2.5 臨床に関する概括評価

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2.7.4 臨床的安全性

要旨 平成 30 年 2 月 21 日新潟県福祉保健部 インターフェロンフリー治療に係る診断書を作成する際の注意事項 インターフェロンフリー治療の助成対象は HCV-RNA 陽性の C 型慢性肝炎又は Child-Pugh 分類 A の C 型代償性肝硬変で 肝がんの合併のない患者です 助成対象とな

第1回肝炎診療ガイドライン作成委員会議事要旨(案)

ダクルインザ・スンベブラの使用経験とこれからの病診連携

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

2.5 臨床に関する概括評価

C 型慢性肝炎に対するテラプレビルを含む 3 剤併用療法 の有効性 安全性等について 肝炎治療戦略会議報告書平成 23 年 11 月 28 日

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

2.7.6 個々の試験のまとめ

オクノベル錠 150 mg オクノベル錠 300 mg オクノベル内用懸濁液 6% 2.1 第 2 部目次 ノーベルファーマ株式会社

あった AUCtはで ± ng hr/ml で ± ng hr/ml であった 2. バイオアベイラビリティの比較およびの薬物動態パラメータにおける分散分析の結果を Table 4 に示した また 得られた AUCtおよび Cmaxについてとの対数値

緒言

B型平成28年ガイドライン[5].ppt

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

ピルシカイニド塩酸塩カプセル 50mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにピルジカイニド塩酸塩水和物は Vaughan Williams らの分類のクラスⅠCに属し 心筋の Na チャンネル抑制作用により抗不整脈作用を示す また 消化管から速やかに

D961H は AstraZeneca R&D Mӧlndal( スウェーデン ) において開発された オメプラゾールの一方の光学異性体 (S- 体 ) のみを含有するプロトンポンプ阻害剤である ネキシウム (D961H の日本における販売名 ) 錠 20 mg 及び 40 mg は を対象として


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1. ウイルス性肝炎とは ウイルス性肝炎とは 肝炎ウイルスに感染して 肝臓の細胞が壊れていく病気です ウイルスの中で特に肝臓に感染して肝臓の病気を起こすウイルスを肝炎ウイルスとよび 主な肝炎ウイルスには A 型 B 型 C 型 D 型 E 型の 5 種類があります これらのウイルスに感染すると肝細胞

減量・コース投与期間短縮の基準

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未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類

モビコール 配合内用剤に係る 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 モビコール 配合内用剤 有効成分 マクロゴール4000 塩化ナトリウム 炭酸水素ナトリウム 塩化カリウム 製造販売業者 EA ファーマ株式会社 薬効分類 提出年月 平成 30 年 10 月 1.1. 安全

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

2.0 概要 治験情報 : 治験依頼者名 : 武田薬品工業株式会社 (TPC) 大阪市中央区道修町四丁目 1 番 1 号 治験課題名 : びらん性食道炎の患者を対象にした TAK-438 の 20 mg を 1 日 1 回経口投与したときの有効性及び安全性を 1 日 1 回経口投与

審査結果 平成 23 年 4 月 11 日 [ 販 売 名 ] ミオ MIBG-I123 注射液 [ 一 般 名 ] 3-ヨードベンジルグアニジン ( 123 I) 注射液 [ 申請者名 ] 富士フイルム RI ファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 22 年 11 月 11 日 [ 審査結果

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未承認の医薬品又は適応の承認要望に関する意見募集について

タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg タペンタ 錠 100mg に係る 販売名 タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 有効成分 タペンタ 錠 100mg 製造販売業者 ヤンセンファーマ株式会社 薬効分類 821 提出年月 平成 30 年

糖尿病経口薬 QOL 研究会研究 1 症例報告書 新規 2 型糖尿病患者に対する経口糖尿病薬クラス別の治療効果と QOL の相関についての臨床試験 施設名医師氏名割付群記入年月日 症例登録番号 / 被験者識別コード / 1/12

試験デザイン :n=152 試験開始前に第 VIII 因子製剤による出血時止血療法を受けていた患者群を 以下のい ずれかの群に 2:2:1 でランダム化 A 群 (n=36) (n=35) C 群 (n=18) ヘムライブラ 3 mg/kg を週 1 回 4 週間定期投与し その後 1.5 mg/k


使用上の注意 1. 慎重投与 ( 次の患者には慎重に投与すること ) 1 2X X 重要な基本的注意 1TNF 2TNF TNF 3 X - CT X 4TNFB HBsHBcHBs B B B B 5 6TNF 7 8dsDNA d

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愛媛県肝炎治療特別促進事業実施要綱(改正案全文)

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(別添様式)

1. 医薬品リスク管理計画を策定の上 適切に実施すること 2. 国内での治験症例が極めて限られていることから 製造販売後 一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は 全 症例を対象に使用成績調査を実施することにより 本剤使用患者の背景情報を把握するとともに 本剤の安全性及び有効性に関するデータを

(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

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項目内容 対象疾患 14 投与前 6カ月以内に全身性抗腫瘍剤又は免疫調節療法 ( ステロイド及び放射線療法を含む ) を受けた又は試験期間中にこれらの薬物による全身性の療法を必要となることが予想される患者 15 投与前 3カ月以内に全身性の抗ウイルス療法, その他の治験薬の投与を受けた又は試験期間中

<4D F736F F D B A814089FC92F982CC82A8926D82E782B95F E31328C8E5F5F E646F63>

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

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(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用

群馬県 C 型慢性肝炎 インターフェロン治療 地域連携シート 監修 : 群馬大学附属病院 肝疾患診療連携拠点病院 - 1 -

TDM研究 Vol.26 No.2

DRAFT#9 2011

C033** of 7 C034** PEG-IFN-2b + IFN -2b + 78 HCV-RNA PEG-IFN-2b IFN-2b n=250 n=200 n= =10 % % 85 % 74 % %

テイカ製薬株式会社 社内資料


DDWシェリング講演スライド(2009年10月)

目次 C O N T E N T S 1 下痢等の胃腸障害 下痢について 3 下痢の副作用発現状況 3 最高用量別の下痢の副作用発現状況 3 下痢の程度 4 下痢の発現時期 4 下痢の回復時期 5 下痢による投与中止時期 下痢以外の胃腸障害について 6 下痢以外の胃腸障害の副

目次 1. 地域医療連携パスとは 肝疾患医療連携パスの運用方法について... 3 (1) 特長 (2) 目的 (3) 対象症例 (4) 紹介基準 (5) 肝疾患医療連携パスの種類 (6) 運用 3. 肝疾患医療連携パス... 7 (1) 肝疾患診断医療連携パス ( 医療者用 : 様式

<4D F736F F D2095BD90AC E93788C51946E8CA7438C5E969D90AB8ACC898A926E88E698418C B83672E646F6378>

ペガシスによる治療をお受けになられる患者さまへ

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審査結果 平成 26 年 2 月 7 日 [ 販売名 ] 1 ヘプタバックス-Ⅱ 2 ビームゲン 同注 0.25mL 同注 0.5mL [ 一般名 ] 組換え沈降 B 型肝炎ワクチン ( 酵母由来 ) [ 申請者名 ] 1 MSD 株式会社 2 一般財団法人化学及血清療法研究所 [ 申請年月日 ]

情報提供の例

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目次 1. 肝臓の病気 2. 肝炎ウイルスとは 3. ウイルス性肝炎とは 4. 急性肝炎 5. 慢性肝炎 6. 肝硬変 7.A 型肝炎 8.B 型肝炎 9.C 型肝炎 10.B 型肝炎の治療 11.C 型肝炎の治療 12. 予防方法 13. 肝炎の医療費助成制度 14. おわりに 1

審査報告 (1) 別紙 平成 29 年 4 月 3 日 本申請において 申請者が提出した資料及び医薬品医療機器総合機構における審査の概略等は 以下 のとおりである 申請品目 [ 販売名 ] ジャドニュ顆粒分包 90 mg 同顆粒分包 360 mg [ 一般名 ] デフェラシロクス [ 申請者 ] ノ

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2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者

B型肝炎

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添付文書情報 の検索方法 1. 検索条件を設定の上 検索実行 ボタンをクリックすると検索します 検索結果として 右フレームに該当する医療用医薬品の販売名の一覧が 販売名の昇順で表示されます 2. 右のフレームで参照したい販売名をクリックすると 新しいタブで該当する医療用医薬品の添付文書情報が表示され

2.7.3(5 群 ) 呼吸器感染症臨床的有効性グレースビット 錠 細粒 表 (5 群 )-3 疾患別陰性化率 疾患名 陰性化被験者数 / 陰性化率 (%) (95%CI)(%) a) 肺炎 全体 91/ (89.0, 98.6) 細菌性肺炎 73/ (86

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抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性

医薬品の基礎研究から承認審査 市販後までの主なプロセス 基礎研究 非臨床試験 動物試験等 品質の評価安全性の評価有効性の評価 候補物質の合成方法等を確立 最適な剤型の設計 一定の品質を確保するための規格及び試験方法などの確立 有効期間等の設定 ( 長期安定性試験など ) 医薬品候補物質のスクリーニン

モニタリング計画書・報告書

2.0 概要治験情報 : 治験依頼者名 : 武田薬品工業株式会社 大阪市中央区道修町四丁目 1 番 1 号 治験課題名 : 健康成人男性を対象に TAK-536TCH の最終製剤を単回経口投与したときの食事の影響を検討する第 1 相無作為化非盲検クロスオーバー試験 治験課題名の短縮

要望番号 ;Ⅱ-286 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 要望者 ( 該当するものにチェックする ) 学会 ( 学会名 ; 特定非営利活動法人日本臨床腫瘍学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 優先順位 33 位 ( 全 33 要望

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要望番号 ;Ⅱ 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 1) 1. 要望内容に関連する事項 要望 者 ( 該当するものにチェックする ) 優先順位 学会 ( 学会名 ; 日本ペインクリニック学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 2 位 ( 全 4 要望中 )


<4D F736F F D2082A8926D82E782B995B68F E834E838D838A E3132>

消化器病市民向け

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た 18 歳以上の AD/HD 患者を対象に 日本人を含むアジア人によるプラセボ対照二重盲検比較試験及びその長期継続投与試験が現在実施されており 本剤の製造販売者によれば これらの試験成績に基づき 本剤の成人期 AD/HD 患者への追加適応に関する承認事項一部変更承認申請が行われる予定とされている

恩賜第 42 回社会福祉法人財団済生会中央治験審査委員会 会議の記録の概要 開催日時 平成 28 年 1 月 13 日 ( 水 )15:30~17:17 開催場所 出席委員名 東京都港区三田 三田国際ビル 21 階 社会福祉法人 恩賜財団済生会本部事務局中会議室 豊島

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040830議事録

06 資料2-1 SOF/VEL配合錠によるDAA不成功例の再治療と非代償性肝硬変治療(会議時口答修正反映4・5頁)

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検査項目情報 トータルHCG-β ( インタクトHCG+ フリー HCG-βサブユニット ) ( 緊急検査室 ) chorionic gonadotropin 連絡先 : 基本情報 ( 標準コード (JLAC10) ) 基本情報 ( 診療報酬 ) 標準コード (JLAC10)

ヒアルロン酸ナトリウム架橋体製剤 特定使用成績調査

審査結果 平成 25 年 9 月 27 日 [ 販売名 ] アナフラニール錠 10 mg 同錠 25 mg [ 一般名 ] クロミプラミン塩酸塩 [ 申請者名 ] アルフレッサファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 25 年 5 月 17 日 [ 審査結果 ] 平成 25 年 4 月 26 日開

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ペムブロリズマブ ( 遺伝子組換え ) 注射剤 2.7 臨床概要 臨床的有効性 ORR 海外 001 試験 パート D パート D では 治験担当医師がベースライン時点で測定可能病変ありとし 独立中央判定

ハイゼントラ20%皮下注1g/5mL・2g/10mL・4g/20mL

Transcription:

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 1 ペガシス皮下注 90 μg ( ペグインターフェロンアルファ -a( 遺伝子組換え )) コペガス錠 00 mg ( リバビリン ) [C 型代償性肝硬変 ] 第 部 ( モジュール ):CTD の概要 ( サマリー ).5 臨床に関する概括評価 中外製薬株式会社

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 略語一覧 略語 省略していない表記 AFP α-fetoprotein/α フェトプロテイン ALT Alanine aminotransferase/ アラニン アミノトランスフェラーゼ (GPT) AST Asparatate aminotransferase/ アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (GOT) AUC 0-t Area under the concentration-time curve from zero to time t/ 投与後 t 時間まで の血中濃度 - 時間曲線下面積 C max Maximum concentration/ 最高血中濃度 CDS Core Data Sheet/ 企業中核データシート CL ss /F Total body clearance at steady state/ 定常状態における全身クリアランス CMH Cochran-Mantel-Haenszel/ コクランマンテルヘンツェル ( 検定 ) CT Computerized tomography/ コンピューター断層撮影法 FAS Full Analysis Set/ 最大の解析対象集団 γ-gtp γ-glutamyltranspeptidase/γ-グルタミルトランスペプチダーゼ HCV Hepatitis C virus/c 型肝炎ウイルス HCV-RNA Hepatitis C virus-ribonucleic acid/c 型肝炎ウイルスリボ核酸 HIV Human immunodeficiency virus/ ヒト免疫不全ウイルス IFN Interferon / インターフェロン ITT Intention to treat KIU Kilo-international unit/ キロ国際単位 KL-6 シアル化糖鎖抗原 MIU Million international unit/ 百万国際単位 MRI Magnetic resonance imaging/ 核磁気共鳴画像法 MSSA Methicillin-sensitive Staphylococcus aureus/ メチシリン感受性黄色ブドウ球菌 PEG Polyethylene glycol/ ポリエチレングリコール PEG-IFNα-a (Ro5-8310) Peginterferon Alfa-a(Genetical Recombination)/ ペグインターフェロンアルファ-a( 遺伝子組換え ) PEG-IFNα-b Peginterferon Alfa-b(Genetical Recombination)/ ペグインターフェロンア ルファ-b( 遺伝子組換え ) RBV Ribavirin/ リバビリン PIVKA-Ⅱ Protein induced by Vitamin K absence or antagonists-Ⅱ/ 凝固因子プロトロンビ ンの前駆体 rifnα-a Interferon Alfa-a(Genetical Recombination)/ インターフェロンアルファ- a( 遺伝子組換え ) rifnα-b Interferon Alfa-b(Genetical Recombination)/ インターフェロンアルファ- b( 遺伝子組換え ) SD Standard deviation/ 標準偏差 Time of maximum concentration/ 最高血清中濃度到達時間 T max

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 3 目次 頁.5 臨床に関する概括評価... 6.5.1 製品開発の根拠... 6.5.1.1 C 型代償性肝硬変に対する治療の必要性... 6.5.1. C 型代償性肝硬変に対する治療の現状... 7.5.1.3 C 型代償性肝硬変に対する PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法開発の根拠... 9.5.1. C 型代償性肝硬変に対する PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法開発の経緯... 15.5.1.5 臨床試験データパッケージ... 19.5. 生物薬剤学に関する概括評価... 1.5.3 臨床薬理に関する概括評価... 1.5. 有効性の概括評価....5..1 対象患者と患者背景....5.. C 型代償性肝硬変での効果... 3.5...1 投与終了後 週時のウイルス学的効果 ( 観察群との比較 )... 3.5... ジェノタイプ別, ウイルス量別及び IFN 製剤治療歴別集計....5..3 初回陰性化時期と投与終了後 週時のウイルス学的効果の関連... 5.5.. 部分集団解析... 7.5..5 PEG-IFNα-a の用量の検討... 7.5..6 有効性のまとめ及び考察... 3.5.5 安全性の概括評価... 35.5.5.1 暴露量... 35.5.5.1.1 PEG-IFNα-a 及びリバビリンの投薬率 / 累積投与量... 35.5.5.1. 減量 休薬の頻度... 36.5.5. 有害事象... 37.5.5..1 比較的よくみられる有害事象... 37.5.5.. 有害事象の重症度別集計... 1.5.5..3 発現時期別有害事象....5.5.. 死亡... 3.5.5..5 その他の重篤な有害事象... 3.5.5..6 その他の重要な有害事象... 7.5.5..7 特別な患者集団及び状況下における安全性... 50.5.5.3 臨床検査値... 53.5.5. バイタルサイン, 心電図... 59.5.5.5 C 型慢性肝炎との比較... 59.5.5.6 安全性のまとめ及び考察... 61.5.5.7 市販後のデータ... 6

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page.5.6 ベネフィットとリスクに関する結論... 66.5.6.1 用法 用量... 66.5.6. ベネフィット... 66.5.6.3 リスク... 68.5.6. 結論... 68.5.7 参考文献... 69 < 表一覧 > 表.5.1.-1 C 型代償性肝硬変における IFNβ による HCV-RNA 陰性化率... 9 表.5.1.- C 型代償性肝硬変における IFNβ を 0 週間以上投与した場合の HCV-RNA 陰性化率 (HCV セログループ別,HCV-RNA 量別 )... 9 表.5.1.-3 C 型代償性肝硬変における IFNα による HCV-RNA 陰性化率... 9 表.5.1.- C 型代償性肝硬変における IFNα による HCV-RNA 陰性化率 (HCV-RNA 量別 )... 9 表.5.1.3-1 海外第 Ⅲ 相臨床試験の投与終了後 週時のウイルス学的効果 (NV15801, ITT)... 11 表.5.1.3- 海外第 Ⅲ 相臨床試験の投与終了後 週時のウイルス学的効果 (NV159, ITT)... 1 表.5.1.3-3 国内外で肝硬変と定義される集団の組織学的診断... 1 表.5.1.3- 海外第 Ⅲ 相臨床試験の C 型代償性肝硬変患者 ( 移行期の患者を含む ) における投与終了後 週時のウイルス学的効果 (NV15801,ITT)... 13 表.5.1.3-5 海外第 Ⅲ 相臨床試験の C 型代償性肝硬変患者 ( 移行期の患者を含まない ) における投与終了後 週時のウイルス学的効果 (NV159,ITT)... 1 表.5.1.3-6 国内第 Ⅲ 相臨床試験の C 型慢性肝炎患者における投与終了後 週時におけるウイルス学的効果 (JV1575,FAS)... 15 表.5.1.-1 C 型代償性肝硬変患者 (JV19595 及び JV19889) における PEG-IFNα-a 及びリバビリンの用量調整基準 :C 型慢性肝炎患者 (JV1575) との比較... 19 表.5.1.5-1 臨床試験データパッケージ... 0 表.5.-1 有効性評価に用いた臨床試験一覧... 表.5...1-1 投与終了後 週時のウイルス学的効果 (FAS)... 3 表.5...-1 ジェノタイプ別及びウイルス量別の投与終了後 週時のウイルス学的効果 (FAS)... 表.5...- ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量及び ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量 以外の患者別投与終了後 週時のウイルス学的効果 (FAS)... 表.5...-3 HCV-RNA 量が 500 KIU/mL 以上の患者における投与終了後 週時のウイルス学的効果 (FAS)... 5 表.5...- IFN 製剤治療歴別の投与終了後 週時のウイルス学的効果 (FAS)... 5 表.5...-5 IFN 製剤前治療が IFN 製剤単独又はリバビリン併用別の投与終了後 週時のウイルス学的効果 (FAS)... 5 表.5..3-1 初回 HCV-RNA 陰性化時期別の投与終了後 週時のウイルス学的効果 (JV19595,FAS 通期 )... 6 表.5..3- 初回 HCV-RNA 陰性化時期別の投与終了後 週時のウイルス学的効果 (JV19889,FAS)... 7 表.5..5-1 投与終了後 週時のウイルス学的効果 (JV19595,FAS 通期 )... 8 表.5..5- 投与終了時のウイルス学的効果 (JV19595,FAS 通期 )... 9

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 5 表.5..5-3 投与終了時ウイルス陰性例のウイルス再燃率 (JV19595,FAS 通期 )... 9 表.5..6-1 ジェノタイプ別ウイルス量別の投与終了後 週時のウイルス学的効果 :PEG- IFNα-a とリバビリン併用療法,IFNβ 製剤単独療法及び IFNα 製剤単独療法の比較... 3 表.5.5.1.1-1 PEG-IFNα-a の投薬率 / 累積投与量 (JV19595,FAS 通期 )... 35 表.5.5.1.1- PEG-IFNα-a の投薬率 / 累積投与量 (JV19889,FAS)... 36 表.5.5.1.1-3 リバビリンの投薬率 / 累積投与量 (JV19595,FAS 通期 )... 36 表.5.5.1.1- リバビリンの投薬率 / 累積投与量 (JV19889,FAS)... 36 表.5.5..1-1 発現率が 10% 以上の有害事象 (JV19595,SAFETY)... 39 表.5.5..1- 発現率の群間差が 10% 以上の有害事象 (JV19595,SAFETY)... 0 表.5.5..1-3 発現率が 10% 以上の有害事象 (JV19889,SAFETY)... 1 表.5.5..5-1 重篤な有害事象発現例数 (JV19595,SAFETY)... 5 表.5.5..5- 重篤な有害事象発現例数 (JV19889,SAFETY)... 7 表.5.5..6-1 投与中止に至った有害事象発現例数 (JV19595,SAFETY)... 8 表.5.5..6- 投与中止に至った有害事象発現例数 (JV19889,SAFETY)... 9 表.5.5..6-3 治験薬の減量 休薬に至った有害事象 (10% 以上 )(JV19595,SAFETY) 50 表.5.5..6- 治験薬の減量 休薬に至った有害事象 (10% 以上 )(JV19889,SAFETY) 50 表.5.5.3-1 いずれかの投与群で 0% 以上認められた臨床検査値異常 (JV19595,SAFETY)... 5 表.5.5.3-0% 以上認められた臨床検査値異常 (JV19889,SAFETY)... 5 表.5.5.3-3 好中球数の投与後最小値 (JV19595,SAFETY)... 56 表.5.5.3- 血小板数の投与後最小値 (JV19595,SAFETY)... 57 表.5.5.3-5 ヘモグロビン濃度の投与後最小値 (JV19595,SAFETY)... 59 < 図一覧 > 図.5..5-1 HCV-RNA 陰性化率 (95% 信頼区間 ) の推移 (JV19595,FAS 通期 )... 30 図.5..5- ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量の患者における HCV-RNA 陰性化率 (95% 信頼区間 ) の推移 (JV19595,FAS 通期 )... 30 図.5..5-3 ウイルス変化量の推移 ( 平均値 ± SD)(JV19595,FAS 通期 )... 31 図.5..5- ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量の患者におけるウイルス変化量の推移 ( 平均値 ± SD)(JV19595,FAS 通期 )... 3 図.5.5.3-1 好中球数の推移 ( 中央値 )(JV19595,SAFETY)... 55 図.5.5.3- 血小板数の推移 ( 中央値 )(JV19595,SAFETY)... 57 図.5.5.3-3 ヘモグロビン濃度の推移 ( 中央値 )(JV19595,SAFETY)... 58

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 6.5 臨床に関する概括評価.5.1 製品開発の根拠ペグインターフェロンアルファ-a( 遺伝子組換え )( 治験成分記号 :Ro5-8310, 以下 PEG-IFNα-a) はインターフェロン ( 以下 IFN) 療法の有効性及び投与方法を改善する目的でインターフェロンアルファ-a( 遺伝子組換え )( 以下 rifnα-a) に分子量約 0KD の分枝メトキシポリエチレングリコール1 分子を共有結合させたたんぱく質である PEG-IFNα-a は, rifnα-a に比し薬物動態と薬力学の改善が認められ,C 型慢性肝炎患者に対して, 週 1 回投与による臨床的有効性及び安全性が確認されたことから, 国内では, まず単独療法において C 型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善 の効能で003 年 10 月に承認された リバビリンは抗ウイルス剤として開発されたヌクレオシドアナログで, リバビリン単独療法では C 型慢性肝炎に対する十分な効果が認められていないが,IFN 製剤との併用により IFN の単独療法と比較して有効性が改善することから,PEG-IFNα-a とリバビリン ( 治験成分番号 : Ro0-9963) の併用療法は007 年 1 月に C 型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善を適応とし承認を取得している PEG-IFNα-a とリバビリンの併用療法の C 型代償性肝硬変に対する適応は, 海外では C 型慢性肝炎に含めた適応として00 年 6 月に EU,00 年 1 月に米国で承認を取得し, 以降カナダ, ニュージーランド, オーストラリアなど世界 110カ国以上で承認されている 現在, 米国における治療ガイドライン 1) では PEG-IFNα-a とリバビリンの併用療法は C 型代償性肝硬変を含む C 型慢性肝炎での標準的な治療法となっている 一方, 国内においても PEG-IFN とリバビリン併用療法は,C 型慢性肝炎に対する標準治療となっており, 現在最も高い効果が期待できる治療法であるが,C 型代償性肝硬変に対する適応は得られていない 今回, 国内で実施した臨床試験 (JV19595 及び JV19889) より,C 型代償性肝硬変に対する PEG-IFNα-a とリバビリンの併用療法の有効性及び安全性が確認されたことから, ペガシス皮下注 90 μg 及びコペガス錠 00 mg の C 型代償性肝硬変に対する新効能追加に係る承認事項一部変更承認申請を行うものである.5.1.1 C 型代償性肝硬変に対する治療の必要性 (1) 代償性肝硬変の病態及び C 型代償性肝硬変の成因肝硬変は肝本来の小葉構造が破壊され, 代わりに偽小葉と線維化がびまん性に置き換えられた病変である 慢性肝炎の病態は, 肝組織の線維化の程度を表す staging と炎症所見を表す grading に分けて評価されており, 国内で広く用いられている新犬山分類では staging の F と分類された場合を肝硬変と判定している ) 臨床的には, 黄疸, 腹水, 肝性脳症などの肝不全症状を呈する非代償性肝硬変とこれらを認めない代償性肝硬変に分けられる 3) 肝硬変は, 最終的に肝不全 肝細胞癌に至る重篤な転帰をたどる疾患である 肝硬変のうち C 型代償性肝硬変は,C 型肝炎ウイルス ( 以下,HCV) の感染に起因する慢性炎症 (C 型慢性肝炎 ) において壊死した肝細胞が線維に置き換えられ肝硬変に発展したものである () C 型代償性肝硬変の疫学及び治療の必要性国内では肝硬変の成因のうち,76% がウイルス肝炎に由来していると報告されている 特に, C 型慢性肝炎由来の肝硬変は 60% 以上に上ると報告され, 肝硬変の病態を呈する患者において HCV 感染は最大の原因と考えられている ) 近年,HCV は世界的な保健 衛生上の問題とされている 全世界で 1 億 7,000 万人が HCV の慢性キャリアであると推定され 5), 先進国では慢性肝炎の 70% が HCV によるものと考えられている 現在, 国内の HCV のキャリアは約 00 万人と推定されており, これらの感染経路は輸

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 7 血, 血液製剤の使用, 薬物乱用者間の注射器の使いまわし, 鍼治療, 刺青及び母子感染等によるものと考えられている C 型慢性肝炎患者の約 0% は10~15 年のうちに肝硬変に進行し, 約 5% は30 年で肝細胞癌に進展することが知られており 6), 特に肝硬変まで進展した場合は発現年率で7~8% が肝細胞癌に進展すると報告されている 7) また,007 年人口動態統計によると国内における肝及び肝内胆管の悪性新生物による死亡者数は,1975 年以降増加の一途をたどっており, 近年はわずかながら減少傾向であるものの,009 年度の死亡者数は3,75 人であった 8) 更に,1990 年代以降に報告された肝細胞癌発症例では, その約 70% が HCV の持続感染に由来していることが報告されている 9) 国内では HCV 感染者の年齢層は海外に比べて高く,HCV 感染者における肝細胞癌死亡率の増加が問題となっており 10), 特に,C 型肝硬変の平均年齢は66.5 歳と高く70 歳前後が最も多い 10) このような高齢者は肝細胞癌の好発年齢であることから, 治療の緊急性が非常に高い集団と考えられている ウイルスを駆除することにより肝細胞癌を予防できるとの報告は多数あり 7),11)-13), 科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン (009 年版 ) においても,C 型代償性肝硬変の発癌予防に, インターフェロンを中心としたウイルス駆除療法を推奨している 1) 更に, 日本肝臓病患者団体協議会からも C 型代償性肝硬変に対するインターフェロン治療を早期に保険適用とすること との緊急要望も厚労省大臣官房に提出されている (006 年 月 0 日 ) こうした状況を踏まえ, 厚生労働省は00 年度から C 型肝炎等緊急総合対策 を実施しており,005 年度には検査や治療面の見直しを目的として, C 型肝炎対策等に関する専門家会議 による報告書が取り纏められ,008 年には肝炎治療の改善につながる基本方針として 肝炎研究 7カ年戦略 が取り纏められた 15) また,010 年には肝炎対策基本法の施行により C 型慢性肝炎治療の促進に向けた国家的対策が積極的に進められている 以上,C 型慢性肝炎から連続した病態で, 肝細胞癌に至る主な原因である C 型代償性肝硬変について, 欧米に比しペグ化 IFN 製剤とリバビリンの併用療法が使用できない等のドラッグラグがあり, わが国の C 型代償性肝硬変患者には高齢者が多いことも鑑み, 緊急に欧米と同じ治療法を導入する必要性が極めて高い疾患と考えられる.5.1. C 型代償性肝硬変に対する治療の現状 (1) 海外における治療の現状海外では C 型慢性肝炎と C 型代償性肝硬変を区別せずに治療薬の開発が進められている 現在 C 型代償性肝硬変を含む C 型慢性肝炎を適応とする抗ウイルス療法として, インターフェロンアルファ ( 以下,IFNα) 等の従来型 IFN 製剤,PEG-IFNα-a 等のペグ化 IFN 製剤, 及びこれらの IFN 製剤とリバビリンの併用療法が承認されており, 米国国立衛生研究所 (NIH) 16) 及び欧州肝臓学会 (EASL) 17) のコンセンサス声明では C 型代償性肝硬変も IFN 療法の適応とされている また, 米国肝臓学会 (AASLD) 1) のガイドラインでも, ペグ化 IFN 製剤とリバビリンの併用療法が C 型代償性肝硬変の標準治療として推奨されている () 国内における治療の現状国内では,C 型代償性肝硬変に対する治療としては,HCV の駆除を目的とした抗ウイルス療法及び肝炎沈静化を目的とした対症療法である肝庇護療法が行われている 本承認申請時点では,C 型代償性肝硬変患者における抗ウイルス療法として, インターフェロンベータ ( 以下,IFNβ) 製剤が 006 年 月に, 天然型 IFNα 製剤が 008 年 10 月にそれぞれ単独療法による適応を取得しているのみで, これらの承認されている IFN 製剤はいずれもジェノタイプ及びウイルス量の分類ですべての患者を適応に含んでいるわけではない すなわち, IFNβ 製剤はセログループ 1 かつ高ウイルス量 (1 Meq/mL 以上 ) の C 型代償性肝硬変患者を含まない臨床試験を実施したものであり,IFNα 製剤はセログループ 1 かつ血中ウイルス量が高い

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 8 患者 (HCV-RNA がアンプリコア法で 500 KIU/mL 以上 ) に対して投与終了後 週時のウイルス陰性化効果が十分でなく適応から除外されている したがって, セログループ 1 の血中 HCV-RNA が高い C 型代償性肝硬変患者に対し肝線維化の進展抑制及び ALT の上昇を抑えるなど肝炎沈静化を目的とした肝庇護療法などの対症療法に依存しているのが現状である また, これらの既承認の IFN 製剤は週 3 回以上の投与が必要であり利便性が低いことが課題となっている C 型代償性肝硬変患者に対し, 海外で標準療法として使用されている PEG-IFN とリバビリンの併用療法は, 国内既存の IFN 製剤無効 再燃例やセログループ 1 かつ高ウイルス量の患者に対する有効性が期待され, 更に既存の IFN 製剤に比べ週 1 回投与での治療が可能となり利便性も高いことから, 早期のドラッグラグ解消が望まれている 以下に, 肝庇護療法及び IFN 単独療法の現状について記載した 1) 肝庇護療法肝庇護療法薬として, 主にウルソデスオキシコール酸, グリチルリチン グリシン システイン配合剤が使用されている ウルソデスオキシコール酸は, 経口投与による治療が可能で, 患者への負担が少ない薬剤である C 型慢性肝疾患における肝機能の改善 の効能 効果に対し, 用法 用量は 1 日 600 mg を 3 回に分割投与で, 最大投与量は 900 mg とされている 18) C 型慢性肝炎患者を対象とした臨床試験において, ウルソデスオキシコール酸 600 mg/ 日及び 900 mg/ 日を 週間投与した際の ALT のベースラインに対する低下率は,600 mg/ 日 (198 例 ) で 9.%,900 mg/ 日 (193 例 ) で 36.% であった 19) また,C 型慢性肝炎患者にウルソデスオキシコール酸 600 mg/ 日 (57 例 ) ( 必用に応じ 900 mg/ 日へ増量 ) を 1 年以上投与したところ, ベースラインに対する ALT の低下率 ( 中央値 ) は 3.% であったと報告されている 18) グリチルリチン グリシン システイン配合剤はウルソデスオキシコール酸より肝機能改善効果が高いと考えられている 用法 用量は 慢性肝疾患における肝機能異常の改善 に対し 1 日 1 回 0~60 ml を静脈内に注射又は点滴静注することとされている 0) C 型慢性肝炎及び肝硬変患者 (178 例 ) にグリチルリチン グリシン システイン配合剤 0 ml/ 日 3 週間連続静脈内投与後, 週目の ALT が正常上限値の 1.5 倍以下に改善しなかった患者 (93 例 ) に,0 ml/ 日継続投与群と 100 ml/ 日継続投与群の有効性を比較したところ,ALT が正常上限値の 1.5 倍以下になった患者は,0 ml/ 日継続投与群で 6.1%(1/6 例 ),100 ml/ 日投与群で 5.3%(3/ 例 ) であり, 増量の有用性も報告されている 1) ) IFN 単独療法 1 IFNβ ),3) 国内では初めての C 型代償性肝硬変に対する抗ウイルス療法として,006 年 月に天然型 IFNβ 製剤が C 型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善 ( セログループ 1 の血中 HCV- RNA 量が高い場合を除く ) の効能 効果で承認された C 型代償性肝硬変に対する IFNβ 製剤の標準的な治療方法は,1 日 600 万国際単位 ( 以下,100 万国際単位を MIU と標記 ) で投与を開始し, 投与後 6 週間までは 1 日 3~6 MIU を連日投与する 以後 1 日 3 MIU を週 3 回の静脈内投与あるいは点滴静注する 国内で実施された C 型代償性肝硬変患者 ( セログループ 1 かつ高ウイルス量の患者は除外 ) を対象とした臨床試験の有効性成績を表.5.1.-1 及び表.5.1.- に示す 投与終了後 6 カ月目の HCV-RNA 陰性化率は,IFNβ の投与期間とともに高くなり,0~ 週及び 3~36 週投与の患者でそれぞれ 8.9% 及び 38.8% であった また, セログループ 1 以外の血中 HCV-RNA 量が高い患者に対する持続性ウイルス学的効果は,10.0% と低かった 本試験では, セログループ 1 かつ高ウイルス量の患者は組み入れられておらず,IFNβ の有効

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 9 性は確認されていない 表.5.1.-1 C 型代償性肝硬変における IFNβ による HCV-RNA 陰性化率 A 群 B 群 C 群 HCV-RNA 陰性化率 7/8(1.6%) 13/5(8.9%) 19/9(38.8%) ( 投与終了 6カ月後 ) A 群 :IFNβ を1 日 6 MIU を1 週間連日投与後,3 MIU で連日又は週 6 回投与により計 6~7 週間投与 B 群 :A 群の投与方法に更に IFNβ を3 MIU 週 3 回投与を継続して計 0~ 週間投与 C 群 :A 群の投与方法に更に IFNβ を3 MIU 週 3 回投与を継続して計 3~36 週間投与 [ 文献 ) より作成 ] 表.5.1.- C 型代償性肝硬変における IFNβ を0 週間以上投与した場合の HCV-RNA 陰性化率 (HCV セログループ別,HCV-RNA 量別 ) HCV セログループ セログループ1 セログループ1 以外 HCV-RNA 量 (Meq/mL) 1 未満 1 未満 1 以上 HCV-RNA 陰性化率 ( 投与終了 6カ月後 ) 10/8(35.7%) 16/33(8.5%) 3/30(10.0%) [ 文献 ) より作成 ] IFNα(NAMALA) ),5) 008 年 10 月に天然型 IFNα 製剤が C 型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善 ( セログループ 1 の血中 HCV-RNA 量が高い場合を除く ) の効能 効果で, 承認された C 型代償性肝硬変に対する IFNα 製剤の標準的な治療方法は,1 日 6 MIU で投与を開始し, 投与後 週間までは連日, その後 1 日 3~6 MIU を週 3 回皮下又は筋肉内投与する 国内で実施された臨床試験の有効性成績を表.5.1.-3 及び表.5.1.- に示す C 型代償性肝硬変における IFNα による HCV 持続陰性化率は, 最も効果の高かった 6 週間投与で 3.1% (9/8 例 ) であった また, セログループ 1 かつウイルス量が 500 KIU/mL 以上の患者において陰性化した患者は認められなかったため, セログループ 1 かつウイルス量が 500 KIU/mL 以上の患者は適応から除外された 表.5.1.-3 C 型代償性肝硬変における IFNα による HCV-RNA 陰性化率 3S 群 3L 群 6S 群 HCV-RNA 陰性化率 7/31(.6%) 9/8(3.1%) 9/30(30.0%) ( 投与終了 6カ月後 ) 3S 群 :IFNα 6 MIU を 週間連日投与後,3 MIU を週 3 回 3 週間筋肉内投与 3L 群 :IFNα 6 MIU を 週間連日投与後,3 MIU を週 3 回 6 週間筋肉内投与 6S 群 :IFNα 6 MIU を 週間連日投与後,6 MIU を週 3 回 3 週間筋肉内投与 [ 文献 ) より作成 ] 表.5.1.- C 型代償性肝硬変における IFNα による HCV-RNA 陰性化率 (HCV-RNA 量別 ) HCV セログループ 1 HCV-RNA 量 (KIU/mL) 100 未満 100 以上 100 以上 500 以上 100 未満 500 未満 500 未満 500 以上 HCV-RNA 陰性化率 ( 投与終了 6カ月後 ) /5 (80.0%) /18 (.%) 0/9 (0.0%) 11/16 (68.8%) 5/ (0.8%) 1/17 (5.9%) [ 文献 ) より作成 ].5.1.3 C 型代償性肝硬変に対する PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法開発の根拠 C 型慢性肝炎患者を対象とした海外の臨床試験 (NV15801 及び NV159) において,PEG-

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 10 IFNα-a とリバビリン併用療法が, 従来型の IFN とリバビリンの併用療法と比べ高い有効性を示すことが,C 型慢性肝炎患者及びそれらの患者のうちジェノタイプ 1 かつ高ウイルスの患者においても示された ( (1) 海外における C 型慢性肝炎に対する PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法の成績 に詳細を記載 ) また, 同じ海外試験に組み込まれた C 型代償性肝硬変患者での成績を解析したところ, 抗ウイルス治療の有効性は慢性肝炎よりやや低くなる傾向が認められたものの,PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法において良好な有効性を示した ( () 海外における C 型代償性肝硬変に対する PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法の成績 に詳細を記載 ) 安全性については, これらの海外試験の成績から, 程度が高度な有害事象及び重篤な有害事象発現率は C 型慢性肝炎患者に比べ,C 型代償性肝硬変患者において高い傾向が認められたが,C 型代償性肝硬変患者での安全性に起因する投与中止率は 8.9~.9% であり, 治療効果を得るために重要な課題である治療の継続は可能と考えられた また, すでに確認されている通り, 国内で実施したジェノタイプ 1b の C 型慢性肝炎患者を対象とした試験 (JV1575) においても,PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法が PEG-IFNα-a 単独療法と比べ高い有効性を示した ( (3) 国内における C 型慢性肝炎に対する PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法の成績 に詳細を記載 ) 以上のことから, 日本人の C 型代償性肝硬変患者においても PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法は, 既承認の IFN 単独療法による無効例及び IFN 単独療法が適応となっていないジェノタイプ 1 かつ高ウイルスの患者での高い有効性が期待できる なお, 前述のように,C 型代償性肝硬変は肝細胞癌の主要原因であり, 治療の緊急性及び必要性が高く, 効果の高い PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法が日本肝臓病患者団体協議会を始めとする医療現場から切望されている このような要望に応えるためにも,PEG-IFNα-a とリバビリンの併用療法については早期承認取得を目指している また, 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 ( 以降, 機構 ) により,C 型代償性肝硬変は, 高率で肝細胞癌を発症する生命に重大な影響のある疾患に該当し, 海外臨床試験 (NV15801) の成績を基に PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法が 1 肝硬変移行期の患者も含む C 型代償性肝硬変患者に対しての成績ではあるが C 型慢性肝炎患者に大きく劣らない持続性ウイルス学的効果が認められたこと,C 型代償性肝硬変に対して承認されている IFNβ 製剤の適応対象外であるジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量の C 型代償性肝硬変患者に対しても持続性ウイルス学的効果が認められていることから, 既存薬に対し高い有用性が期待されると判断され,0 年月日優先対面助言品目に指定された (1) 海外における C 型慢性肝炎に対する PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法の成績米国においては,C 型慢性肝炎を対象とした第 Ⅲ 相試験が 試験 (NV15801 及び NV159) 実施された 第 Ⅲ 相臨床試験 (NV15801) では, 代償性肝硬変患者を含む C 型慢性肝炎患者を対象として PEG-IFNα-a(180 μg, 週 1 回皮下投与 ) 単独群,PEG-IFNα-a(180 μg, 週 1 回皮下投与 ) とリバビリン (1,000~1,00 mg/ 日,1 日 回経口投与 ) 併用群,rIFNα-b(3 MIU, 週 3 回皮下投与 ) とリバビリン (1,000~1,00 mg/ 日,1 日 回経口投与 ) 併用群の 3 群比較で実施された その結果,PEG-IFNα-a + リバビリン併用群におけるウイルス学的効果は PEG-IFNα-a 単独群, rifnα-b + リバビリン併用群に比して有意に優っており (P=0.001,P=0.00), ジェノタイプ 1 の患者においても,%(19/305 例 ) のウイルス学的効果が認められた ( 表.5.1.3-1) もう一方の第 Ⅲ 相臨床試験 (NV159) では,PEG-IFNα-a とリバビリンを併用した場合の投与期間 ( 週間又は 8 週間 ) 及びリバビリンの臨床用量 (800 mg 又は 1,000/1,00 mg) を検討した ウイルス学的効果は投与期間が 週間のグループよりも 8 週間のグループの方が有意に高く (P=0.0393), またリバビリン投与量が 1,000 mg 又は 1,00 mg のグループの方が 800 mg のグループよりも有意に高かった (P=0.0177) ジェノタイプ別にみると, ジェノタイプ 1 以外の患者においてはリバビリンの用量 投与期間に係わらずウイルス学的効果は 70%~80% と

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 11 高い効果が認められた 一方ジェノタイプ 1 の患者においてはリバビリンの用量が 1,000 又は 1,00 mg かつ投与期間が 8 週間の群で,50%(136/71 例 ) と最も高い効果が得られた ( 表.5.1.3-) 安全性については, 上述の第 Ⅲ 相臨床試験 (NV15801) で高頻度に認められた有害事象は, 疲労, 頭痛, 発熱, 筋痛等, いずれも IFN 投与にて発現する既知のものであった また, PEG-IFNα-a に関連した臨床検査値異常として好中球数減少及び血小板数減少が, リバビリンに関連した臨床検査値異常としてヘモグロビン減少が観察された 有害事象 / 臨床検査値異常による投与中止率は PEG-IFNα-a とリバビリンの併用,rIFNα-b とリバビリンの併用,PEG- IFNα-a 単独でそれぞれ 10%,11% 及び 7% であった また, 治験薬との因果関係が否定できない重篤な有害事象発現率は, 各群とも % と同程度であった 以上,PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法が, 従来型の IFN とリバビリンの併用療法と比べ高い有効性を示すことが,C 型慢性肝炎患者及びそれらの患者のうちジェノタイプ 1 の患者においても示された 表.5.1.3-1 海外第 Ⅲ 相臨床試験の投与終了後 週時のウイルス学的効果 (NV15801,ITT) 全例 ジェノタイプ 1 ジェノタイプ 1 以外 PEG-IFNα-a 単独群 (P 群 ) PEG-IFNα-a + リバビリン群 (P+R 群 ) rifnα-b + リバビリン群 (I+R 群 ) 6/7(7%) 3/65(50%) 190/57(%) 群間比較 オッズ比 * (97.5% 信頼区間 ) ** P 値 P+R 群 vs I+R 群 1.9 (1.09,.05) 0.00 P+R 群 vs P 群.9 (1.9,.1) 0.001 I+R 群 vs P 群 1.9 (1.9,.9) 0.001 7/16 (18%) 19/305 (%) 100/9 (3%) 群間比較 オッズ比 * (97.5% 信頼区間 ) ** P 値 P+R 群 vs I+R 群 1.3 (0.96,.11) 0.0 P+R 群 vs P 群 3.37 (1.9, 5.85) 0.001 I+R 群 vs P 群.35 (1.3,.1) 0.001 35/81 (3%) 105/160 (66%) 90/165 (55%) 群間比較 オッズ比 * (97.5% 信頼区間 ) ** P 値 P+R 群 vs I+R 群 1.63 (0.95,.78) 0.0 P+R 群 vs P 群.1 (1.31,.7) 0.001 I+R 群 vs P 群 1.53 (0.83,.79) 0.117 登録された全患者を対象とした * 一つの群における反応のオッズに対するもう一つの群における反応のオッズの比 ** 地域とジェノタイプを層としたCochran-Mantel-Haenszel 検定により評価した [5.3.5.1- Table 13,Table,Table 5より作成 ]

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 1 表.5.1.3- 海外第 Ⅲ 相臨床試験の投与終了後 週時のウイルス学的効果 (NV159,ITT) ジェノタイプ 投与前ウイルス量 ( 10 6 copies/ml) 週間 PEG-IFNα-a 180 μg リバビリン 800 mg 11/07(5%) 63/117(5%) 9/90(5%) 9/101(9%) 8/50(16%) 1/51(1%) 83/106(78%) 55/67(8%) 8/39(7%) 週間 PEG-IFNα-a 180 μg リバビリン 1,000-1,00 mg 177/80(63%) 93/18(63%) 8/13(6%) 8/118(1%) 1/7(6%) 36/71(51%) 19/16(80%) 81/101(80%) 8/61(79%) 8 週間 PEG-IFNα-a 180 μg リバビリン 800 mg 180/361(50%) 116/60(5%) 6/101(63%) 97/50(39%) 66/190(35%) 31/60(5%) 83/111(75%) 50/70(71%) 33/1(80%) 8 週間 PEG-IFNα-a 180 μg リバビリン 1,000-1,00 mg 59/36(59%) 163/9(55%) 96/1(68%) 136/71(50%) 85/186(6%) 51/85(60%) 13/165(75%) 78/108(7%) 5/57(79%) 全例 計 *** 高ウイルス量 低ウイルス量 1 計 *** 高ウイルス量 低ウイルス量 1 以外 計 *** 高ウイルス量 低ウイルス量 群間比較 オッズ比 * (95% 信頼区間 ) P 値 8 週間投与 vs 週間投与 1.3(1.01, 1.73) 0.0393 1,000/1,00 mg vs 800 mg 1.35(1.05, 1.73) 0.0177 * 一つの群における反応のオッズに対するもう一つの群における反応のオッズ比 ** 地域, ジェノタイプ, ウイルス量及び投与期間若しくはリバビリン投与量を層とした Cochran-Mantel- Haenszel 検定により評価した *** 海外臨床試験では高ウイルス量の定義を >.0 10 6 copies/ml としており, 国内における高ウイルス量の定義 100 KIU/mL(.7 10 5 copies/ml に相当 ) とは異なる [5.3.5.1-3 Table 1,Table 15 より作成 ] ** () 海外における C 型代償性肝硬変に対する PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法の成績海外においては,C 型慢性肝炎に対する PEG-IFNα-a とリバビリン併用の臨床試験に, 代償性肝硬変の患者を含めて つの第 Ⅲ 相臨床試験 (NV15801 及び NV159) を実施し, その結果をもって代償性肝硬変を含む C 型慢性肝炎患者に対する適応を取得している 代償性肝硬変の診断基準は, 一般的に肝機能評価と組織学的診断により行われる 肝機能を評価する基準は, 国内 海外ともに,Child-Pugh 分類を用い A~C と分類し,A を代償性肝硬変と診断している 組織学的診断については, 肝組織の線維化を評価しており, 国内においては, 新犬山分類を用い F0~F と分類し, F と分類された場合, 肝硬変と診断している ) 一方, 海外における PEG-IFNα-a の第 Ⅲ 相臨床試験 (NV15801 及び NV159) においては, 組織学的診断を, 慢性肝炎, 肝硬変移行期 ( 国内では F3 に相当 ), 肝硬変 ( 国内では F に相当 ) に分類し, 肝硬変も含めて臨床試験を実施し ( 表.5.1.3-3),C 型慢性肝炎のみならず C 型代償性肝硬変の適応症について, 単独及びリバビリンとの併用で承認されている 表.5.1.3-3 国内外で肝硬変と定義される集団の組織学的診断 地域 組織学的診断 海外 慢性肝炎 肝硬変移行期 * 肝硬変 * 国内 慢性肝炎 肝硬変移行期 肝硬変 * * 各々の地域で肝硬変として扱われている集団 1) NV15801 試験における C 型代償性肝硬変患者での成績 NV15801 試験における C 型代償性肝硬変患者での投与終了後 週時のウイルス学的効果を表.5.1.3- に示す 本試験では肝硬変移行期の患者を含む C 型代償性肝硬変患者として集計した C 型代償性肝硬変患者に対する投与終了後 週時のウイルス学的効果は,PEG-IFNα-a + リバビリン群 :39.7%(3/58 例 ),rifnα-b + リバビリン群 :33.3%(18/5 例 ),PEG-IFNα-a 群 :17.1%(6/35 例 ) であり,PEG-IFNα-a + リバビリン群で最も高い効果が認められた また, 国内で最も患者の比率が高いと予想される, ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス ( 10 6

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 13 copies/ml) の患者に対しては,PEG-IFNα-a + リバビリン群 :8.6%(6/1 例 ),rifnα-b + リバビリン群 :16.7%(3/18 例 ),PEG-IFNα-a 群 :6.3%(1/16 例 ) であり,PEG-IFNα-a + リバビリン群での高い効果が認められた 安全性については, 中止を要する有害事象, 重篤な有害事象, 程度が高度である有害事象の発現頻度は C 型慢性肝炎患者と比較し, やや高いものの, 自覚的な有害事象の発現頻度は C 型慢性肝炎患者と同様であった また, 代償性肝硬変患者のみに特異的に認められる有害事象, 既存の IFN から予測できない有害事象は認められなかった C 型代償性肝硬変患者では投与開始前の血小板数が C 型慢性肝炎患者と比較し低いため, PEG-IFNα-a + リバビリン群でグレード 3(<50,000/mm 3 ) 以上の血小板数減少発現率が高かったが, 休薬 減量にて治療は継続可能であった 表.5.1.3- 海外第 Ⅲ 相臨床試験の C 型代償性肝硬変患者 ( 移行期の患者を含む ) における投与終了後 週時のウイルス学的効果 (NV15801,ITT) PEG-IFNα-a 単独群 (N=35) PEG-IFNα-a + リバビリン併用群 (N=58) rifnα-b + リバビリン併用群 (N=5) 全例 6/35(17.1%) 3/58(39.7%) 18/5(33.3%) ジェノタイプ1 3/5(1.0%) 11/0(7.5%) 8/3(5.0%) 高ウイルス量 * 1/16(6.3%) 6/1(8.6%) 3/18(16.7%) 低ウイルス量 /8(5.0%) 5/15(33.3%) 5/1(35.7%) ウイルス量欠損 0/1(0.0%) 0/(0.0%) 0/0 ジェノタイプ1 以外 3/10(30.0%) 1/18(66.7%) 10/(5.5%) 高ウイルス量 * /8(5.0%) 11/16(68.8%) 6/15(0.0%) 低ウイルス量 1/(50.0%) 1/(50.0%) /7(57.1%) * 海外臨床試験では高ウイルス量の定義を >.0 10 6 copies/mlとしており, 国内における高ウイルス量の定義 100 KIU/mL(.7 10 5 copies/mlに相当 ) とは異なる [5.3.5.3- 表 3-1より作成 ] ) NV159 試験における C 型代償性肝硬変患者での成績 NV159 試験における C 型代償性肝硬変患者での投与終了後 週時のウイルス学的効果を表.5.1.3-5 に示す 本試験では肝硬変移行期の患者を含まない C 型代償性肝硬変患者として集計した PEG-IFNα-a 180 μg とリバビリン 1,000~1,00 mg が投与された C 型慢性肝炎患者のうち代償性肝硬変患者では 31.%(11/35 例 ) のウイルス学的効果が認められた また, ジェノタイプ 1 かつ高ウイルスの患者においても 5.0%(5/0 例 ) のウイルス学的効果が得られた 安全性については, 程度が高度である有害事象, 血小板数減少及びヘモグロビン減少は, 慢性肝炎患者と比較して代償性肝硬変で多く認められたものの, 重篤な有害事象発現率は慢性肝炎と大きく異ならなかった また, 休薬 減量率及び安全性の理由による投与中止率は慢性肝炎に比べ代償性肝硬変で高かったが, 中止理由に特定の傾向は認められず, 多くの患者は減量 休薬を行なうことにより投与継続が可能であった これらの成績より,PEG-IFNα-a とリバビリンの併用療法は C 型代償性肝硬変を含む C 型慢性肝炎を適応として 00 年 6 月に欧州,00 年 1 月に米国で承認された 以上,PEG-IFNα-a とリバビリンの併用療法は, 従来の IFN 療法で治療困難とされ, 国内で多数を占めるジェノタイプ 1 かつ高ウイルスの C 型代償性肝硬変に対して優れた効果を示すことが期待された

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 1 表.5.1.3-5 海外第 Ⅲ 相臨床試験の C 型代償性肝硬変患者 ( 移行期の患者を含まない ) における投与終了後 週時のウイルス学的効果 (NV159,ITT) 週間 PEG-IFNα-a 180 μg リバビリン 800 mg 週間 PEG-IFNα-a 180 μg リバビリン 1,000-1,00 mg 8 週間 PEG-IFNα-a 180 μg リバビリン 800 mg 8 週間 PEG-IFNα-a 180 μg リバビリン 1,000-1,00 mg 全例全体 5/10 (50.0%) 8/0 (0.0%) 8/5 (3.0%) 11/35 (31.%) 高ウイルス量 * /7 (57.1%) 5/1 (35.7%) 5/17 (9.%) 7/ (9.%) 低ウイルス量 1/3 (33.3%) 3/6 (50.0%) 3/8 (37.5%) 3/11 (7.3%) ジェノタイプ1 全体 /5 (0.0%) /9 (.%) 5/0 (5.0%) 9/31 (9.0%) 高ウイルス量 * 1/3 (33.3%) 1/5 (0.0%) 5/16 (31.%) 5/0 (5.0%) 低ウイルス量 1/ (50.0%) 1/ (5.0%) 0/ (0.0%) /11 (36.%) ジェノタイプ1 以外全体 3/5 (60.0%) 6/11 (5.5%) 3/5 (60.0%) / (50.0%) 高ウイルス量 * 3/ (75.0%) /9 (.%) 0/1 (0.0%) / (50.0%) 低ウイルス量 0/1 (0.0%) / (100.0%) 3/ (75.0%) - - * 海外臨床試験では高ウイルス量の定義を >.0 10 6 copies/ml としており, 国内における高ウイルス量の定義 100 KIU/mL(.7 10 5 copies/ml に相当 ) とは異なる [5.3.5.3- 表 3-3より作成 ] (3) 国内における C 型慢性肝炎に対する PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法の成績国内第 Ⅲ 相試験 (JV1575) において, インターフェロン未治療のジェノタイプ 1b の C 型慢性肝炎患者を対象とした PEG-IFNα-a 単独 (180 μg, 週 1 回皮下投与 ) 群と PEG-IFNα-a(180 μg, 週 1 回皮下投与 )+ リバビリン (600~1,000 mg/ 日,1 日 回経口投与 ) 併用群を二重盲検法にて比較した また, インターフェロン既治療の C 型慢性肝炎患者 ( すべてのジェノタイプ ) における PEG-IFNα-a(180 μg, 週 1 回皮下投与 )+ リバビリン (600~1,000 mg/ 日,1 日 回経口投与 ) 併用の有効性及び安全性を検討した その結果,PEG-IFNα-a+ リバビリン併用群におけるウイルス学的効果は 60.6%(60/99 例 ) であり,PEG-IFNα-a 単独群の 5.7%(6/101 例 ) に比べ高い効果が認められた (CMH 検定 :P < 0.001) またインターフェロン既治療の患者に対しても,5.0%(5/100 例 ) のウイルス学的効果が認められた ( 表.5.1.3-6) 安全性については, 高頻度に認められた有害事象は, 発熱, 倦怠感, 頭痛及び脱毛等, いずれも IFN 投与にて発現する既知のものであった PEG-IFNα-a+ リバビリン併用群では,PEG- IFNα-a 単独群に比べ, 湿疹, 全身そう痒症等の皮膚症状が多く認められた また, いずれの投与群も, 白血球数減少, 好中球数減少及び血小板数減少等が認められたが, 併用群においては, 赤血球数減少及びヘモグロビン減少が多く認められた 重篤な有害事象発現率は,PEG- IFNα-a+ リバビリン併用群と PEG-IFNα-a 単独群で大きく異ならなかった また,PEG-IFNα- a 単独群において, 脳出血による死亡例が 1 例認められたが, 脳出血発現時の急激な血圧変動や血小板数の減少は無かった 有害事象 / 臨床検査値異常による投与中止率は,PEG-IFNα-a+ リバビリン併用群と PEG-IFNα-a 単独群で大きく異ならなかった これらのことから, 日本人でジェノタイプ 1b の C 型慢性肝炎患者においても, 海外同様 PEG-IFNα-a とリバビリン併用群が最も高い有効性が得られることが示された これらの結果を踏まえ, 国内の C 型代償性肝硬変の開発を行うこととした

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 15 表.5.1.3-6 国内第 Ⅲ 相臨床試験の C 型慢性肝炎患者における投与終了後 週時におけるウ イルス学的効果 (JV1575,FAS) IFN 製剤未治療 IFN 製剤既治療 PEG-IFNα-a PEG-IFNα-a PEG-IFNα-a + リバビリン + リバビリン HCV-RNA 陰性化率 6/101 (5.7%) 60/99 (60.6%) 5/100 (5.0%) オッズ比.55 (.8, 8.37 ) - P 値 * <0.001 - * 登録時 HCV-RNA 量を層とした Cochran-Mantel-Heanszel 検定 [5.3.5.1- 表 11..1.1-1, 表 11..1.1-, 表 11..1.-1より作成 ].5.1. C 型代償性肝硬変に対する PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法開発の経緯 PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法は C 型慢性肝炎患者を対象とした第 Ⅲ 相臨床試験 (JV1575) の成績より,C 型慢性肝炎で 1 セログループ 1( ジェノタイプ 1a 又は 1b) で HCV- RNA 量が高値の患者又は インターフェロン単独療法で無効又はインターフェロン単独療法後再燃した患者におけるウイルス血症の改善として効能 効果を 007 年 1 月に取得した PEG-IFNα-a とリバビリン併用による C 型代償性肝硬変の新効能追加に係る承認申請を目指した第 Ⅲ 相臨床試験を計画するにあたり,0 年月日に機構との治験相談 ( 相談 ) を実施した その結果, 抗ウイルス療法を実施しない観察群に対し, 投与終了後 週時のウイルス学的効果 (HCV-RNA 陰性化率 ) を主要評価項目とし優越性を検証する第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験 (JV19595) 及びこの試験の観察群に対し PEG-IFNα-a とリバビリン併用投与する一般臨床試験 (JV19889) の 試験を実施し, これらの試験において,C 型代償性肝硬変患者に対する有効性及び安全性を確認することにより承認申請可能と考えた (1) 治験実施計画相談において, 以下の申請者からの提示内容 1)~3) について機構から助言があり, これらの助言に対する対応は第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験 (JV19595) のを考慮した上で決定し治験実施計画書を確定した 以下に機構の助言と検討結果を記載する 1) すべてのジェノタイプを組み入れること 機構助言 C 型代償性肝硬変を対象とした PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法に関しては, を実施するべきである が困難なのであれば, を対象とすることを勧める 検討結果 ジェノタイプa 及びb の患者は,C 型慢性肝炎では PEG-IFNα-a 単独療法による治療効果が十分高いと考えられたため, リバビリン併用療法の治験では対象に含めなかった しかしながら,1 治験計画作成時には C 型代償性肝硬変に対し IFN 製剤による治療が承認されていなかったこと, 海外第 Ⅲ 相臨床試験 (NV15801) でにおいて,PEG-IFNα-a は C 型慢性肝炎に比し C 型代償性肝硬変で低い有効性しか得られず, ジェノタイプ1 以外の代償性肝硬変患者においても,PEG-IFNα-a 単独投与で十分なウイルス学的効果が得られなかったこと,3 国内でも IFN 製剤は C 型慢性肝炎に比し C 型代償性肝硬変で効果が低いという多くの報告があったこと 10) から, 国内の C 型代償性肝硬変患者に対してもリバビリン

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 16 との併用療法が必要であると判断した したがって, 本治験ではすべてのジェノタイプの患者を対象とすることとした ) PEG-IFNα-a の用量を90 μg と180 μg で比較検討すること 機構助言 90 μg については, これまで併用療法での試験成績もなく, 設定根拠が不明であるため, 有効性及び安全性の両面から, 及びもふまえて90 μg を設定することの妥当性を十分に説明する必要がある 検討結果 C 型代償性肝硬変は C 型慢性肝炎からの連続した疾患であり, 海外臨床試験成績から C 型代償性肝硬変に対する PEG-IFNα-a+ リバビリン併用投与の有効性は慢性肝炎よりも低く, 有効性を維持するためには,180 μg の投与が必要であると考える 一方で,C 型代償性肝硬変患者の血小板数, 白血球数, ヘモグロビン濃度は低く 10), 国内 C 型代償性肝硬変患者の高齢化 10) を考慮すると,180 μg の投与では休薬 減量を要する患者が多くなることが懸念され, 低用量で投与を開始した場合と PEG-IFNα-a の総投与量が大きく異ならない可能性も考えられた このことから, 本試験において PEG-IFNα-a 180 μg と低用量の有効性 安全性について探索的な比較を行うことにより, 限られた患者数ではあるが用量反応性についても検討することができると考えた 低用量の選択にあたり,PEG-IFNα-a 90 μg は, 国内第 Ⅱ 相試験 (JV157) において,180 μg とともに有効性 安全性が検討されており, 180 μg に比し有効性はやや劣るものの投与中の血小板数 ( 中央値 ) は180 μg より減少率が低い傾向が認められており, 本試験の低用量群として90 μg が適切な用量であると考えた すなわち,PEG-IFNα-a 180 μg で投与を開始した場合に90 μg で開始するより, たとえ休薬 減量の頻度が多くても高い総投与量が確保でき, 安全に投与できるなら180 μg が臨床用量として推奨されると考えた 以上のことから,C 型代償性肝硬変に対する第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験の低用量群として90 μg 群を設定した 3) 肝細胞癌既往を有する患者を組み入れること 機構助言 肝細胞癌既往を有する患者を組み入れることについては, 肝細胞癌術後及び局所療法後, どのくらいの時期から組み入れ可能であるのか現時点では明確な基準及びその妥当性が示されていないことから, 再発の可能性が高い肝細胞癌既往を有する患者をウイルス血症の改善を目的とする本試験に組み入れることは, 患者の安全性の担保及び本試験からの脱落による試験の質の低下等の観点から勧められない 検討結果 肝細胞癌治療後の代償性肝硬変においてはその後の肝細胞癌再発率も高く, 死亡につながる緊急性からインターフェロン治療がより強く求められており, 代償性肝硬変患者の中でも特にウイルス駆除の意義は大きいと考えられること, 肝細胞癌既往のある患者は, 実際の医療現場の実態を反映した患者集団であり, 市販後の有効性, 安全性を正確に判断するデータを得るためにも必要であると判断した また, 肝細胞癌の既往のある患者の安全性担保及び治験の質確保のため以下の 1~ の方策を講じることとした 1 肝細胞癌既往の有無で発癌リスクをできる限り大きく異ならないように症例登録する組入れ基準を設定する 肝細胞癌既往を有する患者の再発が多くなる理由として, 治療病変の残存による再発 ( 局所再発 ), 治療時に画像診断では検出されなかった肝内転移巣の増大による再発 ( 肝内転移 ), 肝内の新病巣出現による再発 ( 多中心性発生 ) の三つの再発様式があるためと考えられている その内, 局所再発と肝内転移は治療後 年までに起こると考え

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 17 られており 6), 治療後 年間無再発の患者を対象とすることで, 全体の再発率を下げることは可能である その結果, 治験実施計画書の肝細胞癌既往を有する患者の選択基準として, 治療後 年間, 肝細胞癌の再発のない患者 を設定した 投与中の発癌症例の安全性確保の取扱いをあらかじめ決めておく 治験実施計画書の中止基準として, 肝細胞癌と確定診断された場合 を設定した 3 治験実施中に肝細胞癌をできる限り迅速に発見できるための検査スケジュールを設定する 治験実施計画書の検査項目として, 腫瘍マーカー (AFP,PIVKA-Ⅱ,AFP-L3): 週ごとに測定, 腹部超音波,CT 又は MRI:1 週ごとに測定 を設定した 肝細胞癌既往がない患者の C 型代償性肝硬変患者のみでも有効性 安全性を検証可能とする 目標症例数 60 例に対し, 肝細胞癌既往を有する患者は最大 30 例まで登録可能とし, 肝細胞癌既往がない患者については, 検出力 80% 以上を確保可能とした () 目標症例数の変更観察群の目標症例数については, 試験実施中の0 年月日に60 例から30 例に変更した それに伴い解析方針について, 有効性 安全性を含む, 観察群と180 μg 群,90 μg 群の比較は, 前期登録症例 ( 目標症例数各群 30 例 ) を対象とした解析を本試験の主要な解析とすることとした 以下にその経緯を示す 試験計画立案時においては, 肝細胞癌既往を有する患者についての治療ニーズが高く, その患者が多く登録されると予想した また, 肝細胞癌既往を有する患者は, 肝細胞癌既往がない患者と比べ発癌リスクは倍程度高いとされていたことから, 発癌による途中脱落のリスクを考慮し, 肝細胞癌既往を有する患者の割合を, 各群最大 50% までと制限し, 最も多く組み入れられた場合でも, 肝細胞癌既往がない患者集団のみで検出力を保つことが可能な例数を確保するために, 目標例数を各群 60 例と設定した しかしながら, 治験依頼者及び治験責任医師又は治験分担医師とは独立して設立された効果安全性評価委員会による安全性検討会 (0 年月日,30 例 ( 投与群 0 例, 観察群 10 例 ) が週を終了した時点で実施 ) が開催され, この時点で肝細胞癌患者の登録例は想定より少なく, 肝細胞癌既往を有する患者の組み入れ基準を, 再発患者も可能とすることが決定された 更に, 委員から 今後も肝細胞癌患者の登録が大幅に増加するとは想定されず, 目標症例数の変更も考えておく必要はないか との助言をいただいた その後も肝細胞癌既往を有する患者の登録数の増加は認められず, 登録開始 1 年後の段階で, わずか例 (3.5%: 例 ) のみであった 以上のように, 当初の想定とは大きく異なり, 肝細胞癌既往を有する患者の登録は少数であり, 登録を続けても大幅に増加する可能性は低いと予想され, 全解析集団における肝細胞癌既往を有する患者を含めた集団を主要な解析対象集団としても, 投与群と観察群との有効性比較については, 各群 30 例で80% 以上の検出力は確保できると考えられた また, 観察群については, 抗ウイルス療法が使用できないことから,HCV-RNA の消失がほとんど望めず, 被験者への倫理的配慮も考慮し, 本試験の主要な解析対象の目標症例数を30 例に変更することとし, 観察群 ( 非盲験 ) の目標症例数を30 例に変更した 一方, 投与群については, 安全性の検討において, 発現率 % の有害事象を見逃す確率が % 未満となるためには例以上必要となることを考慮して, 当初の計画通り目標症例数を各群 60 例とした このように, 観察群と投与群で目標症例数が異なるが, 主要評価等において投与群と観察群との比較を行う場合には, 投与群も観察群の登録締切りまでに登録された患者 ( 前期登録例 ) を解析対象とした なお, 当該治験実施計画書変更については, 審議され0 年月日に承認された その後, にて承認された

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 18 (3) 用量調整基準の設定 0 年月治験実施計画書検討会にて医学専門家及び効果安全性評価委員との協議の結果, C 型代償性肝硬変患者の平均年齢は高いことが予想され,C 型慢性肝炎と同様の用量調整基準のまま PEG-IFNα-a とリバビリンの併用療法を行う場合, 好中球数減少, 血小板数減少及びヘモグロビン減少により多くの中止 脱落例が出ることが危惧されたことから, 治療完遂例ができる限り多くなるよう表.5.1.-1 に示す用量調整基準を設定することとした 1 PEG-IFNα-a より早期から治験薬の減量を行うことができるよう, 減量基準を慢性肝炎の基準より厳しくすることとした また, 投与初期に大きく好中球数が減少する症例があるため, 750 /mm 3 未満となってからの減量では中止基準まで下がってしまう可能性があることから,1,000 /mm 3 未満となったときから早めに減量を行うよう設定した リバビリン C 型慢性肝炎を対象とした第 Ⅲ 相臨床試験 (JV1575) においてヘモグロビン減少による中止が併用群において 11 例 (5.5%) であったことから, ヘモグロビン減少に関しては 10 g/dl 未満 8.5 g/dl 以上になった場合はリバビリンを半量以下に減量し,10 g/dl 以上に回復した場合は増量可とした これはヘモグロビン減少による中止例を減らし, リバビリンの継続投与を可能とするため設定した また, 治療完遂例ができる限り多くなるよう, リバビリンの割付用量が 800 mg 及び 1,000 mg の患者に関しても 00 mg まで減量可能とした また,C 型代償性肝硬変では, 投与初期にヘモグロビン濃度が大きく減少する患者が多いことが推測され, 投与 週時までは, ヘモグロビン濃度が 11 g/dl 未満となった場合, リバビリンの減量を開始することとした

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 19 表.5.1.-1 C 型代償性肝硬変患者 (JV19595 及び JV19889) における PEG-IFNα-a 及びリバビリンの用量調整基準 :C 型慢性肝炎患者 (JV1575) との比較 好中球数 (/mm 3 ) 血小板数 (/mm 3 ) PEG-IFNα-a リバビリン C 型代償性肝硬変 C 型慢性肝炎 C 型代償性肝硬変 C 型慢性肝炎 < 1,000 1/ 量に減量 規定なし 変更なし 規定なし 1,000 に回復後 全量で投与再開 < 750 1/ 量に減量 1/ 量に減量 変更なし 変更なし 750に回復後 1/ 750に回復後全 量で投与再開 量で投与再開 < 500 休薬 500 に回復後 1/ 量で投与再開 休薬 500 に回復後 1/ 量で投与再開 休薬 500 に回復後全量で投与再開 < 50 中止 中止 中止 中止 < 50,000 休薬 休薬 50,000に回復後 50,000に回復後全 1/ 量で投与再開 量で投与再開 休薬 50,000 に回復後 1/ 量で投与再開 < 35,000 休薬 50,000に回復後 1/ 量で投与再開 < 5,000 中止 中止 中止 中止 休薬 500 に回復後全量で投与再開 休薬 50,000 に回復全量で後投与再開 ヘモグロビン濃度 (g/dl) 1~ 週 < 11 5~8 週 < 10 変更なし変更なし 変更なし 減量 * > 11に回復後増量可減量 * > 10に回復後増量可 投与時期に関わらず < 10で減量 * ( 10に回復後も増量なし ) < 8.5 中止 中止 中止 中止 * リバビリンの減量 回復後投与量 規定投与量 C 型代償性肝硬変 C 型慢性肝炎 減量 回復後投与量 減量 回復後投与量 1,000 mg/ 日 800 mg/ 日 00 mg/ 日ヘモグロビン濃度の回復がみられない場合は00 mg/ 日に減量可 600 mg/ 日に増量可 600 mg/ 日 00 mg/ 日 00 mg/ 日に増 量可 600 mg/ 日 600 mg/ 日 ( 増量なし ) 00 mg/ 日 00 mg/ 日 ( 増量なし ).5.1.5 臨床試験データパッケージ今回の承認申請においては, 国内で実施された第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験 (JV19595) 及び一般臨床試験 (JV19889) を評価資料とした なお, 国内で実施した C 型慢性肝炎対象の第 Ⅲ 相臨床試験 (JV1575) 及び海外で実施された代償性肝硬変を含む C 型慢性肝炎を対象とした第 Ⅲ 相臨床試験の 試験 (NV15801,NV159) を参考資料とした 以下に, 今回の承認申請における臨床試験データパッケージを示す ( 表.5.1.5-1)

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 0 国内臨床試験 第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験 JV19595 [5.3.5.1-1] 評価資料 表.5.1.5-1 臨床試験データパッケージ 試験試験内容対象投与例数治験期間試験期間有効性 安全性 薬 C 型代償性 0 年月 - 物動態検討肝硬変 0 年月 一般臨床試験 JV19889 [5.3.5.-1] 評価資料第 Ⅲ 相臨床試験 JV1575 [5.3.5.1-] 参考資料 海外臨床試験 有効性 安全性 有効性 安全性 薬物動態検討 C 型代償性肝硬変 157 例投与期間 :8 週間経過観察期間 : 週間 ( 観察群は投与期間のみ ) 5 例投与期間 :8 週間経過観察期間 : 週間 C 型慢性肝炎 300 例 投与期間 :8 週間 経過観察期間 : 週間 0 年月 - 0 年月 0 年月 - 0 年月 試験 試験内容 対象 投与例数 投与期間 試験期間 第 Ⅲ 相臨床試験 PEG-IFNα-a / リバビ C 型慢性肝炎 1,15 例 投与期間 :8 週間 19 年月 - NV15801 [5.3.5.1-] 参考資料 リン,PEG-IFNα-a 単独,rIFNα-b / リバビリンとの比較 (C 型代償性肝硬変含む ) C 型代償性肝硬変患者 ( 移行期含む ) 58 例 * 経過観察期間 : 週間 0 年月 第 Ⅲ 相臨床試験 NV159 [5.3.5.1-3] 参考資料 PEG-IFNα-a / リバビリン投与量及び投与期間の検討 C 型慢性肝炎 (C 型代償性肝硬変含む ) 1,8 例 C 型代償性肝硬変患者 ( 移行期含まない ) 35 例 ** * PEG-IFNα-a 180 μg 及びリバビリン併用群 ** PEG-IFNα-a 180 μg 及びリバビリン 1,000-1,00 mg 併用,8 週間投与群 投与期間 : 又は 8 週間経過観察期間 : 週間 19 年月 - 0 年月 以上の国内における臨床試験は, ヘルシンキ宣言, 薬事法 1 条第 3 項及び第 80 条の 並びに厚生省令第 8 号 ( 平成 9 年 3 月 7 日 ) 医薬品の臨床試験の実施の基準 (GCP) に関する省令 及び厚生労働省令第 106 号 ( 平成 15 年 6 月 1 日 ) 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令 を遵守した また, 海外で実施された臨床試験も GCP 並びにヘルシンキ宣言を遵守した

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 1.5. 生物薬剤学に関する概括評価本申請では製剤及び生物学的同等性試験について新たに追加する資料はない なお, 本申請に含まれる第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験 (JV19595) におけるリバビリンの薬物動態の検討に用いた薬物濃度定量法に変更があったので.7.1.1 項に記載した.5.3 臨床薬理に関する概括評価 (1) PEG-IFNα-a の薬物動態 C 型代償性肝硬変患者を対象とした第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験 (JV19595) の1 週時の血清中 PEG- IFNα-a 濃度を用いて薬物動態パラメータを算出した PEG-IFNα-a の同一用量が,1 週時及びその直前に 週間以上投与された被験者は,90 μg が5 例及び180 μg が 例で, それぞれの1 週時の PEG-IFNα-a の C max ( 平均値, 以下同様 ) は1. ng/ml 及び.9 ng/ml,auc 0-168h は1850 ng h/ml 及び3650 ng h/ml,t max は5. h 及び83.9 h,cl ss /F は0.0519 L/h 及び0.0513 L/h であった () リバビリンの薬物動態 C 型代償性肝硬変患者を対象とした第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験 (JV19595) の 1 週時の血漿中リバビリン濃度を用いて薬物動態パラメータを算出した パラメータの算出は, 試験登録時に体重によって割り付けられた投与量が 1 週時及びその直前に 週間以上投与された被験者 (1 例 ) のものを用いた リバビリンの C max ( 平均値 ± SD, 以下同様 ) は 550 ± 5 ng/ml,auc 0-1h は 500 ± 900 ng h/ml,t max は.6 ± 1.7 h,cl ss /F は 17.3 ±.1 L/h であった (3) C 型代償性肝硬変患者と C 型慢性肝炎患者の薬物動態の比較 C 型代償性肝硬変患者を対象とした第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験 (JV19595) における PEG-IFNα-a 180 μg 投与時の 1 週時の各測定時点の血清中 PEG-IFNα-a 濃度は,C 型慢性肝炎患者を対象とした第 Ⅲ 相臨床試験 (JV1575) で得られた濃度と同程度で同様の推移を示した また,C 型代償性肝硬変患者及び C 型慢性肝炎患者で得られた PEG-IFNα-a の C max はそれぞれ.9 ng/ml 及び 3. ± 1. ng/ml で,AUC 0-168h はそれぞれ 3650 ng h/ml 及び 390 ± 1730 ng h/ml であり, いずれも両試験間で同程度の値を示した 以上のことから,C 型代償性肝硬変患者における PEG-IFNα-a の薬物動態は C 型慢性肝炎患者と大きく異ならないと考えられた C 型代償性肝硬変患者における血漿中リバビリン濃度は C 型慢性肝炎患者におけるリバビリン濃度と同様の推移を示した C 型代償性肝硬変患者及び C 型慢性肝炎患者のそれぞれの C max ( 平均値 ± SD, 以下同様 ) は 550 ± 5 ng/ml 及び 710 ± 989 ng/ml,auc 0-1h は 500 ± 900 ng h/ml 及び 5800 ± 960 ng h/ml であり, いずれも両試験間で同程度であった 以上のことから,C 型代償性肝硬変患者におけるリバビリンの薬物動態は,C 型慢性肝炎患者と大きく異ならないと考えられた

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page.5. 有効性の概括評価有効性評価に用いた臨床試験一覧を表.5.-1に示す C 型代償性肝硬変に対する PEG-IFNα-a とリバビリン併用による有効性は, 国内で実施された第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験 (JV19595) 及び一般臨床試験 (JV19889) の成績に基づいて評価した 有効性の主な解析対象は,Full Analysis Set(FAS)( 治験薬が1 回でも投与され, かつ投与後の有効性に関する観察が1 回でも行われた患者集団 ) とした 第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験及び一般臨床試験の FAS 対象例数は表.5.-1に示した通りである 第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験は, 観察群の目標症例数を試験途中で変更したため, 観察群の登録締切りまでに登録された患者 ( 前期登録例, 以降 前期 ) と全登録期間で集積された患者 ( 通期登録例, 以降 通期 ) のつの解析集団に分けられる 投与群と観察群との比較を行う場合には, 前期を主要な解析集団とし,PEG-IFNα-a の用量の探索的な検討は通期にて実施した 試験名治験実施計画書番号 [ 資料番号 ] 国内試験 ( 評価資料 ) 第 Ⅱ/ Ⅲ 相臨中央登録方式によ床試験る多施設共同, 無 JV19595 作為化, 部分盲検 [5.3.5.1-1] 並行群間比較試験 一般臨床試験 JV19889 [5.3.5.-1] 表.5.-1 有効性評価に用いた臨床試験一覧 デザイン 対象 投与期間 観察期間 中央登録方式による多施設共同, 一般臨床試験 C 型代償性肝硬変 C 型代償性肝硬変 観察群 :8 週間治験薬投与群投与期間 :8 週間観察期間 : 週間 投与期間 :8 週間観察期間 : 週間 投与群 有効性評価例数 (FAS) 観察群 33( 前期 ) PEG-IFNα-a 90 μg 群 33( 前期 ) 61( 通期 ) PEG-IFNα-a 180 μg 30( 前期 ) 群 63( 通期 ) PEG-IFNα-a 180 μg 5 群.5..1 対象患者と患者背景 (1) 対象患者第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験における対象患者は,HCV-RNA が陽性で, 組織学的に肝硬変 (F) と確定診断された C 型代償性肝硬変患者とした 安全性上のリスクを考慮し,C 型肝炎以外の慢性肝疾患 ( 自己免疫性肝炎, アルコール性肝炎, 薬剤性肝炎等 ) や非代償性肝硬変, 肝細胞癌を併発する患者は除外した 性別は問わなかった なお, 妊娠中又は授乳中の女性, 妊娠中の女性をパートナーに持つ男性は除外した () 試験中止 / 完了例数第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験において, 投与期間 (8 週間 ) における中止例は, 前期 PEG-IFNα-a (180) 群 30 例中 例, 前期 PEG-IFNα-a (90) 群 33 例中 6 例及び観察群 33 例中 6 例で, 通期 PEG- IFNα-a (180) 群 63 例中 16 例, 通期 PEG-IFNα-a (90) 群 61 例中 16 例であった また, 経過観察 ( 週間 ) の期間中に中止した患者数は, 前期 PEG-IFNα-a (180) 群 0 例, 前期 PEG-IFNα-a (90) 群 例で, 通期 PEG-IFNα-a (180) 群 例, 通期 PEG-IFNα-a (90) 群 5 例であった なお, 観察群においては 8 週間の観察終了時点において陰性化に至った患者が認められなかったため経過観察を実施しなかった 治験を完了 ( 投与群は投与期間及び経過観察ともに完了, 観察群は観察期間完了 ) した患者数は, 前期 PEG-IFNα-a (180) 群 6 例, 前期 PEG-IFNα-a (90) 群 7 例及び観察群 7 例で, 通期 PEG-IFNα-a (180) 群 6 例, 通期 PEG-IFNα-a (90) 群 3 例であった 中止例数に各群間の偏りは認められなかった 一般臨床試験 (JV19889) では, 投与期間 (8 週間 ) における中止例は 5 例中 例, 経過観察 ( 週間 ) における中止例は 例であった また, 治験を完了した患者数は 19 例であった

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 3 (3) 患者背景第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験の前期登録例において,FAS 前期における人口統計学的データでは, 性別は男性が PEG-IFNα-a (180) 群 60.0%,PEG-IFNα-a (90) 群 5.5%, 観察群 7.7% で, 観察群で男性が多かった 各群の平均値は, 年齢が 58.8~61.8 歳, 体重が 61.60~66.3 kg, 罹病期間が 1.8~1.70 年と, これらは群間で大きな偏りは認められなかった IFN 製剤既治療の患者は 39.%~8.5% で, これら患者は直近の IFN 治療でウイルスの消失を認められなかった患者 ( 無効例 ) 又は IFN 製剤治療により一時的にウイルスの消失を認めたもののその後再燃を認めた患者 ( 再燃例 ) のいずれかであるが, 全例に対する無効例の割合は PEG-IFNα-a (180) 群 10.0%,PEG-IFNα-a (90) 群.%, 観察群 7.3% で, 再燃例は PEG-IFNα-a (180) 群 6.7%, PEG-IFNα-a (90) 群 15.%, 観察群 18.% であった ジェノタイプ別の分布では, いずれの投与群でも 1b が 81.8%~90.0% であった HCV-RNA 定量値の平均値は 08.91~10.85 KIU/mL と大きく異なることはなく,100 KIU/mL 未満の低ウイルス量の患者の割合は 3.3~1.1% といずれの投与群でも少なかった その他, 肝生検によるステージ判定及びグレード判定, 肝細胞癌既往の有無については各群間で大きく異ならなかった また,FAS 通期における人口統計学的データは FAS 前期と大きく異ならなかった また, 一般臨床試験に参加した患者は第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験の観察群に参加した患者の一部であり, その背景は第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験の観察群と大きく異ならなかった.5.. C 型代償性肝硬変での効果.5...1 投与終了後 週時のウイルス学的効果 ( 観察群との比較 ) 第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験 (JV19595) の前期, 通期及び一般臨床試験 (JV19889) における投与終了後 週時のウイルス学的効果 (HCV-RNA 陰性化率 ) を表.5...1-1 に示す C 型代償性肝硬変患者に対する PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法の有効性は, 第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験の主要評価項目である FAS 前期における投与終了後 週時のウイルス学的効果にて検討した 投与終了後 週時のウイルス学的効果は,PEG-IFNα-a (180) 群で 7/30 例 (3.3%) 及び PEG- IFNα-a (90) 群で 9/33 例 (7.3%) に認められ, 観察群 33 例においては投与終了後 週時のウイルス学的効果が認められなかった 観察群に対する PEG-IFNα-a (180) 群及び PEG-IFNα-a (90) 群の Fisher's exact test による P 値はそれぞれ 0.0037 及び 0.001 であり, 両投与群とも観察群に比し有意に高いウイルス学的効果を示し,C 型代償性肝硬変患者に対する PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法の有効性は検証された 第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験の FAS 通期において,PEG-IFNα-a (180) 群 17/63 例 (7.0%) 及び PEG- IFNα-a (90) 群 17/61 例 (7.9%) に, 一般臨床試験においても 8/5 例 (3.0%) に投与終了後 週時のウイルス学的効果が認められ,PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法の有効性が示された 表.5...1-1 投与終了後 週時のウイルス学的効果 (FAS) 試験 PEG-IFNα-a 180 μg 群 PEG-IFNα-a 90 μg 群 観察群 JV19595, 前期 7/30(3.3%) 9/33(7.3%) 0/33(0.0%) Fisher's exact test P = 0.0037 P = 0.001 - JV19595, 通期 17/63(7.0%) 17/61(7.9%) - JV19889 8/5(3.0%) - - [5.3.5.1-1 表 11..1.1-1, 表 11..1.1- 及び5.3.5.-1 表 11..1.1-1より作成 ] また, 副次的評価項目のうち観察群と比較可能である投与終了時のウイルス学的効果及び生化学的効果はいずれも, 観察群に比し明らかな改善効果を示し, 主要評価項目の結果を支持する結果であった (.7.3.3.. 参照 )

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page.5... ジェノタイプ別, ウイルス量別及び IFN 製剤治療歴別集計ジェノタイプ別, ウイルス量別及び IFN 製剤治療歴別の投与終了後 週時のウイルス学的効果は, 第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験 (JV19595) の通期及び一般臨床試験 (JV19889) にて評価した (1) ジェノタイプ別及びウイルス量別のウイルス学的効果第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験 ( 通期 ) 及び一般臨床試験におけるジェノタイプ別及びウイルス量 (HCV-RNA 100 KIU/mL 以上, 未満 ) 別の投与終了後 週時のウイルス学的効果を表.5...-1 に示す ジェノタイプ 1(1a 及び 1b の合計 ) かつ高ウイルス量 (HCV-RNA 100 KIU/mL 以上 ) の患者における投与終了後 週時のウイルス学的効果は, 第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験 PEG-IFNα-a (180) 群で 11/50 例 (.0%) 及び PEG-IFNα-a (90) 群で 8/5 例 (17.8%), また, 一般臨床試験で 5/0 例 (5.0%) に認められた ジェノタイプ 1 で低ウイルス量 (HCV-RNA 100 KIU/mL 未満 ) の患者では, 第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験 PEG-IFNα-a (180) 群及び PEG-IFNα-a (90) 群でそれぞれ患者数が 3 例ずつであったが有効例が認められた また, ジェノタイプ (a 及び b の合計 ) では, 第 Ⅱ /Ⅲ 相臨床試験の 群及び一般臨床試験いずれにおいても, 高ウイルス又は低ウイルス区分にかかわらず有効例が認められた IFNβ 製剤は C 型代償性肝硬変で ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量 以外の患者で適応を取得しており ( 表.5..6-1 参照 ), 同じカテゴリーで集計したところ, 投与終了後 週時のウイルス学的効果は第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験 PEG-IFNα-a (180) 群で 6/13 例 (6.%) 及び PEG-IFNα-a (90) 群で 9/16 例 (56.3%), また, 一般臨床試験で 3/5 例 (60.0%) に認められた ( 表.5...- ) 以上のように全カテゴリーで有効性が確認された 表.5...-1 ジェノタイプ別及びウイルス量別の投与終了後 週時のウイルス学的効果 (FAS) ジェノタイプ HCV-RNA PEG-IFNα-a 180 μg PEG-IFNα-a 90 μg (KIU/mL) JV19595 通期 JV19889 計 JV19595 通期 1 100 以上 11/50(.0%) 5/0(5.0%) 16/70(.9%) 8/5(17.8%) 100 未満 /3(66.7%) /3(66.7%) /3(66.7%) 合計 13/53(.5%) 5/0(5.0%) 18/73(.7%) 10/8(0.8%) 100 以上 /7(8.6%) 1/3(33.3%) 3/10(30.0%) 5/11(5.5%) 100 未満 /3(66.7%) /(100.0%) /5(80.0%) 1/1(100.0%) 合計 /10(0.0%) 3/5(60.0%) 7/15(6.7%) 6/1(50.0%) 不明 100 以上 1/1(100.0%) [5.3.5.1-1 表 11..3.8-1, 表 11..3.8-3 及び5.3.5.-1 表 11...8-1, 表 11...8-3より作成 ] 表.5...- ジェノタイプ1かつ高ウイルス量及び ジェノタイプ1かつ高ウイルス量 以 外の患者別投与終了後 週時のウイルス学的効果 (FAS) 患者集団 PEG-IFNα-a 180 μg PEG-IFNα-a 90 μg JV19595 通期 JV19889 計 JV19595 通期 ジェノタイプ1かつ高ウイル 11/50(.0%) 5/0(5.0%) 16/70(.9%) 8/5(17.8%) ス量 ジェノタイプ1かつ高ウイルス量 以外 6/13(6.%) 3/5(60.0%) 9/18(50.0%) 9/16(56.3%) [5.3.5.1-1 表 11..3.8-3 及び5.3.5.-1 表 11...8-3より作成 ] () HCV-RNA 量が 500 KIU/mL 以上の患者における投与終了後 週時のウイルス学的効果 IFNα 製剤は C 型代償性肝硬変患者において HCV-RNA 量が 500 KIU/mL 以上の患者に対し適応を有していない ここでは,HCV-RNA 量が 500 KIU/mL 以上の患者における投与終了後 週時のウイルス学的効果を集計した ( 表.5...-3)

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 5 ジェノタイプ 1 で投与開始時の HCV-RNA 量が 500 KIU/mL の患者において PEG-IFNα-a (180) 群で 9/6 例 (19.6%) 及び PEG-IFNα-a (90) 群で 6/0 例 (15.0%) に, また, 一般臨床試験で 3/15 例 (0.0%) に投与終了後 週時のウイルス学的効果が認められた また, ジェノタイプ 1 以外の 500 KIU/mL 以上の患者でも, 有効例は認められた 表.5...-3 HCV-RNA 量が500 KIU/mL 以上の患者における投与終了後 週時のウイルス学 的効果 (FAS) ジェノタイプ (HCV-RNA 500 PEG-IFNα-a 180 μg PEG-IFNα-a 90 μg KIU/mL 以上の患者 ) JV19595 通期 JV19889 計 JV19595 通期 1 9/6(19.6%) 3/15(0.0%) 1/61(19.7%) 6/0(15.0%) + 不明 1/6(16.7%) 1/3(33.3%) /9(.%) /7(8.6%) 合計 10/5(19.%) /18(.%) 1/70(0.0%) 8/7(17.0%) [5.3.5.3-1 表 3.-19, 表 3.-0より作成 ] (3) IFN 製剤治療歴別のウイルス学的効果 IFN 製剤治療歴別の投与終了後 週時のウイルス学的効果を表.5...- に示す 投与終了後 週時のウイルス学的効果は,IFN 製剤未治療の患者では第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験の PEG-IFNα-a (180) 群で 7/35 例 (0.0%) 及び PEG-IFNα-a (90) 群で 1/35 例 (3.3%) で, 一般臨床試験では 3/10 例 (30.0%) であった IFN 製剤既治療の患者では PEG-IFNα-a (180) 群で 10/8 例 (35.7%) 及び PEG-IFNα-a (90) 群で 5/6 例 (19.%), 一般臨床試験では 5/15 例 (33.3%) に有効性が認められた IFN 製剤未治療 / 既治療いずれにおいても PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法の有効性が示された 更に, 既治療を無効 / 再燃別に集計した場合においても, いずれの投与群でも無効例, 再燃例とも有効例が認められた また,IFN 製剤既治療患者のうち, 前治療が IFN 製剤単独治療及びリバビリン併用治療別に投与終了後 週時のウイルス学的効果を集計した ( 表.5...-5) 前治療が IFN 単独治療及びリバビリン併用治療が実施された患者においても有効例が認められた 表.5...- IFN 製剤治療歴別の投与終了後 週時のウイルス学的効果 (FAS) IFN 製剤治療歴 PEG-IFNα-a 180 μg PEG-IFNα-a 90 μg JV19595 通期 JV19889 計 JV19595 通期 未治療 7/35(0.0%) 3/10(30.0%) 10/5(.%) 1/35(3.3%) 既治療 10/8(35.7%) 5/15(33.3%) 15/3(3.9%) 5/6(19.%) 無効 1/8(1.5%) 3/8(37.5%) /16(5.0%) /17(3.5%) 再燃 7/17(1.%) /7(8.6%) 9/(37.5%) 1/8(1.5%) 効果不明 /3(66.7%) /3(66.7%) 0/1(0.0%) [5.3.5.1-1 表 11..3.8-, 表 11..3.8-6 及び5.3.5.-1 表 11...8-, 表 11...8-6より作成 ] 表.5...-5 IFN 製剤前治療が IFN 製剤単独又はリバビリン併用別の投与終了後 週時のウ イルス学的効果 (FAS) IFN 製剤治療歴 PEG-IFNα-a 180 μg PEG-IFNα-a 90 μg JV19595 通期 JV19889 計 JV19595 通期 IFN 製剤単独治療 9/(0.9%) 3/9(33.3%) 1/31(38.7%) /3(17.%) リバビリン併用治療 1/6(16.7%) /6(33.3%) 3/1(5.0%) 1/3(33.3%) [5.3.5.1-1 表 11..3.8- 及び5.3.5.-1 表 11...8-より作成 ].5..3 初回陰性化時期と投与終了後 週時のウイルス学的効果の関連第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験及び一般臨床試験において, 初回 HCV-RNA 陰性化時期別の投与終了後 週時のウイルス学的効果をそれぞれ表.5..3-1 及び表.5..3- に示す 初回陰性化は PEG-IFNα-a (180) 群,PEG-IFNα-a (90) 群とも投与 1 週後から認められ,PEG-

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 6 IFNα-a (180) 群では 8 週時まで,PEG-IFNα-a (90) 群では 3 週時まで認められた 投与 週時までに HCV-RNA が陰性化した場合,PEG-IFNα-a (180) 群では 7/10 例 (70.0%),PEG-IFNα-a (90) 群では 6/8 例 (75.0%) が投与終了後 週時に有効例となった 以降, 投与 1 週時までにウイルスが陰性化した場合には,PEG-IFNα-a (180) 群,PEG-IFNα-a (90) 群ともに 37.5%~66.7% であった 一方, 投与 16 週時以降では PEG-IFNα-a (180) 群 1 例及び PEG-IFNα-a (90) 群 11 例で HCV-RNA が陰性化したが, 投与終了後 週時のウイルス学的効果が認められたのは PEG- IFNα-a (180) 群の 1 例のみであった また, 一般臨床試験においても投与 1 週時までに陰性化した場合に有効例が認められ, その後は投与 週時に陰性化した 1 例に投与終了後 週時のウイルス学的効果が認められた C 型慢性肝炎患者では, 初回陰性化の時期が早いほど高い有効性が得られ,1 週間までに陰性化しなかった場合は持続的なウイルス除去効果は得がたいことが知られている 7) が,C 型代償性肝硬変患者においても同様の結果が示された 表.5..3-1 初回 HCV-RNA 陰性化時期別の投与終了後 週時のウイルス学的効果 (JV19595, FAS 通期 ) Response Rate by Trial Treatment and Scheduled Visit (the First Response) -Viral Response Analysis: FAS PEG-IFN 180 mcg + RBV PEG-IFN 90 mcg + RBV Observation Group N=63 N=61 N=33 0 0/ 0 ( - ) 0/ 0 ( - ) 0/ 1 ( 0.0%) 1 3/ 3 (100.0%) 1/ 1 (100.0%) - ( - ) 1/ ( 50.0%) / (100.0%) 0/ 0 ( - ) 3/ 5 ( 60.0%) 3/ 5 ( 60.0%) 0/ 0 ( - ) 6 3/ 8 ( 37.5%) / ( 50.0%) - ( - ) 8 / ( 50.0%) / 6 ( 66.7%) 0/ 0 ( - ) 1 / 10 ( 0.0%) 5/ 9 ( 55.6%) 0/ 0 ( - ) 16 1/ 3 ( 33.3%) 0/ 3 ( 0.0%) 0/ 0 ( - ) 0 0/ 3 ( 0.0%) 0/ 5 ( 0.0%) 0/ 0 ( - ) 0/ 3 ( 0.0%) 0/ 1 ( 0.0%) 0/ 0 ( - ) 3 0/ ( 0.0%) 0/ ( 0.0%) 0/ 0 ( - ) 0 0/ 0 ( - ) 0/ 0 ( - ) 0/ 0 ( - ) 8 0/ 1 ( 0.0%) 0/ 0 ( - ) 0/ 0 ( - ) +0 0/ 0 ( - ) 0/ 0 ( - ) 0/ 0 ( - ) + 0/ 0 ( - ) 0/ 0 ( - ) - ( - ) +8 0/ 0 ( - ) 0/ 0 ( - ) - ( - ) +1 0/ 0 ( - ) 0/ 0 ( - ) - ( - ) +16 0/ 0 ( - ) 0/ 0 ( - ) - ( - ) +0 0/ 0 ( - ) 0/ 0 ( - ) - ( - ) + 0/ 0 ( - ) 0/ 0 ( - ) - ( - ) Program : $PROD/cdp10303/jv19595/elbtrnarfr.sas / Output : $PROD/cdp10303/jv19595/reports/elbtrnarfr_fppa.out MAR010 10:7 Page 1 of 1 [5.3.5.1-1 表 11...1-1 を再掲 ]

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 7 表.5..3- 初回 HCV-RNA 陰性化時期別の投与終了後 週時のウイルス学的効果 (JV19889, FAS) Response Rate by Scheduled Visit (the First Response) - Viral Response Analysis: FAS PEG-IFN 180 mcg + RBV N=5 0 1/ 1 (100.0%) 1 1/ 1 (100.0%) 0/ 0 ( - ) 1/ ( 50.0%) 6 / 3 ( 66.7%) 8 1/ ( 5.0%) 1 1/ ( 50.0%) 16 0/ ( 0.0%) 0 0/ 1 ( 0.0%) 1/ 1 (100.0%) 3 0/ 0 ( - ) 0 0/ 1 ( 0.0%) 8 0/ 0 ( - ) +0 0/ 0 ( - ) + 0/ 0 ( - ) +8 0/ 0 ( - ) +1 0/ 0 ( - ) +16 0/ 0 ( - ) +0 0/ 0 ( - ) + 0/ 0 ( - ) Program : $PROD/cdp10303/jv19889/elbtrnarfr.sas / Output : $PROD/cdp10303/jv19889/reports/elbtrnarfr_fppa.out 1JUN010 17: Page 1 of 1 [5.3.5.-1 表 11..1.3-1 を再掲 ].5.. 部分集団解析第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験の通期における投与終了後 週時のウイルス学的効果について, 主な患者背景 ( 性別, 年齢別, 体重別, 肝細胞癌既往の有無別等 ) による部分集団解析を実施した (.7.3.3.3 参照 ) 性別では, 男性は PEG-IFNα-a (180) 群で 13/39 例 (33.3%),PEG-IFNα-a (90) 群で 1/31 例 (38.7%) で, 女性は PEG-IFNα-a (180) 群で / 例 (16.7%),PEG-IFNα-a (90) 群で 5/30 例 (16.7%) であり, いずれの投与群も男性で高い傾向があった 年齢別では,65 歳未満の患者は PEG-IFNα-a (180) 群で 15/5 例 (33.3%),PEG-IFNα-a (90) 群で 1/36 例 (33.3%) で,65 歳以上の患者では PEG-IFNα-a (180) 群で /18 例 (11.1%),PEG- IFNα-a (90) 群で 5/5 例 (0.0%) であり, 高齢者で低い傾向があった 体重別で一定の傾向は認められなかった 肝細胞癌既往を有する患者では PEG-IFNα-a (180) 群で 1/7 例 (1.3%),PEG-IFNα-a (90) 群で 1/3 例 (33.3%) であり, 肝細胞癌既往がない患者では PEG-IFNα-a (180) 群で 16/56 例 (8.6%),PEG-IFNα-a (90) 群で 16/58 例 (7.6%) であった 肝細胞癌既往を有する患者でも, いずれの投与群でも例数が少ないものの投与終了後 週時 HCV-RNA 陰性化を示す患者が認められ, 本治療の有効性が示された.5..5 PEG-IFNα-a の用量の検討 PEG-IFNα-a の用量については単剤投与試験にて 90 μg より 180 μg で強いウイルス駆除効果及び高い有効性が示されたこと 8),9) により, 海外及び国内で C 型慢性肝炎 ( 海外では C 型代償性肝硬変を含む ) に対し 180 μg が承認されている このことから, リバビリン併用投与を検討した試験では PEG-IFNα-a の用量は 180 μg に固定して実施され, 併用投与で単剤投与に比し高い有効性が検証されたことから, 海外及び国内で C 型慢性肝炎 ( 海外では C 型代償性肝硬変を含む ) に対してリバビリンとの併用投与でも PEG-IFNα-a 180 μg が承認さている 現在, 長期にわたる臨床使用の実績からもリバビリン併用投与下で PEG-IFNα-a は 180 μg が確

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 8 立された用法用量となっている また,C 型代償性肝硬変は C 型慢性肝炎から連続した疾患であり,PEG-IFNα-a 単独療法及びリバビリンとの併用療法の C 型代償性肝硬変に対する有効性は C 型慢性肝炎に比し低いこと ( 海外第 Ⅲ 相臨床試験 ) からも, 少なくとも C 型慢性肝炎と同量の 180 μg の投与が必要と考えられる 一方,C 型代償性肝硬変では,C 型慢性肝炎患者に比し血小板数など血球成分が低下している患者が認められ,180 μg では安全性の面から休薬や投与中止例が多くなり低用量で開始したときと総投与量が同程度になることが懸念された このため, 第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験 (JV19595) 及び一般臨床試験 (JV19889) では, 血小板数, 好中球数, ヘモグロビン濃度などによる PEG-IFNα-a 及びリバビリンの用量調整基準を C 型慢性肝炎を対象とした国内第 Ⅲ 相臨床試験 (JV1575) より厳密な方法とした上で (.5.1.(3) 参照 ),PEG-IFNα-a 90 μg で投与を開始する用法 用量と比べ安全な投与が可能で高い総投与量が確保できるかを検討するとともに探索的な有効性の検討も行った PEG-IFNα-a の開始投与量として有効性の面から 180 μg 及び 90 μg の検討をするにあたり, 第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験の FAS 通期の全例の成績に加え, 本試験において最も症例数の多い集団であるジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量 (HCV-RNA 値 100 KIU/mL 以上 ) の患者の成績も考慮した ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量の患者は,C 型慢性肝炎で ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量 以外の患者に比し IFN 製剤の有効率が低いことが知られており, 国内の C 型代償性肝硬変患者のうち大多数を占めることから PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法の適応が期待される対象集団であると考える 第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験において, ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量の患者は PEG-IFNα-a (180) 群で 50/63 例 (79.%),PEG-IFNα-a (90) 群で 5/61 例 (73.8%) と全例の 70% 以上を占め, 患者背景の比較においても両群間で有効率に影響を及ぼすような偏りはないと判断できること (.7.3 参照 ) から, ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量の患者の成績は用量の選択の根拠となると考えた なお, ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量 以外の患者は, PEG-IFNα-a (180) 群で 13 例,PEG-IFNα-a (90) 群で 16 例と例数が少なく, この集団の結果にて用量を検討することは適切でないと考えた ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量 以外の患者における解析結果は.7.3 に示した 以下に述べる第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験の有効性成績において,PEG-IFNα-a (180) 群の投与終了後 週時のウイルス学的効果は PEG-IFNα-a (90) 群と同程度で, ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量の患者では投与期間中のウイルス学的効果は高い傾向があり, また, 投与初期のウイルス量の減少は PEG-IFNα-a (180) 群で強い傾向が認められた (1) ウイルス学的効果 1) 投与終了後 週時のウイルス学的効果投与終了後 週時のウイルス学的効果を表.5..5-1 に示す 全例における投与終了後 週時のウイルス学的効果は,PEG-IFNα-a (180) 群 17/63 例 (7.0%) 及び PEG-IFNα-a (90) 群 17/61 例 (7.9%) であり, 投与群間で同程度であった ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量の患者では,PEG-IFNα-a (180) 群 11/50 例 (.0%) 及び PEG-IFNα-a (90) 群 8/5 例 (17.8%) であった 表.5..5-1 投与終了後 週時のウイルス学的効果 (JV19595,FAS 通期 ) 患者集団 PEG-IFNα-a (180) 群 PEG-IFNα-a (90) 群 全例 7.0%(17/63) 7.9%(17/61) ジェノタイプ1かつ高ウイルス量.0%(11/50) 17.8%(8/5) [5.3.5.1-1 表 11..1.1-, 表 11..3.8-3より作成 ] ) 投与終了時におけるウイルス学的効果及び経過観察期間中の再燃率

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 9 第 Ⅱ/Ⅲ 相試験の投与終了時のウイルス学的効果を表.5..5- に示す PEG-IFNα-a (180) 群及び PEG-IFNα-a (90) 群の投与終了時のウイルス学的効果は, 全例においてそれぞれ 0/63 例 (63.5%) 及び 35/61 例 (57.%) であり, また, ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量の患者では, それぞれ 30/50 例 (60.0%) 及び 1/5 例 (6.7%) であった 全例では投与群間の違いは明らかではないが, ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量の患者では投与終了時の HCV-RNA 陰性化率は PEG-IFNα-a (180) 群で高く, 両投与群間で約 13% の違いが認められ, 陰性化率の比は 1.8(= 60.0%/6.7%) であった 投与終了時にウイルス陰性化が認められた患者のうち, 投与終了後陰性化が維持できなかった患者の割合 ( 再燃率 ) を表.5..5-3 に示す PEG-IFNα-a (180) 群及び PEG-IFNα-a (90) 群の再燃率は, 全例ではそれぞれ 3/0 例 (57.5%) 及び 18/35 例 (51.%) で, ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量の患者ではそれぞれ 19/30 例 (63.3%) 及び 13/1 例 (61.9%) であった 再燃率は両群間で大きく異なることはなく, 投与終了後 週のウイルス学的効果の PEG-IFNα-a (180) 群の PEG-IFNα-a (90) 群に対する比は 1.(=.0%/17.8%) と, 投与終了時のウイルス学的効果での両群間の比 (1.8) と同程度であった 表.5..5- 投与終了時のウイルス学的効果 (JV19595,FAS 通期 ) 患者集団 PEG-IFNα-a 180 μg PEG-IFNα-a 90 μg 全例 63.5%(0/63) 57.%(35/61) ジェノタイプ1かつ高ウイルス量 60.0%(30/50) 6.7%(1/5) [5.3.5.1-1 表 11..1.-, 表 15..1-68より作成 ] 表.5..5-3 投与終了時ウイルス陰性例のウイルス再燃率 (JV19595,FAS 通期 ) 患者集団 PEG-IFNα-a 180 μg PEG-IFNα-a 90 μg 全例 57.5%(3/0) 51.%(18/35) ジェノタイプ1かつ高ウイルス量 63.3%(19/30) 61.9%(13/1) [5.3.5.3-1 表 3.-11, 表 3.-13より作成 ] 3) HCV-RNA 陰性化率の推移第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験の HCV-RNA 陰性化率の推移を図.5..5-1( 全例 ) 及び図.5..5-( ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量の患者 ) に示す 陰性化率の推移は, 全例では投与 1 週時から投与 1 週時まで速やかに上昇, その後は投与 0 週時 ~ 週時まで緩やかに上昇し以降投与終了時まで同程度で維持し, また, 投与終了後において, 経過観察 8 週時までに低下し, その後同程度を維持した 投与群の比較では, 全例では試験期間を通して HCV-RNA 陰性化率は両投与群間で大きく異ならなかった ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量の患者において, 陰性化が初めて認められる時期が 週時であること以外は全例での推移と類似していた 投与群の比較では, 治験期間を通して PEG- IFNα-a (180) 群の陰性化率が PEG-IFNα-a (90) 群より高く, 特に PEG-IFNα-a (180) 群は投与 週時 ~ 週時でより早期の陰性化が認められ, 週時 ~8 週時でも PEG-IFNα-a (180) 群は 65.8%~69.0% で PEG-IFNα-a (90) 群は 50.0%~55.6% と PEG-IFNα-a (180) 群で高値を維持した

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 30 図.5..5-1 HCV-RNA 陰性化率 (95% 信頼区間 ) の推移 (JV19595,FAS 通期 ) Response Rate over Time - Viral Response Analysis: FAS 100 90 80 Response Rate(%) 70 60 50 0 30 0 10 0 0 8 1 16 0 3 0 8 +0 + +8 +1 +16 +0 + VISIT PEG-IFN 180 mcg + RBV (N=63) PEG-IFN 90 mcg + RBV (N=61) Observation Group (N=33) Program : $PROD/cdp10303/jv19595/elbgrnartm.sas / Output : elbgrnartm.sas7bcat Date : 09APR010 18:8 Page 1 of 1 [5.3.5.1 図 11..1.- を再掲 ] 図.5..5- ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量の患者における HCV-RNA 陰性化率 (95% 信頼区間 ) の推移 (JV19595,FAS 通期 ) Response Rate over Time - Viral Response (G1H, Others) Analysis: FAS Genotype/HCV-RNA at BL: G1 High 100 90 80 Response Rate(%) 70 60 50 0 30 0 10 0 0 8 1 16 0 3 0 8 +0 + +8 +1 +16 +0 + VISIT PEG-IFN 180 mcg + RBV (n=50) PEG-IFN 90 mcg + RBV (n=5) Observation Group (n=6) Program : $PROD/cdp10303/jv19595/elbgrnartmgtv.sas / Output : elbgrnartmgtv.sas7bcat Date : 09APR010 15:39 Page 1 of [5.3.5.1 図 15..1-5 を再掲 ] () 投与初期のウイルス量への影響第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験の FAS 通期において,HCV-RNA 定量値の投与前値からの変化量の推移を図.5..5-3( 全例 ) 及び図.5..5-( ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量の患者 ) に示す なお, HCV-RNA 定量値が限界 (0.5 KIU/mL) 以下の場合は 0.5 KIU/mL として算出した

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 31 全例で,PEG-IFNα-a (180) 群及び PEG-IFNα-a (90) 群の投与開始前の HCV-RNA 量の平均値 ± SD は, それぞれ 6.05 ± 0.65 LogIU/mL 及び 6.0 ± 0.58 LogIU/mL と各投与群で同程度であった HCV-RNA 量の投与前値からの変化量の推移から,PEG-IFNα-a (180) 群及び PEG-IFNα-a (90) 群いずれの投与群においても HCV-RNA は投与 週後まで急激に低下し, その後 1 週まで徐々に低下した HCV-RNA 量の低下の程度はいずれの時点でも PEG-IFNα-a (180) 群で PEG- IFNα-a (90) 群より大きかった ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量の患者においても, 全例と同様の減少曲線を示した 以上,PEG-IFNα-a のウイルス量を低下させる効果は 90 μg より 180 μg が強いことが示唆された 図.5..5-3 ウイルス変化量の推移 ( 平均値 ± SD)(JV19595,FAS 通期 ) Mean Plot of Quantitative Log10 HCV-RNA Change from BL (AMPLICOR) Analysis: FAS Quantitative Log10 HCV-RNA(AMPLICOR) (logiu/ml) 1 0-1 - -3 - -5-6 -7-8 0 1 6 8 VISIT PEG-IFN 180 mcg + RBV (N=63) PEG-IFN 90 mcg + RBV (N=61) Observation Group (N=33) 1 Program : $PROD/cdp10303/jv19595/elbgrnachg.sas / Output : elbgrnachg.sas7bcat Date : MAR010 9:3 Page 1 of 1 [5.3.5.1 図 11...3-1 を再掲 ]

ペガシス / コペガス.5 臨床に関する概括評価 Page 3 図.5..5- ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量の患者におけるウイルス変化量の推移 ( 平均値 ± SD)(JV19595,FAS 通期 ) Mean Plot of Log10 HCV-RNA Change from BL (G1H, Others) (AMPLICOR) Analysis: FAS Genotype/HCV-RNA at BL: G1 High Quantitative Log10 HCV-RNA(AMPLICOR) (logiu/ml) 1 0-1 - -3 - -5-6 -7-8 0 1 6 8 VISIT PEG-IFN 180 mcg + RBV (n=50) PEG-IFN 90 mcg + RBV (n=5) Observation Group (n=6) 1 Program : $PROD/cdp10303/jv19595/elbgrnachggtv.sas / Output : elbgrnachggtv.sas7bcat Date : 8JUN010 15:10 Page 1 of [5.3.5.1 図 15..1-10 を再掲 ].5..6 有効性のまとめ及び考察 (1) C 型代償性肝硬変に対する PEG-IFNα-a 及びリバビリン併用療法の有効性 1) C 型代償性肝硬変に対する PEG-IFNα-a 及びリバビリン 8 週間の併用療法の有効性が検証された 第 Ⅱ/Ⅲ 相臨床試験 (JV19595) の FAS 前期の患者にて投与終了後 週時のウイルス学的効果を指標に評価した PEG-IFNα-a (180) 群及び PEG-IFNα-a (90) 群の投与終了後 週時のウイルス学的効果は, 観察群に対し有意な改善を示し,PEG-IFNα-a 及びリバビリン併用療法の有効性が検証された (.5...1) ) PEG-IFNα-a 及びリバビリン併用療法は, ジェノタイプ及び投与開始時のウイルス量に係わらず有効性が示された C 型代償性肝硬変患者において,PEG-IFNα-a 及びリバビリン併用療法の治療効果がジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量 (HCV-RNA が 100 KIU/mL 以上 ) の患者においても約 0% に認められた (.5...(1)) 更に, 他の IFN 製剤が適応を有していない高ウイルス量の患者 (HCV-RNA が 500 KIU/mL 以上 ) でも有効性が示された (.5...()) また,C 型慢性肝炎患者での結果と同様, ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量 以外の患者では, ジェノタイプ 1 かつ高ウイルス量の患者に比し高い有効性を示す傾向が認められた C 型代償性肝硬変に対する PEG-IFNα-a とリバビリン併用療法の有効性について既承認の IFN 製剤との比較に関する考察を (3) 既承認 IFN 製剤単独療法との比較 に記載した 3) IFN 製剤未治療の患者のみならず, リバビリン併用療法を含む既治療の患者でも投与終了後 週時のウイルス学的効果が認められた (.5...(3), 表.5...-) ) 性別, 年齢別, 体重別, 肝細胞癌既往の有無別, いずれにおいても投与終了後 週時 HCV-RNA 陰性化を示す患者が認めらた (.5..)