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本調査へのコメント ( 独立行政法人労働政策研究 研修機構労働政策研究所副所長荻野登氏 ) 労働契約法第 18 条の無期転換ルールが本格的に実施された今年 4 月以降 直近の状況を知るうえで 貴重なデータを提供している それによると 転換申込権の対象者 (175 人 ) のうち 4 人に 1 人が

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1 非正規雇用者用 働き方 に関するアンケート あなた自身についてお答えください F1. 性別 ( ひとつだけ ) 1. 男性 2. 女性 F2. 生年月日 ( 西暦 )19 年月 ( 生まれ ) F3. 最終学歴 ( ひとつだけ ) 在学中の場合は在学中の学校を 中途退学の場合はその前の学歴を選ん

設問 2 ご自身で既に公的年金の他に何か準備をしていますか 空欄, 28 件, 1% 2. いいえ, 1216 件, 37% 1. はい, 2013 件, 62% ご自身で既に公的年金の他に何か準備をしている ( 1. はい ) との回答は 62% と多く 準備していない ( 2. いいえ ) は

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出産・育児調査2018~妊娠・出産・育児の各期において、女性の満足度に影響する意識や行動は異なる。多くは子どもの人数によっても違い、各期で周囲がとるべき行動は変わっていく~

第 5 章管理職における男女部下育成の違い - 管理職へのアンケート調査及び若手男女社員へのアンケート調査より - 管理職へのインタビュー調査 ( 第 4 章 ) では 管理職は 仕事 目標の与え方について基本は男女同じだとしながらも 仕事に関わる外的環境 ( 深夜残業 業界特性 結婚 出産 ) 若

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表 1 現在の職場に対する満足度 1 31 18.7 21 12.1 4 8.9 2 51 30.7 58 33.5 14 31.1 3 40 24.1 45 26 13 28.9 4 33 19.9 41 23.7 9 20 5 6 3.6 3 1.7 4 8.9 6 5 3 4 2.3 1 2.2 7 0 0 1 0.6 0 0 合計 166 100 173 100 45 100 表 2 給与 賞与等年収の満足度 1 4 2.4 4 2.3 1 2.3 2 24 14.5 37 21.5 6 13.6 3 25 15.1 31 18 10 22.7 4 33 19.9 50 29.1 7 15.9 5 30 18.1 22 12.8 9 20.5 6 33 19.9 24 14 5 11.4 7 17 10.2 4 2.3 6 13.6 合計 166 100 172 100 44 100 4 職場に対して改善してほしい事柄全体では高い順に 1 給与 賞与の改善 55.3% 2 事務 雑務の軽減 50.4% 3 職員数の増員 36.0% 4 未消化休暇の改善 34.9% であった そのほか 5 勤務シフトの改善 16.9% 職員間のコミュニケーション 15.8 % 雇用の安定化 13.6% であった 表 3 はその地域別集計である 札幌市 札幌以外の市で最も高かったのは給与 賞与等の改善であり 町村部では事務 雑務の軽減である 表 3 職場に対して改善してほしい事柄 ( 複数回答 ) 事務 雑務の軽減 81 50.9 77 46.1 27 65.9 勤務シフトの改善 32 20.1 25 15 5 12.2 未消化休暇の改善 70 44 50 29.9 8 19.5 給与 賞与等の改善 97 61 90 53.9 16 39 雇用の安定化 25 15.7 18 10.8 7 17.1 職員数の増員 62 39 55 32.9 15 36.6 職員間のコミュニケーション 34 21.4 22 13.2 2 4.9 権限範囲の拡大 3 1.9 1 0.6 0 0 責任範囲の縮小 11 6.9 16 9.6 1 2.4 評価制度の見直し 6 3.8 9 5.4 2 4.9 理念や運営方針 13 8.2 0 0 0 0 平成 30 年 9 月 1 日北海道医報第 1200 号 2

相談体制の充実 14 8.8 15 9 2 4.9 研修機会の充実 8 5 11 6.6 3 7.3 その他 1 0.6 3 1.8 1 2.4 特にない 15 9.4 20 12 2 4.9 サンプル 159 100 167 100 41 100 5 今後も保育士として働き続けたいと思っている率は 札幌市 札幌以外の市では 9 割前後で高かったが 町村部では 76.2% と低く 逆に保育士以外の職種で働きたい割合が 19% であった 6 保育士として働き続ける意欲とそのために習得したい知識 技術全体の 9 割は働き続ける意欲があり 習得したい内容は 1 特別な支援を必要とする子どもへの支援 68.2% 2 保育技術 57.6% 3 発達心理学 55.7% 4 保護者との対応の仕方 40.8% 5 救命救急 39.1% 6 安全管理 29.6% であった 表 4 にその地域別集計を示す 働き続ける意欲はパートタイム職員が最も高く フルタイムの有期契約職員は 8 割強であった 表 4 保育士として働き続けるために習得したい知識 技術 保育実技 91 55.5 100 60.6 21 53.8 救命救急 69 42.1 62 37.6 13 33.3 安全管理 61 37.2 42 25.5 6 15.4 衛生管理 38 23.2 29 17.6 4 10.3 発達心理学 96 58.5 88 53.3 20 51.3 保育所保育指針 37 22.6 25 15.2 4 10.3 食に関する指導 37 22.6 40 24.2 7 17.9 特別な支援を必要とする子どもへの接し方 102 62.2 123 74.5 26 66.7 幼稚園教諭免許取得 8 4.9 10 6.1 4 10.3 地域の子育て支援 20 12.2 22 13.3 6 15.4 保護者との対応の仕方 76 46.3 60 36.4 14 35.9 同僚とのコミュニケーション 21 12.8 18 10.9 1 2.6 パソコン操作 41 25 49 29.7 9 23.1 その他 4 2.4 4 2.4 0 0 特に欲しいと思うことはない 0 0 1 0.6 2 5.1 サンプル 164 100 165 100 39 100 7 退職経験者の退職理由全体で退職理由のトップ 3 は 1 結婚 26.4% 2 妊娠 出産 21.4% 3 転居 18.4% で 女性の職場の傾向が顕著にあらわれた結果となった 次いで 4 給料が安い 17.9% 5 職場の人間関係 16.4% 6 仕事量が多い 13.9% となっている 表 5 にその地域別集計をしめす 町村部では妊娠 出産による退職の割合は低い結果となった 3 平成 30 年 9 月 1 日北海道医報第 1200 号

表 5 退職経験者の退職理由 ( 複数回答 ) 結婚 20 23.5 28 27.7 5 33.3 妊娠 出産 18 21.2 23 22.8 2 13.3 子育て 家事 7 8.2 5 5 1 6.7 健康上の理由 ( 体力含む ) 6 7.1 7 6.9 3 20 転居 14 16.5 20 19.8 3 20 給料が安い 10 11.8 24 23.8 2 13.3 仕事量が多い 13 15.3 13 12.9 2 13.3 労働時間が長い 14 16.5 10 9.9 1 6.7 職場の人間関係 18 21.2 15 14.9 0 0 保護者対応等の心労 5 5.9 8 7.9 0 0 職業適性に対する不安 9 10.6 9 8.9 0 0 他業種への興味 8 9.4 10 9.9 1 6.7 家族の事情 ( 介護等 ) 5 5.9 6 5.9 1 6.7 配偶者の意向 0 0 3 3 0 0 その他 18 21.2 15 14.9 1 6.7 サンプル 85 100 101 100 15 100 考察 この調査結果を東京都調査も踏まえて検討する 現在の職場に対する満足度に関しては まず年収満足度であるが 札幌以外の市 < 町村部 < 札幌市の順で不満度が高い 札幌市は何かと生活水準が高いので不満が強く 町村部は年齢構成が高いにも関わらず給与の伸びが低いことが背景にあると思われる 保育士の給与は勤労者平均賃金から見ると低く 政府も対策を講じているが未だ達成してないのがわかる しかし 東京都調査では不満が 7 割弱にも達しており 北海道では他職との給与格差が小さく 不満があまり募らないためと考えられる 勤務日数 勤務時間に関する不満度は札幌市では比較的高いが 全体的に予想より低く 東京都調査では 4 割にも達しているのと比べると道内園はまだ勤務状況は恵まれているといえる 同時に やりがい 度も高く 園は健全な運営がなされているようである そのため保育士として働き続けたいと思っている率も全体では 9 割にも上っている しかし退職経験者の理由をみると 結婚 妊娠 出産 転居と並んで 給与が安い 仕事量が多い 労働時間が長い 職場の人間関係が挙がっており 過去には問題のある職場があったこともうかがえる 東京都調査では退職理由の 2 位が 給料が安い であり 道内では給与に対する不満は低く 低賃金による退職が少ないは園の運営にとっては幸いである 職場に対して改善してほしい事柄では 給与 賞与の改善 事務 雑務の軽減 未消化休暇の改善 職員の増員が 3 割を超えていた これらは東京都の調査と同じ傾向である 医師の職場環境でも書類書きなどの事務 雑務の負担が増えているが 保育現場でも同様なのには納得がいく その対策の一つとして職員の増員が望まれるのも同様である また年休未消化への不満も肯ける 保育の現場でも人手不足が常態化しており この点の早期解消は困難が予想される 保育士として働き続けるために習得したい知識 技術に対しては 特別な支援を必要とする子ども 発達心理学が保育実技と並んで要望が高く 保育現場での 発達しょうがい児やその境界児 の増加が反映していると思われた 救急救命 安全管理も要望が高かった この点では地域差は無く これらの分野での医師会 嘱託医の協力 支援が求められていると思えたが 現状では医師側でもこれらの領域では地域格差が高く 十分な協力 支援が困難にも思えた 東京都調査では 3 位の保護者との対応の仕方が道でも 4 位と上位であるが いわゆるモンスターペアレンツも増加している現実を反映していると考える 退職経験者の退職理由については 結婚 妊娠 出産が上位であり 転居も含めてやむを得ない面もある しかし 給与が安い 労働時間が長い 仕事量が多いことへの不満が挙げられており 東京都調査とも程度の差はあれ あまり相違点はない また職場に対して改善してほしい事柄での項目と類似していた 保育現場は今後も保育士として働き続けたいと願う 9 割の意欲的な保育士に支えられており これらの点は現 平成 30 年 9 月 1 日北海道医報第 1200 号 4

状では解決はなかなか困難と思えるが 早い時期に保育行政の抜本的見直しが求められると思われる 結語 道内の保育士の満足度及び課題に関する調査を報告した 保育士の労働環境は東京都と比較してもさほど恵まれた環境とはいないが やりがいをもって意欲的に働き続けている様子がうかがえた 2018 年 4 月に施行された新しい 保育所保育指針 を踏まえた抜本的な保育行政の改革が求められる 保育士の期待に応えるために 嘱託医にも道医師会バックアップが必要と考えられる 今回の当協議会の調査結果が保育士の職場に対する満足度の向上と 園児の成長 健康 安全の向上役立てていただければ幸いである 謝辞 この度の調査を行うにあたり 研究費の助成をいただいた北海道医師会に厚く御礼申し上げます またアンケート調査にご協力いただいた保育関係者 集計にご尽力いただいた藤女子大学保育科 北海道医師会事業第三課の皆様に心より御礼申し上げます 参考文献 東京都保育士実態調査報告書 東京都福祉保健局平成 26 年 3 月 5 平成 30 年 9 月 1 日北海道医報第 1200 号