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125 2 P 1st washout 2 PB P mg/dL nd washout 2 P 5.5mg/dL< mg/dL <2.5mg/dL P P 2 D D 3 Ca 10

表 1 入院時検査所見 11,500L 471 L 17.0 gdl.3 L ph 7.49 PaCO 37.8 mmhg PaO 67.4 mmhg HCO 3.6 meql B E 1. meql 141 meql K 3.9 meql Cl 108 meql Ca 8.4 mgdl P 4.5


血糖高いのは朝食後のため検査項目 下限値上限値 単位名称 9 月 3 日 9 月 6 日 9 月 15 日 9 月 18 日 9 月 21 日 9 月 24 日 9 月 28 日 10 月 1 日 10 月 3 日 10 月 5 日 10 月 9 日 10 月 12 日 10 月 15 日 10 月

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10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

2.7.6 MJR a MRI CT b 2 Beecham r-afs mg/ mg/ Gn-RH 742

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387 ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( )

(1) ) ) (2) (3) (4) (5) (1) (2) b (3)..

/ B B ( ) ( -298) VL VH( ) Very Low( ) Very High( ) ( 10 2 %) (g/l) ( 10 2 %) 0.75 ( 10 2 %) 0.15 ( 10 2 %)

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72 20 Ope / class Alb g/ cm 47.9kg : /min 112/60m

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164 SDD & SOD SDD E100 mg 80 mg B500 mg 2 E 2 B 48 /59 81 SDD SOD 10 /63 16 RCT RCT 1992 Gastinne 15 ICU 445 SDD E100 mg 80 mg B 10

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3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

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インフルエンザ定点以外の医療機関用 ( 別記様式 1) インフルエンザに伴う異常な行動に関する調査のお願い インフルエンザ定点以外の医療機関用 インフルエンザ様疾患罹患時及び抗インフルエンザ薬使用時に見られた異常な行動が 医学的にも社会的にも問題になっており 2007 年より調査をお願いしております

課題名

2 概要 背景 ICU におけるせん妄は 人工呼吸期間 ICU 滞在期間 入院期間の長期化 死亡率の上昇 認知機能障害などの長期予後増悪因子として問題視されている (Salluh JI, et al, 2015) また ICU 入室患者の睡眠構築は 極度な分断化 深睡眠の抑制が報告され (Freed

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Transcription:

JSEPTIC クイズ第 3 弾 (2017 年 2 実施 ) JSEPTIC 症例クイズ クイズ作成者亀田総合病院集中治療科安田英人

2016 年 2 月の問題の解答 今回は2016 年 2 月 28 日の時点で 283 名の方が解答して下さいました 問題と皆様の答え, 解答および解説を掲載したいと思います < 回答者内訳 > 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 集中治療医救急医麻酔科医内科系医師外科系医師初期研修医看護師臨床工学技士診療放射線技師薬剤師理学療法士作業療法士言語聴覚士栄養士その他 ( 具体的に ) 6.5% 5.4% 2.9% 6.9% 0.0% 4.0% 6.9% 0.7% 0.0% 1.4% 2.1% 11.9% 15.5% 17.0% 20.9% その他 学生 NR 小児科医 放射線科医 精神神経科医 後期研修医

以下の症例についてのクイズに答えてください 症例 60 歳男性 2 日前から続く呼吸苦があり 本日になり呼吸苦の増悪と膿性痰が増加したために来院した 既往歴 : 慢性心不全生活歴 : デスクワークの会社員 妻とは死別しており子供はなし 喫煙 :10 本 / 日 30 年 飲酒 : 缶ビール 1 本 / 日 アレルギーなし内服薬 : なし バイタルサイン : 意識レベル GCSE3V5M6 血圧 102/46 mmhg 脈拍 110/ 分 呼吸数 27 回 / 分 体温 38.7 SpO2 88% ( リザーバー付きマスク酸素 10L/min 投与下 ) 検査所見 : インフルエンザ迅速検査 (-) 膿性痰よりグラム陽性双球菌を検出 WBC 10,100/μL( 桿状核球 7%, 分葉核球 62%, リンパ球 12%, 単球 2%, 好酸球 17%), Hb 9.3 g/dl, MCV 72fL, PLT 11.1 万 /μl PT-INR 1.30, APTT 48.2 sec, Fib 280 mg/dl T- bil 1.0 mg/dl, D-bil 0.7 mg/dl, AST 52 IU/L, ALT 43 IU/L, LDH 716 IU/L, ALP 80 IU/L, CPK 309 IU/L, BUN 38 mg/dl, Cr 1.8 mg/dl, Na 142 meq/l, K 4.8 meq/l, Ca 7.0mg/dL, P 4.4 mg/dl, Glu 92 mg/dl 胸部 X 線画像 : 両肺に浸潤影を認める 肺炎 ARDS の診断で人工呼吸管理の上で ICU 入院となった Q1. 上記の患者が今後せん妄を起こすリスクはどれくらいと考えますか? 具体的に数値を記入 ください 解答は自由記載となります 下記に記載してください わからない場合は わからな い と記載してください ( 複数回答可能 ) 皆様の回答で多かった回答 0% 10% 20% 30% 40% 50% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 分からない 2.3% 4.7% 9.4% 7.0% 6.3% 11.7% 7.0% 6.3% 3.1% 2.3% 39.8%

Q1 解答 解説 解答 :PREDELIRIC score を計算するとなれば 24 時間経過してない現状ではわからない ICU 入室患者のせん妄発症率は高く 30% にも及ぶとの報告もある せん妄を発症すると 1 年後の認知機能低下を引き起こすことが知られており また短期的なアウトカムとして死亡率上昇につながるとされている ( 図 1) よってそのせん妄発症をあらかじめ予測し 発症の可能性が高い患者には何かしらの予防を行うことが望ましい ICU 入室患者において 入室 24 時間以降にせん妄を発症するか否かのスコアリングとして PRE-DELIRIC score というものが 2012 年に報告されている (1) 入室 24 時間以内のデータからせん妄発生の可能性を % 表示することが可能である スコアリングに利用する因子を表 1 に挙げる これらの因子によりせん妄発症予測スコアを算出するのであるが 注意点は 24 時間のデータを利用するので 入室 24 時間後までは計算できないところにある 今回のデータは入室時のデータであり 厳密には PRE-DELIRIC score の算出はできない 以下に 24 時間までのデータの最悪値を記載した 計算の詳細は割愛するが このデータを利用すると当患者のせん妄発症可能性は 93% と計算できる APACHE 2: 21 点 ph 7.28, PaO2 68 mmhg (FIO2 0.4, PEEP 12 cmh2o), PaCO2 38 mmhg, HCO3 15 mmol/l, lactate 5 mmol/l GCS E2VTM5, RASS -2, BPS 5, 鎮静鎮痛なし BUN 58 mg/dl, Cr 2.4 mg/dl 図 1 せん妄が与える影響 表 1 PRE-DELIRIC モデルの 10 のリスク因子

症例の続き入室 24 時間後バイタルサイン : 意識レベル GCSE2VTM5 血圧 96/42 (60) mmhg 脈拍 106/ 分 呼吸数 21 回 / 分 体温 38.3 SpO2 92% (A/C, PCV, Pi, 10 cmh2o, PEEP 12 cmh2o, FIO2 0.4) 検査所見 : 痰培養 血液培養より肺炎球菌 (PSSP) を検出 WBC 14,200/μL( 桿状核球 7%, 分葉核球 78%, リンパ球 12%, 単球 1%, 好酸球 2%), Hb 8.7 g/dl, MCV 75fL, PLT 8.2 万 /μl PT-INR 1.70, APTT 56.2 sec, Fib 470 mg/dl T-bil 1.0 mg/dl, D-bil 0.7 mg/dl, AST 52 IU/L, ALT 43 IU/L, LDH 516 IU/L, ALP 78 IU/L, CPK 299 IU/L, BUN 96 mg/dl, Cr 4.8 mg/dl, Na 140 meq/l, K 5.2 meq/l, Ca 6.8mg/dL, P 4.6 mg/dl, Glu 82 mg/dl 血液ガス所見 :ph 7.28, PaO2 68 mmhg (FIO2 0.4, PEEP 12 cmh2o), PaCO2 38 mmhg, HCO3 15 mmol/l, lactate 5 mmol/l 人工呼吸管理を行い呼吸状態の改善は認めたが ショック状態に至り ノルアドレナリン 0.2γ の投与が必要となった 鎮痛鎮静は挿管時に使用したのみでその後の投与は行なっていないにも関わらず 入院時より意識レベル低下を認めた Q2. 上記の患者の意識障害の鑑別は? 解答は自由記載となります 下記に記載してください わからない場合は わからない と記載してください ( 複数回答可能 ) 皆様の回答で多かった回答 髄膜炎 敗血症性脳症 尿毒症など Q2 解答 解説 解答 : あらゆる可能性あり 敗血症性脳症 せん妄 など 本症例においては最も可能性がある意識障害の原因は敗血症性脳症であると考えられる しかし低活動型せん妄の可能性も残っている せん妄は意識障害の原因の一つであるが 除外診断が必要となるために安易にせん妄と決めつけてはいけない 最新のせん妄の診断基準は DSM-5 となっている ( 表 4) また せん妄には過活動型 低活動型 混合型の 3 つがあり 低活動型も意外と見逃されていることが多く無視できない頻度である ( 図 2)

表 4 せん妄の診断基準 (DSM-5) 図 2 せん妄の分類 Q3. 上記患者におけるせん妄のリスク因子は? 解答は自由記載となります 下記に記載してく ださい わからない場合は わからない と記載してください ( 複数回答可能 ) 皆様の回答で多かった回答 人工呼吸管理 ICU 管理 ショック 意識障害 低酸素など Q3 解答 解説 解答 : アルコール 喫煙 一人暮らし 心疾患の既往 感染症 緊急入院 循環不全 人工呼吸管理 AKI など せん妄を起こすリスクは大きく分けて 4 つに分類される ( 図 2) 患者の素因や抱えている慢性疾患 そして入院の契機となった急性疾患と入院という非日常が与える環境因子である 前者 2 つは調整困難であるが 後者二つの急性期疾患の治療と環境因子の調整は可能である

図 2 Q3. 上記患者においてせん妄予防は何を行いますか? 解答は自由記載となります 下記に記載 してください わからない場合は わからない と記載してください ( 複数回答可能 ) 皆様の回答で多かった回答 環境調整 鎮痛 デクスメデトミジン フェンタニル 早期離床など Q3 解答 解説 解答 : 鎮静剤としてデクスメデトミジンを考慮する メラトニンを使う 早期リハビリテーションを行う ICU に自然光が入るように環境調整を行う できるだけ入院前と同じような環境作りを心がける ( 睡眠 面会者 身の回りのもの ) 日内リズムをつける( 時計をおく 声かけをする など ) 現状認識をしてもらう( 鏡で挿管時の姿を見てもらう など ) 音楽療法を施行する 睡眠促進となるように夜間の音や光に気をつける など せん妄予防は 薬物による予防と非薬物による予防の 2 つに分けられる 薬物療法として検討されてきた薬剤は多種に及ぶが ( 表 3) どれもせん妄予防に効果があると確固たるエビデンスを確立した薬剤はない そのような中でも近年注目されているのが デクスメデトミジンとメラトニンである デクスメデトミジンによるせん妄予防効果の機序はまだ明らかにはなっていないが 他のプロポフォールやミダゾラムなどの鎮静薬と比較するとせん妄発症が少ないとの報告が多く (2) また メラトニンに関しては本邦からその有効性を示唆する結果が

出されている (3) メラトニンのせん妄予防効果は睡眠促進にあるとされているが その効果のほどはまだまだ現在進行中の RCT の結果を待たなければならない ハロペリドールなどは現在大規模研究が進行中であり その結果が待たれる 非薬物療法によるせん妄予防に関しては環境因子に対する観察研究や RCT により数多くの介入が検討されている ICU における睡眠促進を目的として 耳栓やアイマスク そして音楽療法による効果を検証した研究があり ある程度の効果が期待できると報告している (4-5) しかし どれか一つの介入によりせん妄を予防することは不可能に近いために マルチコンポートプロトコルで対応する必要があり ( 図 3) その有効性も報告されている 米国看護協会が推奨している Give PEACE a Chance ( 図 4) にもあるように 多職種が集学的に介入をすることが大切である 表 3 薬物によるせん妄予防 図 3 せん妄に対するマルチコンポーネントプロトコル

図 4 Give PEACE a Chance 参考文献 1. van den Boogaard M1, Pickkers P, Slooter AJ, et al. Development and validation of PRE-DELIRIC (PREdiction of DELIRium in ICu patients) delirium prediction model for intensive care patients: observational multicentre study. BMJ. 2012 Feb 9;344:e420 2. Su X1, Meng ZT1, Wu XH1, et al. Dexmedetomidine for prevention of delirium in elderly patients after non-cardiac surgery: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet. 2016 Oct 15;388(10054):1893-1902. 3. Hatta K1, Kishi Y2, Wada K3, et al. Preventive effects of ramelteon on delirium: a randomized placebocontrolled trial. JAMA Psychiatry. 2014 Apr;71(4):397-403. 4. Van Rompaey B, Elseviers MM, Van Drom W, et al. The effect of earplugs during the night on the onset of delirium and sleep perception: a randomized controlled trial in intensive care patients. Crit Care. 2012 May 4;16(3):R73. 5. Zaal IJ, Spruyt CF, Peelen LM, et al. Intensive care unit environment may affect the course of delirium. Intensive Care Med. 2013 Mar;39(3):481-8. 以上