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4 段階推定法とは 予測に使うモデルの紹介 4 段階推定法の課題 2

Transcription:

担当教員名 単位数西田健 2 単位 教室 時間 4-1A 教室火曜 4 限 目的不確定性を有する対象の制御に有効な確率システム制御理論について解説する また 確率的要因を考慮した状態推定のために 宇宙ロケットや自律ロボットなどの幅広い分野で利用されているカルマンフィルタやパーティクルフィルタについて解説し それらを用いる制御系の構成手法を教授する 授業計画 (1) ガイダンスと導入 (2) 線形動的システムの時系列モデリング (3) スカラ変数とベクトル変数に対する最小二乗法 (4) 推定誤差と観測の直交性の原理 (5) ベイズの定理とベイズ統計 (6) 最尤推定法 (6) カルマンフィルタリング問題 (7) システム制御のためのカルマンフィルタ (8) カルマンフィルタによるパラメータ推定 (9) 拡張カルマンフィルタ Unscentedカルマンフィルタ (10) パーティクルフィルタ1 (11) パーティクルフィルタ2 (12) パーティクルフィルタ3 (13) カルマンフィルタを利用する制御系の構成 (14) パーティクルフィルタを利用する制御系の構成 (15) 制御系への応用 1

評価方法 出席状況と課題レポートの内容とを総合して評価する 履修上の注意事項 学部において 制御数学 確率統計 及び制御工学関連科目を修得していることが望ましい 授業外学習 ( 予習 復習 ) の指示 参考文献欄に挙げた文献を用いてカルマンフィルタについて調べること 講義内容に関連する課題を出すので復習すること 教科書 参考書 教科書 : 足立修一, 丸田一郎, カルマンフィルタの基礎, 東京電機大学出版局 参考書 : 片山徹, 応用カルマンフィルタ, 朝倉書店樋口知之, データ同化入門, 朝倉書店椹木義一, 添田喬, 中溝高好, 確率システム制御の基礎, 日新出版 2

0. 本講義の狙い 3

0. ねらい 医療レスキュー公共家庭 QOL 交通 様々な分野における自動化の要求先端的な研究開発が進行中 キーワード : 自動運転, 自動認識, 自動翻訳, 人工知能,etc. ロボットや自動機器に対する様々な要求 単なる道具 の域を脱した自律性への期待 一部しかセンシングできない信号 モデル化できない偶然事象 制御系の変化 ノイズや外乱に曝される自動機器はどのように構成するのが良いだろう? 4

0. ねらい 一部しかセンシングできない信号 モデル化できない偶然事象 制御系の変化 確率論の導入で合理的な解決を! 過去のチャレンジと成功事例 スタンレー シュミット ( 当時 33 歳 ) が NASA( アメリカ航空宇宙局 ) に呼び出されたのは 1959 年秋のこと 彼に課された研究課題はただ一つ 月探査ロケットを制御するために その位置を正確に測定するにはどうすればいいか? Norbert Wiener ウィーナーフィルターは定常性を仮定し 過去のデータが完全に分かっている場合には有効だ Rudolf Emil Kalman しかし 月探査ロケットは途中でジェットを使って姿勢制御をすることがあるから定常性を仮定できないし データも不完全にしか得られないことが多い だから ウィーナーフィルターは使えない 1960 年の秋, カルマン ( 当時 30 歳 ) が NASA に招聘された 5

0. ねらい こういった問題では 真の位置を推定しても 必ず実際の位置とはズレが出てしまいます 推定した値と 実際に観測した値の差を 予測誤差 と呼びます その予測誤差に値 K を掛けることによって改善された推定値が得られます 式で書くこんな形です 改善された 真の位置の推定値 = 改善される前の 真の位置の推定値 +K ( 予測誤差 ) カルマンはその値 K をいかに適切に計算するかを彼の論文で導出していた. 現在ではその K のことを カルマンゲイン と呼ぶ カルマンフィルターの利点は この式を繰り返し用いて 新しい観測データが得られるたびに推定値を修正するという繰り返し計算をするため ウィーナー コルモゴロフフィルターのように事前に過去のデータが完全に得られている必要がない点にある カルマンフィルタはアポロ計画においてロケットの軌道を推定する手法として利用され, 計画を成功に導いた カルマンフィルタは, 現在, 航空宇宙工学, 制御工学, 通信工学を初め, 情報工学, 土木工学, 医学, 社会経済学など様々な分野に幅広く応用されている 6

対象の複雑さ 第 1 回 0. ねらい 一部しかセンシングできない信号モデル化できない偶然事象制御系の変化 確率論の導入で制御系の合理的な駆動を可能に! 確率ロボティクス ロボットの知覚と行動に関する不確実性 に特に注目する比較的新しいロボット工学の取り組みの一つ. 確率論を用いて 不確実性 を陽に表現する. ある推定に対して, 結果を 最も妥当な一つの推定値 で表すのではなく確率分布として推定情報が表される. あいまいさ や 信頼度 を定量的に表すことができる. 不確実性 を考慮することによって, 行動を慎重にしたり, 不確実性を減らすようにロボットを行動させることができる. ロボットが不確実さに直面した時に きわどい行動 を回避させることができる. ウィナーフィルタ カルマンフィルタ EKF UKF AKF 発展の時系列 パーティクルフィルタ 確率的な問題設定 確率モデルによる記述 確率フィルタによる状態推定 7

1. はじめに 8

1. はじめに ~ a. 確率 統計と制御工学 ~ なぜいま 確率 統計 なのだろう? 従来, 制御理論の威力を発揮できる制御対象は, メカニカルシステムに代表されるような力学原理に基づいてダイナミクスが記述される美しい対象であった. これから制御が必要になっていく重要な分野には, 以下のようなものがある. 屋外自動走行ロボット ( 予測不能な要素が多く含まれるシステム ) 自動車の運転 ( 人間が制御ループに含まれるシステム ) このような時, 我々が利用できる数学のツールは 確率 である. ある出来事 ( 事象 と呼ぶ ) のルールに従って計算した確率が実際の起き方によく合えば, その出来事は 確率事象 であるとみなせる. 観測された事象が, その真の値の周りで, ある確率分布をしていると仮定することで, 観測の信頼性を計算することができるようになる. 9

1. はじめに ~ b. フィルタリング問題 ~ 古典的フィルタリング問題 測定された時系列データの中から, 信号成分だけを通し, 雑音成分を除去する仕組みを見つけること. ただし, その時刻までの時系列データを用いて, その時刻で信号処理を行う. 伝達関数を用いた定式化 : ウィナーフィルタ LPF などのフィルタは, 構造 ( 次数 ) やカットオフ周波数の決定が経験的, 試行錯誤的 フィルタリング問題 ( 状態推定問題 ) 現時刻までに測定可能な量である時系列データと場合によっては入力系列も用いて, ダイナミクスを規定する状態変数の値を推定する. 雑音が存在しない確定的な場合を対象とした状態推定器 状態空間表現を用いた確率的な枠組みでの定式化 : ルーエンバーガオブザーバ : カルマンフィルタ 試行錯誤に依らず最適設計が可能 10

1. はじめに ~c. 離散時間信号の推定問題 ~ 予測 (prediction) y k k n 時刻 (k n) までの過去のデータに基づいて現在の値 y(k) を推定する問題 k n k k + n 過去現在未来 時刻 フィルタリング (filtering) y k k 時刻 k までの現時刻を含む過去のデータに基づいて現在の値 y(k) を推定する問題 k n k k + n 過去現在未来 時刻 平滑 (smoothing) y k k + n 時刻 (k + n) までの未来のデータに基づいて現在の値 y(k) を推定する問題 k n k k + n 過去現在未来 時刻 11

2. ベイズ統計 ~a. 確率論 ~ ベイズの定理を導出するために必要な最小限の確率の知識 ある標本空間で定義される二つの事象 A, B の確率の定義 同時確率 (joint probability) ( 記号 :p A, B, p(a B)) A と B が同時に起こる確率. 結合確率とも呼ばれる. 周辺確率 (marginal probability)( 記号 :p A, p(b)) 他の事象に関わりない一つの事象だけの確率. 普通の確率. 条件付確率 (conditional probability)( 記号 :p A B ) B が起こったという条件のもとで A が起こる確率. 定義された確率がもつ性質 独立 (independent) p A, B = p A p(b) が成り立つとき, 事象 A と事象 B は独立であると言われる. 独立であれば p A B = p A, p B A = p(b) が成り立つ. 排反 (exclusive) p A, B = 0 が成り立つとき, 事象 A と事象 B は排反であると言われる. 排反であれば,p A B = p(b A) = 0 が成り立つ. 12

2. ベイズ統計 ~a. 確率論 ~ 事象 A 1 : Porsche B 1 A 2 : Ferrari 同時確率 B 2 :red :white p A 1, B 1 = 1/9 p A 1, B 2 = 3/9 p A 2, B 1 = 4/9 p A 2, B 2 = 1/9 周辺確率 p A 1 = 4/9 p A 2 = 5/9 p B 1 = 5/9 p B 2 = 4/9 条件付き確率 p A 1 B 1 = 1/5 p A 1 B 2 = 3/4 p A 2 B 1 = 4/5 p A 2 B 2 = 1/4 p B 1 A 1 = 1/4 p B 1 A 2 = 4/5 p B 2 A 1 = 4/4 p B 2 A 2 = 1/5 13

2. ベイズ統計 ~a. 確率論 ~ 事象 A 1 : Porsche B 1 A 2 : Ferrari 同時確率 B 2 :red :white p A 1, B 1 = 1/9 p A 1, B 2 = 3/9 p A 2, B 1 = 4/9 p A 2, B 2 = 1/9 周辺確率 p A 1 = 4/9 p A 2 = 5/9 p B 1 = 5/9 p B 2 = 4/9 条件付き確率 p A 1 B 1 = 1/5 p A 1 B 2 = 3/4 p A 2 B 1 = 4/5 p A 2 B 2 = 1/4 p B 1 A 1 = 1/4 p B 1 A 2 = 4/5 p B 2 A 1 = 4/4 p B 2 A 2 = 1/5 14

2. ベイズ統計 ~a. 確率論 ~ 事象 A 1 : Porsche B 1 A 2 : Ferrari B 2 :red :white C 1 : C 2 : 独立 p A 1, C 1 = p(a 1 )p(c 1 ) p A 1 C 1 = p(a 1 ) p C 1 A 1 = p(c 1 ) 排反 p A 1, A 2 = 0 p A 1 A 2 = p A 2 A 1 = 0 15

2. ベイズ統計 ~a. 確率論 ~ 同時確率と周辺確率の関係 事象 B 1 事象 B 2 事象 B n 周辺確率 事象 A 1 p(a 1, B 1 ) p(a 1, B 2 ) p(a 1, B n ) p(a 1 ) 事象 A 2 p(a 2, B 1 ) p(a 2, B 2 ) p(a 2, B n ) p(a 2 ) 事象 A m p(a m, B 1 ) p(a m, B 2 ) p(a m, B n ) p(a m ) 周辺確率 p(b 1 ) p(b 2 ) p(b n ) = 1 同時確率と周辺確率, 条件付き確率の関係 p A i B j e.g. = p A i, B j p B j p A 1 B 1 = p A 1, B 1 p B 1 = 1/9 5/9 = 1 5 16

2. ベイズ統計 ~b. ベイズの定理 ~ 条件付確率の定義式より p A B = p B A = p A, B p B p A, B p A (1) (2) ここで,p A 0,p B 0 である. 式 (1)(2) の p A, B について以下のように変形でき, これを乗法定理という. p A, B = p A B p B = p B A p A (3) この関係を p A B について変形すると p A B = p A p B A p B となり, ベイズの定理が導出できる. (4) 17

2. ベイズ統計 ~b. ベイズの定理 ~ p A B = p A p B A p B = ηp B A p A p B A p B p A B Aが原因で発生する事象の確率 事前確率 もしくは 事前分布 新しい情報である事象 Bによる修正項 事後確率 もしくは 事後分布 18

2. ベイズ統計 ~b. ベイズの定理 ~ 事象 A 1 : Porsche B 1 A 2 : Ferrari B 2 :red :white e.g. p A 1 B 1 = p A 1 p B 1 A 1 p B 1 = 4 9 1 4 5 9 = 1 5 B 1 ( 車の色 ) についての条件付き確率を A 1 ( 車種 ) についての条件付き確率に読み替えることができる. 19