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6. 自発的対称性の破れとヒッグス機構 : 素粒子の標準模型 Dc 方程式.5 を導くラグランジアンは ϕ ϕ mϕϕ 6. である [H] Eu-nn 方程式 を使って 6. のラグランジア ンから Dc 方程式が導かれることを示せ 6. ゲージ対称性 6.. U 対称性 :QED ディラック粒子の複素場 ψに対する位相変換 ϕ ϕ 6. に対して ラグランジアンが不変であることを要請する これは簡単に示せる 更に空間の各点での位相 α に対して変換 6. が成り立つとすると ϕ ϕ 6. 6. を式 6. に代入しても ϕ α ϕ ϕ となり ラグランジアンは不変となっていない ここで Dc 方程式に電磁場を加えた時に 方程 式中で p p qa D A 6.4 と置き換えたことを思い出す 同様に電磁場 A を加えた共変微分 を導入する ラグランジアンを不変にするためには Dϕ Dϕ 6.5 と変換すればよい つまり電磁場 A が A A α 6.6 と変換すればよい 言い換えると 6.6 のように変換するベクトル場が存在すればよい 6. のラグランジアンは ϕ D ϕ mϕϕ ϕ m ϕ ϕ ϕa 6.7 ここで 6.7 の最終項は A ja でディラク粒子 のカレント と電磁場の相互作用 ϕ ϕ を表している 注 : 電磁場の運動エネルギー項は省略している 59/67

6/67 6. の局所位相変換を局所ゲージ変換と言い ベクトル場 A をゲージ粒子という ここでは QED の U ゲージ群におけるゲージ変換を取り上げた 6.. SU 対称性 : 弱い相互作用弱い相互作用では SU 変換で局所ゲージ対称性を持つためには ν ν α 6. の変換に対し 注 : はパウリ行列 共変微分 D 6.9 を成り立たせる ゲージ場, が存在する必要がある ゲージ場 は α α 6. と変換する必要がある これより弱い相互作用のラグランジアン の一部 は D 6. となる 第 項は粒子の弱カレント 5. 5. 式参照 と弱ベクトルボソンの相互作用を表してる 6.. U SU: 電弱相互作用 5. 章の議論を思い出し SU 変換に対して不変な弱ハイパー苛カレントがもつハイパー荷を使って U ゲージ変換と SU ゲージ変換に対する変換は β β α ν ν 6. で共変微分は D 6. でラグランジアンの一部 ゲージボゾンの運動エネルギーや相互作用はなし は 6.4 となる ここで - - である ラグランジアン 6.4 は U SU ゲージ変換に対して不変である ここで 6.4 が質量項 mψ ψ を含んでいないことに注意 実は質量項は U SU ゲー

ジ変換対称性を破る 実際質量項は 5 5 mϕ ϕ mϕ ϕ m ϕϕ ϕϕ 6.5 の形をしており ψ はアイソスピン 重項 ψ はアイソスピン 重項に属しているので ゲージ対称性を破っている {6. 式参照 } つまり U SU ゲージ理論のラグランジアンはあらわな質量項を許さない ではどうやって質量項を含んだ理論にするのか Hs 機構がそこを説明する 6. 自発的ゲージ対称性の破れとヒッグス機構 6.. U 対称性の破れ 複素スカラー場 ラグランジアンは T V * * に対し ポテンシャル * * * λ 6.6 V λ を持つ で U ゲージ対称性 6. に対して不変である λ> < の場合 ポテンシャル V は下図のような形になる ポテンシャル V を最小にする の値は λ を満たす変数 の円周場にある この円周上ではどこでもポテンシャル V は最小であるが 実際にラグランジアンを V 最小の点近傍 真空の周り で展開するために の点を選ぶ この場合, η ξ 6.7 6/67

として展開する この選択により一般性を失うことはないが この選択を行ったことは U ゲージ対称性を破ることと等しい つまり は成り立っていない この操作を自発的対称性の破れという つまり基底状態では対称性が見えなくなる { 例は教科書を参照 } 次に 6.7 を 6.6 に代入すると ξ η η η, ξの 次以上の項 4 η, ξ は真空の周りの微小変化量なので 次以上の項を無視する 6. m なの クラインゴードン方程式を導くスカラー場のラグランジアンは で 6. 式はη 場が質量 m を獲得したことを示している またξ 場は質量が となっている 図で説明 この自発的に対称性が破れる際に現れる質量 のスカラー粒子を南部 ゴールドストンボソンと言う 6.. SU 対称性の破れ次に SU 対称性の自発的対称性の破れについて考える この場合は SU 重項の複素スカラー場 α β 6.9 4 を導入しポテンシャル T V λ 6. を考える ここでは SU 変換に対して不変である 共変微分 6.9 を用いて SU のゲージ場 を導入すると は SU 対称性のもと 6. 式のように変換する ここで 6.. 章の結果の考察から λ> < の場合にのポテンシャルの真空として をとり その真空の周りで 6. h を展開する 注 正確には 6.. 章同様 と展開すべきであるが 南部ゴールド h 6/67

6/67 ストンボソン は h h のようにゲージ変換の自由度に吸収される Q ページ 4 6. を共変微分で書くと λ で 6. 式を代入すると [ ] 6. という項が現れる 式 6. から弱い相互作用のゲージボソン が質量 M を獲得したことを示している つまり ゲージボソンは自発的対称性の破れ 真空が と選ばれたことにより により質量を獲得した これをヒッグス機構という また最後に残った場 h がヒッグス粒子を表している ヒッグス粒子の質量は 6.. 章 6. 式より m h λ 6. である ただし λ が任意なのでヒッグス粒子の質量を予言することはできない 6.. U SU の破れこれまでの 6.. 章 6. 章の議論を参考にしながら U SU ゲージ変換の自発的対称性の破れを考える SU 重項の複素スカラー場を U 対称性を考慮してハイパー荷 となるように 4 6.4 ととり 真空期待値として を選ぶ ここでハイパー苛は 5.5 式の関係 T Q を満たす 今までと同様にゲージ不変性を保つために 共変微分を使うとラグランジアンは

64/67 λ であり ラグランジアンは [ ] [ ] 6.5 6.5 式の最終段の第 式は荷電ゲージボソンが質量 M 6.6 を獲得したことを表している また 6.5 の中段の式の第 項から と の線形結合 が質量を獲得していることがわかる 場を規格化して Z 6.7 を定義すると 6.5 の中段の式の第 項から Z ボソンは質量 M Z 6. を獲得したことが分かる また と の線形結合で Z ボソンに直行している成分 A 6.9 は質量ゼロの光子を表している ここで 5. 5. 式を思い出して Z A cos sn sn cos cos sn 6.6 と 6. を比べると

M cos 6. M Z である [H] 式 6. から の質量.4GV/c Z の質量 9.GV/c をもとにワインバー グ角 sn を求めよ G [H] フェルミ定数 G は 4. 式 と定義され G.66-5GV - M M.4GV/c と分かっている 6.6 式を使って真空の期待値 を求めよ 6. フェルミオンの質量とヒッグス粒子最後にヒッグス機構でフェルミオンの質量がどのように生成されるかを考える 6.. 章 6.5 式より フェルミオンの質量項はゲージ不変性を破るので直接ラグランジアンに組み込むことはできなかった ここでゲージ不変なフェルミオン レプトンを取り上げる とスカラー場の相互作用項 G ν ν 6. をラグランジアンに組み込む 再び対称性を自発的に破って 6. 式のように真空期待値の周りで展開すると G G h 6. となる 6. 式の第 項は探していた質量項であり この質量項は 6.5 式で見かけ上ゲージ不変性を破っているが これは対称性を自発的に破ったために現れたのであり もともとのラグランジアン 6. はゲージ不変である よってレプトン の質量は m G 6. となる ただし G は,, は各レプトンごとに任意の値であり 実際の質量を予言することはできない 式 6. の第 項はヒッグス粒子とレプトンの相互作用項であり 6. よりヒッグスとレ プトンの相互作用の強さ G m は各レプトンの質量に比例することが分かる よっ てヒッグス粒子の性質として 各レプトンとそのレプトンの質量に比例した結合定数を持つ相互作用を行う 65/67

クォークの質量に関してもほぼ同様の議論をすることでヒッグス粒子とクォークの相互作用の強さがその質量に比例することがわかる 6.4 標準模型 Gshow-nb-Sm 模型 最後に標準模型のラグランジアンを記す このラグランジアンの U SU ゲージ対称性を自発的に破ることで ゲージボソン ± Z が質量を獲得し かつ光子 A は質量ゼロのゲージ粒子として 存在する Z A は U のゲージ粒子 と SU のゲージ粒子 との線形結合で 表され A Z の変換をつなぐ回転行列の回転角がワインバーグ角 である レプトン クォークも質量を獲得する ヒッグス粒子が現れ ヒッグスは各フェルミオンに対してフェルミオン質量に比例した相互作用結合定数を持つ ただしヒッグス粒子の質量は予言できない 現在の標準素粒子模型において唯一つの未発見粒子であり 自発的対称性の破れの根源であるヒッグス粒子の発見は 素粒子物理学の最も重要な課題の一つである この目的のために 7 年度からヨーロッパ CEN 研究所で HC 実験が開始される予定である 66/67

7 最後に 6 年度執筆予定 67/67