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査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

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2.6(2) 項略号一覧 (1) 略号 省略していない表現 AUC area under the plasma concentration-time curve( 血漿中濃度 - 時間曲線下面積 ) AUC all area under the plasma concentration-time c

Transcription:

メマリー錠 5 mg メマリー錠 10 mg メマリー錠 20 mg ( メマンチン塩酸塩 ) CTD 第 2 部 CTD の概要 2.7 臨床概要 2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する分析法 第一三共株式会社 1 M2-GD-4-9912

目次 2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する分析法...6 2.7.1.1 背景及び概観...6 2.7.1.1.1 製剤開発過程...6 2.7.1.1.2 バイオアベイラビリティ...7 2.7.1.1.2.1 メマンチン塩酸塩の絶対バイオアベイラビリティ...7 2.7.1.1.2.2 メマンチン塩酸塩経口投与時の吸収率及び食事の影響...7 2.7.1.1.2.2.1 臨床薬理試験 ( 海外 マスバランス試験 )(HUK610/13) 参考資料...8 2.7.1.1.2.2.2 臨床薬理試験 ( 海外 食事の影響の検討 )(MEM-PK-01)...8 2.7.1.1.3 生物学的同等性...8 2.7.1.1.3.1 臨床薬理試験 (5 mg 錠及び 10 mg 錠の生物学的同等性試験 ) (IE1301)...8 2.7.1.1.3.2 臨床薬理試験 (10 mg 錠及び 20 mg 錠の生物学的同等性試験 ) (IE1602)...8 2.7.1.1.4 分析法の概観...9 2.7.1.1.4.1 in vitro 溶出試験方法...9 2.7.1.1.4.2 臨床試験における生体試料中薬物濃度測定法及びバリデーション...9 2.7.1.2 個々の試験結果の要約...11 2.7.1.2.1 バイオアベイラビリティ...11 2.7.1.2.1.1 臨床薬理試験 ( 海外 バイオアベイラビリティ試験 )(HUK610/4)...11 2.7.1.2.1.2 臨床薬理試験 ( 海外 マスバランス試験 )(HUK610/13)...13 2.7.1.2.1.3 臨床薬理試験 ( 海外 食事の影響の検討 )(MEM-PK-01)...14 2.7.1.2.2 生物学的同等性...16 2.7.1.2.2.1 in vitro 溶出性...16 2.7.1.2.2.2 臨床薬理試験...16 2.7.1.2.2.2.1 臨床薬理試験 (5 mg 錠及び 10 mg 錠の生物学的同等性試験 ) (IE1301)...16 2.7.1.2.2.2.2 臨床薬理試験 (10 mg 錠及び 20 mg 錠の生物学的同等性試験 ) (IE1602)...18 2.7.1.3 全試験を通しての結果の比較と解析...20 2.7.1.3.1 製剤開発...20 2.7.1.3.2 バイオアベイラビリティ...20 2.7.1.3.3 バイオアベイラビリティに及ぼす食事の影響...20 2.7.1.3.4 生物学的同等性...23 2

2.7.1.4 付録...24 3

略語一覧表 略語英語名和名又は内容説明 AD Alzheimer s disease アルツハイマー型認知症 AUC AUC t Area under the plasma(serum) concentration-time curve from zero to infinity( ) Area under the plasma(serum) concentration-time curve from zero to t 時間 0 から無限時間までの血漿 ( 血清 ) 中濃度 - 時間曲線下面積 時間 0 から実測最終時点までの血漿 ( 血清 ) 中濃度 - 時間曲線下面積 CL Total clearance 全身クリアランス CL r Renal clearance 腎クリアランス C max Maximum plasma(serum) concentration 最高血漿 ( 血清 ) 中濃度 F Systemic bioavailability 絶対生物学的利用能 GC-MS Gas chromatography mass spectrometry ガスクロマトグラフィー質 量分析 k el Elimination rate constant 消失速度定数 LC-MS/MS Liquid chromatography tandem mass spectrometry 液体クロマトグラフィータンデム質量分析 MRT Mean plasma(serum) residence time 平均血漿 ( 血清 ) 中滞留時 間 t 1/2 Biological(elimination)half-life 生物学的 ( 消失 ) 半減期 t max Time to maximum plasma(serum) concentration 最高血漿 ( 血清 ) 中濃度到達時間 V d Volume of distribution 分布容積 V dss Volume of distribution at steady state 定常状態における分布容積 4

化合物一覧表 メマンチン 化合物名化学名構造式 3,5-Dimethyltricyclo[3.3.1.1 3,7 ]dec-1-ylamine グルダンタン体 a) (2S,3S,4R)-5-{[(3,5-Dimethyltricyclo[3.3.1.1 3,7 ]dec-1-yl)amino]methyl}-3,4,5-trihydroxytetrahydrofuran-2-carboxylic acid 4- ヒドロキシ体 5-Amino-1,3-dimethyltricyclo[3.3.1.1 3,7 ]decan- 2-ol 6- ヒドロキシ体 5-Amino-1,7-dimethyltricyclo[3.3.1.1 3,7 ]decan- 2-ol a) アミノ基にフラノース型グルクロン酸が結合した抱合体 5

5 時錠ト -~5 時錠ト -~5mg 錠ト -, 10mg 錠ト 410 哨トイ 10 時錠ト -~

[2.7.1.2.1.1, 2.7.1.2.1.2 項参照 ] なお 海外の臨床薬理試験 (MEM-PK-01) では 食事の影響がないことが確認されてい る [2.7.1.2.1.3 項参照 ] 2.7.1.1.2.2.1 臨床薬理試験 ( 海外 マスバランス試験 )(HUK610/13) 参考資料 外国人健康成人男性 6 例に メマンチン塩酸塩を 1 日 15 mg(1 回 5 mg 1 日 3 回 ) で 19 日間反復経口投与し 定常状態に到達した 13 日目の 1 回目に [ 14 C]-メマンチン塩酸塩 5 mg(1.2 MBq) を経口投与したときの放射能の血漿中濃度推移を検討した また 尿中及び糞中排泄量を検討した 本治験は非盲検下で実施した [2.7.1.2.1.2 項参照 ] 2.7.1.1.2.2.2 臨床薬理試験 ( 海外 食事の影響の検討 )(MEM-PK-01) 外国人健康成人男性及び女性 23 例に Forest 社で製造された 10 mg 錠を 2 錠 (20 mg) 食後及び空腹時に単回経口投与したときの薬物動態を比較し バイオアベイラビリティに及ぼす食事の影響を検討した 本治験は無作為化 非盲検下でのクロスオーバーで実施した [2.7.1.2.1.3 項参照 ] 2.7.1.1.3 生物学的同等性 in vitro 溶出性については 国内及び海外で実施された臨床試験で使用した製剤を用いて溶出試験を行い 各製剤の溶出性を検討した [2.7.1.2.2.1 項参照 ] 臨床薬理試験における生物学的同等性については 申請製剤と同一処方である 5 mg 錠 10 mg 錠及び 20 mg 錠 ( 後期第 II 相以降試験製剤 ) のバイオアベイラビリティの比較を目的として 単回経口投与による生物学的同等性試験を実施した 2.7.1.1.3.1 臨床薬理試験 (5 mg 錠及び 10 mg 錠の生物学的同等性試験 )(IE1301) 健康成人男性 18 例に 5 mg 錠と 10 mg 錠 ( 後期第 II 相以降試験製剤 ) を単回経口投与したときの薬物動態を比較して 生物学的同等性を検討した 本治験は非盲検下でのクロスオーバーで実施した [2.7.1.2.2.2.1 項参照 ] 2.7.1.1.3.2 臨床薬理試験 (10 mg 錠及び 20 mg 錠の生物学的同等性試験 )(IE1602) 健康成人男性 18 例に 10 mg 錠と 20 mg 錠 ( 後期第 II 相以降試験製剤 ) を単回経口投与したときの薬物動態を比較して 生物学的同等性を検討した 本治験は非盲検下でのクロスオーバーで実施した [2.7.1.2.2.2.2 項参照 ] 8

0.5 ~ 100 5~ 1000 5~ 5 00 0.5~100 1 ~ 100 1 ~ 300 1 ~ 300 0. 8 79~879 1 ~ 300 1 ~ 300 8. 8~2640 1 ~ 300 1 ~ 300 0. 8 79~ 8 79 0. 5~25 0 8 6~ 0. 5 ~ 500 0. 5 ~ 1 00 20~4000 4~400 20~ 400 0

2.7.1.2 個々の試験結果の要約 2.7.1.2.1 バイオアベイラビリティメマンチン塩酸塩のバイオアベイラビリティを検討した試験の要約を [ 表 2.7.1.4-1] に示す 2.7.1.2.1.1 臨床薬理試験 ( 海外 バイオアベイラビリティ試験 )(HUK610/4) 表 2.7.1.2-1 試験の概要 参考資料 [2.7.6.1 項 ] 試験の標題メマンチン塩酸塩の 10 20 40 mg の単回経口投与を 20 mg の単回静脈内投与と比較したときの薬物動態 用量反応性 及び絶対バイオアベイラビリティの検討投与方法メマンチン塩酸塩 10 mg 単回経口投与 (10 mg 錠 1 錠 ) メマンチン塩酸塩 20 mg 単回経口投与 (10 mg 錠 2 錠 ) メマンチン塩酸塩 40 mg 単回経口投与 (10 mg 錠 4 錠 ) メマンチン塩酸塩 20 mg 単回静脈内投与 (10 mg/hr で 2 時間かけて投与 ) 評価項目血漿中メマンチン濃度 尿中メマンチン濃度対象外国人健康成人男性 外国人健康成人男性 12 例にメマンチン塩酸塩を単回経口投与及び単回静脈内投与し 絶対バイオアベイラビリティを検討した [ 表 2.7.1.2-1 参照 ] 各用量投与時の薬物動態パラメータの一覧を [ 表 2.7.1.2-2] に示す 10 mg 経口投与時の各測定ポイント及びその他の投与時における消失相終末測定ポイントでは 血漿中メマンチン濃度が定量限界 (5 ng/ml) 付近にあることから 10 mg 経口投与時の血漿中メマンチン濃度データと全ての投与時のt 1/2 はやや信頼性に欠けるものと考えられた また 10 mg 及び 20 mg 経口投与時の一部の症例でAUC を算出できなかったため これら投与時の成績は参考とし 全例からAUC が算出できた 40 mg 経口投与時及び 20 mg 静脈内投与時の成績を用いた 11

表 2.7.1.2-2 メマンチン塩酸塩単回経口投与又は静脈内投与時の薬物動態パラメータ 薬物動態パラメータ 10 mg 経口 20 mg 経口 40 mg 経口 20 mg 静注 C max (ng/ml) t max (hr) AUC t (ng hr/ml) AUC (ng hr/ml) t 1/2 (hr) F(%) 12.17 ± 2.20 19.3 ± 21.9 658 ± 296 1567 ± 357 (2 例 ) 101.0 ± 28.7 (2 例 ) 148.9 ± 78.8 (2 例 ) 22.10 ± 3.71 7.7 ± 5.6 1989 ± 431 2939 ± 584 (8 例 ) 104.1 ± 13.5 (8 例 ) 120.4 ± 25.2 (8 例 ) 47.98 ± 10.94 5.9 ± 3.0 3307 ± 633 4269 ± 787 83.2 ± 18.4 97.0 ± 29.6 CL(mL/min) - - - CL r a) (ml/min) 50.35 ± 16.84 61.63 ± 27.45 63.91 ± 29.88 V dss (L/kg) - - - V d (L/kg) - - - MRT(hr) 累積尿中排泄量 b) (μg) 累積尿中排泄率 c) (%) 142.9 ± 36.1 (2 例 ) 1234 ± 488 15.2 ± 6.0 147.4 ± 17.7 (8 例 ) 2869 ± 1036 17.6 ± 6.4 116.9 ± 25.0 5798 ± 2563 17.8 ± 7.9 28.70 ± 7.37 2.3 ± 0.6 1593 ± 299 2220 ± 546 73.7 ± 25.0-122.81 ± 27.35 68.23 ± 30.46 10.63 ± 3.15 9.88 ± 2.12 113.4 ± 39.8 3139 ± 1089 20.2 ± 7.0 平均値 ± 標準偏差 a) 投与 48 時間後までの累積尿中排泄量及び AUC から算出した腎クリアランス b) 投与 48 時間後までの累積尿中排泄量 c) 投与 48 時間後までの累積尿中排泄率 [ 資料番号 5.3.1.1.1] の PHARMACOKINETIC REPORT, SUMMARY TABLE 1 を改変 メマンチン塩酸塩を 40 mg 単回経口投与したときの C max は 47.98 ng/ml であり AUC は 4269 ng hr/ml であった メマンチン塩酸塩 20 mg を単回静脈内投与したときの C max は 28.70 ng/ml であり AUC は 2220 ng hr/ml であった これらの結果から 40 mg の単回経口投与時の絶対バイオアベイラビリティは 97.0% と算出された 12

2.7.1.2.1.2 臨床薬理試験 ( 海外 マスバランス試験 )(HUK610/13) 試験の標題 投与方法 評価項目 対象 表 2.7.1.2-3 試験の概要 参考資料 [2.7.6.6 項 ] 健康成人男性における [ 14 C]- メマンチン塩酸塩経口投与後の吸収 代謝及び排泄の検討 メマンチン塩酸塩 1 回 5 mg を 1 日 3 回 19 日間反復経口投与 ([ 14 C]- メマンチン塩酸塩 5 mg 単回経口投与を含む (13 日目 )) 放射能の薬物動態パラメータ 放射能の尿中及び糞中排泄量 外国人健康成人男性 外国人健康成人男性 6 例に メマンチン塩酸塩を 1 日 15 mg(1 回 5 mg 1 日 3 回 ) で 19 日間反復経口投与し 定常状態に到達した 13 日目の 1 回目に [ 14 C]-メマンチン塩酸塩 5 mg(1.2 MBq) を経口投与したときの放射能の薬物動態パラメータ 尿中及び糞中排泄量を検討した [ 表 2.7.1.2-3 参照 ] 薬物動態パラメータを[ 表 2.7.1.2-4] に 尿中及び糞中への累積排泄率の推移を [ 図 2.7.1.2-1] に示す 表 2.7.1.2-4 [ 14 C]-メマンチン塩酸塩経口投与後の放射能の薬物動態パラメータ放射能 a) [ 14 C]-メマンチン塩酸塩の薬物動態パラメータ (6 例 ) C max (ng eq./ml) 7.032 ± 1.572 t max (hr) 5.167 ± 2.858 AUC t (ng eq. hr/ml) 547.7 ± 126.9 AUC (ng eq. hr/ml) 785.1 ± 146.4 t 1/2 (hr) 98.48 ± 22.20 累積尿中排泄率 ([ 14 C]-メマンチン塩酸塩投与量に対する割合 ) b) 83.16 ± 11.66 (%) 累積糞中排泄率 ([ 14 C]-メマンチン塩酸塩投与量に対する割合 ) c) 0.539 ± 0.407 (%) 平均値 ± 標準偏差 a) 放射能濃度及び量はメマンチン eq. として表示 b) [ 14 C]-メマンチン塩酸塩投与 20 日後までの累積尿中排泄率 c) [ 14 C]-メマンチン塩酸塩投与 7 日後までの累積糞中排泄率 [ 資料番号 5.3.3.1.3] の Table7.3, 7.8, 7.9 より作成 [ 14 C]-メマンチン塩酸塩 5 mg 経口投与 20 日後までの放射能の累積尿中排泄率は 83.16% であり 投与 7 日後までの累積糞中排泄率は 0.539% であった この成績から メマンチン塩酸塩の経口吸収率は 80% 以上であると推定された 13

放射能の累積排泄率 (%) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 尿中 糞中 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 投与後時間 ( 日 ) 図 2.7.1.2-1 [ 14 C]- メマンチン塩酸塩経口投与後の放射能の累積尿中及び累積糞中排泄 率 ( 平均値 ± 標準偏差 ) [ 資料番号 5.3.3.1.3] の Table7.8, 7.9 より作成 2.7.1.2.1.3 臨床薬理試験 ( 海外 食事の影響の検討 )(MEM-PK-01) 表 2.7.1.2-5 試験の概要 [2.7.6.12 項 ] 試験の標題健康成人を対象に Forest 社製及び Merz 社製メマンチン塩酸塩 10 mg 錠の比較により生物学的同等性と食事の影響について検討する単回経口投与 非盲検 無作為化 3 群クロスオーバー試験投与方法 Forest 社製メマンチン塩酸塩 10 mg 錠 2 錠空腹時単回経口投与 Forest 社製メマンチン塩酸塩 10 mg 錠 2 錠食後単回経口投与 Merz 社製メマンチン塩酸塩 10 mg 錠 2 錠空腹時単回経口投与評価項目血漿中メマンチン濃度対象外国人健康成人 ( 男性 女性 ) 外国人健康成人男性及び女性 23 例に メマンチン塩酸塩 (Forest 社製剤 ) を 20 mgの用量で食後及び空腹時にそれぞれ単回経口投与し バイオアベイラビリティに及ぼす食事の影響を検討した [ 表 2.7.1.2-5 参照 ] なお 本治験ではForest 社製剤とMerz 社製剤の生物学的同等性が確認されており 詳細は個々の試験のまとめに示す [2.7.6.12 項参照 ] 血漿中メマンチン濃度推移を [ 図 2.7.1.2-2] に 薬物動態パラメータを [ 表 2.7.1.2-6] に示す メマンチン塩酸塩 10 mg 錠 (Forest 社製剤 )2 錠を空腹時及び食後単回経口投与したときのC max はそれぞれ 24.4 ng/ml 及び 24.7 ng/mlであり AUC t はそれぞれ 1878.5 14

ng hr/ml 及び 1840.4 ng hr/mlであった C max 及びAUC t の平均値の比の 90% 信頼区間は (0.98, 1.05) 及び (0.95, 1.02) であり いずれも (0.80, 1.25) の範囲内であった その他のパラメータにおいても食後及び空腹時投与の間で有意差はみられなかった これらの成績から メマンチン塩酸塩のバイオアベイラビリティに及ぼす食事の影響はないと判断した 30 25 投与 A:Forest 社製錠剤空腹時投与 投与 B:Forest 社製錠剤食後投与 血漿中濃度 (ng/ml) 20 15 10 5 0 0 48 96 144 192 240 288 336 384 432 投与後時間 (hr) 図 2.7.1.2-2 血漿中メマンチン濃度推移 ( 平均値 ± 標準偏差 ) [ 資料番号 5.3.3.4.1] の Table 12.3, 12.4 より作成 薬物動態パラメータ 表 2.7.1.2-6 薬物動態パラメータ ( 食事の影響 ) 空腹時投与 (23 例 ) 食後投与 (23 例 ) C max (ng/ml) 24.4 ± 4.4 24.7 ± 4.4 t max (hr) 5.6 ± 0.8 5.0 ± 2.0 t 1/2 (hr) 55.6 ± 10.3 55.9 ± 10.7 AUC t (ng hr/ml) 1878.5 ± 468.1 1840.4 ± 435.9 AUC (ng hr/ml) 1939.7 ± 472.1 1898.9 ± 444.3 平均値 ± 標準偏差 [ 資料番号 5.3.3.4.1] の Table 9.1, 9.2 より作成 表 2.7.1.2-7 メマンチンの食事の影響における統計解析結果 薬物動態パラメータ 90% 信頼区間 C max 0.98, 1.05 AUC t 0.95, 1.02 AUC 0.95, 1.02 [ 資料番号 5.3.3.4.1] の Table 9.1 を改変 15

申請製剤と同一処方である後期第 II 相以降試験製剤 l の ~O) 平均溶出率はいずれの試験 ng 'hr/ml であった Cm 阻及び AUC t の製剤差は ~0. 1l 4 5 [=log

40 血漿中濃度 (ng / ml) 30 20 5 mg 錠 10 mg 錠 10 0 0 24 48 72 96 120 144 168 192 216 240 264 288 312 336 360 384 408 投与後時間 (hr) 図 2.7.1.2-3 血漿中メマンチン濃度推移 ( 平均値 ± 標準偏差 ) [ 資料番号 5.3.1.2.1] の図 11.4.1.1-2 を引用 薬物動態パラメ 表 2.7.1.2-9 薬物動態パラメータ投与製剤 :5 mg 錠 投与製剤 :10 mg 錠 ータ 症例数 18 18 C max 平均値 ± 標準偏差 29.928 ± 4.420 33.577 ± 5.000 (ng/ml) 幾何平均値 29.600 33.193 t max (hr) 平均値 ± 標準偏差 4.3 ± 2.7 2.8 ± 1.4 AUC t 平均値 ± 標準偏差 2152.26 ± 472.05 2214.44 ± 476.80 (ng hr/ml) 幾何平均値 2108.12 2170.24 AUC 平均値 ± 標準偏差 2224. 93 ± 491.70 2289.18 ± 499.03 (ng hr/ml) 幾何平均値 2179.45 2243.29 AUC t /AUC 平均値 ± 標準偏差 0.9674 ± 0.0133 0.9676 ± 0.0160 幾何平均値 0.9673 0.9674 t 1/2 (hr) 平均値 ± 標準偏差 58.20 ± 12.62 58.66 ± 11.82 幾何平均値 57.04 57.63 MRT(hr) 平均値 ± 標準偏差 69.37 ± 11.34 68.84 ± 12.80 幾何平均値 68.54 67.77 k el (/hr) 平均値 ± 標準偏差 0.01238 ± 0.00237 0.01222 ± 0.00220 幾何平均値 0.01215 0.01202 [ 資料番号 5.3.1.2.1] の表 11.4.1.1-2 を改変 17

2.7.1.2.2.2.2 臨床薬理試験 (10 mg 錠及び 20 mg 錠の生物学的同等性試験 )(IE1602) 試験の標題 投与方法 評価項目 対象 表 2.7.1.2-10 試験の概要 [2.7.6.3 項 ] SUN Y7017( メマンチン塩酸塩 ) の生物学的同等性試験 健康成人男性における 10 mg 及び 20 mg 製剤の生物学的同等性の検討 メマンチン塩酸塩 10 mg 錠 2 錠単回経口投与メマンチン塩酸塩 20 mg 錠 1 錠単回経口投与 血漿中メマンチン濃度 健康成人男性 後期第 II 相以降試験製剤である 10 mg 錠及び 20 mg 錠の生物学的同等性を検討するために 健康成人男性 18 例にそれぞれの製剤を 20 mgの用量で空腹時単回経口投与した [ 表 2.7.1.2-10 参照 ] このときの血漿中メマンチン濃度推移を[ 図 2.7.1.2-4] に示し 薬物動態パラメータを [ 表 2.7.1.2-11] に示す 10 mg 錠及び 20 mg 錠を 20 mgの用量で空腹時単回経口投与したとき C max の対数変換後の平均値は 3.4578 ng/ml 及び 3.4118 ng/mlであり AUC t は 7.6784 ng hr/ml 及び 7.6455 ng hr/mlであった C max 及びAUC t の製剤差は 0.0460[=log(1.0471)] 及び 0.0329[=log(1.0335)] であった C max 及びAUC t の 90% 信頼区間は (log(1.0175), log(1.0776)) 及び (log(0.9943), log(1.0741)) であり いずれも後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドライン i) の基準の範囲内であった 50 血漿中濃度 (ng / ml) 40 30 20 10 mg 錠 20 mg 錠 10 0 0 24 48 72 96 120 144 168 192 216 240 264 288 312 336 360 384 408 投与後時間 ( hr) 図 2.7.1.2-4 血漿中メマンチン濃度推移 ( 平均値 ± 標準偏差 ) [ 資料番号 5.3.1.2.2] の図 11.4.1.1-2 を引用 18

薬物動態パラメ 表 2.7.1.2-11 薬物動態パラメータ投与製剤 :10 mg 錠 投与製剤 :20 mg 錠 ータ 症例数 18 18 C max 平均値 ± 標準偏差 32.191 ± 5.458 30.901 ± 6.232 (ng/ml) 幾何平均値 31.748 30.320 t max (hr) 平均値 ± 標準偏差 3.9 ± 2.3 4.2 ± 3.2 AUC t 平均値 ± 標準偏差 2184.15 ± 329.68 2107.82 ± 276.10 (ng hr/ml) 幾何平均値 2161.21 2091.25 AUC 平均値 ± 標準偏差 2268. 68 ± 336.66 2193.17 ± 280.02 (ng hr/ml) 幾何平均値 2245.46 2176.42 AUC t /AUC 平均値 ± 標準偏差 0.9626 ± 0.0141 0.9610 ± 0.0142 幾何平均値 0.9625 0.9609 t 1/2 (hr) 平均値 ± 標準偏差 60.83 ± 13.05 60.43 ± 12.65 幾何平均値 59.65 59.32 MRT(hr) 平均値 ± 標準偏差 71.60 ± 14.54 71.32 ± 15.08 幾何平均値 70.36 70.04 k el (/hr) 平均値 ± 標準偏差 0.01183 ± 0.00216 0.01188 ± 0.00213 幾何平均値 0.01162 0.01169 [ 資料番号 5.3.1.2.2] の表 11.4.1.1-2 を改変 19

160 10 mg/ 日群 140 血漿中濃度 (ng/ml) 120 100 80 60 40 20 0 1 5 9 13 17 21 25 29 投与後時間 ( 週 ) 160 20 mg/ 日群 140 血漿中濃度 (ng/ml) 120 100 80 60 40 20 0 1 5 9 13 17 21 25 29 投与後時間 ( 週 ) 図 2.7.1.3-1 AD 患者にメマンチン塩酸塩 10 mg 及び 20 mg を反復経口投与したときの 食事の影響の検討 実線 : 推定濃度 ( 臨床薬理試験 (IE1302) で高齢者に空腹時単回経口投与したときの血漿中メマンチン濃度からシミュレーション 体重 60 kg 換算 ) : 食後反復経口投与したときの血漿中メマンチン濃度 ( 臨床薬理試験 (IE2201) における実測値 ( 体重 60 kg 換算 )) を平均値 ± 標準偏差で示した [ 資料番号 5.3.5.3.1] の Figure 1 を引用 22

2.7.1.4 付録 試験番号 ( 国 ) HUK 610/4 ( 英国 ) 参考資料 HUK 610/13 ( 英国 ) 参考資料 MEM- PK-01 ( 米国 ) 試験の目的 健康成人男性を対象とし メマンチン塩酸塩の 10 20 40 mg を単回経口投与したときの絶対バイオアベイラビリティ並びに用量反応性について検討する また メマンチン塩酸塩を経口及び静脈内投与したときの薬物動態に関する詳細な情報を入手する 健康成人男性を対象とし 定常状態下における [ 14 C]- メマンチン塩酸塩経口投与後の血漿中及び血液中の放射能濃度とそ 表 2.7.1.4-1 メマンチン塩酸塩のバイオアベイラビリティ試験の要約 試験デザイン 無作為化 非盲検 クロスオーバー の推移を明らかにする また 非盲検放射能の尿中及び糞中排泄量を測定することによりマスバランスのデータを取得すると共に 血漿 尿及び糞中の代謝様式について検討する Forest 社製及び Merz 社製メマンチン塩酸塩 10 mg 錠を 2 錠投与した際の吸収速度と吸収量について比較し 両社製剤の生物学的同等性について検討する また Forest 社製剤の薬物動態に及ぼす食事の影響についても検討する 無作為化 非盲検 クロスオーバ 投与方法用法 用量投与経路 [ ロット番号 ] メマンチン塩酸塩 10 mg 錠 [ バッチ番号 90101] メマンチン塩酸塩 10 mg アンプル [ バッチ番号 90502] 10 20 40 mg 単回経口 20 mg 単回静脈内 (10 mg/hr で 2 時間かけて投与 ) メマンチン塩酸塩 5 mg 錠 [ バッチ番号 21001] 15 mg/ 日 (3 分割 ) 19 日間反復経口 [ 14 C]-メマンチン塩酸塩 [ バッチ番号 19086I] 5 mg 単回経口 (13 日目初回 ) メマンチン塩酸塩 10 mg 錠 [5007] 20 mg 空腹時経口 メマンチン塩酸塩 10 mg 錠 [5007] 20 mg 食後経口 ーメマンチン塩酸塩 10 mg 錠 [43087] 20 mg 空腹時経口 a) 累積尿中排泄率 ([ 14 C]- 標識体投与量に対する割合 (%)) b) 食後投与時 / 空腹時投与時の 90% 信頼区間 被験者の種類被験者数評価数 / 登録数平均年齢 ( 年齢範囲 ) 外国人健康成人男性 12/12 27 歳 (20~ 39) 10 mg 経口 20 mg 経口 40 mg 経口 20 mg 静注 外国人健康成人男性 6/6 44 歳 (34~49) 外国人健康成人男女 23/23 ( 男性 17/ 女性 6) 25 歳 C max (ng/ml) 12.17 (2.20) 22.10 (3.71) 47.98 (10.94) 28.70 (7.37) 7.032 (1.572) 24.4 (4.4) 24.7 (4.4) (19~35) 23.7 (3.6) パラメータの平均値 ( 標準偏差 ) t max (hr) 19.3 (21.9) 7.7 (5.6) 5.9 (3.0) 2.3 (0.6) 5.167 (2.858) 5.6 (0.8) 5.0 (2.0) 5.8 (0.7) AUC t (ng hr/ml) 658 (296) 1989 (431) 3307 (633) 1593 (299) 547.7 (126.9) 1878.5 (468 1) 1840.4 (435 9) 1824.3 (450.2) t 1/2 (hr) 101.0 (28.7) 104.1 (13.5) 83.2 (18.4) 73.7 (25.0) MRT (hr) 142.9 (36.1) 147.4 (17.7) 116.9 (25.0) 113.4 (39.8) 信頼区間 CL r (ml/min) C max AUC t 50.35 (16.84) - - 61.63 (27.45) - - 63.91 (29.88) - - 68.23 (30.46) - - 試験報告書添付場所 [5.3.1.1.1] 98.48 (22.20) - 83.16 (11.66) a) - - [5.3.3.1.3] 55.6 (10.3) 55.9 (10.7) 57.2 (10.9) - - - - 0.98, 0.95, 1.05 b) 1.02 b) - - - - [5.3.3.4.1] 24

試験番号 ( 国 ) IE1301 ( 日本 ) IE1602 ( 日本 ) 試験の目的 健康成人男性を対象とし 2 種のメマンチン塩酸塩製剤 (5 mg 製剤及び 10 mg 製剤 ) を単回経口投与後 血漿中の薬物濃度を経時的に測定することにより メマンチン塩酸塩の 5 mg 製剤と 10 mg 製剤の生物学的同等性を検討する 健康成人男性を対象とし 2 種のメマンチン塩酸塩製剤 (10 mg 製剤及び 20 mg 製剤 ) を単回経口投与後 血漿中の薬物濃度を経時的に測定することにより メマンチン塩酸塩の 10 mg 製剤と 20 mg 製剤の生物学的同等性を検討する 試験デザイン 非盲検 クロスオーバ 表 2.7.1.4-2 メマンチン塩酸塩の生物学的同等性試験の要約 投与方法用法 用量投与経路 [ ロット番号 ] メマンチン塩酸塩 5 mg 錠 [3309] 20 mg 単回経口 ーメマンチン塩酸塩 10 mg 錠 [3310] 20 mg 単回経口 非盲検 クロスオーバ メマンチン塩酸塩 10 mg 錠 [4Y20] 20 mg 単回経口 ーメマンチン塩酸塩 20 mg 錠 [6912] 20 mg 単回経口 被験者の種類被験者数評価数 / 登録数平均年齢 ( 年齢範囲 ) 健康成人男性 18/18 25.8 歳 (20~34) 健康成人男性 18/18 25.8 歳 (20~35) C max (ng/ml) 29.600 33.193 31.748 30 320 パラメータの平均値 a) ( 標準偏差 ) t max (hr) 4.3 (2.7) 2.8 (1.4) 3.9 (2.3) 4.2 (3.2) a) C max AUC t は幾何平均値を その他のパラメータについては算術平均値 ( 標準偏差 ) を示した b) 5 mg 錠投与時 /10 mg 錠投与時の幾何平均値の比及び 90% 信頼区間 c) 10 mg 錠投与時 /20 mg 錠投与時の幾何平均値の比及び 90% 信頼区間 AUC t (ng hr/ml) 2108.12 2170.24 2161.21 2091.25 t 1/2 (hr) 58.20 (12.62) 58.66 (11.82) 60.83 (13.05) 60.43 (12.65) MRT (hr) 69.37 (11.34) 68.84 (12.80) 71.60 (14.54) 71.32 (15.08) 幾何平均値の比 ( 信頼区間 ) C max 0.8918 (0.8536, 0.9317) b) 1.0471 (1.0175, 1.0776) c) AUC t 試験報告書添付場所 0.9714 (0.9477, 0.9957) b) [5.3.1.2.1] 1.0335 (0.9943, 1.0741) c) [5.3.1.2.2] 25

通知 ガイドライン i) 平成 9 年 12 月 22 日医薬審第 487 号 後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドライ ンについて 26