講座の目的 実際にはオプションの理論的な知識はトレーディングに際してそれ程重要ではありませんので 講義は実践で使用できる戦略を中心にお話します! 現物投資をアクティブに行っている投資家や先物およびオプション取引を行う投資家を対象に 市場の見通し 目的に応じて ヘッジやよりアクティブな方向性のリスクをとるなど 若干高度でリスクが高い取引手法を紹介 ツールは 日経 225 先物 ( ミニ ) 及びオプション取引 市場が下落した場合のヘッジ取引から ヘッジファンドが使用するような アクティブなポジションテイクの導入まで 個人的に学んだ教訓 ネット証券をお使いなら 2 つ以上の会社のアカウントを持つべき 証拠金 100 万円ぐらいからはじめる投資戦略 1
講座の内容 1: 前半 オプションの基本的説明 参考用 : ブラックショールズ式 分布のイメージ 価格がどう決まるか ( さいの目オプションからのイメージ ) 原資産価格 Volatility 等 オプションのリスク グリークス 特性 市場とオプションプレミアムの変化 ( デルタ ガンマ タイムディケイ ベガ ) 市場の特性 ( 特に 株式オプション の特有な性質 ) 市場から感じること : 市場とボラティリティーの方向性 講座の内容 2: 後半 デルタヘッジをしっかりと デルタヘッジとガンマトレード グリークスの変化オプションと先物を活用したトレード戦略 基本 : 現物ポジションのヘッジ 市場の見通しとオプションの組み合わせ アクティブ戦略 そのメインテナンス 気にすべき指数など メイントピック 2
N225 オプションの計算式 :Black-Scholes 式 実はこんなもんです :Max(S-K 0)x 確率の和行使価格より S が大きくなって出る利益の期待値 rτ ( 1) ( 2) rτ ( ) δτ C= S e N d K e N d { 1} { ( ) 1} δτ P= S e N d K e N d 行使価格より S が小さくなって出る利益の期待値 1 2 S ln + ( r δ ) τ d K σ τ 1 = +, d2 = d1 σ τ σ τ 2 勉強したい人用 大事なボラティリティ 前提 :S は 対数正規分布 に従う つまり 前日比の対数が正規分布 3
オプション感応度 ( まとめ ): グリークス デルタ : オプションで権利行使する確率 理論上のヘッジ比率 先物の枚数を決めるために重要 ガンマ : 原資産の変化に対するデルタの感応度 ベガ同様最も重要なリスク要素 ( 利益の源泉 ) ベガ : ボラティリティーに対するオプション価格の感応度 株式オプションでは非常に激しく動くため リスク管理上重要 ( これも利益の源泉 ) セータ : 時間価値の変化 極短期 ( デイトレードなど ) では 強く意識する必要はないが 長期的に時間価値の変化を意識することは ポジションマネジメント上有効 4
デルタヘッジ : オプションと先物組み合わせの基本 (3 月 13 日満期 7500 円コール 1 枚買い持ちの PL 変化 :2 月 26 日夜間時点 プレミアム 245 円 先物価格 :7470 円 ) JPY 1,400,000 1,200,000 1,000,000 800,000 600,000 400,000 200,000 0-200,000-400,000 P&L (when vol is constant) この直線は 7470 円から先物価格が変化したときのデルタ分の PL 変化 5670 6270 6870 横軸 : 日経平均 これがガンマ分 デルタヘッジ以上の勝ち部分 7470 8070 8670 デルタ分の PL 変化を相殺する先物の売りポジション : デルタヘッジ 5
戦略に必要な事 : 抽象的ですが 大事 大前提 安いから買うのではなく 上がるから買うのです 高いから売るのではなく 下がるから売るのです 方向性 市場の方向性とボラティリティの関係 ( 最も重要 ) 冷静なリスクシナリオの設定 様々な角度からの分析 : 思った方向と逆に動いたとき どうするか 様々なバリエーションが オプションの魅力 ロスカットまたは状況に応じたポジション変更のレベル あらかじめ決めていても 実行できることが重要 常にニュートラルに市場を見ること 戦略を実行する能力 ベースの理解があれば 最終的にここに集約 6
オプションの性質 ( 市場で感じられる特性 ) 市場の方向性とレバレッジ N225 オプションは リスクとしては日経平均指数 1000 単位にデルタ値を乗じたポジションにボラティリティーの変化などの要素が加わる そのため ヘッジポジションを取ることなくオプションのみのポジションを持つ場合 プレミアムの 10 倍 ( またはそれ以上 ) 程度の株を保有するぐらいの大きさ 先物も証拠金でできます 流動性 原資産価格と行使価格が離れた場合 ( 特にインザマネーの状態 ) 流動性が極端に落ちる インデックスの動きとオプション価格 基本的に株式市場が下落するリスクを感じているときに買われ 上昇するときには売られやすい (Vix が恐怖指数といわれる所以 ) 急激な動きに対して ヒステリックな動き ( チャンス ) が起こりやすい 参加者の偏り タイムディケイを気にしすぎる投資家 ( 売りから入る投資家 ) が比較的多い 7
戦略 ( ベーシックな戦略 )1 ヘッジポジション : ベースとなる現物 信用取引 先物のポジションと反対方向のポジションを プレミアムを払って購入することで リスクシナリオに対す る損失を限定する 心構え : プレミアムをコストとして割り切る ガンマトレード : 積極的に市場の動きをとる 先ほど説明したとおり デルタヘッジで 市場の変動を積極的に利用! オプションの買いポジションに先物を加え デルタニュートラルを基本として 市場が変動した場合にデルタ値をアジャストすることで収益を得る 心構え : 細かい鞘取りは 市場に張り付いている こと 大幅な動きには ある程度のプレミアムをコストとして割り切る こと 時間価値の減少とボラティリティーの下落との勝負 タイミング! ポジション管理方法 : 次々変化するプレミアムと先物の損益を常に ( 特に細かい鞘取りを狙う場合 ) 把握 ボラティリティーが低く 市場変動幅が大きいとき有効 ボラティリティが高い状態は ボラティリティの変動の影響が大きいため ベガを調節しながら取引を行うことが必要 : 戦略 2 の応用 8
戦略 2: アクティブデルタ戦略 ( 適正なデルタ値とボラティリティー ガンマリスク管理 ) オプション + 適正デルタヘッジ このデルタ値の決め方が重要な戦略的要素 市場下落 ボラティリティー上昇を予想したポジション OTMプット買い + 適正デルタ値による先物買い OTMコール買い + 適正デルタ値による先物売り いくらが安いプレミアムなのか! 市場下落 ボラティリティー下落を予想したポジション OTMプット売り + 適正デルタ値による先物売り OTMプット売り + 更なるOTMプットの買い 市場上昇 ボラティリティー上昇を予想したポジション OTMコール買い + 適正デルタ値による先物売り ( またはヘッジなし ) OTMプット買い + 適正デルタ値による先物買い 市場上昇 ボラティリティー下落を予想したポジション OTMコール売り + 適正デルタ値による先物買い ( またはヘッジなし ) OTMコール売り + さらにOTMコール買い 100 円というプレミアムは安いか高いか ヘッジする先物ミニの枚数をわざとずらす! 9
2 月 26 日の戦略 ( 模擬です ) ネットデルタ 今の状態 ( 先物 7470 円 ) で満期を迎得た場合の損益 ブレークイーブン 今の損益 この時点での見通し : 短期的にはかなり下落リスクを感じているものの 6500 円程度がターゲット また上昇する場合は 9000 円程度まで見込む (7500 円近辺には長くとどまらない ) ボラティリティについて : 下落してきたものの 下落余地は少なく 相場が大きく動いた場合には かなりの上昇も考えられる ( リスク対比 オプションロングのほうが有利と判断 ) 3 月限 7000 円プット 1 枚買い 4 月限 8000 円コール 2 枚買い デルタヘッジ先物ミニ 5 枚売り 10