発散.rtf

Similar documents
回転.rtf

座標系.rtf

ベクトル公式.rtf

<4D F736F F D20824F B CC92E8979D814696CA90CF95AA82C691CC90CF95AA2E646F63>

Microsoft PowerPoint - 第5回電磁気学I 

応用数学A

ベクトルの基礎.rtf

DVIOUT

<4D F736F F D20824F F6490CF95AA82C696CA90CF95AA2E646F63>

PowerPoint プレゼンテーション

テンソル ( その ) テンソル ( その ) スカラー ( 階のテンソル ) スカラー ( 階のテンソル ) 階数 ベクトル ( 階のテンソル ) ベクトル ( 階のテンソル ) 行列表現 シンボリック表現 [ ]

vecrot

Laplace2.rtf

補足 中学で学習したフレミング左手の法則 ( 電 磁 力 ) と関連付けると覚えやすい 電磁力は電流と磁界の外積で表される 力 F 磁 電磁力 F li 右ねじの回転の向き電 li ( l は導線の長さ ) 補足 有向線分とベクトル有向線分 : 矢印の位

Microsoft Word - thesis.doc

<4D F736F F D2091E6318FCD E B82CC89898E5A82C688D396A12E646F63>

数学 t t t t t 加法定理 t t t 倍角公式加法定理で α=β と置く. 三角関数

Math-Aquarium 例題 図形と計量 図形と計量 1 直角三角形と三角比 P 木の先端を P, 根元を Q とする A 地点の目の位置 A' から 木の先端への仰角が 30,A から 7m 離れた AQB=90 と なる B 地点の目の位置 B' から木の先端への仰角が 45 であ るとき,

Microsoft PowerPoint - 応用数学8回目.pptx

PowerPoint Presentation

<4D F736F F D20824F E B82CC90FC90CF95AA2E646F63>

2.5 (Gauss) (flux) v(r)( ) S n S v n v n (1) v n S = v n S = v S, n S S. n n S v S v Minoru TANAKA (Osaka Univ.) I(2012), Sec p. 1/30

応用数学Ⅱ 偏微分方程式(2) 波動方程式(12/13)

18 2 F 12 r 2 r 1 (3) Coulomb km Coulomb M = kg F G = ( ) ( ) ( ) 2 = [N]. Coulomb

Microsoft Word - mathtext8.doc

Chap3.key

OCW-iダランベールの原理

線積分.indd

<4D F736F F F696E74202D2095A8979D90948A CE394BC A2E707074>

Microsoft PowerPoint - 第3回2.ppt

例題1 転がり摩擦

喨微勃挹稉弑

2 図微小要素の流体の流入出 方向の断面の流体の流入出の収支断面 Ⅰ から微小要素に流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅰ は 以下のように定式化できる Q 断面 Ⅰ 流量 密度 流速 断面 Ⅰ の面積 微小要素の断面 Ⅰ から だけ移動した断面 Ⅱ を流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅱ は以下のように

Microsoft PowerPoint - 10.pptx

2018年度 筑波大・理系数学

座標軸以外の直線のまわりの回転体の体積 ( バウムクーヘン分割公式 ) の問題の解答 立体の体積の求め方 図 1 の立体の体積 V を求める方法を考えてみる 図 1 図 1 のように 軸の から までの長さを 等分する そして とおく とすると となる 図 1 のように のときの 軸に垂直な平面 に

Microsoft Word - 1B2011.doc

<4D F736F F D2094F795AA8C608EAE8E478B4C92A08250>

スライド 1

Microsoft Word - 微分入門.doc

科目概要 電磁気学 IV 第 1 回講義概要 これまでの復習 科目名 : 電磁気学 IV Electromagnetics IV 学部学科 : 電気電子工学科電子工学コース選択必修単位数 :2 単位担当教員 : 松嶋徹 工学部電気電子工学科松嶋徹 オフィスタイム : 毎週火曜と

DVIOUT

Microsoft PowerPoint - H21生物計算化学2.ppt

相関係数と偏差ベクトル

lim lim lim lim 0 0 d lim 5. d 0 d d d d d d 0 0 lim lim 0 d

線形代数とは

Gmech08.dvi

1/30 平成 29 年 3 月 24 日 ( 金 ) 午前 11 時 25 分第三章フェルミ量子場 : スピノール場 ( 次元あり ) 第三章フェルミ量子場 : スピノール場 フェルミ型 ボーズ量子場のエネルギーは 第二章ボーズ量子場 : スカラー場 の (2.18) より ˆ dp 1 1 =

1/17 平成 29 年 3 月 25 日 ( 土 ) 午前 11 時 1 分量子力学とクライン ゴルドン方程式 ( 学部 3 年次秋学期向 ) 量子力学とクライン ゴルドン方程式 素粒子の満たす場 y ( x,t) の運動方程式 : クライン ゴルドン方程式 : æ 3 ö ç å è m= 0

断面の諸量

2015年度 京都大・理系数学

平面波

Microsoft Word - 断面諸量

高等学校学習指導要領

高等学校学習指導要領

Microsoft PowerPoint - A1_vector_intro_slide.pptx

2015年度 信州大・医系数学

1 I 1.1 ± e = = - = C C MKSA [m], [Kg] [s] [A] 1C 1A 1 MKSA 1C 1C +q q +q q 1

Microsoft PowerPoint - 第9回電磁気学

PowerPoint プレゼンテーション

2011年度 大阪大・理系数学

2011年度 筑波大・理系数学

PowerPoint Presentation

<4D F736F F D20824F B834E835882CC92E8979D814690FC90CF95AA82C696CA90CF95AA2E646F63>

Math-quarium 練習問題 + 図形の性質 線分 は の二等分線であるから :=:=:=: よって = = = 線分 は の外角の二等分線であるから :=:=:=: よって :=: したがって == 以上から =+=+= 右の図において, 点 は の外心である α,βを求めよ α β 70

目次 1. ベクトルに関する基本事項 ベクトルとスカラー 座標系とベクトルの成分表示 ベクトルの内積 ベクトルの外積 ベクトルの三重積 場の考え方と流束の概念 スカラー場とベクトル場 流束と流束密度

( ) sin 1 x, cos 1 x, tan 1 x sin x, cos x, tan x, arcsin x, arccos x, arctan x. π 2 sin 1 x π 2, 0 cos 1 x π, π 2 < tan 1 x < π 2 1 (1) (

Gmech08.dvi

STEP 数学 Ⅰ を解いてみた から直線 に下ろした垂線の足を H とすると, H in( 80 ) in より, S H in H 同様にして, S in, S in も成り立つ よって, S in 三角形の面積 ヘロンの公式 in in 辺の長

点におけるひずみの定義 ( その1)-(ε, ε,γ ) の定義ひずみは 構造物の中で変化しているのが一般的である このために 応力と同様に 構造物内の任意の点で定義できるようにした方がよい また 応力と同様に 一つの点に注目しても ひずみは向きによって値が異なる これらを勘案し あ

数学 Ⅲ 無限等比級数の問題解答 問 1 次の無限級数の和を求めよ (1) (5) (2) (6) (7) (3) ( 解 )(1) 初項 < 公比 < の無限等比級数より収束し (4) (2) (3) その和は ( 答 ) であるから 初項 < 公比 となっている よって 収束し その和は よって

Microsoft PowerPoint - 9.pptx

7. 曲面上の積分 (1) ここでは曲面上の積分を学びます. 微分幾何とは点の周りの状態を調べる学問 ( 曲面の局部理論 ) ですが, ガウス ボンネの定理が示すように曲面全体の状況すなわち大域的な内容を研究することも大切です. 曲面の大域的な内容を扱うには当然積分が必要です. ここでは曲面上の積分

パソコンシミュレータの現状

(Microsoft Word - 10ta320a_\220U\223\256\212w\223\301\230__6\217\315\221O\224\274\203\214\203W\203\201.docx)

Microsoft PowerPoint - 9.pptx

木村の物理小ネタ ケプラーの第 2 法則と角運動量保存則 A. 面積速度面積速度とは平面内に定点 O と動点 P があるとき, 定点 O と動点 P を結ぶ線分 OP( 動径 OP という) が単位時間に描く面積を 動点 P の定点 O に

2014年度 筑波大・理系数学

Microsoft Word - 201hyouka-tangen-1.doc

(Microsoft Word - \216\221\227\277\201i\220\333\223\256\201jv2.doc)

Microsoft Word - Chap17

2013年度 信州大・医系数学

複素数平面への誘い

5. 変分法 (5. 変分法 汎関数 : 関数の関数 (, (, ( =, = では, の値は変えないで, その間の に対する の値をいろいろと変えるとき, の値が極地をとるような関数 ( はどのような関数形であるかという問題を考える. そのような関数が求められたとし, そのからのずれを変分 δ と

PowerPoint プレゼンテーション

DVIOUT-SS_Ma

反射係数

1 対 1 対応の演習例題を解いてみた 微分法とその応用 例題 1 極限 微分係数の定義 (2) 関数 f ( x) は任意の実数 x について微分可能なのは明らか f ( 1, f ( 1) ) と ( 1 + h, f ( 1 + h)

2015-2017年度 2次数学セレクション(複素数)解答解説

2011年度 東京工大・数学

航空機の運動方程式

平成 年 月 7 日 ( 土 第 75 回数学教育実践研究会アスティ 45 ビル F セミナールーム A 札幌医科大学 年 P ab, を正の定数とする 平面上において ( a, を中心とする円 Q 4 C と (, b を中心とする円 C が 原点 O で外接している また P を円 C 上の点と

数学 ⅡB < 公理 > 公理を論拠に定義を用いて定理を証明する 1 大小関係の公理 順序 (a > b, a = b, a > b 1 つ成立 a > b, b > c a > c 成立 ) 順序と演算 (a > b a + c > b + c (a > b, c > 0 ac > bc) 2 図

Microsoft Word - Stattext07.doc

(1) D = [0, 1] [1, 2], (2x y)dxdy = D = = (2) D = [1, 2] [2, 3], (x 2 y + y 2 )dxdy = D = = (3) D = [0, 1] [ 1, 2], 1 {

ニュートン重力理論.pptx

3 filename=quantum-3dim110705a.tex ,2 [1],[2],[3] [3] U(x, y, z; t), p x ˆp x = h i x, p y ˆp y = h i y, p z ˆp z = h

ÿþŸb8bn0irt

Phys1_03.key

学習指導要領

Transcription:

4 章発散 発散は重要なベクトル演算の一つであり, 定義は A =diva = lim Δv 0 Δv A d (4.) である.Divergence( ダイバージェンス ) ともいう. この意味は, 微小体積 vを取り囲む全表面 ( 閉曲面という ) 上で, 外向きのベクトル法線成分をすべて加えあわせ, 全体としての量を調べるものである. ベクトルAはどのような向きでもかまわないが, 面ベクトルとの内積 A dをとると, 面に対する法線成分をだけが取り出される. それを面全体にわたって寄せ集め, 全体として出入りする量を調べるものである. 体積, あるいは閉曲面を限りなく小さくすると極限値は点となる. したがって, 発散は点における出入り ( 湧き出し, あるいは消失 ) を表していることになる. (a) わき出しなし (b) わき出しあり (c) 吸い込みあり図 4. 流線の中の湧き出し 直観的には, 図 4.のようにベクトルに沿う流線を考え, 微少体積 vの流線の出入りを考えると理解しやすい.(a) のように,v 内にわき出しや吸い込みがなければ, 外から入った流線は再び外にでるはずであるから, その表面を貫いて出る流線の数と, 入った流線の数は等しいはずである. 一方,(b) のようにわき出しがあると, 流線がその場所で生成されるので閉曲面を貫いて出る流線の数は増加する.(c) のように領域内部に吸い込みがあれば, その場所で流線が消滅するから, 閉曲面 を貫いて出る流線の数は減少する. このように, 正味のわき出し量は, その閉曲面 を貫く流線の出入りの差によって定義できる. このわき出し量を表したものが発散である. さて, 定義 (4.) にでてくるベクトル面積積分 A d のことをベクトル Aのflux( 束 ) という. A dは閉曲面にわたる積分を意味している. この章では,Fluxを用いて発散の表現式を導く. 各座標系で考察してみよう. /9

4. 直角座標系による表現 図 4. のように直角座標系でサイコロのような微小体積 v (= xyz) を取り, それを 取り囲む全表面積 ( 閉曲面 ) を とする. 微小体積の中心の座標を x 0, y 0, z 0 とし, その位 置におけるベクトルを A = A x 0, y 0, z 0 = A x x 0, y 0, z 0 a x + A y x 0, y 0, z 0 a y + A z x 0, y 0, z 0 a z (4..) とおく. この値は既知とする. z v = x y z y y z x y x z x x 0, y 0, z 0 図 4. 直角座標系における微小体積と閉曲面 閉曲面にわたる積分では, 右図のように直方体を取り囲む面を3456に分け, 各面で面積積分を行う. A d = A d + A d + A d 3 + A d 4 + A d 5 + A d 6 (4..) 最初に,y 方向を向いている と 面における面積積分を考えてみる. 面で面ベクトルは d = n d a y d y = a y z x となるので積分は A d = A y x 0, y 0 + Δy, z 0 a y a y d y = A y x 0, y 0 + Δy, z 0 Δz Δx (4..3) となる. ここで注意すべきことは, 積分がA y 成分だけから得られるスカラー量になることであ る. 面ベクトル d の中に y 方向の単位ベクトル a y が含まれているので, 内積演算を行うこ /9

とによってy 方向成分 A y のみがでてくる. 他の成分は単位ベクトルの直交性によりすべて 0になる. また,A y の位置は, 中心 y 0 よりy 方向に + y だけ移動したところにある.x, zに関して位置は同じ.y 0 + y の位置におけるA y の値を求めるため, 中心座標 x 0, y 0, z 0 を基準にy 方向にTaylor 展開してみる. A y x 0, y 0 + y, z 0 = A y x 0, y 0, z 0 + A y x 0, y 0, z 0 y この展開を使うと,(4..3) は次のようになる. y (4..4) A d = A y + A y y y 面では面ベクトルの法線が-y 方向を向いているので d = n d a y d y = a y z x A との内積をとると - がでてくる. z x (4..5) A y A d = A y x 0, y 0 Δy, z 0 a y a y d y = A y x 0, y 0 Δy, z 0 Δz Δx x 0, y 0 y, z 0 を y 方向に Taylor 展開し, 代入すると A d = A y A y y y z x (4..6) 3 面では, 面ベクトルは z 方向を向いている. 面と同様な面積積分を行うと 3 A d = A z + A z z Δz Δx Δy (4..7) 4 面では A d 4 = A z A z z Δz Δx Δy (4..8) 5 面では A d 5 = A x + A x x Δx Δy Δz (4..9) 6 面では A d 6 = A x A x x Δx Δy Δz (4..0) 3/9

閉曲面にわたる積分は全ての面からの寄与である. それゆえ,(4..5)-(4..0) を加え合わせると となる.v = x y z 表現が得られる. A d = A x x + A y y + A z z Δx Δy Δz (4..) のなで, これを小さくすると, 直角座標系では発散として次の A = lim Δv 0 Δv A d = A x x + A y y + A z z (4..) この表現式から分かることは, ベクトルの各成分のそれぞれの方向への変化割合の和, すなわち, 法線方向の変化割合の和を示しているということである. それがプラスであればベクトルの大きさが増加していると考えることができる. つまり, その微小体積から何らかの原因でベクトル量が湧き出ていることになる. 一方, マイナスであれば逆に減少していることになり, ブラックホールのように吸い込んでいると考えられる. したがって, ベクトルの発散を調べることは, ある点でベクトル量の湧き出し ( 吸い込み ) があるかないかを調べることに相当している. もし, 発散が0であれば, 湧き出し ( 吸い込み ) が無いことになり, はじめから0か, あるいは出ていく量と入ってくる量が等しいことを意味している ( 図 4.の流線の考え方を参照 ). A A A A> 0 A< 0 A= 0 図 4.3 発散の意味 ベクトルの発散は, 演算の結果, スカラー量になる. 演算子をベクトルと考えればその記号表記の意味が理解しやすい. 定義式では座標系を指定していない. そこで, 以下に円筒座標系と球座標系についてその表現を見てみよう. 4. 円筒座標系による表現 円筒座標系で微少体積と面ベクトルは図 4.4 のようになっている. 4/9

d d d 5 dz dz d d 3 P d ( + d) d d 4 P d d 6 ( + d) d d 図 4.4 円筒座標系における微少体積と面ベクトル 方向の面積積分を考えてみよう. 面ベクトルは d = a d + = a ( + d) d dz, d = a d = a d dz なので, この 面の積分は次のように書くことができる. (4..) A d + A d = A + A d a a d + + A a a d = A + A d ( + d) d dz A d dz = A + A dd dz + A d d dz (4..) なお, d の項は, 後で極限を取る際に 0 になる. 方向で面ベクトルは d 3 = a d + = a d dz, d 4 = a d = a d dz (4..3) なので, 積分は次のようになる. 3 A d 3 + A d 4 4 = A + A d (a a ) d + + A ( a a ) d = A + A d d dz A d dz = A d d dz (4..4) z 方向では d 5 = a z d z + = a z d d, d 6 = a z d z = a z d d (4..5) 5/9

5 A d 5 + A d 6 6 = A z + A z z dz a za z d z + + A z a z a z d z = A z + A z z dz d d A z d d = A z z d ddz (4..6) これらの寄与を加え合わせて微小体積 v = dd dz を 0 にした極限では lim v 0 A + A + A d + A + A z z d d dz v = A + A + A + A z z それゆえ, 円筒座標系における発散の表現は次式となる. A = A + A + A + A z z = A + A + A z z A = A + A + A z z (4..7) 4.3 球座標系による表現 球座標で微少体積と面ベクトルは次のようになる. d 4 d r sin d rd dr r sin d rd dr d 6 d 5 d d 3 図 4.4 球座標系における微少体積と面ベクトル 同様な手順で, 半径 r 方向 d = a r d r + = a r (r + dr)d (r + dr) sin d,d = a r d r = a r rd r sin d (4.3.) A d + A d = A r + A r r dr d r + A r d r 6/9

= A r r + A r r + A r r dr + A r r dr r + A r r dr r r dr sin d d (4.3.) 緯度 方向 d 3 = a d + = a dr r sin + d d a dr r sin +cos d d d 4 = a d = a dr r sin d (4.3.3) 3 A d 3 + A d 4 4 = A θ + A θ r θ rdθ d θ + A θ d θ = A cos r sin + A r dr r sin d d (4.3.4) 経度 方向 d 5 = a d + = a rd dr,d 6 = a d = a rd dr (4.3.5) 5 A d 5 + A d 6 6 = A + A r sin r sin d d + A d = したがって, これらの寄与を加え合わせて微小体積の極限をとれば A r sin dr r sin d d (4.3.6) A = A r r + A r r + A cos r sin + A r + A r sin = r r r A r + r sin A sin + A r sin となる. したがって, 球座標系における発散の表現は次式となる. A = r r r A r + r sin A sin + A r sin (4.3.7) 以上のように, 各座標系における発散の表現式が得られた. 一度は自分で導いてみることが肝要である. 一旦, 導くことができたら後は公式として使えばよい. 7/9

4.4 ガウスの発散定理 (Gaussʼs Theorem) ベクトル場 A の中にある閉曲面 でその面を貫いて外に出る全フラックスを考えよう. Φ = A d = + 閉曲面で囲まれる体積 を, のつに分割し, その表 面 を貫いて外に出る全フラックスを考える. 両者が共有している面については, 一方から出たものは他方に入るので, それらは打ち消し合う. 閉曲面を貫いて外に出るフラックスを合計したものは, 結局, 閉曲面を貫いて外に出る全フラックスになる. 数式表現では, A d + A d = A d = Φ が成り立つ. そこで, さらに細かな体積 i ( i =,,, n ) に 分割を繰り返し, 体積全体を細胞のような微小体積に隙間無く分割していくことを考える.つに分割した場合と同様に, 隣り合う微小体積同士は互いに面を共有している. 両者が共有している面については, 一方から出たものは他方に入るので, それらは互いに打ち消し合う. その結果, 隣り合わない表面 だけが残る. したがって次の式が成り立つ. lim n n Σi = Δ i A d = A d = Φ 一方, 各微小体積について, 発散の定義から A d Δ = A d が成り立ち, また, 体積積分の定義により, lim n n Σi = A Δ i = A dv であるから, これらにより, A d = A dv が成り立つ. これをガウスの発散定理という. この定理は, 閉曲面を貫いて外に出るベクトルのフラックスはその体積内に含まれるわき出し量に等しい と言うことを意味している. これは, ベクトルの体積積分と面積積分を相互に変換する公式としても知られている. 8/9

問題 4. Can you derive the divergence formula for the rectangular, circular, and spherical coordinate systems? 4. Find the divergence of r = x a x +y a y +z a z answer: r =3 4.3 Find the divergence ofa = xyz a x +x y z a y +yz 3 a z answer: A = yz +x yz +3yz 4.4 If is a scaler function and A is a vector function, show that A = A + A 4.5 Calculate r n r etting = r n in the above problem, we have r n r =3r n +(n )r n =(n +)r n If n=-, we obtain for r 0 r =0 r 3 4.6 Can you explain how the divergence of A, denoted by A, is defined in integral form? 4.7 Can you exlain what the flux of A is? 4.8 Can you explain how the surface integral is defined and evaluated? 4.9 Can you give the physical interpretation of A? 9/9