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物理 液晶の物性定数とその測定法 石川謙東工大 有機 高分子物質 このパワーポイントを pdf 化したものを そのうちどこか ( 液晶学会か東工大の有機 高分子 ) の HP のどこかに掲載します 多分 今年度のサマースクールの HP からリンクが張られるだろうと思います 液晶の物性 ネマチック液晶 誘電 屈折率異方性 磁気異方性 密度 温度範囲 弾性定数 粘性係数 吸収係数 毒性 コレステリック液晶 ラセンの掌性 ラセンピッチ 特性反射波長 ラセンピッチの温度依存性 スメクチック 層間隔 層内秩序 層圧縮弾性率 傾き角 層内秩序 自発分極 今回はネマチック相の物性の一部に限定

ネマチック液晶相 分子の平均的な向きに異方性を持った流体 異方性の存在 誘電率 屈折率の異方性 電場による応答 複屈折 分子長軸の平均配向方向の存在 配向方向の空間分布による弾性 流体 低駆動電圧 自己修復性 保持体の必要性 全体の概要 配向秩序度 分子の異方性と巨視的な異方性をつなぐもの 物性各論 磁気 誘電 屈折率 弾性 粘性 測定手法 セル作製手法 配向秩序度測定 誘電率 屈折率 屈折異方性 弾性率

配向秩序度 分子の異方性と巨視的な異方性 液晶状態の対称性 配向ベクトル 配向の程度 オーダーパラメータ テンソルオーダーパラメータ 分子の異方性と巨視的な異方性 P 0 P=0 P=0 極性 完全配向 非極性 完全配向 P=0 液晶分子の対称性は低く 多くの場合永久双極子を持つ 液体状態 ( ランダム ) 非極性 不完全配向 3

ネマチック液晶の対称性 α z ε z α y ε y α x ε x α α α α z y x z ε ε=ε z y x 実際のネマチック液晶は円筒対称性を示す 円筒対称性が成立する条件 頭が上の分子と 頭が下の分子が同数いる 分子長軸回りに特定の配向は存在しない 左に図は長軸回りに 4 つの方向しか描いていないけれど 実際のネマチックではアボガドロ数の分子が連続して分布している 余談的な注 : これらの つは 実際のネマチック液晶に関する実験結果から結論された物であり 第 原理から要請されたものではない 4

通常のネマチック液晶 基本 n=-n なので 頭に矢印 ( ) を付けない n 偏光顕微鏡で暗くなるところは n が偏光子か検光子に平行 n: 配向ベクトルディレクターと発音する人とダイレクターと発音する人がいる あとの話に関連する注 : 配向の程度は完全からはかなり遠い 通常ではないネマチック液晶相 余談 極性ネマチック液晶 n -n 配向ベクトルに平行な極性が存在 n 二軸性ネマチック液晶通常の n 配向ベクトルに加えて それと垂直な第 の配向ベクトルが存在 n l n t 欄外注 : 二軸極性ネマチックは今のところ見つかっていない 5

ネマチック相の局所秩序 余談 ネマチック液晶の中には局所的な 軸性秩序が見られるものもある この場合 X 線サイズの 軸性ドメインがあることになる 光の波長レベルの秩序はなく 軸性にしか見えない 分子配向を決める因子 配向軸からθ 傾いた時にどれだけエネルギーが不利になるかで配向分布が決まる π sinθ e - Δ ε(θ) kt P( θ)= Δε(θ) π sinθ e - kt dθ `sinθ f(θ ) exp(-δ E kt) / 0 π / θ 6

液晶相を安定化する要因 異方的な引力斥力 ( 排除体積 ) U=F(R, θ) 8LD D(L+D) 異方的なポテンシャルがあるから 液晶状態が存在する ポテンシャルの形状が分かれば 配向分布を計算できる しかし 第 原理からポテンシャルを計算することはできていない 実験による配向分布の測定 θ Absorbance(arb.units) 0 90 80 70 360 θ ncos i θ i 分子の長軸方向に偏光した光のみ吸収されるとする この時 偏光面と分子の長軸の角度をθとすると 吸光度 Absは Abs cos θ となる N 個の分子からなる系での吸収の角度依存性は 個々の分子の吸収の和なので ncos i θ i となる 但しn i は角度 θ i の分子の個数である つまり 吸収異方性では分布 n i (θ) に cos θ で重みがついた分布平均 <cos θ> しか分からない 7

<cos θ> に依存する物性 屈折率異方性 誘電異方性 磁気感受率異方性 吸収異方性 ( 弾性定数 ) 実用上重要な物性は 液晶の配向分布ではなく <cos θ> に依存している それ故に 配向分布が分かっていなくても <cos θ> 分かっていれば大丈夫なことが多い 次の配向秩序度 基本 <cos θ>の有り難くない点 完全配向 完全無配向 /3 軸に垂直面内で配向 - 完全配向時の はよいが 無配向では 0 になって欲しいし 垂直配向の - も望ましいものではない 完全配向で 完全無配向で 0 になるように P= <3cos θ -> オーダーパラメータは S で表記されることが多い 8

配向状態のイメージ n P = P =-/ n 方向に完全に整列 n に垂直な面内にのみ長軸方向が分布 ネマチック液晶の配向程度 かなり基本 N 液晶相 等方液体相 配向秩序度 0.5 * β P=a(T-T) 0 T N-ISO T * 温度 T/K ネマチック相の P は等方相転移付近で 0.4 程度 温度が低くなると 0.7 程度まで上昇する 9

マジックアングル P= <3cos θ -> より θ cos = 3 の時に θ 3cos -=0 である つまり θ~54.7 度の時に P は 0 になる この角度をマジックアングルという 54.7 マジックアングルに分子が分布していると ランダムな状態ではないにもかかわらず 光学的には等方に見える状況が出現する 次元系のマジックアングル 余談 次元の場合は 45 度がマジックアングル 一部の反強誘電性液晶 フタロシアニン β 型結晶 ( 非液晶 ) 0

次以外の配向秩序度 少し余談 P= 8 <35cos -30cos +3> 4 4 θ θ P 4 は P が 0 になるマジックアングルでも 0 にならない P 4 は偏光ラマン測定により評価できる P 4 は実用上重要な物性とは直接結びつかないので 学問的興味以外ではあまり測定されない 奇数次のオーダーパラメータは 通常のネマチック相では対称性から 0 になる もし 極性ネマチックだと P,P 3 も有限の値となる P =<cos θ> P= <5cos 3 θ -3cos θ > 3 P3 は非線型分光測定で計測できる ( と思う ) 液晶の配向方向と配向秩序度の表記 n 配向ベクトル 主軸方向 オーダーパラメータ (P ) 配向秩序 液晶の方向と配向秩序を示すのには n と S の両方が必要 オーダーパラメータは配向主軸に対する <cos θ> をとっているが直交する 3 軸に対する <cos θ> の投影をとれば 配向主軸と配向秩序の両方に対する情報を記述出来る テンソルオーダーパラメータ テンソルオーダーパラメータを使うと 局所的な配向変化を気にせずに自由エネルギーをオーダーパラメータで展開できるので 相転移の理論などではテンソルオーダーパラメータが用いられる

テンソルオーダーパラメータ Q= 3 <cos - > <cosθ cos > <cos cos > 3 x θ y θ x θ z θ x <cosθ y cos θ x > <cos θ - > <cosθ cos > y 3 y θ z <cosθ z cos θ x > <cosθ z cos θ y > <cos θ - > z 3 注 : 係数が異なる表記法あり たとえば Z 軸に完全配向だと Q= - 0 0 0-0 0 0 対角化により n の方向が自動的に求まるので 動力学シミュレーションの結果を評価するのには便利 たとえば XY 面内で第 象限 45 度完全配向だと たとえば XY 面内で第 象限 35 度完全配向だと Q= - 0 4-0 4 0 0 - Q= 4 4 0 0 0 0 - オーダーパラメータと巨視的な異方性 分子の異方性と巨視的な異方性 配向秩序度と異方性 局所場の影響

分子の異方性と巨視的な異方性 B θ m= Bcos l μ 0 - χ l θ m= Bsin t μ 0 - χ t θ m = ( cos + sin )B // μ 0 - χ l θ χ t θ m = μ 0 - ( χ l cosθsin θ+ χ t sinθcos θ)b <m // >= μ - 0 ( χ <cos l θ>+ χ<-cos t θ>)b= μ - ( (P +)+ (3-cos ))B= 3 0 χ l χ t θ μ ( (P +)+ (-P ))B 3-0 χ l χ t 配向ベクトル方向と垂直方向の平均磁化値は 分子の軸方向の感受率とオーダーパラメータで表記できる 配向秩序度と異方性 基本 Χ// =N< χ // >= [ Χ (P +)+ (-P )] 3 l Χ t Χ =N< χ >= [ Χ (-P )+ (+P )] 3 l Χ t - =( - ) P = P Χ // Χ Χ l Χ t ΔΧ 完全に並んだときの異方性にオーダーパラメーターを掛けるとその状態の異方性となる 3

局所場の影響 <m // >= μ - 0 ( χ <cos l θ>+ χ<-cos t θ>)b= μ - ( (P +)+ (3-cos ))B= 3 0 χ l χ t θ μ ( (P +)+ (-P ))B 3-0 χ l χ t 分子に実際にかかる外場が 外部からの平均的な場に等しいなら 巨視的な感受率は分子の感受率に粒子数を掛けたものに等しくなる しかし 誘電率や屈折率に関しては局所場の影響のため 単純な可算は成立しない 物質内の平均的な電場強度は誘電率を用いて求めることができる しかし 物質内部の電場強度は均一ではなく 分子の感受率と巨視的な誘電率を結びつけるためには 分子にかかっている局所的な電場を用いて検討しなければならない 局所場の直感的な実例 NMR の化学シフト NMR の信号は磁場による原子の核磁気モーメントのエネルギー差に基づく 磁場が外部磁場 B のみなら 同種の原子はすべて同じ周波数に信号与える ΔE B B H 実際のNMR 信号は原子団により異なる位置に出現する このことは 個々の原子が感じている磁場が 外部磁場とは異なっていることを示している 例えば ベンゼン環の水素は ベンゼン環による影響で外部磁場からのずれが生じる ただし NMRにおける外場からのずれは極めてわずかな物である 4

誘電率に対する局所場の計算 -------------------------------------- + + + + + + + + + + + + + + + E 3 - - ------ - - ---- -- E +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ E 等方性物質の場合は 着目している粒子の周囲に球状の領域を考え その内部では双極子の和を正確に計算し 外部では平均して扱うことで局所場を計算できる 異方的物質では 局所場を正確に計算することは一般には困難である 局所場の補正値は配向秩序度に依存するため 磁場のように配向秩序度に対して線形の関係にならない 局所場の計算 ( 等方的な場合 ) 等方的で非極性な系では 局所場を計算する術が与えられている -------------------------------------- + + + + + + + + + + + + + + + E 3 - - ------ - - ---- -- E +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ E ε- Nα = ε+ 3 ε 0 着目している粒子の近傍は 粒子の分極による誘起双極子の影響を厳密に考え 離れているところでは平均として扱う E =E+E+E+E=E+ 3 P local 3 4 ε 0 E : 外部電場 E : 反分極場 E 3 : 空洞場 E 4 : 双極子による場 E=E +E : 平均的な内部電場 分子分極率と巨視的な物性を関連づける式 分子分極率 α と巨視的な比誘電率 ε は単純な線形関係にない 等方的でなかったり 分子に永久双極子があると ( つまり液晶では ) こんな簡単な関係式は成り立たなくなる 5

異方性がある場合の誘電 屈折率 ε // - N = { α ( P +) + ( -P )} + 9 ε l. α t 0 ε av ε - N = { α ( -P ) + ( +P )} + 9 ε l. α t 0 ε av 誘電率の平均値で空洞場を計算する近似では等方状態と類似の関係が得られるただし 使うにあたっては慎重さが必要 ( さらに 分子の永久双極子も考慮されてない ) Δn ρ / P 屈折率異方性は密度が変わらなければ近似的にオーダーパラメータに比例する 誘電率の周波数分散 カラー液晶ディスプレイ 堀浩雄 鈴木幸治編 共立出版に引用されている誰かのデータより 光の周波数では // の方が誘電率は高い ( 屈折率異方性は正 ) 6

液晶の弾性と粘性 固体の弾性と液体の弾性 ネマチック液晶の弾性 液晶の変形モードと弾性定数 結晶の弾性定数との違い 液晶の粘性 固体の弾性と液体の弾性 固体 拗り 液体 曲げ 形状の変化に対しては復元力はない 引っ張り 捻り 曲げ 引っ張り 体積変化に復元力が働く 体積変化に対しては復元力が働く 7

ネマチック液晶の弾性 外形の変化復元力無 配向ベクトルの均一な変化復元力無 体積の変化復元力有 配向ベクトルの不均一な変化復元力有 変形モードと弾性定数 スプレイツイストベンド dnx/dx dny/dx dnx/dz dnx/dx, dny/dx, dnz/dx,,,,,,,,, dnz/dz と 9 つの変形パターンがある これらのうち dnz/ の 3 つは z 方向の n の変化は配向秩序の変化になるので 配向ベクトルの方向変化ではないので 考えない 残る 6 つの要素と 力の方向のバリエーションを考えると すごく沢山の弾性定数 ( 固体の引っ張りとか曲げに対応するもの ) があるけれども 液晶の対称性からそれらは整理されて最終的に 8

ネマチック液晶の弾性定数 基本 F= K( n) + K[n( n)] + K[n ( n)] 3 e K( スプレイ ) K( ツイスト ) K3( ベンド ) の 3 つの独立な弾性定数がある スプレイツイストベンド dnx/dx dny/dx dnx/dz 液晶の弾性定数 ( 比 ) は 表示装置の閾特性や配向の安定性を支配する 系がキラルだと自由エネルギーの第 項に有限のツイスト ( ラセン ) をもたらす項が加わる 液晶と固体の弾性定数表記 S S S S S S 3 4 5 6 = s s s s s s s s s s s s s s s s s s s s s s s s s s s s s s s s s s s s 3 4 5 6 3 4 5 6 3 3 33 34 35 36 4 4 43 44 45 46 5 5 53 54 55 56 6 6 63 64 65 66 T T T T T T 3 4 5 6 F=-kx E= kx 固体では応力と歪みを結びつける係数として弾性定数が定義される 液晶では配向ベクトルの空間変化と自由エネルギーを結びつける係数として弾性定数が定義される F= K( n) + K[n( n)] + K[n ( n)] 3 e 両者の違いは ( 多分 ) 液晶系においては 配向ベクトル方向が空間的に変化するために 座標軸固定の議論をやりにくいことによる ( 自由エネルギーで座標系に依存しない表記の方が一般的議論が可能になる ) 9

軸性ネマチック液晶の弾性 余談 弾性定数が 3 つしかないのは 軸性ネマチック液晶相 軸性ネマチックには 個の弾性定数がある ( らしい ) 軸性ネマチック相ツイスト変形だけで 3 種類ある ネマチック液晶の粘性 液晶の粘性は表示装置の応答速度に影響を及ぼす重要な物性定数である 異方性を反映して 5 つの独立な粘性係数がある 5 つの粘性係数の評価は楽ではなく 定常流動における 3 つの粘性係数や 表示装置の応答速度に関連する回転粘性 ( これらは 5 つの粘性係数の線形結合で表記できる ) で粘性を評価することが多い 0

物性の測定 セルの作製 作成手順 代表的な配向 セル厚の測定 各種測定 オーダーパラメータ 誘電率 誘電異方性 屈折率 屈折率異方性 弾性定数 仕事でやるなら 市販のセルが楽 セルの仕様を定めるのには知識が必要 仕事でやるなら 市販の装置が楽 原理が分かっていないと変なデータがでる危険性 試料測定セルの作製 ガラス切断 電極パターニング 洗浄 ラビング ベーキング 配向膜塗布 セル組みセル厚測定リード線付け

代表的な配向 ホモジニアス ( 水平 ) 配向 ホメオトロピック ( 垂直 ) 配向 セル厚の測定 液晶試料を入れない状態で多重干渉を利用して計測液晶試料を入れない状態で セルの容量を計測して算出 δ 4 δ δ 4 δ r (-cos ) 4r sin R= = +r -r cos +r -r cos n- r= n+ = π δ nd λ 干渉構造の周期から δ を算出 空気の屈折率は として先に進める 分母の変化を無視して分子の周期性のみに着目すると 光の波長に比べてセルが厚く 複数の干渉極大が見える場合に連続する極大の波長とセル厚の間に次式が成立する d= λ λ λ -λ

オーダーパラメータ測定 完全に配向した状態の物性値と ある温度での物性値の比較から オーダーパラメータの値を算出する 完全配向の物性値を求めるのには ちょっとした工夫が必要 二色色比からオーダーパラメータの値を算出する D= A A // D- P= D+ 見ている吸収が完全に偏っている必要がある 温度依存性フィットからの計測 配向秩序度 0.5 0 N 液晶相 * β P=a(T-T) T N-ISO T * 温度 等方液体相 T/K Δn(T)= Δn max(t 0-T) Δn(T) P= Δ nmax α 物性値 ( 例えば複屈折 ) の温度変化を測定する 測定結果を温度依存性の理論式によりフィッティングする 得られた最大値を元に その温度でのオーダーパラメータ値を算出する 3

誘電異方性 市販インピーダンスアナライザーを用いる コンデンサに物質を充填し その時の容量変化から物質の誘電率を測定する 配向は 配向処理剤もしくは磁場により行う 磁場による配向では同一セルで異方性測定が可能 周波数を変化しながら測定するタイプと パルス場に対する応答から FFT で広域の誘電率を求める手法がある 高周波数 (GHz) になると技術が必要 低周波時にはイオン性の不純物があると測定がうまくいかない 屈折率測定 アッベの屈折計 全反射を利用した液体の屈折率測定計 測定範囲.3~.7.47~.87 程度 配向処理により n e と n o の測定可 多波長タイプもある プリズムを用いた測定 頂角の定まったプリズムによる屈折角測定 測定範囲に制限なし 配向処理により n e と n o の測定可 多波長可も可能 複屈折のみの測定 直交ニコル間の着色により n e -n o を評価 4

プリズムセルによる屈折率測定 δ θ 垂直入射 最小偏角 n= sin( δ+θ) sin[( δ+θ) /] n= sinδ sin(δ/) 固体の屈折率測定では最小偏角が一般的な手法 液晶業界では垂直入射が多い セルの頂角が小さい場合は どちらでも あまり影響はない 複屈折量の測定手法 干渉色による半定量評価 補償による値測定試料による位相差を相殺するような既知の位相差量の複屈折物体をはさむ ベレック型コンペンセータ 楕円偏光解析 ( エリプソメトリー ) 試料を通過後の楕円偏光の楕円率を直接測定する 回転偏光子 ( 検光子 位相差板 ) 法 透過スペクトル測定 5

半定量的な複屈折測定 干渉色図表 複屈折から膜厚 膜厚から複屈折が概算できる 有機物では屈折率分散の影響で色調は変化する ベレック型コンペンセータ 光軸 複屈折板 ( 方解石 ) を傾けて複屈折値を連続的に変えられる偏光顕微鏡を見ながら 試料の複屈折が打ち消されて暗くなる位置を探し その時の目盛りから複屈折量を計算する 京都の日本地科学社で ニコン オリンパスに使えるものを売っている 6

目盛りによる干渉色変化 θ=0 θ=+ θ=+++ θ=++ 回転に従いリタデーションが大きくなり 高次の干渉色となる ベレックコンペンセータの補償 上左 : ベレックは平行に装着 色調は完全に試料によるもの上中 : ベレックを回しはじめる 右下から 次の青が現れている 上右 : ベレックをさらに回す 見えているのは 次の赤 左上はくらいが ここは 530nm の鋭敏色になっている 下 : 左下から右上に走るのが補償がなされてリタデーションが 0 になった黒い領域 これが 十字線の真中になったときのコンペンセータの目盛りを読む 7

ベレックコンペンセータによる有機物測定 信用できるのは 700nm 程度まで それ以上の値を拾いたい場合には 白色光を用いた観察と シミュレーションの比較により補償されている概算を定め その上で 単色光で値を求める必要がある 原理的には試料と同じ分散を持つベレックがあれば 完全な補償は可能 スペクトル計測による複屈折測定 干渉色からの複屈折評価の定量化 ある波長での透過光量から計算 参照をきちんと測定しないと 値に狂いが生じる どの象限にいるのかを確認しないと値が狂う スペクトルからのフィッティング 複屈折がほどほど大きく 測定範囲内で極大 極小が出現する場合はそれほど問題なく測定できる 複屈折が小さく 測定範囲で極大 極小が見られない場合は 他の位相差板を重ねる工夫が必要 複屈折がほどほど大きく 測定範囲内で極大 極小が出現する場合はそれほど問題なく測定できる 8

簡易的な顕微分光の実現 C マウントアダプター USB 接続ファイバー入力分光器と C マウントアダプターの組み合わせ 顕微鏡の写真鏡筒に組み込む 写真鏡筒へ光を 00% 分岐出来る写真鏡筒であることが必要 ( そうでないと 分岐プリズムによる干渉構造が生じてスペクトルがきれいに取れないことがある ) USB 分光器 顕微分光による複屈折測定 CN はクロスニコルでの透過光量 500nm より短波長領域と 750nm より長波長領域では光の漏れが生じている ST はスコッチテープを入れた場合の透過量 ピークと谷の位置や スペクトル形状からのフィットが可能 データは 500nm~ 750nm の範囲を使うように注意すべき 9

フィッティング方法 ピークと谷の間隔から 簡易的に値を見積もるのには便利 ピークと谷の位相差が π であることを利用 分散を無視したカーブフィッティング エクセルなどで グラフを描きながら フィッティングパラメータを手で変えて 目で判断するのも一つの方法 分散を含んだカーブフィッティング 分散はコーシーの分散式 ( など ) を用い 分散式の係数もフィッティングパラメータとする いずれにせよ 干渉構造が出ていないと苦しい 薄い場合はベレックを使うか 工夫をする 微小複屈折測定 試料単体の複屈折が小さいと 測定領域で 透過光は単調に減少し 単体スペクトルから複屈折を見積もることは困難になる このような場合は 他の位相差板と重ねて ずれを見ればよい きちんと測定すれば nm 程度のリタデーションは測定できる 30

弾性定数の測定 フレデリクス転移による方法 初期配向と磁場の方向により K K K 3 が求められる 磁場でなく電場でフレデリクス転移をかけることもできる 光弾性散乱 角度依存性により弾性定数比が定まる 磁場による配向変化 B=0 B B 0 B=B 0 Δnd B>>>B 0 B>>B 0 B>B 0 水平配向セルに垂直方向に磁場をかけると ある閾磁場まで 配向状態は変化しない 閾磁場を越えると中心部から配向変化が生じる この現象をフレデリクス転移と呼ぶ 3

閾値の決定 Tra n smittan ce I/I 0 Bd= 0 π B B 0 K μ 0 Δχ B=B 0 Δnd B>>>B 0 Magnetic Field B 配向変化が始まると複屈折値が変化しクロスニコル間での透過光量が変化 3