2 図微小要素の流体の流入出 方向の断面の流体の流入出の収支断面 Ⅰ から微小要素に流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅰ は 以下のように定式化できる Q 断面 Ⅰ 流量 密度 流速 断面 Ⅰ の面積 微小要素の断面 Ⅰ から だけ移動した断面 Ⅱ を流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅱ は以下のように

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以下 変数の上のドットは時間に関する微分を表わしている (ex. 2 dx d x x, x 2 dt dt ) 付録 E 非線形微分方程式の平衡点の安定性解析 E-1) 非線形方程式の線形近似特に言及してこなかったが これまでは線形微分方程式 ( x や x, x などがすべて 1 次で なおかつ

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浅水方程式 順圧であるためには, 静水圧近似が必要 Dw Dt + コリオリ力 = 1 p + 粘性 g ρ z w が u, v に比べて小さい 運動の水平距離に対して水深が浅い 浅水 海は深いが, 水平はさらに広い 最大 1 万 km 浅水方程式 : u, v, の式 水平 2 次元の解 D D

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3 章 Web に Link 解説 連続式 微分表示 の誘導.64 *4. 連続式連続式は ある領域の内部にある流体の質量の収支が その表面からの流入出の合計と等しくなることを定式化したものであり 流体における質量保存則を示したものである 2. 連続式 微分表示 の誘導図のような微小要素 コントロールボリューム の領域内の流体の増減と外部からの流体の流入出を考えることで定式化できる 微小要素 流入 流出 図流体の微小要素 領域内の流体の質量の増減の定式化流体の質量の増減は 微小要素の流体質量の時間変化を考えることで定式化できる 微小要素の質量は以下のように示すことができる 質量 m 密度 体積 V 体積は微小要素の大きさが変化しないので 質量 m の時間変化が密度の時間変化に依存することとなり 式で示すと以下のようになる m 質量 密度 体積 ここで 流体を非圧縮性流体と仮定し 密度 が時間変化に対して一定と考えると以下の式 に変換できる m 0 0 2 外部からの微小要素への流体の流入出の定式化外部から微小要素に流入出する流体の量の定式化を行う まず 図のような微小要素に 3 方向から流体が流入出する場合を考える

2 図微小要素の流体の流入出 方向の断面の流体の流入出の収支断面 Ⅰ から微小要素に流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅰ は 以下のように定式化できる Q 断面 Ⅰ 流量 密度 流速 断面 Ⅰ の面積 微小要素の断面 Ⅰ から だけ移動した断面 Ⅱ を流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅱ は以下のように定式化できる Q 断面 Ⅱ ここで は微小な長さであるため テーラー展開を行い 次の項まで表すと以下のように整理することができる Q 断面 Ⅱ 方向 断面 Ⅰ と Ⅱ に垂直な方向 の流体の流入出の収支は 以上の 2 つの式より 次のようになる 断面 Ⅰ Q 断面 Ⅱ Q 流量 Q 断面 Ⅱ 断面 Ⅱ 断面 Ⅰ 流量 Q 断面 Ⅰ

3 同様に微小要素の 方向および 方向の断面での流体の流入出の収支について考えると 以下のようになる 方向の断面の流体の流入出の収支 ここで は 方向の流速である 方向の断面の流体の流入出の収支 ここで は 方向の流速である 微小要素の領域内の流体の増減と微小要素各面での流体の流入出の収支は等しいと考えられるため 各式を整理すると以下のようになる 式を整理すると最終的に以下のようになり これが連続式である 0 ただし 水理学では 密度を一定として取り扱うことが一般であり 密度が時間および場所で変化しないとすれば 以下のように示すことができる 0 これが 水理学で一般的に使用される 3 次元の連続式 微分表示 である

完全流体 オイラー の運動方程式の誘導.72 *8. 流体における力学的法則質点系力学的法則の一つとして運動量保存則 ニュートンの第 2 法則 を既に学んでいる ここでは 質点系力学を参考に運動量保存則を流体力学に適用させた場合について説明する 2. 質点系における運動量保存則 ニュートンの第 2 法則 運動量保存則は ある物体の運動量の時間変化率は それに作用している力の総和に等しい というものであり 質点系の力学では 以下の式のように定式化される dv m d F ここで m は質量 dv/d は加速度 F は物体に作用する外力である 3. 完全流体における運動量保存則 ニュートンの第 2 法則 流体の流れ運動においても 質点系の力学と同様にニュートンの第 2 法則を適用することができる 理想流体の流れ運動に運動量保存則を適用させて定式化した方程式を 水理学では完全流体 オイラー の運動方程式と呼び 重要な方程式の一つである 3 次元座標系で示すと以下のような式となる 方向成分 方向成分 g 方向成分 4. 完全流体 オイラー の運動方程式の誘導図のような流体中の微小要素を抜出し そこから完全流体の運動方程式であるオイラーの運動方程式の誘導を行ってみよう まず 質点系力学のニュートンの第 2 法則で用いられる質量 m 加速度 dv/d 外力 F を流体に適用させた場合に どのようになるのかを確認する その後 それらを組み合わせてオイラーの運動方程式を誘導する 4

5 図微小要素に作用する圧力 微小要素の質量 m 流体の微小要素の質量 m は 図のような微小要素を考えた場合 以下のような式で示すことができる d d d m 0 lim ここで は微小要素の各辺の長さ は密度である 2 微小要素の流れ運動における加速度 dv/d 微小要素の流れ運動における加速度は 質点力学と同様の考え方で 定式化することができる まず 加速度は 単位時間当たりの流速の変化量を示した値であるため 微小要素の微小時間の流速の変化量を定式化する 時間における微小要素が座標 から座標 の位置に移動したと考える 各位置での流速 V は表のようになる 表各位置 座標 と流速の関係移動前移動後座標 座標 流速 V 流速 V 2 つの位置の流速の差を 軸方向でテーラー展開することで 軸方向の微小時間における流速の変化量を表すことができる V V

6 ここで は 軸方向の流速である さらに 流速の変化量を時間で割ることで 加速度を求めることができる 軸方向の加速度 d/d は以下のようになる V V d d lim 0 } { lim 0 lim 0 0 lim 0 lim 0 lim ここで は 軸方向成分の流速 は 軸方向成分の流速である 軸方向成分の加速度 d/d と 軸方向成分の加速度 d/d も同様に 求めることができる } { lim 0 d d } lim{ 0 d d 3 微小要素に作用する外力 F 流体の微小要素に働く外力 F には 重力および圧力を考える必要がある 重力は物体がもっている自重であるため 密度 体積 重力加速度 を考えればよい 3 次元のデカルト座標系の場合 各軸方向成分の重力による外力 F gf gf g は 物体力 体積 を使って示すと以下のようになる X d d d F g 軸方向成分 Y d d d F g 軸方向成分 Z d d d F g 軸方向成分 ここで XYZ は物体力 体積力 といい 物体の体積に比例する力を示している 例えば 重力 遠心力などである 今回のように重力が作用する場合では X0Y0Z-g となる

次に 微小要素に働く圧力 P について考える 軸方向成分に作用する圧力 P は 表に整理したような微小要素の左側面と右側面に作用する圧力の差から求めることができる 表微小要素の左側面と右側面に作用する圧力左側面に作用する圧力右側面に作用する圧力 右向が正 F { } ここで lim d d d とすれば 0 F d d d 方向成分 同様に 軸方向成分と 軸方向成分の圧力による外力 F F は以下のようになる F d d d 方向成分 F d d d 方向成分 7

8 4 各項の整理およびオイラーの運動方程式微小要素に対する質量 m 加速度 dv/d 外力 F を用いて オイラーの運動方程式を構成することができる それぞれの軸方向で整理すると表のようになる 表各項の整理軸質量 m 加速度 dv/d 外力 F 重力 圧力 軸方向 d d d 重力 X d d d 圧力 d d d 軸方向 d d d 重力 Y d d d 圧力 d d d 軸方向 d d d 重力 Z d d d 圧力 d d d 以上を組み合わせることにより 方向成分のオイラーの運動方程式は 以下のようにあらわされる d d d d d d X d d d X 軸方向成分と 軸方向成分も同様に 式のように表される d d d d d d Y d d d Y d d d d d d Z d d d Z 物体力は重力が作用するため X0Y0Z-g とすれば 3 次元の完全流体 オイラー の運動

9 方程式は以下のように整理できる g これが 完全流体 オイラー の運動方程式であり 実際の粘性がある流体の場合はこの式に粘性を表現する項が追加される

.76 *3 工学ナビ 図に示すように 高さ 水深 がことなると流出する水の勢いが変化する ベルヌーイの定 理を応用することで 流出距離 を計算で求めることができる h h h 図高さ 水深 が異なる孔から流出する水の様子 スプリンクラーの推進力.83 *8 工学ナビ 写真のような 3 本の円管が回転する市販のスプリンラーについて考える 管の先端と側面に小孔が空いており 側面の孔から噴出する噴流によって管を反対方向に押し出すことで 回転力 推進力を を得ている 先端の孔は 回転しながら水を放射状に散水させるためのものである 0

管側面の孔は 図のように水平面からθの角度だけ上方に向けて開けられており 穴の 2 直径をD 本の管から噴出する流量をQとすると 噴流の流速 Uは U Q / πd / 4 となるから 噴流が管を水平方向に押す力 Fは 運動量保存則から次のようになる 4Q 2 cosθ F H QU cosθ π 2 D よって スプリンクラーの中心軸まわりの回転モーメントMは M 3LF H 2 2 4Q cosθ 2LQ cosθ 3L 2 2 πd πd となる ここで L は回転中心から孔の位置までの距離である また 摩擦を無視したときの回転数 N は [rm] は 以下のようである U cosθ 2Q cosθ N 2 2 2πL π LD.9 流体の回転運動と渦度水のような流体の運動は 境界面 固体壁面や自由水面 や作用する力の変化によって 伸縮やずれ 回転などの変形をともなう運動である 伸縮は流下方向の流速の変化に起因するもので ずれ ずり変形 は摩擦によって生じるせん断変形である 一方 回転運動は 流体要素が相対変化 伸縮やずれ を起こすことなく 剛体のように回転する運動のことである いま 図のような 2 次元 の流れ場を考え 流体中の微小長方形要素 AB C D が単位時間に回転し AB 2C 2D 2 の位置に移動したとする 単位時間に回転した角度の大きさ 角速度 αβは 方向の流速を とすると 次式で表される

α β これらの和は渦度 γ と呼ばれ 軸 - 平面に直交する軸 まわりの流体要素の回転 速度を表す すなわち γ γ 0 となる流れが渦なし流れ 非回転流れ である 2