第 15 章例題 1 以下に示す化合物に正しい IUPAC 名を付けなさい 3) 4) C 3 N C3 2 5) 3 C m- ブロモクロロベンゼン p- ブロモアニリン 3)2,6- ジブロモフェノール 4)1,2,3,5- テトラメチルベンゼン 5)3- メチルブチルベンゼン 例題 2 次の名前に相当する構造を書きなさい (a) 3-メチル 1,2-ベンゼンジアミン (b) 1,3,5-ベンゼントリオール (c) 3-メチル-2-フェニルヘキサン (d) o-アミノ安息香酸 (e) 2,4,6-トリニトロフェノール ( ピクリン酸 ) a) N 2 b) N 2 c) d) C 2 e) 2 N N 2 3 C N 2 N 2 例題 3 次の化合物は芳香族か? また可能な共鳴構造を示しなさい 1,3,5,7,9-cyclodecapentaene 1,6-methano[10]annulene 平面構造を取らせようとすると 環内に存在する水素原子どうしがぶつかってしまう そのため 平面構造を取ることができず 芳香族ではない と比較すると 環内の水素原子が存在しない 二重結合を含む 10 個の炭素から成る骨格はほぼ平面構造を取ることができるため 芳香族性を持つことが知られている 共鳴構造は以下の 2 つである 例題 4 シクロオクタテトラエンは 金属カリウムと反応してシクロオクタテトラエンジアニオン C88 2 - を与える この反応が容易に起こるのはなぜか また この化合物はどんな形をしていると考 えられるか 2K 2K 2 1
シクロオクタテトラエンは二重結合を 4 個持つため π 電子の数は 8 個であり 芳香族ではない しかし ここに電子が 2 個入ると 10π 系になり 芳香族性を示すようになる すなわち 電子が 2 個入ることにより芳香族となるため この反応は進行しやすい 生成物は芳香族であるため 8 個の炭素原子は同一平面上にあり C-C 間の結合長は全て等しい正八角形構造を有している 例題 5 イミダゾールは生体内でも重要な役割を果たす複素環である イミダゾールの 2 つの窒素はそれぞれどのような性質を持っているか N N imidazole 図の左側の窒素は 水素が結合するための非共有電子対が存在しているため 塩基性を示す ピリジンの窒素と同様である 一方右側の窒素は 非共有電子対が 6π 系を形成するために用いられているため塩基性を示さない ピロールの窒素と同様の性質を持っている 例題 6 アントラセンには4つ フェナントレンには5つの共鳴構造式がある それらの構造式を書きなさい 例題 7 フェナントレンの 5 つの共鳴構造を見て どの C-C 結合が最も短くなるか予測しなさい 上記の 5 つの共鳴構造式のうち二重結合で書かれる頻度が最も高い結合が短くなると予測される それは 下記に示す 9,10 位の二重結合である 3 4 5 6 7 8 2 1 10 9 2
第 16 章 例題 1 上記の反応を電子の動きを示す矢印を用いて説明しなさい 矢印を赤で示した E E E E π 錯体 σ 錯体 例題 2 トルエンのモノブロモ化は三つのブロモトルエンの混合物を与える これらの構造を書いて名称を付けなさい 3) o-ブロモトルエン m-ブロモトルエン 3)p-ブロモトルエン はわずかしか得られない 例題 3 上記の ( (3) の反応式を 電子の移動を示す矢印で説明しなさい 電子移動の矢印を赤で示した N 3 2 S 4 N - N 2 ニトロニウムイオン ( N N 2 N 2 (3) 例題 4 ベンゼンを D2S4-D2 溶液中に存在させると 芳香環の 6 個の水素がゆっくりと重水素で置換される この理由を説明しなさい ベンゼンは強い酸によってプロトン化反応を受ける を D( 重水素 ) で置き換えておけば D が付加する 付加体から脱離が起きる際 D が残って が外れると 重水素化したベンゼンとなる この反応を何度か繰り返すことによって全ての が D に置換される D S 3 D D S 3 D D D 繰り返し D D D D D 3
例題 5 式 (1 で起こっている現象をカルボカチオンの安定性に基づいて説明しなさい C 2 C 2 C 2 Al 3 CC 2 C 2 C 2 C 2 (1 65% 35% 塩化アルミニウムの存在により 1- クロロブタンからできるカルボカチオンは第一級であり 不安定である そのため 隣の炭素から - ( ヒドリド ) が転位して第二級カルボカチオンに成りやすい 式 12 の最初の生成物 (65% の方 ) は この第二級カルボカチオンがベンゼンと反応して得られるものである 35% 得られている化合物は 第一級カルボカチオンとの反応によって得られたものである C 2 C 2 C 2 Al 3 C 2 C 2 C 2 Al 4 - 第一級カルボカチオン C 2 C 2 C 2 ーの転位 C 2 C 第二級カルボカチオン 例題 6 ベンゼンとの Friedel-Crafts 反応で次のような生成物を与えるカルボン酸塩化物の構造式を書きなさい 3) 解答ベンゼンの Friedel-Crafts アシル化反応で使われるカルボン酸塩化物を特定するためには ベンゼンとカルボニル基の間の炭素を切断して と置き換えてみればよい Al 3 C Al 3 C 3) C Al 3 C 4
例題 7 上記のベンズアルデヒドの共鳴構造式に電子移動の矢印を書き入れなさい 例題 8 フェノール及びニトロベンゼンの共鳴構造式を書きなさい 例題 7 例題 8 N N N N 例題 9 トルエンのニトロ化でオルト パラ置換体が優先して得られる理由を 上記の σ 中間体の共鳴構造を用いて説明しなさい トルエンにニトロ基が付加した 9 個の構造のうち 下記の枠で囲んだ共鳴構造式が特に安定である この二つは第三級カルボカチオンであるのに対し 残りの7つは第二級カルボカチオンである 従って 安定なカルボカチオンを経由するオルト パラ攻撃が優先して起こることになる オルト攻撃 N 2 N 2 N 2 N 2 メタ攻撃 N 2 N 2 N 2 パラ攻撃 N 2 N 2 N 2 例題 10 クロロベンゼンの反応中間体で 上記枠内の構造が最も安定であるのはなぜか プリント 12 ページのフェノールに関する説明と同様である 枠で囲んだ構造は 塩素原子上にプラスの記号がある変な構造をしているが 全ての原子がオクテット則を満足している 状態である それ以外の構造は炭素上に の記号があり カルボカチオン ( 回りに 6 電子しかなく オクテット則を満たしていない ) となっている そのため 安定な付加体を得る芳香に反応が進行し オルトーパラ位に優先して反応が進行する 5
オルト攻撃 N 2 N 2 N 2 N 2 N 2 35% メタ攻撃 1% パラ攻撃 N 2 N 2 N 2 64% N 2 N 2 N 2 N 2 例題 11 電子求引性のカルボキシ基はカルボカチオン中間体を不安定化する 中でもオルト攻撃とパラ攻撃により生成するカルボカチオン中間体はより不安定化されている その理由は何か N2 の付加により ベンゼン環内にカルボカチオンが生成する カルボカチオンは 回りに電子供与性基が結合していると安定化され ( の電荷が電子供与により中和されるため ) 電子求引性基が結合すると不安定化する ( 電子不足の 中心から更に電子を奪おうとするため ) 下記の枠で囲んだ構造は カルボカチオン部分に 電子求引性基である -C2 が結合しており 特に不安定である 従って反応は これらを経由しないメタ位に進行する C 2 N 2 オルト攻撃 18.5% メタ攻撃 C 2 N 2 C 2 C 2 C 2 N 2 C 2 C 2 N 2 80% N 2 N 2 N 2 パラ攻撃 C 2 C 2 C 2 1.5% N 2 N 2 N 2 例題 12 上記の反応で m- クロロニトロベンゼンのみが反応しない理由を 中間体の安定性を考えルことにより説明しなさい N 2 Na 130 C N 2 Na 130 C N 2 N 2 Na 130 C N 2 N 2 ニトロ基がメタ位に存在している場合 - による攻撃が起こったとすると以下のような中間体が考えられる 6
N 2 N 2 N 2 ニトロ基がオルト パラ位にある場合とは異なり ニトロ基上にマイナスの電荷が広がって存在することができず 中間体の安定化が不充分である そのため メタ位にニトロ基があっても反応は進行しない 例題 13 p- ブロモトルエンを高温で Na と反応させると 2 種の生成物が得られるが m- ブロモトルエンを反応させると 3 種の生成物が得られる この理由を説明しなさい p- ブロモトルエンから生成するベンザインは 1 種類である これに対して水が付加する方向により 2 種類の生成物が考えられる Na 2 3 C - 3 C 3 C 3 C 1 種類のベンザイン 2つの生成物一方 m-ブロモトルエンからだと 生成するベンザインの構造として 下記に示したように A, B の二種類が存在する A に対して水が付加すると パラ メタの二種のクレゾールが生成する また B に対して水が付加すると メタ パラの二種のクレゾールが得られる 結果として三種類の異性体が全て生成することとなる 2 種類のベンザイン Na - (A) (B) C 3 p-クレゾール m-クレゾール o-クレゾール例題 14 次の物質を KMn4 で酸化するとどのような生成物が得られるか 2 N C( ) 2 C( ) 3 3 C (a) 2 N C( ) 2 KMn 4 2 N C 2 m- ニトロ安息香酸 7
(b) C( ) 3 3 C KMn 4 2 C C( ) 3 p-tert- ブチル安息香酸 例題 15 これまでに学んだ反応を用いて トルエンから m- および p- ブロモ安息香酸を合成する方法を考えなさい トルエンのメチル基はオルト パラ配向性である 従って p- ブロモ安息香酸を合成する場合 先に臭素化を行ってからメチル基を酸化すればよい この反応は 反応速度は速いと考えられるが 臭素化した際 オルトとパラの異性体を分離する必要がある 2 KMn 4 C 2 Fe 3 オルト異性体 m-ブロモ安息香酸を合成する場合には 先にメチル基の酸化を行って安息香酸とする カルボキシル基はメタ配向性なので 次に臭素化を行うと目的化合物が得られる 臭素化の段階はゆっくりとしか進まないものと予想されるが 異性体が生成しないのがよい点である KMn4 C 2 2 C 2 Fe 3 8
第 17 章例題 1 上に慣用名で示した5つのアルコールを IUPAC 名で命名しなさい benzyl alcohol allyl alcohol 3 C C tert-butyl alcohol C 2 C 2 ethylene glycol C 2 C glycerol C 2 図 1 ベンジルアルコール = フェニルメタノールアリルアルコール = 2- プロペン -1- オール t- ブチルアルコール = 2- メチルプロパン -2- オールエチレングリコール = 1,2- エタンジオールグリセロール = 1,2,3- プロパントリオール 例題 2 水の pka の計算式を示しなさい [ ][ ] 10 14 K = = = 1. 8 10 16 a [ 2] 1000/ 18 よって pka log K = 15. 74 = a 例題 3 p- シアノフェノールとフェノールではどちらの酸性が強いか 例題 4 次の物質を酸性度が増大する順に並べなさい フェノール p- メチルフェノール p-( トリフルオロメチル ) フェノール 例題 3 シアノ基は電子求引性であり 解離型のフェノラートイオンを共鳴安定化する したがって シアノフェノールはフェノールよりも強い酸である NC NC N C 例題 4 メチル基は電子供与性基 トリフルオロメチル基は電子求引性基である 従って 酸としての強さは p-( トリフルオロメチル ) フェノール > フェノール > p- メチルフェノール 例題 5 次の反応を行うのにはどのような試薬を用いたらよいか CC 2 C 2 C CC 2 C 2 C CC 2 C 2 C CC 2 C 2 C 2 ケトンを還元し エステルをそのまま残したい場合 NaB4 水素化ホウ素ナトリウム ( テトラヒドロホウ酸ナトリウム ) を用いる ケトン エステル両方とも還元してアルコールとしたい場合 LiAl4 水素化アルミニウムリチウム ( テトラヒドロアルミン酸リチウム ) を使用する 例題 6 Grignard 試薬の付加反応を用いて 次のアルコールを合成する方法を示しなさい 9
Ph 3 C C ホルムアルデヒドとフェニルマグネシウムブロミドを反応させればよい C Mg Mg 3 3 つの方法がある a) アセトンとフェニルマグネシウムブロミド b) アセトフェノンとメチルマグネシウムブロミド c) 安息香酸エステルとメチルマグネシウムブロミド 2 等量 3 C 3 C Mg (a) Me Me Ph 3 Me Me Mg Ph (c) C 3 C Mg x 2 (b) 3 C 3 C Mg 例題 7 ピリジン中の P3 による以下のアルコールの脱水でどんな生成物が得られるか オキシ塩化リンと反応した後 隣の炭素に結合しているトランス位の水素 ( 下図の赤で示した部分 ) と脱離する P 3 P 2 N P 3 P 2 N 10
例題 8 (S)-イブプロフェンの合成に用いられた次の変換を行うにはどうすればよいか 3 C 3 C CN C 2 (S)-ibuprofen 原料のヒドロキシ基をシアノ基に変換する際に立体反転が起こっている 立体反転を起こすためには ヒドロキシ基をまずトシル化し その後で KCN と反応させてシアノ基を導入するとよい Ts Ts KCN CN 3 C CN Ts = 3 C S 2 シアノ基を加水分解すればカルボン酸に容易に変換できる 例題 9 酸化で次の生成物を与えるのはどんなアルコールか 3) CC 3) CC 2 例題 10 上記の反応機構で (A) から (B) への電子移動はどのように起こっているか 電子移動の様子を赤矢印で示した フェニル基が酸素上に転位している C C (A) (B) 11
第 18 章 例題 1 次のエーテルを IUPAC 命名法に従って命名しなさい CC C 2 C 2 3) 2- イソプロポキシプロパン ( ジイソプロピルエーテル ) プロポキシシクロペンタン ( シクロペンチルプロピルエーテル ) 3)1- メトキシシクロヘキセン 例題 2 Williamson 合成を用いて次の化合物を作るにはどうすればよいか アニソール ( メチルフェニルエーテル ) ベンジルイソプロピルエーテル Na TF Na I C3 NaI 3 C Na TF 3 C Na 例題 3 次に示す各反応の主生成物を予測しなさい Na ether C 2 2 18-3 C 2 C 3 C 18-3 C 2 C 3 C 18 12
第 19 章例題 1 以下のアルデヒドとケトンを命名しなさい C 2 CC 3) 3 C C 2 C 2 C C 4) C=CC 2 C 2 C 例題 2 次の名称に相当する構造を書きなさい 3- メチルブタナ - ル 4- クロロ -2- ペンタノン 3) フェニルアセトアルデヒド 4) cis-4-tert- ブチルシクロヘキサンカルバルデヒド 5) 3- メチル -3- ブテナ - ル 例題 1 2- メチル -3- ペンタノン 3- フェニルプロパナール 3)trans-2- メチルシクロヘキサンカルバルデヒド 4)4- へキセナール 例題 2 CC 2 C 4) C 5) CC 2 C 3) C 2 C C 2 C C 2 C 例題 2 次の反応はどのようにして行ったらよいか 2 段階以上が必要な場合もある 3- ヘキシン 3- ヘキサノン 1- メチルシクロヘキセン 3- メチルシクロヘキサノン 3) ベンゼン m- ブロモアセトフェノン 4) ブロモベンゼン アセトフェノン 3- ヘキシン 3- ヘキサノン C 2 -C 2 -C C-C 2-2, 2 S 4 1- メチルシクロヘキセン 2- メチルシクロヘキサノン gs 4 C 2 -C-C C 2 -C 2 - B3 2 2 -Na 3) ベンゼン m- ブロモアセトフェノン C 4) ブロモベンゼン アセトフェノン Mg Et 2 Al 3 Mg C3 C Cr 3-2 S 4 2, acetone (Jones 試薬 ) 2 -Fe 3 酸化 (Jones 試薬 ) C3 13