題はマトリクスサイズを細かくするか収集時間を短くすることで回避できます Page 63

64 3-1. 腎機能定量解析 バックグラウンド ROI の設定 ( 腎機能低下例での影響 ) Renal uptake (%) y = x r = 0.89 n = TER by 2 comp. analysis Renal uptake (%) y = x r = 0.95 n = TER by 2 comp. analysis 提供 : 山形大学 摂取率法による腎機能定量解析を行う場合 症例によってはバックグラウンド ROI の設定位置が結果に大きな影響を及ぼすことがあります スライドは 腎機能低下例での 2 コンパートメント解析で求めた TER と 2 種類のバックグラウンド ROI で求めた摂取率との相関を見ています 右のバックグラウンド ROI での結果の方が相関が良く バラツキが少なくなっていることが分かります 左の図は Gates の提案以来一般化したバックグラウンド ROI の位置です 腎機能低下例では 腎臓の上部にオーバーラップする肝臓や脾臓のカウントが相対的に高くなるために その影響が無視できなくなります 従って こういう症例でも摂取率の算出精度を維持するために 右の図のような ROI 設定が提案されています Page 64

65 3-1. 腎機能定量解析 小児への応用 250 ml/min 従来法 腎機能指標 ml/min 200 ml/min 腎機能指標 ml/min/1.73m ml/min/ 1.73m 2 体表面積補正法 : 成人 : 小児 : 成人 : 小児 摂取率 摂取率 提供 : 山形大学 従来の摂取率法の原理は摂取率と腎機能指標 (GFR,ERPF,TER) との相関から直接回帰式を求めていましたが この方法ではスライド左側のように体格の小さい小児に対しては 別の回帰式が必要になるなどの問題がありました この問題は体格の違いを補正した参照値との間で作成した回帰式を使用することで解決します 通常 体格の違いを補正するために体表面積 (Body Surface Area: BSA) が使用されています Page 65

66 3-2. 脳血流定量解析 SPECT 値の信頼性 SPECT 値に影響を及ぼす要因 再構成条件 フィルタ 吸収補正法 散乱補正法は CCF と患者データ 及び 患者データ間で同一とする Diamox 負荷サブトラクションでの定量解析を行う場合には 同一の体輪郭を使用して吸収補正を行う SPECT 値のサイズ依存 複数サイズの円柱ファントムで CCF を測定し サイズ依存がある場合には 患者の頭部サイズに合った CCF 値を使用する 採血法のように SPECT 値自身が定量解析に使用される場合には いくつかの注意事項があります 再構成条件について まず 再構成時に使用するフィルタ 吸収補正法 散乱補正法はファントムや患者間で統一しておく必要があります このことは 特に 画質を合わせる目的でフィルタ条件を個々の患者で変えている施設で問題になることがあります 次に IMPのSplit Dose 法やECDのRVR 法のようなDiamox 負荷検査の定量解析を行う場合のように 同じ患者の複数のデータから定量画像を作成する場合には それぞれの再構成において同じ吸収補正用の体輪郭を設定することが重要になります SPECT 値のサイズ依存について 先ほど紹介したように SPECT 値にサイズ依存がある場合には CCF 測定を複数のサイズのファントムで行い 患者の頭部サイズにあったCCF 値を用いる必要があります Page 66

67 3-2. 脳血流定量解析 Patlak Plot 解析での ROI 設定 Patlak Plot 解析で設定する Aorta の ROI はそのサイズも解析式に使用されています 従って ROI 内は全て Aorta である必要があります Aorta をはみ出しすことでの入力関数の過小評価 肺や肺動脈を含むことでの入力関数の過大評価が問題になる スライドの右側は肺動脈を含んだ場合の特徴的な Time Activity Curve を示しています このような場合には再度 ROI を取り直す必要があります Patlak Plot 解析によって mcbf 値を算出した後 Lassen の補正を行い定量画像を作成しますが この時の mspect 値を求めるための参照領域の設定も定量画像に大きな影響を及ぼします 一般的には 基底核スライスを対象としての Threshold 法を用いていますが 各施設で常に一定の条件 (Threshold 値 ) にすることが重要です Page 67

68 3-2. 脳血流定量解析 統計学的な手法を用いた画像解析 SPM 3D-SSP ECD-SPECT を用いた SPM 解析の一例 ( ボリュームレンダー ) 複数名ボランティアでの右手指運動負荷 アルツハイマー病 S.Minoshima Minoshima-JNM vol.36,no.7,1995 脳血流定量解析の最後に局所の脳血流を統計的手法を用いて解析するソフトウェアである SPM(Statistical Parametric Mapping) と 3D-SSP(Three Dimensional Stereotactic Surface Projections) を見てみます SPM はロンドンのハマースミス病院で開発された MATLAB という数値解析ソフト上で動作するソフトウェアです これを Window 上で動作するように移植したものがロシアで開発されました 一方 3D-SSP はミシガン大学の箕島先生 ( 現 ワシントン大学 ) が開発したソフトウェアで Unix の他 Mac や Windows(MS-DOS) 上で動作します これらのソフトは 異なるデータ群 ( 多 : 多あるいは多 :1) を比較して統計処理を行い 結果を表示します 脳の形は個人により異なりますが これらのソフトでは基準脳に合わせ込む処理を施してから統計的な比較を行いますので 客観的な評価が可能です もともとは PET 画像の解析用に開発されたものですが 理論的には SPECT にも応用が可能であり 現在複数の施設で検討が進められています 当面の課題として機種ごとのノーマルデータベースの蓄積が必要になっています Page 68

69 3-2. 脳血流定量解析 SPM 3D-SSP の普及上の問題点 SPECT 画像を対象とした場合の処理条件が確立していない解析結果上のアーチファクトが十分検討されていない 解析に不適な病態 画像が存在する強度の脳虚血領域度の脳萎縮や変形脳以外の強い集積の存在 ( 頭皮 鼻腔など ) 正常データベースがガンマカメラの種類や収集 再構成条件等によって変化するために 他施設で作成したデータが使えない 現在 我々が把握している SPM や 3D-SSP が普及する上での問題点を列記してみます SPECT 画像を対象とした場合の処理条件が確立されていないことです このことにより 解析結果上のアーチファクトが十分検討されているとは言えないのが現状です 解析に不適な病態や画像が存在することです 強度の脳虚血領域 強度の脳萎縮や変形 脳以外の強い集積の存在など基準脳と大きく異なる画像の場合には Normalize 等の処理において問題が発生することがあります 正常データベースがガンマカメラの種類や収集 再構成条件等によって変化するために 他施設で作成したデータが使えないことです このデータベースがないとジャックナイフ検定を行うことができません Page 69

70 3-3. 心筋 SPECT 解析 Bullseye Map 札幌医大の Home Page からダウンロード 左の図は Bullseye 画像の簡単な作成方法を示しています Bullseye 画像はちょうど 心尖部を掴んでバナナの皮を剥くように心基部を広げたようになっています 従って Bullseye 画像では心基部側が過大評価されることになります 右には Bullseye 画像と平均的な冠状動脈の走行の関係を示しています この走行を覚えておくと Bullseye 画像に発生するアーチファクトがある程度は識別できると言われています 例えば 冠状動脈は心基部から心尖部に向かっていますので 心基部側に円弧状に限局したヌケを作った場合には 臨床結果というよりはスライス選択の可能性が高いことになります Page 70

71 3-3. 心筋 SPECT 解析 Washout 解析 %Increase 解析 MIBI Rest Delayed Stress Washout 解析上の注意 Effective Half-Life» Tl (Rest) = 360 min» Tl (Stress) = 240 min» MIBG (Rest) = 450 min» MIBI (Rest) = 210 min» MIBI (Stress) = 200 min Washout %Increase %Increase 解析上の注意 Delayed データを解析に加味するかどうか? 海外に比べて 国内では心筋 SPECT における Washout 解析や %Increase 解析が普及しています ここでは それぞれの解析での注意事項を紹介します スライドは MIBI を使用した Bullseye で 上は左から Rest 2 時間半後の Delayed 3 時間半後の Stress 下は 左から Washout Rest と Stress から求めた %Increase Rest Delayed Stress から求めた %Increase です Washout 解析に関する注意事項としては 使用する薬剤や負荷の有る無しによって正常心筋での薬剤の有効半減期が違っていることが挙げられます 右に薬剤ごとの大体の有効半減期を示しています 個々の患者の Washout 値を評価する場合には Delayed の時間と有効半減期から求めた正常値を元に異常正常を判断する必要があります テクネ製剤で行われている %Increase 解析に関しては この解析に Delayed のデータを使用するかどうかで %Increase の値が違ってきます スライドの Delayed での Bullseye の下壁のように AMI の再疎通例や PTCA CABG 等の治療後の心筋では局所の Washout が更新することがありますので そういう患者を対象とした場合には この解析の精度を上げるためにも Delayed を追加することを推奨しています Page 71

72 3-3. 心筋 SPECT 解析 ノーマルファイルとの比較 Raw Map Extent Map Severity Map 平均値 -2SD 以下を Blackout 表示 異常の程度を SD ごとに色分けして表示 各セグメントごとにノーマルファイルと患者データを比較します ノーマルファイルの各セグメントごとの平均値と標準偏差 (SD) から 例えば平均 -2SD を下限値としてそれ以上低い部分を Blackout したものが Extent map で SD の大きさに応じて異常の程度を色分けしたものが Severity map です Extent map は病変の広さを Severity map は異常の深さ ( 重傷度 ) を表す指標になります これらの指標は画像以外に数値としても算出されますが その算出方法は使用するソフトウェアによって違っていますので 確認する必要があります ノーマルファイルとの比較 というところがポイントですが このノーマルファイルをどのようにして得ているのかが意外に盲点になります Page 72

73 3-3. 心筋 SPECT 解析 ノーマルファイルの特性 MIBG mean MIBG 1sd MIBI mean MIBI 1sd スライドはそれぞれ別の施設で作成した MIBG と MIBI のノーマルファイルで 左側が平均画像 右側が 1SD 画像です 上段の MIBG では 下壁の低カウントとバラツキがあります 一方 下段の MIBI を見ると 平均画像はほぼ均一ですが 1SD 画像はバラツキを持っています これは異常として認識しやすい場所と認識しずらい場所があることを示しています MIBG の下壁に関しては臨床的に良く知られていますが MIBI での中隔の心基部側に関しては このノーマルファイルに特有の問題です この施設では心基部スライスを遠めに設定していますので 心基部側が平均画像で低カウントに 1SD 画像で高カウントになっています 従って このノーマルファイルでは心基部側の異常の検出感度は非常に低くなっています 現在各施設で使用しているノーマルファイルがどういうパターンを示しているかを覚えておくとノーマルファイルとの比較で発生するアーチファクトがある程度は識別できます Page 73

74 3-3. 心筋 SPECT 解析 ノーマルファイルとの比較 ( スライス設定 ) MIBI Raw Extent Long Axis Severity Short Axis Bullseye 画像を作成するための心尖部 心基部スライスの設定には一定の条件がありません 各施設で安定した結果が出るように工夫しているのが現状です ノーマルファイルと比較する場合には ノーマルファイルと同じ条件にする必要があります スライドは先ほどの MIBI のノーマルファイルを使用した解析結果です 左上の Raw- Bullseye や右下の断層像を見ると前壁中隔から下壁にかけて心尖部を含め欠損になっていますが ノーマルファイルと比較した Extent 画像や Severity 画像を見ると心尖部と中隔の基部側が異常として認識されていません この Bullseye は右下の短軸像を心尖部 心基部のスライスとしています この結果はノーマルファイル自体の問題の他に スライス設定がノーマルファイルに比べて両方とも内側に取りすぎていることが原因として考えられます Page 74

75 3-3. 心筋 SPECT 解析 TlCl の血管壁への付着 Stress Delayed Washout mean = 20% Injection Site Stress Delayed スライドは健常者でのタリウムの負荷心筋です この例の Washout はほぼ均一ですが平均が 20% 台と異常に低くなっています 教科書的には 3 枝病変ですが 実際は生食でフラッシュしていないために一部のタリウムが静脈の血管壁にへばり付いたためで 右下の腕の Static 画像を見ても分かりますように Stress 時に腕に残っていたタリウムが徐々に心筋に Washin したために全体として Washout が低下したように表現されていました タリウムの負荷心筋では 生食でのフラッシュは必須です Page 75

76 3-3. 心筋 SPECT 解析 Gated SPECT 心筋 SPECT 解析の最後に Gated SPECT 解析について紹介します エネルギーが高く大量投与が可能なテクネ製剤が実用化されたことにより 心電図と同期させての SPECT 収集を行うことで 心筋血流と壁運動の同時評価が可能になりました 但し 現在はガンマカメラの性能が大きく向上したこともあり タリウムで Gated SPECT を行うところも増えてきています Gated SPECT では R-R 間隔を 8~16 分割して 角度あたり 心拍分のデータを収集します 再構成画像をフレームごとにコマ送りさせることで心筋の壁運動や それに伴う血流変化などが視覚的に観察できます また 専用の解析ソフトを使用して血流分布とともに心筋の壁運動や心機能が再現性良く評価できるようになっています Page 76

77 3-3. 心筋 SPECT 解析 Gate 画像の診断能 最近 Gated SPECT 画像の診断能に関して気になる発表があったので紹介します スライド左側は正常な冠状動脈を有する症例での画像の比較です 左から NonGate ED ES の短軸データで 上段が Stress 下段が Rest です 右上の Stress の ES 画像上に欠損があり Rest で消えていますが 冠状動脈は正常であり 血流評価としては False Positive であった症例です スライド右側は NonGate データと ED ES の Gate データでの血流に対する診断能の比較を行っています 左から Sensitivity Specificity Accuracy です 各々左から NonGate ED ES の結果で この結果からは 血流評価に関しては Gate による診断能の向上はなく 反って診断能を下げてしまっています 現在 Gate による診断能低下の原因ははっきりしていません 従って とりあえず血流評価に関しては Gate で撮像したとしても左側のような重ねあわせた NonGate の画像を作成し 評価する必要があると考えています Page 77

78 Fin Page 78

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