本日の講義内容 固有値 ( 線形代数 ) と応用問題 振動問題 ネットワーク定常問題 固有値計算アルゴリズム 密行列 べき乗法 ヤコビ法 ハウスホルダー三重対角 + 分割統治法 + 逆変換 疎行列 ランチョス法 ヤコビ デビッドソン法 その他 固有値計算ソフトウェア ScaLAPACK EigenE

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以下 変数の上のドットは時間に関する微分を表わしている (ex. 2 dx d x x, x 2 dt dt ) 付録 E 非線形微分方程式の平衡点の安定性解析 E-1) 非線形方程式の線形近似特に言及してこなかったが これまでは線形微分方程式 ( x や x, x などがすべて 1 次で なおかつ

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板バネの元は固定にします x[0] は常に0です : > x[0]:=t->0; (1.2) 初期値の設定をします 以降 for 文処理のため 空集合を生成しておきます : > init:={}: 30 番目 ( 端 ) 以外については 初期高さおよび初速は全て 0 にします 初期高さを x[j]

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第 6 章 有限要素法 ( その 2) 振動問題を有限要素法で解いてみよう. 振動方程式は式 (3.35) で与えられ (6.1) [ K] { d ( )} + [ M] d ( t ) { } F( t ) t = { } そのときの質量行列は式 (3.32) で T M N N d V (6.

Transcription:

Computer simulations create the future 固有値計算法 RIKEN AICS HPC Spring School 今村俊幸理化学研究所 AICS 2014/3/6 9:00~12:00

本日の講義内容 固有値 ( 線形代数 ) と応用問題 振動問題 ネットワーク定常問題 固有値計算アルゴリズム 密行列 べき乗法 ヤコビ法 ハウスホルダー三重対角 + 分割統治法 + 逆変換 疎行列 ランチョス法 ヤコビ デビッドソン法 その他 固有値計算ソフトウェア ScaLAPACK EigenExa ARPACK z-pares

はじめに

表記法について ベクトル : 小文字で表記 ( 記号はつけない ) m 行 ( 縦方向 ) 行列 : 大文字で表記する m 行 ( 縦方向 ), n 列 ( 横方向 ) の様に, ベクトルを並べた記法使用も 数体 : 特に指示がなければ実数であり 複素数は以下の記法を使用する ただし は添字としても使用する

表記法について ノルム : 縦二本線表記 ( 原則 2 ノルム ) 行列のノルム : 上記のノルムから定義 縦二本線表記 行列式 : 縦 1 本線表記 条件数 :

固有値固有ベクトル 表記法について 固有値をギリシャ記号のラムダ ( ) もしくはシータ ( ) 固有ベクトルは x もしくは s を用いて表現するが 適時記号を変えるので注意 固有値と対応する固有ベクトルを 固有対 と呼ぶ 固有値の記号に対応した大文字の行列は 固有値を対角に並べてできる対角行列とする また 固有ベクトルを並べてできるベクトルも同様に同じ文字の大文字で表記することがある

固有値 ( 線形代数 ) と応用問題 主に線形代数の復習から

固有値とは 工学における現象解析 システム解析に利用する 構造物の耐震振動解析 ネットワークなどの定常状態解析 計算方法 : 線形代数の理論上は次の特性多項式を解けばよい コンピュータ上で行列式の計算は難しい 多項式の求解は? ニュートン法でできるか?

固有値計算の例 柱の変形 境界条件を考慮して解は

支配方程式系 多自由度系の振動 変数分離法で解ける 行列 ベクトルで整理すると の形をしている

机上の計算でできる場合 とおけば

机上の計算でできる場合 を満足する 2 つの ω( 複素数 ) に対して, とおきに対してを課せば λが固有値, uが対応する固有ベクトルとなる より さらに

固有値とは 工学における現象解析 システム解析に利用する 構造物の耐震振動解析 ネットワークなどの定常状態解析 計算方法 : 線形代数の理論上は次の特性多項式を解けばよい コンピュータ上で行列式の計算は難しい 多項式の求解は? ニュートン法でできるか?

ネットワーク解析 ある時刻にサイトをアクセスしている人が 次の時刻に別のサイトに移動する確率が サイトとサイトの間で決まっているとしよう をサイトにいる人の数とする 遷移確率に従って人が移動すれば 定常状態 (k ) では

ネットワーク解析 実際に人が移動する状態を確認してみよう *[100,0,0] の状態からスタート [100,0,0]->[40,0,60]->[34,18,48]->[31.6, 18, 50.4] ->[31.36,18.72,49,92] -> [31.264,18.720,50.016] -> -> [31.25, 18.75, 50.0] 定常的には 100 人のうちの半数の 50 人がサイト 3 を見ていることになる

固有 の : 特異値解析 特徴量の主成分解析 ベクトルとして表現された複数データの主たる特徴 類似性の計算 平均的な顔の定義 ( 例 ) 固有 の スキャンデータから切り出した 10 個の の の最も平均的な特徴を示す の を計算

密行列向け 固有値計算アルゴリズム

べき乗法

( 絶対値 ) 最大固有値の計算方法 べき乗法 初期ベクトルを選択 ベクトルに行列を乗じて正規化する ベクトルが収束したら ノルムが絶対値最大固有値 対応する固有ベクトル

べき乗法 行列 A に x を乗じて 正規化し x と置き直す これを繰り返す 下に 実際にどのような計算が進行するかを示します 2.23 3.00 3.13 3.15 3.163 3.164 3.1642 3.1642 3.16425

べき乗法 反復系統の解法の基本であるので 原理と解けるための条件をまとめる 条件 :A の固有値が全て異なるとする 初期ベクトルは固有ベクトルが一次独立なので線形結合で書ける ここで 次のように x^{(k)} を更新していく

べき乗法 ここで c_1 は 0 でないと仮定すると x の更新の方法から とおく...

ポイント べき乗法 絶対値最大の固有値に対する固有ベクトルに収束 絶対値最大固有値に重複があると 一般に収束しない ( 複数のベクトルが張る空間内で変化し続けます ) 絶対値最小固有値計算にも応用可能 が成り立つことから 逆行列の絶対値最大固有値は元の行列の絶対値最小固有値に対応 ある値 (σ) に近い 固有値も計算可能

ヤコビ法

ヤコビ法 行列を対称行列とする 全て の固有値 固有ベクトルの組を求めたい

ヤコビ法 行列を逐次相似変換して対角行列に収束 非対角項の絶対値最大の 2*2 小行列を取り出し 回転変換により対角行列に ( アルゴリズムから )θ を定め 回転変換を左右より乗じる

ヤコビ法 行列を逐次相似変換して対角行列に収束 実際は 下の箇所で計算 回転行列は 行列に拡大し 対角 ( 青 ) に1をおく 行列が変換されるのは ピンク色線の箇所 この相似変換により 行列は徐々に対角行列に近づく 数学的な収束の証明は後半に

ヤコビ法 ポイント : 行列を逐次相似変換して対角行列に収束 対角要素以外の中から絶対値最大の要素を探し その要素を基準とした 2x2 行列を基本とした 2x2 の Givens 回転行列を求め作用させていく

ヤコビ法 相似変換を繰り返すから とおけば の各列ベクトルは固有ベクトルでもある つまり ヤコビ法の手続きを繰り返した結果得る対格行列の要素が固有値固有値であり その位置に対応するの列ベクトルが対応する固有ベクトル対応する固有ベクトルである

ヤコビ法の原理 はたして対角行列に収束しているのか? を 0 に変換するとき i,j を含む行と列に変更が加わる に対して 対角を除いた成分の 2 乗和を定めると 対角以外の部分の 2 乗和は単調減少 対角行列に収束する

ハウスホルダー三重対角法 +α

ハウスホルダー三重対角化 ハウスホルダー変換 ベクトル u を鏡線として 鏡面に反対の位置に移す変換 : 対称行列 とするようなハウスホルダー変換を定めることができる なるベクトルで ととればよい

ハウスホルダー三重対角化 ハウスホルダー変換 : 対称行列 とするようなハウスホルダー変換を定めることができる とブロック拡大表記した相似変換 P を定め A に左右から作用させると に対しても同様の変換を再帰的に実施していけば, 左下の成分は対角成分以下に非ゼロ要素をもつ行列 すなわち三重対角行列 ( 対称 ) に最終的になる 三重対角行列は要素数も少なく 固有値計算も容易であり 多くのアルゴリズムが存在する

三重対角行列の固有値計算 ハウスホルダー三重対角化後の行列 T と変形できるので 行列式を計算すると つまり T の固有値は A の固有値と同じである 固有ベクトルは T の固有ベクトルに対して P^t を作用 ( 逆変換 ) すればよい

QR 法 QR 分解 今,,, なる手続きを進めていくと 最終的にある行列に収束する性質を使い固有値 固有ベクトルを計算する ただし A=A^{(0)} は対称行列とする これより A の固有値は D の各成分, 固有ベクトルは : 上三角行列 の対応する列ベクトル T 行列の更新手順では Q のみ必要で Q^tTQ は常に三重対角の構造を保持するため計算が容易

2 分法 三重対角行列の特性多項式の計算 とおくと 一般形として により特性多項式を求められる ゼロ点を所謂 2 分法により求めればよい ただし n が大きいときにはオーバフローの危険があり ストゥルムの数え上げ法が有効 (2 分法 ) なる区間 (x,x ) に対して中点 (x+x )/2 の符号により区間縮小を行う解法

逆反復法 何らかの方法でTの固有値近似 さらには固有ベクトルの近似が得られたとする べき乗法の箇所でも説明したように, に近い固有ベクトルはの絶対値最大固有値に対応する固有ベクトルである 従って, により 固有ベクトルの精度を高める計算を行う ただし 本方法で求めた固有ベクトルは直交性の観点からはよくないので 直交化の手続きをしなくてはいけない

分割統治法 三重対角行列を適当な摂動により以下のようにする 何らかの方法でとの固有値計算が為されたとする それぞれの固有値と固有ベクトルを並べた行列 ( など ) を用いて と問題を簡単化できる ( 相似変換なので固有値はもとのものと同じ 固有ベクトルは逆変換が必要 )

分割統治法 簡単化された問題, { 対角行列 +1 階摂動 } 適時変形を行っていけば次式を得る この有理方程式は 区間独立に解くことが容易である に解が存在することが分かっているので 固有ベクトル 上記で求めたを用いて 以下の式よりを計算する 最終的には正規化が必要

QR 法もう一回 先の説明で QR 法を ( 対称 ) 三重対角行列に適用したが 一般的な非対称行列に対しての有効な解法は QR 法しかないのが現状である 非対称行列の場合はハウスホルダー変換を実施しても 三重対角化はできず ヘッセンベルグ形式 ( 下副対角成分以下が 0 の行列 ) に変形してから 前述の QR 法を行い上三角行列に収束する性質を利用して固有値を計算する ( 複素固有対がある場合は 2x2 の対角ブロックが出現 )

ハウスホルダー逆変換 ハウスホルダー変換自身はそれ自身が逆変換でもあるので 作用させた逆順に作用していけばよい 近代的なアルゴリズムでは複数のハウスホルダー変換をまとめてブロック化する 2 つ以上の場合にも適用は可能である なお 添字の順番などで形式が違うこともあるので注意 この変形で 殆どの演算が行列と行列の積に置き換えられる

疎行列向けの反復解法 反復解法の多くは Templates for the Solution of Algebraic Eigenvalue Problems, A Practical Guide, SIAM を参考にしています

べき乗法から

べき乗法 疎行列では 記憶領域の問題やフォーマット変形操作が煩雑といった理由から 行列の変形操作を行わない 主に 行列とベクトルもしくはベクトル同士の積 近似もしくは写像し縮小した行列での操作が中心となる 密行列でも扱ったが べき乗法が計算の基本となる

べき乗法 疎行列の場合 絶対値最大固有 1 つという計算はあまり行われず 最大値から数個 最小値から数個という場合が多い 複数ベクトルを用いて べき乗法の原理から

ランチョス法の前に 先のべき乗法でが登場したが これは直交基底 Xによって張られる部分空間の射影問題を扱っているといえる 今 Aの近似固有解に対して その残差をその元となる部分空間に直交するように決める これは以下と同値です また, K が直交基底 V={v_1,v_2, v_n} で張られるのであれば となっており (V の線形結合 )

Rayleigh/Ritz この様な 固有空間に対してガレルキン近似を入れて計算する方法を Rayleigh/Ritzの手法と呼びます に対する射影が本質部分といえます 実際には 空間を張る n 本の基底ベクトルから 射影した H_m の所望する k 個の近似固有値を取得する 次に それに対するの固有ベクトルにVを乗じて得られる近似固有ベクトルを得る このとき 上記の近似固有値を Ritz 値, 対応する近似固有ベクトルを Ritz ベクトルと呼ぶ

ランチョス法 先の解法には, 固有ベクトルを近似する空間の張り方に自由度があった ここで クリロフ部分空間法によって生成される基底を使用してみる といった計算により, V が逐次生成されていく A の対称性を考慮すると T は α が対角 β が副対角に並ぶ三重対角行列である r は反復の打ち切りで生じる項

ランチョス法 ( アルゴリズム )

ランチョス法 先の枠組みに当てはめれば, T の固有値固有ベクトルが Ritz 値, Ritz ベクトルになっている Ritz 対による A に対する残差を見てみると つまり, 反復を打ち切る際にでるv_{j+1} のノルム係数が十分に小さいかに Ritzベクトルの精度はよっていることになる

ランチョス法 ( アルゴリズム )

アーノルディ法 A が対称行列 ( もしくはエルミート ) であった条件を緩和して 非対称行列にする 基本的な枠組みは同様であり の形で固有ベクトルを形成する部分空間を作成していき 適当な精度が出たところで打ち切る ただし 途中計算で生成される射影行列は ヘッセンベルグ行列となる

アーノルディ法 ( アルゴリズム )

リスタート ランチョス法 アーノルディ法ともに反復により部分空間を張る基底を作成し続けても 所望の固有ベクトルを十分近似できないことがある その様な場合に 適切な部分空間基底を初期対として再度反復を開始するリスタートの技術が存在する Thick Restart Lanzcos などいくつかの手法があるが 今回は名前だけを紹介するのみとする ( リスタートアルゴリズム ) Thick Restart, Implicit Restart, Explicit Restart などなど

Jacobi-Davidoson Krylov 部分空間法とは異なる原理で 部分空間生成基底を生成する方法として JD 法が存在する 実際には以下の 方程式を解き基底 t を作る Ritz 対から生じる条件を課して基底を作る ここで はの成分を排除するフィルタの役割をする

JD 法 ( アルゴリズム )

その他の解法 対称行列の固有値問題は Rayleigh 商の極小問題 を局所最小化することでも計算可能 非線形関数の最小化問題 LOBPCG や CGR, MINRES などの手法もあるが 今回は省略します 時間があれば LOBPCG の追加資料を用意しておきます

数値計算ライブラリ

密行列ソルバー 有力なものを列挙します 1. EISPACK (1970 年代の古いものです ) 2. LAPACK ( 逐次計算の業界標準 ) 3. ScaLAPACK ( 分並列計算での標準 ) 4. Elemental 5. ELPA 6. EigenExa

有力なものを列挙します 1. ARPACK 2. PARPACK 3. PETSc(SLEPC) 4. Trilinos 5. Z-Pares 疎行列ソルバー

ライブラリ使用法 資料現在作成中

ScaLAPACK の利用方法

EigenExa の使用方法

PETSc(SLEPC) の使い方