No.128 2013 夏季 カウ ベル全酪連購買事業情報紙 酪農 TOPICS 全酪連酪農セミナー 2013 開催される! 大場真人の技術レポート 飼料設計以外の栄養管理要因を考える 酪農一口メモ解説 暑熱対策は総合的に 夏バテは体細胞が増える? 行列のできる酪農経営相談所原料情勢 / 粗飼料情勢
酪農 TOPICS 2013.-6 全酪連酪農セミナー 2013 開催される! 全酪連は 平成 25 年 5 月にコーネル大学畜産学部教授マイク ヴァンアンバーグ博士を招聘し 全酪連酪農セミナー 2013 を札幌 福島 神戸 熊本の全国 会場にて開催致しました 酪農家をはじめ 会員職員 公的機関研究員 獣医師など総勢 750 名を超える多くの方々に参加していただきました 講師のヴァンアンバーグ博士は 8 年前 ( 平成 17 年 ) に 日本で初めて 強化 哺育技術を紹介した方であり これまで酪農生産現場に多くの有益な情報を提供していただきました そして今回のセミナーでは 強化 哺育パートⅢ 理想的な子牛の哺育システムと長期的な影響 と題し 様々な研究情報を整理し これまでの集大成とも言える内容となっています 強化 哺育技術が乳牛の良好な発育と酪農経営への貢献を裏付けるもととした重要な内容を 以下 5 章の構成で講演して頂きました その内容を要約してご紹介させていただきます 第 1 章初乳とその構成要素 米国における離乳前子牛の死亡率は 7-10% にも達する そのう ち 生後 3 週間以内の死亡の 31% は 初乳マネジメントの失敗 ( 移行免疫不全 ) に起因するとされる それゆえ 新生子牛にとって 初乳 とは栄養供給並びに免疫シス テムを構築する上で 大変重要なものであることは良く知られている しかし 最近では それ以外に発育に影響を及ぼす可能性のある様々な生理活性物質が初乳中に含まれていることが分かってきた そのため 不十分な初乳摂取は 飼料効率にも影響を及ぼし 子牛の発育低下 並びに長期的なパフォーマンス低下へ影響するとされる 第 2 章生物学的に正常な給餌と栄養要求 長年に亘る子牛と育成牛の栄養要求の研究において 増体の組成 ( 脂肪と炭水化物の比率, 脂肪酸組成, 蛋白質とエネルギーの関係 ) を如何にして操作するかを学んだ 生後 21 日齢以下の子牛にとっての快適な気温は 15 27 であり 気温 15 以下の環境下で体の深部温度を維持するために約 0.022 メガカロリー / 代謝体重 / の追加的な熱量の増加が要求される また 適温でストレスがない状況下における体重 50kg の子牛の栄養要求量は 増体速度 0.2kg/ 日の場合と 1.0kg/ 日の場合で比較すると 代謝エネルギーの要求量は約 2 倍 粗蛋白質の要求量は約 3 倍の違いがある したがって 増体速度をアップさせる程 給与する代用乳の栄養バランスを吟味する必要がある 全乳や移行乳は高脂肪であり 体脂肪率の低い新生子牛にとって良好であるものの 継続して大量に給与す 2 COWBELL No.128 夏季号 2013.7
TOPICS る場合には カーフスターター摂取量の低下 体脂肪の過度の蓄積等の問題が生じる 逆に 強化 哺育用代用乳 ( 高蛋白 低脂肪 ) の給与量を制限すると 単なるエネルギー不足を招くことになるため注意が必要である 強化 哺育プログラムでの離乳マネジメントは 7 10 日かけて代用乳の摂取量を 50% 減らすことで カーフスターターの摂取量を増加させる そして 離乳操作中にワクチン接種や除角などの追加的ストレスは与えず 離乳後少なくとも 7 日間は個体ペンからの移動を避ける 群グループへ移動した後も 同カーフスターターを給与し 10 1 日間は他の変更を加えないようにすることが大 切である 第 3 章乳腺発達の再評価と最新情報 従来より 春機発動前の高エネルギー飼料摂取の影響として 乳腺への脂肪蓄積が乳腺発達 並びに泌乳成績に悪影響を及ぼすとされてきた しかし 近年の研究より再評価を行った結果 乳腺の実質組織が周辺の脂肪パッドに伸長していくことが分かり 乳腺パッドは乳腺発育にプラスの影響を及ぼすとの見解となった したがって 春機発動前の乳腺発育と将来の乳量との間には明確な関係はないとしている 第 章生物学的に正しい成長の結果 生後早期における栄養摂取と長期的な生産性に関する多くの研究報告が紹介された コーネル大学農場牛群 1,00 頭以上のデータよ り 離乳前の平均日増体量が 1kg 増加するごとに 305 日初産乳量が 706kg 増加した さらに 3 産次に亘る乳量に及ぼす影響でも平均日増体量 kg あたりの予測乳量差が 2,279kg まで増加している また テスト デイ モデル ( 季節 遺伝 管理による乳量変動を減じ 乳量に対する発育の効果を評価できるような統計的分析手法 ) による解析を行った結果では 遺伝的選抜による乳量差が 1 乳期あたり 68-115kg であるのに対し 離乳前の子牛栄養と管理は遺伝的選抜による乳量差に比べ 1 乳期あたり 8 倍の乳量をもたらすことが示唆された さらに 疾病や治療と乳量との関係を調査したデータでは 呼吸器疾患等による抗生物質治療を受けた子牛は 治療履歴のない子牛と比べ 初産乳期乳量が 93kg 低く 有意な差が示された 結論として 哺育育成時の影響は 素質よりも最高 7 倍大きい そして 早期に強化された蛋白質合成の影響は 長期に亘ってプラスの効果をもたらす 子牛達を自分の赤ちゃんのように待遇してあげれば 彼女等は将来 乳牛としてあなたに尽くしてくれるでしょう 第 5 章目標発育システムと初産分娩月齢 育成牛の発育目標の適正な到達点はどこなのか? を考えた場合 乳牛の体格は牛群もしくは地域によって大きく異なるものであるとの考え方より 牛群の成熟時体重 (3 産次以降の体重 ) の関数で発育目標を設定するべきである ( ター No.128 夏季号 2013.7 COWBELL 3
ゲット グロウス システム ) 春機発動は成熟時体重の 5 50% 妊娠は成熟時の 55% を目標とし 初産分娩は成熟時の 82 85% が初産乳量を最適なものとする これらは 同一飼料 同一体重であっても成熟時体重の相違により増体組成が異なることから エネルギー許容増体量が異なることを意味する つまり 大型化の進んだ特定の育成牛に従来どおりの栄養バランスで飼料給与すると 代謝蛋白の不足から余剰なエネルギーが脂肪として蓄積され 結果過肥になる可能性がある 高品質な酪農後継牛システムにおいて 経済的見返りを最大にす る上で最も重要なことは 初産分娩月齢の早期化であり 20 22 ヶ月齢初産分娩は十分達成可能な目標である 今回のセミナーでは ゲスト講師による講演として 日本国内の研究機関による 強化 哺育技術の応用研究の報告を行なって頂きました 各会場ごとの演者とテーマは下記のとおりです 今後も様々な視点から 強化 哺育技術の応用が生産現場で活用される事が期待されます また 札幌セミナー翌日には 指導者 技術者を対象とした 全酪連ワークショップ 2013 を開催し コーネル正味炭水化物 蛋白質システム(CNCPS) の最新情報とその将来 子牛の初期栄養管理と長期的な生産性 と題した最先端情報を紹介しました 会場講演者テーマ 札幌セミナー (5/20) ホテル ノースシティ 酪農学園大学獣医学群小岩政照教授 子牛疾病の発病要因と対策 ~ 栄養面からのアプローチ ~ 福島セミナー (5/17) ビッグパレットふくしま 岩手大学農学部平田統一助教 有機ミネラルあるいは無機態ミネラルのスターターへの添加が 強化 哺育中の黒毛和種子牛の発育に与える影響 神戸セミナー (5/15) 神戸ポートピアホテル 鳥取県畜産試験場瀬尾哲則氏 強化 哺育を活用した黒毛和種子牛の飼養管理について 熊本セミナー (5/1) 火の国ハイツ 福岡県農業総合試験場林武司氏 強化 哺育を活用した肉用牛肥育技術の取り組み ワークショップ (5/21) ホテル ノースシティ 九州大学大学院農学研究院後藤貴文准教授 黒毛和牛における 強化 哺育の可能性と代謝インプリンティング 全酪連は 今後とも酪農現場に密着した活動を軸に 酪農家の方々が必要とする価値ある情報を提供していく所存でございます また ハイパフォーマンスに挑戦 をスローガンとし 生産性向上を目指した飼養管理を継続してサポートしていきたいと考えていますので 宜しくお願い申し上げます COWBELL No.128 夏季号 2013.7
原料情勢 Feed Ingredients 平成 25 年 7 9 月の配合飼料の価格改定と原料情勢について ( 平成 25 年 6 月 21 日発表 ) 主原料 主原料である米国産トウモロコシは 6 月 12 日米国農務省の需給予想において 2013 年産の生産量は 10 億 500 万ブッシェル (3 億 5,57 万トン ) 単収は 156.5 ブッシェル / エーカー 総需要量 128 億 5,000 万ブッシェル (3 億 2,60 万トン ) 期末在庫 19 億,900 万ブッシェル (,951 万トン ) 在庫率 15.2% と発表されました 米国産の昨年度産の在庫見込みが増加したこと 今年度産で豊作が期待されることから シカゴ定期は前期対比で値を下げています 副原料 大豆粕については シカゴ相場は期末在庫の低さから 上昇基調にて推移しています また 為替が大きく円安に振れていることから大幅な値上げとなる見込みです 糟糠類については 需要が旺盛であり ふすま グルテンフィード共に需給が逼迫していることから市況については 強含みで推移すると思われます 脱脂粉乳 脱脂粉乳については オセアニア EU の生乳生産量が低迷していることから 国際相場は上昇しています また為替が円安傾向であることから 大幅な値上げとなる見込みです 海上運賃 海上運賃については 夏場に向けた世界的な石炭需要の減少などから 船腹には余裕が出てきたものの 南米においてインフラ不良から滞船が深刻になっており 総じて横ばいで推移しています 外国為替 為替相場は 我が国における金融緩和政策への期待による株価の上昇などから 前期よりも大幅な円安で推移しています 以上のことから 現状の原料情勢を総合的に判断し 平成 25 年 7 9 月の配合飼料の供給価格に つきましては 以下のとおりと致しましたので ご了承の程お願い申し上げます 記 1. 全国全銘柄平均 ( 工場渡し価格 ) (1) 配合飼料トン当たり 1,550 円値上げ (2) 哺育飼料トン当たり 1,000 円値上げ 2. 適用期間平成 25 年 7 月 1 日から平成 25 年 9 月 30 日までの出荷分 No.128 夏季号 2013.7 COWBELL 5
粗飼料情勢 北米コンテナ船情勢 船会社によって違いはありますが 7-9 月分のBAF(Bunker Adjustment Factor 燃料費調整係数 : 燃料価格変動に対して調整される割増運賃 ) について 7 月から概ね $9 の値下げが予定されています 輸入量が輸出の増加量に追いついていない PNW(Pacific North West area: 太平洋側北西部地区 ) では 引続き空コンテナが不足しています また北米では 加速する為替円安の影響を受けて 日本に輸出される貨物の荷動きが悪くなってきている模様です 一方で日本からの輸入が急激に増えているわけではないようで 日本の輸出企業の生産拠点の多くが海外にあることが伺えます ビートパルプ 米国産 昨年 12 年産は 月下旬で既に 75% の進捗となっていましたが 今年の冬は積雪が多かったため 13 年産ビート大根の作付けは 月末時点でほぼゼロの状況となっていました 5 月に入ってからは天候が徐々に回復し 中旬までに大きく作付けが進みましたが 13 年産ビートパルプの生産と出荷は遅れてスタートすることが早くも懸念されています また 砂糖の相場価格が低調に推移していることから 13 年産ビート大根の作付面積および 13 年産ビートパルプの生産量は減少することも予想されています アルファルファ ワシントン産 コロンビアベースンでは 13 年産の 1 番刈の収穫が始まっています 5 月下旬までに南部で 80% 北部で 30% ほど収穫を終えている模様ですが 残念ながら南部では雨当たり被害が多く発生しています 現時点でも収穫は進んでいますが 天候のタイミングを見計らって収穫されるスタックも雨当たり品となることや 生育が進んで刈遅れ品となることが懸念されています 全体像を把握するには もう少し時間がかかる見込みですが 今後の動向には注意が必要です オレゴン産 13 年産の生育は順調な模様です クラマス クリスマスともに 例年よりも 1-2 週間ほど早く まもなく収穫が始まると見込まれています ネバタ産 産地では 5 月下旬から 13 年産の 1 番刈の収穫が始まっています 例年よりも 2 週間ほど早く収穫が始まっている模様です ユタ産 今年の冬は長く 春になっても気温が上がらなかったため 13 年産の生育は遅れ気味の模様です 1 番刈の収穫は 6 月上旬から始まると見込まれています カリフォルニア産 インペリアルバレーでは 13 年産の 3 番刈の収穫が始まっています 産地価格は昨年に比べてやや軟化して推移していますが UAE や中国向けが様子をみながら買付けを始めている模様です 北カリフォルニアでは 13 年産の 2 番刈の収穫が始まっています 1 番刈は 一部で雨当たり被害が発生しましたが 被害は 10% 以下と予想されています 雨当たり被害を避けて天候のタイミングを見計らって収穫された結果 刈遅れ品となっているスタックも いくらか発生している模様です 6 COWBELL No.128 夏季号 2013.7
HAY Business 平成 25 年 6 月 10 日 チモシー 米国産 コロンビアベースンでは 南部の早い圃場で収穫が始まっています アルファルファと同様に 雨当たり被害や刈遅れ品の発生が懸念されますが 収穫はまだ本格的には始まっていないため 今後の天候の回復が望まれています カナダ産 ドライランド ( 中央アルバータ ) では 5 月下旬にまとまった降雨があり 生育は順調な模様です 今後の天候次第ですが 収穫は 7 月下旬から始まると見込まれています レスブリッジ ( 南アルバータ ) でも 生育が順調に進んでいる模様です 今後の天候次第ですが 収穫は 7 月上旬から始まると見込まれています 両産地とも 13 年産の作付面積は ほぼ前年並みと現時点では予想されています スーダングラス インペリアルバレー産 早い圃場では 5 月中旬から収穫が始まっています 気温はやや低めですが 生育は概ね順調な模様です デュラム小麦の相場価格が軟調に推移していることから 産地では小麦の作付面積が前年の半分以下となっています そのため 13 年産スーダングラスは早播きの作付面積が増える結果となっています /15 時点でのレポートによると 前年対比 116% の 25,091 エーカーとなっていました 一方で こ こ数年は話題になっていなかったインペリアルバレーでの農業用水の使用制限について 実施強化が懸念され続けています 6/1 時点でのレポートでは 作付面積は前年対比 87% の 5,659 エーカーとなっており そのため早播きについては作付面積が増えても 早播きの 2 番刈や 小麦収穫後に播種する遅播き ( アフターウィート ) の生産量は 減少することが見込まれています クレイングラス ( クレインは全酪連の登録商標です ) インペリアルバレースーダングラス検品スタック 6/3 撮影 インペリアルバレーでのクレイングラスの作付面積は 5/15 時点でのエーカレッジレポートによると 前年対比 115% の 16,21 エーカーとなっています 13 年産の 1 番刈の収穫がほぼ終了しており 早い圃場では 2 番刈が始まっています 農業用水の問題もあることから 今後はクレイングラスの作付面積が減ること ( 刈取り回数を減らす圃場が多くなること ) も予想されています ブライスでは 2 番刈の収穫が順調に進んでいる模様です また韓国向けの引合いは 韓国側で在庫が重めなことと 通貨ウォンが安くなっていることから 現時点では弱まっている模様です ブライスクレイングラス 2 番刈圃場 6/5 撮影 No.128 夏季号 2013.7 COWBELL 7
バミューダ インペリアルバレーでのバミューダの作付面積は 5/15 時点でのエーカレッジレポートによると 前年対比 102% の 50,139 エーカーとなっています 年々上昇しているバミューダの種子の価格は 引続き高値で推移している模様です ヘイの収穫も始まっていますが ほとんどが米国内の馬向けに出荷されている模様で 輸出向けのヘイが本格的に出荷されるのは 7 月下旬以降と見込まれています ストロー類 ( フェスキュー ライグラス ) 米国産ストロー類は 為替円安の影響も受けて日本向けの引合いが弱まっていると伝えられていますが 12 年産の産地在庫はほぼ売切れ ( 成約済み ) となっているため 高騰している産地価格も 大きな値下げとはなっていないのが現状です ライグラス ( ペレニアル種 ) ストローの 13 年産の収穫は 今後の天候次第ですが 7 月中旬から始まると見込まれています 豪州産オーツヘイ 西豪州 南豪州 東豪州 ( ヴィクトリア州 ) の全ての輸出向け産地で 12 年産オーツヘイは収穫時期の天候が良好だったため ハイグレード品がほとんどで ローグレード品のみならず中間グレード品でさえも極端に少ない作柄となっており 非常に珍しい作柄の年となっています 西豪州を中心に各産地とも雨当たり被害を酷く受けた 11 年産とは ほぼ真逆の作柄となりました 産地では 月中下旬から 13 年産の播種が始まっています 西豪州と南豪州では 5 月に降雨があり 順調に播種が行われている模様です 一方で 東豪州 ( ヴィクトリア州 ) では乾燥した状態が続いており 播種の遅れと 播種が終わった圃場でのオーツヘイの生育が懸念されています この乾燥した天候の影響で ヴィクトリア州では国内向けの牧草の価格が高騰していると伝えられています また キャノーラ ( 菜種 ) の相場価格が引続き高値で推移していることから 13 年産オーツヘイの作付面積は大きく減少することが早くも予想されています 豪州 2013 年 3-5 月を対象に平均降雨量と比較した図 ( 東豪州 ( ヴィクトリア州 ) 主産地では 平均より少なく 薄い赤で染められている ) 8 COWBELL No.128 夏季号 2013.7
全酪カレンダー連動企画 は ①牛を直接冷やす 空調 流水 ②牛体の手入れをする 毛刈り等 第 3 に 施設 設備へのアプロ 暑熱対策は総合的に カレンダー 5-6月 夏バテは体細胞が増える カレンダー 7-8月 ーチ ①牛舎の風通しを良くする ②牛舎内への直射日光を遮断する ③屋根からの吸収熱を防ぐ④給水 人間にとっても大きなストレス 自分自身が生産する熱量 個体維 器を点検する⑤牛舎の周囲に水を を受けるこの季節 牛にとっても 持 ルーメン発酵 牛乳生産等 を 撒く 打ち水 ⑥照り返し 輻射熱 かなりのダメージを受けること 調整することで体温維持を図って を防ぐ⑦飼養密度を最適化する⑧ は 皆さん痛いほど経験済みのこ いるわけですが ヒートストレス 牛舎の容積を大きくする⑨送風フ とと思います 経済動物である乳 下におかれた乳牛にはどのような ァンを効果的に使う 牛の場合 その影響が長期に亘っ 変化が起きるのでしょうか? て影響を受けるため 大変厄介な ことです 図 1 は温度湿度指数 不快指数 と呼ばれるものです 暑熱ストレ スは 温度だけでなく湿度も大き な影響を与えています まずは 現在の環境と以下のチェック方法 を参考にして 皆様の愛牛がどの 程度暑熱ストレス下におかれてい るかをチャックしてみましょう 図1 THI Temperature and Humidity Index 温度湿度指数 THI(Temperature and Humidity Index 温度湿度指数 5 死に至る 重度の ストレス 0 温度 35 ストレス 30 やや ストレス 0 20 80 100 処置的な対応ではなく 総合的 継続的に行う必要があります 何 故ならば 月ごとの体細胞数の推 移 図 2 から 皆さんが暑熱対策 から開放される季節である 9-10 月に最も乳質の低下が見られるか らです 暑熱による負荷により 体内のビタミンは消耗され 免疫 能が低下しているからでしょう か? 加えて 管理する側も涼しい 気温に安堵し 気持ちが緩んでし まうからでしょうか? いずれにしても 夏季に受けた ダメージを早く回復し 生産性を 代謝機能が低下し 牛乳の生産性 対策として行なってきた飼養管理 が大幅に低下します これは 低泌 を引き続き励行することが大切な 乳牛よりも高泌乳牛の方がその影 ようです 図2 月ごとの体細胞数の推移 レス を軽減し 乳牛の生産性低 00 下を少しでも防ぐための対策に 380 は 以下のことが挙げられます 360 第 1 に 飼料給与面からのアプ ローチ では ①乾物摂取量低下 の防止②高品質粗飼料の給与③油 脂の利用④低タンパク飼料設計⑤ それでは 暑熱ストレスを少し 重曹や酸化マグネシウムなどの でも軽減するための方策を考える 緩衝剤の利用⑥生菌剤 イースト にあたり 暑熱ストレスを受けた カルチャーの利用⑦ミネラルの充 乳牛の変化を理解する必要があり 足 強化 30 320 300 280 260 20 220 200 10 No.128 夏季号 10 10 05 06 06 10 10 03 0 0 05 10 01 02 02 03 10 99 00 00 01 99 180 第 2 に 牛体へのアプローチで 中酪資料よりJmilk作成のグラフ ます 牛は環境の変化に対して これらの対策は 部分的 応急 本細胞数 千個 ① 8 10 頭の牛をそれぞれ約 30 秒観 察する ②脇腹の動きを見て呼吸数を数える ③その数を 2 倍にして 1 分あたり の呼吸数を計算する ④その数が 50 回以上であれば そ の牛は暑熱ストレス下にある ください 低下させないためには 上記暑熱 このような牛の変化 暑熱スト 0 60 湿度 % 詳細はカウベル No.123 を参照 ヒートストレス下では これら 響を受けやすいことになります ストレス なし 25 体を冷やすためにエネルギーを消 費するため 個体維持の要求量が 高まる 水の摂取量が 2 倍になる 気温 26 以上になると乾物摂取 量は低下する したがって 要求量 を満たすことはほとんど不可能な 状態になる? 涼しい時間帯の採食量が増えるた め 採食パターンが変化する これ は 固め食い スラグ フィーディ ング を意味する ミネラルとバッファーを含む唾液 を失う可能性がある 発汗を通して多量の K を失い 尿中 への Na 排泄が高まる傾向がある 反芻行動に影響する 粗飼料を選り 分けて濃厚飼料を多く食べている 牛は 反芻が減少する傾向にある ルーメン ph が低下する その結 果 ルーメン アシドーシスにな る可能性がある など様々な事が考えられます 10 2013.7 COWBELL 9
アグリビジネス ソリューションズ 代表取締役森剛一 ( 税理士 ) 第 13 回 消費税増税における税務上の留意点 消費税増税法案が衆議院を通過しました この法案では 消費税率が平成 26 年 月 1 日以降が 8% 平成 27 年 10 月 1 日以降が 10% となっています 現在想定されているのは 以下の 3 つのパターンです 1 全ての品目が 10% まで増税される 2 食品だけが 5% で据置 3 食品だけが 8% で据置増税が決定したわけではありませんが 増税を意識した備えをしておく必要があります 問題となるのは 2 及び3の食品の税率が 5% または 8% に据え置かれた場合です 飼料費等の経費に関する消費税は 10% まで増税されますが 生乳 は食品になりますので 5% または 8% で据置になる可能性があります その場合 課税売上 ( 生乳売上 ) の消費税額よりも 課税仕入れの消費税額の方が大きくなりますので 消費税納付額が少なくなります しかし 仕入れの消費税が多い分 日々の資金繰りは厳しくなります ここで 重要なのは消費税の納付方法として 本則課税 ( 一般課税 ) を選択しておかないと 消費税の納付額が少なくならないということです 以下 消費税の制度について説明しておきます (1) 簡易課税制度のしくみ簡易課税制度とは その課税期間における課税標準額に対する消費税額を基にして仕入控除税額を計 5% 8% 算する制度です 具体的には その課税期間における課税標準額に対する消費税額にみなし仕入率を掛けて計算した金額を仕入控除税額とみなします これは 煩雑な課税仕入れ等の判定を行わずに済むよう 中小企業者の事務負担に配慮したものです このため 簡易課税制度では 実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく 課税売上高のみから納付税額を計算することができます 本則課税と簡易課税の消費税の納付税額の違いは 次のとおりです 本則課税 納付消費税額 = 課税売上げに係る消費税額 課税仕入れに係る消費税額 簡易課税 納付消費税額 = 課税売上げに係る消費税額 課税売上げに係る消費税額 みなし仕入率耕種の農業については 一般に 課税売上高に対する実際の課税仕入れの割合がみなし仕入率 (70%) よりも低いため 簡易課税制度を選択した方が有利です なお 通常の年では簡易課税が有利な場合であっても 設備投資をした年には 設備投資も課税仕入れとなるため 本則課税が有利になる場合もあります 簡易課税制度の適用を受けている事業者が設備投資をする場合には 本則課税に戻した方が有利かどうか 必ず検討してください (2) 簡易課税制度の事業区分簡易課税制度では 事業形態により 第一種から第五種までの 5 つの事業に区分します 仕入税額控除の計算において それぞれの事業の課税売上高に対し たとえば 第三種事業については 70% 第四種事業については 60% のみなし仕入率を適用して仕入控除税額を計算します みなし仕入率の適用を受けるそれぞれの事業の分 10 COWBELL No.128 夏季号 2013.7
Finance&Management 表 1 消費税の簡易課税制度の事業区分とみなし仕入率 事業区分率対象事業農業の留意点 第一種事業 90% 卸売業 ( 他の者から購入した商品をその性質 形状 事業者への農畜産物の仕入販売 を変更しないで他の事業者に対して販売する事業 ) 第二種事業 80% 小売業 ( 他の者から購入した商品をその性質 形状 を変更しないで販売する事業で第一種事業以外の もの ) 消費者への農畜産物の仕入販売 第三種事業 70% 農林漁業 製造業ほか副産物 加工品含む 第四種事業 60% 飲食店業 加工賃等よる役務提供 固定資産の売却農作業受託 生物の売却 第五種事業 50% 不動産業 サービス業アパート賃貸は非課税 類は 表 1 のとおりです 事業者が行う事業が第一種事業から第五種事業までのいずれに該当するかの判定は 原則として その事業者が行う課税売上げ ( 課税資産の譲渡等 ) ごとに行います (3) 簡易課税制度選択の見直し簡易課税制度を選択していても 飼料価格の高騰等によって一般課税の方が有利になっているケースもあり もう一度どちらが有利か見直してください 特に 消費税の増税が見込まれる状況下では 非常に重要な選択になります 簡易課税制度の適用をとりやめて実額による仕入税額の控除を行う ( 本則課税に戻す ) 場合には 原則として その課税期間の開始の日の前日までに 消費税簡易課税制度選択不適用届出書 を提出する必要があります ただし 簡易課税を選択した事業者は 原則として 2 年間は本則課税に戻すことができません 平成 26 年分から簡易課税制度を選択したい場合や本則課税に戻したい場合 課税事業者を選択したい場合には 平成 25 年中に届出を提出しなければなりませんので 現在までの記帳の結果や平成 2 年分の申告の内容 今後の設備投資計画に基づいて検討してください () 一般課税 ( 本則課税 ) における留意点消費税は 課税売上げにかかる消費税から課税仕入れにかかる消費税 (= 仕入控除税額 ) を差し引い て消費税を計算するのが原則的な方法で これを一般課税 ( または本則課税 ) といいます 酪農経営では 一般課税と簡易課税 ( 後述 ) でどちらが有利かは経営内容によって異なりますが 飼料価格高騰などで飼料費の割合が高まっており 一般課税が有利な経営が増えてきています 一般課税の場合に気をつけたいのがファイナンス リース取引の取扱いです ファイナンス リース取引には 所有権移転リース取引と 所有権移転外リース取引とがあります ファイナンス リース取引は税務上 売買があったものとして資産計上するのが原則ですが 所有権移転外リース取引については賃貸借処理も認められています 契約日が平成 20 年 月以後の所有権移転外リース取引は 資産計上のうえリース期間定額法により償却限度額を計算することになりましたが その額はリース料支払額と変わらないからです しかしながら 一般課税の場合 所有権移転外リース取引についても資産計上しないと消費税で損をします リース開始時に一般課税の課税事業者の場合は資産計上することによって取得価額全体の仕入控除税額を一括控除できるからです この場合 賃貸借処理をすると仕入控除税額を分割控除することになるため リース開始時の年分の消費税の納税額が増えることになります 一方 リース開始時に消費税の免税事業者または簡易課税事業者の場合は 所有権移転外リース取引を賃貸借処理しても不利にはならず 経理処理も簡便になります No.128 夏季号 2013.7 COWBELL 11
大場真人の技術レポート 飼料設計以外の栄養管理要因を考えるカナダアルバータ大学乳牛栄養学准教授大場真人博士 はじめに牛群の栄養管理を行う上で 飼料設計の大切さを疑問視する人はいません しかし 牛が必要としているエネルギーや栄養素を供給するという視点から考えると 飼料設計そのものに問題があることは稀です 特に 優秀な 飼料設計ソフトを利用して設計を行う場合 飼料設計はだいたい似通ったものになるかもしれません しかし 現実の牛群管理を見てみると 飼料設計がどれだけ完璧に行われていたとしても生産性の向上しない農場があります 牛群の栄養管理を考える場合 飼料設計だけを考えていては不十分です 飼料設計以外の栄養管理の要因も考える必要があります 今号のレポートでは TMR センターを利用している ( 言い換えると 飼料設計が同じ )7 牛群を調査したスペインの研究データを紹介したいと思います 牛群平均乳量のばらつきこの研究で調査対象になったのは TMR センターを利用してい? る 7 牛群です この TMR センターを利用している酪農家はもっと多くありましたが 酪農家の中には TMR 以外のサプリメントをしていたり TMR に乾草を混ぜたりしている農家がありました それらの牛群は除外し 泌乳牛に TMR だけを給与している つまり飼料設計が全く同じの牛群だけを調査対象にしたわけです 牛が口にしている TMR が全く同じであったにも関わらず この研究で調査対象になった 7 牛群の牛群平均乳量には 20.6-33.8kg/ 日という大きなばらつきが見られました これは非常に大きな差です 酪農家さんと話をしていると エサが悪いから乳が出ない あるいは 飼料設計に問題があるから乳量が低い というクレームを聞くことがあります 確かに飼料設計は栄養管理の要となる要因であり 飼料設計のアプローチに問題があるケースもありますが この研究で調査対象になった酪農家では このクレームは通用しません 全く同じエサ 飼料設計 TMR を給与されていたからです そして TMR が同じであったにもかかわらず 一日あたりの乳量に 13kg 以上の差があったのです それでは この乳量差の原因となった要因は何なのでしょうか これからその点を考えてみることにしましょう DMI のばらつき調査対象になった 7 牛群は半径 50km 以内にあり 気候など飼養環境面では大きな差はありません さらに 遺伝的な泌乳能力の差が皆無であるとは言い切れないものの これらの牛群はカナディアン ホルスタインであり遺伝的な背景に大きな差はありません さらにすべての牛群は 1 日 2 回搾乳です それでは 何が違うのでしょうか それは 各農場での TMR 給与量のばらつきです この 7 牛群の TMR 給与量には 16.2-2.8kg/ 日という非常に大きな差があり これは牛群の平均乳量との相関関係が見られました すべての農場で残滓量を計測していたわけではないので この調査では牛群の平均 DMI を正確に計算することはできませんでしたが 大体の目安として TMR の給与量と乾物摂取量 (DMI) は正比例しているはずです それでは 同じ TMR を給与しているにもかかわらず 牛群の乾物摂取量に非常に大きな差が見られたのはなぜでしょうか この研究では その点を詳しく検討するために幾つかの点に着目しました その一つは TMR 給与前に残滓があるかどうか です この調査で 給与前に残滓があっ 12 COWBELL No.128 夏季号 2013.7
Nutrition&Management 図 1 牛群の牛一頭あたりのストール数と平均乳量の関係 35.0 32.5 Milk yield, kg/d 30.0 27.5 25.0 22.5 20.0 0. 0.6 0.8 1.0 1.2 1. 1.6 1.8 Stalls/cow た農家は全体の 60% で その牛群平均乳量は 29.1kg/ 日でした それに対して TMR 給与前に残滓がない農家は全体の 0% で 牛群平均乳量は 27.5kg/ 日でした TMR 給与前の飼槽に残滓がない場合 二つの可能性が考えられます 一つは すべての牛が必要とするだけの TMR を過不足なくピン ポイントできちんと給与できたという可能性ですが これは現実的には不可能に近いと考えられます もう一つの可能性は TMR の給与不足です 残滓が出るほど TMR を多めに給与した農家の平均乳量のほうが 1.6kg 高かったという事実は TMR を十分に給与することのメリットを示しています 乾物摂取量を最大にする上で二つめの重要ポイントは エサ押しをしているかどうか です TMR を 1 日に 1 2 回給与している農家がほとんどだと思いますが 給餌後一定の時間が経過すると た とえ飼槽に TMR が残っていたとしても 牛の口が届く範囲に TMR が無くなるケースがあります この場合 たとえ残滓があったとしても すべての牛が必要としているエネルギーや栄養素を摂取したと言うことはできません そのため 頻繁にエサ押しをすることにより 牛の口が届く範囲に TMR があるように確認することは非常に大切です この調査では エサ押しをしている農家は全体の 89% であり その牛群平均乳量は 28.9kg/ 日でした それに対して エサ押しをしていない農家 (11%) の牛群平均乳量は 25.0kg/ 日でした エサ押しをしているかどうかで 乳量に約 kg の差が見られたわけです さらにフリー ストールで飼養管理している農家では 飼養密度も乾物摂取量に影響を与えます 日本では 極端な過密飼養をしている農家は稀かもしれませんが この調査では 牛一頭あたりのス トール数が 0.5 以下というストッキング デンシティ ( 飼養密度 ) が 200% という酷い牛群があり その平均乳量は約 22.5kg でした 過密飼養の牛群では グループ内の弱い牛にしわ寄せが来ます 特に TMR の給与量が不十分であれば 弱い牛の乾物摂取量は低下し そのような牛の乳量を最大にすることは不可能です 図 1 に示したように 牛一頭あたりのストール数と牛群の平均乳量との間には 正の相関関係があり カウ コンフォートも牛群の生産性に大きな影響を与えることが理解できます 乳牛の乾物摂取量は 乳量に大きな影響を与えます TMR の給与量を制限することで あるいはエサ押しをしないことで 牛の乾物摂取量を制限することがあってはなりません どれだけのエサを食い込めるかを決めるのは牛であり 人的な要因で牛の乾物摂取量を制限することだけは避けなければなりません たとえ同じ TMR を給与していても カウ コンフォートに問題があったり マネージメントが不適切であれば 乾物摂取量は低下し 乳量は減少します どんなに立派な飼料設計であっても それが牛の口に入らなければ その効果を発揮することはありません その他の要因さらにこの調査では 統計上の有意差は無かったものの 分娩直後の牛をどのように管理しているかで 平均乳量に若干の差が見られました たとえ同じ TMR を給 No.128 夏季号 2013.7 COWBELL 13
与していても 分娩直後の牛を別グループで管理すれば 体力が落ちている牛も十分に休息することができます さらに 代謝障害に陥りやすい牛への観察を十分にすることにより 敏速な対応が可能になります この調査では 全体の 19% の農家で 分娩直後の牛を別グループで管理していましたが その牛群の平均乳量は 29.7kg/ 日で 搾乳牛をすべて一群管理している農家 (81%) の平均乳量が 28.1kg/ 日であったのと比較すると 1.6kg ほど乳量が高くなる傾向が認められました この調査では 牛群の平均分娩間隔や空胎日数などの繁殖管理の指標と平均乳量との間に相関関係は認められませんでした 乳量が高ければ あるいは高乳量を追求すれば 繁殖にしわ寄せがくるという考え方がありますが この研究データはそういった考え方を支持していません カウ コンフォートに配慮し 牛の乾物摂取量が最大になるように工夫するなど 正しい方法で高乳量を追求すれば繁殖成績が低下することはないと私は考えています 興味深いことに この調査では 牛群の初産分娩月齢と平均乳量との間には負の相関関係が認められました ( 図 2) 初産分娩月齢が高い牛群ほど 平均乳量が低かったのです これには 幾つかの理由が考えられます その一つは 初産分娩月齢は農家のマネージメント能力が反映されやすいデータである という考え方です 牛群管理の中でも 子牛の管理は注意や 図 2 Milk yield, kg/d 牛群の初産分娩月齢と平均乳量の関係 35.0 32.5 30.0 27.5 25.0 22.5 20.0 観察がおろそかになりやすい分野です 子牛や育成牛の管理は農場の利益に直接の影響を与えないからです しかし その子牛の管理をしっかり行い きちんと受胎させている農家では 初産分娩月齢は低くなります 子牛 育成牛の管理がきちんと行われている農家では 搾乳牛の管理にも十分な配慮が払われているはずであり その結果 初産分娩月齢が低い農場では平均乳量が高くなるというわけです しかし もう一つの理由として考えられるのは 栄養状態が良く 疾病が少なく 成長の早い子牛は 成牛になったあとの潜在能力も高くなるのではないか という直接的な因果関係です 家畜の一生の初期段階での栄養状態は その家畜の一生涯の生産能力に影響を与えるという考え方があります 子牛のときに十分のエネルギーを摂取して育った子牛は しっ 25 30 35 0 Average first calving age, mo かり食い込める牛 泌乳能力の高い牛になるというわけです 初産分娩月齢が低い牛群ほど平均乳量が高い という調査結果は注目に値します まとめ たとえ同じ TMR を給与していても 牛群の乳量には大きな差が出ます 飼料設計は栄養管理の中で最も重要な要因ですが 飼料設計が完璧であっても それだけで牛の能力を最大限に引き出すことはできません 乳量を高めるためには 乾物摂取量を最大にするための努力 工夫をすることが必要不可欠です 文献 Bach, A., N. Valls, A. Solans, and T. Torrent. 2008. Associations between non-dietary factors and dairy herd performance. J. Dairy Sci. 91:3259 3267. 1 COWBELL No.128 夏季号 2013.7
Information 全酪連購買部酪農生産指導室の活動状況 平成 25 年 3 月 5 月 月日対象名活動内容実施者担当部署 1 佐賀県家畜臨床獣医師会研修会 強化 哺育 齋藤福岡支所 12 JA 今金町酪農部会 /JA 北檜山酪農部会 / JA 新函館せたな地区酪農部会 研修会 強化 哺育 齋藤札幌支所 18 大分県酪農協研修会 強化 哺育 育成体系について 齋藤福岡支所 19 大分県酪農協研修会 強化 哺育 育成体系について 齋藤福岡支所 18 宮崎県酪農青年女性酪農発表大会講演 10 年後の酪農経営を考える 丹戸福岡支所 3 18 ふくおか酪農業協同組合西事業所管内農場サポート 3 戸成田福岡支所 19 ふくおか酪農業協同組合西事業所管内 農場サポート 3 戸 成田 福岡支所 19 デーリィプロジェクト 21 酪農研修会 研修会 哺育育成の管理技術 下田 札幌支所 21 飛騨酪農乳用牛群検定組合研修会 研修会 自給飼料増産への道 久保園 名古屋支所 21 全酪長野協議会 研修会 酪農経営向上のために - 経営 技術 コミュニケーション - 猪内 東京支所 21 大分県酪農業協同組合 / 大分県酪農振興公社発酵 TMR 検討 / ユーザサポート 1 戸 成田 福岡支所 9 美野里酪農業協同組合 農場相談 1 戸 成田 東京支所 10 南房総みるく農業協同組合 農場相談 1 戸 成田 東京支所 11 赤城酪農業協同組合連合会 農場相談 1 戸 成田 東京支所 19 日田酪農組合 50 周年記念講演講演 酪農場性と経営戦略について 久保園福岡支所 20 オホーツク網走農業協同組合 研修会 強化 哺育 齋藤 札幌支所 22-2 大分県酪農業協同組合 支所職員合同研修会 成田 福岡支所 25-26 ふくおか県酪農業協同組合久留米支所管内 農場サポート 3 戸 成田 福岡支所 7 山口県酪農農業協同組合 研修会 明日のバルク乳を増やす 成田 大阪支所 8 防府酪農農業協同組合 農場相談 1 戸 成田 大阪支所 8 山口県酪農農業協同組合 農場相談 1 戸 成田 大阪支所 9 大阪府総合畜産農業協同組合連合会 研修会 移行期管理そして繁殖 成田 大阪支所 5 10 京都農業協同組合研修会 明日のバルク乳を増やす 成田大阪支所 15 東北酪農専門団体協議会 研修会 経営継承について考える ~ 後継者の育成と資産の引継 ~ 丹戸 仙台支所 15 中国四国酪農大学校 特別講義 カウ コンフォート 成田 人事室 23 中春別農業協同組合 農場相談 1 戸 / 乳房炎対策 成田 札幌支所 27 大分県酪農業協同組合 / 大分県酪農振興公社 供給飼料分析等検討会 成田 福岡支所 表紙の写真 河口湖の花火と富士山 全酪連購買事業情報紙 COW BELL カウ ベル No.128( 夏季号 ) 平成 25 年 7 月 10 日発行 CONTENTS No.128 酪農 TOPICS 全酪連酪農セミナー 2013 開催される! 2 原料情勢 5 粗飼料情勢 6 全酪カレンダー連動企画酪農一口メモ解説 暑熱対策は総合的に 夏バテは体細胞が増える? 9 行列のできる酪農経営相談所消費税増税における税務上の留意点 10 大場真人の技術レポート飼料設計以外の栄養管理要因を考える 12 information 15 発行責任者梅岡正人発行所全国酪農業協同組合連合会購買部 108-001 東京都港区芝四丁目 17 番 5 号 TEL 03(5931)8007 http://www.zenrakuren.or.jp No.128 夏季号 2013.7 COWBELL 15
2013 ハイ パフォーマンスに 挑戦! ~ 愛牛を大切にしたい その想いをささえます ~ Challenge 酪農セミナー連動企画 強化 哺育の実践と応用 チャレンジ Ⅰ チャレンジ Ⅱ チャレンジ Ⅲ 初乳マネジメントから始める理想の牛づくり 子牛の初期栄養を重視した理想の牛づくり目標発育システムを活かした理想の牛づくり 子牛と育成牛 Calf & Heifer 栄養 Nutrition 成績 Performance ヒートストレス 環境 Heat Stress Environment 繁殖 Reproduction