15,000 例の分析では 蘇生 bundle ならびに全身管理 bundle の順守は, 各々最初の 3 か月と比較し 2 年後には有意に高率となり それに伴い死亡率は 1 年後より有意の減少を認め 2 年通算で 5.4% 減少したことが報告されています このように bundle の merit

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づけられますが 最大の特徴は 緒言の中の 基本姿勢 でも述べられていますように 欧米のガイドラインを踏襲したものでなく 日本の臨床現場に則して 活用しやすい実際的な勧告が行われていることにあります 特に予防抗菌薬の投与期間に関しては 細かい術式に分類し さらに宿主側の感染リスクも考慮した上で きめ細

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要望番号 ;Ⅱ-24 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 要望者 ( 該当するものにチェックする ) 学会 ( 学会名 ; 特定非営利活動法人日本臨床腫瘍学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 優先順位 8 位 ( 全 33 要望中

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ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

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それでは具体的なカテーテル感染予防対策について説明します CVC 挿入時の感染対策 (1)CVC 挿入経路まずはどこからカテーテルを挿入すべきか です 感染率を考慮した場合 鎖骨下穿刺法が推奨されています 内頚静脈穿刺や大腿静脈穿刺に比べて カテーテル感染の発生頻度が低いことが証明されています ただ

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2011 年 11 月 30 日放送 真菌感染症 兵庫医科大学感染制御学教授竹末芳生はじめに深在性真菌症の診断 治療ガイドラインの改訂版が 2007 年に発表され それを普及させる目的で 真菌症フォーラムでは ACTIONs プロジェクトを行ってきました これは侵襲性カンジダ症の病態 診断 治療を Antifungals, Blood stream infection, Colonization & β-d-glucan と A, B, C にまとめ パワーポイントなどの資材を ICD に提供してきました 2011 年はそれをさらに発展させ 侵襲性カンジダ症の診断 治療の具体的な方法を箇条書きに明記し それを個々で捉えるのでなく bundle( 束 ) にして実施することにより予後などの改善を得ることを目的としました Surviving sepsis campaign この bundle の活用に関して セプシス治療のガイドラインである Surviving sepsis campaign を例にとって説明してみましょう 一般にガイドラインが発表されたからと言って その内容がタイムリーに bedside practice に組みいれられることは稀です そこでこの委員会は septic shock への対応として最初の 6 時間以内に達成する蘇生 bundle 8 項目と sepsis に対する全身管理として 24 時間以内に達成する management bundle 4 項目を示し 啓発活動を行ってきました 欧米のネットワーク 165 施設

15,000 例の分析では 蘇生 bundle ならびに全身管理 bundle の順守は, 各々最初の 3 か月と比較し 2 年後には有意に高率となり それに伴い死亡率は 1 年後より有意の減少を認め 2 年通算で 5.4% 減少したことが報告されています このように bundle の merit は項目毎の達成の有無をチェックすることにより施設における bundle の遵守率が評価され それと有効率や死亡率との関係を検討することも可能となってきます 同様な活動を侵襲性カンジダ症の診断 治療でも行おうというのが ACTIONs bundle です ACTIONs bundle 今から述べる ACTIONs bundle の内容は専用のチェックリストがあり 希望する施設には真菌症フォーラムから配布されることになっています 初期における診断 治療の bundle は 8 項目あり 1リスク因子の評価 2 抗真菌薬投与前に血液培養 2 セット採取 3 血液以外の監視培養を複数ヶ所実施 4 血清 β-d-グルカン測定 5 血液培養陽性例では中心静脈カテーテル早期抜去 6 正しい Empiric 治療開始基準の順守 7 適切な初期選択薬 8 適切な投与量があげられています いずれも具体的にしめされた図表を参考にチェック可能となっています 次に治療開始後の Bundle 6 項目ですが 1 血液培養陽性例では真菌性眼内炎の除外診断を行う 2 血液培養陽性例では治療開始後数日以内に血液培養実施し陰性を確認 3 初期治療薬の効果判定を 3-5 日後に行う 4 適切な第 2 選択薬 5 転移感染巣のないカンジダ血症において 血培陰性化または症状改善した後 2 週間は抗真菌薬投与 6 経過良好な症例では経口薬への step down 治療を考慮 があげられています 各 Bunble の詳細以下各 Bunble について 根拠も含めもう少し詳しく解説していきましょう まず 治療開始時の診断ですが Surviving sepsis campaign 抗菌薬不応性発熱が続く場合 侵襲性カンジダ症の診断の手始めとして リスク因子の評価に続き 血液培養 2 セットを採取します カンジダは血流感染の 4 番目の検出率であり 意外に高率であることも知っておく必要があります 実際は真菌感染が確定診断される前に治療が行われることが多いのですが 複数のリ

スク因子を有し 他の発熱の原因がない抗菌薬不応性発熱患者において 監視培養により 複数ヶ所のカンジダ colonization の証明または血清 β-d グルカン陽性をエムピリック治療開始基準とします 尿 喀痰 便などの監視培養によるカンジダ colonization の証明はその colonization 部位の感染としてではなく あくまでもカンジダ感染のリスク因子としてとらえる必要があります 例えば 喀痰からカンジダ属が検出された場合 他部位にカンジダが証明された場合か β-d-グルカンが陽性なら治療開始しますが 決して肺炎として治療を行うわけではありません 次に初期治療ですが IDSA ガイドラインでは 非好中球減少患者におけるカンジダ血症発症時には 中心静脈カテーテルが挿入されている場合 出来るだけ早期に抜去することが推奨されています 一方 好中球減少患者では 剖検により腸管由来の真菌血症の存在が証明されており 抜去により改善しないことも稀でありません そのため好中球減少患者においては推奨ではなく 抜去を考慮する との表現になっています 抗真菌薬の第一選択は フルコナゾールまたはキャンディン系薬とします いずれも侵襲性カンジダ症 カンジダ血症を対象とした無作為比較試験で AmB または L-AMB と非劣性が証明されており 副作用は有意に低率でした なお Septic shock 患者では当初より L-AMB の適応も考慮します Fluconazole は C. albicans に対して良好な活性を示しますが C. glabrata は FLCZ 用量依存性感受性であり また C.krusei は耐性で このようなカンジダ属が検出された場合は MCFG が推奨されます アゾール系薬使用の既往がある場合 交叉耐性の問題があり MCFG が推奨されます しかし MCFG は万能なわけではなく N-ICU などにおける院内感染が特徴的な C.parapsilosis に対しては MCFG は比較的高い最小発育阻止濃度 (MIC) を呈するため この真菌が検出された場合は FLCZ を選択します 稀なカンジダ属ですが C.guillermondii は MCFG や FLCZ などの抗真菌薬耐性の傾向があり注意を要します キャンディン系薬は硝子体移行性が不良で 眼内炎では FLCZ を選択します 最近は VRCZ による良好な治療成績も報告されています Septic shock 患者において カンジダが検出された場合 始めから活性を有する抗菌薬を投与した場合 生存率が有意に高率となり またカンジダ血症患者では治療開始までの時間と予後の間に相関があることも報告されています また C.glabarata は

C.albicans と比較し発育が不良で 同定が遅れる傾向があります このようなこともあり IDSA ガイドラインでは initial appropriate therapyを重視し moderately severe または severe の感染症では C.glabarata にも活性を示し広い抗真菌スペクトラムのキャンディン系を推奨しています 適切な用量が必要であることは言うまでもなく とくにアゾール系は早期に血中濃度を上げる必要性から初期に loading dose( 負荷量 ) 投与が行われます MCFG において 1 日投与量 50mg は推奨されておらず 通常 100-150mg/ 日投与します 150mを超える使用はアスペルギルスに対してのみ行います 次に治療開始後の診断 治療における Bundle の解説ですが 真菌性眼内炎は血液培養陽性例の約 20% に証明され 血液培養でカンジダ属が証明された場合は必ず 眼科に紹介し眼底検査を行い 真菌性眼内炎の除外診断をしなければなりません 以前は外科的処置が必要な症例や 視力低下 失明例も見られましたが 最近では早期診断治療により硝子体浸潤を示すような進行した眼内炎は稀となっており ほとんどの場合脈絡網膜病変にとどまっています カンジダ血症例では 再燃予防のためにも 血液培養陰性化後 2 週間の抗真菌薬投与を行います 注射薬で 2 週間はコストや血管確保の点がネックとなることもあり 経過良好な症例では経口抗真菌薬への step down 治療も考慮します 血清 β-d-グルカン値の推移が臨床効果の指標となることも多いのですが その場合でも陰性化まで抗真菌治療を継続する必要はありません 抗真菌薬の臨床的効果判定の時期ですが 以前は5 日と抗細菌薬の3 日に比較しやや効果発現に時間を要するとされてきました この理由として FLCZ はカンジダ属に対し

て静菌的作用しかないこと また有効な血中濃度上昇に数日要することが挙げられていました しかし今日では fosfluconazole は loading dose 投与を行うことにより早期の血中濃度上昇が得られるようになりました また MCFG はカンジダ属に対し殺菌的活性を有することより 早期の効果発現が期待できます 以上の理由から 初期選択薬 3 日間使用し 発熱や臨床データから臨床効果を評価し 持続か 変更かを検討することを推奨しています ただし明確なエビデンスがないため bundle では 3-5 日目に評価するにとどめました ここら辺が今後の検討課題と考えます おわりに以上が bundle の解説ですが ちなみに当院で感染制御部が治療を行った患者においては ほとんどの症例において bundle の遵守率 60% 以上であり 遵守率 75% 以上が 3/4 を占めていました この高い遵守率のため治療効果や予後との関係は見出せませんでした ACTIONs bundle のチェックリストが希望される施設に配布されますので 今後幅広い遵守率における治療効果や予後との関係の分析が出来れば 一定の傾向が認められるかもしれません また過去の症例の遵守率を評価するだけでなく 今後先生方が診断治療を行う患者において このチェックリストを利用し 落ちがないようにすることも大切と考えています 是非 ICD の先生方がこの bundle を活用し カンジダ感染患者の治療効果や予後が改善されることを期待しています