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台形に潜むいろいろな平均 札幌旭丘高校中村文則 台形に調和平均 相加平均をみる 右図の台形 において = = とする の長さを, を用いて表してみよう = x = y = c とすると であることから : = : より c y = x + y であることから : = : より c x = x + y を辺々加えると x + y c + = より + = x + y c となる ここで = = c = c = = + + すなわち 線分 の長さは と の調和平均になっている 台形の上底 下底の長さを 数とするとき 対角線の交点を通り上底 下底に平行に引いた線分を引くだけで 調和平均の値を示すことができることになる では 相加平均 相乗平均の値は台形のどこに潜んでいるだろうか 相加平均は簡単である 辺 の中点をそれぞれ とする とき 線分 の長さが相加平均になる これは 対角線 と線分 との交点を とすると 三角形 および三角形 に 辺中点連結定理を用いて + = + = + = となることからわかる 相乗平均は 代数的には二次方程式の解の作図である を斜辺とする直角三角形 において 頂点 から対辺 に下ろした垂線の足を H ととすると H H H : H = H : H から H = H H = これから, の相乗平均は線分 H の長さである すなわち 相乗平均 の長さは を直径とする円を用いることでその作図 H が可能になる 台形 でその位置を幾何的に考えてみよう 相加平均 相乗平均 調和平均 の関係より 相乗平均の長さは そ れぞれ相加平均 相乗平均の長さを表す線分 と線分 の間に引いた に垂直な線分 になる その存在は分かるが線分 は どこに引け ばいいだろうか = とすると : = : = : : = : = : 台形 と台形 は相似になり その面積比は : になる すなわち : = : = : となるように線分 を引けばいいことになる これから相乗平均を表す線分を求めることは 台形をその上底 下底に平行な直線で相似な つの台形に分割する 作図法を示すことになる pge x c y

相加平均 相乗平均 調和平均が表す比 台形 の上底 下底 の長さをそれぞれ, とするとき 各平均により 台形の高さ はどのように比に分けられるだろうか 相乗平均は 相似な つの台形になるから台形の高さ を : の 比に分ける また 相加平均は は : の比に分けます 調和平均は 対角線 と の交点を とすると で あることから つの三角形の相似比 : の比に分ける このとき 各平均を表す線分により分けられる つの台形の面積 と の比を求めてみよう 相加平均の場合は つの台形の高さは等しく 上底と下底の和の比 になることより + + : = + : + = (3 + ) : ( + 3 ) 相乗平均の場合は つの台形は相似であるため 面積比は相似比の平方になり : = : 調和平均は 高さの比が : : = + : + = ( + 3 ) : (3 + ) + + となる 各平均における つの面積比の和は 相加平均の場合は + = + + = (3 + ) + ( + 3 ) = 4( + ) 相乗平均の場合は + = + 3 調和平均の場合は + = ( + 3 ) + (3 + ) = ( + ) 3 台形の面積を = 4( + ) とし 相乗平均を表す が 相加平均 相乗平均を表す で作られる 台形 をどのような面積比に分けるか調べてみよう 台形 の面積 4 は 4 = 4 ( + ) 4 ( + 3 ) = 4 ( ) 台形 の面積 5 は 5 = (3 + )( + ) 4 ( + ) = ( + ) ( ) + : = 4 ( ) : ( + ) ( ) = 4 : ( + ) = : すなわち 面積は 相乗平均と相加平均のそれぞれの平方の比に分けられる またこのとき 4 5 ( ) ( + ) 4 = ( + ) = + = + ( + ) ( + ) + 5 = ( + ) = + = 4 + + 4 : 5 = : より : = : つの台形の高さの比は 相乗平均と相加平均の比になっている k( + ) また = k = とすると = = + k k( + ) すなわち / / であり 同様に = = k( + ) k( + ) = = であるから / / も示される k 以上のことより 台形 と台形 は相似であることがわかり 実は 数の相乗平均は 数の調和平均と相加平均の相乗平均 という単純な結論に帰着する + = + 相加 相乗 調和がひとつの関係式で表現される pge 4 5 +

相加平均を上底 調和平均を下底とする台形の対角線から相乗平均を引き出す 図の台形 の調和平均 相加平均を表す線分 に対し 台形 の対角線 の長さが相乗平均になるときの 線分 の長さを求める = h とする : = : より = h + h は の中点より = h これより = = h = h (*) + + = = であるから 直角三角形 において三平方の定理より + ( ) ( + ) 4 ( ) ( ) = h = = = = ( + ) + + + + これより h = を得る このことを用いると相乗平均の長さの作図ができる 台形 の辺 の長さ を 辺 の の延長上にとった線分を とする = + を直径とする円を描き 点 から に垂直に引いた直線と円との交点を とすると = となる 次に = である点 を中心として 半径 の円を描き 直線 との 以外の交点を とする に垂直な線分 を長さが になるようにとる このときできる四角形 が 相乗平均を対角線の長さとする台形になる 台形 をみると 上底 は調和平均 下底 は相加平均 そして対角線 は相乗平均であり 3 つの平均を表す線分により作られている また 台形 をみると + = = = ( + ) + = + = + = = 4 すなわち = となる また (*) より = ( ) + であるから : = : = : ( ) = ( + ) : ( ) + これから = = + + よって = = = すなわち = である そして このことより であり 直線 は を直径とする円 の接線になっている このように 台形 は平均のいろいろな関係が潜んでいる + + pge 3

調和平均から相乗平均を引き出す = = である線分を右図のように配置し に平行でない適 l 当な直線 l 上に = となるように点 をとる に平行で点 を通る直線とl との交点を とする このとき k : = : より = であるから = = 線分 の長さは の逆数の長さになる 長さ の逆数 を用いることで 調和平均から相乗平均の長さを導くことができる 右図で 台形 の対角線の交点を通り に垂直な線分 は調和平均の長さを表し 点 は台形の高さ を : の比に分ける = k = k とおく 次に を直径とする円を描き との交点を とすると = k これから を k 倍した長さが相乗平均になる 点 を通り 線分 に垂直な直線と 直線 との交点を Q とすると Q より Q = ここで = = より Q k k k k Q = = k 点 を回転の中心とし 時計回りに 90 回転させて 水平方向にスライドさせると台形の中に相乗平均の長さを表すことができる この作図法は 台形の中に相乗平均を配置する方法 について 菅原満先生 ( 札幌旭丘高校 ) に質問したところ 考案いただいた方法をアレンジしたものです k 相加平均 調和平均から相乗平均を引き出す + 長さ は を直角を挟む 辺とする直角三角形から + + = より その斜辺の長さで与えられる このことを用いると 相乗平均の作図が可能になる 右図の台形 の 相加平均の長さを表す線分を 調和平均の長さを表す線分を とする の延長線と 点 を通り に平行な直線との交点を H とすると + H = H = = 点 を中心とする半径 H の円を描く 点 を通り に平行な直線とこの円との交点を とすると が相乗平均の長さを表す線分になる あとは を点 を中心に回転させてから に沿ってスライドさせると台形の中に相乗平均が現れる + H + pge 4

理由を示そう 円の外部の点 から円に引いた接線の接点を とする + = = = である 点 より線分 H に下ろした垂線の足を Q とすると Q : = : Q + : = : Q これより Q = + Q は と の調和平均である 台形 では 調和平均の長さは対角線の交点より容易に得ることができる 調和平均の長さを表す線分 を に沿ってスライドさせることで から引いた接線の接点である点 が求められるのである なお 円の中心 を通り と平行な直線が円と交わる点を R とする これより + + = + = + = R R この値を 数, の二乗平均といい この作図法では 台形の中に潜む二乗平均をみつけることもできるのである そして これらの辺 線分で表される平均の長さを比較することで 次の大小関係をみることができる + + + + Q + H R 加重平均を引き出す 台形 の辺 を m : n の比に内分する点 を通り に垂直な直線と辺 との交点を Q とするとき Q の長さを求めてみよう 対角線 と Q との交点を R とする R より n n : R = : これから R = = m + n m Q RQ より Q m : QR = : Q これから QR = = m + n R n + m 以上より Q = R + RQ = m + n m n この線分 Q の長さの値を 数 と に対して の重みを n の重みを m とする加重平均という すなわち 相加 相乗 調和の各平均は 辺 を各平均が表す線分で分けた比を重みとする加重平均とみなすことができるのである 例えば 相加平均は 線分 を: に分けることより と の重みは等しく + + = + 相乗平均は 線分 を : の比に分けることより ( + ) + = = + + 調和平均は 線分 を : の比に分けることより + = + + このように 台形に潜むすべての平均の値は高さの比に集約されるのである pge 5