原稿メモ

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原稿メモ

2010年における原油価格の見通しについて

北米からの原油供給量は 2011 年は前年比日量 +21 万バレル増であったが 2012 年は前年比 +158 万バレル増となり 2013 年は +130 万バレル増 2014 年は +92 万バレル増と見込まれている 北米を含めた OECD 先進諸国からの供給は 2011 年は +1 万バレル増

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第 15 表 OPEC 総会の主要決議事項 (2) ~26 ウィーン 半年毎の通常総会の開催時期を今後 6 月 11 月から3 月 9 月に変更する 現行の260 万 BDの自主減産を1999 年 6 月末まで遵守する 次回通常総会において状況が改善されていなければ価格是

2007年12月10日 初稿

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アナリシス 2016 年 10 月原油生産量 ( 注 )2016 年 11 月 30 日 OPEC 総会時の推定値 出所 :OPEC 他より推定 表 1 基準原油生産量 (OPEC 発表 ) 1 OPEC 産油国原油生産調整状況 基準原油生産量 ( 推定 ) 2 原油生産水準 ( 1 月 1 日以降

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原油市場他:WTIで40ドルを割り込んだものの、OPEC産油国による非公式協議への市場の期待から持ち直す原油価格

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第1章

平成14年1月20日

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2012 年 10 月 15 日号

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【No

定期調査の質問のうち 代表的なものの結果 1. 日本の株価を 企業のファンダメンタルズと比較してどう評価するか 問 1. 日本の株価は企業の実力( ファンダメンタルズ ) あるいは合理的な投資価値にくらべて 1. 低すぎる 2. 高すぎる 3. ほぼ正しく評価されている 4. わからないという質問で

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けた この間 生産指数は 上昇傾向で推移した (2) リーマン ショックによる大きな落ち込みとその後の回復局面平成 20 年年初から年央にかけては 米国を中心とする金融不安 景気の減速 原油 原材料価格の高騰などから 景気改善の動きに足踏みが見られたが 生産指数は 高水準で推移していた しかし 平成

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< 作成日 :2006/2/12> < 石油 天然ガス調査グループ : 野神隆之 > 原油市場 : イランとナイジェリアを巡る情勢から 1 バレル当たり 70 ドルに迫るも その後下落へ (IEA Oil Market Report 米国 DOE/EIA OPEC 他 ) 1 OPEC は 2006 年 1 月 31 日に開催された臨時総会で 日量 2,800 万バレルの原油生産枠を維持することを決定 2 原油相場は イランの核開発問題を巡る西側諸国との緊張の高まりとナイジェリア情勢の悪化懸念を背景として 1 月中 ~ 下旬までは WTI1 バレル当たり 6~69 ドル程度で推移 しかしながら その後イランの核問題が即座に石油需給逼迫には繋がらない といった見方が強くなってきたことや ガソリン在庫の大幅増大や米国での温暖な気候を背景とした高水準の留出油在庫に伴う石油製品価格の下落に引きずられて 原油価格も下落 2 月 日には 1 バレル当たり 62 ドルを割り込む水準となっている 3 今後も引き続きイランやナイジェリア情勢を中心とした要因により原油価格が左右される可能性が考えられる 4 また 3 月 8 日に予定される次回 OPEC 総会では直前の原油価格の状況にもよるが 原油生産枠削減について協議される可能性がある 1. OPEC 総会で原油生産枠維持を決定 OPEC は 2006 年 1 月 31 日にウィーンで臨時総会を開催し 200 年 7 月 1 日に決定した日量 2,800 万バレルの原油生産枠につき引き続き維持させることを決定した ( 表 1 参照 ) イランの核開発問題を巡る西側諸国との緊張の高まりやナイジェリアでの油田操業に対する武装集団の攻撃等を背景とした これら産油国からの石油供給途絶懸念を主な背景として 1 月に入り原油価格が WTI で 1 バレル当たり 6 ドルを超える水準で推移したこともあり 現行の原油生産枠については不変とする ということで 既に総会前において多数の OPEC 産油国の意見は一致していた模様である イランは 第二四半期に向け世界の石油在庫が積み上がり それが原油価格を押し下げることになると懸念 日量 0 万バレルの原油生産枠削減を主張していたが 最終的には原油生産枠を不変とする案に同意することとなった - 1 -

200 年 7 月 1 日からの生産枠 表 1 OPEC 加盟国原油生産量 ( 日量 1,000 バレル ) 2006 年 2 月 からの生産枠 200 年 12 月生産量 2006 年 1 月生産量 原油生産能力 * 余剰生産能力 アルジェリア 894 894 1,370 1,360 1,370 インドネシア 1,41 1,41 93 9 980 6 イラン 4,1 4,1 3,890 3,920 4,000 80 クウェート 2,247 2,247 2,00 2,21 2,600 80 リビア 1,00 1,00 1,60 1,60 1,60 0 ナイジェリア 2,306 2,306 2,460 2,4 2,600 18 カタール 726 726 82 82 830 サウジアラビア 9,099 9,099 9,00 9,00,00 1,001 UAE 2,444 2,444 2, 2,47 2,60 17 ベネズエラ 3,223 3,223 2,00 2,130 2,200 70 合計 28,000 28,000 27,73 27,7 29,380 1,670 出所 :OPEC IEA OPEC 総会での決定に対する市場での反応であるが 原油生産枠を不変としたことで石油需給逼迫懸念が若干後退 原油価格が一時下落する場面も見られたが その後原油価格は再びイラン及びナイジェリア情勢 そしてさらに米国の石油在庫等に左右されることとなったことから 今回の OPEC 総会の市場に対する影響は限定的なもので終わったと考えられる 2. 原油市場他を巡るファンダメンタルズ米国への原油輸入の減少 ( 図 3 参照 これは先般 WTI と Brent の価格差が縮小したことが一因であると考えられる ) により 原油在庫は減少傾向となった しかしながら 他方暖房油の主な消費地である北東部において平年を上回る気温が続いた ( 図 1 参照 ) ことに伴う暖房油需要の低迷もあり 製油所に対する原油の投入量が減少した ( 図 2 参照 ) ことから 原油在庫の減少幅は抑制され 結果として当該在庫水準は平年と比べてもかなり豊富な水準を維持している ( 図 4 参照 ) また OPEC の高水準の原油生産量を背景として 米国同様 OECD 諸国においても原油在庫は高水準な状況が続いている ( 図 参照 ) 30 2 20 0 - - 図 1 米国 (NY) 気温の推移 9 11 12 1 2 200-6 年気温平年気温 ( 月間値 ) - 2 -

日量百万ハ レル 17 図 2 米国の原油精製処理量 16 14 13 12 1 2 3 4 6 7 8 9 11 12 1 2 200-6 2004-( 参考 ) 日量百万ハ レル 12 図 3 米国の原油輸入量 11 9 8 1 2 3 4 6 7 8 9 11 12 1 2 200-6 2004-( 参考 ) 百万ハ レル図 4 米国原油在庫推移 370 30 330 3 290 270 20 12346789111212346789111212346789111212 1997-2002 実績幅 2003-2006 - 3 -

億ハ レル 図 OECD 原油在庫推移 9 8 1 2 3 4 6 7 8 9 11 12 199-2004 200 出所 :IEA 一方ガソリンについては 一時米国の在庫水準は平年と比べて低い水準となっていたが 米国での製品価格上昇に伴い 欧米間での製品価格差が開いた ( 図 6 参照 ) こともあり 欧州等から米国へ製品が高水準で流入 ( 図 7 参照 ) 結果として 1 月においてはガソリン在庫が大幅に増加し 今や平年幅上限近くの高水準となっている ( 図 8 参照 ) また 留出油についても前述の通り米国北東部での温暖な気候で需要が低迷したことから 在庫水準は高い状況となっている ( 図 9 参照 ) ト ル / ハ レル 図 6 米国 (NY) 欧州 ( ロッテルタ ム ) のガソリンスポット価格差の推移 (200~6 年 ) 0-11 12 1 2-4 -

日量千ハ レル 1600 図 7 米国のガソリン輸入量 (200 年 ) 1400 1200 00 800 600 400 1 2 3 4 6 7 8 9 11 12 1 2 200 2004( 参考 ) 百万ハ レル 240 図 8 米国ガソリン在庫推移 220 200 180 1 2 3 4 6 7 8 9 1112 1 2 3 4 6 7 8 9 1112 1 2 3 4 6 7 8 9 1112 1 2 1997-2002 実績幅 2003-2006 百万ハ レル 160 図 9 米国留出油在庫推移 140 120 0 80 12346789111212346789111212346789111212 1997-2002 実績幅 2003-2006 なお OECD 諸国の石油製品在庫量も平年並みとなっている ( 図 参照 ) 他 原油に石油製品を加え た石油全体について在庫日数で表してみると 平年水準と比べて低い状況となっている ( 図 11 参照 ) が - -

平年を割り込むほど異常に低い状況であるともいえない 天然ガスについても 米国での主要消費地である中西部での気温が平年を上回って温暖であった ( 図 12 参照 ) ことから 地下貯蔵量の下落傾向が大幅に鈍化 平年を上回る豊富な水準となっている ( 図 13 参照 ) 億ハ レル 16 図 OECD 石油製品在庫量の推移 14 13 12 1 2 3 4 6 7 8 9 11 12 199-2004 200 出所 :IEA 日 6 図 11 OECD 石油在庫日数の推移 60 0 4 1 2 3 4 6 7 8 9 11 12 199-2004 200 出所 :IEA 30 2 20 0 - - - 図 12 米国 ( シカゴ ) 気温の推移 9 11 12 1 2 200-6 年気温平年気温 ( 月間値 ) - 6 -

兆 cf 3. 図 13 米国天然ガス貯蔵量の推移 3.0 2. 2.0 1. 1.0 0. 1 2 3 4 6 7 8 9 11 12 1 2 2000-4 年 200-6 年 3. 1 月中旬から 2 月中旬にかけての原油市場他の動き 1 月中旬から 2 月上旬の石油市場は イランとナイジェリアにおける情勢を巡る思惑にかなり左右された ( 図 14 参照 ) 1 月 16 日は米国ではキング牧師記念日 (Martin Luther King Day) による休日で ニューヨーク原油先物市場は休場であったが ロンドン市場では 前日にナイジェリアで武装集団がスピードボートにより Shell のニジェール デルタにある Benisede ポンプ基地を攻撃したことに伴い 同社が従業員を避難させたこともあり ナイジェリアにおいて武装集団の石油施設への攻撃が激化することにより 同国からの石油輸出に悪影響が及ぶのではないかとの懸念や イランのジャファリ (Davoud Danesh-Jafari) 経済財務大臣が ラジオで 西側諸国との間で懸案事項となっている同国の核開発研究プログラムの再開に関し イランに対する如何なる制裁も 西側が予想する以上に石油価格を引き上げるという結果をもたらすことになる旨の発言を行った一方で 米国もイランの核開発の件につき国連安全保障理事会で議論すべきであると希望していることから 同理事会において対イラン制裁が決議され イランもそれに対抗する形で自国の石油供給に制限を加えることにより 世界の石油供給に大きな影響を及ぼすことになるのではないかとの不安が市場で増大 原油価格に上方圧力を加えた 1 月 17 日にはニューヨーク市場で WTI は 1 バレル当たり 2 ドル超上昇し 66 ドル台となった 1 月 19 日にはアルカイダのオサマ ビン ラディン (Osama bin Ladin) 氏が米国内で新たな攻撃を準備している旨のビデオが放映されたり 米国アラスカにおけるパイプラインを攻撃するとの警告が関連ホームページに掲載されたりしたことから 石油供給途絶懸念がさらに増大 原油価格は 1 月 20 日には 1 バレル当たり 68 ドル台へ上昇 また 1 月 23 日にはハリケーン カトリーナ の米国来襲時以来の最高値である 1 バレル当たり 69.20 ドルを記録するに至った - 7 -

ト ル / ハ レル図 14 原油価格の推移 (2003~6 年 ) 7 70 6 60 0 4 40 3 30 2 20 1 2 3 4 6 7 8 9 1112 1 2 3 4 6 7 8 9 1112 1 2 3 4 6 7 8 9 1112 1 2 WTI Brent Dubai しかしながら 同じく 1 月 23 日にナイジェリアからの原油生産量の減少については サウジアラビアがそれを穴埋めする用意がある旨示唆したことや 1 月 31 日に実施予定の OPEC 臨時総会においては原油生産枠の削減はなさそうであるとの観測が市場で出てきた ( この点についてもサウジアラビアが 1 月 31 日実施予定の OPEC 臨時総会では原油生産枠が維持されそうである旨発言している ) ことから 石油需給逼迫懸念が若干緩和 原油価格は下げに転じた 1 月 2 日には米国石油統計が発表され ガソリンや留出油の在庫が市場の予想 ( ガソリン 130~140 万バレル増 留出油 90 万バレル増 ) を上回る それぞれ 313 万バレル 179 万バレル増加していたことが判明したことが 原油市場においても下方圧力となり 原油価格は 1 バレル当たり 6 ドル台へと下落した その後 再びイラン及びナイジェリアに関して 石油需給逼迫懸念が市場で増大 1 月 30 日には 1 バレル当たり 68 ドル台となった ただ 1 月 31 日にイランのハマネ (Kazen Vairi Hamaneh) 石油大臣が同国の核開発と石油輸出は別問題であり 核開発は石油輸出を削減する理由にはならない旨発言したこと 2 月 4 日に国際原子力機関 (IAEA) 理事会がイランの核開発問題を国連安全保障理事会に付託する決定を行ったものの IAEA のエルバラダイ (Mohamed ElBaradei) 事務局長がイラン核開発問題に係る報告を行う 3 月 6 日までは 国連安全保障理事会においては 何ら新たな決定はなされないとの見方が出てきたことに加え ガソリン在庫水準が大幅に増大し 今や豊富な水準となったこと (2 月 8 日の米国石油統計発表時には 市場の予想は 160~20 万バレルの増加と伝えられていたが 実際には そのような予想をも上回る 430 万バレルの大幅増となった ) や 米国北東部での暖冬を背景として留出油在庫も豊富な水準にあり この冬場の暖房油需要に対して供給は十分対応できそうだとの観測が出てきたことから 石油製品価格が下落したこと 国際エネルギー機関 (IEA) が 2 月 日に発表したオイル マーケット レポート (Oil Market Report) において 2006 年の世界の石油需要を日量 6 万バレル程度下方修正したこと - 8 -

などを要因として 原油価格も下落傾向となり 2 月 日には 1 バレル当たり 62 ドルを割り込む水準となっている 一方天然ガス価格についても 前述の通り米国中西部での気温が温暖であったことから 下落傾向となっており 2 月 日現在ニューヨーク先物価格では 0 万 Btu 当たり 7 ドル台となっている ( 図 参照 ) ト ル / 百万 Btu 20 図 天然ガス先物価格の推移 (200~6 年 ) 8 9 11 12 1 2 NYMEX IPE 4. 今後の見通し今後も当面主として米国などにおける在庫水準等のファンダメンタルズや イランやナイジェリアといったいわゆる政治情勢と石油需給逼迫懸念との綱引きといった構図により 原油価格等が左右されていくことになろう イランについてはとりあえず 3 月までは国連安全保障理事会がイラン核開発問題について新たな決定を下すことはなさそうであるなど 大きな動きはない模様であるが 一方で簡単な解決法は最早見つからないのではないか といった懸念も市場では根強く 3 月が近づくにつれ 再び不安感が増大し それが原油価格等に影響を与える場面も考えられる 一方 ナイジェリアでは 1 月 11 日に武装グループにより沖合 EA 油田 ( 生産量日量 11. 万バレル ) から誘拐された外国人従業員 4 人は 1 月 30 日に解放された ただ 引き続き武装グループは活動を続ける旨表明しているとも伝えられる他 同国では 2007 年に大統領選挙を控えており 各地方の部族間対立等もあって政情不安定が増大 石油生産地帯周辺で暴動に発展し 同国の石油生産に影響を及ぼす可能性もあり そうなると石油需給逼迫懸念の増大から原油価格が変動する恐れもある ( 因みに 2003 年前半には大統領選挙を巡る暴動から同国の原油生産量 ( 当時日量 220 万バレル程度 ) の最大約 40% が停止した ) 一方 2 月後半には米国北東部や中西部において気温が平年を下回るとの予報が出ている ただ留出油や天然ガス在庫は平年に比べても豊富な水準であるうえ 米国での暖房シーズンも遠からず終わりを迎えることから 余程厳しい寒波が来襲しない限り 原油価格 ( 及び天然ガス価格 ) を引き上げる影響力 - 9 -

は限定的であると見られる 次回 OPEC 総会 ( 通常総会 ) は 3 月 8 日にウィーンで開催される予定である 1 月 31 日に開催された臨時総会では 加盟国の全てが従来の原油生産枠の維持につき同意したが このままの水準で生産を継続した場合 2006 年第二四半期には供給が需要を日量約 200 万バレル上回ってしまうと予想される ( 表 2 参照 ) ことから 原油価格が下落してしまう恐れがあるとの懸念を持っている加盟国もあり ( 既にベネズエラは次回総会では日量 0~0 万バレル原油生産枠を削減すべきである旨表明している ) 次回総会直前の原油価格水準にもよるが 原油生産枠の取り扱いについて議論が紛糾する可能性もある 表 2 世界石油需給バランスシナリオ (2006 年 ) ( 単位 : 日量百万ハ レル ) 1Q 2Q 3Q 4Q 総需要 8.38 83.1 84.70 86.71 非 OPEC 生産 1. 1.31 1.28 2.09 OPEC 原油生産 29.21 29.21 29.21 29.21 OPEC NGL 生産 4.92.01.13.16 総供給 8.23 8.3 8.62 86.4 在庫変動その他 -0. 2.02 0.92-0.26 注 :2006 年 1 月の推定 OPEC 原油生産量が以降も継続すると仮定 出所 :IEA 一方需要面では中国の石油需要に注目する必要があろう 多くの機関が 中国で経済成長が続くことから 2006 年は 200 年 ( 前年比日量 16 万バレル増加 図 16 参照 ) よりも石油需要増加が顕著となると見ている (IEA は 2006 年は 200 年よりも日量 38 万バレル増加すると予想している他 他の主要機関も日量 40 万バレル程度増加すると予測しているところが多い ) しかしながら 中国側からは石油価格の高騰や省エネルギー政策の推進などから 同国の石油需要は以前ほど増加しないといった指摘もなされている他 引き続き中国政府が石油製品価格を抑制することで 精製業者による製油所への原油投入が鈍化することも考えられることから 思ったほど同国の石油需要が増加しないことも予想される 日量百万ハ レル 8 図 16 中国石油需要の推移 7 7 6 6 4 4 3 9 96 97 98 99 00 01 02 03 04 0 06 *:0 年は推定 06 年は予想出所 :IEA - -

原油価格を予測している機関の原油価格見通しを見てみると 多少のばらつきはあるものの WTI で 1 バレル当たり 6 ドル前後とみる機関と ~60 ドル台で推移するとみる機関に大きく別れる ( 図 17 参 照 ) が 全体としては 以前と比べて予測価格を引き上げる傾向にある US$/bbl 図 17 各機関の 2006 年原油価格予測 (WTI) 8 80 7 70 6 60 0 4 40 3 1Q04 2Q04 3Q04 4Q04 1Q0 2Q0 3Q0 4Q0 1Q06 2Q06 3Q06 4Q06 実績 DOE (Feb. 2006) A B C D E F G H *: 一部推定 A~D は投資銀行 E~H はコンサルタント出所 : 各機関レポート - 11 -