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機能創造理工学 Ⅱ 期末試験 追試験問題 ( 病欠等による ) 途中の計算を必ず書こう 答えのみでは採点できない 問. 二次元面内を運動する調和振動子のラグランジアン L ( ) ( ) を 極座標, に変換し 極座標でのオイラーラグランジュ方程式を書こう ( 解く必要はない ) 但し, は定数であり また 極座標の定義は cos, sin である 問. 前問において極座標, に共役な一般化運動量, を求め ラグランジアンから ハミルトニアン への変換を行い 正準方程式を書こう ( 解く必要はない ) ヒント : ハミルトニアンは座標と運動量の関数 問 3. 一次元運動するひとつの質点のラグランジアンが L ω g と与えら れるとき 一般化運動量 及びハミルトニアン を定義に従って求めよ 問 4. 前問のハミルトニアンに対し 位相空間における E の描く軌跡を 異なる三つの g E の値, ± に対して描け ヒント一質点の一次元運動における位相空間は ω (, ) である 問 5. 三次元空間での中心力のポテンシャル中で運動する質点について考える ラグランジアン L ( ) () を極座標に変換せよ ヒント cos cosϕ, cos sinϕ, sin である 問 6. 前問で極座標に変換したラグランジアンから一般化運動量,, を求め ϕ さらに ラグランジアンをハミルトニアンに変換せよ ヒント ϕ L ϕ --

機能創造理工学 Ⅱ 期末試験日時 7 月 8 日水曜 9:5-:45 試験場 8-4 途中の計算を必ず書こう 答えのみでは採点できない を 極座標, に変 問. 二次元面内を運動する自由な質点のラグランジアン L ( ) 換し 極座標でのオイラーラグランジュ方程式を書こう ( 解く必要はない ) 但し, は定数であり ま た 極座標の定義は cos, sin である 問. 前問において極座標, に共役な一般化運動量, を求め ラグランジアンからハミルトニアンへ の変換を行い 正準方程式を書こう ( 解く必要はない ) ヒント : ハミルトニアンは座標と運動量の関数 問 3. バネ定数 のバネで繋がれた 質量, の二つの質点が一次元運動をしているとする L g ( ) g というラグランジアンで与えられる運動を考える ここで g は正 の定数とする オイラー ラグランジアンの方程式からニュートンの運動方程式を導こう 問 4. 問 3のラグランジアンに変数変換 X 及び Y を行い 全質量 C 及び換 算質量 R を用いて書き直して見よう そして 新しい変数 X, Y がどのような運動に対応している か述べよ 問 5. 三次元空間での以下のハミルトニアンを考えよう ( ) 但し (, ) B, とし B は定数である 正準方程式を 成分毎に書こう ヒント : 当然 正準方程式は全部で六本の式になる ベクトルの自乗の微分は素直に成分表示して計算すれば良い 問 6. 前問の結果で 正準方程式から と を消去して 座標変数, のみの方程式にしてみよう さらに 定数ベクトル B (,, B ) と外積を使ってこの方程式を書き直してみよう ヒント : 正準方程式の について 右辺に を代入し 左辺に を時間微分したもの を代入すると 運動量変数 と を消去出来る --

機能創造理工学 Ⅱ 期末試験 ( 略解 ) 日時 7 月 8 日水曜 9:5-:45 試験場 8-4 途中の計算を必ず書こう 答えだけでは採点できない を 極座標, に変 問. 二次元面内を運動する自由な質点のラグランジアン L ( ) 換し 極座標でのオイラーラグランジュ方程式を書こう ( 解く必要はない ) 但し, は定数であり ま た 極座標の定義は cos, sin である 解. L ( cos ) ( sin ) ( sin ) ( cos ) ( ) L d L L d L d 及び ( ) より の計算が出来ていない人が居るという驚愕の事実が発覚しました d 注 ) ( ) 問. 前問において極座標, に共役な一般化運動量, を求め ラグランジアンからハミルトニアンへ の変換を行い 正準方程式を書こう ( 解く必要はない ) ヒント: ハミルトニアンは座標と運動量の関数 L 解. 運動量は L, ハミルトニアンは L ( ) 3 正準方程式は 注 ) 理由はわかりませんが, と言う意味不明な量を計算している人がいました 一体 誰がソース? 問 3. バネ定数 のバネで繋がれた 質量, の二つの質点が一次元運動をしているとする L g ( ) g というラグランジアンで与えられる運動を考える ここで g は正 の定数とする オイラー ラグランジアンの方程式からニュートンの運動方程式を導こう 解 3. オイラーラグランジュ方程式は L d L g g L d L g g -3-

となり 整理すると g g となる 問 4. 問 3のラグランジアンに変数変換 X 及び Y を行い 全質量 C 及び換 算質量 R を用いて書き直して見よう そして 新しい変数 X, Y がどのような運動に対応している か述べよ 解 4. 変換は X Y, X Y であるから L X ( Y ) X X X Y g( Y ) X g( Y ) ( ) X XY X X CY ( ) Y X X g( )Y ( ) Y X g( )Y X g 注 ) 直接 運動方程式に対して変数変換 X g 変換式を代入すると g X C Y ( ) Y ( ) ( ) X ( ) ( ) 及び Y g g を行っても解ける X となるので 整理して X g となる これは Y は等加速度運動 X は単振動を意味する 問 5. 三次元空間での以下のハミルトニアンを考えよう ( ) 但し (, ) B, とし B は定数である 正準方程式を 成分毎に書こう ヒント : 当然 正準方程式は全部で六本の式になる ベクトルの自乗の微分は素直に成分表示して計算すれば良い 解 5. 正準方程式は ( ) ( ) ( ) ( ),, ( ) ( ) ( ) ( ),, ( ) ( ),,,,,, -4-

-5-,,,,,,,, 整理して, 注 ) ベクトルの自乗の微分を知らない人は ハミルトニアンを成分表示して微分すること 問 6. 前問の結果で 正準方程式から と を消去して 座標変数, のみの方程式にしてみよう さらに 定数ベクトル,, B B と外積を使ってこの方程式を書き直してみよう ヒント : 正準方程式の について 右辺に を代入し 左辺に を時間微分したものを代入すると 運動量変数 と を消去出来る 解 6. ヒントの通りに の両辺に前問の解答を代入 左辺は d 右辺は 以上を整理すると で,, B B と置くと とローレンツ力になる 注 ) 最終回の講義での出題ヒントを無事に活用された方が結構いたようです 良かった良かった

講評と得点分布 各設問 ( 本試験 ) についての講評 d. の微分が出来ていない人が居るという驚愕の事実が発覚. 理由はわかりませんが, と言う意味不明な量を計算している人がいました 3. この問題はさすがにほとんど全員出来ていました 4. 丁寧にラグランジアンを変形すると 重心座標と相対座標の運動エネルギーに分けられるのですが 辛抱強く という単語は既に死語になってしまったようです 5. 最終週に問題を教えた効果は絶大だったようです しかし 左辺にスカラー量 右辺にベクトル量 とか言う みょうちくりんな方程式を書いたり 偏微分が出来ない という人も大勢いました 6. ただ代入すれば良いのですが 右辺は時間微分した式を入れて右辺は の形に持って行く という道すじを理解していないと手が出ないかも知れませんね 得点分布 ( 軸は [ 得点 /]- 例 : は ~9 点 は ~9 点 ) 3 5 5 5 3 4 5 6 7 8 9 点満点で 79 点以上を としました -6-