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定期報告 耐震診断基本データ 2006 年 4 月 1 日 ~2018 年 12 月 31 日 12 年 9 ヶ月 この耐震診断基本データは前回発表時から追加された診断結果を加算し毎回発表しています 対象の住宅について 1950 年 ( 昭和 25 年 )~2000 年 ( 平成 12 年 )5 月



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第 7 章 間にその者の居住の用に供したときに 一定の要件の下で そのバリアフリー改修工事等にあてるために借り入れた住宅借入金等の年末残高 (1,000 万円を限度 ) の一定割合を5 年間所得税の額から控除できます なお 52ページの増改築に係る住宅ローン控除制度との選択適用になります 1 控除期

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間にその者の居住の用に供したときに 一定の要件の下で そのバリアフリー改修工事等にあてるために借り入れた住宅借入金等の年末残高 (1,000 万円を限度 ) の一定割合を5 年間所得税の額から控除できます なお 53ページの増改築に係る住宅ローン控除制度との選択適用になります 1 控除期間 5 年間

約 6 倍になると予測されており これら高経年マンションが増えていく中 経年による建物 設備の劣化等に対応するための大規模修繕や改修等の資金不足の問題が深刻化している 今後 良質なマンションを維持していくためにも 特にマンション共用部のリフォームについての支援が急務である (4) 賃貸住宅のリフォー

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強化 LVL 接合板および接合ピンを用いた木質構造フレームの開発 奈良県森林技術センター中田欣作 1. はじめに集成材を用いた木質構造で一般的に用いられている金物の代わりに スギ材単板を積層熱圧した強化 LVL を接合部材として用いる接合方法を開発した この接合方法では 集成材と接合板である強化 L

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Q3 問合せ先や受付の窓口はどこですか A3 住宅が所在する市町の耐震対策担当課となります 次ページに記載した窓口にお気軽にお尋ねください 市町担当課名高松市建築指導課丸亀市都市計画課坂出市建設課善通寺市建築住宅課観音寺市建設課さぬき市都市計画課東かがわ市建設課三豊市建築課土庄町建設課小豆島町建設課

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SBIAQ確認検査業務手数料規定

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耐震補強と 福祉住環境 FJC 連続実践講座第 5 回 2014.06.29

研修内容 研修内容 1. 耐震診断 改修設計の基礎 2. 耐震補強工事の方法と実例 3. 耐震補強とバリアフリー改修 4. 補助制度等 2

1. 耐震診断 改修設計の基礎 [ なぜ昭和 56 年以前の建物が危険と言われるのか ] 耐震性に係る大きな法改正 1 昭和 56 年 : 壁量規定の見直し 新耐震基準施行により 必要な耐力壁の量 倍率が見直された ( 昭和 53 年宮城県沖地震 ) 2 平成 12 年 : 基礎構造規定 接合部仕様規定耐力壁バランス規定 それまで設計者 施工者に任されていた具体的な仕様が明確に規定された ( 平成 7 年兵庫県南部地震 ) 3

1. 耐震診断 改修設計の基礎 [ なぜ昭和 56 年以前の建物が危険と言われるのか ] 昭和 56 年 (1981 年 ) 平成 12 年 (2000 年 ) 耐力壁の量が足りない耐力壁のバランスが悪い接合部が弱い基礎に鉄筋が入っていない 可能性が高い 耐力壁の量は足りていても 耐力壁のバランス 接合部の仕様 基礎構造については現行基準を満足していない可能性がある 現行基準通り 4

1. 耐震診断 改修設計の基礎 [ 耐震診断 ~ 耐震補強工事の流れ ] 耐震診断 家屋を詳細に調査し 各種診断法を用いて 地震に対する安全性を評価します 耐震改修設計 現況診断の結果に基づいて 補強の必要性 に応じた耐震改修設計をおこないます 耐震補強工事 耐震改修設計に基づき 地震に対する安全 性を向上させるために耐震補強工事をおこ ないます 5

1. 耐震診断 改修設計の基礎 [ 耐震診断の種類と特徴 ] 2012 年改訂版 木造住宅の耐震診断と補強方法 (1) 誰でもできるわが家の耐震診断 (2) 一般診断法 (3) 精密診断法 1 保有耐力診断法 ( 精密診断法 1) 2 保有水平耐力計算による方法 ( 精密診断法 2) 3 限界耐力計算による方法 ( 精密診断法 2) 4 時刻暦応答計算による方法 ( 精密診断法 2) 6

1. 耐震診断 改修設計の基礎 [ 耐震診断の種類と特徴 ] 一般診断法と精密診断法の比較 目的 特性 一般診断法 耐震補強等の必要性の判定 非破壊による調査 誤差を含む 精密診断法 より正確な補強の必要性の診断及び補強後の診断 一部破壊調査 診断精度が高い 一般診断法で補強後の診断を行う場合 必要な追加調査を実施しなければならない 7

1. 耐震診断 改修設計の基礎 [ 耐震診断の評価 ( 一般診断法 )] 診断結果は 下記の 2 項目によって示される 1 地盤 基礎についての注意事項 ( コメント ) 2 上部構造評点 1.5 以上 ~ 1.0 以上 ~1.5 未満 0.7 以上 ~1.0 未満 ~0.7 未満 倒壊しない一応倒壊しない倒壊する可能性がある倒壊する可能性が高い 上部構造評点が 1.0 を超えても 倒壊しないことを保証するものではない 想定している地震 : 建築基準法に定める 極めて稀に発生する地震 (= 震度 6 強から 7 程度の地震 ) 8

1. 耐震診断 改修設計の基礎 [ 耐震診断の評価 ( 一般診断法 )] 上部構造評点の算出 上部構造評点は 4 つ算出される 9

1. 耐震診断 改修設計の基礎 [ 耐震診断の評価 ( 一般診断法 )] 上部構造評点の算出 最小値の 0.75 が建物の評点となる 1 階 2 階 10

1. 耐震診断 改修設計の基礎 [ 耐震診断の評価 ] 上部構造評点 = 保有耐力必要耐力 必要耐力とは 建物の仕様 立地条件 形状等によって決定される 保有耐力とは 一般診断法 : 壁 柱の耐力 配置等低減係数 劣化度低減係数 精密診断法 : 耐力合計 剛性率低減係数 偏心率 床仕様低減係数 評点を上げるには 方法 1: 必要耐力を下げる 方法 2: 保有耐力を上げる 11

1. 耐震診断 改修設計の基礎 [ 改修設計の方法 ] 1 必要耐力を下げる方法 建物を軽くする 屋根の軽量化 参考 : 軟弱地盤では 表層の地盤改良を行っても軟弱地盤割り増しが必要 2 保有耐力を上げる方法 耐力壁の量( 強さ 長さ ) を増やす 柱接合部を告示 1460 号に規定されたものとする 上記耐力壁をバランス良く配置する 12

1. 耐震診断 改修設計の基礎 [ 改修設計の方法 ] 耐力壁を増設する場合は 偏心 ( バランス ) を考慮する 剛心 剛心 重心 重心 重心 : 重さの中心 ( 平面形状の中心 ) 剛心 : 強さの中心 ( 水平力に対抗する力の中心 ) 13

1. 耐震診断 改修設計の基礎 [ 改修設計の方法 ] 改修計画図 14

研修内容 研修内容 1. 耐震診断 改修設計の基礎 2. 耐震補強工事の方法と実例 3. 耐震補強とバリアフリー改修 4. 補助制度等 15

2. 耐震工事の方法と実例 [ 耐震補強方法の種類 ] 屋根の軽量化( カ ルハ リウム鋼板 スレート etc) 基礎の補強(RC 基礎抱合わせ 炭素繊維補強 etc) 在来工法( 接合金物 筋交 面材 etc ) 各種新工法( 耐震 制震金物 etc) おかぐら 部分の補強 地盤改良 その他( 劣化部分の補修など ) 16

2. 耐震工事の方法と実例 [ 屋根の軽量化 ] 瓦 ガルバリウム鋼板 17

2. 耐震工事の方法と実例 [ 屋根の軽量化 ] 屋根材比較 ガルバリウム鋼板葺 ( インシュレーションホ ート 下地 ) スレート板葺 ( クホ タ松下電工 : カラーヘ ストコロニアル NEO) 日本瓦葺 重量 約 25kg/ 坪 ( 下地込み ) 約 60kg/ 坪 約 180kg/ 坪 断熱性 ( 熱抵抗 ) 0.21 m2 h /kcal ( 下地込み ) 0.023 m2 h /kcal 0.022 m2 h /kcal 耐久性 ( メンテナンス ) 11~15 年ごとの塗り替え 5~15 年ごとの塗り替え耐用年数 :50~100 年 吸水率 0 % 9 % 20 % コスト ( 指数 ) 瓦棒葺き :1.3 平葺き :1.5 ( 共に下地込み ) 1.0 備考 断熱性については 屋根材の性能に期待せずに別途断熱材を用いることが望ましい [ 参考 ] グラスウール (24K)100mm 熱抵抗 : 3.256 m2 h /kcal 18

2. 耐震工事の方法と実例 [ 基礎の補強 (RC 抱き合わせ ) ] 19

2. 耐震工事の方法と実例 [ 基礎の補強 ( 炭素繊維補強 ) ] 無筋の布基礎と比較して 片面貼りで約 2.0 倍 両面貼りで約 3.8 倍 の強度 ( 最大荷重 ) となる メーカー実験値 20

2. 耐震工事の方法と実例 [ 在来工法による補強の例 ] 構造用合板等の面材耐力壁の設置 筋交いの設置 接合部金物の設置 火打ち梁の設置 その他 21

2. 耐震工事の方法と実例 [ 面材耐力壁の設置 ] 構造用合板貼りの例 22

2. 耐震工事の方法と実例 [ 筋交の設置 ] 厚 45mm 片掛けの例 23

2. 耐震工事の方法と実例 [ 接合部金物の設置 ] 柱脚部ホールダウン金物筋交金物 24

2. 耐震工事の方法と実例 [ 火打ち梁の設置 ] 鋼製火打ち梁 25

2. 耐震工事の方法と実例 [ おかぐら 部分の補強 ] 増築 2 階床梁 既存 1 階梁 26

2. 耐震工事の方法と実例 [ 耐震補強工事の事例 ] H 部の工事内容 改修前 内壁解体 27

2. 耐震工事の方法と実例 [ 耐震補強工事の事例 ] H 部の工事内容 金物補強 内壁解体 28

2. 耐震工事の方法と実例 [ 耐震補強工事の事例 ] H 部の工事内容 金物補強 耐力壁下地材設置 29

2. 耐震工事の方法と実例 [ 耐震補強工事の事例 ] H 部の工事内容 構造用合板貼り 耐力壁下地材設置 30

2. 耐震工事の方法と実例 [ 耐震補強工事の事例 ] H 部の工事内容 構造用合板貼り 石膏ボード貼り 31

2. 耐震工事の方法と実例 [ 耐震補強工事の事例 ] H 部の工事内容 仕上げクロス貼り 石膏ボード貼り 32

研修内容 研修内容 1. 耐震診断 改修設計の基礎 2. 耐震補強工事の方法と実例 3. 耐震補強とバリアフリー改修 4. 補助制度等 33

3. 耐震補強とバリアフリー改修 [ 高齢者の住環境 ] 耐震の知識を持つ FJC の領域 耐震補強を 必要とする住宅 戸建木造住宅全体 バリアフリー改修を 必要とする住宅 戸建木造住宅の約 40% は耐震性が不十分 国土交通省推計 ( 平成 15 年住宅 土地統計調査 ) 34

3. 耐震補強とバリアフリー改修 [ 高齢者の住環境 ] 戸建住宅の平均築後年数 イギリス :77 年アメリカ :55 年日本 :30 年 平成 18 年住生活基本法の概要 より ( 国交省推計 ) より永く住み続けるために より快適に住み続けるために 耐震補強 構造的強度を向上 バリアフリー改修 機能性 住環境の向上 35

3. 耐震補強とバリアフリー改修 [ 耐震補強とハ リアフリー改修を同時に行うメリット ] 1 計画の自由度が増す 2 効率的な補強が可能 3 コストが割安になる 4 工期が短縮できる 36

3. 耐震補強とバリアフリー改修 [ 耐震補強とハ リアフリー改修を同時に行うメリット ] メリット 1: 計画の自由度が増す 間取りを変えたいのに 既存の柱や壁があって思い通りにならないことがあります 耐震補強も同時に行えば 構造的な問題を解決して自由な改修が可能です 37

3. 耐震補強とバリアフリー改修 [ 耐震補強とハ リアフリー改修を同時に行うメリット ] メリット 2: 効率的な補強が可能 水廻りや内外装のリフォームと耐震補強を同時におこなえば 設備機器や既存の天井壁などの制約を受けずに より効率的に耐震壁を配置して無駄のない補強ができます 38

3. 耐震補強とバリアフリー改修 [ 耐震補強とハ リアフリー改修を同時に行うメリット ] メリット 3: コストが割安になる 解体工事費や仕上げ工事費が共有されるので 耐震補強とバリアフリー改修を別々におこなうよりもコストが割安になります 39

3. 耐震補強とバリアフリー改修 [ 耐震補強とハ リアフリー改修を同時に行うメリット ] メリット 4: 工期が短縮できる 各エリアごとに耐震補強とバリアフリー改修が同時におこなえるので それぞれを別々におこなうよりも工期が短縮できます 40

3. 耐震補強とバリアフリー改修 [ 事例 1 O 邸 ] 昭和 52 年築 60 代夫婦 2 人住まい 44

3. 耐震補強とバリアフリー改修 [ 事例 1 O 邸 ] トイレの改修 窓をつぶして耐力壁施工 柱撤去 片引戸新設 改修前 改修後 45

3. 耐震補強とバリアフリー改修 [ 事例 1 O 邸 ] トイレの改修 窓をつぶして耐力壁施工 改修前 改修後 46

3. 耐震補強とバリアフリー改修 [ 事例 2 K 邸 ] 昭和 57 年築 2 世帯住宅への全面リフォーム 47

3. 耐震補強とバリアフリー改修 [ 事例 2 K 邸 ] 改修前 改修後 48

3. 耐震補強とバリアフリー改修 [ 事例 2 K 邸 ] 耐震補強箇所 49

3. 耐震補強とバリアフリー改修 [ 事例 2 K 邸 ] 解体状況 50

3. 耐震補強とバリアフリー改修 [ 事例 2 K 邸 ] 耐力壁 改修後 51

3. 耐震補強とバリアフリー改修 [ 事例 3 Y 自治会館 ] 昭和 61 年築 市の補助を受けておこなわれる自治会館の改修 52

3. 耐震補強とバリアフリー改修 [ 事例 3 Y 自治会館 ] バリアフリー改修計画 耐震改修計画 53

3. 耐震補強とバリアフリー改修 [ 事例 3 Y 自治会館 ] 1 階トイレ 改修前金物補強 筋交新設構造用合板貼り 54

3. 耐震補強とバリアフリー改修 [ 事例 3 Y 自治会館 ] 1 階トイレ 改修前 改修後 55

3. 耐震補強とバリアフリー改修 [ 事例 3 Y 自治会館 ] 1 階トイレ 改修前 改修後 56

研修内容 研修内容 1. 耐震診断 改修設計の基礎 2. 耐震補強工事の方法と実例 3. 耐震補強とバリアフリー改修 4. 補助制度等 57

4. 補助制度等 [ 自治体の補助制度 ] 1. 家屋の耐震化に関する補助 耐震診断 / 改修設計 / 監理に対する補助 補強工事に対する補助 補助額例 横浜市 : 150 万円 ( 設計 監理含 ) 川崎市 : 185 万円 ( 監理含 ) 平塚市 : 90 万円 藤沢市 : 90 万円 ( 設計 監理含 ) 横浜市以外は工事費の 1/2 が上限 2. コンクリートブロック塀の耐震化に関する補助 58

4. 補助制度等 [ 税金の優遇制度 ] 1. 所得税額の特別控除 標準補強工事費の 10%( 上限 25 万円 ) を控除 2. 固定資産税の減額措置 住宅に係る固定資産税を一年間 1/2 に減額 ( 延床面積 120 m2以下の場合 ) 59

4. 補助制度等 [ 地震保険の保険料割引制度 ] 耐震補強工事を行った建物については 保険料が割引かれる ( 平成 19 年 10 月 1 日以降の契約より ) 60

4. 補助制度等 [ バリアフリー改修に関する補助制度 ] 1 介護保険制度による住宅改修費用の助成 ( 対象 : 要介護認定を受けている方 ) 下記工事費 ( 上限 20 万円 ) の 90% を支給 手すりの取り付け 床段差の解消 床材の変更 ( 滑り防止 移動の円滑化 ) 引き戸等への扉の変更 洋式便器への取替え 2 その他自治体による補助制度 高齢者 障害者 61

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