損金経理と積立金経理の違い ( 圧縮超過額がない場合の基本構造 ) 例 A 社は 50の国庫補助金を得て 100で機械を取得した なお A 社の経常利益は 100 である * 仕訳の違い ( 単位 : 百万円 ) 損金経理積立金経理 補助金受贈と機械取得時の仕訳 ( 両者とも同じ ) 現金預金 50

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1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

下では特別償却と対比するため 特別控除については 特に断らない限り特定の機械や設備等の資産を取得した場合を前提として説明することとします 特別控除 内容 個別の制度例 特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供したときや 特定の費用を支出したときなどに 取得価額や支出した費用の額等 一定割合 の

128 Z E I K E I T S U S H I N 10. 3

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企業会計の利益 法人税法上の所得金額 売上原価販売費一般管理費営業外費用特別損失 売上 営業外収益特別利益 損金の額原価費用損失の額 益金の額 ( 収益の額 ) 当期純利益所得の金額 2 益金の額に算入すべき金額とは何か益金の額に算入すべき金額とは 法人税法の規定や他の法令で 益金の額に算入する 又

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. 減価償却の仕組みを理解する 60 定率法 定額法など減価償却の方法を理解しましょう. 有価証券の整理をする 68 有価証券一覧表に 購入売却のつど その取引内容を記載していくと 決算業務の際に便利です. 受取配当金を集計する 78 有価証券の整理後 受取配当金と源泉所得税を集計し 申告書作成の準

収益事業開始届出 ( 法人税法第 150 条第 1 項 第 2 項 第 3 項 ) 1 収益事業の概要を記載した書類 2 収益事業開始の日又は国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなった時における収益事業についての貸借対照表 3 定款 寄附行為 規則若しくは規約又はこれらに準ずるもの

【問】適格現物分配に係る会計処理と税務処理の相違

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に相当する金額を反映して分割対価が低くなっているはずですが 分割法人において移転する資産及び負債の譲渡損益は計上されませんので 分割法人において この退職給付債務に相当する金額を損金の額とする余地はないこととなります (2) 分割承継法人適格分割によって退職給付債務を移転する場合には 分割法人の負債

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

前期に販売した商品を当期に修理する場合 前期末に設定した商品保証引当金を取り崩 す つまり借方に商品保証引当金を 50,000 計上する 差額の 30,000 は商品保証費とする (3) 資本金 資本準備金の問題当座預金に払い込まれた金額は次のように計算される 2,000 株 4,000 = 8,0

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作成する申告書 還付請求書等の様式名と作成の順序 ( 単体申告分 ) 申告及び還付請求を行うに当たり作成することとなる順に その様式を示しています 災害損失の繰戻しによる法人税 額の還付 ( 法人税法 805) 仮決算の中間申告による所得税 額の還付 ( 法人税法 ) 1 災害損失特別勘

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第 76 期 計算書類 自平成 29 年 4 月 1 日至平成 30 年 3 月 31 日 大泉物流株式会社

3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

利益積立金額第 10 章税法上の資本の部 第 2 節利益積立金額 利益積立金額とは 法人の所得の金額のうち留保されているものをいう ( 法 21 十八 ) この利益積立金額は 法人の所得として課税済みの金額であり それが株主等に配当等された場合には二重課税の調整を要し また 特定同族会社の留保金課税

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会社税務のてびき目次 平成 28 年度 法人税関係税制改正のポイント 1 1 法人税は何にかかるか? 3 2 収益は どの時点で計上するか? 8 3 配当金を受け取ったときは? 15 4 売上原価を求める方法 19 5 売却した有価証券の損益を求める 24 コラム 1 社長が会社にお金を貸していたら

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

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投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

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第 36 期決算公告 浜松市中区常盤町 静岡エフエム放送株式会社代表取締役社長上野豊 貸借対照表 ( 平成 30 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 資産の部 負債の部 Ⅰ. 流 動 資 産 909,595 Ⅰ. 流 動 負 債 208,875 現金及び預金 508,

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改正 ( 事業年度の中途において中小企業者等に該当しなくなった場合等の適用 ) 42 の 6-1 法人が各事業年度の中途において措置法第 42 条の6 第 1 項に規定する中小企業者等 ( 以下 中小企業者等 という ) に該当しないこととなった場合においても その該当しないこととなった日前に取得又

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貸借対照表 (2019 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 科目 金額 科目 金額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 流動資産 3,784,729 流動負債 244,841 現金及び預金 3,621,845 リース債務 94,106 前払費用 156,652 未払金 18,745

貸借対照表 平成 28 年 3 月 31 日現在 ( 単位 : 千円 ) 科 目 金 額 科 目 金 額 資産の部 負債の部 流動資産 (63,628,517) 流動負債 (72,772,267) 現金及び預金 33,016,731 買掛金 379,893 売掛金 426,495 未払金 38,59

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実務特集1. 寄附修正 Ⅰ はじめに グループ法人税制 100% グループ内の法人間での譲渡損益の繰り延べ 100% グループ内の法人間の寄附 ( 以上 2010 年 11 月号 ) 100% グループ内の法人間の寄附 ( 寄附修正 ) 支配関係 完全支配関係の判定 100% グループ内の法人のステ

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税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

粉飾決算と過年度損益修正 1. 概要 経営上の諸般の事情により やむを得ず粉飾して架空売上や架空在庫を計上する場合があります 前期以前の 過年度の決算が間違っていた場合は 会計上は当期の期首で修正できます ただし 過年度の損失を当期に損金算入すれば その事業年度に損金計上すべきであり 過年度の損失は

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法人税 faq


第 33 期決算公告 浜松市中区常盤町 静岡エフエム放送株式会社代表取締役社長上野豊 貸借対照表 ( 平成 27 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 資産の部負債の部 Ⅰ. 流動資産 665,173 Ⅰ. 流動負債 141,626 現金及び預金 290,479 未払金

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第28期貸借対照表

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第54期決算公告


スライド 1

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間の初日以後 3 年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間 6 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例事業者 ( 免税事業者を除く ) が簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に国内における高額特定資産の課税仕入れ又は高額特定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取り ( 以下 高

租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) 第十条の二 第四十二条の五 第六十八条の十 租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) ( 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除 ) 第十条の二青色申告書を提出する個人が 平成三十年四月一日 ( 第二号及

第 14 期 ( 平成 30 年 3 月期 ) 決算公告 平成 30 年 6 月 21 日 東京都港区白金一丁目 17 番 3 号 NBF プラチナタワー サクサ株式会社 代表取締役社長 磯野文久

第 3 期決算公告 (2018 年 6 月 29 日開示 ) 東京都江東区木場一丁目 5 番 65 号 りそなアセットマネジメント株式会社 代表取締役西岡明彦 貸借対照表 (2018 年 3 月 31 日現在 ) 科目金額科目金額 ( 単位 : 円 ) 資産の部 流動資産 負債の部 流動負債 預金

貸借対照表 ( 平成 25 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 科目金額科目金額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 流動資産 14,146,891 流動負債 10,030,277 現金及び預金 2,491,769 買 掛 金 7,290,606 売 掛 金 9,256,869 リ

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第1章 簿記の一巡

貸借対照表 ( 平成 27 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 科目金額科目金額 ( 資産の部 ) 流 動 資 産 現 金 預 金 受取手形 営業未収金 貯蔵品 前渡金 前払費用 繰延税金資産 その他 貸倒引当金 固定資産 有形固定資産建 物 構築物 機械装置 車両運搬具 器具備品

平成 30 年 7 月 8 日 ( 日 ) 施行 第 191 回全経簿記能力検定試験 1 級商業簿記 会計学解説 第 1 問 1. 企業会計原則第二損益計算書原則一 2. 企業会計原則第二損益計算書原則一 A 3. 企業会計原則第二損益計算書原則一 B 4. 企業会計原則第三貸借対照表原則一 5.

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目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

別表五(一) 利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

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様式3

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第4期電子公告(東京)

会計上の当期利益 + 加算調整項目 - 減算調整項目 = 税法上の課税所得 加算調整項目 : 税法上の課税所得の方が大きくなるため, 会計上の利益に加算する項目 減算調整項目 : 税法上の課税所得の方が小さくなるため, 会計上の利益に減算する項目 < 申告調整項目 > 1 益金算入 会計上は収益とし

2 その他 H26 中間申告義務のない事業者が 届出 012 書を提出した場合には 自主的に中間申告 納付することができる旨を 検討したか ( 平成 26 年 4 月 1 日以 後開始課税期間より適用 ) 本則課税の場合科目等 No. 主な項目チェック摘要 1 課税事業者 H26 課税期間の基準期間

損 益計算書 ( 平成 28 年 4 月 1 日から ) 平成 29 年 3 月 31 日まで ( 単位 : 千円 ) 科目金額 売上高 19,866,191 売上原価 13,060,545 売上総利益 6,805,645 販売費及び一般管理費 5,990,480 営業利益 815,164 営業外収

目次 マークは おすすめする機能アップ内容や 注目していただきたい変更内容になります 全般 [ 会社運用設定 ] や [ 会計期間設定 ] メニューなどの設定内容を 他の利用者が資産登録などの作業中でも確認できるようになりました 3 メニュー体系 償却資産申告関連のメニュー体系が変更になりました 3

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本則課税の場合科目等 No. 主な項目チェック摘要 1 課税事業者 H27 課税期間の基準期間における課税売上高を確 の判定 014 認したか H27 事業年度を変更している場合等 前々事業年 015 度が1 年未満の場合の基準期間を確認したか ( 法人の場合 ) H27 基準期間が1 年でない場合

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(Microsoft Word - \214\210\216Z.doc)

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

回答作成様式

第21期(2019年3月期) 決算公告

Transcription:

圧縮記帳の仕組み 例 60の国庫補助金を得て 120の機械を取得 当該機械以外にかかる利益は毎年 1,000 機械は 残存価額 0 3 年均等償却 実効税率 30% とした場合 1 考え方 補助金取得時現金預金 60 / 受贈益 60 機械取得時機械 120 / 現金預金 120 圧縮時機械圧縮損 60 / 機械 60 受贈益を圧縮損と相殺するとともに 圧縮後簿価に減価償却することで課税を繰り延べる 圧縮記帳しなかった場合 機械 120 1 年目 2 年目 3 年目合計利益 1,000 1,000 1,000 3,000 1 年目償却費 40 減価償却費 40 40 40 120 受贈益 60 0 0 60 2 年目償却費 40 機械圧縮損 0 0 0 0 所得金額 1,020 960 960 2,940 3 年目償却費 40 税額 306 288 288 882 圧縮記帳した場合 機械 120 1 年目 2 年目 3 年目 合計 利益 1,000 1,000 1,000 3,000 圧縮損 60 減価償却費 20 20 20 60 受贈益 60 0 0 60 1 年目償却費 20 機械圧縮損 60 0 0 60 所得金額 980 980 980 2,940 2 年目償却費 20 税額 294 294 294 882 3 年目償却費 20-1 -

損金経理と積立金経理の違い ( 圧縮超過額がない場合の基本構造 ) 例 A 社は 50の国庫補助金を得て 100で機械を取得した なお A 社の経常利益は 100 である * 仕訳の違い ( 単位 : 百万円 ) 損金経理積立金経理 補助金受贈と機械取得時の仕訳 ( 両者とも同じ ) 現金預金 50 / 受贈益 50 機械 100 / 現金預金 100 機械圧縮損 50 / 機械 50 圧縮記帳時 ( 期末決算調整 ) の仕訳 なし その事業年度における別表 4 での調整 圧縮超過額がなければ調整なし圧縮積立金減算 50( 減算 留保 ) 株主資本等の変動 なし繰越利益剰余金 50 / 圧縮積立金 50 対象機械の会計上簿価と税務上簿価 税務上 会計上ともに 50 税務上 50 会計上 100 損金経理は 補助金受贈益相当額を圧縮損で損益相殺するとともに 簿価を減額するもの である 一方 積立金経理は 会計上圧縮損を計上せず 受贈益相当額を自己資本として留保する が 税務上は別表 4 で減算調整するものである - 2 -

* 損益計算書の違い ( 単位 : 百万円 ) 損金経理 積立金経理 経常利益 100 100 特別利益 ( 補助金受贈益 ) 50 50 特別損失 ( 機械圧縮損 ) 50 なし 税引前当期純利益 100 150 ( 剰余金処分で50 を圧縮積立金として資本の部に積立 ) * 別表四の違い ( 圧縮関係以外調整項目がないとした場合 ) ( 単位 : 百万円 ) 損金経理 積立金経理 当期利益 100 150 減算調整なし圧縮積立金減算 50 所得金額 100 100 損金経理は圧縮超過額がなければ別表四での調整不要 積立金経理であれば積立額を別表四で減算調整 - 3 -

問 39 国庫補助金等に対する圧縮記帳 特別勘定 1. 圧縮記帳 (1) 損金算入 ( 法 421) 内国法人 ( 清算中のものを除く ) が 次の要件を満たす場合において その固定資産につき 圧縮限度額以下の金額を一定の方法により経理したときは その経理した金額はその事業年度の損金の額に算入する 1 固定資産の取得又は改良に充てるための国庫補助金等の交付を受けること 2 その国庫補助金等により交付目的適合固定資産を取得又は改良をしたこと 3 国庫補助金等の返還不要が事業年度終了時までに確定したこと (2) 圧縮限度額 ( 法 421) 固定資産の取得又は改良に充てた国庫補助金等の額相当額 2. 特別勘定 (1) 損金算入 ( 法 431) 内国法人 ( 清算中のものを除く ) が 次の要件を満たす場合において 繰入限度額以下の金額を確定した決算において特別勘定 ( 決算確定日までに剰余金処分により積立金として積み立てる方法を含む ) として経理したときは その経理した金額は損金の額に算入する 1 固定資産の取得又は改良に充てるための国庫補助金等の交付を受けること 2 国庫補助金等の返還不要が事業年度終了時までに確定しないこと (2) 繰入限度額 ( 法 431) 交付を受けた国庫補助金等の額相当額 (3) 特別勘定設定後の圧縮記帳 ( 法 441) 1 損金算入特別勘定を有する内国法人が 次の要件を満たす場合において その固定資産につき圧縮限度額の範囲で一定の経理をしたときは その経理した金額は損金の額に算入する a 国庫補助金等をもって交付目的適合固定資産の取得又は改良したこと b その取得又は改良をした日の属する事業年度以後において国庫補助金等の返還不要が確定したこと 2 圧縮限度額返還不要確定時の特別勘定の金額のうち本来の圧縮限度額相当額 (4) 取崩し ( 法 4323) 特別勘定を有する内国法人が 国庫補助金等の返還の要不要が確定した場合その他一定の場合には 一定の金額を取崩し その事業年度の益金の額に算入する - 4 -

3. 手続規定 ( 法 4234 4345 4423) 上記 1 2 の規定は 税務署長がやむを得ない事情があると認める場合を除き 確定申告 書に損金算入に関する明細の記載がある場合に限り適用する 4. 適格組織再編成 ( 法 425 4368 444) (1) 適格分割等適格分割等の場合において 一定の要件を満たすときは その直前に特別勘定の設定又は圧縮記帳を行うことができる (2) 特別勘定の引継ぎ内国法人が適格組織再編成を行った場合には その直前の特別勘定のうち一定の金額を合併法人等に引き継ぐ 補足理論 1(3) 及び2(3)3 取得価額 ( 令 80の21) 圧縮記帳の規定により損金の額に算入された金額は 取得価額に算入しない 1(4) 及び2(3)4 経理方法 ( 法 421 令 80) 1 帳簿価額を損金経理により減額する方法 2 確定した決算において積立金として積み立てる方法 3 決算確定日までに剰余金の処分により積立金として積み立てる方法 1(5) 及び2(3)5 備忘価額 ( 令 93) 圧縮記帳の規定により帳簿価額が 1 円未満となる場合にも 帳簿価額として 1 円以上の金額を付す - 5 -

<KEY WORD> 1. 趣旨国庫補助金は受贈益として益金算入するのが原則であるが これに課税すると目的資産の取得に支障を生ずる等補助金交付目的が阻害されることから圧縮記帳による損金算入を認め 課税の繰延を行うもの 2. 対象となる国庫補助金圧縮記帳の対象となる国庫補助金等は 固定資産の取得又は改良に充てるためのものに限られる 3. 適格分割等の場合国庫補助金の圧縮記帳等は 通常事業年度末においてその適用が認められるため みなし事業年度規定が存在する合併においては当該みなし事業年度末において適用されることとなる 一方分割 現物出資 事後設立ではみなし事業年度規定が存在しないため 適格組織再編成に該当する場合に限り その直前に圧縮記帳等の適用を認めることとしている - 6 -

問 24 減価償却資産の償却費の計算及び償却方法 1. 償却費の損金算入 ( 法 3114 令 62 63) (1) 内国法人が各事業年度終了時において有する減価償却資産に係る償却費の損金算入額は 償却費として損金経理した金額のうち 償却限度額に達するまでの金額とする (2) 償却費として損金経理した金額には 繰越償却超過額を含む (3) 償却超過額がある場合には 減価償却資産の帳簿価額は償却超過額の減額がされなかったものとみなす (4) 償却費の損金経理額がある場合には 明細書を確定申告書等に添付しなければならない 2. 償却方法 ( 令 481 48 の 21 48 の 4 49,50) 償却限度額の計算上 選定できる償却方法は次に定める方法とする なお 一定の減価償却資産については 納税地の税務署長の承認を受けて特別な償却方法を選定することができる (1) 平成 19 年 3 月 31 日以前に取得された減価償却資産 1 建物 (3を除く) a 平成 10 年 3 月 31 日以前取得分 旧定額法 旧定率法 b a 以外 旧定額法 2 建物以外の有形減価償却資産 (36を除く) 旧定額法 旧定率法 3 鉱業用減価償却資産 (56を除く) 旧定額法 旧定率法 旧生産高比例法 4 無形減価償却資産 (5を除く) 及び生物 旧定額法 5 鉱業権 旧定額法 旧生産高比例法 6 国外リース資産 旧国外リース期間定額法 (2) 平成 19 年 4 月 1 日以後に取得された減価償却資産 1 建物 (36を除く) 定額法 2 建物以外の有形減価償却資産 (36を除く) a 定額法 b 定率法 a) 平成 24 年 3 月 31 日以前に取得をされた減価償却資産 250% 定率法の償却率 b) 平成 24 年 4 月 1 日以後に取得をされた減価償却資産 200% 定率法の償却率 3 鉱業用減価償却資産 (56を除く) 定額法 定率法 生産高比例法 4 無形減価償却資産 (56を除く) 及び生物 定額法 5 鉱業権 定額法 生産高比例法 6 リース資産 ( 平成 20 年 4 月 1 日以後に締結されたリース契約 ) リース期間定額法 - 7 -

3. 償却方法の選定の届出 (1) 選定単位 ( 令 511) 償却方法は一定の区分ごとに選定しなければならない なお 二以上の事業所を有する場合は 事業所ごとに選定することができる (2) 届出 ( 令 5123) 1 設立等の日の属する事業年度の確定申告書の提出期限までに そのよるべき償却方法を書面により納税地の所轄税務署長に届出なければならない 2 旧定額法 旧定率法又は旧生産高比例法を選定している旧償却方法適用資産と同一区分に属する新償却方法適用資産について 1の届出をしないときは それぞれ定額法 定率法 生産高比例法を選定したものとみなす (3) 変更 ( 令 52) 償却方法を変更する場合は 新たな償却方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までに 一定の申請書を納税地の所轄税務署長に提出し 承認を受けなければならない 4. 法定償却方法 ( 令 53) 償却方法を選定しなかった場合は 次の方法とする (1) 上記 2(1)1a 及び2 旧定率法 (2)2 定率法 (2) 上記 2(1)3 及び5 旧生産高比例法 (2)3 及び5 生産高比例法 5. 適格組織再編成 ( 法 312) 内国法人が適格分割等により減価償却資産を移転する場合は 期中損金経理額のうち一定の 償却限度額に達するまでの金額を損金算入する 6. 意義 ( 法 2 二十三 令 13) 減価償却資産とは棚卸資産 有価証券及び繰延資産以外の資産で償却をすべきものとして一 定のもの ( 事業供用していないもの及び時の経過により価値の減少しないものを除く ) をいう - 8 -

<KEY WORD> 1. 趣旨減価償却は法人の内部計算であるため 恣意性の介入が避けがたい そこで一定の損金算入限度額を定めて課税の公平をはかるものである 2. 法人税法上償却費の損金算入は法人の任意である そのため これを損金算入するための法人の意思表示として損金経理を要求している 3. 償却費として損金経理した金額は 会計上の減価償却費よりも範囲が広い 条文上明記されている過去における繰越償却超過額のほかにも 圧縮超過額 取得価額に算入すべき付随費用で原価外処理をしたもの 損金算入されない評価損 除却損 修繕費で資本的支出の規定により損金算入されないものなども含まれることが通達で明らかにされている 4. 減価償却とは時の経過とともにその価値が減価していく固定資産等の取得価額を適切に期間配分する手続である 従って 土地 美術品等価値が減少しない資産は減価償却資産に該当しないこととなる 5. 償却費は 通常事業年度末においてその計算が認められるため みなし事業年度規定が存在する合併においては当該みなし事業年度末において計算されることとなる 一方分割 現物出資 事後設立ではみなし事業年度規定が存在しないため 適格組織再編成に該当する場合に限り その直前に損金算入を認めることとしている - 9 -

2013 年目標税理士講座 法人税法基礎答練第 1 回出題予定 理論 納税義務者 減価償却資産の償却費の計算及び償却方法 租税公課 国庫補助金等の圧縮記帳 計算 減価償却 受取配当等 所得税額控除 貸倒引当金 - 10 -