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ダムの運用改善の対応状況 資料 5-1 近畿地方整備局 平成 24 年度の取り組み 風屋ダム 池原ダム 電源開発 ( 株 ) は 学識者及び河川管理者からなる ダム操作に関する技術検討会 を設置し ダム運用の改善策を検討 平成 9 年に設定した目安水位 ( 自主運用 ) の低下を図り ダムの空き容量

再開発事業の目的 目的横山ダムのある揖斐川上流域は 比較的脆弱な地質が多くみられることに加え 1 年間の降雨量が 3,mm を超える多雨地域のため 豪雨により大量の土砂が貯水池内に流れ込んでいる このため 平成 11 年時点で すでに計画堆砂量の 1.13 倍に達した 再開発事業は こうした湖内に貯

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横山ダム再開発事業 報告資料 (ダム等の管理に係るフォローアップ委員会の審議を受けての報告)

(1) 洪水調節サンルダムの建設される地点における計画高水流量 700m 3 /s のうち 610m 3 /s の洪水調節 を行う (2) 流水の正常な機能の維持下流の河川環境の保全や既得用水の補給等 流水の正常な機能の維持と増進を図る (3) 水道名寄市の水道用水として 名寄市真勲別地点において新

の洪水調節計画は 河川整備基本方針レベルの洪水から決められており ダムによる洪水調節効果を発揮する 遊水地案 は 遊水地の洪水調節計画は大戸川の河川整備計画レベルの洪水から決めることを想定しており 遊水地による洪水調節効果が完全には発揮されないことがある 瀬田川新堰案 は 瀬田川新堰の洪水調節計画は

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淀川水系流域委員会第 71 回委員会 (H20.1 審議参考資料 1-2 河川管理者提供資料

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学識経験者による評価の反映客観性を確保するために 学識経験者から学術的な観点からの評価をいただき これを反映する 評価は 中立性を確保するために日本学術会議に依頼した 詳細は別紙 -2 のとおり : 現時点の検証の進め方であり 検証作業が進む中で変更することがあり得る - 2 -

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( 再評価 ) 資料 関東地方整備局事業評価監視委員会 ( 平成 22 年度第 2 回 ) 利根川総合水系環境整備事業 ( 渡良瀬遊水地 ) 国土交通省 平成 22 年 8 月 3 日 関東地方整備局

五名再評価委員会資料

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図 -3.1 試験湛水実績図 平成 28 年度に既設堤体と新設堤体が接合された抱土ゾーンにおいて調査ボーリングを実施し 接合面の調査を行った 図 -2.2に示すように 調査ボーリングのコア観察結果からは 新旧堤体接合面における 材料の分離 は認められなかった また 境界面を含む透水試験結果により得ら

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現行計画 ( 淀川水系河川整備計画 ): 川上ダム案 治水計画の概要 事業中の川上ダムを完成させて 戦後最大の洪水を 中下流部では ( 大臣管理区間 ) 島ヶ原地点の流量 3,000m 3 /s に対して 川上ダムで 200m 3 /s を調節し 調節後の 2,800m 3 /s を上野遊水地や河道

4. 堆砂

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新規ダム再生事業 石狩川水系雨竜川 ウツナイ川 ( 北海道雨竜郡幌加内町 ) うりゅうがわ ほろかない 雨竜川ダム再生事業 実施計画調査 かさ上げイメージ 雨竜第 2 ダム 吉野川水系吉野川 ( 高知県長岡郡本山町 土佐郡土佐町 ) さめうら もとやま 早明浦ダム再生事業 建設 矢作川水系矢作川 (

相模川直轄河川改修事業 目次 1. 流域の概要 1 2. 事業の必要性 2 3. 事業の概要 5 4. 費用対効果の分析 コスト縮減の取り組み 再評価の視点 再評価における県への意見聴取 今後の対応方針 ( 原案 ) 15


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目次 1. 事業の概要 1 1) 流域の概要 1 2) 事業の目的及び計画内容 2 3) 事業の経緯 5 2. 評価の視点 6 1) 事業の必要性等に関する視点 6 (1) 事業を巡る社会経済情勢等の変化 6 (2) 事業の投資効果 9 (3) 事業の進捗状況 事業の進捗の見込みの視点

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Microsoft Word - 説明本文(2307).doc

4. ダム再生事業の概要 38

近畿地方整備局 資料配付 配布日時 平成 23 年 9 月 8 日 17 時 30 分 件名土砂災害防止法に基づく土砂災害緊急情報について 概 要 土砂災害防止法に基づく 土砂災害緊急情報をお知らせします 本日 夕方から雨が予想されており 今後の降雨の状況により 河道閉塞部分での越流が始まり 土石流

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Microsoft PowerPoint - 【170618】桐ケ丘自治会説明.pptx

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長安口ダムの概要 2号号堤高 85.5m 1堤頂長 2.7m 654号号号3号ダム天端 EL 昭和 31 年建設時 平成 27 年 8 月現在 昭和 31 年徳島県が建設 平成 19 年国土交通省に移管 治水 利水 ( 農業 工業用水 ) 発電( 一般家庭約 5 万世帯分 ) 河川環境の

1. 湖内堆砂対策施設の見直し 1.2 ストックヤード施設計画 ストックヤードの平面配置は 既往模型実験結果による分派堰内の流速分布より 死水域となる左岸トラップ堰の上流に配置し 貯砂ダムから取水した洪水流を放流水路でストックヤード内に導水する方式とした ストックヤード底面標高は 土木研究所の実験結

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整理番号 10 事後評価書 ( 完了後の評価 ) 都道府県名 愛知県 関係市町村 田原市他 事業名地区名 Ⅱ 点検項目 1. 費用対効果分析の算定基礎となった要因の変化 ( 広域水産物供給基盤整備事業 ) 事業主体 愛知県 Ⅰ 基本事項 1. 地区概要 漁港名 ( 種別 ) - 漁場名 アツミガイカ

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平成 26 年度公共事業事後評価調書 1. 事業説明シート (1) ( 区分 ) 国補 県単 事業名道路事業 [ 国道橋りょう改築事業 ( 国補 )] 事業箇所南巨摩郡身延町波高島 ~ 下山地区名国道 300 号 ( 波高島バイパス ) 事業主体山梨県 (1) 事業着手年度 H12 年度 (2) 事

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目 次 桂川本川 桂川 ( 上 ) 雑水川 七谷川 犬飼川 法貴谷川 千々川 東所川 園部川 天神川 陣田川

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2. 外来魚に係わる現状 ( 調査の経緯 ) と対応方針平成 17 年度から実態把握のため外来魚調査を開始し 平成 20 年度から平成 27 年度にかけて防除対策を含む調査を実施した その結果をもとに今後の外来魚対策 手法検討を行った 一連の調査は 刺し網による捕獲 産卵床の除去 といった作業を基に

東日本大震災における施設の被災 3 東北地方太平洋沖地震の浸水範囲とハザードマップの比較 4

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武蔵水路改築事業の再評価資料 目 次 1. 武蔵水路の概要 1 2. 事業の経緯 2 3. 事業の必要性 3 4. 事業の概要 8 5. 事業の見直し 事業費削減のための工夫 費用対効果 今後の対応方針 ( 原案 ) 16

よしのがわ 吉野川流域の概要 早明浦ダム再生事業事業概要 (1) あがわぐんかめがもりいけだ 吉野川は その源を高知県吾川郡の瓶ヶ森に発し 四国山地に沿って東に流れ 北に向きを変えて四国山地を横断し 徳島県池田にお だいじゅう いて再び東に向かい 徳島平野に出て第十地点で旧吉野川を分派し 紀伊水道に

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めに年間 1,426GWh の発電を行うことが期待されている この電気エネルギーは石油の輸入を節約することによって外貨を保護することが可能である Cirata 貯水池は西ジャワの北部地方の灌漑のための調整用水を供給する このことによりこの地域の灌漑量が増え 米生産量が増加した このダムは下流地域が洪

Taro-導水路 

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図 -3 ダム標準断面図 ( コンクリートダム部 ) 図 -4 ダム標準断面図 ( フィルダム部 ) 表 -2 忠別ダム防災操作一覧表 年度 回数 月 日 最大最大最高流入量放流量貯水位 1 6 月 9 日 月 1 日

Q3 現在の川幅で 源泉に影響を与えないように河床を掘削し さらに堤防を幅の小さいパラペット ( 胸壁 ) で嵩上げするなどの河道改修を行えないのですか? A3 河床掘削やパラペット ( 胸壁 ) による堤防嵩上げは技術的 制度的に困難です [ 河床掘削について ] 県では 温泉旅館の廃業補償を行っ

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水利用と水利権

水質

資料4 検討対象水域の水質予測結果について

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資料6

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水防法改正の概要 (H 公布 H 一部施行 ) 国土交通省 HP 1

Microsoft Word - 003第3章貯水池

琵琶湖周辺に対する効果再開発事業の背景と目的 1: 治水 琵琶湖周辺や宇治川では これまで浸水被害が度々発生しています 再開発事業により 洪水調節機能の強化を図ります 背景 ( 過去の洪水被害 ) 発生年月起因被害状況 昭和 28 年 9 月 台風 13 号 死者 ( 不明者含 )178 人 負傷者

台風 18 号豪雨における淀川水系ダム群の治水効果について 平成 25 年 9 月 18 日近畿地方整備局 ( 独 ) 水資源機構関西支社 9 月 15 日から16 日にかけて近畿地方に接近した台風 18 号により 淀川水系では 大規模な出水となりました 国土交通省及び ( 独 ) 水資源機構が管理

8章 天井から目薬程度の太田川ダム水害防止効果

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8. 漁川ダム貯水池水質保全事業の概要 いざりがわ 8.1 漁川ダムの概要 いざりだけ漁川は 千歳川に流入する数ある支川のうち最大の支川であり その源は漁岳に発し 流路延長は46.8kmに及びます 漁川ダムはその上流に位置し 恵庭市街から約 15kmと比較的都市部の近い位置にロックフィルダムとして建

【資料1】第1回学識者会議【長野圏域】290130(ヘッダーなし)

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資料 2 接続可能量 (2017 年度算定値 ) の算定について 平成 29 年 9 月資源エネルギー庁

はじめに 1 電源 Ⅱ 事前予約の検証について 四国エリアにおいては 太陽光発電の計画差 ( 下振れ ) により十分な予備力が確保できなくなるおそれがある場合に電源 Ⅱ 事前予約を実施しています 今回 2018 年 8 月 9 月における電源 Ⅱ 事前予約の実績について事後検証を実施しました

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慮したことで 過去に実施した改修事業費の評価が上がり 計算上 過去の便益が上がったためである 事業の遅れについては 予算の減少に伴うものである 柏谷委員長 費用便益分析における根本的な考え方というのは変わりなく 社会的割引率が 4 % 変わっただけで B / C が何十倍も変わらないのではないか 河

水位の状況 8 月 4 日からの降雨により 上流域の全水位観測所 18 箇所の内 はん濫注意水位超過 1 箇所 水防団待機水位超過 2 箇所 合計 3 箇所の水位観測所において基準水位を上回る水位を記録した 天塩川上流域においても全水位観測所 12 箇所の内 はん濫危険水位超過 2 箇所 はん濫注意

八ッ場ダム建設工事の現状と課題

ポイント 河川法の法令に基づく手続きを的確に行い できるだけ早く河川整備計画を策定するよう努力 ダムについて効果が限定的という意見もあるが 実施箇所だけでなく淀川水系の上下流全体に幅広く効果があるものであり また洪水時水位をできるだけ低くし安全基準を守る上で必要不可欠なもの 治水対策は あらゆる規模

荒川上流ダム再開発事業 ( 実施計画調査 ) 目 次 1. 事業の概要 1 1) 荒川流域の概要 1 2) 荒川上流ダム再開発事業の目的 2 2. 事業の進捗状況 ( 事業の進捗の見込みを含む ) 4 3. 事業の必要性等に関する視点 5 1) 事業を巡る社会経済情勢等の変化 5 4. 県への意見聴

AM部会用資料(土木・建築構造物)

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中川 綾瀬川直轄河川改修事業 ( 首都圏外郭放水路 ) 目次 1. 中川 綾瀬川流域の概要 1 2. 事業の必要性 2 3. 事業の概要 4 4. 事業の効果の発現状況 8 5. 費用対効果の分析 費用対効果分析の変化要因 コスト縮減の取り組み 社会情勢等の変化


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資料 7 おりがわ 小里川ダム建設事業 ( 建設事業 ) 事後評価説明資料 平成 21 年 2 月 23 日 国土交通省中部地方整備局小里川ダム管理所

小里川ダム建設事業目次 1 事後評価とダム等の管理に係るフォローアップ制度 2 小里川ダムの概要 1 洪水調節 2 流水の正常な機能の維持 3 発電 3 小里川ダム建設事業の事後評価 1 費用対効果分析の算定基礎となった要因 2 事業効果の発現状況 ( 費用対効果 ) 4 事業効果の発現状況 1 事業効果の発現状況 ( 洪水調節 ) 2 事業効果の発現状況 ( 流水の正常な機能の維持 ) 3 事業効果の発現状況 ( 発電 ) 4 事業実施による環境の変化 5 社会経済情勢の変化 5 対応方針 1 今後の事業評価の必要性 2 改善措置の必要性 3 同種事業の計画 調査のあり方及び事業評価手法の見直しの必要性 ( 参考 ) 中部地方ダム等管理フォローアップ委員会 1 2 3 3 4 5 5 5 6 6 7 7 8 8 10

ダム事業川事業1. 事後評価とダム等の管理に係るフォローアップ制度河 事業評価監視委員会とダム等管理フォローアップ委員会 国土交通省所管公共事業の事後評価実施要領 ( 平成 16 年 3 月 31 日通達 ) 第 4 1 項 (6) 河川及びダム事業の事後評価実施要領細目 ( 平成 16 年 1 月 日通達 ) 第 4 1 項 (4) ダム等の管理に係るフォロアップ制度の活用について実施要領第 4 1(6) の規定に基づき ダムフォローアップ制度 の手続きを行った場合には その結果を事業評価監視委員会に報告する ダム等管理フォローアップ委員会の目的 ダム等について ダム等管理フォローアップ委員会を設け 委員会の意見を聞いて ( 中略 ) 当該ダム等の適切な管理に資するとともに ダム等の管理の効率性及びその実施過程の透明性の一層の向上を図ることを目的とする ダム等の管理に係るフォローアップ制度 に基づいた手続きが行われたダム事業では 事業評価の手続きが行われたものとして位置づけるものとする 以下の委員会等の存在しない場合 平成 21 年 2 月 23 日 審議 中部地方ダム等管理フォローアップ委員会 学識経験者から構成される委員会等 報告 事業評価 監視委員会 平成 20 年 12 月 15 日開催中部地方ダム等管理フォローアップ委員会委員 氏名 所属 専門分野 委員長 藤田裕一郎 岐阜大学教授 河川 委員 石田典子 名古屋女子大学教授 動植物プランクトン 沖野外輝夫 早稲田大学教授 水質 奥野信宏 中京大学教授 社会経済 駒田格知 名古屋女子大学教授 魚類 桜井善雄 信州大学名誉教授 植物 杉戸大作 ( 財 ) 廃棄物研究財団理事長 水資源 辻本哲朗 名古屋大学大学院教授 河川 中村浩志 信州大学教授 鳥類 長谷川明子 ビオトープを考える会会長 ビオトープ 松尾直規 中部大学教授 水質 -1-

2. 小里川ダムの概要 小里川ダム : 国土交通省 ( 管理開始 : 平成 16 年 5 年目 ) 水系名 : 庄内川水系小里川位置 : 左岸岐阜県瑞浪市陶町水上右岸岐阜県恵那市山岡町田代目的 洪水調節 流水の正常な機能の維持 発電 小里川ダム 庄内川の流域と小里川ダムの位置 堤頂 EL. 404.0m サーチャージ水位 EL. 400.5m 堤高堤頂長集水面積湛水面積 114m 331.3m 55.0km 2 0.55km 2 洪水調節容量 12,00 千 m 3 ( 洪水期間 6 月 1 日 ~10 月 15 日 ) 常時満水位 EL. 371.0m 最低水位 EL. 353.0m サーチャージ容量,00 千 m 3 非洪水期利水容量 3,000 千 m 3 ( 河川環境の保全等のための流量の確保 発電 ) 堆砂容量 2,200 千 m 3 有効貯水容量 12,00 千 m 3 総貯水容量 15,100 千 m 3 総貯水容量 15,100 千 m 3 基礎地盤 EL. 20.0m 小里川ダムの諸元 -2- 容量配分図

1 洪水調節 小里川ダム地点における計画高水流量 1,000m 3 /s のうち 880m 3 /s を自然調節方式により調節し 下流の小田井遊水地と併せて 治水基準点 ( 多治見地点 枇杷島地点 ) の洪水流量を低減させます 多治見 :3,200m 3 /s 2,600m 3 /s 枇杷島 :4,700m 3 /s 4,400m 3 /s 庄内川計画流量配分図 洪水調節計画図 標準断面図 2 流水の正常な機能の維持 流水の正常な機能の維持のため 下表にあげる地点において 同表に掲げる水量を確保できるよう ダムから必要な流水の放流を行います (10 月 16 日 ~5 月 31 日期間補給 ) 確保流量 ダム 地点 1/1~5/31 6/1~10/15 10/16~12/31 期間 0.500-0.500 確保流量 (m 3 /s) 玉野 ( 多治見 ) 枇杷島 1/1~3/31 4/1~10/15 (4/1~5/31) (6/1~10/15) 10/16~12/31 1/1~12/31 (1/1~5/31) (6/1~10/15) (10/16~12/31) 0.740 (2.000) 3.356 (2.000) (-) 0.740 (2.000) 2.500 (5.000) (-) (5.000) 裸値はダム計画時点 ( ) は検討値であり 庄内川水系河川整備計画において見直された ( 対象渇水年 : 昭和 32 年 ) -3-

3 発電 ダム直下に建設されている発電所 ( 小里川発電所 ) により ( 株 ) 中部電力が最大使用水量 3.0m 3 /s 最大出力 1,800kW の発電を行います -4-

3. 小里川ダム建設事業の事後評価 1 費用対効果分析の算定基礎となった要因 平成 17 年 4 月 治水経済調査マニュアル ( 案 ) 及び身替わり建設費に基づき 事業費は86 億円である 治水事業便益は 国土数値情報等を基礎資料に平成 11 年 6 月型洪水を氾濫解析対象洪水とし 下流域で洪水被害が発生した場合の洪水超過確率と その被害額より算出した 流水の正常な機能維持による便益は 身替わり建設費をもって出した 小里川ダム建設事業費 :86 億円建設期間 : 昭和 57 年 ~ 平成 15 年 2 事業効果の発現状況 ( 費用対効果 ) B/C = 総便益 ( 治水効果 + 不特定効果 + 残存価値 ) 総費用 ( 事業費 + 維持管理費 ) = (1 兆,462 億円 +615 億円 +24 億円 ) (1,630 億円 +148 億円 ) 11.3 便益の内訳 治水効果 ( 一般資産 :6,412 億 農作物 :8 億 公共土木 :1 兆 861 億 営業停止 :870 億 間接被害 :1,311 億 ) 不特定効果:615 億 総便益 : 評価時点を現在価値化の基準時点とし 治水施設の整備期間と治水施設の完成から50 年間までを評価対象期間にして 年平均被害軽減期待額を割引率を用いて現在価値化したものと 不特定効果 ( 流水の正常な機能維持に対する便益 ) として 身替わり建設費を現在価値化したものの総和総費用 : 評価時点を現在価値化の基準時点として 治水施設の整備期間と治水施設の完成から50 年間までを評価対象期間にして事業費と維持管理費を割引率を用いて現在価値化したもの総和事業費 : 小里川ダムのダム建設に要する費用維持管理費 : 小里川ダムの施設の50 年間の維持管理に要した費用割引率 : 社会資本整備に係る費用対効果分析に関する統一的運用指針 により4% とする 評価基準年 ; 平成 20 年 ( 平成 20 年現在価値化 ) -5-

4. 事業効果の発現状況 1 事業効果の発現状況 ( 洪水調節 ) 小里川ダムは 平成 16 年 3 月に完成し 同年 4 月より管理が開始されました 管理開始以降 平成 1 年までに小里川ダムでは 5 回の洪水調節を行っています 最も大きな出水は 平成 17 年 8 月 5 日洪水で 最大流入量 13m 3 /s に対する放流量は 10m 3 /s また最大放流量は 51m 3 /s であり 下流に対しての洪水調節効果を発揮しました これにより 土岐川合流前の市原地点で水位が 43cm 低減したと推測されます 平成 17 年 8 月 5~7 日 雨量 (mm) 0 10 20 30 40 50 60 70 流域平均雨量 250 380 200 8/ 5 20 時 13.12m 3 /s 370 360 流量 (m3/s) 150 100 50 8/ 5 23 時 51.00m 3 /s 放流量流入量貯水位 350 340 330 0 10 11 12 13 14 15 16 17 18 1 20 21 22 23 24 10 11 12 13 14 15 16 17 18 1 20 21 22 23 24 10 11 12 13 14 15 16 17 18 1 20 21 22 23 24 1 2 3 4 5 6 7 8 1 2 3 4 5 6 7 8 1 2 3 4 5 6 7 8 320 310 300 貯水位 (m) 20 8/ 5 8/ 6 8/ 7 平成 17 年 8 月 5~7 日の断面図 43cm の低減 ダムなし推定水位 3.06m ダムあり実績水位 2.63m 平成 17 年 8 月 5~7 日の市原 ( 小里川 ) での水位低減効果 -6-

2 事業効果の発現状況 ( 流水の正常な機能の維持 ) 小里川ダムでは 供用開始後の4ヶ年 ( 平成 16 年 ~ 平成 1 年 ) において渇水が発生していないため補給実績はありません 3 事業効果の発現状況 ( 発電 ) 発電は至近 4 ヶ年平均で 5,40MWh( 供給可能世帯数 : 約 1,525 世帯 ) の発電を行っています 年間発生電力量 (MWH) 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 計画発生電力量 :7,280MWH 至近 4ヶ年平均発生電力量 :5,40MWH 年間発生電力量計画発生電力量至近 4ヶ年平均発生電力量 H16 H17 H18 H1 発生電力量 -7-

4 事業実施による環境の変化 < 水質 > 川折橋 ( ダム下流地点 ) の水質は 環境基準を満足しています 小里川バイパスの運用 ( 非洪水期 ) により濁水長期化の軽減が図られています 平成 1 年 ~10 月にアオコの集積現象と平成 20 年 4 月に湛水赤潮が発生しましたが 小里川ダムは上水道源としての利用はなく 藻類の集積現象による下流への影響は小さいが親水性 ( 景観面 ) に配慮し アオコや湛水赤潮等に留意していく必要があります < 生物 > 現段階では 多くの生物相及び重要種に有意な変化は生じていません 外来魚種 ( オオクチバス ブルーギル ) の増加傾向が見られますので 今後は外来魚種の駆除実験をふまえて駆除計画を策定し駆除に努めます アオコの集積現象オオクチバス (H20.6) オオクチハ ス稚仔魚 (H1.6) 5 社会経済情勢の変化 小里川ダムは地域に開かれたダムとして堤体の一般開放 ふれあい館 道の駅が一体で機能し すでに恵那市 瑞浪市の観光地として地域振興に大きく貢献するとともに 小里川ダム建設によって整備された道の駅は年間 50 万人の来客者があり 地域の農産物 各種特産品の PR 販売を行う地域活性化の拠点になっています 小里川ダムふれあい館 道の駅 おばあちゃん市山岡 道の駅 おばあちゃん市山岡 -8-

4. 対応方針 1 今後の事業評価の必要性 大規模な洪水調節 不特定補給の効果が確認された段階で ダム等管理フォローアップ委員会で審議し 事業評価監視委員会に報告します 2 改善措置の必要性 事業の効果の発現状況等から 改善等の必要性はないと考えていますが 今後もより良い管理に向けて必要な検討を行って行きます 3 同種事業の計画 調査のあり方及び事業評価手法の見直しの必要性 当該事業の事業評価手法は妥当と考え 現時点での見直しの必要性は無いと考えています なお 費用便益比 (B/C) を算出する手法については 国民のニーズや社会経済状況 評価の実績 評価技術の向上等を踏まえつつ 今後ともさらなる改善を図っていきます --

( 参考 ) 中部地方ダム等の管理フォローアップ委員会 (H20.12.15) 標記委員会において 小里川ダム建設事業の事後評価の審議が行われ了承されました 中部地方ダム等の管理フォローアップ委員会開催状況 中部地方ダム等の管理フォローアップ委員会委員 氏名 所属 専門分野 委員長 藤田裕一郎 岐阜大学教授 河川 委員 石田典子 名古屋女子大学教授 動植物プランクトン 沖野外輝夫 早稲田大学教授 水質 奥野信宏 中京大学教授 社会経済 駒田格知 名古屋女子大学教授 魚類 桜井善雄 信州大学名誉教授 植物 杉戸大作 ( 財 ) 廃棄物研究財団理事長 水資源 辻本哲朗 名古屋大学大学院教授 河川 中村浩志 信州大学教授 鳥類 長谷川明子 ビオトープを考える会会長 ビオトープ 松尾直規 中部大学教授 水質 -10-