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01/5/7 北海道大学工学部情報エレクトロニクス学科システム情報コース システムマネジメント System Maagemet ー品質のマネジメントー 担当 : 小野里雅彦 品質 (Quality) とは JIS 品物又はサービスが, 使用目的を満たしているかどうかを決定するための評価の対象となる固有の性質 性能の全体 ISO9000 ( 国際標準 ) Degree to which a set of iheret characteristic fulfills requiremets 変化 規格 (stadard) に対する合致度 (coformace) 要求 (requiremet) に対する合致度 性能 品質 グレード 規格 グレード L に対する要求 グレード M に対する要求 グレード H に対する要求 評価値 低 高 1

01/5/7 Made i Japa 衣料品 玩具中心 粗悪品 第二次世界大戦統計的品質管理の導入 ( 米国 ) 1950 W.E.Demig 博士,J.M. Jura 博士来日 優秀な工業製品の輸出増大 1950 年代 Niko カメラ 1960 年代 Hoda 二輪 1970 年代日本車輸出急増 1980 年代 Soy Walkma 新興工業国の成長製造拠点の海外展開 安くて高品質 信頼のブランド 珍しい! 日本 HP シャープ 統計的品質管理の基本 無限母集団 統計量 有限母集団 ( ロット lot) 統計量 統計処理 推定 測定値 測定 試料 無作為抽出 連続量 : 計量値 (variable) 離散量 : 計数値 (discrete value) 統計における4つの原理 標識化の原理 数量化の原理 層別の原理 確率化の原理

01/5/7 データの ばらつき 製品品質の評価項目の測定値がばらつくのは 品質変動の原因 例 : スプリングの長さ 材料のばらつき 製造装置のばらつき 製造プロセスのばらつき 測定方法 ( 機械 ) のばらつき みかけ上, 製品品質のばらつきに 偶然原因 (chace cause) 技術的, 経済的に不可避な原因 突き止めうる原因 (assigable cause) 技術的に除去可能な原因. 可避原因 管理された状態 0 を目指す 統計量の性質 試料の測定値の集団の特性 ( 統計量 ) (1) 中心的傾向 (1 次 ) 平均値 (mea) メジアン (media: 中央値 ) 最頻値 (mode) () ばらつき具合 ( 次 ) 範囲 (rage) 分散 (variace), 標準偏差 (stadard deviatio) (3) 分布の偏り (3 次 ) 歪度 (skewess) a (4) 中央のとがり (4 次 ) 尖度 (peakess) b {11 1 13 14 14 14 15 16 19 8 9 30 3} 19.0 15.0 14.0 11-3 55.4 7.4 正規分布 a < 0 a 0 a > 0 正規分布 b < 0 b 0 b > 0 3

01/5/7 ばらつきに関する統計量 平方和 (sum of squares) i 1 i 1 i 1 S i i i 分散 (variace) s i 1 i 標準偏差 (stadard deviatio) s i 1 i S S i {5 1 8 4 5 7} 平均 5.0 平方和 30.0 分散 5.0 標準偏差.4 正規分布 (ormal distributio) 確率密度関数 1 1 f ( ) ep : 平均値 : 標準偏差 正規分布に関する知見 3 0 3 ほとんどのデータは 3 の範囲に含まれる. 16% 68% 16%.5% 95%.5% 0.15% 99.7% 0.15% 1. 96. 58 95% 99% 4

01/5/7 正規分布の標準化 正規分布 : 平均値 : 標準偏差 変数変換 u 平均値 0, 標準偏差 1の正規分布 標準正規分布 (stadard ormal distributio) 余談 : 偏差値 (stadard score:ss) SS( ) 50 10( ) 余談 : シックスシグマ品質管理用語 : 100 万回で不良品 3,4 個を目指すもの. 問題 学生 30 名の試験で, 平均点 5 点, 標準偏差は 1 点であった. (1) 点数 61 点の学生 の偏差値は? (61-5)/1 10 + 50 (9/1) 10 + 50 57.5 () 偏差値 70 の学生の試験は何点と推定できる? 5+(70-50)/10 1 76 (3) 偏差値 70 の学生より上位に何人ぐらいいる? 偏差値 70 は上位 σ 約.5% 30 0.05 8 ただし, 試験成績分布が正規分布と仮定する. 68% 95% 5

01/5/7 精度と正確度 同一の対象に対して 5 つの異なる方法で測定した結果 C ばらつき偏り誤差 狭 小 小 狭 大 大 広 小 大 平均値の偏り (bias) 正確度 (accuracy) データのばらつき 精度 (precisio) D E 広 大?? 大 大 偏りは較正 (calibratio) によって取り除くことができる ( ことがある ). 母平均 図 : 鈴木武著 : 近代品質管理総論 ( 日刊工業新聞社 ) より 母集団の母数 : 母平均 : 母標準偏差 母数の推定 個のデータ平均値 個のデータ平均値 個のデータ平均値 個のデータ 平均値 1 3 k 平均値 の分布の期待値 E() 測定を繰り返すと, の平均値は 平均値 無限母集団 の分布の分散 V ( ) 有限母集団 (N) N V ( ) N 1 母分散の推定 不偏分散 ubiased estimate of variace S V 1 平方和 自由度 6

01/5/7 分散の加法性 確率変数, y z y が互いに独立とする分散 z 確率変数の分散は z y が成り立つ. 分散の加法性 z y 平均値の分散 でも一緒 1 1 3 1 1 1 3, y 3 4 5 1 許容範囲を 問題 : 組合せにおける許容差の設定 3 で設定するとして [1] L 160 0. 8mm 16 枚 ブロック 1 個あたりの許容誤差は? D 10?mm [] 穴の直径 D 軸の直径 d 穴と軸の加工精度 ( 分散 ) は等しい穴と軸のすきま D-d の許容範囲が D d 0.5 0. mm 穴の直径と軸の直径の許容範囲は? 7

01/5/7 つの判断の誤り 第 1 種の過誤 (error of the first kid) 異常原因がないのに, 異常原因があったと判断する誤り ( 母集団に変化がないのに, 変化したと判断する誤り ) 別名 あわて者の誤り (error of commissio) 第 種の過誤 (error of the secod kid) 異常原因があるのに, 偶然原因として見逃してしまう誤り ( 母集団に変化があるのに, 変化がないと判断する誤り ) 別名 ぼんやり者の誤り (error of omissio) 母集団 c 試料 cで母集団が変化と判断 a あわて者の誤り eで母集団が変化なしと判断 d ぼんやり者の誤り b e 現実には母集団の分布, を見ることはできない! 鈴木武著 : 近代品質管理総論 ( 日刊工業新聞社 ) より 計量値の検定 推定 (1) 分散の差の検定 つのデータのばらつきの差を不偏分散の比で検定 () 平均値の差の検定 ( 分散に差がない場合 ) (a) 比較対象の母集団の平均値, 分散が既知 (b) 比較対象の母集団の平均値は既知, 分散が未知 (c) つの試料平均値の差の検定 (3) 母平均の推定試料平均値に対する信頼区間の決定 (4) サンプル数の決定 ある信頼区間で母平均を推定するために必要なサンプル数の決定 8

01/5/7 帰無仮説 帰無仮説 (ull hypothesis) とは 差がない, 効果がない という仮説 この仮説が棄却されるとき, 差がある, 効果がある ということが結論づけられる. H 0 帰無仮説と対立する仮説を対立仮説 (alterative hypothesis) という. H 1 有意水準 (level of sigificace) とは帰無仮説が成立しているにもかかわらず, 帰無仮説を誤って棄却してしまう確率 第 1 種の過誤 ( あわて者の誤り ) 危険率ともいう. 0.01, 0.05 が多く使用される. (1- 危険率 ) 信頼率 両側検定 / 片側検定 検定する平均値について何の情報もないとき 分布の両側で有意水準を設定 両側検定.5%.5% 検定する平均値について大小関係がわかっているとき 分布の片側で有意水準を設定 片側検定 正規分布の場合 u 0 5% u(0.05) 1.960 u(0.01).576 u(0.05) 1.645 u(0.01).36 9

01/5/7 平方和不偏分散 V S 分散の検定 1) 帰無仮説をたてる H0 : 1 ) 対立仮説をたてる H : 1 1 両側検定 S H1 : 1 > ( またはその逆 ) S S 1 S S V 1 片側検定 3) 不偏分散の比を求める V FO >1 V 4) F 分布表の F F( a,, ) と比較をして判定する. F O F : 仮説 H 0 を危険率 aで棄却 F 仮説を維持 O < F : H0 平均値の検定 (1) 母集団の平均 分散 が既知 1) 帰無仮説をたてる H : 0 0 ) 試料平均 を求める u 0 / 3) を求める u0 / 4) 正規分布の危険率 u(a) で検定 u0 u : 仮説 H 0 を危険率 aで棄却 u 仮説を維持 0 < u : H0.5%.5% 10

01/5/7 平均値の検定 () 母集団の平均 が既知, 分散 が未知 1) 帰無仮説をたてる H : 0 0 ) 試料平均 と試料標準偏差を求める t 0 e 試料からもとめた母集団の偏差の推定値 : 不偏分散の平方根 3) を求める t0 / e 4) t 分布の自由度 1危険率 a の t( 1, a) で検定 t0 t : 仮説 H 0 を危険率 aで棄却 t 仮説を維持 0 < t : H0 平均値の検定 (3),つの試料平均値を検定する 1) 帰無仮説をたてる H0 : ) 試料平均値, を求める e 3),から母標準偏差をとして推定する S S 4) t 0 を求める e t 0 e 5) t 分布の自由度 危険率 a の t で検定 t0 t : 仮説 H 0 を危険率 aで棄却 t 仮説を維持 0 < t : H0 1 1 11

01/5/7 母平均の推定 点推定 (poit estimatio) と 区間推定 (iterval estimatio) 母平均の点推定 : 試料平均値 母平均の区間推定 : 母集団の分散 信頼区間 が既知の場合 u( a ) u( a) 母集団の分散 が未知の場合 V t( 1, a) t( 1, a) V 母平均 ( 未知 ) 試料平均 不偏分散 サンプル数の決定 ある分散 を持つ母集団の平均値を, ある信頼区間で推定するには, サンプル数 をいくらにすればよいか? E u( a) / 例 : 試験の平均点の推定 標準偏差 10 信頼区間 5 u( a) E 危険率 5% u(0.05) 1.960 15.36 (~ 16 人 ) 危険率 1% u(0.01).576 6.54(~ 7 人 ) 1

01/5/7 計数値 : 不良率と欠点数 不良率 (level of defectiveess) 母集団中に含まれる不良品の割合 /0 0.1 欠点数 (umber of defects) 単位あたりに含まれる欠点 ( 欠陥 ) の数 1/0 0.6 不良率の統計量 母集団の不良率 P 母集団から品物を個ランダムに取り出した時に不良品が 個となる確率 P 二項分布 (biomial distributio) P P ( 1 P) ( 0,1,,, ) 不良個数の期待値分散不良率の期待値分散 E ( ) P V( ) P(1 P) E ( p) P V ( ) P(1 P) / 13

01/5/7 欠点数の統計量 母集団の単位当たりの欠点数の平均値 P 試料中の単位あたりに欠点が m 1 1 e! P e m m! P ( 0,1,,, ) m 個現れる確率 P ポアソン分布 (Poisso distributio) 0 0.3595 1 0.3595 0.1797 3 0.0599 4 0.0150 欠点数の期待値 分散 E ( ) m V ( ) m 計数値の検定 つの不良率の差の検定 サンプル : 個検査して a 個不良 サンプル : 個検査して b 個不良 1) 帰無仮説を立てる. 差がない ) 平均不良率を算出 p(a+b)/(+) 3) u0 を求める u 0 a b ( ) 4) 危険率 5% または 1% で検定する. 1 1 p(1 p) ( ) 従来の不良率との比較の場合 (を従来とする) a p(1 p) u0 ( p) 14

01/5/7 計数値の推定 不良率の区間推定 P p u( a) p(1 p) / 欠点数の推定 p 試料不良率 a 危険率 試料数 m c u(a) c / c 単位当たり平均欠点数 a 危険率 試料単位数 問題 1) 国から輸入した商品サンプル10 個について測定したところ, 平方和が6., 国から輸入した商品サンプル8 個について測定したところ, 平方和が7.0であった. ばらつきに差があるか? 6. 7.0 V V 0.689, V 1.0, F0 1.45, F(0.05,7,9) 3.9 10 1 8 1 V ) テスト成績の平均値をサンプルから推定したい. 分布は正規分布で標準偏差は8であることが分かっている.± 点の範囲で信頼性 95% で推定するには, 何人分の採点をすればよいか? u(0.05) E 3) 福田君と小沢君とで, おにぎりを作った. 福田君は150 個中 30 個, 小沢君は 00 個中 5 個が不良品であった. 二人のおにぎり作りの技量に差があるか? 30 5 a p 0.157, 150 00 30 150 0., 1.968 5 00 61.5 0.15 1 150 1 00 1.91, u(0.05) 1. 97 u0 (0. 0.15) 0.157(1 0.157) b 15

01/5/7 参考資料 : Ecel の統計関数 VERGE 平均値 MEDIN 中央値 DEVSQ 平方和 STDEV 標準偏差 ( 標本 ) STDEVP 標準偏差 ( 母集合 ) VR 分散 ( 標本 : 不偏分散 ) VRP 分散 ( 母集合 ) NORMSINV 標準正規分布表 NORMSINV( 確率 ) FINV F 分布表 FINV( 確率, 自由度 1, 自由度 ) TINV t 分布表 TINV( 確率, 自由度 ) 品質の保証と検査 検査 (ispectio) 品物をなんらかの方法によって測定し, その結果を判定基準と比較して, 個々の品物の良 不良, あるいはロットの合格 不合格の判定を下すこと. (JIS) 受入品質の保証 工程間の品質保証 外部に対する品質の保証 受入検査購入検査外注検査 中間検査工程検査 製品検査最終検査出荷検査 16

01/5/7 検査の手順 検査単位の決定 検査特性の測定 試験 検査特性の決定 検査基準と比較 検査方式決定 合否の判定 ロットを形成 不合格品の処置 試料の選別 検査結果の記録 検査方法の分類 ) 全数検査 ) 抜取検査 C) 無検査 1) 破壊検査 強度試験, 寿命試験 ) 非破壊検査 ア ) 計数検査 不良品数, 欠点数 イ ) 計量検査 特性値 あ ) 単品検査個数が数えられる い ) バルク品検査液体, 粉体, 繊維,.. 17

確率 合格する確率 L 01/5/7 ロット 良品 不良品 pn 抜取検査の概要 N pn ランダムサンプリング 良品 不良品 判定基準値 c c < N 不良率 p ロット合格 ロット不合格 p 不良率のロットから個のサンプルをとったとき, 不良品が個含まれる確率は? N pn pn P (, p, N) N 超幾何分布 (Hypergeometric Probability Distributio) 0.1, p 0.1 N でポアソン分布で近似可能 e P(, p) p ( p)! ポアソン分布の例 ポアソン分布 (0, p0.05) 0.4 0.35 0.3 0.5 0. 0.15 0.1 0.05 0 0 1 3 4 5 e P(, p) p ( p)! 不良品数 () 累積 不良率サンプル数判定基準 p c のロットが合格する確率 L( p,, c) L( p,, c) 1 0.8 0.6 0.4 0. 0 c 0 e p ( p)! 0 1 3 4 5 6 7 8 9 判定基準 c (0, p0.05) 18

総コスト ロット合格確率 01/5/7 検査特性曲線 検査特性曲線 (operatig characteristic curve:oc 曲線 ) サンプル数 と判定基準 c を与えたときの不良率 p とロット合格率 L 1.0 との関係を与える曲線 生産者危険 (producer s risk) 良品ロットを不良とするリスク : 第一種の過誤 (e.0.05) 消費者危険 (cosumer s risk) 不良品ロットを良品とするリスク : 第二種の過誤 (e.0.1) 0.8 0.6 0.4 0. 0.0 50, c1 0 5% 10% a 不良品率 b 検査方法の経済性と選択 検査の実施にはコストがかかる 精度の高い検査にはコストがかかる 不良品を出荷するとコストがかかる ロット不良率 全数検査 : 不良品の出荷を防ぐことができる コストがかかる 場合によっては精度が低下する 抜取検査 : 不良品の出荷を確率的に発生 精度の高い検査が可能 無検査 : 検査そのもののコストは発生しない 不良品が出荷されるリスクは発生 19

01/5/7 その他の関係する項目 つの特性間の関係の有無 : 相関分析 相関が有意な 特性間の直線当てはめ : 直線回帰 相関が有意な 3 特性以上の平面の当てはめ 重回帰 複数の因子の間の効果の検定分散分析 組合せの爆発を押さえる実験条件の計画 実験計画法 品質の高い製品の開発 設計手法タグチメソッド 付録 F 分布表 F F a, ) (, a 0.05 1 3 5 7 9 15 30 1 161.45 15.71 30.16 36.77 40.54 45.95 50.10 3 10.13 9.8 9.01 8.89 8.81 8.70 8.6 5 6.61 5.41 5.05 4.88 4.77 4.6 4.50 7 5.59 4.35 3.97 3.79 3.68 3.51 3.38 9 5.1 3.86 3.48 3.9 3.18 3.01.86 15 4.54 3.9.90.71.59.40.5 30 4.17.9.53.33.1.01 1.84 a 0.01 1 3 5 7 9 15 30 1 405.18 5403.35 5763.65 598.36 60.47 6157.8 660.65 3 34.1 9.46 8.4 7.67 7.35 6.87 6.50 5 16.6 1.06 10.97 10.46 10.16 9.7 9.38 7 1.5 8.45 7.46 6.99 6.7 6.31 5.99 9 10.56 6.99 6.06 5.61 5.35 4.96 4.65 15 8.68 5.4 4.56 4.14 3.89 3.5 3.1 30 7.56 4.51 3.70 3.30 3.07.70.39 0

01/5/7 付録 t 分布表 t t(, a) 0.05 a a 0. 01 1 1.71 63.66 4.30 9.9 3 3.18 5.84 4.78 4.60 5.57 4.03 6.45 3.71 7.36 3.50 8.31 3.36 9.6 3.5 10.3 3.17 15.13.95 0.09.85 5.06.79 30.04.75 50.01.68 100 1.98.63 演習問題 3つの測定データ,, C 15, 17, 1,, 19,, 7, 19,, 6 データ数 10 平均値 1.0 偏差平方和 14 14, 19, 1, 3, 4, 16, 17, 18 データ数 8 平均値 19.0 偏差平方和 84 C 14, 17, 0, 19, 1, 14, 13, 18 データ数 8 平均値 17.0 偏差平方和 64 1. と, と C の組に関して分散の差の検定を行いなさい. 分散の差の検定に合格したならば, 平均値の検定 (3) を行いなさい 1

01/5/7 演習問題 ( 解答 ) 1. と, と C の組に関して分散の差の検定を行いなさい V V S V (10 1) 13.78, 1.148, V V C V S 1.508, (8 1) 1, F(0.05, 9, 7) V C S 3.68 C (8 1) 9.14. 分散の差の検定に合格したならば, 平均値の検定 (3) を行いなさい と とC S S 14 84 119 e 3.61, t 1.17 9 7 3.61 1 10 1 8 S SC 14 64 117 e 3.43, t.46 9 7 3.43 1 10 1 8 C t( 16, 0.05) t(15, 0.05).13, t(16,0.01) t(15, 0.01).95