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られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

日本の糖尿病患者数は増え続けています (%) 糖 尿 25 病 倍 890 万人 患者数増加率 万人 690 万人 1620 万人 880 万人 2050 万人 1100 万人 糖尿病の 可能性が 否定できない人 680 万人 740 万人

News Release 報道関係各位 2015 年 6 月 22 日 アストラゼネカ株式会社 40 代 ~70 代の経口薬のみで治療中の 2 型糖尿病患者さんと 2 型糖尿病治療に従事する医師の意識調査結果 経口薬のみで治療中の 2 型糖尿病患者さんは目標血糖値が達成できていなくても 6 割が治療

第三問 : 次の認知症に関する基礎知識について正しいものには を 間違っているものには を ( ) 内に記入してください 1( ) インスリン以外にも血糖値を下げるホルモンはいくつもある 2( ) ホルモンは ppm( 百万分の一 ) など微量で作用する 3( ) ホルモンによる作用を内分泌と呼ぶ

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グルコースは膵 β 細胞内に糖輸送担体を介して取り込まれて代謝され A T P が産生される その結果 A T P 感受性 K チャンネルの閉鎖 細胞膜の脱分極 電位依存性 Caチャンネルの開口 細胞内 Ca 2+ 濃度の上昇が起こり インスリンが分泌される これをインスリン分泌の惹起経路と呼ぶ イ

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第6回 糖新生とグリコーゲン分解

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医療法人将優会 将優会 クリニックうしたに

生理学 1章 生理学の基礎 1-1. 細胞の主要な構成成分はどれか 1 タンパク質 2 ビタミン 3 無機塩類 4 ATP 第5回 按マ指 (1279) 1-2. 細胞膜の構成成分はどれか 1 無機りん酸 2 リボ核酸 3 りん脂質 4 乳酸 第6回 鍼灸 (1734) E L 1-3. 細胞膜につ

第6回 糖新生とグリコーゲン分解

虎ノ門医学セミナー

第三問 : 次の認知症に関する基礎知識について正しいものには を 間違っているものには を ( ) 内に記入してください 1( ) インスリン以外にも血糖値を下げるホルモンはいくつもある インスリンが血糖値を下げる唯一のホルモンです 2( ) ホルモンは ppm( 百万分の一 ) など微量で作用する

糸球体で濾過されたブドウ糖の約 90% を再吸収するトランスポータである SGLT2 阻害薬は 尿糖排泄を促進し インスリン作用とは独立した血糖降下及び体重減少作用を有する これまでに ストレプトゾトシンによりインスリン分泌能を低下させた糖尿病モデルマウスで SGLT2 阻害薬の脂肪肝改善効果が報告

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インスリンが十分に働かない ってどういうこと 糖尿病になると インスリンが十分に働かなくなり 血糖をうまく細胞に取り込めなくなります それには 2つの仕組みがあります ( 図2 インスリンが十分に働かない ) ①インスリン分泌不足 ②インスリン抵抗性 インスリン 鍵 が不足していて 糖が細胞の イン

やまぐち糖尿病療養指導士講習会  第1回 確認試験

血糖値 (mg/dl) 血中インスリン濃度 (μu/ml) パラチノースガイドブック Ver.4. また 2 型糖尿病のボランティア 1 名を対象として 健康なボランティアの場合と同様の試験が行われています その結果 図 5 に示すように 摂取後 6 分までの血糖値および摂取後 9 分までのインスリ

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新規遺伝子ARIAによる血管新生調節機構の解明

糖尿病の薬について 糖尿病とうまく付き合うために薬を知ろう

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第12回 代謝統合の破綻 (糖尿病と肥満)

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研究背景 糖尿病は 現在世界で4 億 2 千万人以上にものぼる患者がいますが その約 90% は 代表的な生活習慣病のひとつでもある 2 型糖尿病です 2 型糖尿病の治療薬の中でも 世界で最もよく処方されている経口投与薬メトホルミン ( 図 1) は 筋肉や脂肪組織への糖 ( グルコース ) の取り

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( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 花房俊昭 宮村昌利 副査副査 教授教授 朝 日 通 雄 勝 間 田 敬 弘 副査 教授 森田大 主論文題名 Effects of Acarbose on the Acceleration of Postprandial

報道発表資料 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - ポイント 異物センサー TLR のシグナル伝達機構を解析 インターフェロン産生に必須な分子 IKK アルファ を発見 免疫 アレルギーの有効

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2. 看護に必要な栄養と代謝について説明できる 栄養素としての糖質 脂質 蛋白質 核酸 ビタミンなどの性質と役割 およびこれらの栄養素に関連する生命活動について具体例を挙げて説明できる 生体内では常に物質が交代していることを説明できる 代謝とは エネルギーを生み出し 生体成分を作り出す反応であること

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エネルギー代謝に関する調査研究

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『糖尿病(H27年度1-1グループ)』

犬の糖尿病は治療に一生涯のインスリン投与を必要とする ヒトでは 1 型に分類されている糖尿病である しかし ヒトでは肥満が原因となり 相対的にインスリン作用が不足する 2 型糖尿病が主体であり 犬とヒトとでは糖尿病発症メカニズムが大きく異なっていると考えられている そこで 本研究ではインスリン抵抗性

第11回 肝、筋、脳、脂肪組織での代謝の統合

図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル

平成14年度研究報告

糖尿病は 初めは無症状で経過しますが 血糖値の高い状態が長く続くと口渇 多飲 多尿 体重減少 倦怠感などの症状がみられます 糖尿病は自覚症状が乏しいので 血糖値がある程度改善すると 通院しなくなる人がいます 血液検査を行わなければ糖尿病の状態を知ることはできないので 自覚症状だけに頼ってはいけません

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3 スライディングスケール法とアルゴリズム法 ( 皮下注射 ) 3-1. はじめに 入院患者の血糖コントロール手順 ( 図 3 1) 入院患者の血糖コントロール手順 DST ラウンドへの依頼 : 各病棟にある AsamaDST ラウンドマニュアルを参照 入院時に高血糖を示す患者に対して 従来はスライ

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の活性化が背景となるヒト悪性腫瘍の治療薬開発につながる 図4 研究である 研究内容 私たちは図3に示すようなyeast two hybrid 法を用いて AKT分子に結合する細胞内分子のスクリーニングを行った この結果 これまで機能の分からなかったプロトオンコジン TCL1がAKTと結合し多量体を形

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2 3 Q1 高血糖はなぜ怖いの? う 悪循環を引き起こします 血液中に糖が増え過ぎると 全身の血管に負担がかかり 目 腎じん臓 末まっ梢しょう神経などの病気や 動脈硬化による心臓や脳の病気を併発していきます(Q 6 イラスト参照) 高血糖が動脈硬化につながるのは 糖が血管の内側を傷つける原因となる

ただ太っているだけではメタボリックシンドロームとは呼びません 脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子と TNF-αや IL-6 などという悪玉因子を分泌します 内臓肥満になる と 内臓の脂肪細胞から悪玉因子がたくさんでてきてしまい インスリン抵抗性につながり高血糖をもたらします さらに脂質異常症

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平成13年度研究報告

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前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

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2型糖尿病の成因と病態

やまぐち糖尿病療養指導士講習会  第1回 確認試験

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2015 年度 SFC 研究所プロジェクト補助 和食に特徴的な植物性 動物性蛋白質の健康予防効果 研究成果報告書 平成 28 年 2 月 29 日 研究代表者 : 渡辺光博 ( 政策 メディア研究科教授 ) 1

書式・記述方法等の統一について

53巻6号/TNB06‐10(委員会報告)

ン投与を組み合わせた膵島移植手術法を新たに樹立しました 移植後の膵島に十分な栄養血管が構築されるまでの間 移植膵島をしっかりと休めることで 生着率が改善することが明らかとなりました ( 図 1) この新規の膵島移植手術法は 極めてシンプルかつ現実的な治療法であり 臨床現場での今後の普及が期待されます

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わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症

ルグリセロールと脂肪酸に分解され吸収される それらは腸上皮細胞に吸収されたのちに再び中性脂肪へと生合成されカイロミクロンとなる DGAT1 は腸管で脂質の再合成 吸収に関与していることから DGAT1 KO マウスで認められているフェノタイプが腸 DGAT1 欠如に由来していることが考えられる 実際

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第6号-2/8)最前線(大矢)

糖尿病予備群は症状がないから からだはなんともないの 糖尿病予備群と言われた事のある方のなかには まだ糖尿病になったわけじゃないから 今は食生活を改善したり 運動をしたりする必要はない と思っている人がいるかもしれません 糖尿病予備群の段階ではなんの症状もないので そう考えるのも無理はないです しか

糖尿病がどんな病気なのか 病気を予防するためにどんな生活が望ましいかについて解説します また 検診が受けられるお近くの医療機関を検索できます 健康診断の結果などをご用意ください 検査結果をご入力いただくことで 指摘された異常をチェックしたり 理解を深めたりすることができます 病気と診断され これから

 今年のスギやヒノキ花粉の飛散は、「少なく」または「非常に少なく」なりそうです

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(検8)05資料4 門脇構成員 随時血糖値の判定基準について

別紙様式 (Ⅱ)-1 添付ファイル用 商品名 : イチョウ葉脳内 α( アルファ ) 安全性評価シート 食経験の評価 1 喫食実績による食経験の評価 ( 喫食実績が あり の場合 : 実績に基づく安全性の評価を記載 ) 弊社では当該製品 イチョウ葉脳内 α( アルファ ) と同一処方の製品を 200

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糖尿病

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糖鎖の新しい機能を発見:補体系をコントロールして健康な脳神経を維持する

報道関係者各位 平成 26 年 1 月 20 日 国立大学法人筑波大学 動脈硬化の進行を促進するたんぱく質を発見 研究成果のポイント 1. 日本人の死因の第 2 位と第 4 位である心疾患 脳血管疾患のほとんどの原因は動脈硬化である 2. 酸化されたコレステロールを取り込んだマクロファージが大量に血

( 続紙 1 ) 京都大学 博士 ( 薬学 ) 氏名 大西正俊 論文題目 出血性脳障害におけるミクログリアおよびMAPキナーゼ経路の役割に関する研究 ( 論文内容の要旨 ) 脳内出血は 高血圧などの原因により脳血管が破綻し 脳実質へ出血した病態をいう 漏出する血液中の種々の因子の中でも 血液凝固に関

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2017 年度茨城キリスト教大学入学試験問題 生物基礎 (A 日程 ) ( 解答は解答用紙に記入すること ) Ⅰ ヒトの肝臓とその働きに関する記述である 以下の設問に答えなさい 肝臓は ( ア ) という構造単位が集まってできている器官である 肝臓に入る血管には, 酸素を 運ぶ肝動脈と栄養素を運ぶ

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糖尿病と治療の目的 糖尿病とは 糖尿病とは 体内でインスリンというホルモン p.3参照 が不足したり はたらきが悪くなったりすることによって 血液中に含まれる糖 血糖 の値が高い状態が続く病気です 糖尿病 患者さんの 場合 健康な 人の場合 インスリンによって糖が細胞に取り込まれ 血液中の糖が使われ

薬事58巻7月増刊

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本日の内容 HbA1c 測定方法別原理と特徴 HPLC 法 免疫法 酵素法 原理差による測定値の乖離要因

平成24年7月x日

( 図 ) IP3 と IRBIT( アービット ) が IP3 受容体に競合して結合する様子

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ブドウ糖が攻めてきた! 最初のインパクトある迎撃こそ勝利への第一歩

Transcription:

生理学 Ⅰ 講義 膵臓 2 膵臓の生理 Ⅱ 血糖調節機構 熊本大学大学院生命科学研究部分子生理学富澤一仁 血糖の基礎 生体にとって 糖は生命維持や活動のエネルギーを作り出すために不可欠である 血糖値を調節するホルモン 覚える! 生体が利用する糖は グルコースである 正常血中グルコース濃度は 80 120 mg/dlである 血糖値は 狭い範囲で厳密に制御されている 血糖値は ホルモンで制御されている 血糖値を下げるホルモンはインスリンだけである

血糖値の調節 血糖値の調節に重要な組織は 脂肪 骨格筋 肝臓である 生体は 余剰のグルコースをグリコーゲンとして貯蔵する グリコーゲン グルコース グルカゴンアドレナリン インスリン 膵島 ( ランゲルハンス島 ) のホルモン 4 種類のホルモンが合成 分泌されていている マウス膵島 膵島ホルモンの相互作用 膵島ホルモンは互いに分泌を制御している (α) 細胞グルカゴン血糖値上昇 B(β) 細胞インスリン血糖値抑制 D(δ) 細胞ソマトスタチンインスリンならびにグルカゴンの分泌を抑制 赤 :(α) 細胞グルカゴン抗体で染色緑 :B(β) 細胞インスリン抗体で染色 F 細胞膵液分泌調節

1. プレプロインスリンが リボソームで合成される 2. 小胞体で切断されプロインスリンになる インスリンの構造 インスリンの半減期 インスリンの半減期は 約 6 分と非常に短い すなわち 受容体に結合されなかったインスリンは肝臓で速やかに分解される 3. ゴルジ装置で ペプチドが切断され 鎖と B 鎖ができる 4. 鎖と B 鎖がジスルフィド結合される インスリンとして分泌 ペプチド これは インスリンが長時間持続して機能すると 低血糖を引き起こし 意識消失 昏睡などを引き起こすため それを阻止するための生体の生理機能である 1 インスリン分泌の細胞内機序 1 3 4 インスリン分泌の細胞内機序のまとめ 血中グルコース濃度上昇 LT2 を介して膵 B 細胞内へのグルコース輸送 2 2 6 ミトコンドリアでの TP 産生 5 TP 依存性 K + チャネルの閉鎖 細胞膜の脱分極 電位依存性 a 2+ チャネルの開口 インスリン分泌

インスリンの作用 : 多機能性である インスリン受容体 細胞内ドメインが チロシンキナーゼになっている インスリンが結合すると キナーゼ活性が ON になる リン酸化による細胞内情報伝達 インスリンの血糖値を下げる効果は 1 脂肪 骨格筋でのグルコース取り込み促進 2 肝 骨格筋でのグリコーゲン合成促進による インスリンのグルコース取り込み促進機構 インスリンの血糖効果作用以外の生理機能 1. 脂肪の貯蔵促進肝細胞 : 脂肪酸の生成促進 脂肪細胞への蓄積促進 2. 蛋白質代謝に対する作用 ( 同化作用 ) 蛋白質合成の促進し 分解を遅らせる IF-1 と似た作用細胞の代謝を活性化

ちょっと一息低 I 食品って何? I:lycemic index 1981 年にトロント大学のデイビット ジェンキンス博士らによって提唱された概念であり 炭水化物摂取後の血糖値の上昇する速さを表した指標である この値が大きいほど 炭水化物を食べた後の血糖値の上昇が早い すなわちIが高いほど インスリンの分泌がされやすい インスリン 脂肪蓄積 同じカロリーの炭水化物を摂取しても低 I 食品のほうが太りにくいという概念 糖尿病 糖尿病 (Diabetes Mellitus: DM) は 糖代謝の異常によって起こるとされ 血糖値が病的に高まることによって 様々な特徴的な合併症をきたす危険性のある病気である 一定以上の高血糖では尿中にもブドウ糖が漏出する ( 尿糖 ) ため糖尿病の名が付けられた 患者数 血糖値が高い状態が持続する疾患 世界の患者数約 1 憶 8000 万人 (2006 年推定患者数 ) 日本の患者数約 700 万人 (2005 年推定患者数 ) * ただし予備軍を加えると1 千万人を超えると推測されている 糖尿病の分類 糖尿病モデルマウス 1 1 型糖尿病 ( 若年 痩せ型の患者が多い ) 自己免疫疾患等によるランゲルハンス島 B 細胞の破壊 1 型糖尿病モデルマウス ( 非活性型 dk5 発現マウス ) 2 型糖尿病モデルマウス ( レプチン受容体欠損マウス ) 2 2 型糖尿病 (40 歳以上の肥満の人に多い ) 過食 運動不足 加齢などが原因で全糖尿病患者の 90% 以上を占める 血中のインスリン濃度は 上昇していることが多い 標準的なインスリン濃度では 血糖値が低下せず ( インスリン抵抗性 ) その代償機構としてインスリン分泌が亢進 インスリン抵抗性 膵 B 細胞の疲弊 インスリン分泌低下 細胞死

なぜ肥満になるとインスリン抵抗性になるのか? 脂肪細胞は 脂肪蓄積以外にたくさんのサイトカインを産生 分泌する機能がある 肥満者の脂肪細胞からは TNFα の分泌が促進 TNFα 例えば レプチン 摂食抑制 アディポネクチン 中性脂肪含量低下 インスリン感受性亢進 TNFα レプチンアディポネクチン等 TNFαR IRS-1 p アジア人は 高度肥満 インスリン抵抗性を示さない 単純にインスリン分泌量が少ないため 2 型糖尿病になることが多い 農耕民族であるアジア人は インスリン分泌量が少ない 清野裕 Dental Diamond 35, 22 (2010)

2 型糖尿病に関する全ゲノム関連解析疫学研究 アジア人種とヨーロッパ人種間における DKL1 リスクアレル頻度の比較 (Nature enetics 2007) SNPs Frequency enotype 0.222 0.083 (Science 2007) rs7756992 sian 0.289 0.333 European : non-risk 0.489 0.583 a : non-risk (Science 2007) (Science 2007) rs7754840 0.156 sian 0.511 0.333 0.083 European 0.467 0.450 aa : risk dkal1 catalyzes trn Lys() entral dogma of protein translation trn Lys() trn Lys() D - D - - m 2 m 2 Ψ mcm 5 s 2 m 1 m 5 m 5 m D Ψ m 7 Ψ ms 2 t 6 D - D - - m 2 m 2 Ψ m 7 Ψ t 6 ** m 1 m 5 m 5 m D Ψ rragain et al., J Biol hem 285, 28425 (2010) mrn (From Molecular Biology of The ell (5th Edition))

The ms 2 i 6 modification is required for decoding fidelity Lys residue is important for the processing of proinsulin (ms 2 ) Proinsulin Jenner LB et al. (2010) Nat Struct Mol Biol. 小胞体ストレスと 2 型糖尿病 過剰な蛋白質合成 異常な折りたたみ構造の蛋白質 DKL1 SNPs が 2 型糖尿病発症の危険因子 になる分子メカニズムの提唱 Wild-type mice and Man with non-risk allele in dkal1 gene dkal1 ms 2 t 6 37 stabilization of mrn-trn interaction Increase in translational accuracy Normal insulin translation and synthesis

DKL1 SNPs が 2 型糖尿病発症の危険因子 になる分子メカニズムの提唱 糖尿病の診断 空腹時血糖 (mg/dl) 75g 経口ブドウ糖負荷試験 (2 時間後血糖 ) 正常型 <110 <140 境界型 110 <126 140 <200 糖尿病型 126 200 日本糖尿病学会基準 N. Engl J Med 365, 1931 (2011) 75g 経口糖負荷試験 300ml の水にグルコース 75g を溶かして 経口投与 静脈血グルコース濃度を測定する Hb1c( ヘモグロビン 1c) ヘモグロビン ヘモグロビンは α サブユニットと β サブユニット それぞれ 2 つから成る四量体 各サブユニットは グロビン ( ポリペプチド )+ ヘムから成る ヘムに酸素が結合し 酸素運搬 ヘモグロビン 1 ヘモグロビンの β 鎖の N 末端に糖が結合したものをいう 糖の種類により 1a1, 1a, 1b, 1c などに分画される 1c は β 鎖 N 末端のバリンとグルコースが結合したもの

Hb1c( ヘモグロビン 1c) Hb1c 目標値 グリコヘモグロビンのうち ヘモグロビンのβ 鎖のN 末端にグルコースが結合した糖化蛋白質 総ヘモグロビンの約 4% を占める ( 理想値 ) 近年 糖尿病の診断 治療効果に良く使われるようになった ヘモグロビンへのグルコース結合は酵素反応ではなく 血中グルコース濃度に依存する 血糖値を反映 ヘモグロビンの寿命は120 日 過去 1か月 2か月の血糖値を表している 2013 年 5 月 16 日 熊本宣言 糖尿病治療法 1 型糖尿病 最初からインスリン投与 + 運動 食事療法 2 型糖尿病 1. 運動 食事療法 2. 薬物療法 経口血糖降下薬 スルフォニル尿素剤フェニルアラニン誘導体 ブドウ糖吸収阻害薬 αグルコジダーゼ阻害薬 インスリン抵抗性阻害薬 ビグアナイド系チアゾリジン系 3. インスリン投与

スルフォニル尿素 (S) 剤 最も良く使われている糖尿病治療薬 S 受容体のに結合し TP 依存性 K + チャネルを抑制 インスリン分泌! 血中グルコース濃度に関わらずインスリン分泌を促進するので 低血糖の副作用がしばし認められる α- グルコシダーゼ阻害 食後過血糖の改善 ( 食直前に服用 ) α- グルコシダーゼ ( イソマルターゼ ) インスリン抵抗性改善薬 肝臓における糖新生抑制 筋肉における糖の吸収促進 腸管におけるブドウ糖吸収抑制など言われているが良く分かっていない 肥満を伴うタイプの 2 型糖尿病に効果 比較的新しい糖尿病治療薬 インクレチン インクレチン : ペプチドホルモン性の消化管ホルモン 1:LP-1(lucagon-like peptide-1) と 2:IP(glucose-dependent insulinotropic polypeptide) がある 膵 β 細胞 LP-1 LP-1 受容体 cmp 依存性細胞内情報伝達 グルコース依存性インスリン分泌 プロインスリン遺伝子転写 抑制? ただしインクレチンは生体内で急速 (2 分以内 ) に分解される!

Exendin-4 (LP-1 受容体作動薬 ) LP-1: HETFTSDVSSYLEQKEFIWLVKR Exendin-4: HETFTSDLSKQMEEEVRLFIEWLKNPSSPPPS Exendin-4(9-39): DLSKQMEEEVRLFIEWLKN ヒーラ モンスター 特徴 LP-1 と同様の機能 ( インスリン合成 分泌促進 高血糖時のみインスリン分泌促進 ) ペプチダーゼに難分解性 長時間生体内で機能 体重減少作用 201 年に 2 型糖尿病治療薬として承認 欠点として 内服ではなく 自己注射しなければいけない DPP-4 阻害剤 DPP-4: Dipeptidyl Peptidase-4 DPP-4 阻害剤 LP1 DPP-4 分解 失活 IP 最も新しい糖尿病治療薬 : SLT2 阻害剤 阻害 糖の再吸収の約 90% は 近位尿細管の SLT2 を介して行われる 糖の再吸収阻害剤