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臨床血液 54:10 第 75 回日本血液学会学術集会骨髄系腫瘍 :AML EL-12 ガイドライン ( 標準治療 ) AML ガイドライン 宮脇修一 Key words : Acute myeloid leukemia, Induction therapy, Post-remission therapy, Guideline はじめに急性骨髄性白血病 (AML) は発症頻度の低い疾患であるが, 我が国では最も発症頻度の高い成人の白血病である AML の治療成績の向上のためにはグループ研究が必要で, 欧米では 1960 年代より, また, 我が国では, 1987 年より日本白血病治療グループ (JALSG) を中心に臨床研究が行われ, 多くのエビデンスが蓄積されてきた 近年, 良質の医療を提供するには,EBM に基づく治療が重要であることが広く認識され, 各種疾患に対するガイドラインが作成され利用されている 2011 年, 日本血液学会は 造血器腫瘍診療ガイドライン委員会 を設置し, 造血器腫瘍に対するガイドラインの作成を開始し, 多くの議論をへて,2013 年秋, 出版されることとなった ここでは作成されたガイドラインで推奨されている治療法を紹介し, 現時点での標準的 AML 治療を概説する 1. ガイドライン 1) ガイドラインの構成ガイドラインは, 総論, アルゴリズム, クリニカルクエッション (CQ) と構造化抄録から成り立っている 構造化抄録はエビデンスとなった重要な文献をまとめたもので, 膨大な量になるため, ガイドラインの本体とは別に CD で提供される 2) エビデンス レベルおよび推奨グレードエビデンス レベルの分類には National Cancer Institute-Physician Data Query (NCI-PDQ) の基準を使用し, 推奨グレードの分類は The National Comprehensive Cancer Network (NCCN) の基準 ( 表 1) が採用されている 東京都立大塚病院輸血科 ( 血液内科 ) 2.AML の診断と病型分類 AML の診断は,1 骨髄における白血病細胞の存在 (WHO 分類では 20% 以上,FAB 分類では 30% 以上 ), 2 白血病細胞が骨髄系起源であること,3 白血病細胞の染色体核型 遺伝子変異解析によって行われ, 現在, WHO 分類 (2008) によって病型分類される ( 表 2) 1) 従来汎用されてきた FAB 分類は de novo AML のみを対象としてきたが,WHO 分類では治療関連 AML と骨髄異形成に関連した変化を有する AML および AML 関連前駆細胞性腫瘍 ( 骨髄肉腫, 芽球形質細胞様樹状細胞腫瘍 ) を含むとともに, 特定の遺伝子異常を有する AML と Down 症に伴う骨髄増殖症を一つのカテゴリーとして定義している WHO 分類ではこれらカテゴリーに該当しない症例を分類不能の AML (AML, not otherwise 1 1 NCCN 2A NCCN 2B NCCN 3 NCCN 87(1633)

臨床血液 2 AML WHO 2008 1 Acute myeloid leukemia with recurrent genetic abnormalities AML with t 8;21 q22,q22 ; RUNX1-RUNX1T1 AML with inv 16 p13.1q22 or t 16;16 p13.1;q22 ; CBFB-MYH11 APL with t 15;17 q22;q21 ; PML-RARA Variant RARA translocations AML with t 9;11 p22;q23 ; MLLT3-MLL Variant MLL translocations AML with t 6;9 p23;q34 ; DEK-NUP214 AML with inv 3 q21q26.2 or t 3;3 q21;q26.2 ; RPN1-EVI1 AML megakaryoblastic with t 1;22 p13;q13 ; RBM15-MKL1 Provisional entity: AML with mutated NPM1 Provisional entity: AML with mutated CEBPA Acute myeloid leukemia with myelodysplasia-related changes Therapy-related myeloid neoplasms Acute myeloid leukemia, not otherwise specified AML with minimal differentiation FAB: M0 AML without maturation FAB: M1 AML with maturation FAB: M2 Acute myelomonocytic leukemia FAB: M4 Acute monoblastic/monocytic leukemia FAB: M5 Acute erythroid leukemia FAB: M6 Pure erythroid leukemia Erythroleukemia, erythroid/myeloid Acute megakaryoblastic leukemia FAB: M7 Acute basophilic leukemia Acute panmyelosis with myelofibrosis Myeloid sarcoma Myeloid proliferations related to Down syndrome Blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasms specified) としているが, その細分類には FAB 分類における形態学的 免疫組織学的診断が用いられる 2) CQ1.AML の診断時に必要な遺伝子検査は何が勧められるか AML 細胞の染色体核型は, 寛解導入療法に対する反応性および生存に対する最も強い予後因子であり 3, 4), WHO 分類における病型診断, さらには治療法の選択においても重要な情報となる また, 染色体正常核型の症例においては FLT3,NPM1,CEBPA 遺伝子変異が予後因子となることが示されており, これらの解析を行うことが推奨されている 1) 推奨グレード : カテゴリー 2A 染色体核型検査は病型分類, 予後予測, 治療法選択において必須である WHO 分類では染色体正常核型の症例においては FLT3,NPM1,CEBPA 遺伝子変異の解析を行うことが推奨されている 3.AML の予後因子 AML の予後には患者側要因と白血病細胞側要因の双方が関係するとともに, 治療反応性も長期予後に影響を及ぼす因子となる ( 表 3) 3, 5 7) 患者側要因として, 年齢 (60 歳以上 ), 全身状態 (performance status: PS 3 および 4), 合併症の存在 ( 感染症など ) が予後不良因子として重要である 白血病細胞側要因として, 染色体核型, 発症様式 (de novo または二次性 ), 初診時白血球数, 細胞形態 ( 異形成の有無,FAB 病型,myeloperoxidase (MPO) 染色陽性率 ) が予後因子となる 近年, 染色体異常のみならず, 種々の遺伝子変異も予後因子として重要であることが報告されており, 特に AML の約 1/4 に認められる正常染色体核型 ( 予後中間群 ) の予後を細分化する因子として注目され, これら遺伝子変異と従来の染色体核型に基づく予後因子を組み合わせた, 新たな予後層別化システムが European (1634)88

臨床血液 54:10 3, 5 7 3 AML 50 60 PS PS 2 PS 3 de novo t 8;21 q22;q22 inv 16 p13.1q22 t 16;16 P13.1;q22 t 15;17 q22;q21 NPM1 CEBPA 3q inv 3 q21q26.2, t 3;3 q21;q26.2 5 7 t 6;9 p23;q34 FLT3-ITD 1 2 4 European LeukemiaNet 8 ELN Genetic Risk Group Favorable Intermediate-I Intermediate-II Adverse Subsets t 8;21 q22;q22 ; RUNX1-RUNX1T1 inv 16 p13.1q22 or t 16;16 p13.1;q22 ; CBFB-MYH11 Mutated NPM1 without FLT3-ITD normal karyotype Mutated CEBPA normal karyotype Mutated NPM1 and FLT3-ITD normal karyotype Wt-NPM1 and FLT3-ITD normal karyotype Wt-NPM1 without FLT3-ITD normal karyotype t 9;11 p22;q23 ; MLLT3-MLL Cytogenetic abnormalities not classified as favorable or adverse inv 3 q21q26.2 or t 3;3 q21;q26.2 ; RPN1-EVI1 t 6;9 p23;q34 ; DEK-NUP214 t v;11 v;q23 ; MLL rearranged 5 or de 5q 7 abn 17p complex karyotype LeukemiaNet より提唱されている ( 表 4) 8) 4.AML の治療理念と治療の流れ ( 図 1) 9) 白血病の治療は Skipper らの実験白血病の研究における total cell kill の治療理念に基づいて行われてきた 白血病細胞は診断時には約 10 12 個に達し, これが寛解導入療法により減少し通常の顕微鏡検査では検出できない 10 9 個以下に減少すると, 正常造血が回復, 臨床症状 は消失し完全寛解 (complete remission: CR) となる しかし, この時点で治療を終了すると, 残存する白血病細胞 (MRD) が再増殖し再発する そこで,MRD をゼロにすべく寛解後療法が実施される 寛解後療法のうち寛解導入療法と同程度の強力な治療が地固め療法, 外来でも実施可能な治療が維持 / 強化療法である 強力な治療により抗腫瘍効果が高まり, 寛解率の向上, 寛解維持期間の延長さらには治癒率の上昇も期待されるが, 骨髄 89(1635)

臨床血液 図 1 急性骨髄性白血病の治療経過 抑制などの副作用もより高度となるため十分な支持療法が必要である 初発 AML に対する基本的な治療戦略は治癒を目指した強力な化学療法であり, 多剤併用療法が基本となる しかし, その適応は化学療法による臓器毒性や合併症に耐えられるかを年齢, 臓器機能, 全身状態などによって慎重かつ厳密に判断する必要がある ( 表 5) 7, 10) 寛解導入療法に対する不応例や,CR に到達したものの, その後再発をきたした症例は, 再発 難治例としてサルベージ療法が必要となる しかし, 再発 難治例においては化学療法のみでの治癒は期待しがたいため, 可能な症例では同種造血幹細胞移植療法が適応となる 5.AML の標準療法 7, 10 5 65 LVEF 50 Pa O2 60Torr SpO2 90 room air 2.0 mg/dl 1.5 1) 寛解導入療法 a. 若年者 de novo AML CQ2. 若年者 de novo AML に対する標準的寛解導入療法としてどのレジメンが勧められるか? 60 歳未満の若年成人 de novo AML に対する標準的寛解導入療法は, ダウノルビシン 45 60 mg/m 2 3 日間 + シタラビン 100 mg/m 2 または 200 mg/m 2 7 日間持続投与の 3+7 療法であったが, イダルビシン + シタラビンとダウノルビシン + シタラビンとの比較試験およびメタアナリシスの結果, イダルビシン + シタラビンのダウノルビシン + シタラビンに対する優越性が報告された 11) しかし, 従来のダウノルビシン投与量 (45 60 mg/m 2 ) はイダルビシン投与量 (12 mg/m 2 ) と比較して, 生物学的に少ないことが指摘され,ECOG (Eastern Cooperative Oncology Group) では,60 歳未満の de novo AML に対し, 増量ダウノルビシン (90 mg/m 2 )3 日間 + シタラビン (100 mg/m 2 )7 日間と従来のダウノルビシン (45 mg/m 2 )3 日間 + シタラビン (100 mg/m 2 ) 7 日間との無作為比較試験を実施し,CR 率, 生存 (overall survival: OS) 率ともに高用量ダウノルビシン (90 mg/m 2 ) 群が有意に優れていることが示された 12) 一方, 我が国では,JALSG (Japan Adult Leukemia Study Group) がダウノルビシン (50 mg/m 2 )5 日間 + シタラビンとイダルビシン + シタラビンとの無作為比較試験 (AML 201 stydy) を実施し,CR 率および OS 率ともに同等であることが示された 13) 推奨グレード : カテゴリー 1 若年成人 de novo AML に対する標準的寛解導入療法はアントラサイクリン ( イダルビシンまたは高用量ダウノルビシン )+ 標準量シタラビンである (1636)90

臨床血液 54:10 CQ3. 若年者 de novo AML の寛解導入療法 ( アントラサイクリン + 標準量シタラビン ) に他の薬剤の追加やシタラビン大量療法の組み込みは有効か? アントラサイクリン ( イダルビシンまたはダウノルビシン )3 日間 + 標準量シタラビン 7 日間による寛解導入療法にチオグアニンやエトポシドを加えた場合の優越性に関するエビデンスは乏しい 寛解導入療法におけるシタラビン大量療法の意義については,ALSG と SWOG (Southwestern Oncology Group) で無作為比較試験が実施されている ALSG の試験では 5 年無再発生存 (relapse free survival: RFS) 率はシタラビン大量療法群で有意に延長を認めた (48% 対 25%) が,OS 率,CR 率では有意差を認めなかった 14) SWOG でも 4 年 RFS 率の延長傾向を認めた (33% 対 21%,p/0.049) が,OS 率, CR 率では有意差を認めていない 15) 推奨グレード : カテゴリー 3 標準的寛解導入療法であるアントラサイクリン ( イダルビシンまたはダウノルビシン )+ 標準量シタラビン療法に他剤を追加した場合の優越性は認められていない また, シタラビン大量療法を組み入れた場合の優越性のエビデンスは乏しく, 有害事象の危険性が増すため推奨されない b. 高齢者 AML CQ4. 高齢者 AML に対し推奨される寛解導入療法は何か? 高齢者 AML に対する寛解導入療法で若年者と同様に標準的寛解導入化学療法を行う場合と, 低用量の治療ないし best supportive care を比較する前方向視的試験では, 標準的寛解導入療法群は CR 率 OS 率ともに成績が勝る事が示されている 16) しかし, 高齢者 AML においては PS, 合併症が治療成績に及ぼす影響が強いことに留意する必要がある また,75 歳以上, あるいは 60 歳 74 歳までの患者であっても重篤な併存症や PS 3 以上の場合には, 治療関連死亡率の危険性が高いため, 他の治療強度の低い治療法または best supportive care を選択すべきである 8) 年齢, 全身状態, 合併症などに基づく高齢者 AML に対する治療強度の減弱基準に関しての明確なエビデンスはなが,JALSG GML200 試験では,65 歳 69 歳までの症例に対してはダウノルビシン (40 mg/m 2 )3 日間 + ビヘノイルシタラビン (200 mg/m 2 )8 日間,70 歳 79 歳の症例に対してはダウノルビシン (30 mg/m 2 )3 日間 + ビヘノイルシタラビン (200 mg/m 2 )8 日間による寛解導入療法が実施されており, 年齢に基づくダウノルビシン投与量の目安になると思われる 17) 推奨グレード : カテゴリー 2A 60 歳から 65 歳までの高齢者 AML においては, 若年成人と同等の寛解導入療法を実施した方が良好な寛解率と生存率が期待できる しかし, 高齢者 AML では全身状態 (PS), 併存症などの程度により, 治療強度の軽減や best supportive care の選択を検討することが必要である CQ5. 一回の寛解導入療法で完全寛解が得られない場合, どのような治療法を選択すべきか? 我が国で最も多く施行されている AML の寛解導入療法は JALSG のプロトコールで行われるものが多い JALSG のプロトコールでは第一コースで寛解しなかった場合は, もう 1 コース同じ治療を繰り返す事になっている これらの成績では 1 コースでの CR 率は 57-72% と差があるものの, いずれの研究でも 2 コース後の CR 率はおしなべて 80% 前後である 10, 18 22) 1 コースで寛解しなかった症例では 1 コース目の抗白血病剤に抵抗性である場合が多く, 同じ治療法を用いた場合の 2 コース目の CR 率は低率であり, 治療薬を代えることの理由にはなる しかし,2 コース目の治療を替えたことにより, CR 率あるいは OS 率が向上するというエビデンスはない 推奨グレード : カテゴリー 2B 同一の寛解導入療法をもう一度繰り返すべきか, 治療法を変えるべきかのエビデンスは存在しない しかし,2 コース後には一定度の寛解が得られることから, 同一の寛解導入療法を再度繰り返すことは妥当と考えられる 2) 寛解後療法 a. 若年者 de novo AML CQ6. シタラビン大量療法はすべての AML の寛解後療法として行うべきか? AML 寛解後療法として CALGB (Cancer and Leukemia Study Group B) は, シタラビン通常量 (100 mg/m 2 /day,5 日間持続 ), 中等量 (400 mg/m 2 /day,5 日間持続 ) およびシタラビン大量療法 (3 g/m 2,1 日 2 回 3 時間で静注,day1,3,5 に投与 ) を前方向に比較した その結果,60 歳以下でシタラビン大量療法の有効性が確認された 23) CALGB はこの研究でさらに解析を行い,CBF 白血病ではシタラビン大量療法が最も効果が高く, 正常核型でも効果を認めたが, その他の核型では効果が乏しかった 24) また,t(8;21)AML に対して 3 コース以上のシタラビン大量療法が有効であることを報告している 25) 我が国で行われた前方視的試験では,2 g/m 2,1 日 2 回, 5 日とこれまでの多剤併用療法と比較して両群に無病生 91(1637)

臨床血液 存率 (disease-free survival: DFS),OS ともに差がなかったが,CBF 白血病ではシタラビン大量療法群で DFS の改善傾向が認められた 26) 近年, ドイツのグループからもシタラビン 36 g/m 2 と 12 g/m 2 の前方向比較試験が報告されたが, 両群で DFS/OS に差がなく, 染色体によるサブグループ解析でも差が無かった 27) 推奨グレード : カテゴリー 2A AML の寛解後療法としては 60 歳以下の CBF 白血病に対してシタラビン大量療法は無病生存期間の延長が期待でき推奨される CQ7. 寛解後療法としてのシタラビン大量療法の投与量, 標準的回数および期間は何が勧められるかシタラビン大量療法は,AML の寛解後療法として欧米では標準的治療となっている その landmark ともなった CALGB の研究では, シタラビン 3g/m 2 6 回が 4 コース実施された 23) しかし, この研究ではどのくらいシタラビンを繰り返せば良いのかは示していない CALGB はさらに 9,222 研究で,3 サイクルのシタラビン大量療法 (3 g/m 2 5 日間で 6 回投与 ) と 1 サイクルのシタラビン大量療法の後,2 コースの多剤併用化学療法を行う群とで比較試験を行ったが, 両群に DFS/OS とも統計学的に差は認めなかった 28) シタラビン大量療法の標準的な回数や期間に関する前方向試験はなく, また, シタラビン大量療法とアントラサイクリンを含む多剤併用療法の比較試験でも優位性は示されていない 26, 29, 30) 一方,t(8;21)AML では 3 コース以上のシタラビン大量療法は 1 コースのシタラビン大量療法より成績は良好である 25) 欧米でのシタラビン大量療法は 1 回投与量が 3g/m 2 であることが多いが, この方法では中枢神経合併症が多いとされており, 我が国では保険上認められている用量は 2g/m 2 であることを考慮して治療を選択する必要がある 推奨グレード : カテゴリー 3 シタラビン大量療法の標準的回数と期間に関して明確な基準は存在しない CBF 白血病ではシタラビン大量療法は 3 コース以上が推奨される CQ8. シタラビン大量療法以外の AML 地固め療法は何が勧められるか AML では寛解後地固め療法を行わないと再発が必至であり, 寛解を維持するため種々の寛解後療法が試されてきた 早くから欧米ではシタラビン大量療法が地固め療法の主流であったが, 我が国では保険上の制約からシタラビン大量療法が使えなかった時期が長く, 非交叉耐性のアントラサイクリン系薬剤と Ara-C 標準量を用いた寛解後療法を用いてきた経緯がある 65 歳以下の AML 寛解症例に対しては JALSG が AML97 において従来の 3 回の地固め療法 +6 回の維持療法対 4 回の地固め療法を行い, 維持療法は行わない治療との無作為化比較試験が行われた この結果では, 両者に DFS 率にも OS 率にも全く差が認められなかった 22) すなわち,4 回の地固め療法を行う事で維持療法を行わなくても同等の治療効果が期待できる さらに JALSG では 4 回の地固め療法と 3 回のシタラビン大量療法の無作為化比較試験を行い, 両治療法に RFS 率,OS 率に有意差を認めなかった 26) 推奨グレード : カテゴリー 2B AML 第一寛解期の地固め療法を非交叉耐性のアントラサイクリン系薬剤を用いて施行する場合は,4 回の治療が推奨される CQ9. 若年者 AML の第一寛解期に同種造血幹細胞移植の適応はどのように決定すべきか? これまで, 第一寛解期における同種造血幹細胞移植と寛解後化学療法を比較した多数の無作為比較試験が施行されたが, 結果は一定でなく DFS 率で移植群の有効性を示す研究はあるものの, ほとんどの研究は OS 率での有効性を示すことができなかった しかし,24 の臨床研究 ( 症例数 3,638) を対象とした meta-analysis の結果では,AML 第一寛解期では, 予後不良および中間染色体異常のある症例では, 移植による OS 率が有意に勝るが, 予後良好染色体異常のある症例では移植の優位性は確認できなかった 31) この結果からは, 染色体異常の有無と種類によって第一寛解期には移植適応を決定することが標準的といえる 民族遺伝学的背景の異なる我が国に欧米のデータを外挿することの妥当性は十分に検証されていないが, 我が国で施行された無作為比較試験でも同様な結果が得られている しかし, 予後因子の定義が異なる ( 染色体異常のみではない ) ことに加えて, 症例が少なくコンプライアンスも低く, 臨床試験としての質は高くない 32) 最近では, 遺伝子変異の有無も予後因子として注目されている 一つの無作為比較試験の subgroup 解析では, 正常核型 AML 第一寛解期において NPM1 の遺伝子変異があり FLT3-ITD のない症例を除いた症例群では,HLA 適合血縁者間移植後の無再発生存率が有意に勝ることが確認されている 33) 推奨グレード : カテゴリー 1 現時点では初診時の染色体異常による患者層別化が重要である 予後良好な染色体異常を有する good-risk の患者では造血幹細胞移植の有用性は示されていない それ以外の AML においては,HLA 適合血縁者間同種造血幹細胞移植が勧められる (1638)92

臨床血液 54:10 b. 高齢者 AML CQ10. 移植適応のない高齢者 AML に寛解後療法を施行するメリットはあるか? CALGB は寛解後療法としてシタラビン大量投与 (Ara-C 3 g/m 2 6 回を 4 コース繰り返す ) の有用性を検討し,60 歳以上の症例におけるシタラビン大量投与はその標準量投与と比較して DFS を改善しないことを明らかにした 23) 高齢者 AML を対象とした MRC-AML 11 試験も 1 回の強化療法後に同様の化学療法を繰り返しても再発率,DFS, そして OS に有意差は見られないことを示している 34) 一方,AML HD98-B 試験は寛解達成後の強化療法によって,favorable cytogenetics を持つ高齢者 AML の 20 30% に長期生存が得られることを示しており 35), 同様の傾向は MRC-AML11 試験においても確認されている 推奨グレード : カテゴリー 2B 移植適応のない高齢者 AML に対する寛解後療法のメリットは明らかにされていないが, 一部の症例では寛解後療法を行うことの有用性が示唆されている 3) 非寛解期 AML に対する同種造血幹細胞移植 CQ11. 非寛解期 AML に対する同種造血幹細胞移植の適応に関する指標はあるか? 初回再発期において同種造血幹細胞移植と化学療法の有用性を前向きに比較検討した報告はない Breems らは年齢 15 60 歳の初回再発 AML の移植成績を後方視的に解析し, 第二寛解期が達成できた症例に限定して移植と化学療法を比較した検討では, いずれの群においても 5 年 OS 率で移植の優位性が示唆されている 36) 日本の初回再発期 AML の移植成績の後方視的解析で, 第二寛解期を達成することで 3 年 OS 率は有意に改善することが報告されている 37) 一方, 芽球の割合の少ない初回再発期に同種移植を行うことで第二寛解期と同等の OS 率が得られるとの報告もあるが, そのエビデンスレベルは低い 38) 非寛解期 AML に対する同種造血幹細胞移植の成績は散見されるが, すべてが少数例での報告が多いことと患者の selection bias により, その移植適応の指標を導き出すことは難しいが,the Center for International Blood and Marrow Transplant Research (CIBMTR) は AML 非寛解期移植 1,673 例を解析し, 第一寛解期の期間, 末梢血中の芽球 %, ドナーの種類,PS, 染色体異常の有無から, 移植後の 3 年生存率 42% の予後良好群から 6% の予後不良群までの患者の層別化がある程度可能であることを報告している 39) 推奨グレード : カテゴリー 3 非寛解期 AML に対する移植適応を決定する明確な指標は確立されていない 現時点では後方視的解析に基づく予後因子と移植に関連する因子 ( ドナーソースなど ) を総合的に評価し, 患者との shared-decision making で移植適応を決めることが勧められる 非寛解期 AML に対する移植前に化学療法を施行することのメリットがある症例を予測する指標は確立していない 4) 支持療法および合併症対策 CQ12.AML において治療後の好中球減少期に G-CSF を使用するのは有用か? 若年成人 AML を対象とした第 III 相試験では, 好中球数減少期間, 発熱期間, 非経口抗生剤の投与期間さらには入院期間の短縮が示されている 40) 我が国で行われた研究でも, 好中球数減少期間, 発熱期間の短縮が観察されている 41) 骨髄抑制が高度となる高齢者 AML を対象にした試験でも, 好中球数減少期間, 発熱期間, 非経口抗生剤の投与期間の短縮が認められている 42, 43) しかし, 重症感染症の発症率や死亡率は減少せず, 生存期間の延長も認められていない 従って,European LeukemiaNet の勧告や NCCN のガイドラインでは高齢者や重症感染症を併発した症例以外の AML 症例への G- CSF の投与は推奨していない 一方,ASCO (American Society of Clinical Oncology) のガイドラインでは寛解導入療法後の G-CSF 投与は妥当, 地固め療法後は推奨できるとしている 44) 推奨グレード : カテゴリー 2B( 寛解導入療法 ), カテゴリー 2A( 寛解後療法 ) AML の寛解導入療法, 寛解後療法時における G-CSF 投与は, 好中球減少期間の短縮や QOL の改善が期待でき, 高齢者や重症感染症を併発した症例では検討されても良い CQ13.AML の化学療法において, どのような場合に腫瘍崩壊症候群の予防を実施すべきか? 腫瘍崩壊症候群を予防するためには, 増加した白血病細胞を緩やかに減少させることが有効で, 内服薬のヒドロキシウレア ( ハイドレア ) での治療が勧められている また, 水分補給や尿酸の生成を減らすべくアロプリノールも投与される また, 腫瘍崩壊症候群のハイリスクの症例には尿酸を分解し水溶性のアラントインにするラスブリカーゼ ( ラスリテック 45) ) の使用も勧められる 93(1639)

臨床血液 推奨グレード : カテゴリー 2A AML の化学療法時, 末梢白血球数が高値 * あるいは急増し, 尿酸値や血清クレアチニン値が上昇している症例に対しては腫瘍崩壊症候群の予防が推奨される CQ14.AML において中枢神経白血病の予防は勧められるか? 中枢神経白血病の AML での発症頻度は 5% 以下と報告され 46 49), 寛解後療法として, シタラビン大量療法や同種造血幹細胞移植が行われた場合は, その発症頻度はさらに低下することが示されている 49) 推奨グレード : カテゴリー 2A AML は中枢神経白血病の発症頻度が低く, すべての症例に対して抗がん剤の髄腔内投与による予防は推奨されていないが,FAB 分類での M4,M5,biphenotype や末梢血中白血球が 10 万 /ml を超える症例では予防治療が推奨される おわりに ここでは, 造血器腫瘍診療ガイドライン の中の AML のガイドラインを概観した 今後は, このガイドラインが医師のみならず, 看護師, 薬剤師など, さらには患者さんや家族の方々にも利用され,AML の患者さんに良質の医療が提供されることを期待したい 著者の COI(conflicts of interest) 開示 : 本論文発表内容に関連して特に申告なし 文 1)Swerdlow SH, Campo E, Harris NL, et al. eds. WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues, Fourth Edition. Lyon, IARC Press; 2008. 2)Bennett JM, Catovsky D, DanielMT, et al. Proposed revised criteria for the classification of acute myeloid leukemia. a report of the French-American-British Cooperative Group. Ann Intern Med. 1985; 103: 620-625. 3)Grimwade D, Walker H, Oliver F, et al. The Medical Research Council Adult and Children s Leukaemia Working Parties. The importance of diagnostic cytogenetics on outcome in AML: analysis of 1, 612 patients entered into the MRC AML 10 trial. Blood. 1998; 92: 2322-2333. 4)Slovak ML, Kopecky KJ, Cassileth PA, et al. Karyotypic analysis predicts outcome of preremission and postremission therapy in adult acute myeloid leukemia: a Southwest Oncology Group/Eastern Cooperative Oncology Group Study. Blood. 2000; 96: 4075-4083. 5) 日本血液学会, 日本リンパ網内系学会 ( 編集 ). 造血器腫瘍 献 取扱い規約. 第 1 版. 東京, 金原出版 ; 2010. 6)Kuriyama K, Tomonaga M, Kobayashi T, et al. Trial to extract prognostic factors prior to the start of induction chemotherapy for adult AML. Haematol Blood Transfus. 1998; 39: 901-905. 7)Acute Myeloid Leukemia. NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines Version2. 2013) (http:// www.nccn.org/professionals/physician_gls/pdf/aml.pdf). Accessed May 28, 2013. 8)Döhner H, Estey EH, Amadori S, et al. European Leukemia- Net. Diagnosis and management of acute myeloid leukemia in adults: recommendations from an international expert panel, on behalf of the European LeukemiaNet. Blood. 2010; 115: 453-474. 9)Skipper HE, SchabelFM Jr, Wilcox WS. Experimental evaluation of potential anticancer agents. XIII. On the criteria and kinetics associated with curability of experimental leukemia. Cancer Chemother Rep. 1964; 35: 1-111. 10)Ohtake S, Miyawaki S, Fujita H, et al. Randomized study of induction therapy comparing standard-dose idarubicin with high-dose daunorubicin in adult patients with previously untreated acute myeloid leukemia: the JALSG AML201 Study. Blood. 2011; 117: 2358-2365. 11)The AML Collaborative Group. A systematic collaborative overview of randomized trials comparing idarubicin with daunorubicin (or other anthracyclines) as induction therapy for acute myeloid leukaemia. Br J Haematol. 1998; 103: 100-109. 12)Fernandez HF, Sun Z, Yao X, et al. Anthracycline dose intensification in acute myeloid leukemia. N Engl J Med. 2009; 361: 1249-1259. 13)Ohtake S, Miyawaki S, Fujita H, et al. Randomized study of induction therapy comparing standard-dose idarubicin with high-dose daunorubicin in adult patients with previously untreated acute myeloid leukemia: the JALSG AML201 Study. Blood. 2011; 117: 2358-2365. 14)Bishop JF, Matthews JP, Young GA, et al. A randomized study of high-dose cytarabine in induction in acute myeloid leukemia. Blood. 1996; 87: 1710-1717. 15)Weick JK, Kopecky KJ, Appelbaum FR, et al. A randomized investigation of high-dose versus standard-dose cytosine arabinoside with daunorubicin in patients with previously untreated acute myeloid leukemia: a Southwest Oncology Group study. Blood. 1996; 88: 2841-2851. 16)Löwenberg B, Zittoun R, Kerkhofs H, et al. On the value of intensive remission-induction chemotherapy in elderly patients of 65+ years with acute myeloid leukemia: a randomized phase III study of the European Organization for Research and Treatment of Cancer Leukemia Group. J Clin Oncol. 1989; 7: 1268-1274. 17)Wakita A, Ohtake S, Takada S, et al. Randomized comparison of fixed-schedule versus response-oriented individualized (1640)94

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