04 年 0 月 日 本日の講義及び演習 数値シミュレーション 04 年度第 回 偏微分方程式の偏微分項をコンピュータで扱えるようにする 離散化 ( 差分化 テイラー展開の利用 階微分項に対する差分式 階微分項に対する差分式 次元熱伝導方程式に適用して差分式を導出 Ecel を利用した温度変化シミュレーション 永野 ( 熱流体システム研究室 hagao@tc.ac.p 重要! 熱の伝わり方 ( 伝熱モード 重要! 熱伝導方程式の導出 熱伝導 物質 ( 固体 流体 内の熱移動熱伝達 ( 対流 流体と物体間の熱移動輻射 ( 放射 電磁波として移動する熱移動 流体 電磁波 次元 ( 方向のみ を考える 距離 面積 da 熱の移動方向は 方向を正とする熱移動量 d 熱移動量の表現 d [J] d [ J/s] [W] 温度差と温度勾配 : 熱移動量 : 単位当たり d [W m ] : 単位単位面積当たり da 熱流束 (heat fl [K] : 温度差 [K/m] : 温度勾配 = 単位距離当たりの温度差 4 距離 面積 da 熱移動量 d フーリエの法則 フーリエの法則熱流束 ( 単位単位面積当たりの熱移動量 は温度勾配に比例する 比例係数 λ を熱伝導率 (thermal codctivity と呼ぶ 熱が の正方向に流れるのは > の時, すなわち - < 0 となる時である. よって負記号が付く. 温度勾配と熱流束の正負 - - + + 温度勾配 0 0 0 0 熱流束 0 0 0 0 6
熱伝導率の単位 熱伝導率の影響 フーリエの法則 物質を挟んだ点 と点 の間にある温度差があったとする. 熱伝導率が大きいと移動する熱量は 大きくなる 熱伝導率が小さいと移動する熱量は 小さくなる 熱流束 d [W da m ] 温度勾配 [K/m] ( 大きいか小さいかを問うているので スカラー量すなわち絶対値で考えよ! + 記入せよ + より, 熱伝導率 λ の単位は W/(m K となる 7 熱伝導のしやすさ ( 熱の流れやすさ の指標 8 熱の出入りと温度変化の関係 温度変化の基本原理 熱を与えられるとそれに比例して温度が上昇 熱を奪われるとそれに比例して温度が下降 もらった熱量 mc 質量 比熱 すべてはこの原理に基づいている 温度上昇 温度 という物理概念と 熱量 という物理概念を結び付ける法則 = 原理 9 熱の出入りがある棒の温度変化を考えてみる ある時点の温度,, が与えられたとき Δt 秒後の温度 を求めよ = +Δ なので, Δ が分かればよい Δ この棒には, 左から の熱量が入り, 右から の熱量が出ていく 熱量収支 この熱量収支により棒の中点の温度がΔ 変化する mc mc 0 熱の出入りをフーリエの法則を使って表す 温度変化を求める Δ 式を変化量で表すと W/m W = J/s d da ta m ta ta ta s J 4 4 式と 式を 式に代入 mc ta A Δy Δz ta t Δ A 棒を三次元的に考えると 7 A yz 棒の質量は 密度 ρ 体積 m yz 8 6
温度変化を求める 一次元熱伝導方程式の導出 7 式と8 式を6 式に代入 yz c t yz c t Δ 棒の中点の温度変化を知ることができた! c t t c 9 t c 9 式を変形すると t c 温度は一般的に位置との関数なので, t0 t t lim 0 lim 9 温度の二階偏微分項を表す 0 4 一次元熱伝導方程式の導出 式を比較してみよう 結果 0 式は以下の様な偏微分方程式となる 一次元熱伝導方程式 t 温度 の t による微分 温度の変化 c 比例する つまり 温度勾配が大きく変化する場所では温度の変化が大きい ということ! 温度 の空間 による 階微分 温度の勾配 の勾配 離散式 ( 温度変化 t c 極限化 lim t0, 0 t c 連続式 ( 熱伝導方程式 9 離散化 ( 隣点の温度と分割幅 Δ, 刻み Δt を利用 Δ 6 数値シミュレーションの実際 の離散化 対象となる現象を定式化 常微分方程式 偏微分方程式 方程式に現れる物理量は空間およびに対して連続的 変換 ( 離散化 が必要 コンピュータ上では物理量の離散的 ( デジタル的 な値しか扱えない 7 温度 ( 固定 t の変化によって 実現象では温度が連続的に変化 t 0 t t t t t t 連続するを Δt で離散化. ステップ シミュレーションでは, 的に離散 ( とびとび 位置 ( 固定 8
温度 t=0 のとき 空間の離散化 空間を Δ で離散化. 微小区間の温度を代表点の温度で近似. 数値シミュレーションの限界 とびとびの値を使って変化を模擬しても 極限的には連続的な空間変化 変化へ近づけることが出来る 空間間隔を無限小にする lim 0 ( 固定 実現象では温度が連続的に分布 節点 シミュレーションでは, 空間的に離散 ( とびとび 位置 ( 固定 9 分割を無限小にする 実際には限度がある コンピュータの計算能力 ディスク容量 メモリ容量 計算の制限 lim t0 0 偏微分方程式を離散的な式へ変換 コンピュータで扱えるように, 連続的な 式 ( 偏微分法方程式 を 離散的な式 ( 差分方程式 に変換する 微小変量 有限の ( 具体的な 小さな値の変量 微分演算 割り算に変換 積分演算 掛け算 & 足し算に変換 変換は 近似 であるから, 連続的な式との 誤差 が生ずる 離散的な式を使うと, プログラム上の四則代数演算で解くことが出来る 熱伝導方程式 t c t に関する一階偏微分項 変換対象は微分項 空間 に関する二階偏微分項 偏微分項を離散的に表したい 一次元熱伝導方程式 コンピュータでは扱えない t t 的 空間的な隣接点で表現できないか? t 重要! テイラー展開 偏微分方程式の差分化 偏微分の差分化は テイラー展開 を用いて行う テイラー展開 (aylor epasio とは ある関数の従属変数の微小変量に対する関数の値の変化を その関数の微係数の級数で表すこと 次の項! 次の項! 次の項 微小変量 有限変量 に置き換えると ( (!! 4 4
テイラー展開 テイラー展開は 高次の項を考慮するほど漸近していく 粗い近似 高精度の近似 近似 (! ( (!! 高次の項ほど小さな値を取る テイラー展開の直観的な意味 テイラー展開の直観的な意味 ( (!! 次の項 次の項 次の項 変量 : 連続分布 節点番号 6 テイラー展開 熱伝導方程式 t c t に関する一階偏微分項 偏微分の差分化 ( (!! 次の項 次の項 次の項 空間 に関する二階偏微分項 テイラー展開を用いて 偏微分項を離散的な値で近似したい! 7 一階の差分式の作り方 ( その 隣接する点で偏微分項を近似するテーラー展開より ( (!! O( 隣接する点 O( 次以降の項を無視 一階の微分項を近似できた! 次精度の差分法 (First-order accrate differece scheme t c 8 近似によって生じる誤差項 8 一階の差分式の作り方 ( その 前進差分 (Forward differece O( O( 後退差分 (Backward differece (! O( 隣り合う離散的な点の物理量によって, 一階の微分項を近似後退前進 Δ のかわりにマイナス Δ を用いれば 9 一階の差分式の作り方 ( その 中心差分 (Cetral differece 前進差分と後退差分の差を取る 正方向 (! 差を取る 負方向 (! 次の項まで考慮! ( 但し相殺してゼロ O( 中心 次以降の項を無視 次精度の差分法 (Secod-order accrate differece scheme 0
一階の差分式の作り方 ( まとめ 種類の一階差分法 前進差分 後退差分 中心差分 次精度 O( 次精度 次精度 O( O( 中心差分 後退差分 ( 前進差分 t c 二階の差分式の作り方 二階の差分式 一階の前進差分と後退差分の和を取る 正方向 (! 和を取る 負方向 (! ( O( 後退 次以降の項を無視 次精度の差分法 近似できた! 前進 t c に関する差分式 的空間的に連続な温度分布 温度 の差分化 的に隣接 する点との差分を考える 前進差分 t 後退差分 t t t t 0 t t t t t t ステップ ( 次数ではない O( t O( t 温度 は現在のステップ + は次のステップ - は前のステップ Δt は微小間隔 (t 温度 温度 は場所 と t に依存する関数 (,t 位置 位置 t t t 4 次元熱伝導の差分方程式 ( その 次元熱伝導の差分方程式 ( その 熱伝導方程式を差分化する場合 に関しては 前進差分 空間に関しては 二階差分 t 近似 t c 前進差分二階差分 t 近似 t t ステップ ( 次数ではない 節点番号 ( 空間分割 t シミュレーションに用いる差分式 t c 各項の差分化 t t 微分方程式の差分化 t c 次のステップ + ( 未知 c 現時点ステップ ( 既知 未知数の分離 t 6 6
次元熱伝導の差分方程式 ( まとめ シミュレーションに用いる差分式 t c 次のステップ + ( 未知 現時点ステップ ( 既知 コンピュータで扱える式になった! 現時点での値がわかれば未来の値を計算できる! t c コンピュータで扱えない 演習課題 t t t は Δt で離散化次のステップ + に対して前進差分 空間は Δ で離散化両隣の節点 -, + を用いて中心差分 7 次のステップ + ( 未知 演習 : 次元熱伝導 初期 (t=0,=0 において下図の様な温度分布であったとする. 左右端の温度は変化しないとして, 真ん中の点の温度変化をEcelを用いてステップ=00 ( t=.00 まで求めよ. ステップ : Δt = 0.0 節点間の距離 : Δ = c c 現在のステップ ( 既知 t ( 固定 0 - + Δ ( 固定 9 演習 : Ecel での計算のやりかた 0 ( 固定 ( 固定 - + Δ ステップ位置 の温度 [ ] - + 0 0.00??? 下方向に軸 左方向に空間軸をとったときの各位置の温度 をまとめる 位置 c t 計算対象である は 過去時点の温度 -,, + を用いて算出する 40 演習 : データのまとめかた 見やすくまとめること 他の人が見ても理解できるように 重要な情報を記載する 誰がいつ作ったのか? 何のためのデータか? 計算条件はどれか? 解 ( 結果 はどれか? 後で容易に変更できるように作ること 将来 計算式や条件を変更することを事前に想定し 容易に変更できるよう工夫して作成する Ecel では絶対参照 / 相対参照などを有効に活用する 重要! 本講義 本課題のみの注意事項ではなく 今後のあらゆるデータ整理 プログラムコード作成の際に気をつけておくべきこと 4 支配方程式 差分法 解析条件 演習 : Ecel シートの例 次元熱伝導の解析 番上の行にタイトルを入れる習慣をつけよう (Sheet 名にも t 数式も載せておけば 見直しが容易 c ( 必須ではない 熱伝導方程式 前進差分 ( 中心差分 ( 空間 節点間距離 Δ ステップ Δt 0.0 比熱 c 密度 ρ 熱伝導率 λ 左端 - 右端 + 境界条件 温度固定 温度固定 ステップ [sec] 位置 の温度 [ ] t - + 0 0.00 0.00 0.0 9.8? 0.0 9.70? 0.0 9.? 4 0.04 9.4? 0.0 9.6? 6 0.06 9.? 7 0.07 8.98? 8 0.08 8.84? 9 0.09 8.70? 計算させるセルでは 0 0.0 8.7? 解析条件セルを参照する 00まで 7
演習 : グラフも書いてみよ 的空間的に連続な温度分布 emperatre, 0 0 0 0 0.. X 初期温度 節点間の線は 近似曲線で表示 0.00 0.0 0.0 0.0 0.40 0.0 0.60 0.70 0.80 0.90.00 温度 温度 は場所 と t に依存する関数 (,t 位置 ( 固定 ( 固定 熱伝導の特性 ( 温度の平滑化 が再現できる 44 t 4 温度 の t による微分 温度の変化 一次元熱伝導方程式 t c 温度 の空間 による 階微分 温度の勾配 の勾配 ある場所における温度の的な変動量は, その場所における 階微分値 ( とんがり具合 凹凸具合 に比例している 速い 演習 : 差分法 正方向および負方向のテイラー展開より以下を求めよ 空間一階偏微分項に対する前進差分 空間一階偏微分項に対する後退差分 空間一階偏微分項に対する中心差分 空間二階偏微分項に対する二次差分 ( 講義中に説明した内容の A4 レポート用紙. 手書き. 来週授業開始時に提出 遅い 46 47 本日のまとめ 答案用紙に書いて提出 微分方程式中の微係数を隣接する点で近似することを 化という 化には 展開を利用する 位置 点における物理量 のに関する微分を以下のつの方式により表せ + と を用いて と - を用いて 4 + と - を用いて,4,をそれぞれ, 6 差分, 7 差分, 8 差分とよぶ 48 8