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講演 1 潰瘍性大腸炎の治療における GMA の可能性 活動期と寛解期の新しい使用法 竹内健先生 日本では潰瘍性大腸炎 (UC) 患者は年々増加しており 中でも高齢の患者が増えているのが実状である UC 治療を取り巻く環境としては 近年 生物学的製剤を中心とした治療法も加わり治療の選択肢は増えたが いずれも強力な効果が得られる反面 重篤な副作用が出現するリスクもある それらの背景を踏まえ 我々は現在 副作用が少ない顆粒球吸着療法 (GMA) という治療法をさらに活用していく方法を検討する必要があるのではないだろうか 高齢の潰瘍性大腸炎患者が増加 国内のUC 患者数は もはや 万人に届こうとしている 人口の高齢化の影響とともに 高齢発症の患者も増加しているために 歳以上の高齢患者が増加している ( 図 1) それらの高齢患者に対して 若年患者と同じ治療法で問題ないのか考える必要がある 生物学的製剤の先進国であるヨーロッパでも 副作用の重症化や発がんのリスクを鑑みて 高齢患者に対する免疫調節薬や生物学的製剤の使用は慎重に行うとされている その見地からは重篤な副作用が報告されていない GMAは 高齢患者に対する治療選択肢と考えられる GMA の治療実績 当施設で11~15 年にGMAを施行した 15 例のデータを解析した結果を紹介する 年齢別に効果と安全性を検討すると 歳未満と以上で有効性に大きな差はなく ( 図 ) 安全性に関しては むしろ 歳以上の高齢者の方が有害事象の発現が少ないという印象であった ( 図 3) ステロイド治療の反応別にGMAの効 果を見てみると ステロイド未使用例 抵抗例 依存例で差はなかった ( 図 ) また 内視鏡的な改善率については 比較的症状が軽い症例ではその後の改善率も少し高い傾向が見られた ( 図 5) さらに 症例数は非常に少ないが 抗 TNF-α 抗体製剤が 1 次無効 次無効であった症例における GMAの効果を検討してみると 次無効例でも有効例があった カルシニューリン阻害薬に対する反応性別の解析でも同様に 症例数が少ないので明確なことは言えないが 次無効例では半数は効果が得られていた また 最初のGMAで寛解導入に至った症例と 至らなかった症例に分けて 回目の GMAの効果を検討してみると 最初のGMAで効果がなかった症例では その後のGMAでも効果が低いが 最初のGMAで効果があった症例では その後も効果が得られるということがわかった ( 図 ) この傾向は他の施設からも報告されており 再寛解導入療法としても GMAの効果が期待されている また現在 血球成分除去療法 (CAP) で寛解導入に至った症例に対して 維持療法としての CAPの効果を検討する多施設共同臨床研究であるCAPTAIN studyが進行中であり 結果が待たれるところである 図 1 日本における潰瘍性大腸炎患者数 ( 年齢階級別 ) 35, 3, 5,, 15, 1, 5, 8 1-9 歳 1 79 119 1-19 歳 575 73 33-9 歳 11878 1735 159 3-39 歳 18819 371 889-9 歳 1555 1838 338 5-59 歳 1373 17 91-9 歳 9997 1711 19 7 歳 7 1159 1731 From the annual report of Japan Ministry of Health, 1

図 年齢階級別にみた GMA の効果 図 5 GMA の内視鏡的改善率 1 9 8 7 7 寛解 有効 再燃 無効 5.9. Mayoスコア Mayoスコア 1 Mayoスコア Mayoスコア 3 手術 1 9 8 8 7 39 5 3 1 3.5 9. 13.7 9. 5.5 7.7 5 3 3 35 < (n=3),< (n=1) 年齢 (n=18) 1 17 1 GMA 前 (n=13) GMA 後 3~ ヵ月 (n=113) 図 3 年齢階級別に見た GMA の安全性 図 GMA 初回時有効性の再治療時有効性への影響 年齢 ( 歳 ) <(n=3),<(n=1) (n=18) 1 有効 無効 9 循環不全 循環不全 3 循環不全 8 7 35. 5. 頭痛 3 皮膚炎 1 心筋炎 1 5 91 有害事象 心内膜炎 1 3.5 5.8 8 動脈血栓症 1 尿路感染症 1 間質性肺炎 1 1 GMA1 次治療 (n=31) GMA 次治療 (n=31) 1 次治療有効例に対する 次治療 (n=) 9 1 次治療無効例に対する 次治療 (n=11) 1 9 図 ステロイド治療に対する反応性によるGMAの効果 寛解 有効 再燃 無効 不詳.5 1.3 粘膜治癒とバイオマーカーによるモニタリング 8 7 35.1 3.7 38.7 今までは炎症性腸疾患 (IBD) 治療の目標は臨床症状の改善であったが 現在はそれだけでは不十分であり 粘膜治癒が治療 5 18.9 13.5 1. 17.9 19. 目標になっている 治療により正常と区別がつかない状態まで粘膜を治癒することができれば再燃率はかなり抑制できることが分かってきたからである さらに 再燃してからではより強力な治 3 1 3. 3.7 1..8 療を選択せざるを得ないので ステロイドを使わない状態でいかに粘膜治癒を維持するかが重要となってきたのである そのようなことから臨床症状の有無ではなく 粘膜におけるUCの活 ステロイドナイーブ例 (n=37) ステロイド抵抗性 (n=39) ステロイド依存性 (n=7) 動性を評価し 臨床症状が出現する前に適切に治療介入を行うことが重要となる そこで有用なのがバイオマーカーによるモニタリングである 再燃の指標としてのカルプロテクチン 主に好中球や単球から分泌されるカルシウム結合タンパク質で あるカルプロテクチンは 腸管内の炎症や細菌感染に対して防御 的に機能する物質であるが 糞便中のカルプロテクチン濃度と 3

腸管内の炎症の程度が相関することから IBDの診断マーカーとして主に欧州で臨床に用いられている このカルプロテクチンは患者が持参した糞便を用いて測定する簡便な検査で 糞便中のカルプロテクチン濃度と臨床症状を合わせて検討することで炎症の有無を確認することができる 糞便中のカルプロテクチン濃度は内視鏡的な重症度と非常によく相関するだけでなく 寛解期で症状が落ち着いている症例でも カルプロテクチン濃度の上昇が見られた症例ではその後再燃する症例が多いことが報告されており 1) 再燃の予測因子にもなる可能性がある 再燃後に強力な治療を行うのではなく 再燃を予防するというより安全な方法を考えていく必要がある 図 7 難治性 UC におけるアダリムマブと GMA 集中治療の併用効果 ( 試験デザイン ) GMA ( 回 / 週 ) アダリムマブ (1 8 mg 週毎 ) 非寛解 再燃例アダリムマブ + アザチオプリン 1 週 初回治療 >> 5 週 追加治療 Tanida S, et al. J Clin Med Res. 15; 7(11): 88-889. 難治例に対する GMA の有効性抗 TNF-α 抗体製剤との併用も ステロイド依存性を示す中等症から重症のUC 症例で 免疫調節薬または抗 TNF-α 抗体製剤 あるいはその両方の薬剤を用いても無効だった症例に対し GMAの有効性と安全性を検討する長期の多施設共同試験が現在欧州で進行中である その中間報告として報告された 1 週後の成績では 約 3 割の症例で GMAの有効性が得られることが示されている ) また GMAは他の薬物療法との併用効果も期待される GMAは顆粒球と単球を吸着除去する治療法であるが それらの血球成分を物理的に除去するだけではなく TNF-α IL-1β IL- IL-8といったさまざまな炎症性サイトカインの産生能を低下させることが重要な機序として確認されている GMAの効果発現は緩徐であるが 1 週間に 回以上施行する集中治療を行うことで その有効性はさらに上がり 効果発現も早くなることが確認されている そこで期待されるのが GMAと生物学的製剤を用いた抗サイトカイン療法の併用効果である Tanidaらは 3) 難治性 UC1 例において抗 TNF-α 抗体製剤であるアダリムマブと GMA 集中治療の併用効果を検討した結果 ( 図 7) 1 週の時点でMayoスコアが有意に低下し 内視鏡的にも有意に改善したことを報告している ( 図 8) さらに 5 週後も 33.3% で寛解が維持されていた 我々の施設でも同様の治療経験がある ステロイド治療が無効であった UC 症例に対し アダリムマブ投与とGMA 集中治療を同時に施行したところ GMA 後にCRPの上昇がみられたが その後は徐々に低下し安定して推移した ( 図 9) その後の内視鏡検査による観察ではほぼ粘膜治癒に近い状態まで改善した 炎症性サイトカイン産生能を低下させる GMAと TNF-α の働きをブロックする抗 TNF-α 抗体製剤という異なる作用機序を持つ治療法を組み合わせることで 従来の治療よりもさらに上の治療として 重症例や難治例に対する有用性が期待される また このような難治例に対して抗 TNF-α 抗体製剤で治療を行うと 1 8mgという治療期の投与量では炎症反応は良好に低下しても mgという維持量に減量すると状態が悪化する症例をたびたび経験する そのような症例にも GMA 集中治療を併用することで 副作用の出現を増加させることなく寛解維持率を高めることができるのではないかと考えられることから 現在さらに検討を重ねているところである (Points) 1 ステロイド (mg/ 日 ) 8 9 3 15/11/13 図 8 アダリムマブと GMA 集中治療 1 週後の併用効果 ベースライン 検定 :Paired t-test 図 9 ステロイド抵抗性 UC 症例に対するアダリムマブと GMA 集中治療 ( 治療経過 ) mg GMA 15/1/13 CF Mayo スコア 1/1/13 P<.1 1//13 1 週後 CF 1/3/13 (Points) 3 Tanida S, et al. J Clin Med Res. 15; 7(11): 88-889. 5-ASA 3mg 1//13 アダリムマブ CRP 1/5/13 1//13 1/7/13 高齢患者の治療において 頭痛や疲労感などの軽い副作用のみで重篤な副作用の出現を認めない GMAの有用性は高い さらに重症例や難治例には 抗 TNF-α 抗体製剤にGMAを併用することで改善率を引き上げることができる可能性があることは臨床的に非常に意義があると考える 参考文献 1)Tibble JA, et al. Gastroenterology. ; 119(1): 15-. )Dignass A, et al. J Crohns Colitis. 1; 1(7): 81-8. 3)Tanida S, et al. J Clin Med Res. 15; 7(11): 88-889. 1 内視鏡的サブスコア P<.1 ベースライン GMA の新たな活用に期待 Mayo スコア 1/8/13 1 週後 1/9/13

臨床的寛解率講演 潰瘍性大腸炎治療における GMA 導入のタイミング 四日市羽津医療センター IBD センター山本隆行先生 潰瘍性大腸炎 (UC) 治療における顆粒球吸着療法 (GMA) の効果を最大限引き出すための導入のタイミングについて考えてみたい そのためにGMA の効果に影響を与える因子について整理し さらにステロイド未使用 いわゆるステロイドナイーブ症例に対するGMAの効果と ステロイド依存例や副作用の問題に対するGMAの効果について検討する また 最近行った UC 術後の回腸嚢炎に対する GMAの効果を検討した多施設試験の結果も併せてご紹介する ステロイドナイーブ症例に対する GMA の有効性 Suzuki らは 1) GMA の効果に影響を与える臨床因子について 初発例では再燃例よりも GMAの効果が高く 有効例は無効例に比べて罹病期間が短いことを報告している また Yokoyamaらは ) 寛解例では無効例と比較し 罹病期間 再燃してからの GMA 施行までの期間が短く さらにステロイド総投与量 初回 GMA 施行時の白血球数が少ないことを報告している 当施設でも GMAを施行した UC5 例 ( 重症 18 例 中等症 3 例 ) で GMAの効果に影響を与える臨床因子について検討している 3) その結果 GMA 治療開始時のステロイド投与量と 治療開始までのステロイド総投与量のつの因子で差が認められ ( 図 1) いずれもステロイド投与量が少ないほど GMAの効果が高いことが示された ステロイドナイーブ症例に対する GMAの効果を報告した既報の論文を調べてみると いずれの報告でも GMAによる寛解導入率は8% 前後と高いことが示されている -) さらに Bresciらは 7) 活動期のUC 8 例を無作為にGMA 治療群とステロイド治療群に割り付け 両群の有効性を比較した結果 有意差は認められないものの ステロイド群に比べGMA 群では寛解導入率および 1ヵ月後の寛解維持率が高い傾向にあり 副作用は有意に低いことを報告している ステロイド治療の問題点に対する GMA の効果 Faubionらの報告では 8) ステロイド治療を行った重症のUC 3 例の治療効果を検討した結果 治療開始 1ヵ月後には 5% が完全寛解 3% が部分寛解と 約 8% の有効性を示したが 1 年後の寛解維持率は約 5% であり % の症例ではステロイド依存性を示したと報告している さらに Hanaiらは 9) 重症のUC7 例を対象にGMAで治療する群とステロイド静注で治療する群に無作為に割り付け有効性を検討した結果 治療開始 1 週後には GMA 群でステロイド群を上回る有効性を示し 寛解維持率も高かったことを報告しており ステロイドフリーとなった率も GMA 群で有意に高く GMA 治療によりステロイドの投与量を減らすことができることを報告している ( 図 ) 今もなお中等症や重症の活動性 UC 治療における標準薬はステロイドであるが ステロイド治療が長期化したり投与量が高用量にいたると依存性や副作用の問題が出てくる このような問題に対し G M Aを効果的に導入することで ステロイドの投与量を減らし 投与期間を短くすることができれば大きなメリットであると考えられる 図 重症の潰瘍性大腸炎に対する治療効果 GMA(n=35) ステロイド (n=35) 寛解率 ステロイド離脱率 1 図 1 GMA の効果に影響を与える臨床因子 N.S N.S P=. P=.8 1 治療開始時ステロイド投与量 治療開始までのステロイド総投与量 8 7 77 8 P=. P=.1 5 51 9 13/17 1/7-1 mg/kg/ 日 1/ 1 7/9 17/9 検定 :Chi-square test Yamamoto T, et al. Dig Liver Dis. 7; 39(7): -33. -5 g /1 5 17 週後検定 :Chi-square test 1 週後 1 週後 1 週後 GMA:11 回施行 ステロイド :~mg/ 日静注 Hanai H, et al. Dig Liver Dis. 8; (): 33-. 5

ステロイド依存回避率早期 GMA 導入の有用性を検討 そこで 当施設で行った早期 GMA 導入の有用性を検討した結果を紹介する 1) 中等症で広範な病変部位を有する初発の UC 症例を対象として GMA 群 例 ( 必要に応じてステロイド投与 ) と ステロイド単独治療群 例の5 年間の治療経過を検討した ( 図 3) 両群ともに寛解導入後は原則として 5-ASA 製剤で寛解維持療法を行い 再燃した場合は GMA 群は再度 GMAを施行 ステロイド群はステロイド治療を行った GMAは週に 1 回施行し 1 回施行したところで効果を確認し ステロイド投与を行わずに治療継続が可能であれば GMAのみを継続し ステロイド投与が必要な症例には最小限のステロイドを投与した GMAを5 回施行後に寛解に至らない場合にはさらに GMAを5 回施行した ( 図 ) 3mg/ 日 5 例でmg/ 日であった 寛解導入までの GMA 施行回数は5 回が1 例 (%) 1 回が8 例 であった 両群とも全例で寛解導入に至り 5 年後の寛解維持率は両群とも約 15% と有意差はなく 再燃した回数も GMA 群で平均.8 回 ステロイド群で平均.9 回と有意差を認めなかったが ステロイドの総投与量はステロイド群が 5,3mgであったのに対し GMA 群では,11mgと有意に少なく ステロイド依存性を示した症例も GMA 群で有意に少ないことが示された ( 図 5) また 副作用に関しては GMAにも頭痛や疲労感といった軽微な副作用はあることから 全体としての副作用発現率はGMA 群が5% ステロイド群が 8% と両群間に有意差を認めなかったが ステロイドに特有の副作用の発現率は ステロイド群では 1 例 (8%) であったのに対し GMA 群では 8 例 と有意に低いことがわかった ( 図 ) 図 3 試験デザイン 図 5 ステロイド依存回避率 UC 初回発症中等度活動性広範な病変 GMA ± ステロイド n= GMA 治療群 5 年の経過観察 1..8. GMA 治療群 ステロイド治療群 77 ステロイド n= ステロイド治療群. * ステロイド 3-mg/ 日 * 臨床効果により減量または中止 寛解後は5-ASA 製剤による維持療法 再燃時は初回治療と同じ治療を実施 Yamamoto T, et al. J Crohns Colitis. 1; (7): 75-755.. 検定 :Log-rank test 1 3 5 経過 1 P=. ( 月 ) Yamamoto T, et al. J Crohns Colitis. 1; (7): 75-755. 図 GMA 施行方法 図 副作用発現率 アダカラム 1 週 週 3 週 週 5 週 1 週 週 3 週 週 5 週 基本コース 週 1 回 5 回施行 血液処理時間 9 分 設定流量 3mL/ 分 ステロイド ~ml/ 日 * 追加施行 臨床的寛解に至らない場合 GMA を 5 回追加で施行 GMAに反応しない症例の場合 GMA 施行中に症状の悪化を認めた場合 * 臨床効果により減量または中止 Yamamoto T, et al. J Crohns Colitis. 1; (7): 75-755. GMA 治療群 ステロイド治療群 P 値 ステロイド関連 8 1(8%). ムーンフェイス 5 1 痤瘡 3 皮膚線条 5 多毛 3 月経困難症 浮腫 1 頭痛 1 骨粗鬆症 その他 1 GMA 関連 5(5%) ー 頭痛 ー 疲労感 3 ー 発熱 3 ー 吐気 1 ー めまい 1 ー 合計 13 (5%) 1 (8%).8 検定 :Chi-square test Yamamoto T, et al. J Crohns Colitis. 1; (7): 75-755. GMA の早期導入によりステロイド量の低減が可能に 初回治療における GMA 群の治療結果は ステロイドを必要としなかった症例が7 例 (35%) であった 残りの症例ではステロイド投与を要したが ステロイドの使用量は 3 例でmg/ 日 5 例で 現在のUC 治療における GMAは 5-ASA 製剤やステロイドによる治療を行い ステロイド依存性やステロイド抵抗性を示す症例に対して導入する治療法と位置付けられているが ステロイドナイーブ症例に対する GMAの効果や ステロイド依存性や副作用といったステロイド治療の問題点に対するGMAの有用性から 当院では5-ASA 製剤で適切な初期治療を行った上で 十分な

効果が認められない症例に対してはステロイド治療の前に GMA を導入しており その方がステロイド投与量の低減やそれに伴う 副作用の軽減など 得られるメリットは大きいのではないかと考え ている ( 図 7) 図 7 潰瘍性大腸炎に対する早期 GMA 導入療法 従来法 5-ASA 製剤ステロイド GMA 治療 ステロイド依存性ステロイド抵抗性 早期導入法 高用量 5-ASA 製剤 反応なし GMA 治療 ロイド坐薬や 5-ASA 製剤の経口薬や坐薬 生物学的製剤も投与されていたものの効果が得られておらず さらにパウチ作成からの期間は平均 81ヵ月と炎症が慢性化している難治例であった GMA1 回施行後の結果を図 9に示す PDAIスコアは有意に減少し 有効は 例 (%) であったものの寛解に至った症例はいなかった 内視鏡的サブスコアも GMA 前後で有意差はなく 白血球数やCRP 糞便中のバイオマーカーも有意な変化はなかった 約半数の症例で GMA 治療に反応し臨床症状の改善を示したものの 寛解には至らなかったことから このような難治性の回腸嚢炎の症例に対してGMAが有効であるとは言えないものの GMAの反応性から考察すると ここまで罹病期間が長くなる前のもう少し早い段階でGMAを施行すれば より高い効果が得られるのではないかと考えている 図 9 難治性回腸嚢炎の症例に対するGMAの効果 免疫調節薬 生物学的製剤 ステロイド免疫調節薬生物学的製剤 1 1 PDAI スコア 四日市羽津医療センター IBD センター 1 1 UC 術後の難治性回腸嚢炎に対する GMA 治療 8 UCの術後の回腸嚢炎の頻度は 術後 1 年で15% 5 年で33% 1 年で5% と言われている 回腸嚢炎に対してはメトロニダゾール 有効 例 (%) 寛解 例 やシプロフロキサシンなどの抗生物質による治療を行うが これらの抗生物質が効かない難治性の回腸嚢炎に対してはステロイドや免疫調節薬 生物学的製剤を使った治療が必要となる 最近 エントリー時 GMA 施行後 P=. そのような難治性の回腸嚢炎の症例に対するGMAの効果を検討するオープンラベル前向き多施設共同試験を行ったので 内視鏡サブスコア 結果を紹介する 11) PDAI(Pouchitis Disease Activity Index)>7 の回腸嚢炎で 5 週間の抗生物質による治療に反応しなかった 13 例に対し GMA を週 回施行し 5 週後のGMA1 回終了後に有効性を評価した ( 図 8) 有効性の評価はPDAIスコアが 3ポイント以上低下した場合を有効 PDAI<になった場合を寛解と定義した 対象と 3 なった 13 例には様々な抗生物質が投与されており さらにステ 図 8 試験デザイン 1 アダカラム P=.1 エントリー時 GMA 施行後検定 :Wilcoxon signed-rank test Yamamoto T, et al. Ther Adv Gastroenterol. 1; (in press). エントリー 1 週 週 3 週 週 5 週 スクリーニング PDAI 血液検査検便内視鏡検査 エントリー 週間の抗生物質治療に反応しない PDAI>7 の 13 症例 有効性評価 PDAI 血液検査検便内視鏡検査 有効 :PDAI 3 ポイント以上低下寛解 :PDAI< Yamamoto T, et al. Ther Adv Gastroenterol. 1; (in press). 参考文献 1)Suzuki Y, et al. Dig Dis Sci. ; 51(11): 31-38. )Yokoyama Y, et al. BMC Gastroenterol. 13; 13: 7. 3)Yamamoto T, et al. Dig Liver Dis. 7; 39(7): -33. )Hanai H, et al. Clin Gastroenterol Hepatol. 3; 1(1): 8-35. 5)Suzuki Y, et al. Dig Dis Sci. ; 9(): 55-571. )Tanaka T, et al. Dig Liver Dis. 8; (9): 731-73. 7)Bresci G, et al. J Gastroenterol Hepatol. 8; 3(11): 178-18. 8)Faubion WA Jr, et al. Gastroenterolgy. 1; 11(): 55-. 9)Hanai H, et al. Dig Liver Dis. 8; (): 33-. 1)Yamamoto T, et al. J Crohns Colitis. 1; (7): 75-755. 11)Yamamoto T, et al. Ther Adv Gastroenterol. 1; (in press). 7

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