Microsoft PowerPoint - バスゼミ_ ppt [互換モード]

Similar documents
例 e 指数関数的に減衰する信号を h( a < + a a すると, それらのラプラス変換は, H ( ) { e } e インパルス応答が h( a < ( ただし a >, U( ) { } となるシステムにステップ信号 ( y( のラプラス変換 Y () は, Y ( ) H ( ) X (

第 4 週コンボリューションその 2, 正弦波による分解 教科書 p. 16~ 目標コンボリューションの演習. 正弦波による信号の分解の考え方の理解. 正弦波の複素表現を学ぶ. 演習問題 問 1. 以下の図にならって,1 と 2 の δ 関数を図示せよ δ (t) 2

Microsoft PowerPoint - H22制御工学I-2回.ppt

s とは何か 2011 年 2 月 5 日目次へ戻る 1 正弦波の微分 y=v m sin ωt を時間 t で微分します V m は正弦波の最大値です 合成関数の微分法を用い y=v m sin u u=ωt と置きますと dy dt dy du du dt d du V m sin u d dt

Microsoft PowerPoint - 複素数.pptx

s と Z(s) の関係 2019 年 3 月 22 日目次へ戻る s が虚軸を含む複素平面右半面の値の時 X(s) も虚軸を含む複素平面右半面の値でなけれ ばなりません その訳を探ります 本章では 受動回路をインピーダンス Z(s) にしていま す リアクタンス回路の駆動点リアクタンス X(s)

Microsoft PowerPoint - ip02_01.ppt [互換モード]

2009 年 11 月 16 日版 ( 久家 ) 遠地 P 波の変位波形の作成 遠地 P 波の変位波形 ( 変位の時間関数 ) は 波線理論をもとに P U () t = S()* t E()* t P() t で近似的に計算できる * は畳み込み積分 (convolution) を表す ( 付録

航空機の運動方程式

Microsoft PowerPoint - 第06章振幅変調.pptx

<4D F736F F D B4389F D985F F4B89DB91E88250>

RLC 共振回路 概要 RLC 回路は, ラジオや通信工学, 発信器などに広く使われる. この回路の目的は, 特定の周波数のときに大きな電流を得ることである. 使い方には, 周波数を設定し外へ発する, 外部からの周波数に合わせて同調する, がある. このように, 周波数を扱うことから, 交流を考える

Microsoft Word - H26mse-bese-exp_no1.docx

Microsoft PowerPoint - 物情数学C(2012)(フーリエ前半)_up

PowerPoint プレゼンテーション

交流 のための三角関数 1. 次の変数 t についての関数を微分しなさい ただし A および ω は定数とする 1 f(t) = sin t 2 f(t) = A sin t 3 f(t) = A sinωt 4 f(t) = A cosωt 2. 次の変数 t についての関数を積分しなさい ただし

PowerPoint プレゼンテーション

多次元レーザー分光で探る凝縮分子系の超高速動力学

Microsoft PowerPoint - aep_1.ppt [互換モード]

工業数学F2-04(ウェブ用).pptx

Microsoft PowerPoint - H22制御工学I-10回.ppt

ÿþŸb8bn0irt

Microsoft PowerPoint - CSA_B3_EX2.pptx

画像処理工学

<4D F736F F F696E74202D2091E6824F82518FCD E838B C68CEB82E894AD90B B2E >

Microsoft PowerPoint - 第3回2.ppt

Microsoft PowerPoint - 集積回路工学(5)_ pptm

RMS(Root Mean Square value 実効値 ) 実効値は AC の電圧と電流両方の値を規定する 最も一般的で便利な値です AC 波形の実効値はその波形から得られる パワーのレベルを示すものであり AC 信号の最も重要な属性となります 実効値の計算は AC の電流波形と それによって

DVIOUT

ディジタル信号処理

Taro-F25理論 印刷原稿

通信理論

Microsoft PowerPoint - 受信機.ppt[読み取り専用]

PowerPoint プレゼンテーション

1 (1) X = AB + AB, Y = C D + C D, Z = AD + AD P A, B, C, D P = (XY + X Y + X Y )(Y Z + Y Z + Y Z )(ZX + Z X + Z X ) (2) Q A, B, C, D Q = AB C D + AB C

第 5 章復調回路 古橋武 5.1 組み立て 5.2 理論 ダイオードの特性と復調波形 バイアス回路と復調波形 復調回路 (II) 5.3 倍電圧検波回路 倍電圧検波回路 (I) バイアス回路付き倍電圧検波回路 本稿の Web ページ ht

DVIOUT

Microsoft PowerPoint - ›žŠpfidŠÍŁÏ−·“H−w5›ñŒÚ.ppt

Microsoft PowerPoint - 基礎電気理論 07回目 11月30日

平面波

PowerPoint Presentation

スライド 1

(Microsoft Word - PLL\203f\203\202\216\221\227\277-2-\203T\203\223\203v\203\213.doc)

<4D F736F F D F2095A F795AA B B A815B837D839382CC95FB92F68EAE2E646F63>

Microsoft PowerPoint - DigitalMedia2_3b.pptx

数値計算で学ぶ物理学 4 放物運動と惑星運動 地上のように下向きに重力がはたらいているような場においては 物体を投げると放物運動をする 一方 中心星のまわりの重力場中では 惑星は 円 だ円 放物線または双曲線を描きながら運動する ここでは 放物運動と惑星運動を 運動方程式を導出したうえで 数値シミュ

重要例題113

Microsoft PowerPoint pptx

数学 t t t t t 加法定理 t t t 倍角公式加法定理で α=β と置く. 三角関数

DVIOUT

第6章 実験モード解析

スライド 1

構造力学Ⅰ第12回

反射係数

高校電磁気学 ~ 電磁誘導編 ~ 問題演習

スライド 1

スライド タイトルなし

オペアンプの容量負荷による発振について

学習指導要領

スライド 1

<4D F736F F D20824F B CC92E8979D814696CA90CF95AA82C691CC90CF95AA2E646F63>

複素数平面への誘い

SAP11_03

大気環境シミュレーション

3 数値解の特性 3.1 CFL 条件 を 前の章では 波動方程式 f x= x0 = f x= x0 t f c x f =0 [1] c f 0 x= x 0 x 0 f x= x0 x 2 x 2 t [2] のように差分化して数値解を求めた ここでは このようにして得られた数値解の性質を 考

Microsoft Word - note02.doc

Microsoft PowerPoint - 配布資料・演習18.pptx

<8AEE B43979D985F F196DA C8E323893FA>

通信概論2011第2-3週.ppt

Microsoft PowerPoint - 応用数学8回目.pptx

Microsoft PowerPoint - パワエレH20第4回.ppt

資料の概要 レイリー分布 (Rayleigh distribution) について 周波数が一定で 振幅及び位相が不規則に変動する多重波 ( 正弦波 ) の合成受信電界強度の確率分布はレイリー密度分布に従う 多数の反射波やダクト伝搬路による多重波が到来して合成される場合 この分布に従うことになる マ

降圧コンバータIC のスナバ回路 : パワーマネジメント

第 11 回 R, C, L で構成される回路その 3 + SPICE 演習 目標 : SPICE シミュレーションを使ってみる LR 回路の特性 C と L の両方を含む回路 共振回路 今回は講義中に SPICE シミュレーションの演習を併せて行う これまでの RC,CR 回路に加え,L と R

Microsoft PowerPoint - 6.PID制御.pptx

フィードバック ~ 様々な電子回路の性質 ~ 実験 (1) 目的実験 (1) では 非反転増幅器の増幅率や位相差が 回路を構成する抵抗値や入力信号の周波数によってどのように変わるのかを調べる 実験方法 図 1 のような自由振動回路を組み オペアンプの + 入力端子を接地したときの出力電圧 が 0 と

Euler Appendix cos, sin 2π t = 0 kx = 0, 2π x = 0 (wavelength)λ kλ = 2π, k = 2π/λ k (wavenumber) x = 0 ωt = 0, 2π t = 0 (period)t T = 2π/ω ω = 2πν (fr

Microsoft PowerPoint - chap8.ppt

出力 V [V], 出力抵抗 [Ω] の回路が [Ω] の負荷抵抗に供給できる電力は, V = のとき最大 4 となる 有能電力は, 出力電圧が高いほど, 出力抵抗が小さいほど大きくなることがわかる 同様の関係は, 等価回路が出力インピーダンスを持つ場合も成立する 出力電圧が ˆ j t V e ω

画像類似度測定の初歩的な手法の検証

Microsoft Word - 簡単な計算と作図.doc

<4D F736F F D2091E631348FCD B838A83478B C982E682E982D082B882DD946782CC89F090CD2E646F63>

ニュートン重力理論.pptx

学習指導要領

株式会社xx御中

Microsoft PowerPoint - 計測2.ppt [互換モード]

PowerPoint Presentation

2. コンデンサー 極板面積 S m 2, 極板間隔 d m で, 極板間の誘電率が ε F/m の平行板コンデンサー 容量 C F は C = ( )(23) 容量 C のコンデンサーの極板間に電圧をかけたとき 蓄えられる電荷 Q C Q = ( )(24) 蓄えられる静電エネルギー U J U

Microsoft PowerPoint - 10.pptx

2018年度 東京大・理系数学

2 図微小要素の流体の流入出 方向の断面の流体の流入出の収支断面 Ⅰ から微小要素に流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅰ は 以下のように定式化できる Q 断面 Ⅰ 流量 密度 流速 断面 Ⅰ の面積 微小要素の断面 Ⅰ から だけ移動した断面 Ⅱ を流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅱ は以下のように

物理演習問題

<4D F736F F D20824F F6490CF95AA82C696CA90CF95AA2E646F63>

Microsoft PowerPoint - 計測工学第7回.pptx

Microsoft PowerPoint - H22パワエレ第3回.ppt

Microsoft PowerPoint - ce07-13b.ppt

Microsoft Word - 知能機械実験・実習プリント_ docx

s ss s ss = ε = = s ss s (3) と表される s の要素における s s = κ = κ, =,, (4) jωε jω s は複素比誘電率に相当する物理量であり ここで PML 媒質定数を次のように定義する すなわち κξ をPML 媒質の等価比誘電率 ξ をPML 媒質の

Microsoft PowerPoint - 9.Analog.ppt

Kumamoto University Center for Multimedia and Information Technologies Lab. 熊本大学アプリケーション実験 ~ 実環境における無線 LAN 受信電波強度を用いた位置推定手法の検討 ~ InKIAI 宮崎県美郷

Transcription:

電気 電子システムと複素数 東京工業大学大学院理工学研究科電子物理工学専攻 松澤昭 4/4/3

4/4/3 講演の狙い 電気電子工学や制御工学では 複素数 がやたら多く出てくる 複素数を使うと, 複雑なことが簡単になるのだが, 虚数 という一見存在しないような数を使うので, 最初はとまどってしまう そこで, なぜ電気電子工学では複素数を使うのか, どんな意味があるかについて説明したい 今後学習を進めるための参考にしてほしい この資料は,hp://www.ssc.p.ich.ac.p の cur にありますので, 興味のある方はダウンロードしてください

4/4/3 電気電子工学に現れる複素数 3 cos sin オイラーの公式 : 解析学 3 学期 工学上, 最も重要な公式 i は電流を表すので工学での虚数は i ではなく が用いられる ( 電圧 電流の複素表示 : 線形回路 3 学期 F( f ( d フーリエ変換 : フーリエ変換とラプラス変換 3 学期 時間領域関数の周波数領域関数への変換 s F( s f ( d ラプラス変換 : フーリエ変換とラプラス変換 3 学期 S は複素数 s 電気回路, 電力工学などの基本 通信, 信号処理などに用いられる 回路理論 4 学期 時間領域関数の複素周波数領域関数への変換 微分方程式の解法, 回路解析, 制御におけるシステム設計や安定解析などに用いられる

4/4/3 3 種類の電気素子 4 電気素子としてはこの 3 種類しかない この 3 種類の素子の性質を知ろう 容量 抵抗 R インダクタ

4/4/3 抵抗の性質 5 抵抗では電圧と電流は比例関係にあり, エネルギーを消費する 抵抗 R コンダクタンス :G R 電流 : 電圧 : 電圧は電流に比例する ( 比例係数は R R G 電流は電圧に比例する ( 比例係数は G P G R G R 消費電力は電圧の 乗もしくは電流の 乗に比例する W R Pd 消費エネルギーは消費電力の時間積分

4/4/3 容量の性質 6 容量では電圧と電流は時間微積分関係にあり, 電気エネルギーを蓄積する 電荷が本質的働きをする 容量 電流 : 電圧 : Q 電荷は電圧に比例する ( 比例係数は Q d 電圧は電流の時間積分に比例する ( 比例係数は / dq d d d 電流は電圧の時間微分に比例する ( 比例係数は Q W Q 電気エネルギーは電圧の 乗に比例し, これを蓄積する

4/4/3 インダクタの性質 7 インダクタでは電圧と電流は時間微積分関係にあり, 磁気エネルギーを蓄積する インダクタ 電流 : d d 電圧は電流の時間微分に比例する ( 比例係数は 電圧 : W d 電流は電圧の時間積分に比例する ( 比例係数は / 電気エネルギーは電流の 乗に比例し, これを蓄積する

4/4/3 抵抗, 容量, インダクタのまとめ 8 容量 抵抗 R インダクタ エネルギー W W R ( 保存 G R ( 消失 W ( 保存 d d 電圧 Q 各素子の電圧と電流の関係 d d d R R G d d d dq d 電流

4/4/3 容量と抵抗の時間応答 9 電荷が溜まっている容量を抵抗で終端した場合 +Q -Q S R スイッチを閉じた瞬間, 容量の電圧 oと抵抗の電圧 ( は等しいので, ( 抵抗の電圧 ( は電流 ( が流れることで生じるので, ( R S R ( ( 容量から電荷 ΔQ が抜けていく このことによる容量側の電圧変化と抵抗側の電圧変化 Δ は等しいので Q Q R R 全ての項を時間変化 Δ で割ると

容量と抵抗の時間応答の答え 4/4/3 R Q R S ( ( Q 電荷と電流は R Q これより R d d 指数関数を仮定して解いてみる ( d d ( 答えは R ( ( R これを時定数という微分方程式

4/4/3 指数関数の性質 指数関数は値が一定の比率で時間とともに増減する関数である リニア表示 対数表示.8. x.6 x.4.. 3 4 5 x 時間 3 3 4 5 x 時間

インダクタと抵抗の回路の時間応答 最初にスイッチ S が閉じられ,S は開いておりインダクタ には電流 が流れていた 次に S を開き = で S を閉じると, 電圧, 電流はどうなるか R S S インダクタの電圧電流関係は, 電流の向きを考慮して R インダクタに蓄積されている磁気エネルギー W は W このエネルギー W は急には変化できないので電流 は - になる したがって初期電圧は, R d d 抵抗側では R インダクタの電圧と抵抗の電圧は等しいので, R d d R 微分方程式 容量の場合と同様に指数関数になる R R 4/4/3

4/4/3 容量とインダクタの回路の時間応答 3 S d ( ( d 容量 : インダクタ : d ( ( d d 容量 に初期電荷があり, その電圧を とする S を閉じると 回路では A A ( A 容量側の方程式インダクタ側の方程式 電流は等しいので d ( d ( ( d 指数関数を想定して微分方程式を解いてみる 階の微分方程式にすると d ( ( d d ( d A, A 指数の肩に虚数が現れた したがって ( A

4 容量とインダクタの回路の時間応答 4/4/3 A ( = で なので ( d d ( ( から電流を求める d d ( ( ( 三角関数を用いて微分方程式を解いてみる A ' cos ( と置くと A d d A d d ' cos ' (, ' sin ' ( ( ( d d なので A A ', ' cos ' cos ' = で (= なので cos ( d d d d sin sin cos ( (

5 指数応答と正弦波応答の関係 4/4/3 ( ( cos ( sin ( 指数関数から求めた答え三角関数から求めた答え本来は同じ答えなので sin cos sin cos sin cos sin cos 有名なオイラーの公式一般化すると指数関数と三角関数を結びつける公式で複素数で表される指数関数に虚数を導入すると三角関数になる

オイラーの公式の複素平面での表現 6 虚軸 : 複素数の極形式 cos sin sin 実軸 角度 θ を位相角という 大きさが cos オイラーの公式は Z 平面 ( 複素平面 上の大きさ, で位相角 θ の点を表し単位円上にある 実軸成分が cosθ, 虚軸成分が sinθ である

4/4/3 回路の電圧と電流 7 共振回路における電圧と電流の関係は等速円運動上の水平軸への投影と垂直軸の投影と考えることができる cos sin 電流 cos 電圧と電流 電圧 sin x ( x (.5.5 4 6 8 時間 ( 位相 x 電流波形 電圧波形

4/4/3 電気エネルギーと磁気エネルギーの交換 8 共振回路では電気エネルギーを磁気エネルギーに, 磁気エネルギーを電気エネルギーに, 互いに交換している これが振動である 全エネルギーは一定 W o W W ( W c Wc 4 cos cos 初期電圧 cos 電気エネルギー 電流 : 容量 : インダクタ : 電圧 : W 磁気エネルギー ( sin W sin cos 4 W c cos cos 4 W 4

エネルギー交換から生じる電気振動 9 電気的振動は電気エネルギーと磁気エネルギーの交換から生じる 電気エネルギーと磁気エネルギー 磁気エネルギー 赤 : 電気エネルギー青 : 磁気エネルギー W c W 4 4 cos cos W W.8 W W W W sin sin sin W W cos c W 電気エネルギー W c cos cos.6.4. 4 6 周期 x

抵抗 容量 インダクタの回路 各素子の電圧 は同一で, 電流の和はゼロであるので ( A S 抵抗 : /G R 容量 : インダクタ : d d d d とすると G G R d d G したがって G 4 G d R d G d d d G d d 4 G 4 G 流れ出る電流の和はゼロ のときは d

抵抗 容量 インダクタの回路の時間応答 4/4/3 A ( G G 4 G G G 4 4 のときは回路の応答は λ が実根の場合は振動成分が生ぜず, λ が複素根のときに振動成分が発生する 4 G G G A A A A ( 複素根の場合は = で (= なので cos ( 減衰項振動項

時間応答の違い 微分方程式が実根の場合は減衰するだけで振動成分は発生しない 複素根の場合は振動成分が発生し, 減衰振動になる ( cos 減衰振動波形. 複素平面上の動き.8.4 青 : 実根の場合 赤 : 複素根の場合.8.6.4. 電圧 (@R ( f3( x -.4 4/4/3 -.8 5u u 5u u 5u 3u 時間 TME (s f( x

4/4/3 電気回路の応答の基本 3 G 4 電気回路の応答は, 微分方程式の根 ( ラプラス変換の極 の複素平面上の位置で決まる 共役複素根 s p 重根 x x p G p c G 減衰振動 安定 定常振動 ( 発振 不安定 共役複素根 s p p x

電気回路と複素数 4 電気素子 (R は電圧 電流の関係が比例 積分 微分 (PD の関係にあり, その応答は 次の微分方程式で表される 解は複素数の指数関数となる 電気エネルギーと磁気エネルギが交換されるときの解は虚数を含み, 正弦波の振動を発生させる 解の実数部分は電磁エネルギーの減衰を表す R 抵抗 : /G R 容量 : インダクタ : d d G d D: 微分項 P: 比例項 : 積分項 d d G ( A G 複素数は電気回路の基本 d d G ( G 4 A A

4/4/3 なぜ複素数で電気信号を表すのか? 5 実数だけを用いると, 振動現象の背後にある電気エネルギーと磁気エネルギーの交換を表せない 複素数を用いることにより, 総エネルギー量 ( 絶対値 と電気エネルギーと磁気エネルギーの比率 ( 位相 が表現でき, 振動の本質を表すことができる 電流 cos sin sin 電流 : 電圧 : cos 電圧 電圧と電流 容量 : 電気エネルギー インダクタ : 磁気エネルギー

4/4/3 超高速無線通信 6 複素数は電気電子工学, 特に通信や信号処理の基本である ここでは, 高周波信号に情報を載せる変調技術への応用を示す 関数の直交性から信号を複素数で捉え, 同一周波数で つの独立した ( 複素 情報をおくることができるため, 古典的な変調技術に比べ, 同一帯域で 倍の情報を送ることができる 研究室ではこの技術を用いて,8Gbps の世界最高速無線通信が可能な 6GHz 帯無線トランシーバー集積回路を開発した

3//5 A. Masuzawa, Tokyo Tch. 6GHz MOS トランシーバーの開発 7 研究室で開発した, 超高速無線伝送用集積回路 K. Okada and A. Masuzawa, al., SS

3.8. Tokyo Tch アンテナ内蔵パッケージと電波の放出 8

3//5 A. Masuzawa, Tokyo Tch. 性能測定系 9 BB chip RF chip wih 6dBi annna [3] BB chip BB board onrol (FPGA Powr supply BB PHY RF board /Q Tx mod RF board /Q Absorbr Rx mod RF board /Q RF board /Q BB board Powr supply BB PHY onrol (FPGA onrol signals onrol signals apop P apop P

4/4/3 超高速無線通信 3 世界最高速の 8Gbps 無線通信を実現 超高速無線通信ではダントツの世界一 Daa ra [Gb/s] 3 5 5 5 松澤 岡田研の成果 UB Univ. of Torono SiBam ME UB Broadcom NE EA-ET Panasonic Toshiba Toshiba 7 8 9 3 4 5

3//5 A. Masuzawa, Tokyo Tch. 研究室の高周波特性評価装置 3 GHz までの最新の高周波評価装置が揃っている

3/3/ トランシーバー開発メンバー 3 修士学生が中心の開発メンバー若い力が未来をつくる 年 月

4/4/3 変調技術 33 高周波信号 どのようにして無線信号に情報を載せるか? これらの古典的な変調方法は効率が悪い! y ( A( cos ( ( ( 振幅変調 : A( ( 周波数変調 : ω( (3 位相変調 :θ( 正弦波の 3 つのパラメータをデータに応じて変化させれば良い ( 振幅変調 ; AM (Ampliud modulaion ( 周波数変調 ; FM (Frquncy modulaion (3 位相変調 ; PM (Phas modulaion

直交という概念 34 関数の直交性 つの関数 f(x, g(x が区間 α から β において f ( x g( x dx となる関数は互いに直交している関数である 例えば cos x 複素数の直交性 と cos x sin xdx sinx sinx は区間 -π から +π において 複素数の実部と虚部は独立しており, 直交性を有する z z a b a b z であるので 直交している a a b z b 3 A. Masuzawa 34

直交変調 35 sin 波と cos 波は直交しているため 同一周波数でも つの独立した情報が送れる 変調 復調 D a D b cos c sin c 送信波 フィルタ後 元のデータが再現できる 3 A. Masuzawa 35

複素変調 ( 直交変調 36 QAM( Quadraur Ampliud Modulaion 位相と振幅の両方に情報を有し 狭帯域でも多くの情報を送れる 複素数としての取り扱いが可能である ( 虚数 b ( A( ( 極形式 ( 直交加算 y( A( ( y( a( cos b( sin ( ( ( ( ( ( ( a ( ( 実数 cos 波と sin 波を重みを付けて加えることで, 複素形式となる A ( a( b( ( ( ( ( ( an b a 3 A. Masuzawa 36

超高速無線通信機の構成 37 直交発振器とミキサを用いることで複素変復調が可能になる この技術で通信速度を上げた a( cos b( sin c A( cos c ( c a( cos 送信機 電力増幅器 受信機 c b( sin c 直交ミキサ ( 乗算器 cos c sin c cos c フィルタ 発振器 フィルタ フィルタ a( 直交発振器 b( a( 発振器 低雑音増幅器 sin c フィルタ b( 4/4/3

4/4/3 複素平面で考えよう 38 次元の価値観 勝ち組, 負け組 お金 複素平面の価値観人間性高い偏差値 偏差値 低い 高い 低い 高い 低い

4/4/3 複素の価値で考えると 39 情報 ( ソフトウエア エンターテインメント 電気電子 ( ハードウエア エネルギー