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陸水生態学実習 Ⅰ 若手研究者のための夏季観測プログラム in 琵琶湖 レポート 京都大学農学部資源生物科学科 2 回樋口裕美子 琵琶湖の光減衰率と一次生産者による琵琶湖の 1 日の総生産量の推定 今回 透明度と光子量測定データから琵琶湖の光の減衰度を概算し 光合成測定のデータを用いて 琵琶湖の1 次生産者 ( 付着藻類 植物プランクトン ) による琵琶湖の1 日の総生産量を求めた 方法 1) 光の減衰度の概算水中に投入した光は 水自体による吸収 水中の懸濁物質による吸収 ( 植物プランクトンなど ) 溶存物質による吸収などによって減衰する この度合を示す法則にランベルト ベールの法則があり これは Iz=Ie- az 1 (Iz: 水深 zm における光強度 (ME/m 2 /sec) I: 水面直下の光強度 z: 水深 (m) a: 吸光係数 (/m)) であらわされる ここから log Iz/I=-az 2 と変形でき これにより ある水深における光強度を水面直下の光強度で割って対数をとった値は 水深と比例関係をとるということがわかる この比例定数 a を吸光係数というのだが これを求めるためにはある水深における光強度のデータをプロットし近似曲線をとる必要がある そこで 沖合と沿岸で光量子計を用いて m.5m 1.m の光強度のデータをとり さらにセッキー板を用いて透明度測定を行った結果から その値を光の相対照度 15% の値と定め 光補償深度 ( 相対照度 1% の値 ) を求めた 2) 光合成実験による総生産速度の計算植物プランクトンと付着藻類の光合成測定実験の結果から DO 値を計算で求め コントロール および暗びんとの差から 総生産量 純生産量 呼吸量を求め 吸光度測定により求められる活性のあるクロロフィル量と実験時間から 総 / 純生産速度 呼吸速度をもとめ 酸素と炭素の元素量比を用いて光合成速度を求めた 光合成による総生産速度 P は P=bI/(1+aI) 3 (I: 光強度 P: 単位クロロフィル量当たりの総生産速度 (mgc/mg chl.a/hr)) でもとめられ ここから逆数をとって 1/P=1/b 1/I+a/b 4

と表されるので 先ほどの実験の結果のデータの逆数をとることで a,b の値を求めること ができる 今回は瀬戸さんの求めた植物プランクトンと付着藻類の a b のデータを利用した (3) 吸光度測定による深度によるクロロフィル量の計算 12.5 倍に濃縮した付着藻類懸濁水 24ml と植物プランクトン懸濁水 3ml をガラスフィルターに濾過し アセトンで抽出した溶媒 15ml を 75nm, 665nm,645nm, 63nm の 4 つの吸光度で測り ブランク および各 75nm の吸光度の差を求め ロレンツ法で活性のあるクロロフィル量 (μg/ml) と藻類現存量 (mg/m 2 ) を求めた 活性のあるクロロフィル量の計算式 26.7(E665-E665a) 5 (E665 E665a は各吸光度の値からブランクの値を引いたのち 665nm の値から 75nm の値を引いた値 E665 は塩酸滴下前 E665a は塩酸滴下後の値 ) 藻類現存量を求める計算式 1/1 chl a 濃度 (μg/ml) 抽出量 (ml) ( 懸濁水量 / 濾過水量 ) (1/ 剥離面積 (m 2 )) 6 ( ここでは ( 懸濁水量 / 濾過推量 ) は 12.5 また 今回の剥離面積は 6 センチ四方 5 個なので.36 5=.18(m 2 )) さらに Sea-Bird による水深におけるクロロフィル存在比のデータから各求めたクロロフィル量を水面直下のクロロフィル量のデータとして水深におけるクロロフィル絶対量の値を求めた ( 水深 2~73m) (4) 任意の水深での 1 日の総生産量 (2) によって求めた係数 a, b およびクロロフィル濃度 p 吸光係数 a を用いて任意お水深での 1 日の総生産量 Aday を求めた 式は次のようにあらわされる Aday=p b/a D (1-1/ (1+aImaxe -az )) 7 (Aday:1 日の総生産量 (mgc/m 3 /day) p: 水深 zm におけるクロロフィル濃度 (mgc/m 3 ) D: 日照時間 ( 今回は 13 時間 ) Imax:2 として計算 ) これを 付着藻類と植物プランクトンそれぞれについて求める ( 付着藻類は mgc/m 2 /day) また (2) で求めたクロロフィル濃度 (mg/m 3 ) を炭素換算しクロロフィル濃度 (mgc/m 3 ) および付着藻類現存量 (mgc/m 2 ) として求める際には 元の濃度を 4 倍して計算を行った また 水深あたりの呼吸量を 光合成測定実験から計算し 植物プランクトンの水深約 73m での単位面積当たりの水柱の純総生産量も求めた (5) 琵琶湖の 1 日の総生産量の概算琵琶湖の深度別の面積を測定した既存のデータを用い 付着藻類と植物プランクトン

それぞれの 1 日の総生産量を概算した 光減衰率は場所によらず一定とし 光が届く範 囲の (4) で測定した Aday が存在する限り付着藻類は湖底に存在すると仮定した 結果 (1) 光の減衰度 光量子測定のデータ(ME/m 2 /sec) m.5m 1.m 沖合 124.7 957.7 678.3 沿岸 783.67 675.25 612.3 平均 112.2 816.48(.86165) 645.3(.78132) ( カッコ内の数字は m に対する各水深の相対照度の割合を示す ) 透明度 1 班 2 班 平均 透明度 (m) 8.2 8.5 8.35 相対照度 15% を 8.35m とすると 光補償深度は 21m(.1) となった この 3 点で光相対照度の対数を縦軸に 水深を横軸にとり近似直線を求めると次のよう になった 光減衰度 -.5-1 -1.5-2 -2.5-3 -3.5-4 -4.5-5 5 1 15 2 25 光減衰度 線形 ( 光減衰度 ) y = -.2199x R² =.9947 このグラフから 吸光度係数 a=.2199 と求められた また この結果を Sea-Bird での水深 および水面直下での光強度を先ほどの沖合と沿岸の平均値 112.2 として 1に代入し計算すると 55.75m が光の届く限界値であることがもとめられた

(2) 光合成実験による光合成速度 係数 a, b 瀬戸さんの計算から a/b a B 付着藻類 12.7.33.26 植物プランクトン 2.8 121.824 ともとめられている (3) クロロフィル量 吸光度計測機による結果( カッコ内の数字は計測を行った班 ) 75nm 665nm 645nm 63nm ( 塩酸滴下後 ) 75nm 665nm ブランク (1).82.8.1.16 ブランク (1) 植プラ (1).84.23.17.2 植プラ (1).87.25 藻類 (1).87.6.33.31 藻類 (1).89.55 ブランク (2).86.12.15.2 ブランク (2) 植プラ (2).88.25.2.24 植プラ (2).92.28 藻類 (2).86.11.44.38 藻類 (2).94.92 ただし 塩酸滴下後のブランクは測っておらず 滴下前と同じ値とした ここから 植プラ E665 植プラ E665a 藻類 E665 藻類 E665a 1 班.13.12.47.4 2 班.11.2.89.64 活性のある植物プランクトンのクロロフィル濃度 1 班 2 班 平均 Active chl a(μg/ml).267.243.1335 ここから アセトン 15ml あたりのクロロフィル量を濾過量 3ml と濃縮率 12.5 倍で割る と 植物プランクトンの現存量がもとめられ さらに炭素換算すると 以下のようになる また 6 式から付着藻類現存量ももとめた 活性のあるクロロフィル現存量( 水深 1.75m におけるものと仮定 ) 植物プランクトン (mgc/m 3 ) 21.36 付着藻類現存量 (mgc/m 2 ) 17.8 (4) 植物プランクトンと付着藻類の任意の水深での 1 日の総生産量

以上のデータから式 7 を用いて Aday を付着藻類 植物プランクトンのそれぞれにお いて求め 琵琶湖の面積の既存資料を用いて総生産量を求めると 以下のようになった ( ただしこれは水深 2m~73m の範囲の総生産である ) 25 2 15 1 5 A day ( 植物プランクトン ) 2 4 6 8 ( 縦軸 :Aday(mgC/m 3 /day) 横軸 : 水深 (m)) 18 16 14 12 1 8 6 4 2 A day ( 付着藻類 ) 1 2 3 4 5 6 7 8 ( 縦軸 :Aday(mgC/m 2 /day) 横軸 : 水深 (m)) また ここから 1 日の Aday の各平均値を求めると 植物プランクトン (mgc/m 3 /day) 49.225 付着藻類 (mg/m 2 /day) 196.47 となった

植物プランクトンの呼吸量と総生産量の関係 25 2 呼吸量 (mgc/m3/day) A( 植物プランクトン ) 15 1 5. 2. 4. 6. 8. 植物プランクトンの光合成実験のデータを利用して 呼吸量を求めた 呼吸量は コントロールの DO 値から暗瓶の DO 値を引き 瓶に存在するクロロフィル量で割り クロロフィル量当たりに直し さらに測定時間 38 分を用いて単位時間当たりの呼吸速度を求め 呼吸速度は常に均一であると仮定して 24 時間 (1 日 ) あたりの呼吸量を求め Sea-Bird からだした水深あたりのクロロフィル絶対量をかけて求めた 先ほど求めた総生産量から 呼吸量を引いたものを.25m ごとのプロットで足し合わせることで 大体の純総生産を求めると 水深 73.25m の単位面積当たりの水中の 1 日の総生産量は約 29(mgC /day) ともとめられた (5) 植物プランクトンと付着藻類の琵琶湖全体の 1 日の総生産量 もとめたデータから 次のようになった 総生産量 (gc/day) 純総生産量 ( 呼吸量を引い た値 )(gc/day) 植物プランクトン 1938.89 1938.61 付着藻類 21.17 198.72 呼吸速度の値は付着藻類も植物プランクトンと同じとして計算した 考察今回の 1 日の単位面積当たりの総生産量の平均値から 1 年の平均値を出すと 植物プランクトン付着藻類 1 年の総生産量平均 (gc/m 2 /y) 16.53 7.28 となり 植物プランクトンより付着藻類のほうがかなり大きいということがわかる この結果を野崎 (22) 陸水生態学雑誌の表 1 の結果と照らし合わせると 植物プランクトンの値が極めて小さい また 植物プランクトンの値が付着藻類より大幅に小さいのも

表の結果と一致しない ただ 付着藻類の純総生産力は表で見る限り 6 年代より大幅に上昇しているようである 付着藻類だけでいうとこの結果はそれほど間違っていないようである 個人的には 付着藻類はクロロフィル量も大きく 抽出液の緑色も濃いことから 光合成量や総生産力は植物プランクトンと同量で考えると付着藻類のほうが大きいと思われる ただ 本来はこの結果で出た水深よりも浅いところにしか存在していないので 植物プランクトンよりも生産力が小さいとも考えられる Aday で植物プランクトンの量が異常に低いのには 以下の原因が考えられる 1) 光合成測定から求めた a,b の値 2) 光減少度の吸光度係数それ以外の計算手法が間違っているということも考えられるが Aday の式には吸光度係数と a,b の値が大きく作用することを考えると この二つが有力だと思われる また今回の実験では 実験値が明らかに適していない値などもあり 大幅に値を省いたところもあったため 完全に正確なデータは出なかったと思われる できればまたもう一度実験をしてその値でもう一度計測してみたいと思った