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Transcription:

第 6 回大分肝疾患診療教育セミナー ~ コーディネーター育成セミナー ~ 2015 年 1 月 22 日ホルトホール大分 C 型肝炎の最新治療 大分大学医学部消化器内科 本田浩一

C 型慢性肝炎治療の歴史 インターフェロン (IFN)α 承認 IFN+ リバビリン (RBV) 併用 コンセンサス IFN 製剤承認 IFN 再投与および投与期限の撤廃 ダグラタスビル + アスナプレビル承認 IFN 自己注射の承認 ( 従来型 IFNα 製剤のみ ) 肝硬変 (LC) へ IFNβ 製剤 ( フェロン ) または IFNα 製剤 ( スミフェロン ) 1992 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2011 年 2013 年 2014 年 9 月 12 月 PEG 化 IFNの承認 (PEG-IFNα2a) PEG-IFNα2b( ペグイントロン )+RBV 併用の承認 (48 週 ) (1b 高ウイルスのみ ) PEG-IFNα2b+RBV 併用の承認 (24 週 )(1b 高ウイルス以外 ) PEG-IFNα2a( ペガシス )+RBV( コペガス ) 承認 PEG-IFN+RBV+ シメプレビル承認 PEG-IFN+RBV+ バニプレビル承認 PEG-IFNα2b+RBV+ テラプレビル承認

インターフェロン治療の方法と効果 ウィルス型 1 型 2 型 ウィルス量 多い 少ない シメプレビル or バニプレビル + ペグ IFN+ リバビリン 著効率約 90% IFN 単独 著効率 80-90% ペグ IFNα2b または IFNβ+ リバビリン 著効率 80-90% IFN 単独 著効率 80-90%

1 型高ウィルス量患者に対するインターフェロン治療の治療成績の変遷 著効率 (%) 100 90% 90% 90% 80 60 50% 40 20 0 5-10% 20% 1992 年 ~ 2001 年 ~ 2004 年 ~ 2011 年 ~ 2013 年 12 月 ~ 2014 年 12 月 ~ IFNα または β 単独 IFNα + リバビリン ペグ IFN + リバビリン ペグ IFN + リバビリン + テラプレビル ペグ IFN + リバビリン + シメプレビル ペグ IFN + リバビリン + バニプレビル

C 型肝炎ウィルスのライフサイクル Sakamoto, N. and Watanabe, M.: J. Gastroenterol. 2009; 44: 643 より改変

C 型肝炎ウィルスの構造 NS3 領域 NS5A 領域 NS5B 領域 ウィルスが増殖 ( 複製 ) する際に必要なタンパク質を作る これらのタンパク質の働きを抑えるのがこれからの治療薬

これからの治療法 NS3 領域 NS5A 領域 NS5B 領域 NS3 阻害薬 NS5A 阻害薬 インターフェロン (IFN) を使った治療法 ペグ IFN+ リバビリン +NS3 阻害薬 NS5B 阻害薬 インターフェロンを使わない治療法 NA3 阻害薬 +NS5A 阻害薬 NS5A 阻害薬 +NS5B 阻害薬 全て内服薬

シメプレビル併用療法

治療効果判定について 無効 再燃 著効

ペグインターフェロン + リバビリン + シメプレビル併用療法 2013 年 12 月 ~ SVR 率 (%) 100 88.6% 100 100 89.8% 96.6% 100 91.7% 80 80 80 80 60 60 50.9% 60 60 40 40 40 40 38.5% 20 20 20 20 0 109/123 27/53 44/49 22/24 28/29 10/26 0 0 0 初回治療例前治療無効例前治療再燃例初回再燃無効 PEG-IFNα2a PEG-IFNα2b

当院でのシメプレビル併用療法 性別 女性 12 名 (52.2%) 男性 11 名 (47.8%) n=23 ( 人 ) 12 10 8 6 4 2 0 年齢 平均年齢 64.5 ± 11 歳 30 代 40 代 50 代 60 代 70 代 大分大学

治療終了時 HCVRNA 陰性化と SVR4( 治療終了 4 週目著効率 ) ( 人 ) 14 12 終了時 HCV RNA 陰性化 12 人 (100%) 14 12 11 人 (100%) SVR4 10 10 8 8 6 6 4 2 0 0 人 (0%) 終了時陰性終了時陽性 4 2 0 0 人 (0%) 4 週後陰性 4 週後陽性 n=12 n=11 大分大学

PEG-IFNα2b+RBV+SMV3 剤併用療法中止率 中止 8.7 % (2/23) 感染性腸炎 + 敗血症 甲状腺機能亢進症 完遂または投与中 91.3 % (21/23) テラプレビルに比べると中止率が減少したが インターフェロンに伴う副作用があるので注意する必要がある 大分大学

バニプレビル併用療法

新規治療薬バニプレビル 2014 年 12 月 ~ NS3 領域 NS5A 領域 NS5B 領域 NS3/4A 阻害薬 バニプレビルテラプレビルシメプレビルアスナプレビル NS5A 阻害薬 ダクラタスビル NS5B 阻害薬 ソフォスブビル

初回治療例前治療再燃例 前治療無効例 バニプレビル国内第 3 相試験 バニプレビル 12 週 ペグインターフェロン α2b リバビリン バニプレビル 24 週 ペグインターフェロン α2b リバビリン

バニプレビル国内第 3 相試験治療成績 SVR 率 (%) 100 90 83.7 % 92.0 % 80 70 61.9 % 60 50 40 30 20 10 0 82/98 23/25 26/42 SVR 率 初回治療例 前治療再燃例 前治療無効例

ダクラタスビル + アスナプレビル併用療法

インターフェロンを使わない治療法ダクラタスビル + アスナプレビル 2014 年 9 月 ~ NS3 領域 NS5A 領域 NS5B 領域 NS3/4A 阻害薬 アスナプレビルバニプレビルテラプレビルシメプレビル NS5A 阻害薬 ダクラタスビル NS5B 阻害薬 ソフォスブビル

ダクラタスビル + アスナプレビル併用療法 ダクラタスビル ( ダクルインザ ) NS5A 複合体阻害薬 1 回 60mg 1 日 2 回 24 週間連日 アスナプレビル ( スンベプラ ) NS3/4A プロテアーゼ阻害薬 1 回 100mg 1 日 2 回 24 週間連日

ダクラタスビル (NS5A 複製複合体阻害薬 )+ アスナプレビル (NS3/4A プロテアーゼ阻害薬 ) 治療効果 (%) 100 90 80 87.4 % 80.5 % 84.7 % 国内第 3 相試験 70 60 50 40 30 20 10 0 118/135 70/87 188/222 SVR 率 IFN 不適格 不耐容前治療無効合計

投与前の耐性変異出現比率 国内第 3 相試験 214~221 例 ダクラタスビル(NS5A 領域 ) に対する耐性変異 Y93H 検出 14.0 % (30/214 例 ) L31M/V 検出 3.7 % (8/214 例 ) アスナプレビル(NS3/4A 領域 ) に対する耐性変異 D168E 検出 0.9 % (2/221 例 )

ダクラタスビル + アスナプレビル併用療法における NS5A 耐性変異例における治療効果 SVR 率 (%) 50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 25.0 % 2/8 13/30 L31M/V 43.3 % Y93H 耐性変異ウィルスを持った患者さんに対する治療効果は不良 治療の前に耐性ウィルスの有無について調べるように

薬剤耐性ウィルスがいない患者での治療効果 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 86.9 % 91.3 % 179/206 168/184 L31 変異なし Y93 変異なし 耐性変異ウィルスのない患者さんに対する治療効果は良好

ウィルスが消えなかった時の問題点 Suzuki et al. Journal of hepatology 2013, 58(4), 655-662 治療に失敗すると高率に L31, Y93, D168 の変異が出現する 次世代薬による治療の効果が不良になる

投与中の有害事象及び臨床検査値異常 (Grade3/4) n (%) IFN 不適格未治療 / 不耐容例 (n = 135) 前治療無効例 (n = 87) 合計 (n=222) 重篤な有害事象 9 (6.7) 4 (4.6) 13 (5.9) 死亡 0 0 0 有害事象, 全 Grade (>10%) 鼻咽頭炎 40 (29.6) 27 (31.0) 67 (30.2) 頭痛 18 (13.3) 17 (19.5) 35 (15.8) ALT 増加 24 (17.8) 11 (12.6) 35 (15.8) AST 増加 18 (13.3) 10 (11.5) 28 (12.6) 発熱 12 (8.9) 15 (17.2) 27 (12.2) 臨床検査値異常, Grade3/4 (>3%) ALT 上昇 12 (8.9) 4 (4.6) 16 (7.2) AST 上昇 10 (7.4) 2 (2.3) 12 (5.4) ヘモグロビン減少 6 (4.4) 1 (1.1) 7 (3.2) Kumada H, et al. Hepatology. 2014; 59(6): 2083-2091

IFN 不適格未治療 / 不耐容患者における ALT の推移 (IU/L) 700 600 500 投与期間 投与継続中 投与終了後 投与中止時点 ( 肝機能検査値異常による ) A L T 400 300 200 100 0 0 2 (14) 4 (28) 6 (42) 8 (56) 10 (70) 12 (84) 14 (98) 投与開始後日数 * 投与開始後 ALT が 150 IU/L 以上に増加した患者 16 18 20 (112)(126)(140)(154) 22 24 26 (168)(182)(196) 28 ( 週 ) ( 日 ) ダクルインザ スンベプラ併用療法適正使用ハンドブック

ダクラタスビル + アスナプレビル併用療法治療適応患者 ジェノタイプ 1 慢性肝炎または代償性肝硬変 ( ジャノタイプ 2 型の患者さんには使えません ) IFN 治療不適格患者高齢者 うつ病 血小板数低値 貧血 白血球数減少 自己免疫疾患などの患者 IFN 治療不耐容患者以前に IFN 治療を受けたが副作用のため中止した患者 IFN 治療無効患者以前の IFN 治療で 1 回もウィルスが陰性化しなかった患者 [IFN 治療が可能な患者さんや前回の IFN 治療効果が再燃 ( 治療中に一度ウィルスが消失 ) であった患者さんには使えません ]

当院での治療症例の経過投与開始後のALT 値とAFP 値 ALT(IU/L) N=43 250 200 150 100 50 0 治療前 2 週目 4 週目 6 週目 8 週目 500 400 300 200 100 AFP(ng/dl) ( 肝臓がんの腫瘍マーカー ) N=23 0 治療前 4 週目 大分大学

症例 1 HCV RNA (Log IU/ml) 66 歳, 女性 7 6 5 4 3 2 1 0 HCV RNA の推移 ダクラタスビル 60mg/ 日アスナプレビル 200mg/ 日 HCV RNA SVR と判定 ほとんどの患者は 8 週以内にウィルスが陰性化する

ダクルインザ + スンベプラ治療手帳 飲み忘れがないように!

C 型肝炎治療ガイドライン ver. 3 日本肝臓学会編 2014/12

IFN 治療や経口抗ウィルス薬により患者の約 90% はウィルス駆除が可能です 今年はもっと治療効果の高い薬が出る予定です

経口抗ウィルス薬は治療がうまくいかないと耐性ウィルスが発生する 今後さらに治療効果の高い治療法が出てくるのでいつ治療するかが問題 1 型高ウィルス量の C 型慢性肝炎今後の展望 2011 年 2013 年 2014 年 2015 年 IFN リバビリン NS3 阻害薬 PEG-IFN + リバビリン + テラプレビル PEG-IFN + リバビリン + シメプレビル PEG-IFN + リバビリン + バニプレビル 90% NS5A 阻害薬 NS5B 阻害薬 アスナプレビル + ダクラタスビル 85% レディパスビル + ソフォスブビル 著効率 90% 90% 99%