EQ-5D-3L ユーザーガイド EQ-5D-3L に関する基礎知識 各項目において あなたの今日の健康状態を最もよく表している四角 (q)1 つに 印をつけてください 36 移動の程度 歩き回るのに問題はない q 歩き回るのにいくらか問題がある q あなたの今日の健康状態がどのくらい良いか悪いかを

Similar documents
PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft Word - 10 統計 参考.doc

参考:労働統計機関一覧|データブック国際労働比較2018|JILPT

2017 年訪日外客数 ( 総数 ) 出典 : 日本政府観光局 (JNTO) 総数 2,295, ,035, ,205, ,578, ,294, ,346, ,681, ,477

JNTO

And Business

42

地域別世界のエアコン需要の推定について 年 月 一般社団法人 日本冷凍空調工業会 日本冷凍空調工業会ではこのほど 年までの世界各国のエアコン需要の推定結果を まとめましたのでご紹介します この推定は 工業会の空調グローバル委員会が毎年行 なっているもので 今回は 年から 年までの過去 ヵ年について主


Medical3

スライド -3 日本語版 SF-6D に関しては すでに開発と検証が終わっていまして 6 つの下位尺度からなる尺度として利用が始まっています その 6 つの下位尺度とは ここに挙げている身体機能 日常役割機能 社会生活機能 身体の痛み 心の健康 活力といったもので これらの組み合わせで 1 万スライ

地域別世界のエアコン需要の推定について 2018 年 4 月一般社団法人日本冷凍空調工業会日本冷凍空調工業会ではこのほど 2017 年までの世界各国のエアコン需要の推定結果をまとめましたのでご紹介します この推定は 工業会の空調グローバル委員会が毎年行なっているもので 今回は 2012 年から 20

資料の目的 平成 30 年 3 月 7 日の合同部会において 費用対効果評価に関する検討を進めるにあたり 科学的な事項については 医療経済学等に関する有識者による検討を行い 中医協の議論に活用することとされた 本資料は 当該分野の有識者による検討を行い 科学的な観点から参考となる考え方やデータを提示

<4D F736F F D20819A F F15F907D955C93FC82E F193B989F08BD682C882B5816A2E646F6378>

OECD生徒の学習到達度調査(PISA2012)のポイント|国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research

Microsoft Word - 世界のエアコン2014 (Word)

日本皮膚科学会雑誌第117巻第14号

4703ALL01

平均値 () 次のデータは, ある高校生 7 人が ヵ月にカレーライスを食べた回数 x を調べたものである 0,8,4,6,9,5,7 ( 回 ) このデータの平均値 x を求めよ () 右の表から, テレビをみた時間 x の平均値を求めよ 階級 ( 分 ) 階級値度数 x( 分 ) f( 人 )

SEIQoLJAP0703WEBgraph.pdf

分析のステップ Step 1: Y( 目的変数 ) に対する値の順序を確認 Step 2: モデルのあてはめ を実行 適切なモデルの指定 Step 3: オプションを指定し オッズ比とその信頼区間を表示 以下 このステップに沿って JMP の操作をご説明します Step 1: Y( 目的変数 ) の

Exploring the Art of Vocabulary Learning Strategies: A Closer Look at Japanese EFL University Students A Dissertation Submitted t

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft Word - lec_student-chp3_1-representative

( 0-6) (() 第 4 段階第 3 段階第 2 段階第 1 段階点数 0-6 点数 0-6 点数 0-6 点数 0-6 雇用保護法制全体指標 Version2 Version1 常用雇用 ( 正規雇

Microsoft PowerPoint - citation reports11_7_学内用.ppt

青焼 1章[15-52].indd

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ

社会通信教育に関する実態調査 報告書

ITI-stat91

ご参考資料 オーナー経営者経営者の意識調査 - 概要 - 調査期間 2003 年 9 月 1 日 ~10 月 31 日 調査機関日本では ASG グループが本調査の主体になり 日経リサーチ社に調査を委託した 調査の一貫性を保つために 各国のデータの取りまとめは 国際的な調査機関である Wirthli

EBNと疫学

学習者用クイックスタートガイド

公務員倫理問題への新アプローチ

データの取り扱いについて (原則)

目次. はじめに. ログインについて. 画面の機能説明. レーダーチャート. 来店回数. 来店頻度 7. 商圏分析 8. 併用分析 9. 滞在時間 0. 指定日分析. ヒートマップ Copyright FutureScope. Corp ALL Rights Reserv

<4D F736F F D204B208C5182CC94E497A682CC8DB782CC8C9F92E BD8F6494E48A722E646F6378>

日本版WISC-IVテクニカルレポート #6

国際比較からみた介護システムの役割分担

日本における結婚観の変化―JGSS累積データ を用いた分析―

Microsoft PowerPoint - 10JSUC_島津_配布用.pptx

金融調査研究会報告書 少子高齢化社会の進展と今後の経済成長を支える金融ビジネスのあり方

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

図 1 緩和ケアチーム情報共有データベースの患者情報画面 1 患者氏名, 生年月日, 性別, 緩和ケアチームへの依頼内容について,2 入退院記録, 3カンファレンス ラウンド実施一覧,4 問題点のリスト,5 介入内容の記録. 図 2 緩和ケアチームカンファレンス ラウンドによる患者評価入力画面 (

多変量解析 ~ 重回帰分析 ~ 2006 年 4 月 21 日 ( 金 ) 南慶典

和歌山県地域がん登録事業報告書

Masanori Hashimoto Rene Fahr and Hilmar Schneider 1. Hashimoto, Masanori Fahr, Rene and Hilmar Schneider Hashimoto, Masanori 2004 Fahr

<4D F736F F F696E74202D AAE90AC94C5817A835F C581698FE39E8A90E690B6816A2E >

図 1 生徒の科学に対する態度 (2006 年 2015 年 ) ( 項目例 ) 科学の話題について学んでいるときは たいてい楽しい 科学についての本を読むのが好きだ 図 1 生徒の科学に対する態度 2 科学の楽しさ 指標 の変化 ( 項目例

散布度

修-CIA Exam Change Handbook_FAQs_ indd

Présentation PowerPoint

特集 平成 2 5 年 5 月 2 2 日東京税関調査部調査統計課 金の輸出入 2012 年の世界の金需要は 4,405 トン 2012 年に合金も含む金を日本は 132 トン輸出し 11 トン輸入しています 日本の 2006 年から 2010 年の平均年間金産出量は 10 トン足らずですが 200

よこ組/001~000 医療系総合大学における

Microsoft PowerPoint - R-stat-intro_12.ppt [互換モード]

ホームページ・ビルダー サービス「ライトプラン」

Microsoft PowerPoint - データ解析基礎2.ppt

1 Jensen et al.[6] GRT S&P500 GRT RT GRT Kiriu and Hibiki[8] Jensen et al.[6] GRT 3 GRT Generalized Recovery Theorem (Jensen et al.[6])

<4D F736F F F696E74202D C5974C82E8816A94EF817C E397C38B5A8F CC94EF977091CE8CF889CA82CC955D89BF82C68A C982C282A282C481698A54985F816A2E >

14 第 14 章人生の選択 Ⅱ 不確実性について学ぶ 本講での学習のゴール ( 講義後に学生は以下の事項ができるようになっている ) これまで学んだ知識を応用して 自分にあった人生設計をすることができる 生涯予算制約を考えながら 消費と貯蓄の配分ができる リスクとリターンのバランスを考えながら 自

M-JUSD2471b

Microsoft Word - cjs63B9_ docx

Excelによる統計分析検定_知識編_小塚明_1_4章.indd

指数から読み解く日本の政策不確実性の特徴

横浜市環境科学研究所

<89C88CA B28DB88C8B89CA955C8F4390B394C E786C73782E786C73>

インストールマニュアル

(’Ó)”R

Microsoft PowerPoint - sc7.ppt [互換モード]

main.dvi

The Journal of the Japan Academy of Nursing Administration and Policies Vol 12, No 1, pp 49 59, 2008 資料 看護師におけるメンタリングとキャリア結果の関連 Relationship between M

Microsoft PowerPoint ppt

目次 1. XQuartz インストール PlayOnMac インストール Wine のアップデート ターミナル インストール MT4/MT 既知の問題 ターミナルデータ案内 14 2

RSS Higher Certificate in Statistics, Specimen A Module 3: Basic Statistical Methods Solutions Question 1 (i) 帰無仮説 : 200C と 250C において鉄鋼の破壊応力の母平均には違いはな

28 Vol. 43 No. 1 2 Burchardt, Le Grand & Piachaud 1999 Bradshaw et al Gordon et al.2000 Whelan et al.2002 poverty de

<4D F736F F D20819D95BD90AC E93788E528CFB91E58A778CA48B86817C91E682548FCD C >

目次 MSDN/Expression サブスクリプション... 1 MSDN/Expression サブスクリプション管理... 2 MSDN/Expression 特典管理ツール... 2 本マニュアルについて... 2 MSDN/Expression 特典管理ツールへのアクセス方法... 3 特

Q1.65 歳での健康寿命に 65 を足せば 0 歳での健康寿命になりますか A1. なりません 別途 健康寿命の算定プログラム 等を用いて 0 歳での健康寿命を算定する必要があります 例えば 健康寿命の算定方法の指針 の図 4-3 の男の算定結果を見ると 健康な期間の平均が 65 歳時点では 17

untitled

01年譜ほか.indd

Microsoft Word - EDSマニュアル.doc

レビューとディスカッション 機能ガイド

1999

JPN Value-based Healthcare in Japan_main text WEB.pdf

高齢期における幸福感規定要因の男女差について―JGSS-2000/2001統合データに基づく検討―

KHPS JHPS KHPS JHPS KHPS JHPS KHPS JHPS KHPS JHPS KHPS JHPS KHPSKeio Household Panel Survey JHPSJapan Household Panel Survey KHPS,JHPS,KHPS,, KHPS JHP

<4D F736F F D208FAC8A778D5A8A778F4B8E7793B CC81698E5A909495D2816A2E646F6378>

大阪工業大学 授業アンケートシステム 教員側画面操作説明

Microsoft Word - WebServices docx

,.,,.,. NIRA,.,.,,, GDP.,., 1%, 2.0% 3).,,.,,., 1, 4).,,.,, GDP,.,,.,,,.,,., 2002.,,., 3), Q&A Q16 (

社会保障給付の規模 伸びと経済との関係 (2) 年金 平成 16 年年金制度改革において 少子化 高齢化の進展や平均寿命の伸び等に応じて給付水準を調整する マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びはの伸びとほぼ同程度に収まる ( ) マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びは 1.6

商標類 Microsoft は, 米国およびその他の国における米国 Microsoft Corp. の登録商標です Microsoft Office は, 米国 Microsoft Corp. の商品名称です Microsoft Excel は, 米国 Microsoft Corp. の商品名称です

TURNINGPOINT 2008 ソフトウェアのインストール TurningPoint 2008 version 4.3 は ご購入いただいた商品に同封されたインストール CD または KEEPAD JAPAN のホームページから最新版をインストールできます 1. 使用するコンピュータには必ず管理

<4D F736F F D AA96EC82CC837C815B835E838B C6782CC82BD82DF82CC92B28DB F18D908F912E646F63>

マルチエージェントシステムグループの研究計画

睡眠計スリープスキャン 専用データ管理ソフト取扱説明書

資料の目的 平成 30 年 3 月 7 日の合同部会において 費用対効果評価の制度化に向けた検討を進めるにあたり 科学的な事項については 医療経済学等に関する有識者による検討を行い 中医協の議論に活用することとされた 本資料は 基準値についての検討を行うにあたり 当該分野の有識者による検討を行い 科

目次 1. はじめに 2. 実際の応募手続き 2-a. 手続きを始める前に 2-b. 研究開発提案書様式の取得 2-c. 応募の新規登録 2-d. 応募情報の入力 2

1 1 1 [2000]

国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2015)のポイント

Transcription:

EQ-5D-3L ユーザーガイド EQ-5D-3L に関する基礎知識 各項目において あなたの今日の健康状態を最もよく表している四角 (q)1 つに 印をつけてください 36 移動の程度 歩き回るのに問題はない q 歩き回るのにいくらか問題がある q あなたの今日の健康状態がどのくらい良いか悪いかを教えてください このものさしには 0 から 100 までの目盛がふってあります 100 はあなたの想像できる最も良い健康状態を 想像できる最も良い健康状態 100 ベッド ( 床 ) に寝たきりである q 身の回りの管理 身の回りの管理に問題はない q 洗面や着替えを自分でするのにいくらか問題がある q 洗面や着替えを自分でできない q 0 はあなたの想像できる最も悪い健康状態を表しています 今日の健康状態がどのくらい良いか悪いかを このものさし上に X 印をつけて表してください ものさし上に X 印をつけたところの目盛を下の四角に記入してください 95 90 85 80 75 ふだんの活動 ( 例 : 仕事 勉強 家事 家族 余暇活動 ) ふだんの活動を行うのに問題はない q ふだんの活動を行うのにいくらか問題がある q ふだんの活動を行うことができない q 痛み 不快感 あなたの今日の健康状態 = 70 65 60 55 痛みや不快感はない q 中程度の痛みや不快感がある q ひどい痛みや不快感がある q 不安 ふさぎ込み 40 35 50 45 不安でもふさぎ込んでもいない q 中程度に不安あるいはふさぎ込んでいる q ひどく不安あるいはふさぎ込んでいる q 25 20 30 15 10 1997 EuroQol Research Foundation. EQ-5D is a trade mark of the EuroQol Research Foundation. Japan (Japanese) v1.1 2 1997 EuroQol Research Foundation. EQ-5D is a trade mark of the EuroQol Research Foundation. Japan (Japanese) v1.1 3 想像できる最も悪い健康状態 0 5 バージョン6.0 2018 年 12 月改訂 EuroQol Research Foundation 2021

EQ-5D-3L ユーザーガイド改訂版における主な変更点 ユーザーガイド改訂版は EQ-5D-3L の修正を反映して作成された 修正は EQ-5D-3L の自己記入式印刷版に対するもので 説明文と EQ VAS の目盛りとを EQ-5D-5L に合わせて改訂したものである これまでのバージョンでは数字目盛りを VAS にかぶせる形で表記していたが 更新版では目盛りを VAS の右に移している この変更により EQ-5D-3L の自己記入式印刷版 自己記入式電子版 プロキシ版 ( 代理回答者向け版 Proxy 版 ) そして EQ-5D-5L とで 内容が統一された 参考のため 本ユーザーガイドには更新前の EQ-5D-3L VAS の自己記入式印刷版も掲載している EuroQol の新たなウェブサイトで EQ-5D に関する詳細情報が定期的に更新されるようになった これを受けて本ユーザーガイドではハイパーリンクを用いて 該当項目の最新情報を Web 上で確認できるようにしている 作成者 : Mandy van Reenen, Mark Oppe, Kristina Secnik Boye, Mike Herdman, Matthew Kennedy-Martin, Tessa Kennedy-Martin, Bernhard Slaap 日本語版翻訳者 : 五十嵐中, 中村真之介, 鈴木秀一 引用方法 : 本文書の引用方法は以下の通りとする EuroQol Research Foundation. EQ-5D-3L User Guide, 2018. Available from: https://euroqol.org/publications/user-guides. EQ-5D の入手方法 : 研究 臨床試験またはプロジェクトなどで EQ-5D の使用を検討している場合は EuroQol のウェブサイト上の登録フォームから申請すること 申請後 EuroQol 事務局から EQ-5D の使用に関する規約と条件 さらに必要な場合はライセンス料について E-mail で連絡する E メールで連絡する 著作権 : EQ-5D および著作権の発生する関連資料について その使用 複製 修正 改正 改変 翻訳 出版を行うこと さらには電子媒体 紙媒体を問わずいかなる形においても利用可能とする行為は EuroQol 事務局の書面による同意がない限り 許可されないものとする 連絡先 : EuroQol Research Foundation Marten Meesweg 107 3068 AV Rotterdam The Netherlands Tel: +31 (0)88 2026890 E-mail: userinformationservice@euroqol.org www.euroqol.org

目次 1. はじめに 4 1.1 EuroQoL 4 1.2 EQ-5D 5 1.3 EQ-5D-3L 6 1.4 健康状態とは何か? 9 2. EQ-5D-3L の質問票を用いて健康状態を求めるには 10 3. EQ-VAS のスコアリング法 11 4. EQ-5Dの結果を単一サマリーインデックスに換算するには 12 5. EQ-5D-3Lのデータをまとめるには 15 6. EQ-5D-3Lの結果を提示するには 16 6.1 健康プロファイル 16 6.2 EQ VAS 18 6.3 EQ-5D インデックス 19 7. EQ-5D-3L の翻訳と実施方法 22 7.1 EQ-5Dの翻訳 22 7.2 実施方法 23 8. その他 EQ-5D プロダクト 24 8.1 EQ-5D-5L 24 8.2 EQ-5D-Y( ユース ) 25 3 9. EQ-5D-3L の入手方法 26 10. EuroQol のウェブサイト上にあるその他の資料 27 11. 別紙 : イギリス ( 英語版 ) EQ-5D-3L 紙媒体自己記入式版過去バージョン ( サンプルバージョン ) 28 12. 参考文献 31

1. はじめに 本ガイドには EQ-5D-3L * に関して 使用方法 一次元の点数 (QOL 値 ) の算出 換算表 ( タリフ ) EQ-5D で収集したデータからのデータベース構築法 EQ-5D 集計結果の報告方法 使用様式および翻訳版などについて 基本的な情報が記載されている 本ガイドは EuroQol のウェブサイトと合わせて使用するものとする ウェブサイト上には EQ-5D に関するより詳細な情報が定期的にアップデートされている ( 下記参照 ) 本ユーザーガイド内でも 各項目に該当する EuroQol の関連ウェブサイトのリンクを掲載している また EQ-5D の使用に関してさらなる情報や支援が必要な場合は EuroQol 事務局に直接問い合わせることもできる 4 1.1 / EuroQoL EuroQol は協会 ( 以下 EuroQol グループ ) と財団 ( 以下 EuroQol 研究財団 ) からなる組織である EuroQol グループは健康状態の記述や数値化をするツールの開発のみならず 評価ツールを使った科学的研究の実施や支援も行う非営利組織である EQ-5D は EuroQol グループが作成したものであり 選好 (preference) に基づいた健康状態を示す尺度として臨床試験 観察研究および実臨床の現場において世界中で広く使用されている EQ-5D は複数の HTA 機関 ( 医療技術評価機関 ) から 費用効用分析 (CUA) を実施する際の QOL 値の測定ツールとして国際的に推奨されている * EuroQol グループは世界に広がるネットワークであり EQ-5D を用いた研究に携わる広範な学術分野の専門家が さまざまな国から集う組織である EuroQol の科学的専門性を支えているのは 健康状態の測定を専門とする研究者の国際的 学際的ネットワークである協会組織 EuroQol グループである 創設された 1987 年当時 EuroQol グループはヨーロッパの研究者のみからなる組織だったが 今日ではアフリカ アジア ヨーロッパ 南北アメリカ オセアニアから 90 人を超える研究者が参加する世界的なネットワークとなっている * 本ユーザーガイドでは質問票全体を EQ-5D-3L と表現している EQ-5D-3L の中に 5 つの項目からなる EQ-5D 質問票 (2 枚目 ) と EQ-VAS(3 枚目 ) が含まれる

EuroQol グループは過去 30 年間 団体として様々な研究業績を上げてきた 研究分野としては スコアリング法 臨床試験や観察研究における EQ-5D の使用 EQ-5D 質問票に関する実験 アプリケーションの開発 E Q - 5D への回答の解釈 健康状態を自己申告する際の社会的不平等の影響における EQ-5D の役割 若年層の健康状態の測定法とスコアリング法 * の開発などがある EuroQol グループは 1987 年の創設以来 毎年学術会議を開催している EuroQol は公認非営利組織として 得られた収益の全てを EQ-5D の研究 教育およびユーザー支援に投資している EuroQol 研究財団は さまざまなタイプの EQ-5D 質問票の提供と 使用許諾の管理とを世界で行う唯一の組織である EuroQol グループは得られた収益の全てを EQ-5D の研究 教育およびユーザー支援に投資している EuroQol のウェブサイトでは EQ-5D に関する詳細な情報かつ最新動向のほか ユーザーへの助言 多言語版と国 地域別の換算表のリスト EQ-5D に関する主な参考文献 EQ-5D の使用に関する Q&A 集 EQ- 5D の登録手続きと用紙 EuroQol グループに関する情報と連絡先などの情報を掲載している 1.2 / EQ-5D EQ-5D は標準化された健康状態の尺度 として EuroQol グループが開発したもの で 健康状態を簡潔かつ包括的に示す尺 度として臨床評価や医療経済評価に用い られている さまざまなサブバージョンからなる EQ-5D ** は 広範な疾病分野での健康状態の記述と数値化のために考案されたものだが 一般集団の健康状態に関する研究においてもよく使用されている EQ-5D には EQ-5D- 5L EQ-5D-3L EQ-5D-Y の 3 つのバージョンがあり 過去 25 年以上に渡って 臨床試験や観察研究 実臨床の現場などで広く使用されてきた 質問票の妥当性や信頼性 応答性も 様々な条件や集団においてすでに実証 されている EQ-5D は世界各国で使用されており 厳格なプロセスに沿ってほとんど全ての主要な言語に翻訳済みである EQ-5D の各バージョンは短いアンケートからなり 認知的負荷は小さく わずか数分で完了できるものである EQ-5D は健康状態を簡潔な記述と一次元の点数 (QOL 値 ) で表すものであり 臨床評価や医療経済評価 集団に対する観察研究などに役立てられるものである EQ-5D は回答者自らが記入できるように作成されており 紙媒体とデジタル版の双方が開発されており オンライン調査や郵送調査 臨床現場および面談 ( 対面または電話 ) 調査などさまざまな調査手法に対応可能である また 自ら回答することが難しい集団に対しては プロキシ版もある (7.2 章 ) 回答者への説明文も質問票の中に含ま 5

れている 医療経済評価に用いる際に必要な EQ-5D-5L および -3L の換算表 (Value set) も数多くの国で開発済みで 使用可能な国の数は現在も増えている (EQ-5D への回答を一次元の点数 (QOL 値 ) に換算する方法に関してはセクション 4 を参照のこと またスコアリング法の研究に関するより詳細な情報は EuroQol のウェブサイトを参照 ) 1.3 / EQ-5D-3L EQ-5D 3 レベルバージョン (EQ-5D-3L) は 1990 年に開発され 健康関連 QOL (Quality of Life) の測定方法として最も広く用いられる質問票の一つである 現在 EQ-5D-3L の自己記入版 or 自己記入バージョンは 180 以上の言語に翻訳されている ( セクション 7 参照 ) EQ-5D-3L は基本的に 2 ページからなる 一つは EQ-5D 質問票 ( アンケートの 2 枚目 ) もう一つは EQ-VAS(EQ-5D 視覚的アナログ尺度 )(3 枚目 ) である EQ-5D-3L 質問票は以下の 5 つの項目から構成されている 移動の程度 身の回りの管理 ふだんの活動 痛み / 不快感 不安 / ふさぎこみ 各項目に対しては 問題なし いくらか問題がある 全くできない ( ひどく問題がある ) の 3 段階から回答する ( それぞれ レベル 1, レベル 2, レベル 3 に対応する ) 回答者は自らの健康状態を 5 項目それぞれについて最も適したところをチェックすることで示す EQ VAS は回答者自らの健康状態を 垂直の VAS 上の任意の点をチェックすることで示すものである 上端と下端はそれぞれ 想像できる最もよい健康状態 および 想像できる最も悪い健康状態 となっている この情報は各々の回答者が自ら判断した健康状態を定量化したものとして用いることができる EQ-5D-3L 自己記入式印刷版 ( 日本語版 ) の質問票および VAS 尺度について サンプル版を次ページ以降に示した ( 図 1) EQ-5D-3L の電子版自己記入式のデモ版は EuroQol のウェブサイトで閲覧可能である EQ-5D 質問票における各項目の重症度 6 1 から 3 の段階は各項目の重症度を示しており 健康状態の数量的な記述の一部として用いられている ( セクション 1.4 参照 ) しかし これらのレベルは数値としての性質を持たない名義尺度であり サマリースコアの算出に用いてはならない 一次元の点数 (QOL 値 ) を求めるには適切な換算表が必要で 各国 地域の一般集団の価値観に基づいた数値化 ( 重みづけ, valuation) がなされなくてはならない ( セクション 4 参照 ) 注 : 実施方法別 国別の EQ-5D-3L 最新版は EuroQol のウェブサイトをチェックすること

図 1 / 日本語版 EQ-5D-3L 自己記入式印刷版 ( サンプルバージョン ) 各項目において あなたの今日の健康状態を最もよく表している四角 ()1 つに 印をつけてください 移動の程度歩き回るのに問題はない歩き回るのにいくらか問題があるベッド ( 床 ) に寝たきりである身の回りの管理 身の回りの管理に問題はない 洗面や着替えを自分でするのにいくらか問題がある 洗面や着替えを自分でできない ふだんの活動 ( 例 : 仕事 勉強 家事 家族 余暇活動 ) ふだんの活動を行うのに問題はない ふだんの活動を行うのにいくらか問題がある ふだんの活動を行うことができない 痛み / 不快感 痛みや不快感はない 中程度の痛みや不快感がある ひどい痛みや不快感がある 不安 / ふさぎ込み 不安でもふさぎ込んでもいない 中程度に不安あるいはふさぎ込んでいる ひどく不安あるいはふさぎ込んでいる SAMPLE 7

8 あなたの今日の健康状態がどのくらい良いか悪いかを教えてください このものさしには 0 から 100 までの目盛がふってあります 10 0 はあなたの想像できる最も良い健康状態を 0 はあなたの想像できる最も悪い健康状態を表しています 今日の健康状態がどのくらい良いか悪いかを このものさし上にx 印をつけて表してください ものさし上に x 印をつけたところの目盛を下の四角に記入してください あなたの今日の健康状態 = SAMPLE 注 :EQ-5D-3L の過去のバージョンでは目盛りが EQ VAS にかぶさる形で表記されていた ( 別紙参照 ) 今後の調査ではEQ-5D-3Lの最新版を用いることが望ましい 想像できる最も良い健康状態 100 95 90 85 80 75 70 65 60 55 50 45 40 35 30 25 20 15 10 想像できる最も悪い健康状態 5 0

1.4 / 健康状態とは何か? EQ-5D 質問票にある 5 つの項目それぞれに対して どの程度問題があるかを 3 段階 (3 レベル ) 設定している レベル 1: 問題ないレベル 2: いくらか問題があるレベル 3: ひどく問題がある ( 全くできない ) 5 つの項目それぞれについて 3 レベルのいずれかを選んで組み合わせることで 回答者個人の健康状態が定義される 考えうる健康状態は全部で 3x3x3x3x3=243 通りあり これらは 5 ケタの数字で表される 例えば 上図を上から時計回りに見たときに 11223 という状態は移動の程度と身の回りの管理には問題がなく ふだんの活動を行うのにはいくらか問題があり 中程度の痛みあるいは不快感があり ひどく不安あるいはふさぎ込んでいることを表している 一方で 11111 は 5 項目いずれにも問題がないことを表す 移動の程度 不安 / ふさぎ込み 健康状態 身の回りの管理 痛み / 不快感 ふだんの活動 EQ-5D の 5 項目 9

2. EQ-5D-3L 質問票を使って健康状態を表現するには 以下は EQ-5D-3L 質問票を用いてどのように健康状態を表現 回答するかを示した回答例である 各項目において あなたの今日の健康状態を最もよく表している四角 ()1 つに 印をつけてください 移動の程度 歩き回るのに問題はない歩き回るのにいくらか問題があるベッド ( 床 ) に寝たきりである 身の回りの管理 身の回りの管理に問題はない洗面や着替えを自分でするのにいくらか問題がある洗面や着替えを自分でできない ふだんの活動 ( 例 : 仕事 勉強 家事 家族 余暇活動 ) ふだんの活動を行うのに問題はないふだんの活動を行うのにいくらか問題があるふだんの活動を行うことができない 痛み / 不快感痛みや不快感はない中程度の痛みや不快感があるひどい痛みや不快感がある 不安 / ふさぎ込み不安でもふさぎ込んでもいない中程度に不安あるいはふさぎ込んでいるひどく不安あるいはふさぎ込んでいる 各項目のレベルは次のように数値化する : レベル 1 は 1 と表記 レベル 2 は 2 と表記 レベル 3 は 3 と表記 10 注 : 各項目ごとに 一つの選択肢にのみ回答する 欠測値は 9 と表記する 曖昧な値 ( 例 : 一つの項目に二つ回答がある場合 ) は欠測値として扱う 上の例は EQ-5D-3L 自己記入式印刷版のものである インタビュー版 プロキシ版の説明はそれぞれの質問票に記載している

3. EQ VASのスコアリング法 以下は EQ-5D-3L 自己記入式印刷版における EQ VAS の回答例である 想像できる最も良い健康状態 あなたの今日の健康状態がどのくらい良いか悪いかを教えてください このものさしには 0 から 100 までの目盛がふってあります 100 はあなたの想像できる最も良い健康状態を 0 はあなたの想像できる最も悪い健康状態を表しています x 100 95 90 85 80 75 今日の健康状態がどのくらい良いか悪いかを このものさし上に X 印をつけて表してください ものさし上に X 印をつけたところの目盛を下の四角に記入してください 70 65 60 55 この例ではスコアは 77 となる 50 あなたの今日の健康状態 = 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 想像できる最も悪い健康状態 11 注 : 欠測値は 999 と表記する 注 : 回答者が目盛の上に付けた印の数字と 空欄に記入した数字が異なる場合は 空欄に記入された数字を回答として使用することが慣例となっている ( 自己記入式印刷版のみに適用 )

4. EQ-5Dの回答を一次元のQOL 値に換算するには EQ-5D 質問票に回答することで 5 つの項目それぞれに対して回答者が感じている問題の度合いを反映した 5 ケタの健康状態プロファイルが得られる (1.4 節を参照のこと 例 :11223) こうして得られた EQ-5D の健康状態プロファイルは一次元の点数 (QOL 値もしくは効用値 *) に換算できる このスコアは 個別の健康状態の良し悪しを 国 地域の一般集団の選好を基に価値付けしたものである QOL 値を算出できることは EQ-5D 質問票の大きな特徴であり 医療経済評価のアウトカム指標としてよく用いられる質調整生存年 (QALYs) を簡便に求めることができる 12 一次元の点数である Q O L 値 効用値は E Q - 5D の各項目 各レベルごとに値を割り当てて ( 重み付けして ) 計算することで得られる 具体的には 完全な健康状態を示す "QOL 値 1.0"( すなわち 11111 の状態 ) から 回答に応じて適切な値を減算することで得られる 考えられるすべての健康状態に対して適切な数値を割り当てたものを換算表 (value set) と呼ぶ EQ-5D の換算表のほとんどは 標準的な手法によって開発されてきた 標準的な手法とは 各国 地域の一般の人々を代表したサンプル集団に対して 時間得失法 (Time trade-off, TTO) や VAS などを用いて EQ- 5D で示された健康状態に価値付けを行うも のである このような手法を取ることで 社会の立場からの選好を反映したスコアを算出することができる EQ -5D -3L の換算表は多くの国で作成されており 日本版の換算表もある ( 表 1 参照 ) ( 表 1 参照 ) EQ-5D の換算表の研究は引き続き世界各国で行われており EuroQol のウェブサイトでは使用可能な換算表の一覧の最新版が掲載されている ** 調査を行いたい国 地域の換算表がない場合は 特性が最も近いと思われる国 地域の換算表を用いることができる ( 日本語版訳注 : 日本語版の EQ-5D-3L の換算表は 脚注の論文を参照 ) * * 英語版では index value と表記され preference weights, preference-based values, utilities, QALY weights などと記載されることがある ** 日本語版訳注 日本語版 EQ-5D-3L の換算表は 以下の文献から得られる Tsuchiya A, Ikeda S, Ikegami N, et al. Estimating an EQ-5D population value set: the case of Japan. Health Econ. 2002;11(4):341 53. 日本語版 EuroQol の開発. 西村周三, 土屋有紀, 久繁哲徳, 他. 医療と社会 1998; 8(1): 109-23.

表 1 / EQ-5D-3L の換算表の一覧 国 地域 データ収集年 N 評価方法国 地域 ジンバブエ 2 2000 2440 TTO アフリカ アジア データ収集年 N 評価方法 中国 3 2011 1147 TTO 中国 4 2014 5503 TTO 日本 5 1998 621 TTO 韓国 6 2007 1264 TTO マレーシア 7 2004 2005 153 VAS+TTO シンガポール 8 2014 a 456 TTO スリランカ 9 2015 a 736 TTO 台湾 10 2007 456 TTO タイ 11 2007 1409 TTO ヨーロッパ ベルギー 12 2001 722 VAS デンマーク 13 2000 1332 TTO ヨーロッパ (6 ヶ国 ) b 14 1991 1998 8709 VAS フィンランド 15 1992 1634 VAS フランス 16 2013 443 TTO ドイツ 17 1997 1998 339 VAS+TTO イタリア 18 2012 439 TTO オランダ 19 2003 309 TTO ポーランド 20 2008 305 TTO ポルトガル 21 2012 450 TTO スロベニア 22 2000 733 VAS スペイン 23 1997 1000 TTO スウェーデン 24 2004; 2006 49169 VAS+TTO 英国 25 1993 3395 TTO 南北アメリカ アルゼンチン 26 2003 2004 611 VAS+TTO ブラジル 27 2011 3362 TTO カナダ 28 2012 a 1145 TTO チリ 29 2008 2000 TTO トリニダード 2015 307 DCE/TTO 31 米国 2002 4048 TTO トバゴ 30 オセアニア オーストラリア 32 2011 a 417 TTO ニュージーランド 33 1999 1360 VAS 13 a 発行年 b フィンランド ドイツ オランダ スペイン スウェーデン 英国 DCE 離散選択実験 (discrete-choice experiment);tto 時間得失法 (time trade-off); VAS, EQ-VAS

換算表に関してもっと知りたい場合は : 換算表の選択に関する情報は EuroQol のウェブサイトを参照すること 換算表 (Value set) の作成についてまとめたガイドブックが 2007 年に刊行されている EuroQol Group Monographs Volume 2. EQ-5D Value Sets: Inventory, Comparative Review and User Guide (Springer 2007). https://www.springer.com/gp/ book/9781402055102 で閲覧可能 QOL 値の算出アルゴリズムや アルゴリズムそのものの開発に関する情報 全 243 通りの健康状態のスコアリング表およびシンタックスファイル * が必要な場合は EuroQol 事務局に問い合わせること * シンタックスファイルとはコンピュータ プログラムの一種で 統計処理ソフト上で実行することにより 自動的にデータベース内の EQ-5D データを QOL 値に換算できるものを指す 14

5. EQ-5D-3Lのデータをまとめるには EQ-5D-3L を用いて集めたデータは以下の要領でデータベース化することができる 変数名称 ID 国年移動の程度 身の回りの管理 ふだんの活動 痛み / 不快感 不安 / ふさぎ込み 変数の説明患者 ID 1= 問題なし 1= 問題なし 1= 問題なし 1= 問題なし 1= 問題なし 2 =いくらか 問題あり 2 =いくらか 問題あり 2 =いくらか 問題あり 2 =いくらか 問題あり 2 =いくらか 問題あり 3 =ひどく問題 あり 3 =ひどく問題 あり 3 =ひどく問題 あり 3 =ひどく問題 あり 3 =ひどく問題 あり 9= 欠測値 9= 欠測値 9= 欠測値 9= 欠測値 9= 欠測値 データ行 1 1001 UK 2006 2 1 2 2 1 データ行 2 1002 UK 2006 1 1 1 1 1 変数名称健康状態 EQ_VAS 性別年齢教育水準方法社会経済状況 変数の説明 999= 欠測値 1= 男性 2= 女性 999= 欠測値 1= 低 2= 中 0= 郵送 1= 対面 1= 就業中 2= 退職 15 9= 欠測値 3= 高 2= 電話 9= 欠測値 9= 欠測値 9= 欠測値 データ行 1 21221 80 1 43 1 0 1 データ行 2 11111 90 2 24 2 0 4 注 : 変数の名称は例示に過ぎないが EQ-5D 質問票の 5 項目に対応する変数はそれぞれ 移動の程度 (mobility) 身の回りの管理 (self-care) 活動 (activity) 痛み (pain) 不安 (anxiety) とするのが望ましい

6. EQ-5D-3L の結果を提示するには EQ-5D-3L を用いて収集したデータは様々な形で提示することができるが 基本的な枠組みは EQ-5D-3L の構成に従い 次のようになるだろう 1. EQ-5D 質問票の回答をプロファイルとして ( 各項目の回答をそのまま ) 提示 2. EQ VAS から得た健康状態の全体的な自己評価尺度を提示 3. スコアリング法を用いて換算した一次元の点数 (QOL 値 ) を提示 どのように結果の提示するかは データや各研究者がどのようなメッセージを相手に伝えたいかによって決まる 以下では EQ-5D のデータ提示に関して基本的な方法を説明する 16 6.1 / 健康状態プロファイル 患者報告アウトカム (Patient Reported Outcomes, PRO) データに関する記述統計の報告は大きな知見をもたらし得る 患者あるいは集団の健康状態のうち 疾患の影響を最も大きく受けたり 治療によって最も大きく改善する要素は何なのかを解明するデータとなりうる このような情報は 一次元の点数 (QOL 値 ) からはなかなか得られない EQ-5D 質問票の各項目で 患者がどのレベルにチェックしたかの情報も 有用な知見となり得る それゆえ 調査結果を報告する際には EQ-5D の各項目各レベルごとの回答者数と全体に占める割合とを示すことは重要 である 項目 レベルごとの頻度もしくは割合 あるいはその両方を表にまとめて提示することが望ましい 表 2 はイタリアのロンバルディア州の一般成人集団 6,800 人に対して最近行われた EQ-5D-3L( および 5L) を用いた調査の例で 年齢 性別および地理的分布を見たものである 34 調査を行った研究者らは完全な健康状態を示す 11111 の患者の割合 ( 4 3. 9 % ) とともに 年齢および性別で結果を層別化して示している ( 以下の表では省略 ) 割付られた治療群など さらに細かいサブグループで層別化した表を作成することも可能である また 年齢 治療前 治療後 介入群対対照群など下位群ごとの割合を表に含めてもよい

表 2 / EQ-5D-3L の項目 レベル別頻度 34 移動の程度 N (%) 身の回りの管理 N (%) ふだんの活動 N (%) 痛み / 不快感 N (%) 不安 / ふさぎ込み N (%) レベル 1 5880 (86.5) 6535 (96.1) 5984 (88.0) 3971 (58.4) 4524 (66.5) レベル 2 899 (13.2) 249 (3.7) 759 (11.2) 2709 (39.8) 2163 (31.8) レベル 3 21 (0.3) 16 (0.2) 57 (0.8) 120 (1.8) 113 (1.7) 合計 6800 (100) 6800 (100) 6800 (100) 6800 (100) 6800 (100) 場合によっては EQ-5D の 3 レベルを 問題なし ( レベル 1) と 問題あり ( レベル 2 とレベル 3 ) というように二群に分けて 回答を 問題の有無 の二値データ化した方が便利なこともある また 患者の健康状態はある時点での断面的な状態だけでなく 介入前後での比較や臨床試験におけるベースラインからの変化など 経時的変化も記述する方が有用なことも ある 下の例は EQ-5D 質問票データの値を治療前後で比較したものである Devlin et al (2010) は英国 NHS (National Health Service) において人工股関節置換手術前後における 問題があると回答した患者数とその割合を項目別 ( 表 3 参照 ) に調査したところ 患者の移動の程度だけではなく 不安あるいはふさぎ込み 身の回りの管理および痛みあるいは不快感に関しても改善が見られたことを示した 35 表 3 / EQ-5D の各項目におけるレベル別患者数と割合 : 人工股関節置換手術における術前 術後比較 35 移動の程度 身の回りの管理 ふだんの活動 痛み / 不快感 不安 / ふさぎ込み レベル 1 レベル 2 レベル 3 a 合計 術前 19 (4.3%) 420 (95.7%) 0 (0%) 439 (100%) 問題あり b 420 (95.7%) 問題ありと回答した患者数の増減 術後 239 (54.4%) 200 (45.6%) 0 (0%) 439 (100%) 200 (45.6%) 術前 168 (38.6%) 264 (60.7%) 3 (0.7%) 435 (100%) 267 (61.4%) 術後 319 (73.3%) 115 (26.4%) 1 (0.2%) 435 (100%) 116 (26.6%) 術前 15 (3.4%) 347 (79.6%) 74 (17.0%) 436 (100%) 421 (96.6%) 術後 199 (45.6%) 221 (50.7%) 16 (3.7%) 436 (100%) 237 (54.4%) 術前 1 (0.2%) 240 (55.3%) 193 (44.5%) 434 (100%) 433 (99.8%) 術後 219 (50.5%) 200 (46.1%) 15 (3.4%) 434 (100%) 215 (49.5%) 術前 240 (55.5%) 183 (42.4%) 9 (2.1%) 432 (100%) 192 (44.5%) 220 151 184 218 109 術後 349 (80.8%) 74 (17.1%) 9 (2.1%) 432 (100%) 83 (19.2%) 17 問題ありと回答した患者数の増減率増減率の大きさの順位 52% 57% 44% 53% 57% 3 1 4 2 1 a 術前 術後の両方で回答が得られた方のデータをまとめている 術前に EQ-5D 質問票に回答した方のうち 約 84% が術後も質問票に回答した b 問題あり = レベル 2 とレベル 3 の回答者の合計

表 3 のような形の表には非常に有用な情報が含まれているものの 読みづらいこともあり 全体の要約量の方が役に立つ場合もある こうしたデータを簡素化する方法として 厚生経済学で言うところのパレート改善の原則に基づく 健康変化のパレート分類 (Pareto Classification of Health Change (PCHC). 35 ) がある この方法では E Q - 5 D で表現された健康状態を他の健康状態と比べたときに 5 項目のうち少なくとも 1 つの項目が他の健康状態のそれよりも優れており なおかつ残りの 4 項目で他の健康状態のそれよりも悪くなければ その健康状態はもう一方の健康状態よりも 改善した とみなされる 同様に 少なくとも一つの項目で他の健康状態のそれよりも悪く かつ他の 4 項目で他の健康状態のそれよりも良くなければ その健康状態はもう一つの健康状態よりも 悪化した とみなされる こうした原則に基づき患者の EQ-5D の健康状態の経時的変化を見 ると 以下の 4 つの可能性に絞られることになる 健康状態が改善した 健康状態が悪化した 健康状態は全く変化していない 健康状態の変化は一方向ではない ある項目では改善し 別の項目では悪化している Devlin らがこの区分に従って表 3 の人工股関節置換手術データを分析したところ 健康状態に変化がなかったのは 5% 未満 健康状態が改善したのは 82% 悪化したのは 5% 未満 そして変化がまちまちだったのは 10% 未満だったことが分かった 35 このように 換算表を用いて一次元化することなく単純に分析した方が 人工股関節置換手術によって患者の健康状態に起きた変化を明確に描写することができる 6.2 / EQ VAS 18 上述のように EQ VAS は 0 から 100 の間で患者の現在の健康状態を患者自身が示す尺度である EQ VAS によって得られるデータは患者自身が自らの健康状態を評価するものであって 一般集団の選好によって集約されるプロファイルとは異なる よって Q O L 値とは概念的に異なるものであり 追加的なデータを提供するものである EQ VAS データを提示する際は 代表値とばらつき度合いの双方を明示することが重要である 平均値および標準偏差 (SD) を用いることもあるが データの歪みが著しい場合は中央値と四分位範囲 (IQR) を用いることもできる 以下に 2 つの例を示す 2008 年の中国での National Health Service Survey(n=120,709 年齢 :15 103 歳 ) から得られた EQ-5D-3L のデータを Sun et al (2015) が報告している 36 この研究では EQ VAS スコアの平均値 ( 標準偏差 ) は 80.1(14.1) だった Spaetgen らがオランダで行った研究では 痛風患者 (n=110) の EQ-5D-3L のデータが示された 37 EQ VAS の平均値 ( 標準偏差 ) および中央値 ( 四分位範囲 ) はそれぞれ 66.1(15.4) 70(57-77) となった EQ VAS のデータは ヒストグラムなどグラフで提示することもできる ( 図 2 )

図 2: EQ-5D-3L VAS 度数分布 ( 仮想データ ) 頻度 6.3 / Q O L 値 ( 効用値 ) QOL 値 * に関する情報も EQ VAS データとほぼ同じように提示することができる すなわち QOL 値も代表値と分布の度合いの両方を明示できるということである 平均値および標準偏差 ( あるいは標準誤差 ) を用いることもできるし データが著しく歪んでいる場合は中央値と 25% 75% のパーセント値とで代用してもよい また値を報告する際の有効数字は 通常 最大で小数第 3 位までで十分である EQ-5D-3L-VAS 表 4 は米国の医療費支出パネル調査 (Medical Expenditure Panel Survey, MEPS) に集積されているデータ (2000-2002 年 ) を用いて成人 38,678 人のデータセットを作成し 年齢階級別に QOL 値を示した例である 38 表 4 / 年齢階級別 EQ-5D-3L の QOL 値 38 ** 年齢群 EQ-5D 平均値 EQ-5D 標準誤差 18 29 0.922 0.0019 30 39 0.901 0.0021 19 40 49 0.871 0.0024 50 59 0.842 0.0028 60 69 0.823 0.0034 70 79 0.790 0.0036 80 0.736 0.0062 * 日本語版訳注 日本の費用対効果評価ガイドラインなどでは 効用値 を用いずに QOL 値 の表現を使っている もっとも海外の文献などでは QOL score よりも utility score の方が一般的であり ここでは両者の表現を残して表記したものである

表 5 は介入研究において EQ-5D-3L を用いて QOL 値をどのように提示するかを示した仮想例である 薬剤 A と薬剤 B とを比較 した時 QOL 値の改善は 12 週時点で 0.08 ( p < 0. 0 5) であった 表 5: EQ-5D-3L を用いて QOL 値で評価した治療効果 ( 仮想データ ) 評価時点 薬剤 A 薬剤 B a p 値 N 平均 ( 標準偏差 ) N 平均 ( 標準偏差 ) ベースライン 229 0.59 (0.30) 227 0.60 (0.28) 0.6345 12 週 194 0.57 (0.32) 186 0.65 (0.29) 0.0149 a t 検定を使用 データはグラフで提示することもできる 仮想例の図 3 では EQ-5D-3L を用いて QOL 値で測定した場合 健康状態が最も良かったのはサブグループ 3 で サブグループ 1 が最も健康状態が悪かった 全サブグループ間で QOL 値は有意に異なっていた (p<0.05) 図 3: 全患者集団および 3 つのサブグループでの QOL 値の平均値と 95% 信頼区間 ( 仮想データ ) 20 QOL 値 患者全体 サブグループ 1 サブグループ 2 サブグループ 3

研究プロトコール 研究プロポーザルで EQ-5Dの概要 結果の報告および分析方法を記述する際の文例研究プロトコールやプロジェクトの提案を提出するときに EQ-5Dそのものの概要や EQ-5Dの結果をどのように報告 分析するかについての説明および記述を求められる場合が多い 以下では介入研究を例にとって EQ-5D-3Lについてどのような情報を記載すればよいかの文例を示す EQ-5Dについて EQ-5D-3L 1 は健康状態の評価のために広く用いられている 2 部構成の指標である 質問票の前半部分は5 つの項目 ( 移動の程度 身の回りの管理 ふだんの活動 痛み 不快感 不安 ふさぎ込み ) からなり 各項目それぞれ 3つのレベルから 1つを回答し ( 問題なし いくらか問題がある ひどく問題がある / できない ) 5 桁の健康状態プロファイルにまとめられ例えば ある患者が 11223 と回答した場合 健康状態は 移動の程度と身の回りの管理には問題なし ふだんの活動はいくらか問題あり 中程度の痛みや不快感があり ひどく不安またはふさぎ込んでいる と表現される それぞれの健康状態は 各項目 各レベルに対する社会の選好を反映した換算表に基づいて 一次元のサマリーインデックススコア (QOL 値 効用値 ) に転換できる この QOL 値 ( 効用値 ) は 医療経済分析に用いられる質調整生存年 (QALYs) の算出によく用いられる QOL 値は0 未満 (0は死亡 0 未満は死亡よりもひどい状態であることを示す ) から1( 完全な健康状態 ) までの範囲で示される一次元の数値となる 数値が大きいほど QOL 値は高く 同じ健康状態に対する QOL 値は国によって異なる 質問票の後半部分はVAS であり 患者自らが健康状態を 0 ( 想像できる最も悪い健康状態 ) から100( 想像できる最も良い健康状態 ) の間で評価する EQ-5Dの質問票は認知的負荷が少なく わずか数分で完了できるものである 患者用説明文は 質問票内に含まれている 結果の報告と分析 EQ-5Dの評価結果は 来院ごと 介入ごとにまとめて記述する 要約統計量は EQ-5Dの5 項目それぞれについて 各レベルの回答者数および割合とを算出して提示する QOL 値は [ 該当する国 地域の換算表および参考資料を挿入すること 該当する国 地域の換算表がない場合は最も近い国 地域の換算表を代用することも可能 *] を用いて算出される 来院ごと 介入ごとに分けて 平均値と標準偏差 (SD) 最小値 中央値 最大値を報告する EQ VAS スコア (0から 100) は来院ごと 介入ごとに分けて 平均 標準偏差 最小値 中央値 最大値を報告する QOL 値および EQ VASスコアはベースラインからの変化量を [ 質問票の評価時点を挿入すること 例 :12 週目 24 週目 ] および [ 最終評価時点を挿入すること 例 :5 2 週目 ] にて報告する 統計分析に使用するモデルの種類と モデルに組み込む共変量および固定効果は研究ごとに異なる 例えば ベースラインから [ 評価時点 ] までの変化量については共分散分析 ( A N C O V A ) モデルをあてはめ 国と治療群とを固定効果 ベースライン値を共変量に設定する この例では 治療群内での有意な変化の有無と 治療群間での有意差の有無を報告する 21 * さらに詳しい情報は EuroQol のウェブサイトの換算表の選択に関するセクションを参照すること

7. EQ-5D-3Lの翻訳と調査の実施法 7.1 / EQ-5D の翻訳 EQ-5D-3L( 自己記入式印刷版 ) には180 以上の公式言語バージョンが存在する EQ-5D の翻訳 翻案は全て 国際的に認められているガイドラインに則った標準化翻訳手順に従い行われている こうしたガイドラインの目的は 原文 となる英語版との同等性を担保することであり 順翻訳 (forward translation) 逆翻訳 (back translation) さらに認知デブリーフィング (cognitive debriefing) を伴う手順となっている 39 新たな翻訳版の作成は申請があ れば行うことができる EuroQol 事務局が新 たな翻訳版の作成の管理を行うが 通常 翻訳 にかかる費用は翻訳を申請するクライアントの 負担とする EQ - 5D の翻訳手順に関してより詳 しい手順が知りたい場合は EuroQol のウェブサイトを参照するか EuroQol 事務局に問い合わせること 調査の実施法ごとの EQ-5D- 3L 翻訳版の整備状況については 次のセクションを参照すること 22

7. 2 / 実施方法 EQ-5D-3L にはさまざまなバージョンが用意されている ( 表 6) 表 6 / EQ-5D-3L のバージョン別対応言語数 実施方法 対応言語版の数 自己記入式版 紙媒体 印刷版 (paper) >180 PDA / スマートフォン (PDA/smartphone) >90 タブレット (Tablet) >100 パソコン (Laptop/Desktop) >70 REDCap プラットフォーム a >50 インタビュー版 対面 (Face-to-face) >30 電話 (Telephone) >90 プロキシ ( 代理回答者 ) 版 プロキシ版 1 (Proxy 1) b >40 プロキシ版 2 (Proxy 2) c >80 音声自動応答システム版 IVR システム版 >30 To find out whether an EQ-5D-3L language version is available for your country/ a REDCap は オンライン調査の設計 運用 データベース構築向けに作成された セキュリティレベルの高い Webアプリケーションである REDCapは 研究によるデータ取得に特化して設計されている REDCapに関する詳しい情報は EuroQol のウェブサイトを参照すること b プロキシ版 1: 介助者自身が評価した患者の健康状態を回答する 23 c プロキシ版 2: もし患者が自分自身で質問票に回答できるとしたら どのよ うに健康状態を評価するか? を介助者が考えて回答する 調査を行いたい国 地域の EQ-5D-3L の対応言語版が存在するかどうかは EuroQol のウェブサイトの該当する実施方法のセクションを参照すること 対応言語版が現在利用できないときは EuroQol 事務局に問い合わせること

8. 他のEQ-5D 関連資材 8.1 / EQ-5D-5L EQ-5D-5LはEQ-5D-3Lと同じ 5 項目からなる質問票だが 各項目の選択肢は 問題なし 少し問題がある 中程度の問題がある かなりの問題がある 極度の問題がある の 5 つの選択肢が存在する 現在 EQ-5D-5L には 150 以上の対応言語版 ( 自己記入式版 ) が 実施方法別に利用可能である EQ-5D-5L の開発状況 自己記入版 インタビュー版 紙媒体 対面 PDA / スマートフォン 電話 タブレット PCンプロキシ ( 代理回答者 ) 版 REDCapプラットフォーム音声自動応答システム版 24 EQ-5D-5L の換算表も 標準のスコアリングアルゴリズム開発プロトコールに従って 日本語版も含めたさまざまなバージョンが開発されている スコアリング研究の世界的な状況 ( 現在進行中 完了したものを含む ) や公開済みの換算表に関する資料は EuroQol のウェブサイトで確認できる * また EQ-5D-3L と EQ-5D-5L を比較した研究の一覧も EuroQol のウェブサイトに記載している EQ-5D-5L についての詳しい情報や 調査対象の国 地域に対応したバージョンの開発状況は EuroQol のウェブサイトを参考にすること * * 日本語版訳注 EQ-5D-5L, EQ-5D-Y ともに日本語版の質問票 換算表が利用可能である

8.2 / EQ-5D-Y(EQ-5D の小児向けバージョン ) EQ-5D-Y は小児にも回答しやすいEQ-5D-3L 質問票として 特に 8-15 歳までの小児 青年を対象に作成されたものである ( 小児研究等で用いる質問票を統一する必要がある場合には 18 歳までは適用可能 ) EQ-5D-Yには自己記入式自己記入版プロキシ版が存在する 自己記入式版は現在 50 以上の対応言語版がある EuroQol 研究財団が一部の資金を提供する形 で 小児 青年期の子どもに対する EQ-5D-Y の 換算表を開発するための研究が現在行われて いる EQ-5D-Y のスコアリング法研究の最新動向を知りたい場合は EuroQol のウェブサイトを参照すること EQ-5D-Y の開発状況 自己記入 プロキシ版 紙媒体 対面 PDA / スマートフォン 電話 タブレット 研究を行いたい国 地域で EQ-5D-Y の対応言語版があるかどうか知りたい場合は EuroQol のウェブサイトを参照すること 25

9. EQ-5D-3Lの入手方法 研究 試験またはプロジェクトなどで E Q - 5 D の使用を検討している場合には Euro- Qol のウェブサイトの登録フォームから申請を行うこと 申請受理後 EuroQol 事務局から EQ-5D の使用に関する規約と条件と 発生する場合にはライセンス料について E メールで連絡する ライセンス料は申請書に記載されたユーザー情報に基づき EuroQol 事務局が決定する 料金は研究 試験またはプロジェクトの規模 資金源 サンプル数および申請された必要言語数によって変動する 申請したのみの段階では 料金の支払い義務は発生しない * 26 * 日本語版訳注 日本で EQ-5D を使用する場合にも 使用許諾の申請は上のウェブサイトを通して 本部に行う

10. EuroQolウェブサイト上にある他の資料 本ユーザーガイドでは EuroQol のウェブサイトに存在する関連参考資料のハイパーリンクを記載しているが 以下では追加で参考となりうるネット上の参考資料をまとめた EQ-5D の FAQ https://euroqol.org/support/faqs/ EQ-5D 用語集 主な EQ-5D-3L に関する文献 EQ-5D に関する書籍 EQ-5D に関する研究報告書 EQ-5D-3L に関する集団標準値 (Population Norm) のデータ EQ - 5D のバージョン ナンバリングおよび品質管理の説明 https://euroqol.org/support/terminology/ https://euroqol.org/publications/ key-euroqol-references/eq-5d-3l/ https://euroqol.org/publications/books/ https://euroqol.org/publications/ working-papers/ https://euroqol.org/eq-5d-instruments/ eq-5d-3l-about/population-norms/ https://euroqol.org/support/ quality-control/ 27

28 11. 別紙 : 日本語版 EQ-5D-3L 紙媒体自己記入版過去のバージョン ( サンプルバージョン ) 注 :EQ-5D-3L の過去バージョンはあくまでも過去の例としてここに掲載しているのであって 新規の調査では 8ページにある最新のバージョンを使用すること ( 図 1) 以下のそれぞれの項目の一つの四角に ( このように ) 印をつけて あなた自身の今日の健康状態を最も良く表している記述を示して下さい 移動の程度 歩き回るのに問題はない 歩き回るのにいくらか問題がある ベッド ( 床 ) に寝たきりである 身の回りの管理 身の回りの管理に問題はない 洗面や着替えを自分でするのにいくらか問題がある 洗面や着替えを自分でできない SAMPLE ふだんの活動 ( 例 : 仕事 勉強 家事 家族 余暇活動 ) ふだんの活動を行うのに問題はない ふだんの活動を行うのにいくらか問題がある ふだんの活動を行うことができない 痛み / 不快感 痛みや不快感はない 中程度の痛みや不快感がある ひどい痛みや不快感がある 不安 / ふさぎ込み不安でもふさぎ込んでもいない中程度に不安あるいはふさぎ込んでいるひどく不安あるいはふさぎ込んでいる

健康状態がどのくらい良いか悪いかを表わしてもらう ために ( 温度計に似たような ) 目盛を描きました 目盛には あなたの想像できる最も良い状態として 100 あなたの想像できる最も悪い状態として 0 が付 けられています あなたの今日の健康状態がどのくらい良いか悪いかを あなたの考えでこの目盛上に示して下さい 下の あなたの今日の健康状態 と書かれた四角から あなたの現在の健康状態の良し悪しを示す目盛上の点ま で 線を引いて下さい あなたの今日の健康状態 SAMPLE 想像できる最も良い健康状態 100 9 0 8 0 7 0 6 0 5 0 4 0 3 0 2 0 1 0 29 0 想像できる最も悪い健康状態

以前の EQ VAS の記入方法の説明 ( ユーザーガイド 5.1 版より ) EQ VAS の記入方法は次の通り 100 9 0 健康状態を具体的に教えていただくために ( 温度計のような ) 物差しがあります 想像できる最も良い健康状態を 100 想像できる最も悪い健康状態を 0としたとき 今日のあなたの健康状態は物差しのどこに当てはまりますか? あなたの健康状態を示す目盛りまで下の四角から線を引っ張ってください 想像できる最も良い健康状態 100 9 0 8 0 7 0 8 0 7 0 6 0 例えばこの回答は 77と判 100 定する あなたの今日の 健康状態 6 0 5 0 4 0 3 0 9 0 8 0 7 0 6 0 30 2 0 1 0 0 想像できる最も悪い健康状態 線が目盛りに届いていない場合 その終端と目盛りを水平に伸ばした点線との交点から数値を読み解く この例では 7 7 と判定する 注 : 欠測値は 999 と表記する あいまいな値 ( 例えば VAS の目盛り 2 本と交差するような線 ) は欠測値とする

12. 参考文献 1. EuroQol Group. EuroQol a new facility for the measurement of health-related quality of life. Health Policy 1990;16: 199 208. 2. Jelsma J, Hansen K, De Weerdt W, De Cock P, Kind P. How do Zimbabweans value health states? Popul Health Metr 2003; 1:11. 3. Liu GG, Wu H, Li M, Gao C, Luo N. Chinese time trade-off values for EQ-5D health states. Value Health 2014;17:597 604. 4. Zhuo L, Xu L, Ye J, Sun S, Zhang Y, Burstrom K, Chen J. Time Trade-Off Value Set for EQ-5D-3L Based on a Nationally Representative Chinese Population Survey. Value in Health 2018 (May). In press (https://doi.org/10.1016/j.jval.2018.04.1370). 5. Tsuchiya A, Ikeda S, Ikegami N, Nishimura S, Sakai I, Fukuda T, Hamashima C, Hisashige A, Tamura M. Estimating an EQ-5D population value set: The case of Japan. Health Econ 2002;11:341 353. 6. Lee YK, Nam HS, Chuang LH, Kim KY, Yang HK, Kwon IS, Kind P, Kweon SS, Kim YT. South Korean time trade-off values for EQ-5D health states: modeling with observed values for 101 health states. Value Health 2009;12:1187 1193. 7. Yusof FA, Goh A, Azmi S. Estimating an EQ-5D value set for Malaysia using time trade-off and visual analogue scale methods. Value Health 2012;15 (1 Suppl):S85-S90. 8. Luo N, Wang P, Thumboo J, Lim YW, Vrijhoef HJ. Valuation of EQ-5D-3L health states in Singapore: modeling of time trade-off values for 80 empirically observed health states. Pharmacoeconomics 2014;32:495 507. 9. Kularatna S, Whitty JA, Johnson NW, Jayasinghe R, Scuffham PA. Valuing EQ-5D health states for Sri Lanka. Qual Life Res. 2015;24: 1785-93. 10. Lee HY, Hung MC, Hu FC, Chang YY, Hsieh CL, Wang JD. Estimating quality weights for EQ-5D (EuroQol-5 dimensions) health states with the time trade-off method in Taiwan. J Formos Med Assoc 2013 ;112: 699 706. 11. Tongsiri S, Cairns J. Estimating population-based values for EQ-5D health states in Thailand. Value Health 2011;14:1142 1145. 12. Cleemput I. A social preference valuations set for EQ-5D health states in Flanders, Belgium. Eur J Health Econ 2010;11:205 213. 13. Wittrup-Jensen KU, Lauridsen J, Gudex C, Pedersen KM. Generation of a Danish TTO value set for EQ-5D health states. Scand J Public Health 2009;37:459 466. 14. Greiner W, Weijnen T, Nieuwenhuizen M, Oppe S, Badia X, Busschbach J, Buxton M, Dolan P, Kind P, Krabbe P, Ohinmaa A, Parkin D, Roset M, Sintonen H, Tsuchiya A, de Charro F. A single European currency for EQ-5D health states. Eur J Health Econ 2003;4:222 231. 31

32 15. Ohinmaa A, Sintonen H. Inconsistencies and modelling of the Finnish EuroQol (EQ-5D) preference values. In: Greiner W, J-M. Graf v.d. Schulenburg, Piercy J, eds. EuroQol Plenary Meeting, 1 2 October 1998. Discussion papers. Centre for Health Economics and Health Systems Research, University of Hannover, Germany. Hanover: Uni-Verlag Witte, 1999 ; 57 74. 16. Chevalier J, de Pouvourville G. Valuing EQ-5D using time trade-off in France. Eur J Health Econ 2013;14:57 66. 17. Claes C, Greiner W, Uber A, Graf von der Schulenburg JM. An interview-based comparison of the TTO and VAS values given to EuroQol states of health by the general German population. In: Greiner W, J-M. Graf v.d. Schulenburg, Piercy J, eds. EuroQol Plenary Meeting, 1 2 October 1998. Discussion papers. Centre for Health Economics and Health Systems Research, University of Hannover, Germany. Hannover: Uni-Verlag Witte, 1999; 13 39. 18. Scalone L, Cortesi PA, Ciampichini R, Belisari A, D Angiolella LS, Cesana G, Mantovani LG. Italian population-based values of EQ-5D health states. Value Health 2013;16:814 822. 19. Lamers LM, McDonnell J, Stalmeier PF, Krabbe PF, Busschbach JJ. The Dutch tariff: results and arguments for an effective design for national EQ-5D valuation studies. Health Econ 2006 ;15:1121 1132. 20. Golicki D, Jakubczyk M, Niewada M, Wrona W, Busschbach J J. Valuation of EQ-5D health states in Poland: first TTO-based social value set in Central and Eastern Europe. Value Health 2010;13:289 297. 21. Ferreira LN, Ferreira PL, Pereira LN, Oppe M. The valuation of the EQ-5D in Portugal. Qual Life Res 2014;23:413 423. 22. Prevolnik Rupel V, Rebolj M. The Slovenian VAS Tariff based on valuations of EQ-5D health states from the general population. In: Cabasés JM, Gaminde I, eds. Proceedings of the 17th Plenary Meeting of the EuroQol Group. Pamplona: Universidad Pœblica de Navarra, 2001; 23 47. 23. Badia X, Roset R, Herdman M, Kind P. A comparison of United Kingdom and Spanish general population time trade-off values for EQ-5D health states. Med Decis Making 2001;21:7 16. 24. Burström K, Sun S, Gerdtham UG, Henriksson M, Johannesson M, Levin LÅ, Zethraeus N. Swedish experience-based value sets for EQ-5D health states. Qual Life Res 2014;23:431 442. 25. Dolan P. Modeling valuations for EuroQol health states. Med Care 1997;35:1095 1108. Augustovski FA, Irazola VE, Velazquez AP, Gibbons L, Craig BM. Argentine valuation of the EQ-5D health states. Value Health 2009;12:587 596. 26. Augustovski FA, Irazola VE, Velazquez AP, Gibbons L, Craig BM. Argentine valuation of the EQ-5D health states. Value Health 2009 ;12:587 596. 27. Viegas Andrade M, Noronha K, Kind P, Maia AC, de Menezes RM, de Barros Reis C, Nepomuceno Souza M, Martins D, Gomes L, Nichele D, Calazans J, Mascarenhas T, Carvalho L, Lins C. Societal p for EQ-5D health states from a Brazilian population survey. Value Health Reg Issues 2013;2:405 412. 28. Bansback N, Tsuchiya A, Brazier J, Anis A. Canadian valuation of EQ-5D health states: Preliminary value set and considerations for future valuation studies. PLoS One 2012;7:e31115. 29. Zarate V, Kind P, Valenzuela P, Vignau A, Olivares-Tirado P, Munoz A. Social valuation of EQ-5D health states: the Chilean case. Value Health 2011;14:1135-1141. 30. Bailey H, Stolk E, Kind P. Toward Explicit Prioritization for the Caribbean: An EQ-5D Value Set for Trinidad and Tobago. Value in Health Regional Issues 2016;11:60-67. 31. Shaw JW, Johnson JA, Coons SJ. US valuation of the EQ-5D health states: Development and testing of the D1 valuation model. Med Care 2005;43:203 220. 32. Viney R, Norman R, King MT, Cronin P, Street DJ, Knox S, Ratcliffe J. Time tradeoff derived EQ-5D weights for Australia. Value Health 2011;14:928 936.

33. Devlin NJ, Hansen P, Kind P, Williams A. Logical inconsistencies in survey respondents health state valuations a methodological challenge for estimating social tariffs. Health Econ 2003;12:529 544. 34. Scalone L, Cortesi si PA, Ciampichini R; Cesana G, Mantovani LG. Health related quality of life norm data of the general population in Italy: Results using the EQ-5D-3L and EQ-5D-5L instruments. Epidemiol Biostat Public Health 2015 ;12:e11457.1 e11457.15. 35. Devlin NJ, Parkin D, Browne J. Patientreported outcome measures in the NHS: new methods for analysing and reporting EQ-5D data. Health Econ 2010;19:886 905. 36. Sun S, Chen J, Kind P, Xu L, Zhang Y, Burström K. Experience-based VAS values for EQ-5D-3L health states in a national general population health survey in China. Qual Life Res 2015;24:693 703. 37. Spaetgens B, Tran-Duy A, Wijnands JM, van der Linden S, Boonen A. Health and utilities in patients with gout under the care of a rheumatologist. Arthritis Care Res (Hoboken) 2015;67:1128 1136. 38. Sullivan PW, Ghushchyan V. Preferencebased EQ-5D index scores for chronic conditions in the United States. Med Decis Making 2006;26:410 420. 39. Rabin R, Gudex C, Selai C, Herdman M. From translation to version management: a history and review of methods for the cultural adaptation of the EuroQol fivedimensional questionnaire. Value Health 2014 ;17:70 76. 33

EuroQol Research Foundation Marten Meesweg 107 3068 AV Rotterdam The Netherlands Tel: +31 (0)88 2026890 E-mail: userinformationservice@euroqol.org www.euroqol.org EuroQol Research Foundation 2021