海外鉱業事情 平成8年9月25日

Transcription

1 ニュースフラッシュ 1 金属鉱業情報平成 21 年 1 月 7 日 Vol.16 No.01 ニュース フラッシュ 独立行政法人石油天然ガス 金属鉱物資源機構金属資源情報センター 電話 : FAX: mric@jogmec.go.jp ニュース フラッシュは インターネットでも御覧になれます 記事検索も行えます [ 中南米 ] メキシコ :Luz del Cobre 銅プロジェクトに関する債務不履行 メキシコ :2008 年 10 月主要非鉄金属生産量 チリ :CODELCO は Los Bronces Andina 両銅山の共同操業によるシナジー効果を検討 チリ :Nova Ventura 社が Montecristo 銅山を閉鎖 チリ :2008 年 11 月銅生産実績 - 前年同月比 6.4% 減 チリ :2008 年 10~11 月の 2 か月間に約 20% の中小鉱山が操業停止 -SONAMI 発表 アルゼンチン チリ : 鉱業大臣が Pascua Lama 金山開発プロジェクトの税金分配案を再提示 ブラジル :Vale 鉱山 港湾労働者を一時解雇 エクアドル : 新鉱業法の発布が再延期 ペルー :2008 年 11 月鉱石生産量は亜鉛 銅 銀 錫など大幅増 ペルー :2008 年鉱産物輸出額は 1 割増の 192 億 US$ となる見通し ペルー : 紫金鉱業集団公司等の中国企業が エクアドル国境付近の 35 鉱区を取得 [ アフリカ ] カメルーン :Sundance Resources 社とカメルーン政府は Mbalam 鉄鉱石プロジェクトの開発に合意 [ オセアニア ] 豪 :Matrix Metals 社は所有する銅山の売却先を模索 豪 :Nkwe Platinum 社は International Goldfields 社の株式公開買付けを開始 豪 :OZ Minerals 社 Avebury ニッケル鉱山 (TAS 州 ) の操業停止 豪 :Windimurra Vanadium 社 Windimurra バナジウム鉱山 (WA 州 ) の操業開始が延期 チリ :CODELCOはLos Bronces Andina 両銅山の共同 ENAMI から移転されたオプション権を行使し Los 操業によるシナジー効果を検討 Bronces の権益 49% を獲得した場合 両山統合の可能 12 月 22 日付けの地元業界紙によると CODELCO 性もあり この場合 世界的な大規模銅山に変貌するは Andina 銅山と Anglo American が操業し Andina こととなる に隣接する Los Bronces 銅山を共同操業した場合 管理 エネルギー サービス等のコストがどの程度低減できるかのシナジー効果についての検討を開チリ :Nova Ventura 社がMontecristo 銅山を閉鎖始した 12 月 19 日付けの地元業界紙によると チリの Nova 2007 年の銅生産量は Andina 218,000t Los Bronces Ventura 社 ( 本社 :Santiago) は世界的な経済危機とこれ 230,000t 計 448,000t であり 今後両山とも大規模に伴う銅価の大幅な下落により 2007 年下期に操業を再な拡張計画を予定している 開していた Montecristo 銅山 (UG 精鉱生産) を閉鎖した CODELCO は 2008 年 12 月中旬にチリ鉱業省の意向と発表した Montecristo 銅山はチリ第 Ⅱ 州に位置するにより これまで ENAMI( チリ鉱山公社 ) が保有してい中小鉱山で 年産計画量 ( 精鉱中銅量 ) は 2008 年た Los Bronces 鉱山の権益 49% を獲得できるオプシ 16,800t 2009 年 73,000t としていた ョン権を ENAMI から譲り受けた 仮に CODELCO が本件は Nova Ventura 社の法定代理人が明らかにし

2 ニュースフラッシュ 2 たものであるが 親会社である米国 QuanTeck 社は現在のところコメントを控えている チリ :2008 年 11 月銅生産実績 - 前年同月比 6.4% 減チリ統計局の発表によると 2008 年 11 月及び 2008 年 1~11 月の銅生産量は以下のとおり 2008 年 11 月の銅生産量は Escondida CODELCO Norte ディビジョン (Chuquicamata Radomiro Tomic) の減産や経済危機に伴う銅価下落により生産コストの高い中小鉱山等の銅生産量減少により 前年同月比 6.4% 減となった 2007 年 2008 年 11 月 10 月 11 月 対前年 10 月比 対 11 月比 2007 年 1~11 月 2008 年 1~11 月 ( 単位 :t) 前年同期比 精鉱 243, , , % -21.7% 2,533,860 2,327, % カソード 196, , , % 17.2% 2,228,640 2,324, % その他 33,201 20,776 22, % -33.7% 306, , % 合計 473, , , % -6.4% 5,069,469 4,879, % チリ :2008 年 10~11 月の 2 か月間に約 20% の中小鉱山が操業停止 -SONAMI 発表 12 月 24 日付け地元業界紙によると SONAMI( チリ鉱業協会 ) は 2008 年 10~11 月の 2 か月間に経済危機による急速な銅価下落により チリの中小鉱山の約 20% が操業停止に追込まれ 約 5,000 人の鉱山労働者が職を失ったと発表した SONAMI は現在 チリの主に個人経営による中小鉱山の大部分が所属する同協会員対し 経済危機が鉱山経営に及ぼす影響について緊急調査する予定で その調査結果を取りまとめ 対策案を政府に要請する見込みである アルゼンチン チリ : 鉱業大臣がPascua Lama 金山開発プロジェクトの税金分配案を再提示 12 月 31 日付けの地元業界紙によると アルゼンチンの Jorge Mayoral 鉱業大臣はチリ鉱業省に対し アルゼンチン チリ国境地域の鉱業開発を促進させるための新たな税金分配の枠組について提案した Mayoral 鉱業大臣によると 今回のアルゼンチン側からの提案について チリ鉱業省及び税制当局は前向きに検討することを約束しており Pascua Lama 金山開発プロジェクトの問題可決に向けた協議が 2009 年 1 月中旬より再開される見込みである なお アルゼンチン側が提案した具体的な内容は明らかにされていない チリ アルゼンチン国境地域に位置し Barrick Gold が進めている Pascua Lama 金山開発プロジェクトについてはチリ アルゼンチン政府間の税金分配割合について 未だ合意がなされておらず 1 年以上も鉱山開発の開始が延期されている ブラジル :Vale 鉱山 港湾労働者を一時解雇 12 月 24 日付けの地元業界紙によると ブラジル Vale は Rio de Janeiro 近郊に位置する Ilha do Guaiba 港及び Itaguai 港の港湾労働者約 560 人をレイオフ ( 一時解雇 ) した これは Rio de Janeiro の労働組合が明らかにしたもので レイオフ期間は 2009 年 1~3 月である また Vale は Minas Gerais 州に位置する Itabira 鉱山の鉱山労働者 1,300 人をレイオフしており これに対する措置として労働組合は 2009 年 1 月 8 日に 24 時間ストを発表した Vale は 2009 年 1 月に Itabira 鉱山の鉱山労働者の約半数に当たる 3,500 人をレイオフする予定であり Vale のレイオフの動きに対して ブラジルの Metabase 労働組合は Itabira 市で大規模な抗議行動を開始し 鉱山労働者が危機に直面していると訴えている エクアドル : 新鉱業法の発布が再延期エクアドルでは 現在 新鉱業法の発布時期が 2008 年 10 月から 2009 年 1 月 5 日に延期されていたが 議会で新たな問題点が指摘されたため 発布時期が再延期になる見通しである 地元業界紙等によると 新鉱業法草案について 議会内で 12 月 日の両日 審議が行われた その結果 採掘に伴

3 う自然破壊についての明確な定義がなされておらず 鉱山開発の基本法となる本法令では 鉱業 環境当局による行政管理が曖昧になる可能性が高いこと 2008 年 4 月 18 日に公布された Mandato Minero( 鉱業指令 ) に基づいて行政措置が実行されたことを確認すること 居住地や海岸地帯の鉱山開発は 鉱業当局や地方自治体の事前承認を取得すれば可能となっているが これを全面禁止すべきであることなどの意見が出された これを受け 新鉱業法草案は 生産 経済発展分科会に戻され 同分科会の Irena Cabezas 委員長は 指摘された問題点を更に分析 評価するために 修正草案の提出を 1 月 12 日までに行う方針を示した ( リマ西川信康 ) ニュースフラッシュ 3 ペルー :2008 年 11 月鉱石生産量は亜鉛 銅 銀 錫など大幅増エネルギー鉱山省によると 11 月の鉱産物生産は 以下のとおり 鉄鉱石とモリブデンを除いて軒並み増産となった 鉱種 11 月 1 月 ~11 月 2007 年 2008 年前年比 2007 年 2008 年前年比 銅 (t) 99, , % 1,080,026 1,151, % 金 (g) 15,701,238 15,957, % 152,701, ,928, % 亜鉛 (t) 102, , % 1,328,392 1,456, % 銀 (kg) 296, , % 3,192,013 3,327, % 鉛 (t) 27,282 29, % 300, , % 鉄 (t) 374, , % 4,682,547 4,724, % 錫 (t) 2,972 3, % 35,648 35, % モリブデン (t) 1,621 1, % 14,832 15, % ( リマ西川信康 ) ペルー :2008 年鉱産物輸出額は 1 割増の 192 億 US$ となる見通しエネルギー鉱山省は 2008 年の鉱産物輸出額は前年を 10.8% 上回る 192 億 US$ となる見通しを示した なお 2008 年 1~10 月間の鉱産物輸出額は 前年比 15.7% 増の 162 億 7,200 万 US$ で 総輸出額の 59.4% を占めている また 2007 年に納税された所得税の 50% 以上が鉱業由来であり 2008 年には合計 51 億 5,700 万 N.Soles (1.722 百万 US$) のカノン税が地方へ還元されたこと 2008 年 1~11 月間に承認された鉱区は前年を 20% 上回ったこと 500 万 N.Soles(1.7 百万 US$) を投じて Ramis 川における灌漑施設建設に向けた環境改善プロセスに着手したことを明らかにした ( リマ西川信康 ) ペルー : 紫金鉱業集団公司等の中国企業が エクアドル国境付近の 35 鉱区を取得業界紙等によると 紫金鉱業集団公司等の中国企業連合体は エクアドル国境付近 (Piura 県 ) の 35 鉱区取得について ペルー国防省から認可されたことを明らかにし た ペルーでは 国防上の理由から エクアドル国境付近 50km 以内の鉱区取得は 政府による特別許可が必要となる 対象地域は計 35 鉱区 面積は 422~1,000ha に達するとしている このうち 27 鉱区は Minera Mayari 社から 残り 8 鉱区は英国の Monterrico Metals 社から同企業連合が権益を取得した ( リマ西川信康 ) メキシコ :Luz del Cobre 銅プロジェクトに関する債務不履行 Zaruma Resources Inc.( 本社 :Toronto) は メキシコ Sonora 州に保有する Luz del Cobre 銅プロジェクトに関して Empresa Minerales Los Quenuales 社 (EMLQ: Glencore International の子会社 ) から債務不履行を通知されたと 12 月 29 日付け同社 HP に発表した Zaruma 社のメキシコ現地法人である Minerales Libertad 社は 同プロジェクトから生産される銅カソードの全量売却を条件に EMLQ 社から開発資金として 23.5 百万 US$ の融資を受けた しかしながら Zaruma

4 ニュースフラッシュ 4 社は開発費の全額を調達できず 同プロジェクトの開発は 2008 年 10 月から中断されている ( メキシコ小島和浩 ) メキシコ :2008 年 10 月主要非鉄金属生産量 INEGI( メキシコ国立統計地理情報院 ) は 2008 年 12 月 18 日付け HP にて 2008 年 10 月のメキシコ主要非鉄金属生産量 ( 速報値 ) を 下表のとおり発表した 2007 年 2008 年 2008 年前年 2007 年 2008 年前月比 10 月 9 月 10 月同月比 1~10 月期 1~10 月期 前年比 金 (kg) 2,899 3,908 4, % 23.2% 32,565 37, % 銀 (kg) 204, , , % 11.6% 1,979,812 2,161, % 鉛 (t) 10,050 8,592 7, % -10.0% 75,984 85, % 銅 (t) 20,189 23,766 23, % -0.1% 296, , % 亜鉛 (t) 34,786 30,459 34, % 14.4% 356, , % ( メキシコ小島和浩 ) カメルーン :Sundance Resources 社とカメルーン政府はMbalam 鉄鉱石プロジェクトの開発に合意 2008 年 12 月 18 日 ASX( 豪州証券取引所 ) に上場する Sundance Resources 社 ( 本社 :Perth) は 西アフリカのカメルーンに所有する子会社 (Cam Iron SA 社 ) がカメルーン政府との間で 同国で開発中の Mbalam 鉄鉱石プロジェクトに関する枠組協定 (Framework Agreement) に署名したことを発表した 本プロジェクトに関しては カメルーン政府が既に 10% 保有する Free-Carried Interest( 占有料を払わない権益 ) に加えて更に 15% の権益を確保することになるが 協定への署名は カメルーン政府からの強力な支援が得られたことを意味するものとして Sundance Resources 社の最高経営責任者は歓迎している 同プロジェクトは 2012 年の生産開始を目指して開発が進められ 年産量 50 百万 t マインライフは数 10 年 ) を見込んでおり カメルーンにおける最初の大規模鉄鉱石鉱山となる また 同鉱山からの輸出により鉄鉱石輸出国の上位 10 位内にカメルーンが名乗りを上げることになる 豪 :Matrix Metals 社は所有する銅山の売却先を模索昨今の銅価下落により多額の負債を抱えている Matrix Metals 社 ( 本社 :Perth) は 2008 年 11 月以降 ASX( 豪州証券取引所 ) での取引停止となり 現在スイスの銅のトレーダーである Glencore International の管理下に置かれている 2008 年 12 月 29 日 管財人である Glencore International から Matrix Metals 社の資産売却の要請を受けた Deloitte は QLD 州の Mt. Isa 近郊にある銅山と加工施設の売却先として 30 社以上が名乗り出ていると発表した 売却資産としては 露天掘銅山である Mt. Watson 及び Mt. Cuthbert 加工施設として SxEw 精製所 ( 生産能力 9,000t/ 年 ) 関連鉱区等が含まれている 30 社の中には Mt. Isa を操業する Xstrata が興味を示している模様であるが 海外からのオファーは限られており この中に中国勢は含まれていない 2008 年は Mt. Isa の北西 140km 地点に Lady Annie 銅山 (OP SxEw 2007/08 年度生産量 11,082t) を操業する CopperCo 社も Matrix Metals 社と同様に管財人の管理下に置かれ 資産売却先を探している状況にある 豪 :Nkwe Platinum 社はInternational Goldfields 社の株式公開買付けを開始 International Goldfields 社 ( 本社 :Perth) は 2009 年 1 月 5 日の週には Nkwe Platinum 社 ( 本社 :Perth) による株式公開買付けの対象になるとして 2009 年 1 月 2 日から豪州証券取引所での取引が中止となっている 豪州の大手会計事務所である BDO Kendalls によれば International Goldfields 社の資産価値は 55~ 68 百万 A$ と見積られるが アナリストは一株 50A にて 62 百万 A$ での買付額になると予想している International Goldfields 社は 南アでプラチナ鉱床帯で生産基地となっている Bushveld complex に有する 3 つのプラチナ プロジェクトの 15% の権益を保有していたため Xstrata や Anglo American も

5 同社に興味を示しており 今後の行方が注目される なお 取引中止前の International Goldfields 社の株価は 33A であり アナリストが予想した 50A にはプレミアムが加算されたものとなっている 豪 :OZ Minerals 社 Aveburyニッケル鉱山 (TAS 州 ) の操業停止 OZ Minerals 社 ( 本社 :Melbourne) は ニッケル価格の下落を理由に TAS 州の Aveburyニッケル鉱山の操業停止を発表した Avebury ニッケル鉱山は 2008 年 8 月から精鉱生産を開始し これまでに t の精鉱を生産しており Ni 含有量 8,500t/ 年の Ni 精鉱の生産と中国への輸出を計画していたが ニッケル価格の下落の影響を受け 操業を停止し維持管理状態に入ることとなった この操業停止により Avebury の従業員 189 名 ( うち 直轄 64 名 契約雇用者 125 名 ) が職を失うことと ニュースフラッシュ 5 なるが OZ Minerals 社は 可能な限り同社グループ企業内での雇用に努め それが適わない場合には就職先の斡旋を行う考えである ( シドニー増田一夫 ) 豪 :Windimurra Vanadium 社 Windimurraバナジウム鉱山 (WA 州 ) の操業開始が延期 Windimurra Vanadium 社 ( 本社 : Perth 以下 Windimurra 社 ) は WA 州の Windimurra バナジウム鉱山の操業開始を 2009 年上期と予定していたが 機材及び材料供給の遅延と認可の遅延により 操業開始が 2009 年下期に延期すると発表した この延期の結果として初期投資費が増加し 81 百万 A$ の追加資金が必要となった Windimurra 社は 同社の融資枠が 30 百万 A$ であることから 現在 国内大手銀行と融資枠拡大の交渉を順調に進めているが 未だ最終合意には達していないとしている ( シドニー増田一夫 ) おことわり : 本レポートの内容は 必ずしも独立行政法人石油天然ガス 金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません 正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが 本レポートの内容に誤りのある可能性もあります 本レポートに基づきとられた行動の帰結につき 独立行政法人石油天然ガス 金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます なお 各記事に対するご意見 ご感想は mric@jogmec.go.jp まで電子メールでご遠慮なくお寄せください