小児整形外科

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原著論文

平成25年6月14日

5 月 22 日 2 手関節の疾患と外傷 GIO: 手関節の疾患と外傷について学ぶ SBO: 1. 手関節の診察法を説明できる 手関節の機能解剖を説明できる 前腕遠位部骨折について説明できる 4. 手根管症候群について説明できる 5 月 29 日 2 肘関節の疾患と外傷 GIO: 肘関節の構成と外側

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骨粗しょう症連携手帳は骨粗鬆症財団が編纂し 骨粗しょう症患者さんに配布しています この手帳は骨粗しょう症の治療を受ける患者さんが携帯し 患者さんの検査結果や投薬状況などを記録して患者さん自身の治療意欲を高めるとともに 医療関係者が患者さんの情報を共有できるよう 公益財団法人骨粗鬆症財団が立案 制作し

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299 P1NP 骨芽細胞 プロコラーゲン分解 Ⅰ 型コラーゲン TRACP-5b BAP OC ucoc OC 類骨 細胞活性化による分泌 1 増殖期 P1NP 2マトリックス形成 成熟期 3 石灰化期 OC 破骨細胞 肝臓 腎臓代謝 尿中 NTX CTX 血中 NTX コラーゲン断片 CTX α

免疫学的検査 >> 5C. 血漿蛋白 >> 5C146. 検体採取 患者の検査前準備検体採取のタイミング記号添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料採取量測定材料ネ丸底プレイン ( 白 ) 尿 9 ml 検体ラベル ( 単項目オーダー時 ) ホンハ ンテスト 注 外 N60

10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 I 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 茶色 )

整形外科後期臨床研修プログラム

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骨粗鬆症とは!( どんな病気?) 骨粗しょう症は 鬆 ( す ) が入ったように骨の中がスカスカの状態になり 骨がもろくなる病気です 骨がスカスカになると わずかな衝撃でも骨折をしやすくなります 骨粗しょう症は がんや脳卒中 心筋梗塞のようにそれ自体が生命をおびやかす病気ではありませんが 骨粗しょう

リハビリテーションを受けること 以下 リハビリ 理想 病院でも自宅でも 自分が納得できる 期間や時間のリハビリを受けたい 現実: 現実: リ ビリが受けられる期間や時間は制度で リハビリが受けられる期間や時間は制度で 決 決められています いつ どこで どのように いつ どこで どのように リハビリ

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婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

健康た?よりNo106_健康た?より

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10035 I-O1-6 一般 1 体外衝撃波 2 月 8 日 ( 金 ) 09:00 ~ 09:49 第 2 会場 I-M1-7 主題 1 基礎 (fresh cadaver を用いた肘関節の教育と研究 ) 2 月 8 日 ( 金 ) 9:00 ~ 10:12 第 1 会場 10037


度と骨質を改善する効果により骨折を抑制する効果が示されています. エルデカルシトールの特徴として前腕骨 ( ひじから手首の部分の骨 ) の骨折抑制効果が大変高いことが報告されているので, ラロキシフェンと同様に尺骨短縮手術時のボルト固定の改善効果や手術後の骨折の発生リスクを低下することが期待されます

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を優先する場合もあります レントゲン検査や細胞診は 麻酔をかけずに実施でき 検査結果も当日わかりますので 初診時に実施しますが 組織生検は麻酔が必要なことと 検査結果が出るまで数日を要すること 骨腫瘍の場合には正確性に欠けることなどから 治療方針の決定に必要がない場合には省略されることも多い検査です

154 川崎医学会誌 表 2 海綿骨の比率 腰椎 60% 椎体 80 大腿骨頸部 25 Ward 三角 25 大転子 50 橈骨 遠位 1/3 部 5 1/ / 中手骨 2-3 全身骨 20 表 3 我々が所有した骨塩定量装置 測定部位 測定方法 機種 第 2 中手骨

採択演題一覧

3009 及び 肩関節炎 肩の M0001,M0011,M0021,M0081,M0091,M0101, 障害 ( その他 ) M0111,M0121,M0131,M0141,M0151,M0161, 3010 M0162,M0181,M0201,M0202,M0211,M0212,

桜町病院対応病名小分類別 診療科別 手術数 (2017/04/ /03/31) D12 D39 Ⅳ G64 女性生殖器の性状不詳又は不明の新生物 D48 その他及び部位不明の性状不詳又は不明の新生物 Ⅲ 総数 構成比 (%) 該当無し Ⅰ 感染症及び寄生虫症 Ⅱ 新生物 C54 子宮体部

246 並川崇 DJMS 68 歳, 男性. 頚椎症性脊髄症.a, b, c: 単純 X 線正側面像で脊椎症性変化を,MRIで脊髄の圧迫を認める. d, e: 椎弓形成術を行い, 脊髄症状は改善を認めた. 間関節内側部など神経組織圧迫因子を除去する, 部分椎弓切除術 内側椎間関節切除術を行い, 罹患

健康な生活を送るために(高校生用)第2章 喫煙、飲酒と健康 その2

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Case  A 50 Year Old Man with Back Pain,Fatigue,Weight Loss,and Knee Sweling

の投薬 トリガーポイント注射 温熱療法などが行われてきましたが 最近では消炎鎮痛剤の投与頻度は減り これに変わってオピオイド系の薬の投与が保険で適応となりました さらに 様々な新薬が開発されています このオピオイド系の薬 ( トラマドール ブプレノルフィンの 1 週間持続貼付剤 デュロキセチンなど

対象 :7 例 ( 性 6 例 女性 1 例 ) 年齢 : 平均 47.1 歳 (30~76 歳 ) 受傷機転 運転中の交通外傷 4 例 不自然な格好で転倒 2 例 車に轢かれた 1 例 全例後方脱臼 : 可及的早期に整復

2 片脚での体重支持 ( 立脚中期, 立脚終期 ) 60 3 下肢の振り出し ( 前遊脚期, 遊脚初期, 遊脚中期, 遊脚終期 ) 64 第 3 章ケーススタディ ❶ 変形性股関節症ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

第 66 回骨粗鬆財団教育ゼミナール講演 Ⅰ 糖尿病に合併する骨粗鬆症の特徴と対策について 島根大学医学部内科学講座内科学第一講師 金沢一平 はじめに糖尿病は加齢とともに増加する疾患であり 世界的に患者数は増加し続けている 超高齢化社会を迎えた我が国において 高齢者糖尿病患者へのアプローチの重要性は

<目次>

脊椎圧迫骨折後の二次予防

転倒教室評価項目について

高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に

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第11号骨そしょう症

第 1 部 : 講演 第 7 回医療機器市民フォーラム 特殊な形の関節リウマチもあります また 関節リウマチ自体は 30 歳代の女性に多く発生しますが お年寄りになってリウマチになる場合もあります 加齢的変化で起きる病気もあります 特発性膝骨壊死は大腿骨に発生し 骨が少し丸く抜けてくるような像がレン


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背骨の病気

ロコモ予防のために 2007 年 ( 平成 19 年 ) に日本整形外科学会で ロコモーティブシンドローム ( ロコモ ) という概念が提唱されました ロコモとはまさに 骨 関節 筋肉という運動に必要な器官 ( 運動器 ) の障害で要介護になるリスクが高まること と定義され メタボと並んで潜在患者数

7 対 1 10 対 1 入院基本料の対応について 2(ⅲ) 7 対 1 10 対 1 入院基本料の課題 将来の入院医療ニーズは 人口構造の変化に伴う疾病構成の変化等により より高い医療資源の投入が必要となる医療ニーズは横ばいから減少 中程度の医療資源の投入が必要となる医療ニーズは増加から横ばいにな

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情報提供の例

70% の患者は 20 歳未満で 30 歳以上の患者はまれです 症状は 病巣部位の間欠的な痛みや腫れが特徴です 間欠的な痛みの場合や 骨盤などに発症し かなり大きくならないと触れにくい場合は 診断が遅れることがあります 時に発熱を伴うこともあります 胸部に発症するとがん性胸水を伴う胸膜浸潤を合併する

Microsoft PowerPoint - VCAD定例会_tawara_100901_提出用.ppt [互換モード]

表面から腫れがわかりにくいため 診断がつくまでに大きくなっていたり 麻痺が出るまで気付かれなかったりすることも少なくありません したがって 痛みがずっと続く場合には要注意です 2. 診断診断にはレントゲン撮影がもっとも役立ちます 骨肉腫では 膝や肩の関節に近い部分の骨が虫に食べられたように壊されてい

平成 29 年度九段坂病院病院指標 年齢階級別退院患者数 年代 10 代未満 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 代 80 代 90 代以上 総計 平成 29 年度 ,034 平成 28 年度 -

Microsoft Word 薬理試験概要文ver7.4_ doc

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10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

鹿児島2

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平成 28 年度診療報酬改定情報リハビリテーション ここでは全病理に直接関連する項目を記載します Ⅰ. 疾患別リハビリ料の点数改定及び 維持期リハビリテーション (13 単位 ) の見直し 脳血管疾患等リハビリテーション料 1. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)(1 単位 ) 245 点 2

心房細動1章[ ].indd

保発第 号

原因は不明ですが 女性に多く 手首の骨折後や重労働を行う人に多く見られます 治療は安静や飲み薬で経過を見ますが しびれが良くならない場合 当科では 小さな傷で神 経の圧迫をとる手術を行っており 傷は 3 ヶ月ぐらい経過するとほとんど目立ちません 手術 時間は約 30 分程度ですが 抜糸するのに約 1

2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する分析法 Page 1 リクラスト点滴静注液 5mg ゾレドロン酸水和物 第 2 部 ( モジュール 2):CTD の概要 ( サマリー ) 2.7 臨床概要 生物薬剤学試験及び関連する分析法 旭化成ファーマ株式会社

この薬を使う前に 確認すべきことは? 次の人は この薬を使用することはできません 過去にアレディア点滴静注用に含まれる成分や他のビスホスホン酸塩で過敏な反応を経験したことがある人 次の人は 慎重に使う必要があります 使い始める前に医師または薬剤師に告げてください 腎臓に重篤な障害がある人 全身状態が

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第 43 回日本肩関節学会 第 13 回肩の運動機能研究会演題採択結果一覧 2/14 ページ / ポスター会場 第 43 回日本肩関節学会 ポスター 運動解析 P / ポスター会場 第 43 回日本肩関節学

1 薬事委員会報告

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第2回神戸市サッカー協会医科学講習会(PDF)F.pptx


旗影会H29年度研究報告概要集.indb

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治療 : 神経根症状であれば数週 数ヶ月の保存加療で多くは対応可能ですが 疼痛が強く麻痺などの合併がある場合や保存加療に特に抵抗性のあるものに関しては手術を行います 特に 巧緻運動障害 ( 箸 書字 ボタン掛けが困難 ) 歩行障害がある場合は手術を考慮します 頚椎症性脊髄症病態 : 脊髄が圧迫され脊

リウマチ診療患者名簿

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CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

Ⅰ 目的わが国は世界一の超高齢社会を構成しており 筋骨格系の健康を保つことが要介護 要支援を予防するうえで重要となってきている 約 1200 万人といわれる骨粗鬆症は高齢者の疾患であり 1) 骨折は寝たきりにつながる原因疾患であり 骨折患者の介護費 医療費などは年々増加の一途であるばかりでなく 生命

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2.5 臨床に関する概括評価 Page 2 略号一覧 略号 省略していない表現 ACE angiotensin converting enzyme( アンジオテンシン変換酵素 ) ADL activities of daily living( 日常生活動作 ) AE adverse event( 有

PowerPoint プレゼンテーション

別紙様式 2( 第 3 条関係 ) No.1 光科学研究科光科学専攻 学籍番号 :D 学位論文要旨 氏 名 : 伊藤哲平 赤外イメージング 赤外二色性イメージングによる新規骨形態計測法の開発と慢性腎臓病の病態解析 研究背景 骨の健康指標である骨強度は 原発性骨粗鬆症や骨軟化症など骨疾患

リハビリテーション看護

2015 年度手術のうちわけ ( 実績 ) セキツイ脊椎 ナンブソシキ軟部組織 椎間板摘出術 35 アキレス腱断裂手術 40 内視鏡下椎間板摘出 4 腱鞘切開術 ( 関節鏡下によるものを含む ) 0 シュコンカン 脊椎固定術 椎弓切除術 椎弓形成術 ( 多椎間又は多椎弓の場合を含む )( 椎弓形成

5. アルコールはひかえめに アルコールを代謝するときに尿酸が作られます とくにビールはプリン体を含むだけでなく 高エネルギーであるため肥満の助長効果もあります 6. 水分を十分にとる 尿量が増えると尿酸の排泄も増えます 高尿酸血症では 1 日に 2L 程度の尿量を確保するため 1 日に 1L 程度

-49<< 図 3 椎体 L2-4 と大腿骨近位部における骨粗鬆症の有病率 ( 推定 05 年 ) 2 椎体 大腿骨近位部 SOURCE Reproduced from Orimo H. et al. Japanese 11 guidelines fo

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大腿骨頚部骨折

負荷試験 検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 検体ラベル ( 単項目オーダー時 )

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ヒアルロン酸ナトリウム架橋体製剤 特定使用成績調査

平成28年版高齢社会白書(概要版)

Transcription:

第 10 回未病社会の診断技術研究会 骨 関節の疾患 大阪大学整形外科吉川秀樹

今なぜ 骨 関節 ( 運動器 ) の医療が重要か? 平成 24 年 9 月 日本の高齢者人口 (65 歳以上 ) は初めて 3000 万人に達した 高齢化に伴う骨 関節疾患の増加 寝たきりの予防 介護予防 早期の社会復帰 スポーツ復帰への期待 人工関節など医療費の高騰

骨 関節の疾患 1. 外傷 : 骨折 捻挫 脱臼 靱帯損傷 2. 感染症 : 骨髄炎 関節炎 結核 梅毒 3. 4. 免疫性 膠原病 : 関節リウマチ 強直性脊椎炎 SLE 5. 代謝性 : 痛風 くる病 骨パジェット病 6. 神経筋性 : 脳性麻痺 進行性筋ジストロフィー ポリオ 7. 骨壊死 : 大腿骨頭壊死症 8. 腫瘍 : 骨腫瘍 軟部腫瘍 転移性骨腫瘍 9. 先天性 : 四肢奇形 股関節脱臼 内反足 軟骨無形成症

大腿骨骨折

肘の骨折

関節リウマチ

関節リウマチ

骨肉腫

側彎症 ( そくわんしょう )

腰椎すべり症

頚椎症 椎弓形成術

椎弓形成術

老化に伴う骨 関節の疾患 骨粗鬆症 ( こつそしょうしょう ) 大腿骨頚部骨折 脊椎圧迫骨折 前腕骨折 上腕骨骨折 変形性関節症 膝関節症 股関節症 変形性脊椎症 頚椎症 腰部脊柱管狭窄症 腰椎すべり症

骨粗鬆症

世界の高齢化率の推移 35 30 先進地域 開発途上地域 北部アメリカ ヨーロッパ オーストラリア ニュージーランド 先進地域以外の地域 日本先進地域 高齢化率 ( % ) 25 20 15 中国韓国 10 開発途上地域 5 0 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 ( 年 ) UN, World Population Prospects. 2008 総務庁総計局 国勢調査 厚生省国立社会保障 人口問題研究所 日本の将来推計人口 ( 平成 20 年 1 月推計 )

平成 20 年度国民生活基礎調査より 寝たきりの原因 介護が必要となった女性の主な原因 脳血管疾患老衰 骨折 転倒 痴呆 関節疾患 パーキンソン病 その他 0 5 10 15 20 25 (%)

骨折発生後の死亡の相対リスク ( 骨折後 3 年間 スウェーデン ) すべての骨折 非椎体骨折大腿骨頸部骨折椎体骨折 6.7(3.08,14.52) 8.6(4.45,16.74) 前腕遠位部骨折 その他の骨折 0.3 1.0 2. 0 5. 0 10. 0 相対リスク (95% 信頼区間 ) 16.0 Cauley JA et al.: Osteoporos Int 11 556-561, 2000

18 Tsuboi M et al.: J Bone Joint Surg 89 461-466, 2007 大腿骨頸部骨折後の生存率 (%) 100 80 歳未満 (%) 100 80 歳以上 80 一般人口 * 80 生存率 60 40 大腿骨頸部骨折患者 生存率 60 40 一般人口 * 20 20 大腿骨頸部骨折患者 0 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10( 年 ) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10( 年 ) 期間 期間 * 一般人口 : 年齢 性別 大腿骨頸部骨折をした時期をマッチさせた集団

各年代別骨粗鬆症の頻度 (%) 60 頻度 40 20 0 男性 女性 山本逸雄 :Osteoporosis Jpn.7(1):10-11,1999

骨粗鬆症の危険因子 内的因子 外的因子 内分泌的因子 身体的因子 女性 高齢 やせ出産数 月経不順 両側卵巣摘出 ( 閉経前 ) 早発閉経 無月経初経から閉経までの年数月経不順 初経年齢 遺伝因子 人種 家族歴 骨粗鬆症 薬剤服用 栄養因子 糖質コルチコイド GnRH アゴニスト 低カルシウム摂取ビタミン D 不足ビタミン K 不足高蛋白摂取 高リン摂取 運動因子 長期臥床日常の身体活動不足 生活習慣 喫煙 飲酒カフェイン多量摂取

骨粗鬆症の病態 骨粗鬆症とは骨強度の低下によって 骨折しやすくなった状態をいう 骨強度は主として骨密度と骨質により規定される NIH Consensus Conference 2000 健常 骨粗鬆症

骨強度に及ぼす骨密度と骨質の関係 約 70% 約 30% = + 骨強度骨密度骨質 BMD 微細構造 骨代謝回転 微小骨折 石灰化 (NIH コンセンサス会議のステートメントより )

骨は絶えず吸収と形成を繰り返している ( 骨改変 リモデリング ) 破骨細胞による骨吸収 骨芽細胞による骨形成

健康な骨における骨改変

閉経後骨粗鬆症の発症メカニズム 骨芽細胞 骨芽細胞 ( 骨形成 ) ( 骨形成亢進 ) 破骨細胞 ( 骨吸収 ) 破骨細胞 ( 骨吸収亢進 ) 骨量 骨量 正常 閉経後骨粗鬆症 東京女子医科大学産婦人科太田博明監修

骨粗鬆症の診断

骨粗鬆症の鑑別診断 : 低骨量を呈する疾患 原発性骨粗鬆症 続発性骨粗鬆症 その他の疾患 閉経後骨粗鬆症老人性骨粗鬆症特発性骨粗鬆症 内分泌性 栄養性 薬物 甲状腺機能亢進症性腺機能不全 Cushing 症候群 壊血病蛋白質欠乏ビタミン A または D 過剰 コルチドステロイドメソトレキセートヘパリン 骨軟化症原発性 続発性副甲状腺機能亢進症悪性腫瘍の骨転移多発性骨髄腫脊椎血管腫脊椎カリエス可能性脊椎炎その他 不動性 全身性 ( 安静臥床 対麻痺宇宙旅行 ) 局所性 ( 骨折後等 ) 先天性 骨形成不全症 Marfan 症候群 その他 関節リウマチ糖尿病肝疾患等

原発性骨粗鬆症診療で健康保険が適用される骨代謝マーカー マーカー名略語測定法 骨粗鬆症診療で算定される保険点数 骨吸収マーカー 血清血清 血漿血清 血漿 尿尿尿 Ⅰ 型コラーゲン架橋 N テロペプチド Ⅰ 型コラーゲン架橋 C テロペプチド酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ デオキシピリジノリン Ⅰ 型コラーゲン架橋 N テロペプチド Ⅰ 型コラーゲン架橋 C テロペプチド NTX CTX TRACP 5b DPD NTX CTX EIA,CLEIA EIA,ECLIA EIA EIA,CLEIA EIA EIA 160 点 170 点 160 点 200 点 160 点 170 点 骨形成マーカー 血清血清 血漿 骨型アルカリホスファターゼ Ⅰ 型プロコラーゲン N プロペプチド BAP P1NP CLEIA,EIA RIA 170 点 170 点 骨マトリックス関連マーカー 血清低カルボキシル化オステオカルシン ucoc ECLIA 170 点

CXD ( 中手骨 ) 499 台 その他 79 台 骨量測定機器普及状況 (2006 年 1 月現在 ) 超音波法 1,156 台 DXA ( 橈骨等 ) 1,353 台 DXA ( 全身骨 腰椎 大腿骨 ) 6,354 台 合計 :9,441 台 財団法人骨粗鬆症財団 骨塩定量分析装置設置医療機関名簿 (2006 年 1 月現在 ) より

DXA( 骨密度測定装置 ) pqct 超音波骨密度測定器 マイクロ CT

骨粗鬆症の診断基準 (2000 年度改訂版 ) Ⅰ. 脆弱性骨折あり Ⅱ. 脆弱性骨折なし 骨密度値 脊椎 X 線像での骨粗鬆化 正 常 YAM の 80% 以上 なし 骨量減少 骨粗鬆症 YAM の 70% 以上 ~80% 未満 YAM の 70% 未満 疑いあり あり YAM: 若年成人平均 折茂肇 他 : 日本骨代謝学会雑誌 18:76-82,2001

好発部位 4 2 3 1 大腿骨頚部骨折 橈骨遠位端骨折 脊椎圧迫骨折

大腿骨頚部骨折 人工骨頭置換術

脊椎圧迫骨折 下肢麻痺

骨粗鬆症での人工関節のゆるみ 骨折 72 才 女性

人工関節術後の骨折 72 才 女性変形性膝関節症 骨粗鬆症 TKA 術後 2 週頃より大腿骨内顆部の疼痛出現 歩行困難となった

骨粗鬆症の予防と治療

高齢者 (65 歳以上 ) の家庭内事故 - 発生場所別内訳 - 総数 14,915 人 ( 平成 20 年の統計東京消防庁 ) 庭 865 人 (5.8%) 廊下 946 人 (6.3%) その他 1.462 人 (9.8%) 階段 1,257 人 (8.4%) 居室 10,385 人 (69.6%) 居室 10,385 人 (69.6%)

骨粗鬆症の予防 運動療法 ( 歩行 体操 水泳など ) 食事療法 ( カルシウム ビタミン 蛋白質など ) 装具療法 ( ヒッププロテクターなど ) ヒッププロテクター

治療の目的 骨折のリスクをへらす 重篤な骨折の予防がより大事 歩けなくなる骨折の予防 大腿骨頸部骨折の予防 椎体骨折後の下肢麻痺の予防

薬物治療開始の選択骨粗鬆症の治療 ( 薬物療法 ) に関するガイドラインより < 骨量減少者 > リスク評価 非薬物治療法による経過観察 高リスク者 骨量急速減少 薬物治療 < 骨粗鬆症者 > 積極的に薬物治療を考慮特に骨折高リスク者 薬物治療

1. カルシウム剤 骨粗鬆症治療薬の分類 2. 骨吸収抑制を主たる作用とする薬剤ビスフォスフォネート ( ダイドロネル フォサマック ボナロン アクトネル ベネット ボノテオ リカルボン ) SERM ( エビスタ ビビアント ) カルシトニン 3. 骨形成刺激を主たる作用とする薬剤 PTH ( フォルテオ テリボン ) 4. 上記 2,3 のいずれにも分類できない薬剤活性型ビタミン D ( アルファロール ワンアルファ エディロール ) イプリフラボン ( オステン ) ビタミン K ( グラケー )

ビスホスホネート (BP) 系薬剤の効力比 分類一般名骨吸収抑制作用の効力比 第一世代 第二世代 第三世代 エチドロネート 1 クロドロネート 1~10 パミドロネート 10~100 アレンドロネート 100~1,000 イバンドロネート 1,000~10,000 チルドロネート 1~10 インカドロネート 100~1,000 リセドロネート 1,000~10,000 ゾレドロネート >10,000 ミノドロン酸水和物 >10,000 Fleisch H: Bisphosphonates in Bone Disease From the Laboratory to the Patien 2000

骨折抑制効果 ( 骨折のある患者 ) (%) 2.5 大腿骨頸部骨折 (%) 5 橈骨遠位端骨折 骨折発生率 2.0 1.5 1.0 0.5 2.2% 51% (22/1,005) 骨折リスク低下 (p=0.047) # 1.1% (11/1,022) 4 3 2 1 4.1% 48% (41/1,005) 骨折リスク低下 (p=0.013) # 2.2% (22/1,022) 0 偽薬 アレンドロネート (1,005 例 ) (1,022 例 ) 0 #:p 値 vs. プラセボ (Log Rank test) 偽薬 アレンドロネート (1,005 例 ) (1,022 例 ) Black,D.M.,et al.:lancet348:1535-1541,1996

正常

骨粗鬆症

骨吸収抑制薬投与時

変形性関節症

変形性膝関節症 (1000 万人以上 / 日本 ) 4-5 倍 女性に多い ( 原因 ) 加齢による関節軟骨の変性 物理的な関節内の損傷 靱帯のゆるみ これに続く炎症 ( 症状 ) 疼痛腫れ ( 関節水腫 ) 可動域制限変形 (O 脚 ) ( 発赤 熱感がないのが特徴 ) 軟骨が摩耗して 軟骨下骨が露出

膝関節のレントゲン像 ( 正面 ) 大腿骨 関節軟骨 腓骨 脛骨

変形性膝関節症とは? 膝の軟骨がすり減り 関節の変形が生じて炎症を起こし 痛みが起こる病気

治療方法 1. 保存的治療 体重のコントロール日常生活動作の注意運動療法 ( 大腿四頭筋の強化 ) 装具療法 ( 膝サポーター 足底板など ) 物理療法 ( ホットパック 温泉など ) 薬物療法 ( 消炎鎮痛薬 関節内注射 ) 2. 外科的治療関節鏡による手術高位脛骨骨切り術人工関節置換術

軽度 変形性膝関節症の治療 中等度 重度 保存的治療 ( リハビリ 装具療法 薬物療法 ) 関節鏡 骨切り術 人工関節

高位脛骨骨切り術

術直後術後 6 ヶ月術後 12 ヶ月

手術創の大きさ 従来法 低侵襲手術 15cm 前後 8~10cm

両側人工膝関節全置換術 高い機能をもった膝関節の再建が可能!!

変形性股関節症 人工股関節

ROBODOC

ロボット手術の実際 ( 人工股関節全置換術 )

健康寿命 : 介護を必要としない 自立した生活ができる 生存期間 男性 :72.3 歳 女性 :77.7 歳 ( 平均 75 歳 日本は世界第一位 ) 健康寿命の延伸 骨 関節疾患の新たな診断技術 予防法 治療法の開発が急務 ( 文化勲章授賞 森光子 92 歳 )