15,000 例の分析では 蘇生 bundle ならびに全身管理 bundle の順守は, 各々最初の 3 か月と比較し 2 年後には有意に高率となり それに伴い死亡率は 1 年後より有意の減少を認め 2 年通算で 5.4% 減少したことが報告されています このように bundle の merit

Similar documents
に 真菌の菌体成分を検出する血清診断法が利用されます 血清 βグルカン検査は 真菌の細胞壁の構成成分である 1,3-β-D-グルカンを検出する検査です ( 図 1) カンジダ属やアスペルギルス属 ニューモシスチスの細胞壁にはβグルカンが豊富に含まれており 血液検査でそれらの真菌症をスクリーニングする

抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性

ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ

スライド 1

2012 年 2 月 29 日放送 CLSI ブレイクポイント改訂の方向性 東邦大学微生物 感染症学講師石井良和はじめに薬剤感受性試験成績を基に誰でも適切な抗菌薬を選択できるように考案されたのがブレイクポイントです 様々な国の機関がブレイクポイントを提唱しています この中でも 日本化学療法学会やアメ

よる感染症は これまでは多くの有効な抗菌薬がありましたが ESBL 産生菌による場合はカルバペネム系薬でないと治療困難という状況になっています CLSI 標準法さて このような薬剤耐性菌を患者検体から検出するには 微生物検査という臨床検査が不可欠です 微生物検査は 患者検体から感染症の原因となる起炎

TDMを活用した抗菌薬療法

通常の市中肺炎の原因菌である肺炎球菌やインフルエンザ菌に加えて 誤嚥を考慮して口腔内連鎖球菌 嫌気性菌や腸管内のグラム陰性桿菌を考慮する必要があります また 緑膿菌や MRSA などの耐性菌も高齢者肺炎の患者ではしばしば検出されるため これらの菌をカバーするために広域の抗菌薬による治療が選択されるこ


シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

耐性菌届出基準

病原性真菌 Candida albicans の バイオフィルム形成機序の解析および形成阻害薬の探索 Biofilm Form ation Mech anism s of P at hogenic Fungus Candida albicans and Screening of Biofilm In

57巻S‐A(総会号)/NKRP‐02(会長あいさつ)

2012 年 1 月 25 日放送 歯性感染症における経口抗菌薬療法 東海大学外科学系口腔外科教授金子明寛 今回は歯性感染症における経口抗菌薬療法と題し歯性感染症からの分離菌および薬 剤感受性を元に歯性感染症の第一選択薬についてお話し致します 抗菌化学療法のポイント歯性感染症原因菌は嫌気性菌および好

減量・コース投与期間短縮の基準

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル


糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

染症であり ついで淋菌感染症となります 病状としては外尿道口からの排膿や排尿時痛を呈する尿道炎が最も多く 病名としてはクラミジア性尿道炎 淋菌性尿道炎となります また 淋菌もクラミジアも検出されない尿道炎 ( 非クラミジア性非淋菌性尿道炎とよびます ) が その次に頻度の高い疾患ということになります

PowerPoint プレゼンテーション

95_財団ニュース.indd

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

<4D F736F F F696E74202D204E6F2E395F8FC78CF390AB AB490F58FC75F E B93C782DD8EE682E890EA97705D>

市中肺炎に血液培養は必要か?

Microsoft Word - <原文>.doc

indd

第1回肝炎診療ガイドライン作成委員会議事要旨(案)

2017 年 2 月 1 日放送 ウイルス性肺炎の現状と治療戦略 国立病院機構沖縄病院統括診療部長比嘉太はじめに肺炎は実地臨床でよく遭遇するコモンディジーズの一つであると同時に 死亡率も高い重要な疾患です 肺炎の原因となる病原体は数多くあり 極めて多様な病態を呈します ウイルス感染症の診断法の進歩に

日本標準商品分類番号 カリジノゲナーゼの血管新生抑制作用 カリジノゲナーゼは強力な血管拡張物質であるキニンを遊離することにより 高血圧や末梢循環障害の治療に広く用いられてきた 最近では 糖尿病モデルラットにおいて増加する眼内液中 VEGF 濃度を低下させることにより 血管透過性を抑制す

スライド 1

2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

というもので これまで十数年にわたって使用されてきたものになります さらに 敗血症 sepsis に中でも臓器障害を伴うものを重症敗血症 severe sepsis 適切な輸液を行っても血圧低下が持続する重症敗血症 severe sepsis を敗血症性ショック septic shock と定義して

BA_kanen_QA_zenpan_kani_univers.indd

Microsoft Word - todaypdf doc

<4D F736F F D D8ACC8D6495CF8AB38ED282CC88E397C38AD698418AB490F58FC782C982A882A282C48D4C88E E B8

< F2D C D838A8BDB92CA926D2E6A7464>

2015 年 9 月 30 日放送 カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE) はなぜ問題なのか 長崎大学大学院感染免疫学臨床感染症学分野教授泉川公一 CRE とはカルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症 以下 CRE 感染症は 広域抗菌薬であるカルバペネム系薬に耐性を示す大腸菌や肺炎桿菌などの いわゆる


3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症


10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

医療法人高幡会大西病院 日本慢性期医療協会統計 2016 年度

原 因 菌 とリスク 因 子 内 因 性 真 菌 性 眼 病 変 の 原 因 となる 真 菌 で 最 も 多 いものはカンジダ 属 で 90%を 占 める とされています カンジダ 属 の 他 にはアスペルギルス 属 クリプトコックス 属 などが 続 きます カンジダ 属 のなかでは Candida

161013_pamph_hp


Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

一次サンプル採取マニュアル PM 共通 0001 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May EGFR 遺伝子変異検

公開情報 2016 年 1 月 ~12 月年報 院内感染対策サーベイランス集中治療室部門 3. 感染症発生率感染症発生件数の合計は 981 件であった 人工呼吸器関連肺炎の発生率が 1.5 件 / 1,000 患者 日 (499 件 ) と最も多く 次いでカテーテル関連血流感染症が 0.8 件 /

それでは具体的なカテーテル感染予防対策について説明します CVC 挿入時の感染対策 (1)CVC 挿入経路まずはどこからカテーテルを挿入すべきか です 感染率を考慮した場合 鎖骨下穿刺法が推奨されています 内頚静脈穿刺や大腿静脈穿刺に比べて カテーテル感染の発生頻度が低いことが証明されています ただ

2018 年 10 月 4 日放送 第 47 回日本皮膚アレルギー 接触皮膚炎学会 / 第 41 回皮膚脈管 膠原病研究会シンポジウム2-6 蕁麻疹の病態と新規治療法 ~ 抗 IgE 抗体療法 ~ 島根大学皮膚科 講師 千貫祐子 はじめに蕁麻疹は膨疹 つまり紅斑を伴う一過性 限局性の浮腫が病的に出没

第10回 感染制御部勉強会 「症例から考える感染症診療」

2012 年 2 月 22 日放送 人工関節感染の治療 近畿大学整形外科講師西坂文章はじめに感染人工関節の治療について解説していきます 人工関節置換術は整形外科領域の治療に於いて 近年めざましい発展を遂げ 普及している分野です 症例数も年々増加の傾向にあります しかし 合併症である術後感染が出現すれ

2009年8月17日

2014 年 10 月 30 日放送 第 30 回日本臨床皮膚科医会② My favorite signs 9 ざらざらの皮膚 全身性溶血連鎖球菌感染症の皮膚症状 たじり皮膚科医院 院長 田尻 明彦 はじめに 全身性溶血連鎖球菌感染症は A 群β溶連菌が口蓋扁桃や皮膚に感染することにより 全 身にい

スライド 1

スライド 1

針刺し切創発生時の対応

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ

緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa グラム陰性桿菌 ブドウ糖非発酵 緑色色素産生 水まわりなど生活環境中に広く常在 腸内に常在する人も30%くらい ペニシリンやセファゾリンなどの第一世代セフェム 薬に自然耐性 テトラサイクリン系やマクロライド系抗生物質など の抗菌薬にも耐性を示す傾

1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後 予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究 (JACCRO GC-07AR) という臨床研究について説明したものです この文書と私の説明のな かで わかりにくいと

2011 年 11 月 2 日放送 NHCAP の概念 長崎大学病院院長 河野茂 はじめに NHCAP という言葉を 初めて聴いたかたもいらっしゃると思いますが これは Nursing and HealthCare Associated Pneumonia の略で 日本語では 医療 介護関連肺炎 と

1)表紙14年v0

2015 年 8 月 27 日放送 第 78 回日本皮膚科学会東京支部学術大会 3 シンポジウム2 基調講演薬疹の最新動向と今後の展望 昭和大学皮膚科教授末木博彦 はじめに本日は薬疹の最新情報と今後の展望についてお話しさせていただきます 最初に薬疹の概念が変遷しボーダレス化が進んでいるというお話 続

未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類

Microsoft PowerPoint - 指導者全国会議Nagai( ).ppt

は減少しています 膠原病による肺病変のなかで 関節リウマチに合併する気道病変としての細気管支炎も DPB と類似した病像を呈するため 鑑別疾患として加えておく必要があります また稀ではありますが 造血幹細胞移植後などに併発する移植後閉塞性細気管支炎も重要な疾患として知っておくといいかと思います 慢性


Transcription:

2011 年 11 月 30 日放送 真菌感染症 兵庫医科大学感染制御学教授竹末芳生はじめに深在性真菌症の診断 治療ガイドラインの改訂版が 2007 年に発表され それを普及させる目的で 真菌症フォーラムでは ACTIONs プロジェクトを行ってきました これは侵襲性カンジダ症の病態 診断 治療を Antifungals, Blood stream infection, Colonization & β-d-glucan と A, B, C にまとめ パワーポイントなどの資材を ICD に提供してきました 2011 年はそれをさらに発展させ 侵襲性カンジダ症の診断 治療の具体的な方法を箇条書きに明記し それを個々で捉えるのでなく bundle( 束 ) にして実施することにより予後などの改善を得ることを目的としました Surviving sepsis campaign この bundle の活用に関して セプシス治療のガイドラインである Surviving sepsis campaign を例にとって説明してみましょう 一般にガイドラインが発表されたからと言って その内容がタイムリーに bedside practice に組みいれられることは稀です そこでこの委員会は septic shock への対応として最初の 6 時間以内に達成する蘇生 bundle 8 項目と sepsis に対する全身管理として 24 時間以内に達成する management bundle 4 項目を示し 啓発活動を行ってきました 欧米のネットワーク 165 施設

15,000 例の分析では 蘇生 bundle ならびに全身管理 bundle の順守は, 各々最初の 3 か月と比較し 2 年後には有意に高率となり それに伴い死亡率は 1 年後より有意の減少を認め 2 年通算で 5.4% 減少したことが報告されています このように bundle の merit は項目毎の達成の有無をチェックすることにより施設における bundle の遵守率が評価され それと有効率や死亡率との関係を検討することも可能となってきます 同様な活動を侵襲性カンジダ症の診断 治療でも行おうというのが ACTIONs bundle です ACTIONs bundle 今から述べる ACTIONs bundle の内容は専用のチェックリストがあり 希望する施設には真菌症フォーラムから配布されることになっています 初期における診断 治療の bundle は 8 項目あり 1リスク因子の評価 2 抗真菌薬投与前に血液培養 2 セット採取 3 血液以外の監視培養を複数ヶ所実施 4 血清 β-d-グルカン測定 5 血液培養陽性例では中心静脈カテーテル早期抜去 6 正しい Empiric 治療開始基準の順守 7 適切な初期選択薬 8 適切な投与量があげられています いずれも具体的にしめされた図表を参考にチェック可能となっています 次に治療開始後の Bundle 6 項目ですが 1 血液培養陽性例では真菌性眼内炎の除外診断を行う 2 血液培養陽性例では治療開始後数日以内に血液培養実施し陰性を確認 3 初期治療薬の効果判定を 3-5 日後に行う 4 適切な第 2 選択薬 5 転移感染巣のないカンジダ血症において 血培陰性化または症状改善した後 2 週間は抗真菌薬投与 6 経過良好な症例では経口薬への step down 治療を考慮 があげられています 各 Bunble の詳細以下各 Bunble について 根拠も含めもう少し詳しく解説していきましょう まず 治療開始時の診断ですが Surviving sepsis campaign 抗菌薬不応性発熱が続く場合 侵襲性カンジダ症の診断の手始めとして リスク因子の評価に続き 血液培養 2 セットを採取します カンジダは血流感染の 4 番目の検出率であり 意外に高率であることも知っておく必要があります 実際は真菌感染が確定診断される前に治療が行われることが多いのですが 複数のリ

スク因子を有し 他の発熱の原因がない抗菌薬不応性発熱患者において 監視培養により 複数ヶ所のカンジダ colonization の証明または血清 β-d グルカン陽性をエムピリック治療開始基準とします 尿 喀痰 便などの監視培養によるカンジダ colonization の証明はその colonization 部位の感染としてではなく あくまでもカンジダ感染のリスク因子としてとらえる必要があります 例えば 喀痰からカンジダ属が検出された場合 他部位にカンジダが証明された場合か β-d-グルカンが陽性なら治療開始しますが 決して肺炎として治療を行うわけではありません 次に初期治療ですが IDSA ガイドラインでは 非好中球減少患者におけるカンジダ血症発症時には 中心静脈カテーテルが挿入されている場合 出来るだけ早期に抜去することが推奨されています 一方 好中球減少患者では 剖検により腸管由来の真菌血症の存在が証明されており 抜去により改善しないことも稀でありません そのため好中球減少患者においては推奨ではなく 抜去を考慮する との表現になっています 抗真菌薬の第一選択は フルコナゾールまたはキャンディン系薬とします いずれも侵襲性カンジダ症 カンジダ血症を対象とした無作為比較試験で AmB または L-AMB と非劣性が証明されており 副作用は有意に低率でした なお Septic shock 患者では当初より L-AMB の適応も考慮します Fluconazole は C. albicans に対して良好な活性を示しますが C. glabrata は FLCZ 用量依存性感受性であり また C.krusei は耐性で このようなカンジダ属が検出された場合は MCFG が推奨されます アゾール系薬使用の既往がある場合 交叉耐性の問題があり MCFG が推奨されます しかし MCFG は万能なわけではなく N-ICU などにおける院内感染が特徴的な C.parapsilosis に対しては MCFG は比較的高い最小発育阻止濃度 (MIC) を呈するため この真菌が検出された場合は FLCZ を選択します 稀なカンジダ属ですが C.guillermondii は MCFG や FLCZ などの抗真菌薬耐性の傾向があり注意を要します キャンディン系薬は硝子体移行性が不良で 眼内炎では FLCZ を選択します 最近は VRCZ による良好な治療成績も報告されています Septic shock 患者において カンジダが検出された場合 始めから活性を有する抗菌薬を投与した場合 生存率が有意に高率となり またカンジダ血症患者では治療開始までの時間と予後の間に相関があることも報告されています また C.glabarata は

C.albicans と比較し発育が不良で 同定が遅れる傾向があります このようなこともあり IDSA ガイドラインでは initial appropriate therapyを重視し moderately severe または severe の感染症では C.glabarata にも活性を示し広い抗真菌スペクトラムのキャンディン系を推奨しています 適切な用量が必要であることは言うまでもなく とくにアゾール系は早期に血中濃度を上げる必要性から初期に loading dose( 負荷量 ) 投与が行われます MCFG において 1 日投与量 50mg は推奨されておらず 通常 100-150mg/ 日投与します 150mを超える使用はアスペルギルスに対してのみ行います 次に治療開始後の診断 治療における Bundle の解説ですが 真菌性眼内炎は血液培養陽性例の約 20% に証明され 血液培養でカンジダ属が証明された場合は必ず 眼科に紹介し眼底検査を行い 真菌性眼内炎の除外診断をしなければなりません 以前は外科的処置が必要な症例や 視力低下 失明例も見られましたが 最近では早期診断治療により硝子体浸潤を示すような進行した眼内炎は稀となっており ほとんどの場合脈絡網膜病変にとどまっています カンジダ血症例では 再燃予防のためにも 血液培養陰性化後 2 週間の抗真菌薬投与を行います 注射薬で 2 週間はコストや血管確保の点がネックとなることもあり 経過良好な症例では経口抗真菌薬への step down 治療も考慮します 血清 β-d-グルカン値の推移が臨床効果の指標となることも多いのですが その場合でも陰性化まで抗真菌治療を継続する必要はありません 抗真菌薬の臨床的効果判定の時期ですが 以前は5 日と抗細菌薬の3 日に比較しやや効果発現に時間を要するとされてきました この理由として FLCZ はカンジダ属に対し

て静菌的作用しかないこと また有効な血中濃度上昇に数日要することが挙げられていました しかし今日では fosfluconazole は loading dose 投与を行うことにより早期の血中濃度上昇が得られるようになりました また MCFG はカンジダ属に対し殺菌的活性を有することより 早期の効果発現が期待できます 以上の理由から 初期選択薬 3 日間使用し 発熱や臨床データから臨床効果を評価し 持続か 変更かを検討することを推奨しています ただし明確なエビデンスがないため bundle では 3-5 日目に評価するにとどめました ここら辺が今後の検討課題と考えます おわりに以上が bundle の解説ですが ちなみに当院で感染制御部が治療を行った患者においては ほとんどの症例において bundle の遵守率 60% 以上であり 遵守率 75% 以上が 3/4 を占めていました この高い遵守率のため治療効果や予後との関係は見出せませんでした ACTIONs bundle のチェックリストが希望される施設に配布されますので 今後幅広い遵守率における治療効果や予後との関係の分析が出来れば 一定の傾向が認められるかもしれません また過去の症例の遵守率を評価するだけでなく 今後先生方が診断治療を行う患者において このチェックリストを利用し 落ちがないようにすることも大切と考えています 是非 ICD の先生方がこの bundle を活用し カンジダ感染患者の治療効果や予後が改善されることを期待しています