論点② 不確実な地震発生予測を受けた事業者等の対応の検討

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第 7 章鹿児島県と連携した耐震改修促進法による指導及び助言等 国の基本方針では 所管行政庁はすべての特定建築物の所有者に対して法に基づく指導 助言を実施するよう努めるとともに 指導に従わない者に対しては必要な指示を行い その指示に従わなかったときは 公表すべきであるとしている なお 指示 公表や建

基本方針

耐震等級 ( 構造躯体の倒壊等防止 ) について 改正の方向性を検討する 現在の評価方法基準では 1 仕様規定 2 構造計算 3 耐震診断のいずれの基準にも適合することを要件としていること また現況や図書による仕様確認が難しいことから 評価が難しい場合が多い なお 評価方法基準には上記のほか 耐震等

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第 1 章はじめに (1) 計画の目的西東京市耐震改修促進計画 ( 以下 本計画 という ) は 西東京市内の住宅 建築物の耐震診断及び耐震改修を計画的かつ総合的に促進することにより 西東京市民の生命と財産を保護し 災害に強いまちづくりを実現することを目的とする (2) 計画の位置づけ本計画は 建築

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1. 耐震改修促進法の改正の概要 2

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北栄町耐震改修促進計画の目的等 目的 本計画は 町民生活に重大な影響を及ぼす恐れのある地震被害から 町民の生命 財産を保護するとともに 地震による被害を軽減し 社会秩序の維持と公共の福祉に資するため 建築物の計画的な耐震化を促進することを目的とします 計画の実施期間 本計画の実施期間は 国及び県の実

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様式 2-2 平成 27 年度耐震対策緊急促進事業補助金交付 申請 決定 額表 事業主体名 ( 単位 : 千 ) 都道府県名 市町村名 耐震診断 補強設計 耐震改修対象建築物の名称 補助金額 摘要 ( 備考 ) 1 本表は別に 2 部作成し 提出すること 2 本表は 事業ごとに作成すること

中央区耐震改修促進計画(資料編)

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見出しタイトル

名前 第 1 日目 建築基準法 2 用途規制 1. 建築物の敷地が工業地域と工業専用地域にわたる場合において 当該敷地の過半が工業地域内であると きは 共同住宅を建築することができる 2. 第一種低層住居専用地域内においては 高等学校を建築することができるが 高等専門学校を建築する ことはできない

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平成25年度 耐震対策緊急促進事業について

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した 気象庁は その報告を受け 今後は余震確率の公表方法を改めることとしたという 2. 被害状況 被害要因等の分析 (1) 調査方針本委員会は 以下の調査方針で 被害調査と要因分析を行っている 1 極めて大きな地震動が作用し 多数かつ甚大な建築物被害が生じた益城町及びその周辺地域に着目して検討を進め

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2-1 防災関連施設の現状 概ねすべての施設で耐震性能を有することを確認しているが 救急告示病院につい ては 耐震性能を確認している施設は 21 施設の内 13 施設である 区分 内容該当施設施設件数 耐震性能を有することが確認できている施設件数 防災拠点施設 医療機関 避難者滞留施設 災害拠点病院

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( 県の責務 ) 第三条県は 地震防災に関する総合的な施策を策定し 及びこれを実施する責務を有する 2 県は 市町村 自主防災組織その他防災関係機関等と連携して 地震防災対策を推進しなければならない 3 県は 地震に関する調査及び研究を行い その成果を県民 事業者及び市町村に公表するとともに 地震防

2/9 学校 ( 幼稚園 ) 名久保小学校長江小学校土堂小学校 棟用途 棟面積第一次診断第二次診断改修改修後建築年月構造階数区分番号枝番 ( m2 ) 年度 Is 値年度 Is 値年度 普通 特別 管理教室棟 1 1 S8.1 R 3 2,950 旧基準 H H 屋内運動

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⑴ 政策目的 市街地再開発事業の推進により 土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るとともに コンパクトシティの推進及び密集市街地の解消を図る 新設 拡充又は延長を必要とする理由 ⑵ 施策の必要性 以下の施策の推進のため 本措置の延長により 民間事業者による早期かつ着実な保留床の取得を促

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耐震診断を応援します

資料 1 用語の定義 本計画で使用している用語の定義は下記の通りです 耐震診断耐震改修耐震改修等耐震化旧耐震基準新耐震基準耐震性を満たす 地震に対する安全性を評価すること 地震に対する安全性の向上を目的として 増築 改築 修繕若しくは模様替又は敷地の整備をすること 耐震改修 除却 建替えにより地震に

1 検査の背景及び実施状況 (1) 参議院からの検査要請の内容 参議院からの検査要請の内容は 公共建築物 ( 官庁施設 教育施設 医療施設等 ) における耐震化対策等に関する次の各事項である 耐震診断の状況 耐震改修の状況 東日本大震災に伴う被災等の状況 (2) 公共建築物における耐震化

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耐震化整備計画の策定について

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①法改正の趣旨と社会的背景

国土技術政策総合研究所 研究資料

目 次 1. 計画の概要 (1) 計画策定の趣旨... 2 (2) 計画の位置づけ... 3 (3) 計画期間 神戸市で今後発生が想定される地震規模 被害の状況 建築物の耐震化の現況と目標 3-1 住宅の耐震化 (1) 住宅全般の現況と目標... 7 (2) 市営住宅

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社会資本総合整備計画 ( 地域住宅支援 ) 計画の名称 計画の期間 計画の目標 2 群馬県地域住宅等整備計画 ( 地域住宅計画群馬地域 (3 期 ))( 防災 安全 ) 平成 27 年度 ~ 平成 31 年度 (5 年間 ) 地震発生時の被害の軽減を図るため住宅 建築物及び宅地の耐震化等を推進し 安

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わが国は世界有数の地震大国です 日本周辺では世界の 10 分の 1 の地震が起こると言われています 東日本大震災では 被害は甚大なものとなってしまいました 阪神 淡路大震災では犠牲者の大半が 建物の倒壊 や 火災 により亡くなっています 今までの悲劇を繰り返さないためにも 建築物の耐震化は喫緊の課題

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富士市が所有する市営住宅の耐震性能に係るリスト 目 次 頁 1. 公表の趣旨 1 2. 要旨 1 3. 各別の耐震性能と富士市の耐震性能判定基準 2 4. 用語の説明 3 5. 市営住宅の耐震性能に係るリスト 4 ~ 8 6. 一般公共建築物の耐震性能に係るリスト 別掲載

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第18期火災予防審議会地震対策部会

表 1 耐震改修促進計画で規定される建築物一覧 用途 指導 助言対象建築物の規模要件 指示対象建築物の規模要件 耐震診断義務付け対象建築物 の規模要件 耐震改修促進法第 14 条第 1 号 学校 小学校 中学校 中等教育学校の前期課程若しくは特別支援学校 階数 2 以上かつ1,000m2以上 屋内運

目 次 はじめに 1 1. 計画の目的 計画の目的 計画の位置付け 計画の期間 対象建築物 3 2. 現状と課題 現状 課題 8 3. 計画の目標 民間の住宅及び多数の者が利用する建築物

目 次 1 はじめに 1 2 本市の取り組みと学校施設の現状 1 3 耐震化の方針 2 4 今後の対策 3 参考資料学校施設の耐震診断結果 4


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調査結果

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アンケート調査の概要 目的東南海 南海地震発生時の業務継続について 四国内の各市町村における取り組み状況や課題等を把握し 今後の地域防災力の強化に資することを目的としてアンケート調査を実施 実施時期平成 21 年 11 月 回答数 徳島県 24 市町村 香川県 17 市町 愛媛県 20 市町 高知県

はじめに

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イメージ図 ( 医療施設の場合 ) イメージ図 ( 誘導施設 : 地域医療支援病院の場合 ) 5 届出を要しない軽易な行為などについて都市再生特別措置法第 108 条並びに都市再生特別措置法施行令第 35 条 第 36 条の規定により 以下の行為は届出の対象となりません 軽易な行為その他の行為で政令

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新設 拡充又は延長を必要とする理由(1) 政策目的 消費者のニーズに応じた住宅を選択できる環境を整備する観点や低炭素化 循環型の持続可能な社会の実現の観点から 中古住宅取得や増改築等工事の適用要件の合理化や増改築等工事の対象を拡充することにより 中古住宅の流通促進 住宅ストックの循環利用に資する (

第 3 号様式 ( 第 3 条関係 ) 不燃化推進特定整備地区整備プログラム 品川区 豊町 丁目 二葉 3 4 丁目及び西大井 6 丁目地区 平成 25 年 11 月第 1 回変更認定平成 27 年 10 月第 2 回変更認定平成 29 年 3 月 品川区

目次 第 1 章はじめに 1 計画の目的 1 2 熊谷市の被害想定及び地域防災計画等との関連性 2 第 2 章建築物の耐震化の現状と今後の目標 1 熊谷市のこれまでの取組による耐震化の現状 4 2 本計画における耐震化の目標 10 第 3 章建築物の耐震化の促進に関する支援 施策 1 耐震化の促進に

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第 7 章 間にその者の居住の用に供したときに 一定の要件の下で そのバリアフリー改修工事等にあてるために借り入れた住宅借入金等の年末残高 (1,000 万円を限度 ) の一定割合を5 年間所得税の額から控除できます なお 52ページの増改築に係る住宅ローン控除制度との選択適用になります 1 控除期

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大谷周辺地区 及び 役場周辺地区 地区計画について 木原市街地 国道 125 号バイパス 役場周辺地区 (43.7ha) 美駒市街地 大谷周辺地区 (11.8ha) 地区計画の概要 地区計画とは住民の身近な生活空間である地区や街区を対象とする都市計画で, 道路や公園などの公共施設の配置や, 建築物の

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大阪市防災 減災条例 目次第 1 章総則 ( 第 1 条 - 第 3 条 ) 第 2 章本市の責務 ( 第 4 条 - 第 7 条 ) 第 3 章市民の責務 ( 第 8 条 ) 第 4 章事業者の責務 ( 第 9 条 ) 第 5 章災害予防 応急対策 ( 第 10 条 - 第 25 条 ) 第 6

第 1 章基本方針 1 背景と目的 1 2 位置づけ 2 3 計画期間 3 4 耐震改修促進法の改正について 3 第 2 章建築物の耐震化の目標等 1 地震被害の想定及び減災効果 4 2 住宅 建築物の耐震化の現状及び課題 7 第 3 章建築物の耐震改修の促進を図るための施策 1 基本的考え 10

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Transcription:

資料 3 論点 2 不確実な地震発生予測を受けた事業者等の対応の検討

住宅 建築物の耐震化に関する経緯 建築基準法構造関係規定 耐震改修促進法の主な改正経緯 昭和 25 年 / 建築基準法制定 昭和 39 年新潟地震 昭和 43 年十勝沖地震 新耐震設計法の開発 (~ 昭和 52 年 ) 昭和 53 年宮城県沖地震 平成 7 年阪神 淡路大震災 規制緩和の要請 平成 16 年新潟県中越地震 平成 17 年構造計算書偽装問題 平成 19 年新潟県中越沖地震 平成 20 年岩手 宮城内陸地震 平成 23 年東日本大震災 昭和 34 年政令改正 / 法施行後約 10 年経過を踏まえた法令全体の見直し 液状化被害 鉄筋コンクリート造建築物の被害多数 昭和 46 年政令改正 / 靭性 ( 粘り強さ ) の確保とせん断補強 ピロティ形式や偏心の著しい建築物等に被害 昭和 56 年政令改正 / 新耐震基準の導入 平成 7 年耐震改修促進法制定 数十年に 1 度程度発生する中地震に対してほとんど損傷しないことを検証 新耐震基準以前の建築物や施工不良建築物の多くが倒壊 崩壊 平成 12 年法律 政令改正 / 性能規定化 木造建築物の必要壁量の基準の強化 等 鉄筋コンクリート造の柱の帯筋の基準の強化 木造建築物の必要壁量の基準の強化等 数十年に 1 度程度発生する中地震に対してほとんど損傷しないことの検証に加えて 数百年に 1 度程度発生する大地震に対して倒壊 崩壊しないことを検証 平成 18 年耐震改修促進法改正 大規模な地震動に対する検証を行う2 次設計の導入 木造建築物の必要壁量の基準の強化等 多数の者が利用する建築物への指導 助言 指示 耐震改修計画の認定制度等 木造建築物における壁の釣り合い良い配置 および接合部の構造方法の明確化 技術基準の性能規定化( 限界耐力計算の導入 ) 等 耐震改修促進計画の策定( 耐震化率目標の導入 ) 指示に従わない場合の公表等 平成 19 年法律 政令改正 / 建築確認 検査の厳格化 構造計算適合性判定制度の導入 構造計算の基準の明確化 等 関連する主な支援制度の経緯 ( 1) 期間は耐震改修を補助対象としている期間を指す ( 2) 耐震改修促進に関する税制 融資制度については省略 昭和 55 年 ~ 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律強化地域の社会福祉施設や公立小中学校の改築等に補助を嵩上げ 平成 7 年 ~ 地震防災対策特別措置法全国の社会福祉施設や公立小中学校の改築等に補助を嵩上げ 平成 7~16 年度耐震型優良建築物等整備事業 市街地環境の整備改善等に資する建築物の建築を支援 ( 建築物 ( 共同住宅を含む ) の耐震改修事業に対する支援を含む ) 平成 14~15 年度密集住宅市街地整備促進事業平成 16 年度住宅市街地総合整備事業生活道路等地区施設の整備等を総合的に行う事業を支援 ( 戸建て住宅の耐震改修事業に対する支援を含む ) 平成 17~20 年度住宅 建築物耐震改修等事業平成 21 年度 ~ 住宅 建築物安全ストック形成事業 ( 平成 22 年度以降は社会資本整備総合交付金において実施 ) 耐震改修促進計画等に基づき住宅 建築物の耐震診断 耐震改修 耐震化の計画的実施の誘導に関する事業等を行う地方公共団体等に対し国が支援 平成 28 年熊本地震 平成 25 年耐震改修促進法改正 多数の者が利用する大規模な建築物等の耐震診断の義務付け 結果の公表 住宅や小規模建築物への指導 助言 平成 25 年度 ~ 耐震改修緊急促進事業 改正耐震改修促進法により 耐震診断の義務付け対象となる建築物の耐震診断 改修等を行う民間事業者等に対し 通常の交付金による助成に加え 国が重点的 緊急的に支援 1

耐震化率(%0 耐震化率の推移と今後の目標 耐震化が一定程度進捗しており 今後も 南海トラフ地震防災対策推進基本計画 国土強靱化基本計画 等にもとづき取組を推進 100 90 80 70 国土強靱化アクションプラン2016における目標値 91%[H30 参考値 ] 95%[H32] 住宅耐震性を有しない住宅ストックを概ね解消 [H37] 多数の者が利用する建築物 92%[H30 参考値 ] 95%[H32] 災害拠点病院及び 89%[H30] 救命救急センター 社会福祉施設 95%[H30] 60 50 )40 30 20 10 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 平成 ( 年 ) 各建築物の耐震化率の推移 凡例 住宅 公立小中学校病院社会福祉施設 多数の者が利用する施設私立幼稚園 ~ 高等学校災害拠点病院 出典 : 文部科学省 公立学校施設の耐震改修状況調査 文部科学省 私立学校施設の耐震改修状況等調査 厚生労働省 病院の耐震改修状況調査 ( 平成 17 年調査は 四病院団体協議会 厚生労働科学研究班による調査 ) 厚生労働省 社会福祉施設等の耐震化状況調査 国土交通省 住宅 建築物の耐震化の状況 をもとに事務局で作成 2

建築物の耐震改修の促進に関する法律の概要 平成 7 年 12 月 25 日施行平成 18 年 1 月 26 日改正施行平成 25 年 11 月 25 日改正施行 国による基本方針の作成 住宅 多数の者が利用する建築物の耐震化の目標 (75%(H15) 少なくとも95%(H32) 耐震性が不十分な住宅をおおむね解消(H37)) 耐震化の促進を図るための施策の方針 相談体制の整備等の啓発 知識の普及方針 耐震診断 耐震改修の方法 ( 指針 ) 都道府県 市町村による耐震改修促進計画の作成 住宅 多数の者が利用する建築物の耐震改修等の目標 目標達成のための具体的な施策 公共建築物の耐震化の目標 緊急輸送道路等の指定 ( 都道府県 市町村 ), 防災拠点建築物の指定 ( 都道府県 ) (1) 建築物の耐震化の促進のための規制措置 指導 助言対象 ( 全ての既存耐震不適格建築物 ) 多数の者が利用する一定規模以上の建築物 一定量以上の危険物を取り扱う貯槽場 処理場 住宅や小規模建築物等 指示 公表対象 不特定多数の者が利用する建築物及び避難弱者が利用する建築物のうち一定規模以上のもの 都道府県又は市町村が指定する避難路沿道建築物 一定量以上の危険物を取り扱う貯蔵場 処理場のうち一定規模以上のもの 耐震診断の義務付け 結果の公表 要緊急安全確認大規模建築物 病院 店舗 旅館等の不特定多数の者が利用する建築物及び学校 老人ホーム等の避難弱者が利用する建築物のうち大規模なもの 一定量以上の危険物を取り扱う貯蔵場 処理場のうち大規模なもの 要安全確認計画記載建築物 ( 耐震改修促進計画に位置付け ) 都道府県又は市町村が指定する緊急輸送道路等の避難路沿道建築物 都道府県が指定する庁舎 避難所等の防災拠点建築物 (2) 建築物の耐震化の円滑な促進のための措置 耐震改修計画の認定 地震に対する安全性が確保される場合は既存不適格のままで可とする特例 耐火建築物 建ぺい率 容積率の特例 区分所有建築物の耐震改修の必要性に係る認定 大規模な耐震改修を行おうとする場合の決議要件を緩和 ( 区分所有法の特例 :3/4 以上 過半数 ) 耐震性に係る表示制度 ( 任意 ) 耐震性が確保されている旨の認定を受けた建築物について その旨を表示 耐震改修支援センター耐震診断 耐震改修を円滑に進めるための情報提供等の総合的な支援を実施 補助等の実施 住宅 建築物安全ストック形成事業 耐震対策緊急促進事業 耐震改修促進税制等 : 平成 25 年改正点 3

建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律 ( 施行 : 平成 25 年 11 月 25 日 ) 1. 背景 現状 住宅及び多数の者が利用する建築物の耐震化目標を平成 27 年までに 90% 平成 32 年までに 95% と設定 ( 現行の耐震基準は昭和 56 年 6 月に導入 ) 耐震化率は平成 25 年時点で住宅が約 82% 多数の者が利用する建築物が約 85% となっている 平成 27 年の目標の達成に必要な進捗よりも住宅は約 5% 建築物は約 2% マイナスの状況 南海トラフの巨大地震や首都直下地震の被害想定で これらの地震が最大クラスの規模で発生した場合 東日本大震災を超える甚大な人的 物的被害が発生することがほぼ確実視 ( 南海トラフの巨大地震の被害想定 (H24.8 内閣府 ): 建物被害約 94 万棟 ~240 万棟 死者数約 3~32 万人 ) 耐震改修促進法の的確な運用や支援措置の拡充による住宅 建築物の耐震化の促進が喫緊の課題 2. 改正耐震改修促進法の概要 (1) 建築物の耐震化の促進のための規制強化 耐震診断の義務化 耐震診断結果の公表 報告期限 公表 病院 店舗 旅館等の不特定多数の者が利用する建築物及び学校 老人ホーム等の避難弱者が利用する建築物のうち大規模なもの等 平成 27 年末まで 所管行政庁が建築物の用途ごとに取りまとめた上で公表 地方公共団体が指定する緊急輸送道路等の避難路沿道建築物 都道府県が指定する庁舎 避難所等の防災拠点建築物 地方公共団体が指定する期限まで 所管行政庁が期限が同一である建築物ごとに取りまとめた上で公表 ( ) 東日本大震災後の A 市役所の損傷状況 全ての建築物の耐震化の促進 マンションを含む住宅や小規模建築物等についても 耐震診断及び必要に応じた耐震改修の努力義務を創設 4

建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律 ( 施行 : 平成 25 年 11 月 25 日 ) 耐震診断義務付け対象となる大規模建築物の要件 原則として 以下の 1 及び 2 の要件を満たす建築物が対象 1 階数 3 及び床面積の合計 5,000 m2以上の病院 店舗 旅館等の不特定かつ多数の者が利用する建築物等 ( ) であること 2 旧耐震基準により新築した建築物 ( 新耐震基準により増築等の工事を行い 検査済証の交付を受けたものを除く ) であること ( ) 小 中学校は階数 2 及び床面積の合計 3,000 m2以上 幼稚園 保育所は階数 2 及び床面積の合計 1,500 m2以上等 耐震診断結果の公表の内容 建築物の概要 ( 位置 用途 建築物の名称 大規模な地震が発生した場合の利用方法 ( 防災拠点建築物の場合 )) 耐震診断の結果 ( 評価方法 地震に対する安全性の評価の結果 ) 耐震改修 建替え 除却の予定 (2) 建築物の耐震化の円滑な促進のための措置 耐震改修計画の認定基準の緩和及び容積率 建ぺい率の特例 新たな耐震改修工法も認定可能になるよう 耐震改修計画の認定制度について対象工事の拡大及び容積率 建ぺい率の特例措置の創設 区分所有建築物の耐震改修の必要性に係る認定耐震性に係る表示制度の創設 耐震改修の必要性の認定を受けた区分所有建築物 ( マンション等 ) について 大規模な耐震改修を行おうとする場合の決議要件を緩和 ( 区分所有法の特例 :3/4 以上 過半数 ) 新たに補強 増築された部分 改修前のバルコニー幅 新たに認定対象となる増築工事の例 耐震性に係る表示制度の創設 耐震性が確保されている旨の認定を受けた建築物について その旨を表示できる制度を創設 表示の様式 5

論点 2 不確実な地震発生予測を受けた事業者等の対策のあり方 現状の課題 多くの施設は耐震化された一方で 耐震化の進まない施設 事業者も存在 建て替えや耐震化に関する補助制度などの充実もあり 耐震化率は向上 他方で 耐震化できない施設や事業者が一定程度存在 不確実な地震発生予測を活用してどのような対策を実施すべきか? 不確実な地震発生予測に関する情報を活用して 特に脆弱性が高い場合は事業停止等の措置をすべきか? ( 高い脆弱性の例 ) 耐震性 : 耐震化されていない施設 利用者数 : 多数の者が利用する施設 事業の性格 : 子供や高齢者等が利用する施設等 事業停止等が長期間に及ぶ場合の考え方 地震発生の可能性の程度や長期間の事業停止に伴うデメリットも考慮し 対応のレベル化を考えることも必要か? 事業継続の有無の判断は誰が行うのか? 事業者によって 耐震性や避難計画等の対策 営業停止した場合の影響が異なるため 事業停止等の判断は個々の事業者が行うべきか? 情報提供を充実させることによって 結果的に利用者が判断できるようにすべきか? 各事業者が独自の判断で個別に事業継続又は停止を行うことによる社会的混乱を防止するためにも 国等の行政機関が基本的な方針等を示すべきか? 6

大震法の警戒宣言発令時における現時点の事業者 施設管理者の対策 耐震化等の安全性が確保されていない施設では事業継続しないことを基本 事業者又は施設管理者の対策 百貨店 スーパー等 病院 診療所 社会福祉施設 学校 幼稚園 保育所 建物の耐震性等の安全性が確保されている施設は 食料 飲料水 生活必需品等の供給により県民生活を維持するため 各店舗の判断により営業を継続することができる 建物の耐震性等の安全性が確保されていない施設は 営業を中止し 顧客や従業員の避難対策を実施する 救急業務を除き 外来診療を原則中止し 設備 機器等の転倒 落下防止等の患者 職員等の安全確保措置を継続するとともに その他災害発生時の重症患者等の治療体制を確保するための措置を実施する 建物の耐震性等の安全性が確保されている施設にあっては 災害発生時の重症患者等の治療体制を確保するため 帰宅可能な入院患者の家族等への引渡しを実施する 建物の耐震性等の安全性が確保されていない施設にあっては 入院患者の他の病院等への移送 家族等への引渡しを実施する 建物の耐震性等の安全性が確保されている施設にあっては 入所者については入所を継続し 通所者は家族等への引渡しを実施する 建物の耐震性等の安全性が確保されていない施設にあっては 入所者及び通所者に対して次の措置を講ずる ア家族等への引渡しイ家族等への引渡しが困難な場合は 安全性が確保されている他の施設等への移送 生徒等が在校中の場合 各学校等は 授業や保育等を中止し 原則として安全が確認 ( 警戒宣言の解除等 ) されるまで学校への待機又は帰宅や家族等への引渡し等の 生徒等の安全確保のために必要な対策を実施する 家族等への引渡しが困難な場合は学校に待機する なお 学校に待機させることについては保護者と十分に協議をしておく 上記のほか 鉄道 船舶等の事業者は 運行停止等の措置を実施することとしている 静岡県地域防災計画 ( 地震防災強化計画 ) より抜粋 7

熊本地震における建築物の建築時期と地震被害の状況 益城町中心部における悉皆調査によれば 木造及び非木造 ( 鉄骨造 鉄筋コンクリート造 ) ともに 旧耐震基準での建築物は 倒壊 大破の割合が大きい 100% 80% 60% 40% 20% 0% 5.1% (39 棟 ) 49.1% (373 棟 ) 17.5% (133 棟 ) 28.2% (214 棟 ) 旧耐震基準 (1981 年以前 ) (759 棟 ) 9.7% (85 棟 ) 8.7% (76 棟 ) 20.4% (179 棟 ) 61.2% (537 棟 ) 新耐震基準 (1981 年 ~2000 年 ) (877 棟 ) 3.8% (12 棟 ) 2.2% (7 棟 ) 61.4% (196 棟 ) 32.6% (104 棟 ) 新耐震基準 (2000 年以降 ) (319 棟 ) 100% 80% 60% 40% 20% 0% 6.9% (5 棟 ) 8.3% (6 棟 ) 43.1% (31 棟 ) 41.7% (30 棟 ) 旧耐震基準 (1981 年以前 ) (72 棟 ) 4.7% (12 棟 ) 2.3% (6 棟 ) 64.5% (165 棟 ) 28.5% (73 棟 ) 新耐震基準 (1981 年 ~) (256 棟 ) 倒壊 崩壊大破軽微 小破 中破無被害 木造建築物 倒壊 崩壊大破軽微 小破 中破無被害 非木造 ( 鉄骨造 鉄筋コンクリート造 ) 建築物 出典 : 熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会報告書 8

他の制度における各対象施設の規定 災害に関する他の制度において 浸水等が想定され利用者の円滑な避難の確保等が必要な施設については 避難確保計画の作成等について規定 水防法における各施設に関する規定 地下街等 要配慮者利用施設 大規模な工場その他の施設 浸水想定区域内にあり市町村地域防災計画に定められた施設について 利用者の洪水時等の円滑かつ迅速な避難の確保及び洪水時等の浸水の防止を図るために必要な訓練その他の措置に関する計画を作成浸水想定区域内にあり市町村地域防災計画に定められた施設について 利用者の洪水時等の円滑かつ迅速な避難の確保を図るために必要な訓練その他の措置に関する計画を作成浸水想定区域内にあり市町村地域防災計画に定められた施設について 洪水時等の浸水の防止を図るために必要な訓練その他の措置に関する計画を作成 9