唐津市橋梁長寿命化修繕計画 平成 25 年 4 月 唐津市都市整備部道路河川課
- 目次 - 1. 橋梁長寿命化計画策定の背景と目的... 1 2. 管理橋梁の現状... 2 3. 唐津市の取り組み... 4 4. 橋梁長寿命化修繕計画策定... 5 5. 橋梁長寿命化修繕計画による効果... 7 6. 橋の継続的な維持管理に向けて... 9 7. 学識経験者からの意見聴取及び計画策定部署... 9
1. 橋梁長寿命化計画策定の背景と目的 背景 市が管理する橋長 2m 以上の道路橋は 2012 年 12 月現在において 683 橋あります このうち 高度経済成長期に建設された橋が多く 建設後 50 年を経過する橋が 89 橋あります 20 年後には 418 橋へと増加し全体の 66% を占め 急速に高齢化橋梁が増加します これらの管理状況の中 従来の損傷が大きくなってから対策する方法で管理した場合 架替えや補修等に要するコストが膨大となるだけでなく 対策時期が集中する事で道路利用者への安全 安心なサービスの提供が困難になる恐れがあります 現在 (2012) 14% 50 年経過橋梁 (89 橋 ) 10 年後 20 年後 (2012) (2012) (2022) (2012) (2032) 35% 50 年経過橋梁 (224 橋 ) 66% 50 年経過橋梁 (418 橋 ) 図 1 架設年の分布と推移 目的 架設年が不明な 46 橋は含まれておりません 市が管理する道路橋が急速に高齢化を迎える中 以下の 3 つの基本的な目的を達成するために橋梁長寿命化修繕計画を策定します 1. 地域の安全 安心な交通ネットワークの確保 2. 維持管理費の縮減 3. 予算の平準化 1
2. 管理橋梁の現状 管理橋梁 橋梁長寿命化修繕計画策定の対象は 橋長 2m 以上の橋とします 本市は, 市町村の合併により海岸部から内陸部まで含めた 490km 2 もの公大な面積を有しており 平成 25 年 1 月現在, 管理している約 1,413km の市道には, 橋長 15m 以上の 174 橋と橋長 15m 未満の 509 橋が架設されています 唐津市は, これらの橋を本庁 ( 旧唐津市 ) と 8 支所で管理しています 表 1 管理橋梁一覧 項目 本庁 浜玉 厳木 相知 北波多 肥前 鎮西 呼子 七山 合計 15m 以上 57 24 24 25 15 4 3 4 18 174 橋梁数 15m 未満 165 92 51 59 35 17 27 9 54 509 合計 222 116 75 84 50 21 30 13 72 683 橋梁延長 (m) 15m 以上 2,616 1,015 796 822 675 114 188 924 563 7,714 15m 未満 924 526 354 331 224 106 168 40 392 3,066 合計 3,541 1,542 1,150 1,153 899 220 356 964 955 10,780 橋梁面積 (m 2 ) 15m 以上 22,263 5,338 796 822 675 114 188 924 563 31,684 15m 未満 4,972 2,853 354 331 224 106 168 40 392 9,440 合計 27,236 8,191 1,150 1,153 899 220 356 964 955 41,124 250 ( 橋 ) 橋梁数 15m 未満 15m 以上 200 150 100 50 0 特殊橋梁 唐津市のシンボルとも言える 呼子大橋 を管理しています 呼子大橋は 橋長 730mの PC 斜長橋で 平成 10 年に新佐賀百景の第 1 位にも選ばれています 写真 1 呼子大橋 2
橋の健康状態 市が管理する橋の健康状態を以下に示します E, 1 橋 250 ( 橋 ) C, 68 橋 200 150 B, 205 橋 A, 409 橋 100 50 0 ~ 対策区分とは? ~ 図 2 対策区分状況 対策区分とは, 橋の傷んでいる部分や状況及び程度から総合的に判断し, 補修などを実施する必要性や対策 時期の緊急性について,4 つの区分に分類したものです 対策区分 A 傷んでいない, もしくは軽微な傷みはあるが補修などの対策を実施しなくてもよい 対策区分 B 傷みがあり, 補修などの対策を実施する必要はあるが, すぐに実施する必要はない 対策区分 C 傷みがあり, 補修などの対策を実施する必要があり, 橋に与える影響が大きく速やかに補修などの対策を実施する必要がある 対策区分 E 傷みがあり, 橋の安全性や第 3 者への被害が想定され, 緊急を要する対応 ( 通行規制, 応急対策 ) の上, 補修 補強 架替え 撤去などを実施する必要がある ~ 代表的な損傷例 ~ 写真 2 鋼橋の腐食状況 (C) 写真 3 PC 橋のひびわれ (C) 写真 4 下部工のひびわれ (C) 大泊 2 号橋 ( 架設年 1966 年供用後 46 年 ) 橋梁点検により, 対策区分 E と判定されたため 通行規制 を実施しています 写真 5 RC 橋の鉄筋露出 (E) 3
3. 唐津市の取り組み ~ 取組み ( その 1)~ 日常的な維持管理の徹底日常から橋を良好な状態に保つため 日常的な維持管理として パトロール 清掃 などを実施し, きめ細かい維持管理を徹底することにより橋の延命化を図ります 例えば, 排水枡に溜まった土砂を清掃する事により, 道路上の排水が適切に処理でき, 橋へ与える悪い影響が少なくなることで, 橋の延命化につながります 写真 6 排水枡の土砂詰まり 写真 7 ハ トロール班の清掃 写真 8 排水枡の清掃後 ~ 取組み ( その 2)~ 橋の状態の早期把握安全性の確保と計画的 効率的な管理を行う事を目的として, 職員もしくは専門業者による定期的な点検を継続的に実施し, 橋の状態を把握します ~ 取組み ( その 3)~ 技術講習会と現地研修による職員の点検技術力向上 写真 9 ホ ートによる点検状況 今後の維持管理は職員が主体的に実施していく必要がある事から, 橋の点検方法や損傷状況の見かたなど担当職員への技術講習会を実施するとともに, 現地での実践的な研修も実施し, 職員の技術力向上に努めます 写真 10 現地点検研修状況 写真 11 技術講習会状況 4
4. 橋梁長寿命化修繕計画策定 橋梁点検 橋の異常や損傷を早期に発見する事を目的として点検を実施します 点検は効率的に橋の状態を把握できるように, 橋の大きさや重要度に応じて分類したク ルーフ 別で頻度や方法を設定し, 情報を蓄積していきます 日常点検 定期点検 or 対策後点検 職員ハ トロール 職員点検 委託点検 図 3 橋梁点検の体系 表 2 橋の分類と橋梁点検 分類 Group1 Group2 Group3 Group4 Group5 橋長 2m 以上 15m 以上 15m 未満 項目 条件 跨線橋 跨道橋 防災優先道路 重要区間 交通量 大 中 バス路線 迂回路なし 左記以外 防災優先道路 重要区間 交通量 大 中 バス路線 迂回路なし 左記以外 種別と頻度 職員点検 :1 回 /1 年委託点検 :1 回 /5 年 委託点検 :1 回 /5 年 職員点検 :1 回 /10 年委託点検 :1 回 /10 年 職員点検 :1 回 /5 年 日常点検 市のパトロール班による日常的な点検であり, 橋の上から損傷状況を確認するとともに, 排水枡の土砂詰まりなど簡易に清掃等が可能な対応を実施します 定期点検 橋の重要度や規模に応じて毎年もしくは 5 年に 1 回を基本とした定期的な点検であり, 唐津市橋梁点検要領 ( 案 ) に準拠して目視により可能な限り近接して点検します 対策後点検 補修 補強の効果や早期の再劣化が生じていないかを確認する事を目的として対策実施から 2 年後に点検を実施します 点検は 唐津市橋梁点検要領 ( 案 ) に準拠して目視により可能な限り近接して点検します 職員点検 定期点検 もしくは 対策後点検 において, 職員自らが実施する点検です 委託点検 定期点検 もしくは 対策後点検 おいて, 職員自らが点検した結果, コンサルタント等の専門業者に委託する必要があると判断された場合に実施する点検 及び規模の大きい橋や職員では点検が困難な橋においてコンサルタント等に委託して行う点検です 5
対象橋梁 対策区分 C と E に判定された橋が 69 橋であり, 多くの橋が 速やかに補修するのが望ましい橋 と判定されている事から, 今後 10 年間を目処にこれらの橋を優先的に対策を実施します 対策優先順位の設定 対策が必要と判断された橋の優先順位は, 健全度 ( 対策区分 ) と社会に与える影響及び予算を考慮して計画します 健全度が低い橋を優先させる ( 例 : 対策区分 E C ) 健全度が同じ場合は, 橋の規模 橋の条件より設定した分類を参考に優先順位を設定する ( 橋の分類 Group1 Group2 Group3 or Group4 Group5 ) 健全度及び橋の分類が同一の場合は, 損傷程度や予算状況から適宜設定します 損傷状況によっては上記の順位を入れ替えて実施します 橋梁長寿命化修繕計画の内容 唐津市が管理する橋について, 橋梁長寿命化修繕計画に則り, 計画的に点検 補修 架替えを実施します 今後 10 年間における補修 架替え橋梁数を示します 表 3 今後 10 年間の修繕計画橋梁数 ( 年度別 ) 年度 H25 H26 H27 H28 H29 橋梁数 1 橋 9 橋 5 橋 5 橋 10 橋 年度 H30 H31 H32 H33 H34 橋梁数 8 橋 6 橋 11 橋 1 橋 20 橋 1 つの橋を複数年で対策する場合があります 6
5. 橋梁長寿命化修繕計画による効果 地域の安全 安心な交通ネットワークの確保 従来の対処療法的な維持管理を実施した場合, 通行規制等が必要な傷んだ橋が増加します 橋梁長寿命化修繕計画を基本に補修及び架替えを行う事で通行規制等が必要な橋が無くなり, 安全 安心な交通ネットワークを確保する事が可能となります 30 年後の通行規制橋梁 通行規制箇所 長寿命化修繕計画による効果 図 4 通行規制箇所図 早期補修が必要な橋, 通行規制橋梁の推移 100% 90% 割合 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 対策区分 C 対策区分 E 図 6 通行規制箇所図 ( 無し ) 通行規制等が必要な橋が無く, 安心安全な交 通ネットワークが確保できます 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 44 46 48 50 経過年数 ( 年 ) ( 現在 ) 通行規制等が必要な傷んだ橋が増加します 図 5 対策区分推移 対策区分 C 傷みがあり, 補修などの対策を実施する必要があり, 橋に与える影響が大きく速やかに補修などの対策を実施する必要がある 対策区分 E 傷みがあり, 橋の安全性や第 3 者への被害が想定され, 緊急を要する対応 ( 通行規制, 応急対策 ) の上, 補修 補強 架替え 撤去などを実施する必要がある 7
コスト縮減効果 従来の対処療法型による維持管理から, 長寿命化修繕計画を策定し効果的かつ効率的な維持管理を実施する事で 50 年間の維持管理費は約 245 億円の縮減が見込めます ( 現在 ) 図 7 コスト縮減効果 予算の平準化 従来の対処療法的な維持管理を継続した場合における事業費のピーク額が, 橋梁長寿命化修繕計画において補修及び架替え時期を計画的に行う事で低減でき, 予算を平準化する事が可能です ( 現在 ) 図 8 平準化前の事業費推移 ( 現在 ) 図 9 平準化後の事業費推移 8
6. 橋の継続的な維持管理に向けて 維持管理計画の運用 効率的かつ効果的な橋梁維持管理をめざして, P( 計画策定 ) ~ D( 対策実施 ) ~ C ( 点検 ) ~ A( 計画の検証 ) までの一連のサイクルを継続的に運用します 橋梁長寿命化修繕計画の見直し 図 10 PDCA サイクルのイメーシ 図 橋梁長寿命化修繕計画は, 平成 21 年 ~ 平成 23 年に実施した橋梁点検結果を基本に策定しています 今後は 唐津市橋梁点検要領 ( 案 ) に準拠した定期点検を長寿命化修繕計画に則り継続的に実施し, 得られた結果を分析 検証のうえ, 新しい技術や知見も含めて 10 年を基本に長寿命化修繕計画を見直します また, 必要に応じて 唐津市橋梁点検要領 ( 案 ) の見直しも実施します データベースの更新 今後の維持管理で実施する 定期点検 詳細調査 設計 補修工事 架替え工事 などの情報について, 市が管理するデータベースに更新させる事で, 個別の維持管理情報をリアルタイムに取得 閲覧 活用できるように管理します 7. 学識経験者からの意見聴取及び計画策定部署 学識経験者からの意見聴取 長寿命化修繕計画を策定するにあたり, 唐津市橋梁点検要領 ( 案 ) や橋梁長寿命化修繕計画の方針及び内容について, 学識経験者より意見をいただきました 九州大学大学院工学研究院佐賀大学大学院工学系研究科長崎大学大学院工学研究科九州大学大学院工学研究院 濵田秀則教授伊藤幸広教授松田浩教授佐川康貴准教授 意見聴取会風景 計画策定部署 唐津市都市整備部道路河川課 847-8511 佐賀県唐津市西城内 1 番 1 号 TEL(0955)72-9134 FAX(0955)72-9179 9