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m u. 固有値とその応用 8/7/( 水 ). 固有値とその応用 固有値と固有ベクトル 行列による写像から固有ベクトルへ m m 行列 によって線形写像 f : R R が表せることを見てきた ここでは 次元平面の行列による写像を調べる とし 写像 f : を考える R R まず 単位ベクトルの像 u y y f : R R u u, u この事から 線形写像の性質を用いると 次の格子上の点全ての写像先が求まる 4 y y f : R R u このように ほとんどのベクトルは 写像後に方向を変える u { } { } このように 写像 f によって 基底 e, e b, b の座標系が得られる この座標系の事を 斜交座標系と呼ぶこともある ここで これらの写像を重ねてみる 5 6

. 固有値とその応用 8/7/( 水 ) 行列に対して 変換後もベクトルの方向を変えないものがある そのようなベクトルを行列 に対する固有ベクトルと言う ( 正確な定義は後で与える ) 例えば 下の計算からわかるように に対しては 等が固有ベクトルである + + y u に対して は写像元と写像先が同一 7 8 y に対して u は写像元と写像先が同じ方向 この場合は 倍だけ変化する この倍率のことを固有値という 9 固有関係式 ここでは 行列 に対して固有ベクトル が満た すべき関係を示す 固有値には の 文字が用いられる ここで 行列によるベクトルの写像 ベクトルの方向が等しいことを意味する 慣用的に ベクトルのスカラー倍 はスカラーであり 固有値と呼ばれる この式が 固有値と固有ベクトルにおける一番重要な関係式である この関係式を本講義では 固有関係式と呼ぶ 線形写像に対する固有値 固有ベクトル定義 ( 線形写像に対する固有値 固有ベクトル ) 線形空間 V から V 自身への線形写像を f : V Vとする スカラーに対して固有関係式 f ( ) を満たすでないベクトル V があるとき スカラー は写像 f の固有値であるといい ベクトル は固有値 に属する ( 写像 f の ) 固有ベクトルという. 零ベクトル は任意のスカラー に対して 固有関係式をみたすが 固有ベクトルではない. 固有値は 一般には複数あるが dmv 個以下である. 一つの固有値に属する固有ベクトルはつとは限らない 行列に対する固有値と 固有ベクトル 次正方行列 Α は 線形写像 f : R R を定めていた ここで 線形写像 f に対する固有値と固有ベクトルと同様に 行列に対する固有値と固有ベクトルを定める 定義 ( 行列に対する固有値 固有ベクトル ) の正方行列を とする スカラー ( 実数または複素数 ) に対して 固有関係式 を満たすでないベクトル R があるとき スカラー は行列 の固有値であるといい ベクトル は固有値 に属する ( 行列 の ) 固有ベクトルという 正方行列に対してしか 固有値や固有ベクトルは定義されないので注意すること

. 固有値とその応用 8/7/( 水 ) 固有空間 固有ベクトルから固有空間へ の固有値にがある を満たすベクトルとしては の他にも や等がある 実は 次元空間 ( 直線上 ) の 全てのベクトルが固有ベクト y ルになる y u u 4 固有ベクトルから固有空間へ とし とする を満たすベクトルとしては の他にも や等がある 実は 次元空間 ( 直線上 ) の 全てのベクトルが固有ベクト y ルになる y 固有空間 定義 ( 線形写像の固有空間 ) が線形写像 f : V V の固有値であるとき V { V f( ) } を写像 f の固有値 の固有空間という 言い換えると 固有空間 V は の固有値に属する固有ベクトル全体に零ベクトル を加えた集合のことである u u 5 6 行列の固有空間定義 ( 行列の固有空間 ) 次正方行列 の固有値を とするとき V { C } を行列 の固有値 の固有空間という 言い換えると 固有空間 V は の固有値に属する固有ベクトル全体に零ベクトル を加えた集合のことである 固有空間の性質 ( 固有空間の性質 ) 線形写像の固有値 の固有空間はの部分空間である 証明略 V f : V V V 例 の固有値, に対する固有空間 V V は 次のようになる V R V R 7 8

. 固有値とその応用 8/7/( 水 ) 固有ベクトルの一次独立性 ( 固有ベクトルの一次独立性 ) 線形写像 f : V V の相異なる固有値,,, に対して 各固有値 に属する固有ベクトルを とする このとき { } は一次独立である,,, 証明固有値の数 基礎 このときには に関する帰納法で示す のとき であるから命題が成り立つ 9 帰納 > とする 個の固有ベクトル {,,, } が一次独立と仮定する ( 帰納法の仮定 ) + + + () とおいて 係数の組 {,,, } を調べる 線形性と固有値の定義より f ( + + + ) f ( ) + f ( ) + + f ( ) f ( ) + f ( ) + + f ( ) + + + また線形性より f ( ) よって () の両辺に線形写像 f を適用すると 次式が得られる + + + () 一方 () によって得られる式 を () に代入する ()' ( ) + ( ) + + ( ) 帰納法の仮定より {,,, } は一次独立なので ( ) ( ) ( ) また,,, は相異なるスカラーであったので よって () よって ()' より ( ) 以上より () と合わせて であり {,,, } は一次独立 固有値の求め方 ( 重要 ) ここでは 固有値の求め方を示す なお 固有ベクトルは 固有値を求めた後で求められる 固有値を求めるためには 固有多項式と固有方程式の概念が重要である 固有値の求め方 手順 : ( 固有値計算 ). 行列式に基づいて 固有多項式を作る. 固有多項式の右辺 とおいて固有方程式を作る. 固有方程式を解く ( 固有方程式の解が固有値である ) 4 4

. 固有値とその応用 8/7/( 水 ) 固有多項式と固有方程式 ( 特性多項式と特性方程式 ) 定義 : ( 固有多項式と固有方程式 ) [ j ] を 次の正方行列とする スカラー の 次の多項式 ϕ( ) det( I) を行列 の固有多項式 ( あるいは特性多項式 ) という また 方程式 det( I ) を行列 の固有方程式 ( あるいは特性方程式 ) という 5 固有値と固有方程式 が行列 の固有値であるための必要十分条件は が固有方程式 det( I ) の解であること である 証明 性質 : ( 固有値と固有方程式 ) が自明でない解 ( ) が自明でない解 ( ) を持つ を持つ が自明でない解 を持つ が自明でない解 ( ) を持つ I ( ) ( I) det( I) スカラー 6 例 次の行列の固有値を求めよ () 解 ) この行列に対する固有多項式は ϕ det( I ) ( )( ) 4+ と表せる よって 固有方程式 4+ を解く ( )( ) I, 以上より 行列 固有値は, である の 7 例 次の行列の固有値を求めよ よって 固有方程式 () 5+ 4 を解く 解 ) この行列に対する固有多項式は 5± ϕ det( I) 以上より 行列の 4 固有値は ( )(4 ) 6 5 5, + 5+ と表せる である 8 例 次の行列の固有値を求めよ () 解 ) この行列に対する固有多項式は ϕ det( I ) ( ) + ( ) 4 9+ 6 と表せる よって 固有方程式 4 9+ 6 を解く ( ) (4 ), 4 以上より 行列 の 固有値は ( 重根 ), 4( 単純根 ) である 固有方程式の解 が m 重根 であるとき 固有値 の代数的重複度が m であると 9 いう 練習次の行列に対して 固有方程式を解き 固有値を求めよ () () 4 B 5

. 固有値とその応用 8/7/( 水 ) 固有ベクトル ( 固有空間 ) の求め方 ( 重要 ) 固有値がわかれば 各固有値に属する固有ベクトルを定義に基づいて求めることができる 具体的には 固有値 に対する固有ベクトルは 同次連立一次方程式 ( I) の非自明解を求めればよい ( 実は この方法によって 固有空間も求まる ) 手順 : ( 固有ベクトル計算 ). 固有値. 固有値 に対する固有関係式 ( I) を作る. 固有関係式を同次連立方程式とみなして解く 4. 解空間が固有空間であり 以外の要素が固有ベクトル 例 次の行列の固有ベクトルを求めよ () + 解 ) この行列の固有値は, である よって 任意定数 を 用いて に対する固有ベクトル ( I) と表せる よって 例えば が の固有ベクトル に対する固有ベクトル ( I) + よって 任意定数 を用いて と表せる よって 例えば が の固有ベクトル 例 次の行列の固有ベクトル を求めよ () 解 ) この行列の固有値は ( 重根 ), 4( 単純根 ) である に対する固有ベクトル 4 ( I) 4 4 4 4 ただし は任意定数 5 に対する固有ベクトル ( I) 6 6

. 固有値とその応用 8/7/( 水 ) ( I) + + + + ただし このことより, は任意定数 V +, R であり その次元は dmv に対する固有空間は である 練習次の行列に対して 固有ベクトル 固有空間を求めよ () () 4 B 固有空間の次元を 幾何的重複度という 7 8 幾何学的重複度と代数的重複度 定義 : ( 幾何学的重複度と代数的重複度 ) 次の正方行列 の全ての異なる固有値を とする,,, () 固有値 に対する 固有空間 V { } の次元 dmv を固有値 に対する幾何学的重複度 (geometc multclcty) といい m g( ) とかく () 固有値を用いることで 固有多項式は ϕ( ) ( ) ( ) m ( ) m ( ) m m と表せる このとき を各固有値に対する代数的重複度 (lgebc multclcty) といい m( ) とかく 9 幾何的重複度と代数的重複度の関係 証明略 性質 : ( 幾何的重複度と代数的重複度 ) 次の正方行列 の固有値を とする また 固有値 に関する幾何的重複度を mg( ) とし 代数的重複度を m ( ) とする このとき 次の式が成り立つ m ( ) m ( ) g この式より 幾何的重複度を 固有値全てに対して総和をとっても にならないことがあるということがわかる ( なお 代数的重複度を固有値全てに対して総和をとればである ) 4 固有値の性質 4 固有値の性質 ( 複素数の固有値 ) 性質 : ( 複素数の固有値 ) 行列の要素がすべて実数であっても 固有値は複素数になることがある 例 の固有値 固有多項式は ϕ ( ) + よって 固有方程式 + より, 4 7

. 固有値とその応用 8/7/( 水 ) 固有値の個数 次正方行列 に対する固有方程式 は 次の代数方程式だから 代数的重複度まで含めると複素数の範囲で丁度 個の解がある 練習次の行列の固有値を求めよ () () cos θ s θ B s θ cos θ () C 4 44 固有値とトレース 固有値と行列式 ( 重要 ) 固有値とトレース 固有値と行列式には次のような関係がある 性質 : ( 固有値とトレース 固有値と行列式 ),,, を の固有値とする このとき 次が成り立つ (I) + + + + + + t 証明 固有多項式を計算する ϕ ( ) ( ) ( ) ( ) + t + + 定数項は 行列式そのものになることに注意する (II) この関係があるので トレースのことを固有和ということもある これら つの式は 固有値の値のチェックに利用することができる 45 行列式の定義より の部分は ( ) ( )( ) ( ) の展開からしか生成できないことがわかる 46 一方 固有値は固有方程式の根だから 固有多項式は 次のようにも表現できる ϕ( ) ( ) ( )( ) ( ) ( ) + ( ) ( + + ) + + ( ) よって の項の係数と 定数項を比較して次式を得る + + + t 例 の固有値は, である t + 4( + ) 4 ( ) 47 48 8

. 固有値とその応用 8/7/( 水 ) 例 B の固有値は,, 4 である 代数的重複度を考えて 同じ値を持つ固有値を つにしている tb + + 6( + + ) 例 の固有値は である, C C tc + ( + ) ( ) ( ) B 8+ + (+ + ) 4( ) 49 5 固有値と正則行列性質 : ( 固有値と正則行列 ) 行列 が正則であるための必要十分条件は を固有値として持たないことである 証明 がを固有値として持つ となる固有ベクトル が存在する 同次連立一次方程式 が非自明解 を持つ は正則でない よって 対偶をとることによって は正則 がを固有値として持たない 5 相似な行列 5 相似な行列 定義 : ( 相似な行列 ) 次の正方行列 に対して 次の正則行列 P とそ の逆行列 P を用いて B P P と表した行列 B を と相似な行列という P P 正則行列と その逆行列でサンドイッチ状にする 5 相似な行列の性質 性質 : ( 相似な行列間の行列式の相等 ) 相似な行列は行列式が等しい すなわち を正方行列 P を正則行列とすると P P 証明 PP P P P P P スカラーなので交換可 P に注意する 54 9

. 固有値とその応用 8/7/( 水 ) 相似な行列の性質 性質 : ( 相似な行列間のトレースの相等 ) 相似な行列はトレースが等しい すなわち を正方行列 P を正則行列とすると 証明 t t( P P) t( P P ) t(( P )( P )) t(( P)( P )) t(( PP )( )) t( I) t トレースの性質で t( B) t( B) を思い出す 55 相似な行列の性質 性質 : ( 相似な行列間の固有多項式の相等 ) 証明 相似な行列は固有多項式が等しい すなわち を正方行列 を正則行列とすると P ϕ ϕ ( ) ( ) P P ϕ P P ( ) det( P P I) P P det( P P P IP) det( P P P IP) det( P ( I) P) P P I P det( I) ϕ ( ) 56 相似な行列の性質 4 性質 : ( 相似な行列間の固有値の相等 ) 相似な行列は固有値が等しい 証明固有多項式 ( 固有方程式 ) が等しいので 明らかに成り立つ 例 正方行列を とし 正則行列を P とする 7 5 まず P の逆行列 P 5 P 7 57 58 次に相似な行列 P P を求めておく 5 P P 7 7 5 5 9 7 7 4 7 59 まず 行列式について 4 P P 87 ( 84) 4 7 次にトレースについて, t t + 4 t ( P P) t 7 4 4 7 6

. 固有値とその応用 8/7/( 水 ) 最後に 固有多項式と固有値について ϕ I ( ) det( ) 4 + ( )det( P P I) 4 + 4 7 ϕ P P 固有値の応用 ( 行列の対角化 ) よって 固有値は, P, P の両方ともに 6 6 正則行列による対角化固有値や固有ベクトルを利用すると 正方行列を対角化することができる まず 必要な記法や概念を説明する そのあとで 行列に対する固有値や固有ベクトルをから行列 を対角行列に変換する方法を与える また 対角化された行列による応用をいくつか示す 対角行列 ( 重要 ) 定義 : ( 対角行列 ) 次正方行列に対して 対角成分以外が全てである行列を対角行列という すなわち j ここで α j j α C である 6 64 対角行列のイメージ α α O O α 65 対角化可能 定義 : ( 対角化可能性 ) を次の正方行列とする に相似な対角行列 D が存在するとき すなわち 正則行列 P によって D P P が対角行列になるとき 行列は正則行列 P で対角化可能であるという 逆行列と 正則行列でサンドイッチにすることで 対角化する 実は P としては 固有ベクトルを並べたものにすればよい このとき 対角成分として 固有値が並ぶ 66

. 固有値とその応用 8/7/( 水 ) 対角化の判定法 性質 : ( 対角化可能性 ) 次の正方行列を とし の相異なる固有値を,,, とする このとき が対角化可能であるための必要十分条件は 次式を満たすことである m ( ) m ( ),,, 証明略 g 対角化手順の概略 ( 重要 ) これまでの議論より 次の正方行列 の対角化手順が構成できる 手順 : ( 行列の対角化 ) () の固有方程式 ϕ( ) を解き 固有値 () 各固有値毎に 固有ベクトル () 全ての固有ベクトルを順番に並べて変換の行列 P を定義する 67 P (4)() の行列の逆行列 P (5) P P を計算すると対角行列 D となる 68 対角化手順中の注意 ( 固有値の代数的重複度 ) () の固有多項式 ϕ( ) を求め 次の固有多方程式 ϕ を解く ( ) もし 実数で対角化を行いたいにもかかわらず 固有方程式の解に実数でなもの ( 複素数 ) が現れたら 実数では対角化できない 各固有値 とその代数的重複度 m( ) m ( ) ϕ( ) ( ) ( ) ( ) が成り立つ m( ) m( ) m( ) 対角化手順中の注意 ( 固有空間と幾何学的重複度 ) () 各固有値 毎に 固有空間 V { } 固有空間は 同次連立一次方程式 ( I) の解空間であるので 連立一次方程式を解くことで 求められる 幾何的重複度 m g ( ) dmv も求める すべての固有値に対して m ( ) m ( ) g であれば対角化可能 さもなければ 対角化不可能 対角化可能ならば 固有空間の要素である固有ベクトル V 対角化手順の注意 ( 対角行列と固有値 ) 例 ()~(5) 固有値がすべて非零なら 変換の行列 P は正則行列であり 逆行列が存在する の固有値は, である 対角行列の各成分は 対応する固有値となる すなわち 固有値 の固有ベクトルを とし 変換行列を P とすると 次式が成り立つ D P P 7 ( 各固有値の代数重複度はそれぞれ ) また に対する固有空間は V V R また に対する固有空間 V は V dmv dmv R 7

. 固有値とその応用 8/7/( 水 ) よって 全ての固有値で 代数的重複度と幾何的重複度が等しい よって 対角化可能 固有ベクトルをならべて正則行列 P を作る ここで と相似な行列 P P ここでは P とする このとき P P は P P 固有値が並んでいる ことに注意する 6 変換の行列 P に おける固有ベクトルの 順序が対角行列中の 固有値の順序として現れる 7 74 練習次の行列を対角化せよ () () 75 対角行列の累乗性質 : ( 対角行列の累乗 ) D を 次の対角行列とする すなわち d d D d とする また を自然数とする このとき 行列 D の 乗 D は次式で与えられる d d D d 76 相似行列の累乗性質 : ( 相似行列の累乗 ) 証明 () ( ) () ( PP ) () P P P P P P ( P P ) ( P P )( P P ) ( P P ) P ( PP ) ( PP ) P P P P II P P P () も同様 77 ( 対角化可能な ) 行列の累乗 これまでの議論より 対角化可能な行列では以下の 手順で累乗を求めることができる () 行列 を対角化して 対角行列 P d d P D d () 両辺の 乗 P P ( P d d P) D d 78

. 固有値とその応用 8/7/( 水 ) () 両辺の左から P を右から P を掛ける PP PP PD P d d P P d 例 とし を求めてみる P とする このとき P P P よって ( P P) P P 79 8 P P + + + + 練習次の行列を求めよ () () 8 8 4