線型代数試験前最後の 3 日間 できるようになっておきたい計算問題 ( 特に注意 まぁ注意 ) シュミットの直交化とその行列表示 (P5) ユニタリ行列による行列の対角化 (P8) 数列, 微分方程式の解法 対角可能な条件もおさえておきたい とりあえず次の問題を ( まだやっていない人は ) やって

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Transcription:

線型代数試験前最後の 日間 できるようになっておきたい計算問題 特に注意 まぁ注意 シュミットの直交化とその行列表示 P ユニタリ行列による行列の対角化 P8 数列 微分方程式の解法 対角可能な条件もおさえておきたい とりあえず次の問題を まだやっていない人は やってください 8 年 月 日 理二三 組の線型代数担当志甫先生の過去問から持ってきました 結構計算が大変だったと思います これが難なくできる人は以下の総復習編はさらっと目を通すだけで あるいは無視してもらってもいいんじゃないかと思います この問題の解説は hp:brfcs.yhoo.co.pzy_koch の 過去問 においてあります このブリーフケースには他にも講義内容のまとめや 演習解説なども置いています このブリーフケースをこの資料では シケプリ置場 と呼ぶことにします この資料は主に齋藤正彦線型代数入門 及び演習川又先生の講義 演習 過去問志甫先生のレポート問題 過去問シケプリ置場にあるその他資料の内容をもとにシケ対野添が構成しなおしたものです 断りなく用いている記号については 授業ノートや教科書等を参照してください 練習問題を各所に入れてあります 答えがないものに関してはお手数ですがシケプリ置場から探してください お問い合わせは野添までお願いします

問題に答えながら進める試験範囲総復習 線型空間の定義線型空間の定義を教科書等で確認してください 次元 基底といった言葉について自分なりに説明できますか 問 独立変数 に関する実 または複素 数係数の 次以下の多項式全体のなす集合は 自然に実 または複素 線型空間になることを証明し 次元を計算せよ 冬学期川又演習 線型写像 部分線型空間線型写像 f f の像空間 m f 核空間 Kr f の定義の確認 部分線型空間の和 + 直和 について確認 問 次元線型空間 V 内の線形部分空間 W W に対して dm W W dmw dmw dm W W dmw dmw を示せ 等号が成り立たない例をあげよ 冬学期川又演習 線型写像の表示 基底の取り換え 次元線型空間 V と線型変換 f V V : を考える V の基底 f を表示する行列 はどのように定義されるかを説明しなさい V の別な基底 をとったときに w w をとると w は の線型結合として表せる V が線型空間であることからこのことを説明してみよう 基底 w w に関する f を表示する行列を B とする 基底の取り換え行列 P がどの ように定義されるか説明し B P P となることを示しなさい を用いて行列式 d が f だけで決まり 基底の取り方によらないことを示しなさ い 解答例 f は の線形結合だから 年度冬学期末試験川又第 問 誘導追加 f のように表わせる はスカラー 係数 を並べた 次正方行列が f を表示する行列

と定義される すなわち 線型空間とはいくつかの線形独立な元 この組が基底である の線形結合として表されるもの全体の集合であることを考えると w は 次元線型空間 V の元だか ら の線形結合として表せ となる w p 係数 p を並べたのが基底の取り換え行列 P である すなわち p P p p p w w P 教科書 Pの図と説明 または 冬学期まとめ のまとめを参照しながら B P となることを自分で納得するまで考えてください P B P P P P P P よって f を表す行列の行列式は基底の取り方によらない コメント : 線形写像の行列表示の定義という今学期の内容の土台となる事項です うまく 解答できなかった人は納得できるまで考えてください 行列式を忘れていた人は復習して おきましょう 階数 ランク 行列の階数について復習しておこう 基本変形を覚えていますか 線型写像 f の階数 rkf と書く は像空間の次元 dm m f で定義される f の行列表示を考えることにより 両者は同じものであることがわかる 川又演習 77 参照 解答例はブリーフケースにおいてある 以下に各問題文を示す

7. 次元線型空間から m 次元線型空間への線型写像の階数が r のときその核の次元は -r であることを示せ この定理はよく用いる.m 行列 とBに対して rk B rk rk B を示せ 7. l m 行列 と m 行列 B に対して rk B m{rk rk B}. l m 行列 と m 行列 B に対して B ならばrk rk B mを示せ. l m 行列 と m 行列 B に対して が正則ならば rk B rk B B が正 則ならば rk B rk B となることを示せ 内積 内積の定義内積とは複素線型空間 V のつの元に複素数を対応させる操作で次の性質を満たすものをいう y に対応する複素数を と書くことにすると y y 等号成立は が零ベクトルのときに限る ここで上棒は複素共役を意味する の負でない平方根を の長さまたはノルムと言い と表す のとき y は直交するという 内積の定義された複素線形空間をユニタリ空間と言う 実数版をユークリッド空間と言う 項数ベクトルの内積の定義を示し それが上の条件を満たすことを示しなさい 解答例定義式は y と y に対して y y y 複素線形空間における一般的な内積の定義をみたすことについては省略 V の基底として

を満たす基底 を正規直交基底と言う 正規 : 長さの意 このとき y y と表せることを示しなさい また内積を表しなさい 解答例 : y y とおけばよい つまりユニタリ空間の元は正規直交基底に 関して 次式の形に展開できてその係数は基底をなす各ベクトルとの内積で不えられる また y の内積は となることを に注意して確認しなさい y 参考 : 線型空間はベクトル空間ともいう その元をベクトルという いくつかの数を並べ たものは特に数ベクトルと言う 次元平面や 次元空間で向きと大きさをもつものは幾 何ベクトルと呼ばれる y シュミットの直交化法 次元ユニタリ空間 V において r r が を満たしているとする このとき r が線型独立であることを示しなさい V の元で r の線型結合で表せないものが存在する なぜか それを とする r r とすれば r r もを満たすことを示しなさい 解答例 : r o と の内積をとることによって がわかる つまり o と r は同値 よって線形独立性が示された r が示される 長さは自明 r

以上からユニタリ空間には必ず正規直交基底が取れることを示しなさい また以上の問いは正規直交基底の具体的な作り方を示唆している 次の問いで実際に正規直交基底を作ってみよう 次元実数ベクトル空間の基底 から正規直交基底を作りなさい 年度夏学期末試験川又第 問 解答例 とおく まず を長さ にする 次に を長さ にして 最後に より

7 を得る こうして得た が正規直交基底である 上の問いの解答過程を見直して を示しなさい ユニタリ行列の定義を述べなさい 調べなさい 上の問いで現れた行列 がユニタリ行列であることを確かめなさい ここでとりあげた のように一般に正則行列は同じサイズのユニタリ行列と三角行列の積になることが示される 川又演習 や教科書第 章末問題 の解答例などを参照しながら確かめてみよう 名前の付いている行列わからない言葉は自分で確認してください 元の行列を として以下簡単に記します 単位行列 逆行列 はいいですね 転置行列 行と列の入れ替え 随伴行列 = 転置 + 複素共役 エルミート行列 : 実対称行列 : エルミートの実数版 ユニタリ行列 : 直交行列 : ユニタリ行列の実数版 実交代行列 : 正規行列 : 問 上にあげた行列のうち正規行列であるものをあげなさい

固有値 対角化線型変換によって定数倍になるときその数を線こうたい行列形変換の固有値 定数倍になるようなベクトルを固有ベクトルと言う 例 : 漸化式 を満たす実数列 { } 全体の集合は 次元実線形空間である なぜだろう? } を } に対応させる写像は線型変換である 確かめてみよ { { う この線型変換を T とする このとき { } が を満たすこと Tによって されることを確かめて みよう つまり がTの固有値で 上で不えた数列が固有ベクトルとなっている 固有値を求めるには 固有方程式と呼ばれるものを導き 解かなくてはならない さらに固有値が求まると固有ベクトルも求まる さらに線型変換によっては固有ベクトルを基底にとることによって対角行列として表すことができる 具体的な問いで対角化の流れを見てみよう 問次の行列 に対して ユニタリ行列 B を見つけて さい B B が対角行列になるようにしな 年度冬学期末試験川又 解答例 : 詳細な計算は略す 固有方程式 を解くと となるから を得る 固有値 -- に対する固有ベクトルとしてこの順に 8

がとれる は虚数単位である それぞれ長さを になおして でわる 並べた行列はユニタリ行列である これを B とおく すなわち B このとき B 転置するだけでなく複素共役をとることに注意 よって は次のように対角化される コメント : 基本的な問題ですが計算が大変です ここには示していませんが行列式の計算は注意深くやりましょう 行列式の計算の仕方を忘れた人は復習しておきましょう また複素数を成分にもつベクトルの場合 内積をとったり大きさ ノルム を考えたりする際 片方の複素共役をとるのを忘れないよう気をつけましょう この問いではユニタリ行列で対角化できたが一般にはそうはいかない さらにたとえ固有値が全く同じでも対角化できるとは限らない 正方行列が対角化できる条件問 固有空間の定義を述べなさい 次の行列 B の固有値が だけであることを示し その固有空間を求めなさい

B 年度冬学期末試験川又第 問改 解答例固有空間とはある固有値に属する固有ベクトル全体の集合のこと これは部分線型空間である も B も対角成分が の三角行列だから固有方程式は となりともに固有値は だけ 次元行列だから固有値は最大で 種類ありうる この場合は五重解になっていて 重複度が である と言う となるから固有空間は C ; である 一方 B を基本変形すると B となるので 固有空間は C ; y y である このように固有値が一致しても固有空間も一致するとは限らない また固有値がすべて であって対角化可能な行列は単位行列を 倍したもの に限ることが容易に示される 確認してみてください の固有空間はその行列のサイズと一致する 上のと問いでは 次元だったから 固有空間は 次元である 一方 の固有空間は 次元 B の固有空間は 次元であった これらの事実は次のように一般化される ある行列 に対して 適当な正則行列 P が存在して P P が対角行列で表わされるための必要十分条件は の各固有値に対する固有空間の次元がその固有値の重複度に一致することである

これを線型空間の言葉で言うと 線型空間 V の線型空間 T が適当な基底に関して対角行列で表わされるための必要十分条件は V が固有空間の直和になることである このことを用いて冒頭の問題 志甫過去問 の を解いてみてください 次にユニタリ行列で対角化できる場合について述べると ある行列がユニタリ行列で対角化可能であることはそれが正規行列であることと同 値 エルミート行列 実交代行列などは正規だからユニタリ行列で対角化可能である 問 固有多項式が重根を持たないような 次正方行列は対角化可能であることを示しな さい 川又演習 7 問 となる 次正方行列 について次を示しなさい の固有値は と のみである に対する固有空間は の核空間 に対する固有空間は の核空間である の像空間は の核空間に等しい 同じく の像空間は の核空間に等しい 任意の 次元数ベクトル に対して と書けることから 次元数 ベクトル空間が の像空間と の像空間の和になっている 特に直和である は対角化可能である 問 が実交代行列 の任意の固有値の実部は である はユニタリ行列により対角化可能 O なら直交行列で対角化丌可能 の階数は偶数である は正則である 解答例 問 川又演習 ; 志甫過去問第 問の類題 を満たす成分が実数の行列 のとき次を示せ 志甫過去問第 問 ; 川又演習 - 固有方程式の解を とする これらは相異なるとする に対する固有ベクトルを とする もし が一次独立でないとすると k は独立だが k k は独立でないような k が存在して となるが k k

o k k k k k k k k が 次独立であること が互いに異なることから k となりk o となり矛盾が導かれる したがって は一次独立で P とおくと k P P となる 問 とすると である一方 だから 固有空間 核空間の定義から明らか O より m Kr である一方 Kr に対し Kr であるから Kr m よって Kr m 問題文に書いたようにC m m から C Kr Kr Kr Kr とすると o o Kr Kr だから C Kr Kr 以上より 次元複素数ベクトル空間は に対する の固有空間と に対する の固有 空間の直和になり は対角化可能である 問 内積を考える の固有値 に対する固有ベクトルを とすると から となり の実部は より は正規行列だからユニタリ行列により対角化可能である は志甫過去問解答例を読んでください の固有値を重解を含めて とする から適当なユニタリ行列 が存 在して

となる すると より だから 逆行列が存在して よって となり は正則であることが示された ケーリーハミルトンの定理 の固有多項式を とすると 問 正則行列 の逆行列は の多項式で表せることを示しなさい 解答例 が正則なら o o より は を固有値に持たない よって の固有多項式を とすると ゆえ ケーリーハミルトンの定理より