( 百葉箱番外編 ) 子ども手当 だけでは解決しない少子化問題 - 子ども人数別アプローチで考える対策 - 公益社団法人日本経済研究センター 2011 年度研究生阿部直正 ( アメリカンファミリー生命保険 ) 上田翔一 ( 商工組合中央金庫 ) 黄田和宏 ( 日本経済新聞社 ) 山本啓介 ( 北海道銀行 )
1 少子化の現状合計特殊出生率 = 母の年齢別出生数年齢別女性人口 (15~49 歳まで ) 1 人の女性が一生に産む子供の平均数少子化がもたらす影響 1 人口減少 税収減 2 生産年齢人口の減少 経済成長の後退 3 少子高齢化 社会保障の歪み etc 日本の合計特殊出生率は 人口置換水準を大きく下回っている 2010 年の出生率は 1.39 と若干の回復を見せる 国際的に見ても日本は際立って低い水準 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2 2.4 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 出生率 ( 人 ) 人口置換水準 (2.07 人 ) 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2 2.4 2.6 2.8 3.0 韓国ロシアスロベニアスロバキアハンガリー日本ポルトガルドイツポーランドオーストリアイタリアスペインスイスチェコギリシャルクセンブルグカナダエストニア平均オランダ中国ベルギーフィンランドブラジルデンマークスウェーデンオーストラリアノルウェーイギリスチリフランスアイルランドメキシコアメリカアイスランドトルコニュージーランドインド南アフリカイスラエル出生率 ( 人 ) ( 図表 1) 合計特殊出生率 ( 図表 2)OECD 合計特殊出生率 ( 資料 ) 厚生労働省 人口動態統計 ( 資料 ) 厚生労働省 人口動態統計 ( 資料 )OECD Factbook 2010
止まらない少子化 1 見せかけの出生率上昇 足元の合計特殊出生率は上昇しているものの 世代別にみると若い世代ほど出生率が低い 2 深刻な晩産化 女性の社会進出が積極化し晩婚化が進んでいる 女性の第一子出産年齢は平均 29.9 歳 (2010 年 ) 3 多産減少少産増加 子ども 2 人 3 人の世帯は減少傾向に対し 子どもなし 1 人の世帯は増加傾向にある ( 図表 3) 世代別の出生率 ( 図表 4) 進む晩産化 ( 図表 5) 兄弟 ( 姉妹 ) 数の推移 1.8 1.6 1.4 1.2 ( 人 ) 34 33 32 31 ( 歳 ) ( 歳 ) 34 33 32 31 60 50 40 (%) 2 人 50.8% 出 1.0 生率 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 45~49 歳の世代 40~44 歳の世代 35~39 歳の世代 30~34 歳の世代 25~29 歳の世代 24 歳まで 29 歳まで 34 歳まで 39 歳まで母の年齢 ( 資料 ) 厚生労働省 人口動態調査コーホート合計特殊出生率 (2010) 30 年 29 齢 28 27 26 25 第 1 子第 2 子第 3 子 24 1955 1980 1985 1990 1995 2000 2005 ( 資料 ) 厚生労働省 平成 22 年子ども白書 30 29 28 27 26 25 24 割 30 合 20 10 0 3 人 24.9% 1 人 12.2% 0 人 6.9% 1977 1982 1987 1992 1997 2002 2005 ( 注 ) 妻年齢 40~49 歳に対する子ども数の推移 4 人以上は少数につき省略 ( 資料 ) 国立社会保障 / 人口問題研究所 出生動向基本調査 (2005) 少子化は重要な課題と認識されながらも 状況は悪化する一方 今までの政府の少子化対策に効果はみられない 2
子ども手当の検証 ( 図表 6) 子育てに対する悩みは お金 が 1 位 ( 図表 7) 子ども手当支給による子どもを増やす計画の立案状況 子育てや教育にお金がかかりすぎる 自分の仕事に差し支える自分や夫婦の生活を大切にしたい夫の家事 育児への協力が得られない育児の心理的 肉体的に耐えられない欲しいけれどできない高齢で生むのはいやだ末の子が夫の定年退職までに成人してほしい 不妊 仕事 ( 自己実現 ) 夫の協力 ( 晩婚晩産 ) 実際は 世帯年収 TOTAL(N=10183) 2.0 6.5 300 万円未満 (N=1531) 1.8 5.5 300~600 万円未満 (N=3477) 1.9 7.2 21.9 21.4 22.8 9.5 10.1 10.6 59.4 61.9 57.5 非常にあてはまるややあてはまるどちらともいえないややあてはまらない全くあてはまらない 子どもがのびのび育つ社会環境ではない 家が狭い 30~39 歳 (N=827) 600~1000 万円未満 (N=3546) 2.1 6.5 21.4 10.2 59.8 夫が望まない ~29 歳 (N=142) 健康上の理由 その他 1000 万円以上 (N=1629) 2.4 5.9 21.8 9.6 60.3 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 割合 (%) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 割合 ( 注 ) 複数回答 ( 資料 ) 国立社会保障 / 人口問題研究所 出生動向基本調査理想子ども数が予定子ども数を下回る理由 (2005) ( 資料 ) 厚生労働省 子ども手当の使途に関する調査結果(2010) 子育てにお金がかかるのは事実! しかし 子ども手当は子どもを産むインセンティブにはなっていない! ならば アンケートに隠れた お金 以外の理由に注目!! 3
子どもの数によって異なる政策ターゲット ( 図表 8) もう 1 人子どもを持ちたいか ( 現在子どもが 1 人 ) 割合 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 18.6 6.8 74.6 22.1 21.1 21.7 6.4 7.5 8.8 71.5 71.4 69.5 どちらとも言えない 持ちたくない 持ちたい 4.5 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 ( 人 ) 1.81 ( 図表 10) 理想子ども数と予定子ども数のギャップ 1.32 2.23 1.64 2.51 2.08 理想子ども数 予定子ども数 3.02 3.02 3.03 4.24 0% ゆとりがある多少ゆとりがあるあまりゆとりがないゆとりがない ( 資料 )Benesse 次世代育成研究所 乳幼児の父親についても調査報告書 (2009 年 ) ( 図表 9) もう 1 人子どもを持ちたいか ( 現在子どもが 2 人以上 ) 100% 0.0 0 人 1 人 2 人 3 人 4 人以上 現在子ども数 ( 注 )N=5932 ( 資料 ) 国立社会保障 / 人口問題研究所 出生動向基本調査 (2005 年 ) 割合 90% 80% 70% 60% 50% 40% 40.8 37.8 35.2 22.4 33.7 38.6 29.4 42.7 どちらとも言えない持ちたくない持ちたい ターゲット1 子ども2 人を目指して ~ 仕事と子育ての両立 夫の協力 ~ 30% 20% 10% 0% 36.7 28.5 26.2 27.9 ゆとりがある 多少ゆとりがある あまりゆとりがない ゆとりがない ターゲット2 子ども1 人を目指して ~ 産みたくても産めない~ ( 資料 )Benesse 次世代育成研究所 乳幼児の父親についても調査報告書 (2009 年 ) 子ども 1 人の世帯は収入に関係なく 2 人目が欲しいと思っている 子どもへの金銭的負担は 3 人目から ターゲット3 子ども3 人を目指して ~お金がかかる~ 4
働く母親と待機児童問題 女性の労働力率上昇傾向へ その要因は 1 夫の収入減少 ( 非正規雇用が増加 ) 2 女性の高学歴化 ( 社会進出が積極化 ) 3 育児休業制度の整備 (M 字カーブのフラット化 ) ( 図表 11) 女性の労働力率 仕事をもつ母親 が増えるにつれて 待機児童問題が拡大 待機児童は 3 年連続で増加 2010 年 4 月時点で全国 26,275 人 ( 人 ) 30,000 25,000 ( 図表 12) 保育所待機児童数 ( 労働力率 %) 90 80 70 1994 1999 2004 2009 20,000 15,000 10,000 60 50 40 5,000 0 03 04 05 06 07 08 09 10 ( 注 ) 各年 4 月 1 日時点 ( 資料 ) 厚生労働省 30 しかし 待機児童は全国一律の問題ではなく 主に都市部での問題 20 10 0 15~19 歳 20~24 歳 25~29 歳 30~34 歳 35~39 歳 40~44 歳 45~49 歳 50~54 歳 55~59 歳 60~64 歳 65 歳以上 ( 年齢層 ) ( 注 ) 労働力率 = 労働力人口 15 歳以上人口 ( 資料 ) 総務省 労働力調査 保育需要に対して供給が追いつかない理由 1 保育士数の問題 ( 供給のソフト面 ) 2 保育所数の問題 ( 供給のハード面 ) 5
東京都の保育施設状況 待機児童が最も多いのは東京都 2010 年 4 月時点 :8,435 人 ( 全国 :26,275 人 ) 合計特殊出生率も 東京が最も低く 1.12 人 (2010 年 ) ( 全国 :1.39 人 ) 全国の子どもの数は減っているが 東京都の子どもの数は増えている 保育所の数は増加傾向ではあるが 新規開所をしてもすぐに定員に達する 潜在的保育ニーズを満たす水準までは達していない 保育士数は 保育所数の増加に比べ横ばい傾向 保育士として生計を立てていける人 つまり保育士として働きたい人が少ない ( 図表 13)4 歳以下の児童数 ( 図表 14) 東京都保育所数と保育士数 ( 全国 千人 ) 6,000 ( 東京都 千人 ) 600 2,500 ( 保育所 所 ) 保育士数 ( 右軸 ) ( 保育士 人 ) 30,000 5,750 550 2,300 28,000 2,100 26,000 5,500 500 1,900 24,000 5,250 450 1,700 保育所数 ( 左軸 ) 22,000 5,000 2005 2006 2007 2008 2009 400 1,500 2006 2007 2008 2009 2010 20,000 ( 資料 ) 総務省 全国合計東京 ( 右軸 ) ( 注 )1. 保育所数は 認可保育所および東京都の認証保育所の合計数 2. 保育士は 常勤保育士のみ ( 資料 ) 厚生労働省 東京都統計局 6
保育士として働きたい と思えるように 待機児童解消のために必要な保育士は そんなに多くない しかし 保育士の就労環境は悪く 所得水準も低い 保育士として生計を立てていくことは難しい ( 図表 15) 年齢別待機児童数 ( 図表 16) 産業毎の年齢別現金給与額 400 ( 千円 ) 4 歳児 ~, 1,261 全産業 3 歳児, 3,477 0 歳児, 3,708 350 看護士 300 賃金格差 1~2 歳児, 17,829 250 保育士 200 ( 注 ) 2010 年 4 月 1 日時点 ( 資料 ) 厚生労働省 子ども一人あたりに必要な保育士数 0 歳児 =3 人 1~2 歳児 = 6 人 3 歳児 =20 人 4 歳児 ~ =30 人 150 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 歳 ( 資料 ) 厚生労働省 平成 22 年賃金構造基本統計調査 最低賃金の導入により 保育士の所得を保障してあげることで 保育士として働きたい と思える職業に 待機児童解消に必要な保育士は 4,423 人 待機児童解消に必要な追加保育士数も多くはない 所得保障にも多額の予算は不要 7
使っていない学校設備は活用できているか 使っていない学校 を活用 使っていない教室 を活用 ( 図表 17) 公立学校の廃校状況 小中学校の余裕教室は全国で 61,102 室 600 500 400 ( 廃校数 ) ( 利用計画無し ) 300 250 200 利用計画なし 東京都内でも 4,535 室 (09 年 5 月時点 ) ( 図表 18) 余裕教室の活用状況 300 150 廃校数 未活用, 0.9% 200 100 100 50 学校施設以外へ活用, 5.6% 0 '02 '03 '04 '05 '06 '07 '08 '09 0 学校施設として活用, 93.5% 東京神奈川 廃校数計 (92~09 年累計 ) 356 127 小学校 197 51 中学校 88 14 高校等 71 62 学校施設としての活用 内訳 地域への開放 3% 教職員用 6% 準備室等 7% 埼玉千葉 74 71 45 43 2 11 27 17 交流 カウンセリング 17% 特別教室等 67% 大阪 105 41 9 55 ( 資料 ) 文部科学省 廃校の実態及び有効活用状況 ( 資料 ) 文部科学省 余裕教室 廃校施設の有効活用 8
男性の家事 育児への参加は不十分 ( 図表 19) 夫の休日の育児時間が長いほど第 2 子が生まれやすい ( 図表 20)6 歳未満の子どもがいる男性の 1 日あたり育児時間 0% 20% 40% 60% 80% 100% 0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 家事 育児時間なし 14.7 日本 0:33 アメリカ 1:05 2 時間未満 23.5 イギリス 1:00 2~4 時間未満 34.5 フランス ドイツ 0:40 0:59 4~6 時間未満 49.5 スウェーデン 1:07 ノルウェー 1:13 6 時間以上 出生あり 52.1 育児 家事全体 ( 資料 ) 厚生労働省 子ども子育て白書平成 22 年版 ( 注 ) 平日 休日の 1 日あたり平均 ( 資料 ) 厚生労働省 子ども子育て白書平成 22 年版 調査数 (n=1553) 育児休業制度 短時間勤務制度 ( 図表 21) 仕事と育児の両立支援制度を利用したいと回答した比率 全体 31.8% 34.6% 男性 子どもあり 33.1% 35.1% ( 資料 ) 厚生労働省 今後の仕事と家庭の両立支援に関する調査 (2008 年 ) 実際の取得率 1.6% 全体 68.9% 62.3% 女性 子どもあり 69.3% 64.5% 海外男性の育児休暇取得率 英国 12% ドイツ 19% オランダ 18% 9
10 結婚生活に対する満足度には男女間で大きな格差 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 エストニアスロバキア韓国ポルトガルポーランドスロベニア日本ギリシャスペインフランスイタリアチェコチリドイツOECD平均英国アイスランドメキシコルクセンブルグブラジルベルギーアイルランド米国オーストリアオーストラリアニュージーランドイスラエルスイスカナダスウェーデンノルウェーオランダフィンランドデンマーク( 資料 )OECD, Family database ( 注 ) 満足度を 1( 最低 )~10( 最高 ) でランク付け 0% 20% 40% 60% 80% 100% 28-32 歳 33-42 43-52 53-62 63-72 28-32 歳 33-42 43-52 53-62 63-72 かなり満足どちらかといえば満足どちらかといえば不満かなり不満無回答男性女性 ( 資料 ) 日本家族社会学会 第 3 回家族についての全国調査 (2010 ( 図表 23) 生活満足度の国際比較 ( 図表 22) 結婚生活における満足度 < 結婚生活への満足度調査 > 8 割以上の男性が かなり満足 どちらかといえば満足 と考えるのとは対照的に 女性の半数近くが結婚生活に どちらかといえば不満 かなり不満 と回答不満の理由は 男性が育児に協力的でない 夫婦で過ごす時間が少ない など海外と比べても日本人の生活満足度は低い OECD 加盟国中 日本は下位 7 番目で先進国では最低レベル
若年層の離婚率の上昇が出生率のマイナス要因に ほぼ子どもを生み終えた結婚持続期間 15~19 年の夫婦の平均出生子ども数 ( 完結出生児数 ) 結婚生活がうまくいっている家計の出生率はそれほど減少していない 完結出生児数 = 生まれた子どもの数 結婚している女性の数合計特殊出生率 = 生まれた子どもの数 女性の数 = 完結出生児数 婚姻率婚姻率 =1-( 未婚率 + 離婚率 ) 完結出生児数が今後も安定して推移するとすれば 未婚率 離婚率の低下は出生率を上昇させる 未婚率の原因については 非婚化チーム を参照 ( 図表 24) 有配偶者に占める女性の離婚率 ( 図表 25) 完結出生児数と合計特殊出生率 8 % ( 人 ) 3 7 6 2.5 完結出生児数 合計特殊出生率 5 4 3 2 1 0 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 年 ( 資料 ) 厚生労働省 平成 21 年度 離婚に関する統計 の概況 ~19 歳 20~24 25~29 30~34 35~39 2 1.5 1 1962 1967 1972 1977 1982 1987 1992 1997 2002 2005 ( 資料 ) 国立社会保障 人口問題研究所 第 13 回出生動向基本調査 厚生労働省 人口動態統計 11
子どもの人数 ( 理想と現実とのギャップ 原因 ) 理想とするこどもの数 2 人 3 人 と答えた人の合計は 8 割を超えているが 現実の子ども数は 0 人 1 人 の家庭が多い現状 理想と現実で 約 1 人のギャップが存在する 理想の子どもを持たない理由として 子育てや教育費にお金がかかりすぎる と回答した割合が多いが 1 人も子供がいない家庭では 欲しいけれどできない と答えた割合が大きく逆転する 2005 年 (1115 人 ) 平均 2.4 人 2010 年 (1248 人 ) 平均 2.3 人 6.1 7.9 50.4 51.8 33.7 32.5 ( 資料 )2011 年 3 月内閣府 : 少子化社会に関する国際意識調査報告書 4.3 1.7 2.0 2.6 1.0 3.2 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人以上 子どもは欲しくない わからない 2005 年 (1115 人 ) 平均 1.3 人 2010 年 (1248 人 ) 平均 1.2 人 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 18.6 18.4 ( 図表 26) 理想の子ども数 ( 図表 27) 現実の子ども数 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 31.2 28.6 11.1 12.3 1.4 2.3 0.3 0.3 38.3 34.8 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人以上子どもはいないわからない 1.8 1.0 0.5 1.8 ( 図表 28) 理想 / 現実 (+ 追加予定 ) 子ども数の組み合わせ別 子育てや教育にお金がかかりすぎる 高年齢で産むのはいや 育児の心理的 肉体的負担に耐えられない 自分の仕事に差し支える 理想 予定子供数の組合せ別 理想の子供を持たない理由 ( 予定子供数が理想子供数を下回る夫婦限定 ) 健康上の理由 欲しいけれどできない 家が狭い 夫の家事 育児への協力が得られない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 21.6% 4.1% 18.6% 20.2% 23.4% 22.9% 6.8% 17.7% 25.5% 13.4% 18.8% 13.8% 21.0% 16.2% 19.1% 26.1% 15.4% 21.9% 11.0% 26.9% 9.0% 4.1% 7.6% 1.4% 9.9% 9.2% 16.0% 27.6% 23.4% 4.1% 14.8% 10.9% 13.8% 21.0% 13.8% 38.6% 37.8% 36.3% 44.5% 36.8% 40.0% 44.1% 41.2% 54.8% 58.1% 74.7% 80.0% 72.4% 理想 1/ 予定 0 理想 2/ 予定 1 理想 3/ 予定 1 理想 3/ 予定 2 理想 4 以上 / 予定 2 理想 4 以上 / 予定 3 ( 注 ) 複数回答 N=5932 ( 資料 ) 国立社会保障 人口問題研究所 第 13 回出生動向基本調査 結婚と出産に関する全国基本調査夫婦概要 (2005 年 ) 12
不妊 ( 治療 ) を取り巻く現状 晩婚化に伴い 晩産化へ 出産年齢の高齢化によって 妊娠する確率が減少し 欲しいけれどできない = 不妊症 の割合が増加 人工授精 高度生殖医療 ( 体外受精 顕微授精等 ) においては 公的医療保険制度の適用外となるため 治療費用が多額になる ( 不妊治療の平均額 = 約 150 万円 ) 一般生殖治療から高度生殖治療へ移行し 不妊治療が長期化 経済的 精神的 身体的負担が増加 ( 図表 29) 保険適用外治療の成功率 治療費 成功率 治療費 人工授精 5%~10% 1 万 ~1,5 万 体外受精 19% 20 万 ~50 万 顕微授精 15% 25 万 ~60 万 ( 資料 ) 日本産科婦人科学会 ( 図表 30) 治療内容別 通院期間別による治療費用 n ~25 万 25.1~100 万 100.1~200 万 200.1 万以上 治療内容 体外受精あり 171 5.8% 23.4% 28.7% 42.1% 人工授精あり 88 28.4% 43.2% 17.0% 11.4% 排卵誘発あり 68 52.9% 33.8% 4.4% 8.8% その他 30 50.0% 16.7% - 33.3% 通院期間 ~2.0 年以内 107 57.9% 28.0% 7.5% 6.5% 2.1~4.0 年以内 80 13.8% 35.0% 27.5% 23.8% 4.1~7.0 年以内 75 8.0% 34.7% 28.0% 29.3% 7.1 年 ~ 76 6.6% 23.7% 18.4% 51.3% ( 資料 ) 不妊当事者の経験と意識に関する調査 ( 白井 :2003) 経済的負担 精神的不安 年齢 社会の理解不足 通院期間 肉体的苦痛 夫の協力不足 情報不足 情報過多 家族の理解 その他 ( 図表 31) 不妊治療における悩みや障害の原因 不妊治療施設 (n=104) 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0% 48.1% 57.1% 46.2% 52.4% 30.8% 38.1% 31.7% 26.2% 10.6% 21.4% 26.0% 14.3% 11.5% 9.5% 13.5% 2.4% 4.8% 0.0% 2.9% 0.0% ( 注 ) 複数回答 ( 資料 ) 倶楽部ジネコアンケート調査 (2009) 不妊治療中の女性 (n=412) 79.8% 83.3% 13
政策提言 1 社会から求められる子ども 子育て支援を < 現状 > 子ども手当中心の政策では 出生率向上への期待は希薄 提言 晩産化対策 + 仕事と育児の両立が図れる支援 不妊治療助成 医療保険適用化 受診者数が増加し さらに治療の選択幅が広がる 不妊治療が一般化することで世間の抵抗感が薄れ 精神的な負担軽減も効果も期待 1 人目の出産対策 保育施設拡充 廃校施設の有効活用 都市部にも多く存在する空きスペ - スを有効活用 期待効果 コストを抑えつつ 共働きを希望する夫婦が安心して子育てできる環境を構築 2 人目の出産対策 男性の育児参加 イクメン の推進 男性の育児休業取得率 育児 家事参加時間を向上 夫婦 ( 女性 ) の結婚満足度を向上 あわせて離婚率減少の波及効果にも期待 3 人目以降の出産対策子ども手当による支援男性の育児参加 14
政策提言 2 予算の最適配分を < 現状 > 提言 子ども 子育て支援予算 の約 2/3 が 子ども手当 に配分 保育士の処遇 保育に対する社会的地位が低く 雇用情勢が不安定 妊娠期 出産 に対する支援予算の枠組みが小さい 総合的な子ども 子育て支援を実現できる予算編成へ 現状 1 子ども手当の上積み 3 歳未満の子どもに 2 万円支給予算 :2 兆 77 億円 2 待機児童解消の推進保育所の整備等の基金予算 :5015 億円 3 不妊治療への支援不妊治療費用の一部を助成予算 :95 億円 対策案 1 子ども手当の見直し金銭的負担を感じる 3 人以上の子どもを持つ世帯のみ支給 ( 所得制限の検討も ) 2 保育士の労働環境 ( 処遇 ) 改善最適な保育士数実現のため 保育士への助成を拡充し 最適賃金を支給 3 妊娠期 出産に対する予算拡充不妊治療に対する医療保険適用化を実施し 子どもを望む夫婦への支援を強化 平成 22 年の子ども手当 ( 月額 13,000 円 ) をベースに試算した結果 1 兆 3,000 億円の予算削減を見込む ( 所得制限なし ) 15
参考資料 平成 23 年厚生労働省子ども 子育て支援予算 ( 当初 )> 合計 ( 約 3 兆円 ) ( 資料 ) 厚生労働省 16