. 分析内容及びデータ () 分析内容中長期の代表的金利である円金利スワップを題材に 年 -5 年物のイールドスプレッドの変動を自己回帰誤差モデル * により時系列分析を行った * ) 自己回帰誤差モデル一般に自己回帰モデルは線形回帰モデルと同様な考え方で 外生変数の無いT 期間だけ遅れのある従属変

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Transcription:

() 現在データは最大 5 営業日前までの自己データが受けたショック ( 変動要因 ) の影響を受け 易い ( 情報の有効性 ) 現在の金利変動は 過去のどのタイミングでのショック ( 変動要因 ) を引きずり変動しているのかの推測 ( 偏自己相関 ) また 将来の変動を予測する上で 政策金利変更等の ショックの持続性 はどの程度 将来の変動に影響を与えるか等の判別に役に立つ可能性がある (2) その中でも 前日データの動きに注意 ( 市場が連続的だと考えた場合 マルコフ性の存在 を示す ) 例えば 大きなショックが3 営業日前に生じたとしても 将来の金利変動に与える影響度は前日の変動要因の方が大きく 前日の動きを熟知する事は将来の変動を予測するに欠かせない要因である 厳密には 本分析では5 営業日前までの自己データに依存する事を示しており マルコフ性を証明できないが ショックの影響度が前日データに大きく依存している事から その存在が考えられる (3) 曜日効果も考慮に入れる必要あり 週間前の動き ( 要因等 ) に注意 例えば東京市場で考えた場合 月曜日のボラティリティーは 東京市場がクローズしている土曜及び日曜の東京市場及び東京市場クローズ後のNY LDN 市場の動きの変動エネルギー等に影響される可能性や 市場参加者の投資行動としての 癖 の現れの可能性がある (4) 系列のクラスタリング効果あり クラスタリング効果を念頭に入れる事により 基本的なチャート分析で行われるデッド クロス ゴールデン クロス等による相場の転換点の分析に役立つ Focus on the Markets Page

. 分析内容及びデータ () 分析内容中長期の代表的金利である円金利スワップを題材に 年 -5 年物のイールドスプレッドの変動を自己回帰誤差モデル * により時系列分析を行った * ) 自己回帰誤差モデル一般に自己回帰モデルは線形回帰モデルと同様な考え方で 外生変数の無いT 期間だけ遅れのある従属変数 (T 期前の自己データ ) のみを説明変数とする回帰モデルと見なせ 解釈が容易であり パラメーター推定方法も他のモデルより簡単である為 今回使用した (2) 分析データ観測データは テレレート58376 画面 上の円金利スワップレートの995 年 5 月 ~2 年 5 月 25 日までの6 年間のOFFEREDレートを使用 2. データ分析手法 () 年 /5 年物金利スワップのイールドスプレッドを求める (2) * データが分析できるか否かを検定し検定モデルの選択 (3) 検定モデルに対して適当な次数 ( ラグ ) *2 を決定する為 AIC( 赤池情報量基準 ) *3 SBIC( ベイズ情報量基準 ) *3 及びt- 検定を行う (4) (3) で求めた次数に関して 検定モデルのパラメーターを推定する (5) *4 (4) で求めたモデルで 期先の予測値を求める *: 自己回帰誤差モデルを使い 時系列分析をする為には 観測データは定常性の条件を満たしている事が必要 *2: 次数とは 例えばGARCH(p,q) やARMA(p,q) モデルによって金融データを時系列分析する際のp,qの事 本稿では 自己回帰誤差モデルを使用するのでp 次の次数のみ考えれば良い *3: 上記 (p.q) を決定する方法の内 最も利用されているのがAIC 及びSBICによる判別であり AICが最小となる次数 pが最適なモデルとなる 次数を決定する事が目的なので AIC 及びSBICに関しての説明の詳細は本稿では省く *4: 一般に 自己回帰に属する時系列分析はショートターム分析なので 期 ~5 期先程度までが予測範囲 3. 分析結果 () 観測データの考察 まず 金利の様に規則性を持たず変動する時系列データを 確率的に解析するため 金利を変数 X t の実現値と考える ここで この様な金利変動に関して分析者が何の情報も持たない時 時系列データX t (t= -3,-2,-,,,2,3, ) の性質として 或る性質 * を持つか否かを調べ その性質を満たす場合 初めて ランダムに振る舞う金融時系列データを何らかのモデルに当 Focus on the Markets Page 2

てはめられる *) 定常性の条件 () E(Xt)=μ 即ち X t の平均値 μ は一定 (2) σ 2 t=σ 即ち X t の分散 σ 2 は t 時間に依存せず一定 (3) ρ k =Cor(X t,x t-k ) 及びρ = 即ち X t とX t-k 間の相関係数は時間 tに依存しない (4) γ k =Cov(X t,x t-k )=σ 2 ρ k 即ち X t とX t-k 間の共分散は時間 tに依存しない ここで 年物と5 年物円金利スワップの金利差 ( 年物 -5 年物金利 ) の自己相関の期間構造をグラフに表すと以下の通り グラフは 観測データにおいて 現在の自己のデータ値 (Y 軸 ) と 期間 5 期間及び 期間前 (X 軸 ) の自己相関係数と散らばり度を示している 期間前との比較 5 期間前との比較 期間前との比較 一日前 / 現在 5 日前 / 現在 日前 / 現在.8.8.8.6.6.6.4.4.4.5.5.5.5.5.5 上記グラフより ラグの時 自己相関係数が最大でラグの時が最小となった これは 過去の自己データが現在の自己データの値に与える影響を調べる上で 時間的な相関構造を持つことを意味する 次に 縦軸に自己相関係数 横軸にラグ次数をとったグラフ ( コレログラム ) を以下に示す /5 年ラグ.8.6.4 2 3 4 5 6 7 8 9 コレログラム ( 年 /5 年物円金利スワップスプレッドデータ ) Focus on the Markets Page 3

前頁のグラフより 分析対象の観測データは何らかのトレンドを持つ事が分かり また 元データでは自己相関の次数を決定する事は出来ない もし 観測データが定常性を持つなら コレログラムはラグが大きくなれば 急激に小さくなる ( ゼロに近くなる ) 事が確認されなければならない つまり 現在の自己データが何期前までのデータの線形結合 ( 加重和 ) で表現できるかを決定する ( 次数決定 ) に当たり 観測データを加工する必要がある (2) 観測データの変換 本データを何らかのデータ変換によって定常性を持つようなデータへ加工し 分析を行う上で 定常性モデルを仮定できる可能性を考察する 一般的には トレンドのある時系列データを定常性データに変換する方法としては データの階差をとる 2 収益率へ変換する等が考えられる ここでは 特定の年限の円金利スワップ動向 ( 例えば 年の金利動向 ) のみを考察するのでは無く 年物と5 年物円金利スワップのイールドスプレッドデータ * を利用し その階差を取り 定常性データへ持ち込み適当な次数を選択した 以下に 期間ラグ 期間ラグまでの自己相関係数とコレログラムを記す 階差自己相関係数階差自己相関係数 -.94 6 -.7 2-25 7 -.98 3.47 8 -.64 4.72 9.9 5.93.38.8.6.4 - -.4 /5 階差 2 3 4 5 6 7 8 9 コレログラム (/5 年物円金利スワップイールドスプレッド階差データ ) これより ラグゼロの場合 自己相関係数が ラグで急激にゼロに近づいていることから 自己回帰項が含まれている可能性がある また 年物と5 年物スワップのイールドスプレッドの階差は定常性を持つ事が分かり 本データを解析する事で何らかのモデルを仮定できる Focus on the Markets Page 4

(3) モデルの決定 本データを利用し ここでは自己回帰誤差モデル (Autoregressive Error Model) による時系列分析を行う 本稿では 以下の様に定義する X t =μ+αt+φ t φ t =β φ t- +β 2 φ t-2 +β 3 φ t-3 +β 4 φ t-4 +β 5 φ t-5 +ε t これは t 期のデータ変動をトレンド (μ) とk 期 (k=~5) 前までの過去の自己データの撹乱項で 説明するもので データを解析するためには何期前までのデータの影響を現在のデータが受け ているかを調べる必要がある その次数の決定方法として 一般的にはAIC( 赤池情報量基準 ) を利用する事が多いが 本稿ではAICに加え SBIC( ベイズ情報量基準 ) 及びt- 検定でも検証 してみた 各ラグのAIC 値 SBIC 値及びt- 値 次数 AIC SBIC t- 値 次数 AIC SBIC t- 値 -4887.6-4878 3 6-522.2-4979.68 2.3 2-4994.86-4973.69 2.29 7-524 -4973.6.56 3-5.98-4985.52 5.69 8-52.93-4968..45 4-52.79-499.3 4.23 9-59.22-496..63 5-522.4-4985.8 2.33-57.4-4953.89.43-48 -485-49 SBIC 値 -4878 SBIC と次数の関係 2 3 4 5 6 7 8 9 次数 -48-485 -49-495 AIC 値 AIC と次数の関係 2 3 4 5 6 7 8 9 次数 -4887.6-495 -5-55 これらから AICの最小値及びt- 値が% の有意水準でも棄却されない ( パラメーターがゼロでは無い ) 次数は5 SBICは次数 4となる * 従って 本データを解析するには 次数 5の自己回帰 -4973.69-4985.52-499.3-4985.8 残差モデル が最適と考えられる 次数 5 を選択する事は ちょうど一週間前までの自己データ が現在の自己の値に影響する事を意味しており 金利の変動要因にも週次 ( 曜日 ) 効果が含ま れている事が考えられる -4979.68-4973.6-4968. -496. -4953.89-5 -4994.86-5.98-52.79-522.4-522.2-524 -52.93-59.22-57.4 *SBIC は次数 4 を選択したが AIC 及び t- 検定では次数 5 が選択された 一般的に AIC を判断基準の中心にする事例が多 いことから 本分析でも AIC の選択した次数を優先した Focus on the Markets Page 5

年物と5 年物スワップのイールドスプレッドを下記近似モデルに当てはめ 各種のパラメーター推定を行った結果は以下の通り X t =μ+αt+φ t φ t =β φ t- +β 2 φ t-2 +β 3 φ t-3 +β 4 φ t-4 +β 5 φ t-5 +ε t μ.83965 β 3 -.7766 α -.6695 β 4 -.4463 β -.7253 β 5 -.7822 β 2.47 これは 現在のX t を構成する要素は観測データ期間の固定値.83965から撹乱項同士 (φ) の時間的な相関構造を考慮に入れ 理由付けが困難な誤差項 ( 極小化された残差 ε) の影響との線形結合 ( 加重和 ) である事を意味している また 時間的な要因 (t: セータ ) に関して言えば 期前のデータ (β ) に大きく影響している事が分かる 本分析結果 ( 次数 5を選択した ) は 株式価格の推移において 一見ランダムウォーク的な株価変動を 曜日効果や月次効果によって説明し ある周期性を考慮して将来の株価動向を予想する手法と整合性が合い 金利変動予測に本手法の様な自己回帰の要素を含んだ時系列分析を用いた分析手法も有効である事が言える Focus on the Markets Page 6

(4) 回帰モデルと自己回帰誤差モデル 回帰モデルによるデータ分析ここでは 通常の回帰方程式から観測データのトレンド分析をしてみる トレンドはイールドスプレッド78~85の間に回帰しており 回帰直線の上側に系列があると しばらく回帰直線の上側にしか系列が無く 一方 回帰直線の下側に系列がある時は 系列は下側に寄っている これは 正の自己相関が時間構造を伴って存在 ( クラスタリング効果 ) している事の証明である 観測データ全期間のトレンドグラフ 97/5 98/5 99/5 /5 /5 直近のデータのトレンド分析 直近のトレンドグラフ / /2 /3 /4 /5 明らかに 長期的にも短期的にも正の自己相関が生じている事が分かる Focus on the Markets Page 7

2 自己回帰誤差モデルによるデータ分析それでは 推定された自己回帰残差モデルを利用し 一期先のデータを予想してみる 注 )* 印が予測値 + 印が実測値 グラフの作成上 一期先の予測値と現在の実測値が同じ時間軸 ( 日付け ) に表記される 観測データ全期間における一期先データの予測値 (* 印 ) と実測値 (+ 印 ) 97/5 98/5 99/5 /5 /5 直近の予測値 (* 印 ) と実測値 (+ 印 ) /3 /4 /5 上記グラフより * 印を一期間先にずらした値が+ 印とほぼ一致する事が伺え モデルの当てはまりの良さが言える Focus on the Markets Page 8

5. おわりに 本稿では 分析対象以外の説明変数を利用して分析対象市場の何らかのトレンドや変動要因の相関関係を説明する一般的な回帰分析とは異なった手法で 市場分析を行ってみた 本稿で取り扱った分析手法は 撹乱項の分散が正規分布に従い 2 撹乱項同士の時系列相関の要素がある事を前提とした自己回帰誤差モデルであり 曜日効果や自己回帰効果等の要素が少なからず含まれている事が検証できた ファンダメンタルズ分析や投資家動向分析にプラスして 本稿で述べた期間 ( 過去 5 日間のデータ推移 出来事等 ) の変動に注視する事で市場動向分析に厚みを持たせる事が可能となろう 以上 Focus on the Markets Page 9