平成 27 年 5 月 3 級ファイナンシャル プランニング技能検定 / 個人 解答と解説 第 1 問 番号 問 1 問 2 問 3 正解 2 3 3 配点 3 点 4 点 3 点 < 問 1> 正解 2 2) の語句の組み合わせが適切である 設例のAさんの退職後の公的医療保険制度への加入方法としては 現在加入している健康保険に任意継続被保険者として加入する方法や国民健康保険への加入などがある 任意継続被保険者になる場合には 原則として退職日の翌日から 20 日 以内に申し出を行う必要がある 任意継続被保険者として健康保険に加入できる期間は, 最長で 2 年 である また, 任意継続被保険者として健康保険に加入する期間の保険料は 全額自己負担 となる < 問 2> 正解 3 1) 不適切 高年齢雇用継続基本給付金は 雇用保険の被保険者であった期間が 5 年以上ある 60 歳以上 65 歳未満の一般被保険者が 原則として 60 歳以降の賃金が 60 歳到達時点に比べて 75% 未満に低下した状態で働き続ける場合に支給される 2) 不適切 高年齢雇用継続給付基本給付金の支給額は 60 歳以上 65 歳未満の各月の賃金が 60 歳到達時点の賃金の 61% 以下に低下した場合は 各月の賃金の 15% 相当額となり 60 歳時点の賃金の 61% 超 75% 未満に低下した場合は その低下率に応じて 各月の賃金の 15% 相当額未満の額となる ( 各月の賃金が一定額を超える場合は支給されない ) 例えば 60 歳到達時点の賃金が月額 40 万円で 60 歳以後の各月の賃金が 24 万円に低下し場合 60% に低下したことになるので 賃金 24 万円の 15% に相当する額の 3 万 6 千円が支給される 3) 適切 基本手当は 離職の日以前 2 年間に被保険者期間が通算して 12 ヵ月以上ある場合 ( 倒産等の場合は 離職の日以前 1 年間に被保険者期間が通算して 6 ヵ月以上ある場合でも可 ) に 被保険者期間や離職理由に応じて 90 日 ~360 日分の手当が支給される Aさんが 60 歳でX 社を定年退職した場合, 設例より 20 年以上雇用保険に加入し 1
ていたものと推定されるので 所定の手続により, 雇用保険から基本手当を 150 日分 受給することができる < 問 3> 正解 3 1) 不適切 老齢厚生年金は 65 歳からの受給が原則であるが 男性の場合 昭和 36 年 4 月 1 日以前生まれの人は 65 歳前から特別支給の老齢厚生年金を受給することができる 特別支給の老齢厚生年金の支給内容や支給開始年齢は 生年月日に応じて異なるが 昭和 24 年 4 月 2 日 ~ 昭和 28 年 4 月 1 日生まれは 60 歳から報酬比例部分のみの支給 昭和 28 年 4 月 2 日以後生まれは 2 年ごとに 1 歳ずつ支給開始年齢が引き上げられる などのポイントを覚えておきたい Aさんは 昭和 30 年 10 月 11 日生まれなので 62 歳 から 報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができる 2) 不適切 Aさんが老齢基礎年金の繰上げ支給の請求をした場合, 老齢基礎年金の年金額は繰上げ1ヵ月当たり 0.5% 減額される 例えば 60 歳誕生月に繰上げ支給の請求をした場合,5 年 (60 月 ) 繰り上げたことになるので 老齢基礎年金の年金額は 0.5% 60 月 =30% 減額され この減額が一生続くことになる なお 老齢基礎年金を 66 歳以降に繰り下げて支給を受ける場合 年金額は1ヵ月当たり 0.7% 増額される 3) 適切 厚生年金保険の被保険者期間が 20 年以上ある人などが 定額部分や老齢基礎年金の支給開始年齢に達した時点 ( 昭和 24 年 4 月 2 日以降生まれの人は 65 歳 ) で その人に生計を維持されている 65 歳未満の老齢年金等の受給権のない配偶者がいる場合 老齢厚生年金に加給年金額が加算される Aさんの場合 設例よりこの要件を満たすので 加給年金額が加算される 第 2 問 番号 問 4 問 5 問 6 正解 2 1 3 < 問 4> 正解 2 2) の語句の組み合わせが適切である ⅰ) 個人向け国債には, 固定金利型 3 年 満期, 固定金利型 5 年満期, 変動金利型 10 年満期の 3 種類がある いずれの個人向け国債も 毎月 発行されており, 適用利率は発行時や見直し時の基準金利を基に決定される ⅱ) Aさんが新規に発行された変動金利型 10 年満期を購入した場合, その適用利率は, 半年ごとに見直され, 基準金利に 0.66 を乗じて算出される ただし, 最低金利が保証されており, 適用利率は 0.05% を下回ることはない 2
< 個人向け国債 > 種類変動 10 年固定 5 年固定 3 年 購入単位 発行頻度 額面 1 万円単位 毎月発行 期間 10 年 5 年 3 年 金利変動金利 ( 半年ごとに適用金利見直し ) 金利水準基準金利 ( 注 1) 0.66 ( 注 1) 10 年固定利付国債の実勢金利 固定金利基準金利 ( 注 0.55% 2) - ( 注 2) 期間 5 年の固定利付国債の想定利回り 固定金利基準金利 ( 注 1)-0.03% ( 注 3) 期間 3 年の固定利付国債の想定利回り 最低金利保証 据え置き期間 中途換金時の金額 市場金利が下がった場合でも 0.05% の最低金利を保証 1 年 ( 発行から 1 年経過すれば 原則としていつでも購入金額の一部または全部を中途換金することができる ) 額面金額 + 経過利子相当額 - 中途換金調整額 < 元本割れのリスクはない> < 問 5> 正解 1 1) 不適切 債券や債券の発行体の信用状態に関する評価の結果を記号等で示したものを信用格付といい 一般に,BBB( トリプルB) 以上の格付が付されていれば投資適格債券とされる 2) 適切 利付債券の利子については 原則として 利子の支払時に 20.315%( 所得税 15% 復興特別所得税 0.315% 住民税 5%) の税率で源泉徴収 ( 特別徴収 ) される 3) 適切 債券の価格は, 市場金利の情勢等により変動するので, 償還前に売却する場合には, 購入価格よりも低い価格での売却になることもある < 問 6> 正解 3 債券の単利最終利回りを算出する計算式は 次の通り 額面 (100 円 )- 買付価格表面利率 + 残存期間 100 買付価格したがって 表面利率 0.5%, 残存期間 4 年の固定利付債券を, 額面 100 円当たり 99.50 円で購入した場合の単利最終利回りは, 100 円 -99.50 円 0.5+ 4 年 100=0.63%( 小数点以下第 3 位を四捨五入 ) 99.50 円 3
第 3 問 番号 問 7 問 8 問 9 正解 1 2 2 < 問 7> 正解 1 1) の語句の組み合わせが適切である ⅰ) 不動産所得, 事業所得または 山林所得 ( ふ じ さん と覚えるとよい) を生ずべき業務を行う者が一定の帳簿書類を備え付け, 納税地の所轄税務署長に対して青色申告の承認申請を行い, その承認を受けた場合, 青色申告書を提出することができる ⅱ) 不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者が, その取引の内容を正規の簿記の原則により記帳し, それに基づいて作成した貸借対照表等を添付した確定申告書を法定申告期限内に提出した場合の青色申告特別控除の控除額は, 最高で 65 万円 である なお 正規の簿記によらない場合は 青色申告特別控除の控除額は 10 万円である ⅲ) 事業所得などに損失 ( 赤字 ) の金額があり, 損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額 ( 純損失の金額 ) が生じた場合は, 一定の要件を満たせば, その損失額を翌年以後 3 年間 にわたって繰り越して, 各年分の総所得金額等の計算上控除することができる < 問 8> 正解 2 1) 適切 所得税の基礎控除 ( 控除額 38 万円 ) は 誰でも適用を受けることができる 2) 不適切 生計を一にしている配偶者その他の親族が納税者の経営する事業に従事している場合 納税者がこれらの人に給与を支払うことがある これらの給与は原則として必要経費にはならないが 青色申告者の場合 一定の要件の下に実際に支払った給与を必要経費とすることができる ただし 青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受ける人は その所得の多寡に関係なく ( 配偶者控除の要件である合計所得金額 38 万円以下であっても ) 控除対象配偶者や扶養親族になることができない 3) 適切 長男 Cさん (21 歳 ) は 青色事業専従者ではなく アルバイトの給与収入が 50 万円 ( 給与所得控除額は最低でも 65 万円で これを差し引くと 所得金額は 0 円 ) 年齢が 19 歳以上 23 歳未満なので 特定扶養親族に該当し,Aさんは扶養控除( 控除額 63 万円 ) の適用を受けることができる 所得税において, 扶養控除の対象となるのは 1 納税者と生計を一にしている親族 ( 配 4
偶者を除く ) 216 歳以上 3 合計所得金額が 38 万円以下などの要件を満たした場合 で 控除額は年齢等に応じて 次のようになっている 区分 一般の控除対象扶養親族 (16 歳以上 19 歳未満 23 歳以上 70 歳未満 ) 控除額 38 万円 特定扶養親族 (19 歳以上 23 歳未満 ) 63 万円老人扶養親族 (70 歳以上 ) 同居老親等以外の者 48 万円同居老親等 ( 注 ) 58 万円 ( 注 ) 同居老親等とは 老人扶養親族のうち 納税者又はその配偶者の直系の尊属 ( 父母 祖父母など ) で 納税者又はその配偶者と常に同居している人をいう < 問 9> 正解 2 事業所得の金額 :600 万円 ( 青色申告特別控除後の金額 ) 一時所得の金額 : 解約返戻金正味払込保険料特別控除 800 万円 - 700 万円 - 50 万円 =50 万円 総所得金額 :600 万円 +50 万円 1/2=625 万円 第 4 問 番号 問 10 問 11 問 12 正解 1 1 3 < 問 10> 正解 1 1) の語句の組み合わせが適切である 建ぺい率は, 建築物の 建築面積 ( 厳密ではないが 建物の 1 階部分 ) の敷地面積に対する割合のことである 建ぺい率は, 都市計画により上限が定められているが ( 指定建ぺい率 ), 所定の条件を満たすことにより, その上限が緩和されることがある 例えば 防火地域 ( 市街地における火災の危険を防除するため定める地域 ) 内で 耐火建築物 ( 鉄筋コンクリートや鉄骨などで造られた燃えにくい建築物 ) を建築する場合は 建ぺい率が 10% 緩和される 甲土地は, 指定建ぺい率が 60% の地域で, かつ, 防火地域であるため, 甲土地上に 耐火建築物 を建築する場合, 建ぺい率は緩和され, 指定建ぺい率 60% に 10% が加算された 70% となる 5
< 問 11> 正解 1 1) が正しい 純利回りは 純収益 / 投資額 100 で算出されるので 設例の場合 年間賃料収入 700 万円 - 年間実質費用 200 万円純利回り = 100=10% 投資額 5,000 万円 < 問 12> 正解 3 1) 不適切 賃貸アパートを経営するなど 自ら貸主となって宅地建物を貸す行為は 宅地建物取引業には該当しないので Aさんは宅地建物取引業の免許を取得する必要はない 2) 不適切 賃貸アパートの貸借の媒介を宅地建物取引業者に委託する場合, その媒介に関して支払う報酬額の上限は 賃貸人 賃借人あわせて賃料の 1 ヵ月分に相当する額となる 3) 適切 定期建物賃貸借契約 ( 定期借家契約 ) を締結する場合, 公正証書等の書面によって行わなければならない 第 5 問 番号 問 13 問 14 問 15 正解 2 2 3 < 問 13> 正解 2 1) 適切 父母や祖父母から受ける贈与について相続時精算課税を選択した場合 その年分以後は その贈与者から受ける贈与については, 暦年課税を選択することができない 2) 不適切 相続時精算課税は 60 歳以上の父母や祖父母それぞれからの贈与について選択することができる したがって 長男 Cさんが父 Aさんから受ける贈与について相続時精算課税を選択し さらに母 Bさんから受ける贈与についても相続時精算課税を選択することができる 3) 適切 相続時精算課税によって取得した財産は, その贈与者の相続が開始した場合, 贈与時の価額で相続税の課税価格に加算される < 問 14> 正解 2 相続時精算課税では 非課税枠 ( 特別控除 ) が 2,500 万円があり それを超える金額に対して 一律 20% の税率で贈与税が課税される したがって 長男 Cさんが, 平成 27 年中にAさんから現金 3,000 万円の贈与を受け, こ 6
の贈与について相続時精算課税を選択した場合の贈与税額は (3,000 万円 -2,500 万円 ) 20%=100 万円 < 問 15> 正解 3 1) 不適切 暦年課税における贈与税の基礎控除額は,110 万円である 2) 不適切 暦年課税により贈与税額を算出する場合, 受贈者が 1 年間に受けた贈与財産の合計額から基礎控除額を控除し 税率を乗じて贈与税額を算出する 例えば 平成 27 年中に 長女 Dさんが父 Aさんから 500 万円 母 Bさんから 200 万円の贈与を受けた場合 贈与税額は 次のようになる ( 税率は 直系尊属から 20 歳以上の子への贈与なので 特例税率を適用 ) (500 万円 +200 万円 )-110 万円 ( 基礎控除額 )=590 万円 590 万円 20%-30 万円 =88 万円 3) 適切 贈与税の申告書の提出期限は, 原則として贈与を受けた年の翌年 2 月 1 日から 3 月 15 日までである < 参考 > 贈与税の税額速算表 ( 平成 27 年 1 月 1 日以後の贈与の場合 )(A) (B)-(C) 基礎控除後の課税価格 (A) 1 一般税率 ( 一般財産用 ) 2 特例税率 ( 特例贈与財産用 ) 税率 (B) 控除額 (C) 税率 (B) 控除額 (C) ~ 200 万円以下 10% - 10% - 200 万円超 ~300 万円以下 15% 10 万円 300 万円超 ~400 万円以下 20% 25 万円 15% 10 万円 400 万円超 ~600 万円以下 30% 65 万円 20% 30 万円 600 万円超 ~1,000 万円以下 40% 125 万円 30% 90 万円 1,000 万円超 ~1,500 万円以下 45% 175 万円 40% 190 万円 1,500 万円超 ~3,000 万円以下 50% 250 万円 45% 265 万円 3,000 万円超 ~4,500 万円以下 50% 415 万円 55% 400 万円 4,500 万円超 ~ 55% 640 万円 1 一般税率の速算表は 特例税率 ( 特例贈与財産用 ) に該当しない場合の贈与税の計算 に使用 ( 例 ) 夫婦間の贈与 兄弟間の贈与 親から子への贈与で子が未成年者の場合など 2 特例税率 ( 特例贈与財産用 ) の速算表は 直系尊属 ( 祖父母や父母など ) から 贈与を 受けた年の 1 月 1 日現在で 20 歳以上の子 孫などへの贈与税の計算に使用 7