Three cases of elderly patients with infected aortic aneurysms or with suspicion of infected aortic dissection
Vol.42 No.10( 2010)
A B 大動脈瘤 仮性瘤 主気管支 弓部大動脈 右気管支 200 左気管支 肺動脈幹 図 2 症例 1 病理解剖所見 左房 左室前壁 400 A 大動脈弓部の左鎖骨下動脈 分岐部から遠位側に仮性瘤 を認める 太線囲み 感染 性心内膜炎の所見なし B 大動脈壁の破綻 瘤の内腔 には炎症性細胞の浸潤と感 染性血栓を認める を継続した 第 7 病日よりテイコプラニン400mg/日 潰瘍術後 労作性狭心症 閉塞性動脈硬化症 とリファンピシン300mg/日に抗生物質を変更 いっ 家族歴 特記事項なし たんは解熱したものの 炎症反応が遷延した さら 生活歴 喫煙 60本/日 35年 飲酒 機会飲酒 に第63病日よりリネゾリド600mg/日を追加したが 現病歴 2008年 4 月初旬朝 右肩から左側部にか 肝機能障害が出現し 2 日間の投与後中止となる けて刺し込むような胸痛が出現し近医を受診 ニト 経過中透析および濃厚赤血球輸血を適宜施行した ログリセリン舌下錠にて改善せず 当院救急外来を 第86病日 透析中に突然鮮血を嘔吐し出血性ショッ 受診した 急性冠症候群を疑う明らかな所見は認め クを呈し 治療に反応せず第88病日に永眠した なかったが 炎症反応が上昇していたため入院と 病理所見 図 2 肉眼所見 大動脈弓部の左鎖骨 なった 下動脈分岐部付近から遠位にかけて仮性大動脈瘤を 入 院 時 現 症 血 圧149/84mmHg 脈 拍102/分 認め 血管壁の破綻と左肺胞への出血あり 鏡検所 整 体温37.0 心雑音なし 肺雑音なし 見 動脈瘤壁の破綻および瘤の内腔で好中球浸潤を 入院時検査所見 血算 WBC 10,490/μL RBC 伴った感染性血栓を認め 感染性弓部大動脈瘤破裂 310万/μL Hb 10.1g/dL Ht 30.5 PLT 22.1万/ と診断された 菌体の検出は認められなかった 感 μl 凝固 PT-INR 0.92 APTT 28.0秒 Fib 1,035 染性心内膜炎を示唆する所見なし mg/dl D-dimer 3.3μg/mL 生化学 TP 7.3g/dL Alb 3.2g/dL BUN 19.0mg/dL Cr 1.3mg/dL T-Bil 2 症例 2 0.6mg/dL AST 76 IU/L ALT 110 IU/L ALP 253 患者 83歳 男性 IU/L LDH 223 IU/L CK 65 U/L CRP 8.59mg/ 主訴 左側胸部痛 dl Na 137mEq/L K 3.9mEq/L Cl 106mEq/L 既往歴 前立腺癌にてホルモン療法中 十二指腸 BNP 159.4pg/mL 感染性大動脈瘤と感染性大動脈解離が疑われた 3 例 1309
Vol.42 No.10( 2010)
A C B 第13病日 D 第63病日 入院日 第20病日 図 4 症例 2 感染性大動脈瘤CT経過 A 下行大動脈に真性瘤を認める B 瘤径拡大および胸水出現 C 抗生物質投与後 7 日目 瘤径はほぼ不変 D 胸水は少量認めるのみ dl Na 139mEq/L K 4.2mEq/L Cl 103mEq/L 偽腔へ感染が起こり 感染性大動脈解離となったこ 入院時胸部X線所見 CTR 63 縦隔拡大あり とを示唆した しかし 複数回施行した血液培養は 左肺胸水貯留あり 陰性でありGaシンチグラフィを施行するも異常集積 胸部CT所見 図 5 A D 第 1 病日 下行大動脈 は認めなかった 炎症反応が持続し動脈拡大を認め 解離と左胸水貯留を認める 第53病日 B型解離と たためメロペネム1.0g/日の投与を開始したが改善せ しての経過は良好 第67病日 偽腔拡大 および壁 ず バンコマイシン0.5g/日に変更 14日間の投与後 の不整な肥厚あり 第78病日 不整な壁肥厚が改善 臨床症状の改善を得 第78病日での造影CTにて壁不 した 整像の消退傾向を確認した Gaシンチグラフィ所見 Gaの異常集積を認めず 入院後経過 CT上解離腔内の低吸収域の拡大と当 考察 該部位にのみ隣接肺組織の毛羽立ち像を認めた ま 感染性大動脈瘤は 感染による血管壁構造の破綻 た 入院時より認めていた左胸水が急速に増量し 呼 により血管径が増大した状態であり 感染塞栓によ 吸状態が増悪したため 第 4 病日に血清胸水900mL るもの mycotic aneurysm 血管壁への局所感染か を穿刺し Stanford B型大動脈解離 および切迫破 ら新たな瘤が形成されるもの microbial arteritis with 裂と診断した 降圧療法と疼痛管理を行い良好な経 aneurysm 既存の大動脈瘤や血管病変に 2 次的に感 過であった 第60病日より夜間の発熱と原因不明の 染が合併するもの infected preexisting aneurysm 炎症反応上昇が再度出現し CRP 8 10と上昇を認 外傷後のものに分類され 動脈硬化性変化はいずれ めた 造影CT検査にて偽腔に不均一な造影効果の出 の病態にもリスクとなり得る 2 感染の経路としては 現を認め 大動脈径は37mmから50mmと著明に拡 隣接感染巣からの直接波及 感染塞栓によるもの 大しており これらの所見は血栓閉塞が進んでいる 血流中の細菌の栄養血管 vaso vasorum を介した粥 感染性大動脈瘤と感染性大動脈解離が疑われた 3 例 1311
Vol.42 No.10( 2010)
Clin Cardiol Ann Thorac Surg J Vasc Surg J Vasc Surg J Vasc Surg Arch Surg Clin Infect Dis Radiology Radiographics J Vasc Surg Vascular J Vasc Surg