⑶ 事実関係 損金算入の可否とその理由 商品 A の評価損 4,000,000 円は当期の損金の額に算入されない ❶ 過剰生産による時価の下落は 棚卸資産の評価損の計上が認められる 著しい陳腐化 に該当しない ❷ 1 商品 B の評価損 2,000,000 円は当期の損金の額に算入される ❶ 台風に

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1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

実務特集1. 寄附修正 Ⅰ はじめに グループ法人税制 100% グループ内の法人間での譲渡損益の繰り延べ 100% グループ内の法人間の寄附 ( 以上 2010 年 11 月号 ) 100% グループ内の法人間の寄附 ( 寄附修正 ) 支配関係 完全支配関係の判定 100% グループ内の法人のステ

CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

【問】適格現物分配に係る会計処理と税務処理の相違

作成する申告書 還付請求書等の様式名と作成の順序 ( 単体申告分 ) 申告及び還付請求を行うに当たり作成することとなる順に その様式を示しています 災害損失の繰戻しによる法人税 額の還付 ( 法人税法 805) 仮決算の中間申告による所得税 額の還付 ( 法人税法 ) 1 災害損失特別勘

損金経理と積立金経理の違い ( 圧縮超過額がない場合の基本構造 ) 例 A 社は 50の国庫補助金を得て 100で機械を取得した なお A 社の経常利益は 100 である * 仕訳の違い ( 単位 : 百万円 ) 損金経理積立金経理 補助金受贈と機械取得時の仕訳 ( 両者とも同じ ) 現金預金 50

平成23年度税制改正の主要項目

企業会計の利益 法人税法上の所得金額 売上原価販売費一般管理費営業外費用特別損失 売上 営業外収益特別利益 損金の額原価費用損失の額 益金の額 ( 収益の額 ) 当期純利益所得の金額 2 益金の額に算入すべき金額とは何か益金の額に算入すべき金額とは 法人税法の規定や他の法令で 益金の額に算入する 又

法人税 faq

別表五(一) 利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書

Microsoft Word - メルマガQ&A(23.8.1問2)利益剰余金の資本組入(父確認中)

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目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

「平成20年版 法人税申告書の記載の手引」別表五(一)

利益積立金額第 10 章税法上の資本の部 第 2 節利益積立金額 利益積立金額とは 法人の所得の金額のうち留保されているものをいう ( 法 21 十八 ) この利益積立金額は 法人の所得として課税済みの金額であり それが株主等に配当等された場合には二重課税の調整を要し また 特定同族会社の留保金課税

余金の額の減少に伴うものを除きます 以下同じです ) 若しくは利益の配当又はいわゆる中間配当 ( 資本剰余金 の額の減少に伴うものを除きます 以下同じです ) を した場合には その積立金の取崩額を 減 2 に記載するとともに 繰越損益金 26 の 増 3 の金額に含まれることになります なお この

Ⅰ はじめに グループ法人税制 100% グループ内の法人間での譲渡損益の繰り延べ 100% グループ内の法人間の寄附 ( 以上 本号 ) 100% グループ内の法人間の寄附 ( 承前 ) 支配関係 完全支配関係の判定 100% グループ内の法人のステータス 100% グループ内の法人からの受取配当

収益事業開始届出 ( 法人税法第 150 条第 1 項 第 2 項 第 3 項 ) 1 収益事業の概要を記載した書類 2 収益事業開始の日又は国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなった時における収益事業についての貸借対照表 3 定款 寄附行為 規則若しくは規約又はこれらに準ずるもの

税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

Z-64-A 簿記論〔第一問〕-解 答-

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2. 中小企業のための主な優遇制度 注 : 各項目に付記している番号は 関連する参考資料です 番号に対応する資料名などは 5~6 ページに掲載していますのでご参照ください [1] 中小法人等 に適用される主な優遇制度 紙面の都合により ここでは制度の種類と それに関連する参考資料の番号を紹介していま

に相当する金額を反映して分割対価が低くなっているはずですが 分割法人において移転する資産及び負債の譲渡損益は計上されませんので 分割法人において この退職給付債務に相当する金額を損金の額とする余地はないこととなります (2) 分割承継法人適格分割によって退職給付債務を移転する場合には 分割法人の負債

法人税における役員特有の取扱いには 主に次のようなものがあります この取扱いは みなし役 員も対象となります 項目 役員給与 損金算入制限 過大役員給与 特有の取扱い 定期同額給与 ( 注 1) や事前確定届出給与 ( 注 2) など一定のもの以外は損金不算入 実質基準 ( 職務内容 収益状況など

とともに 繰越損益金 26 の 増 3 の金額に含まれることになります なお この場合に会社法第 445 条第 4 項の規定により積み立てた剰余金の配当に係る利益準備金の額は 利益準備金 1 の 増 3 に記載します ⑸ 平成 22 年 10 月 1 日以後に適格合併に該当しない合併により完全支配関

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

試験研究費 9,, 7,, Check7 14,, 14,, Check8 7,, 2,, 14,, 6,, 6,, 税務弘報

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2018年 租税法基礎答練1回

法人による完全支配関係下の寄附金 1.100% グループ内の法人間の寄附 ( 法法 372) 現行税制上では 寄附金は支出法人では損金計上限度額を超える部分が損金不算入 受領法人では益金算入です 平成 22 年度税制改正により 100% グループ内での支出法人では寄附金全額を損金不算入とし 受領法人

. 減価償却の仕組みを理解する 60 定率法 定額法など減価償却の方法を理解しましょう. 有価証券の整理をする 68 有価証券一覧表に 購入売却のつど その取引内容を記載していくと 決算業務の際に便利です. 受取配当金を集計する 78 有価証券の整理後 受取配当金と源泉所得税を集計し 申告書作成の準

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第一法基通改正7

所内研修議事録

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改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

平成28年度 第144回 日商簿記検定 1級 会計学 解説

〔第一問〕―50点―

粉飾決算と過年度損益修正 1. 概要 経営上の諸般の事情により やむを得ず粉飾して架空売上や架空在庫を計上する場合があります 前期以前の 過年度の決算が間違っていた場合は 会計上は当期の期首で修正できます ただし 過年度の損失を当期に損金算入すれば その事業年度に損金計上すべきであり 過年度の損失は

繰越損益金 26 欄記載要領注意事項 定により積み立てた剰余金の配当に係る利益準記載した金額を 当期の備金の額は 利益準備金 1 の 増 3 に記載増減 の 増 3 に 印します を付して記載します ( そ ⑷ 平成 22 年 10 月 1 日以後に適格合併に該当しの積立額は 翌期においない合併によ

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<TAC> 無断複写 複製を禁じます ( 税 18) 相上 (8)C10-1 相続税法 上級 演習 8 テキスト 2 第 8 回 - 解答 点 - 第一問 問 1 持分の定めのない法人に対し財産の贈与又は遺贈があった場合において 税負担の不当減少を防 止

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下では特別償却と対比するため 特別控除については 特に断らない限り特定の機械や設備等の資産を取得した場合を前提として説明することとします 特別控除 内容 個別の制度例 特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供したときや 特定の費用を支出したときなどに 取得価額や支出した費用の額等 一定割合 の

法人の減価償却制度の改正に関するQ&A

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改正 ( 事業年度の中途において中小企業者等に該当しなくなった場合等の適用 ) 42 の 6-1 法人が各事業年度の中途において措置法第 42 条の6 第 1 項に規定する中小企業者等 ( 以下 中小企業者等 という ) に該当しないこととなった場合においても その該当しないこととなった日前に取得又

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

プルータスセミナー 新株予約権の税務について 株式会社プルータス コンサルティング 平成 18 年 12 月 7 日

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

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欄記載要領注意事項 役員給与の損金不算入額 8 加算 の 10 1 と 留保 2 に記載します ロ納税充当金で消却した場合この明細書には記載しないで 別表五 ( 一 ) において 前期から繰り越された 仮払税金 の 減 2 にその消却した金額を 印を付して記載するとともに 納税充当金 27 の 減

完全支配関係の添付書類 ( 出資関係図 ) (1) 出資関係図の記載例 (Q&A 問 1) 平成 22 年度税制改正で グループ法人税制が導入されたことに伴い 法人税の確定申告書に 内国法人との間に完全支配関係がある法人との関係を系統的に示した図 ( 以下 出資関係図 という ) を添付することが定

要件① 雇用者給与等・・・・ (ざっくり) 平成24年度の給与総額と比べて、平成25年以降毎年、一定割合以上給与総額が増えていること。 <雇用者給与等支給額とは> <一定割合とは>

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自己株式の消却の会計 税務処理 1. 会社法上の取り扱い取得した自己株式を消却するには 取締役会設置会社の場合は取締役会決議が必要となります ( 会 178) 取締役会決議では 消却する自己株式数を 種類株式発行会社では自己株式の種類及び種類ごとの数を決定する必要があります 自己株式を消却しても 会

事前確定届出給与に関する届出書

租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) 第十条の二 第四十二条の五 第六十八条の十 租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) ( 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除 ) 第十条の二青色申告書を提出する個人が 平成三十年四月一日 ( 第二号及

1―3

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会社税務のてびき目次 平成 28 年度 法人税関係税制改正のポイント 1 1 法人税は何にかかるか? 3 2 収益は どの時点で計上するか? 8 3 配当金を受け取ったときは? 15 4 売上原価を求める方法 19 5 売却した有価証券の損益を求める 24 コラム 1 社長が会社にお金を貸していたら

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務特集 実 スタッフアドバイザー 23 Ⅰ はじめに グループ法人税制 100% グループ内の法人間での譲渡損益の繰り延べ 100% グループ内の法人間の寄附 ( 以上 2010 年 11 月号 ) 100% グループ内の法人間の寄附 ( 寄附修正 ) 支配関係 完全支配関係の判定 10

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「図解 外形標準課税」(仮称)基本構想

⑴ ⑵ ⑶

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平成22年度税制改正に係る法人税質疑応答事例(グループ法人税制その他の資本に関係する取引等に係る税制関係)(情報)


【表紙】

投資主の皆様へ 平成 29 年 3 月 マリモ地方創生リート投資法人 第 1 期分配金の税務上の取扱いに関するご説明 拝啓平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます さて 本投資法人は 平成 29 年 2 月 14 日開催の役員会において 第 1 期 ( 平成 28 年 12 月期 ) の (A)

⑴ ⑵ ⑶ ⑷ 1

128 Z E I K E I T S U S H I N 10. 3

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Microsoft Word 【公表】HP_T-BS・PL-H30年度

貸借対照表 (2019 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 科目 金額 科目 金額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 流動資産 3,784,729 流動負債 244,841 現金及び預金 3,621,845 リース債務 94,106 前払費用 156,652 未払金 18,745

目 次 セットアップ前に 1 税制改正の概要 2 プログラムの変更内容 3 改正別表 7 別表一 ( 一 ) 平成 26 年 10 月 1 日以後開始事業年度分 9 別表一 ( 二 ) 平成 26 年 10 月 1 日以後開始事業年度分 21

自己株式とみなし配当 1. 自己株式取得の法務自己株式は 会計上は資本取引として認識し 純資産の部から取得価額を控除する形式で表示します ( 自己株式会計基準 7) 一方税務上では 発行法人の貸借対照表と自社株式の取引価額次第で みなし配当課税と所得税の源泉徴収が必要な場合があります 自己株式の取得

iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

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日本基準でいう 法人税等 に相当するものです 繰延税金負債 将来加算一時差異に関連して将来の期に課される税額をいいます 繰延税金資産 将来減算一時差異 税務上の欠損金の繰越し 税額控除の繰越し に関連して将来の期に 回収されることとなる税額をいいます 一時差異 ある資産または負債の財政状態計算書上の

( 注 3) その他の少額上場株式等の非課税口座制度の詳細については 証券会社等の金融商品取引業者等にお問い合わせ下さ い b. 利益を超える金銭の分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る利益を超える金銭の分配 ( 平成 27 年 4 月 1 日以後開始事業年度に係る利益を超える金銭の分配につ

2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

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Z-68-D 法人税法 第一問 - 解答 - 問 1 ⑴ 資産の評価損の原則的な取扱い 内国法人がその有する資産の評価換えをしてその帳簿価額を減額した場合には その減額した部分の金額は 各事業 年度の損金の額に算入しない ❸ この場合に 減額された金額を損金の額に算入されなかった資産については その事業年度以後の帳簿価額は その 減額がされなかったものとみなす ❶ ⑵ 資産の評価損が認められる特定の事実は 次の区分に応じ それぞれの事実とする ⑴ 次のそれぞれの資産に係る物損等の事実及び法的整理の事実 ❷ 1 棚卸資産 ❷ ( イ ) 災害により著しく損傷したこと ( ロ ) 著しく陳腐化したことなど 2 有価証券 ❷ ( イ ) 取引所売買有価証券等の価額が著しく低下したこと ( ロ ) ( イ ) 以外の有価証券について 発行法人の資産状態が著しく悪化したため その価額が著しく低下したことなど 3 固定資産 ❹ ( イ ) 災害により著しく損傷したこと ( ロ ) 1 年以上いにわたり遊休状態にあること ( ハ ) 本来の用途に使用できないため他の用途に使用されたこと ( ニ ) 所在する場所の状況が著しく変化したことなど 4 他の社の有する固定資産を利用するために支出した繰延資産 その支出の対象となった固定資産につき 3 の事実が生じたことなど ⑵ 会社更生法の規定による更生計画認可の決定により資産の評価換えをしたこと ❷ ⑶ 民事再生法の規定による再生計画認可の決定があったことその他一定の事実が生じた場合において 有する資産につき 適正な評定を行ったこと ❷ -1-

⑶ 事実関係 損金算入の可否とその理由 商品 A の評価損 4,000,000 円は当期の損金の額に算入されない ❶ 過剰生産による時価の下落は 棚卸資産の評価損の計上が認められる 著しい陳腐化 に該当しない ❷ 1 商品 B の評価損 2,000,000 円は当期の損金の額に算入される ❶ 台風による浸水被害は 棚卸資産の評価損の計上が認められる 災害による著しい損傷 に該当する ❷ 2 有価証券 C の評価損 1,500,000 円は当期の損金の額に算入されない ❶ 有価証券 C の期末時価 3,500,000 円は期末帳簿価額 5,000,000 円の 50% 以下となっていないため 取引所売買有価 証券の評価損の計上が認められる 価額の著しい低下 該当しない ❷ 3 機械装置 D の評価損 5,000,000 円は当期の損金の額に算入されない ❶ 商品の製造方法の急速な進歩等により旧式化した機械装置の価値の低下は 固定資産のの評価損の計上が認められ る事実に該当しない ❷ 4-2-

問 2 ⑴ 中小法人等とは 次の内国法人をいう 1 期末資本金の額又は出資金の額が 1 億円以下である普通法人で 大法人 ( 資本金の額又は出資金の額が 5 億円以上で ある法人 ) との間にその大法人による完全支配関係がないもの ❸ 2 公益法人等又は協同組合等 ❶ 3 人格のない社団等 ❶ ⑵ 1 制度の概要 ~ 中小法人等の場合 ❷ 青色欠損金の繰越控除の制度は 青色申告書を提出する内国法人について生じた欠損金額について その欠損事業年 度後の事業年度の所得金額から控除することができるというものである この際の控除限度額は 中小法人等について は所得金額相当額となる 2 中小法人等以外の法人の場合 中小法人等以外の法人の場合については 控除限度額が所得金額の 50% 相当額となる ❷ 3 根拠規定 ❼ 内国法人の各事業年度開始の日前 10 年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額 ( 既に損金の額に算入された もの及び欠損金の繰戻しによる還付金額の計算の基礎となったものを除く ) がある場合には その欠損金額は その 各事業年度の損金の額に算入する ただし 損金算入学派この規定の適用前の所得金額の 50% 相当額 ( 次の内国法人の それぞれに定める事業年度については所得金額 ) を限度とする 1 中小法人等 各事業年度 2 再生手続き開始の決定等を受けた法人 (1 を除く ) その決定等の日から同日以後 7 年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度 3 新設法人 (1 を除く ) その設立の日から同日以後 7 年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度 -3-

⑶ 制度の適用要件 青色欠損金の繰越控除制度は 欠損金の生じた事業年度について青色申告書である確定申告書を提出し かつ その後 において連続して確定申告書を提出している場合であって欠損金額の生じた事業年度に係る帳簿書類の一定の保存をし ている場合に限り 適用する ❹ -4-

Z-68-D 法人税法 第二問 - 解答 - 問 1 ⑴1 ⑴ 株主順位 1 Aグループ 2 Cグループ 3 Dグループ 700 株 +50 株 +200 株 =950 株 150 株 +400 株 =550 株 200 株 +200 株 =400 株 ⑵ 同族会社の判定 1 ⑴1+⑴2+⑴3=1,900 株 2 1 =0.95>50% 同族会社に該当する ❶ 2,000 株 2 対象者判定判定過程 使用人兼務役員の判定 B 使用人兼務役員 株主等 常時使用人の職務 50% 超 10% 超 5% 超判定結果 B 使用人兼務役員 C 役員 C 9 月まで役員 10 月以降役員 みなし役員の判定経営に株主等従事 50% 超 10% 超 5% 超判定結果 E みなし役員 E みなし役員 G - - 特殊関係使用人 執行役員は 税法上の使用人に該当し また 経営に従事して いることとはならない Gは取締役の配偶者であるため特殊関係 使用人となる G そのいずれにも該当しない者 判定及び判定過程各 ❶ 8-5-

⑵ 対象者損金不算入額理由 ( 計算過程 ) C は使用人兼務役員ではなく税法上の役員であるため 使用人分給 C 500,000 円 ❶ 与は役員給与とされる 6 月に支給した賞与は定期同額給与でなく 事前確定届出に関する記述がないため 損金不算入となる ❶ D 100,000 円 ❶ 期中に役員給与が増額改定された場合において 増額分を遡及して 一括支給するときは その支給額は定期同額給与に該当しない また 事前確定届出に関する記述がないため 損金不算入となる ❶ F 2,400,000 円 ❶ Fに対する給与は3ヶ月に一度であるため 定期同額給与に該当しない また X 社は同族会社であるため 定期給与を支給しない役員に対して支給する給与は 事前確定届出がない場合には損金不算入となる ❶ G 1,000,000 円 ❶ G は特殊関係使用人に該当する G に対する給与の支給額が適正額 を超える部分については 法 36 により損金不算入となる ⑶ 納税地の所轄税務署長に対し 臨時改定事由 ( 常務取締役就任 ) が生じた日から 1 月を経過する日までに C に対する事前 確定給与の内容に関する届出をする ❶ -6-

⑷ 損金不算入額 役員給与の損金不算入額 1,700,000 円 ( 加算 社外 )❶ 計算過程法 342による損算入額 ( 不相当に高額な部分の金額 ) ⑴ 実質基準額 1 A 18,000,000 円 +1,100,000 円 * ❶-19,000,000 円 =100,000 円 2 B 7,200,000 円 -6,000,000 円 =1,200,000 円 3 H 2,400,000 円 -2,000,000 円 =400,000 円 4 1+2+3=1,700,000 円 * Aを被保険者とする養老保険は 保険金の受取人がA 及びAの遺族であるため 役員給与となる また 保険料の年払いは定期同額給与として認められる ⑵ 形式基準額 1 取締役 (18,000,000 円 +1,100,000 円 +2,400,000 円 ❶+8,800,000 円 -500,000 円 + 6,600,000 円 -100,000 円 +2,400,000 円 +4,200,000 円 )-42,000,000 円 = 900,000 円 2 監査役 (2,400,000 円 -2,400,000 円 )-3,600,000 円 <0 円 3 1+2=900,000 円 ⑶ ⑴>⑵ 1,700,000 円 -7-

問 2 税務上調整すべき金額 計算過程 本社事務所減価償却超過額 796,000 円 ( 加算 留保 )❶ 本社事務所 ⑴ 償却限度額 J 工場建物減価償却超過額 8,102,947 円 ( 加算 留保 )❶ (240,000,000 円 +800,000 円 ) 0.020 3 12 =1,204,000 円 ⑵ 償却超過額 (1,200,000 円 +800,000 円 )-⑴=796,000 円 エレベーター減価償却超過額 455,200 円 ( 加算 留保 )❶ 上棟式費用 借入金利子で前期仮勘定処理をしたものは取得価額に算入する 登録免許税 落成式費用は損金算入することが出来る ただし 登録免許税は会社経理で取得価額としているため調整しない ❶ J 工場建物 ⑴ 見積耐用年数 (10,500,000 円 +240,000 円 +5,500,000 円 ) 50% 2,500,000 円 簡便法 ❶ (24 年 -11 年 )+11 年 20%=15.2 15 年 ⑵ 償却限度額 (10,500,000 円 +240,000 円 +5,500,000 円 +2,500,000 円 ) 0.067 8 12 =837,053 円 ⑶ 償却超過額 (700,000 円 +240,000 円 +5,500,000 円 +2,500,000 円 )-⑵=8,102,947 円 エレベーター ⑴ 見積耐用年数 (204 月 -56 月 )+56 月 20%=159.2 月 ❶ 159.2 月 12=13.26 13 年 ⑵ 償却限度額 (3,300,000 円 +300,000 円 ) 0.077 8 12 =184,800 ⑶ 償却超過額 (300,000 円 +340,000 円 )-⑵=455,200 円 -8-

問 3 ⑴1 X 社の完全子会社である丁社は戊社株式の 96% を有しており その他の者の有する残りの株式が5% 未満であり かつ 戊社役員が付与されたストックオプションの行使により取得したものであるため その4% 分を除いて完全支配関係の判定をすることとなる したがって X 社と戊社は完全支配関係にある ❶ 2 甲社 乙社 丁社 ❶ 3 会社名 判定理由 乙社の従業員持株会が乙社株式の 5% 以上を取得したため ❶ 乙社 ❶ ⑵ 区分税務上調整すべき金額計算過程 譲渡直前の帳簿価額が 1,000 万円未満であり 譲渡損益調整資産に 該当しないため ❶ K 調整すべき金額なし L L 建物譲渡損益調整勘定繰入 7,200,000 円 ( 加算 留保 )❶ L 建物譲渡損益調整勘定戻入 150,000 円 ( 減算 留保 )❶ 28,000,000 円 -20,800,000 円 =7,200,000 円 7,200,000 円 6 月 24 年 12 =150,000 円 -9-

⑵ 続き 区分税務上調整すべき金額計算過程 22,000,000 円 -18,000,000 円 =4,000,000 円 M M 株式譲渡損益調整勘定繰入 4,000,000 円 ( 減算 留保 )❶ ⑶ 区分税務上調整すべき金額計算過程 乙社は当期において X 社との間に完全支配関係がなくなったため 前期において生じた譲渡損益勘定の残額を全額戻し入れる 7,200,000 円 -150,000 円 =7,050,000 円 6 L 建物譲渡損益調整勘定戻入 7,050,000 円 ( 減算 留保 )❶ 完全支配関係がある甲社に対する資産の譲渡であり 譲渡益が生じ ているが 棚卸資産は譲渡損駅調整資産に該当しない ❶ 7 調整すべき金額なし 譲渡損益調整資産である M 株式を 譲渡先である甲社が丙社に再譲 渡したため 譲渡分に応じた譲渡損益調整勘定の戻し入れを行う こ の場合 譲渡損益調整資産である M 株式から譲渡したものとする 8 M 株式譲渡損益調整勘定戻入 3,000,000 円 ( 加算 留保 )❶ 4,000,000 円 1,500 株 =3,000,000 円 2,000 株 -10-

⑷ 税務上調整すべき金額 計算過程 土地圧縮積立金認定損 40,000,000 円 ( 減算 留保 )❶ 土地圧縮積立金積立超過額 17,250,000 円 ( 加算 留保 )❶ P 土地譲渡損益調整勘定繰入 15,250,000 円 ( 減算 留保 )❶ P 土地 ⑴ 譲渡経費 300,000 円 ⑵ 償却超過額 58,000,000 円 -(20,000,000 円 +300,000 円 ) =0.65 58,000,000 円 ⑶ 圧縮基礎取得価額 350m2 5 58,000,000 円 >70,000,000 円 2,800m2 =43,750,000 円 ⑷ 積立限度額 ⑶ 0.65 80%=22,750,000 円 ⑸ 積立超過額 40,000,000 円 -⑷=17,250,000 円 ⑹ 譲渡損益調整勘定繰入 58,000,000 円 -20,000,000 円 -⑷=15,250,000 円 -11-

問 4 別表五( 一 ) 利益積立金額の計算に関する明細書 Ⅰ 利益積立金額の計算に関する明細書 区 分 期首現在利益積立金額 減 当期の増減 増 差引翌期首現在利益積立金額 本社事務所 796,000 796,000❶ J 工場用建物 8,102,947 8,102,947❶ エレベーター 455,200 455,200❶ L 工場用建物譲渡損益調整勘定 7,050,000 7,050,000❶ 0 M 株式譲渡損益調整勘定 4,000,000❶ 3,000,000 1,000,000❶ P 土地譲渡損益調整勘定 15,250,000 15,250,000❶ 土地圧縮積立金 40,000,000 40,000,000❶ 繰越利益剰余金 40,000,000 40,000,000❶ 土地圧縮積立金認定損 40,000,000 40,000,000 土地圧縮積立金積立超過額 17,250,000 17,250,000❶ -12-

法人税法 総評 第一問 昨年と同様 用語の定義 手続き等 個別論点として重要理論が問われた出題であった ここ数年の問題と比べて 易しく感じられたことと思う 問 1 ⑴については 基本的な箇所であり確実に得点してほしい ⑵については 解答の作り方に多少工夫がいるが 個別理論集のまま記述してもよい ⑶については 計算でなじみのある論点なので完答してほしい配点は 30 点としてあるが 少なくとも 20 点以上の得点が望まれる 問 2 法 571の記述を中心とした問題であり 最重要理論ということからも 高得点が求められる ⑵は問題文の要求どおり 中小法人等とそれ以外に区分して記述する必要がある 配点は 20 点としてあるが 15 点程度の得点が望まれる 第二問 昨年同様 個別問題形式での出題となった 問 1 同族会社の判定 役員の判定から役員給与の損金不算入にいたる一連の内容が網羅されていた 資料の多さや読み取り難さもあって相当時間を使ったのではないだろうか 法 34 2の形式基準まで完答するのは困難である 問 2 減価償却資産の取得価額 中古資産の耐用年数など各資産において必ず細かな論点が用意されているため 最終値を合わせるのは困難である 問 3 グループ法人税制の 特に譲渡損益調整勘定に関する調整が多く問われている 前期の取引もあり 資料の読み取りを誤ると大きく失点する問題であった 未学習論点もあるため 取れる箇所を確実に得点してほしい問題である 問 4 上記問 1~3の調整項目についての別表五 ( 一 )Ⅰを記載する 各問での調整項目が正しく出来ていないと得点できないと思われるが 特に前期から当期にかけての処理が必要となる問 3の項目については 注意が必要である ボーダーライン合格確実ライン合計 理論 35 点 /50 点 45 点 /50 点ボーダーライン :61 点 計算 26 点 /50 点 33 点 /50 点 合格確実ライン :75 点 -13-