必要経費の考え方 所得の種類によって 名前は異なるが 内容としては 必要経費 にあたるものを示していると考える ( 例 ) 配当所得の場合 株式取得の借入金利子給与所得の場合 給与所得控除額雑所得 ( 公的年金 ) の場合 公的年金等控除額譲渡所得の場合 取得費用などの他 特別控除額一時所得の場合

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5 事業用の車両等を売却 ( 譲渡 ) した場合の売却益 ( 譲渡益 ) 売却損 ( 譲渡損 ) については 事業所得とはならない 総合課税の譲渡所得 ( 土地 建物以外 ) の扱いになり 所有期間 (5 年超か以下か ) によって長期譲渡所得 短期譲渡所得に区分される 6 使用可能期間が1 年未満

税法実務コース 所得税 学習スケジュール 回数 学 習 テ ー マ 内 容 第 1 章 テーマ1 所得税の仕組みテーマ2 所得税額の計算テーマ3 非課税所得 所得税の仕組み 税額計算 所得税が課税されないものについて学習します テーマ1 各種所得金額の計算の概要テーマ2 利子所得テーマ3 配当所得

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ワコープラネット/標準テンプレート

経 [2] 証券投資信託の償還 解約等の取扱い 平成 20 年度税制改正によって 株式投資信託等の終了 一部の解約等により交付を受ける金銭の額 ( 公募株式投資信託等は全額 公募株式投資信託等以外は一定の金額 ) は 譲渡所得等に係る収入金額とみなすこととされてきました これが平成 25 年度税制改

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

配当所得は 他の所得と総合し 累進税率を適用して税額を計算しますが 一定の上場株式等の配当等については 他の所得と分離して税額を計算する申告分離課税を選択することができます ただし 申告分離課税を選択すると 配当控除を受けられず 確定申告をする一定の上場株式等の配当等の全てについて総合課税とするか

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

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第5回基礎問題小委員会 礎5-4

Z-64-A 簿記論〔第一問〕-解 答-

上場株式等の譲渡益に係る課税 上場株式等の税金について 上場株式等の譲渡益に係る税率は以下の通りです 平成 25 年 1 月 1 日 ~ 平成 25 年 12 月 31 日 平成 26 年 1 月 1 日 ~ 平成 49 年 12 月 31 日 平成 50 年 1 月 1 日 ~ % (

スライド 1

2. 改正の趣旨 背景給与所得控除 公的年金等控除から基礎控除へ 10 万円シフトすることにより 配偶者控除等の所得控除について 控除対象となる配偶者や扶養親族の適用範囲に影響を及ぼさないようにするため 各種所得控除の基準となる配偶者や扶養親族の合計所得金額が調整される 具体的には 配偶者控除 配偶

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退職金についての市県民税はどうなるの? 私は平成 28 年 4 月に退職しました 勤続 30 年で退職金は 2,100 万円ですがこの退職 金に対する市県民税はいくらですか 通常の市県民税の課税は前年中の所得に対し翌年課税されるしくみになっていますが 退職金に対する課税については 他の所得と分離して

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平成 28 年度市民税 県民税申告の手引き 申告書を提出しなければならない人平成 28 年 1 月 1 日現在 幸手市内に住所を有する人 (1 月 2 日以降に幸手市に転入した人は従前の住所地で申告を行ってください ) ただし 次に該当する人は この申告をする必要はありません 1 平成 27 年分の

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[Q1] 復興特別所得税の源泉徴収はいつから行う必要があるのですか 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際 復興特別所得税を併せて源泉徴収しなければなりません ( 復興財源確保法第 28 条 ) [Q2] 誰が復興特別所

2018年 租税法基礎答練1回

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

以下の表のように計算されます 総 所 得 金 額 所得控除 課税総所得金額 退職所得金額 雑 損控除額 課税退職所得金額 山林所得金額 土地等に係る事業所得等の金額 土地建物等に係る譲渡所得金額 医療費 社会保険料 小規模企業共済等掛金 生命保険料 地震保険料 配偶者 配偶者特別 課税山林所得金額

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Microsoft Word - FP2級法改正情報 doc

所得控除 基礎控除 配偶者控除などの下記の表に記載されたものをいいます それぞれ一定の要件を満たしている場合は 課税所得金額を計算する際に それぞれの控除が受けられます 個人の県民税 個人の市町村民税 12

3 ページ 4 ページ 5 ページ 5 6 ページ 7 ページ 8 ページ 8 ページ 9 ページ 10 ページ 2

PowerPoint プレゼンテーション

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妙高市 税に関するWEBページ

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

2018 年版 初めての 年末調整セミナー 概要編 ハッピーニャーゴ 担当講師 : 平賀信幸 社会保険労務士ファイナンシャルプランナー (CFP 1 級 FP 技能士 )

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N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

第11 源泉徴収票及び支払調書の提出

特定口座一般口座株式等の譲渡 売却などが該当 ) による所得は 申告分離課税の対象となっており 原則として お客さまによる譲渡損益の計算や申告納税の手続きが必要です 特定口座には これらの事務負担を軽減する機能があります 特定口座の機能 上場株式等の譲渡損益の計算 管理を行います 特定口座内に保管す

平成16年度

この特例は居住期間が短期間でも その家屋がその人の日常の生活状況などから 生活の本拠として居住しているものであれば適用が受けられます ただし 次のような場合には 適用はありません 1 居住用財産の特例の適用を受けるためのみの目的で入居した場合 2 自己の居住用家屋の新築期間中や改築期間中だけの仮住い

( 3 ) 所得税法上 非課税となっているもの給与所得者の通勤手当公的年金の遺族年金 障害年金雇用保険の失業等給付生活用動産の譲渡損害賠償金 見舞金 慰謝料など宝くじの当選金など これらによる 収入 は 社会政策的な見地などから 所得 扱いされない = 非課税となる Ⅱ 確定申告が必要となる人は誰か

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上場株式等の配当等に対する課税

所得控除 基礎控除 配偶者控除などの下記の表に記載されたものをいいます それぞれ一定の要件を満たしている場合は 課税所得金額を計算する際に それぞれの控除が受けられます 個人の県民税 個人の市町村民税 12

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雑 ( その他 ) 生命保険の個人年金 原稿料 講演料 シルバー人材センターからの配分金など 他のいずれにも該当しない所得です なお シルバー人材センターからの配分金は 家内労働者等の必要経費の特例が受けられます 総合課税の譲渡土地 建物等以外の資産 ( ゴルフ会員券 貴金属等 ) の譲渡から生じる

申告者と配偶者の合計所得金額の入力フォーム 申告者 ( 給与の支払いを受ける人 ) の事業所得 雑所得 配当所得 不動産所得 その他の所得の収入金額と必要経費を入力して合計所得金額を計算します 申告者の合計所得金額が 900 万円を超えると 配偶者控除または配偶者特別控除の控除額が変動します 申告者


平成19年度税制改正.xls

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

相続税の改正 -平成23年度税制改正大綱

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Ⅰ 年の中途で行う年末調整の対象となる人 年末調整は 原則として給与の支払者に 給与所得者の扶養控除等 ( 異動 ) 申告書 ( 以下 扶養控除等申告書 といいます ) を提出している人について その年最後に給与の支払をする時に行うことになっていますので 通常は12 月に行うこととなりますが 次に掲

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

平成16年度

ったと判断します なお 一時的に認定基準月額以上の収入がある月があっても 認定基準年額を超えるまでの間は認定できます また 勤務した月の給与が翌月以降に支払われる場合でも 原則 勤務月の収入として取扱います 継続して認定できる事例 認定基準月額未満であるので 継続して認定できます 認定基準月額以上の

私たちの市税


平成19年度分から

3 総合所得の種類と計算方法 ( 分離所得については市役所にお問い合わせください ) 所得の種類 事業 営農 業 等業 不 動 産 利配給雑 子当与公的年金等その他 ( 総合 ) 譲渡一時 概要農業 漁業 製造業 卸売業 小売業 サービス業その他の事業から生ずる所得建物や土地などの不動産 借地権など

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株式等の譲渡(特定口座の譲渡損失と配当所得等の損益通算及び翌年以後への繰越し)編

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【表紙】

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所得控除 雑損控除 医療費控除 社会保険料控除等 旧生命保険料控除 旧個人年金保険料控除 ( 実質損失額 - 総所得金額等の合計額 10%) 又は ( 災害関連支出の金額 -5 万円 ) のうち いずれか多い方の金額医療費の実質負担額 -(10 万円と総所得金額等の 5% のいずれか低い金額 ) 限

3 所得から差し引かれる金額に関する事項 及び 4 所得から差し引かれる金額 控除の種類内容 10 雑損控除 11 医療費控除 12 社会保険料控除 13 小規模企業共済 等掛金控除 14 生命保険料控除 15 地震保険料控除 16 寡婦 ( 夫 ) 控除 17 勤労学生控除 18 障害者控除 19

項目額等 社会保険料 12 小規模企業 13 共済等掛金 あなたや生計を一にする配偶者などの親族の健康保険 国民健康保険 国民年金 介護保険 後期高齢者医療保険 農業者年金などの保険料を支払っている場合 その支払金額の全額 生計を一にする配偶者などの親族が受け取る公的年金等から天引き ( 特別徴収

平成 31 年度 (2019 年度 ) 特別区民税 都民税 ( 住民税 ) の算出方法 平成 31 年 1 月 1 日現在 渋谷区内に住所がある人に対して 平成 30 年の 1 月から 12 月までの 1 年間の所得を基礎に税額を算 出します 住民税の算出方法は次のとおりです なお 区内に住所がなく

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控除項目控除額等 12 社会保険料控除 あなたや生計を一にする配偶者などの親族の健康保険 国民健康保険 国民年金 介護保険 後期高齢者医療保険 農業者年金などの保険料を支払っている場合 その支払金額の全額 生計を一にする配偶者などの親族が受け取る公的年金等から天引き ( 特別徴収 ) されている社会

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元金据置返済額計算 例 2,000 万円 ( 内ボーナス分 1,000 万円 ) を年利率 3.1% で 20 年間 ( 当初 6 ヶ月元金据置 ) 借りる場合の 元金据置時月間支払利息と据置後の返済額を計算します 画面表示 キー操作 備考 12 1F32 メニュー呼出 Menu No.(15~20

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著作権について 本冊子は著作権法で保護されている著作物であり 本冊子の使用に関しては 以下の点にご注意くださ い 本冊子の著作権は 創企株式会社に属します 創企株式会社の許可なく 本冊子の全部又は一部をいかなる手段においても複製 転載 流用 転売 する事を禁じます 創企株式会社の許可なく 本冊子から

住民税 所得税の税率国から地方への税源移譲に伴い 平成 19 年度から住民税所得割の税率が 10% に統一され 所得税の税率が 4 段階から 7 段階の累進税率に改正されています 住民税については平成 19 年度分 ( 平成 19 年 6 月納付分 ) 所得税については平成 19 年分 ( 平成 1

(1) 所得階級別人員 区 分 給与所得者 所得者別内訳 雑所得者 他の区分に該当しない所得者 人人人人人人人人人 70 万円 以下 25,319 1,201 20,012 54, ,063 6, , 万円 12,048 2,039 8,935 22,

(千円未満切り捨て所得控除額総所得金額年税額 平成 31 年度市県民税の計算方法 ( 鳥取市 ) まず 計算の全体の流れを示すと 以下のようになります - = 課税標準額 ) 所得割の税率 6% 所得割の税率 4% 算出所得割額 調整税額控均等割 = 控除額除額額 算出調整税額控均等割


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イ税務署へ確定申告書を提出し 所得税の住宅ローン控除の適用を受けている 退職所得 山林所得がある方 所得税の平均課税の適用を受けている方は 住宅ローン控除申告書を提出することにより控除額が大きくなる場合があります 申告書を提出される方は3 月 15 日 ( 月 ) までに申告してください 申告しなけ

配当所得の入力編

1 どちらかをご選択特定口座と客さま般口座の特定口座の概要 特定口座とは 個人のお客さまが公募株式投資信託を換金され利益が出た場合は 原則 確定申告が必要ですが お客さまの確定申告にかかる負担を軽減させるべく当金庫が納税の代行などを行う制度として 特定口座 があります 特定口座 をご利用いただくこと

市県民税所得課税証明書から年間所得金額を見る場合 平成 年度 ( 平成 年分 ) 市県民税所得課税証明書 住所 羽生市 134 番地 1 氏名 羽生田羽生子 所得の区分 所得金額 所得の区分 所得金額 総所得金額 330,000 所得控除金額 1,500,000 合計所得金額 330,000 課税標

Transcription:

(1) 所得税の仕組み 1. 所得税の特徴 暦年単位課税 申告納税方式 第 4 章タックスプランニング 後払い 納付 1/1 所得 12/31 2/16 3/15 個人が 1 暦年 (1 月 1 日 ~12 月 31 日 ) に得た所得に課税 翌年 2 月 16 日 ~3 月 15 日までの期間に確定申告 納税 例外 給与所得者の場合の源泉徴収 毎月の税額分が給与から天引き 前払い 年末調整によって正しい課税額が確定 源泉徴収票 給与所得のみの場合には 個人で確定申告の必要なし 個人の所得に対して課税 ( 法人の所得に対しては法人税 ) 収入 - 必要経費 1

必要経費の考え方 所得の種類によって 名前は異なるが 内容としては 必要経費 にあたるものを示していると考える ( 例 ) 配当所得の場合 株式取得の借入金利子給与所得の場合 給与所得控除額雑所得 ( 公的年金 ) の場合 公的年金等控除額譲渡所得の場合 取得費用などの他 特別控除額一時所得の場合 必要な支出額の他 特別控除額 2. 所得税の種類 (10 種類 ) 1. 利子所得 預貯金 公社債の利子 公社債投資信託の分配金など 2. 配当所得 株式の配当金 ( 公社債以外の ) 投資信託分配金など 3. 不動産所得 地代 家賃 不動産の貸付にかかわるもの 4. 事業所得 個人事業を営んでいる場合の所得 5. 給与所得 会社員の場合の給与 賞与など 6. 退職所得 退職金など 7. 山林所得 林業の場合 木の伐採や譲渡による所得 8. 譲渡所得 1 その他の資産 ( ゴルフ会員権 事業用固定資産など ) 3 つに区分 の売却 2 土地や建物など 不動産の売却 3 株式の売却 これらによる所得 2

9. 一時所得 生命保険の満期金 懸賞や福引の賞金 競馬の払戻金など 10. 雑所得 1 公的年金等 ( 国民年金や厚生年金 企業年金など ) の所得 2 公的年金以外 ( 原稿料 個人年金など ) 3. 総合課税と分離課税 どのようにして税金額を計算するか 原則 総合課税それぞれの種類ごとの所得を総合して 合計し課税する (7 種類 ) 総所得金額 税率 配当所得 不動産所得 事業所得給与所得 一時所得 雑所得 譲渡所得のうち 1 のみ ( 不動産 株式以外の資産 ) ただし一時所得総合長期譲渡所得 半分 (1/2) のみ合計 総合短期譲渡所得 ( 実質 5 年以下 ) 総合長期譲渡所得 ( 実質 5 年超 ) 3

例外 分離課税総合課税のものとは分離して 個々に税率をかけて計算 (4 つ ) 利子所得 源泉分離課税 ( 源泉徴収によって完結 確定申告なし ) 退職所得 税率 山林所得 税率 申告分離課税 分離計算して 確定申告が必要なもの 譲渡所得のうちの 23 (2 不動産と 3 株式譲渡 ) 税率 分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 ( 保有期間が 5 年以下 ) ( 保有期間が 5 年超 ) つまり 収入が支払われた時に すでに支払う側が税金を徴収しているため 課税関係は完結する ( 給与からの天引き ) 4

1 課税所得と非課税所得とを分ける非課税のもの4. 所得税の計算体系 遺族年金や障害年金 給与所得者の通勤手当 ( 月額 10 万まで ) 出張旅費 雇用保険の基本手当 宝くじの当選金 損害賠償金や慰謝料など 生活用動産の譲渡による所得 ( 書画 貴金属 骨董品などは 30 万以下のもの ) 2 課税対象所得の区分 10 種類の分類 それぞれの所得の計算総合課税については合計 分離課税は分離して把握 3 課税標準の計算 税額計算の基礎となるべきもの 損益通算 ( 不動産 事業 山林 譲渡所得の赤字 ) 他の黒字と相殺繰越控除 前年以前 (3 年以内 ) の損失を今期の黒字から控除 5

分離したまま損益通算分離課税のも総合課税分の総所得 配当 + 不動産 + 事業 + 給与 + 雑 + 一時譲渡 1 1/2 ( 総合短期 総合長期 ) 1/2 + 山林 退職 譲渡 3 譲渡 2( 分離短期 ) = 課税標準 総所得 山林退職譲渡 3 譲渡 2( 短期 ) 譲渡 2( 長期 ) - の譲渡 2( 分離長期 ) 利子所得 ( 源泉分離 ) 4 課税所得金額の計算課税標準 - 所得控除 = 課税所得金額 所得控除 (14 種類 ) ( 例 ) 医療費控除社会保険料控除生命保険料控除扶養 配偶者控除 基礎控除など 6

付税額課税所得 5 算出税額の計算 課税総所得各分離所得総合課税 分離課税別に税率をかけて計算して合計 税率各税率合計 山林退職譲渡 3 譲渡 2( 短期 ) 譲渡 2( 長期 ) 算出税額 6 納付税額の計算 税額控除 その他 算出税額 - 配当控除 住宅ローン控除 - 源泉徴収額の調整分 = 納7

( 参考 ) 確定申告との関係 総合課税 確定申告 通常のもの 必要 源泉徴収のもの 必要 不要 ( 仮払い ) ( 両方の場合あり ) 分離課税 申告分離のもの 源泉分離のもの 必要 不要 源泉徴収制度の対象となる所得には以下のようなものがある利子所得 預貯金 公社債の利子など: 20%(15%+5%) 源泉分離 ( 確定申告なし ) 原則( 非上場株式など ) :20%( 所得税のみ ) 総合課税 ( 少額なら申告不要あり ) 配当所得 一定の上場株式等 : 10%(7%+3%) H23 年末まで 総合課税 ( 申告不要あり ) or 申告分離課税給与所得総合課税 年末調整 ( 通常は確定申告必要なし ) 事業所得雑所得 退職所得 報酬 料金など : 10%( 所得税のみ ) 100 万を超えると20% ( 例 : 原稿料 講演料 弁護士などの報酬 ) 総合課税 ( 確定申告で精算 ) 公的年金等 : 一定の控除額を控除した残額の5%( 所得税のみ ) 総合課税 ( 確定申告で精算 ) 割引債の償還差益 : 18%( 所得税のみ ) 発行時 源泉分離 ( 確定申告なし ) 退職所得の金額に対する累進税率または 20%( 所得税のみ ) 申告分離 8

(2) 所得税の計算 1~ 各種所得の内容 ~ 1. 利子所得 総収入 - 必要経費 所得 税率 所得税 総収入 - 必要経費 受取の利子などの収入金額 無し 公社債の投資信託の 預貯金の利子場合には 利子 扱い 公社債の利子 公社債投資信託の収益分配金 貸付信託 金銭信託の収益分配金課税方法完結源泉分離課税確定申告不要 ( 利子の支払い時に所得税 15% 住民税 5% が源泉徴収 ) 9

2. 配当所得 総収入 - 必要経費 = 配当所得の金額 収入金額 元本取得のための借入利子 株式配当金 投資信託の収益分配金 課税方法 公社債に関わるものは 原則 源泉徴収後 総合課税 確定申告によって精算 But 特例あり申告分離課税あり申告不要あり 区分 上場株式等株式投資信託 非上場株式大口株主 持株割合 5% 以上 源泉徴収 10%(7%+3%) H23 年末までの支払 ) 択20%(15%+5%) H24 年 1/1 以降選20%( 所得税のみ ) 択課税方法 総合課税申告分離課税申告不要選総合課税申告不要 ( 少額配当のみ ) 配当控除 損益通算 配当控除 譲渡損失との損益通算 どちらも 配当控除 どちらも 10

参考問題 1. 個人が支払を受ける上場株式の配当所得について申告分離課税を選択し一定の要件を満たした場合は その配当所得の金額と上場株式の譲渡損失の金額を損益通算することができる ( or?) (2010 年 1 月学科 ) 2. 配当所得を有する居住者が 所得税の配当控除を受けるためには ( ) が必要である 1) 総合課税を選択し確定申告をすること 2) 特定口座を開設していること 3) 申告分離課税を選択すること (2010 年 1 月学科 ) 3. 不動産所得 総収入 - 必要経費 = 不動産所得の金額 家賃 地代 礼金敷金 保証金 ( 借主への返還不要な部分 ) 減価償却費 管理費仲介手数料 固定資産税 損害保険料など 不動産 借地権などの貸付 家賃収入 賃貸駐車場 課税方法 総合課税 確定申告 人的なサービスは ( 例 ) 従業員宿舎の収入食事を提供する下宿 11

4. 事業所得 総収入 - 必要経費 = 事業所得の金額 売上金額 ( 売掛金も含む ) 売上原価減価償却費人件費接待交際費など親族へ支払った家賃は 農業 製造業 卸 小売業サービス業などから生じる所得 対価を得て継続的に行なっているもの 減価償却について不動貸付 事業用固定資産の譲渡 償却方法不動産販売や仲介業 作家などの自由業 定額法税務署長への届出がない場合平成 10 年 4 月以降取得の建物 定率法 1 円平成 19 年 4 月 1 日以降の取得は 残存価額廃止 備忘価額まで償却可能 平成 19 年 3 月 31 日以前の取得は 95% まで償却後 5 年 12

例外 少額な減価償却資産の場合 全額必要経費 取得価額 10 万円未満または使用可能年数 1 年未満 すべての企業 一括償却資産の場合 3 年間の均等償却 ( 取得価額 20 万未満 ) 中小企業等の少額減価償却資産の場合 取得価額 30 万円未満 ( 合計 300 万まで ) 全額必要経費 中小企業等で青色申告の場合 ( 平成 24 年 3 月末までの特例措置 ) 課税方法 総合課税 確定申告 13

5. 給与所得 経費の概算値 総収入 - 必要経費 = 給与所得の金額 収入金額 ( 源泉徴収前 ) 税込み 給与所得控除額 (P166 の速算表 ) 最低 65 万 ( 例 1) 年収 65 万の人の場合 給与所得はいくらか? ( 例 2) 年収 500 万の人の場合 給与所得はいくらか? 給料 賃金 賞与 残業手当家族手当 非課税のもの 出張の旅費通勤手当 ( 月額 10 万まで ) 課税方法 総合課税 本来は確定申告が必要 年末調整ができない場合 年収 2000 万以上 2 ヶ所以上からの給与 給与所得者の扶養控除等申告書を提出していない場合 確定申告が必要 But 給与所得者の場合には 給料から所得税が源泉徴収 ( 天引き ) 年末には年末調整によって過不足が精算 確定申告の必要なし 源泉徴収票に記載 14

6. 退職所得 経費の概算値 総収入 - 必要経費 = 退職所得の金額 1 2 収入金額退職所得控除額退職手当 ( 一時的 ) ( 税込み ) 重要一時恩給など 1 年未満は切り上げる 勤続年数税負担を軽くするため 20 年以下 : 40 万 年数 ( 最低 800 万 ) 20 年超 : 800 万 +70 万 ( 年数 -20 年 ) 年金としての受取 ( 雑所得 ) 死亡退職金 ( 一時所得 ) ( 例 ) 勤続年数が 20 年 1 ヶ月で退職した人が 退職金 1000 万円を受け取った場合 この人の退職所得はいくらか? 課税方法 分離課税 超過累進税率を個別に適用 通常 退職所得の受給に関する申告書 を提出 支払い時に源泉徴収 確定申告の必要なし But 提出していない場合 : 20% の所得税が源泉徴収 確定申告で精算 15

参考問題 退職手当等の支給を受ける際に 退職所得の受給に関する申告書 を提出している人の場合の源泉徴収税額は ( ) により計算される 7. 山林所得 1) 退職金の収入金額 20% 2) 退職金の収入金額 所得税の税率 3) ( 退職金の収入金額 - 退職所得控除額 ) 1/2 所得税の税率 (2010 年 1 月学科 ) 総収入 - 必要経費 - 特別控除額最高 50 万 課税方法 分離課税 超過累進税率を個別に適用 確定申告の必要 = 山林所得の金額 山林の伐採 譲渡 (5 年超のもの ) 5 年以内ならば事業か雑所得 16