2 CKD 1. 不適当な食事 2. 感染症 : 尿路感染, 肺炎, 敗血症など 3. 急激な循環状態の変動 : 高血圧, 低血圧 4. 水 電解質異常 : 脱水, 溢水, アシドーシス 5. 尿路疾患 : 尿路結石 狭窄 感染 6. 腎毒性薬剤 : 造影剤, 抗生物質,NSAIDs 7. 手術およ

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日本内科学会雑誌第99巻第9号

1 疾患別医療費札幌市国保の総医療費に占める入院医療費では 悪性新生物が 21.2% 循環器疾患が 18.6% となっており 循環器疾患では 虚血性心疾患が 4.5% 脳梗塞が 2.8% を占めています 外来医療費では 糖尿病が 7.8% 高血圧症が 6.6% 脂質異常症が 4.3% となっています

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られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

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ただ太っているだけではメタボリックシンドロームとは呼びません 脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子と TNF-αや IL-6 などという悪玉因子を分泌します 内臓肥満になる と 内臓の脂肪細胞から悪玉因子がたくさんでてきてしまい インスリン抵抗性につながり高血糖をもたらします さらに脂質異常症

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糖尿病の薬物療法としては, インスリン療法と経口糖尿病薬 ( 他の箇所との語句の統一が適当と考えられます 経口糖尿病薬 経口血糖降下薬 回答 : 上記のご指摘の点に関しまして修正と語句の統一をさせて頂きました P.12 解説 10 行目 : グリクラジド MR 薬を基本として グリクラジド MR 薬


3 章 透析まで行かせないためにどうする 2 CKD と高尿酸血症 尿酸をどうコントロールする 高尿酸血症の分類を以下に示します 平和伸仁 まとめ & ス アドバイ 尿酸産生過剰型 尿酸排泄低下型 上記 2 つの混合型 腎機能の低下とともに尿酸排泄が低下して高尿酸血症の頻度は高まる 腎機能が低下する

脂質異常症を診断できる 高尿酸血症を診断できる C. 症状 病態の経験 1. 頻度の高い症状 a 全身倦怠感 b 体重減少 体重増加 c 尿量異常 2. 緊急を要する病態 a 低血糖 b 糖尿性ケトアシドーシス 高浸透圧高血糖症候群 c 甲状腺クリーゼ d 副腎クリーゼ 副腎不全 e 粘液水腫性昏睡

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(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

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第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

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Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

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を用いる必要があります Du Bois の式を用いて体表面積を計算すると 3) BSA(m 2 )= 体重 (kg) 身長 (cm) =1.27m 2 となり 173.6mL/min/1.73m 2 を 1.27m 2 である患者個人の腎機能に換算 ( で補正

1 CKD の診断と意義 CQ 1 CKD は末期腎不全の危険因子か? GFR の低下 (40~69 歳で 50 ml/ 分 /1.73 m 2 未満,70~79 歳で 40 ml/ 分 /1.73 m 2 未満 ) と蛋白尿およびアルブミン尿は, 末期腎不全の危険因子である. 5

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study のデータベースを使用した このデータベースには 2010 年 1 月から 2011 年 12 月に PCI を施行された 1918 人が登録された 研究の目的から考えて PCI 中にショックとなった症例は除外した 複数回 PCI を施行された場合は初回の PCI のみをデータとして用いた

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1 CKD 1 慢性腎臓病 chronic kidney disease(ckd) は,1 つの腎疾患 ( 腎臓病 ) を意味するのではなく, 表 1 の1,2のいずれかまたは両方が 3 カ月以上持続することにより診断される.CKD は従来の慢性腎疾患の診断とは異なっている. つまり, 腎障害を示唆する所見 ( 検尿異常, 画像異常, 血液異常, 腎病理組織異常所見など. 特に蛋白尿が重要である ) の存在と糸球体濾過量 (glomerular filtration rate: GFR) 60 ml/min/1.73 m 2 未満が診断のポイントである ( 表 1). 血清クレアチニン ( 筋肉に存在するクレアチンの最終代謝産物で筋肉の量に影響される : s-cr) や血清シスタチン C( 全身の有核細胞で産生されるポリペプチドで年齢や性別, 筋肉量, 運動, 食事などには左右されない ) の値を用いた推算糸球体濾過量 (estimated GFR: egfr) が臨床上用いられている. 最近は, 小型の計算器や早見表ですぐに値を求めることができるので, 大変便利である ( 日本腎臓学会, 編. CKD 診療ガイド 2012. 東京医学社 ). 現在,CKD が臨床診療で大きな問題となっているのは,1 CKD と定義される疾患群 ( 病態 ) が末期腎不全 (end-stage kidney disease: ESKD) へ進行し, 将来的に腎代替療法 ( 透析療法や腎移植 ) を必要とする予備軍になっていることと,2 心血管病 (cardiovascular disease: CVD)( 狭心症や心筋梗塞, 特にわが国では脳卒中も多い ) の重要な発症リスク因子になっていることである. CKD における腎機能の低下には, 多くの進展 増悪因子がかかわっている ( 表 2). 喫煙, 大量の飲酒, 肥満 ( メタボリックシンドローム ), 脂質異常症 ( 高脂血症 ), 高尿酸血症 ( 痛風 ) も重要な因子である. CKD の患者数は国内外ともに増加しており, 国民の健康保持のみならず, 医療経済のう 1 CKD CKD の定義は以下の通りである. 1 尿異常, 画像診断, 血液, 病理で腎障害の存在が明らか. 特に蛋白尿の存在が重要 2 糸球体濾過量 (glomerular filtration rate: GFR) <60 ml/ 分 /1.73 m 2 1,2のいずれか, または両方が 3 カ月以上持続する. CKD の重症度は原因 (Cause: C), 腎機能 (GFR: G), 蛋白尿 ( アルブミン尿 : A) による CGA 分類で評価する. CKD は原因 ( C) と, その腎機能障害の区分 (G1 ~ G5) と蛋白尿区分 ( A1 ~ A3) を組み合わせたステージの重症度に応じ, 適切な治療を行うべきである. ( 日本腎臓学会, 編. CKD 診療ガイド2012. 東京 : 東京医学社 ; 2012. p.1) 1

2 CKD 1. 不適当な食事 2. 感染症 : 尿路感染, 肺炎, 敗血症など 3. 急激な循環状態の変動 : 高血圧, 低血圧 4. 水 電解質異常 : 脱水, 溢水, アシドーシス 5. 尿路疾患 : 尿路結石 狭窄 感染 6. 腎毒性薬剤 : 造影剤, 抗生物質,NSAIDs 7. 手術および外傷 8. 腎血流量の低下 : 心肺機能低下, 腎動脈の攣縮など 9. 原疾患の急性増悪 10. 尿細管の閉塞 : 高尿酸血症, 溶血, 横紋筋融解症, 不溶性薬剤など えでも大きな問題 負担となっている. CKD を早期に発見し早期から適切な治療を開始することにより ESKD への進行や CVD の発症を抑制することが可能である (treatable) とされている. そのためには,CKD のかなり早期から包括的治療を患者 家族とともに行うことが必須である. 2 CKD 病期 ( ステージ ) 分類は,2012 年に改訂された ( 図 1). 今回改訂された CGA 分類は, まず原因疾患 (cause: C) を決め egfr(g) の値から腎機能の程度を分け, さらに 糖尿病 原疾患 高血圧腎炎多発性嚢胞腎移植腎不明その他 (ml/ 分 / 1.73m 2 ) G1 G2 G3a G3b 蛋白尿区分尿アルブミン定量 (mg/ 日 ) 尿アルブミン /Cr 比 尿蛋白定量 (g/ 日 ) 尿蛋白 /Cr 比 正常または高値正常または軽度低下軽度 ~ 中等度低下中等度 ~ 90 60~89 45~59 30~44 A1 A2 A3 正常 微量アルブミン尿顕性アルブミン尿 30 未満 30~299 300 以上 正常 軽度蛋白尿 高度蛋白尿 0.15 未満 0.15~0.49 0.50 以上 G4 15~29 G5 末期腎不全 (ESKD) <15 重症度は原疾患 蛋白尿区分を合わせたステージにより評価する.CKDの重症度は死亡, 末期 腎不全, 心血管死亡発症のリスクを のステージを基準に,,, の順にステージが上昇す るほどリスクは上昇する. 図 1 CKD の重症度分類 (KDIGO CKD guideline 2012 を日本人用に改変 ) 2

1. 慢性腎臓病 (CKD) 糖尿病 原疾患 高血圧腎炎多発性嚢胞腎移植腎不明その他 (ml/ 分 / 1.73m 2 ) G1 G2 G3a G3b G4 蛋白尿区分尿アルブミン定量 (mg/ 日 ) 尿アルブミン /Cr 比 尿蛋白定量 (g/ 日 ) 尿蛋白 /Cr 比 正常または 90 高値正常または 60~89 軽度低下軽度 ~ 45~59 中等度低下 50~59 40~49 中等度 ~ 30~44 30~39 15~29 A1 A2 A3 正常 微量アルブミン尿顕性アルブミン尿 30 未満 30~299 300 以上 正常 軽度蛋白尿 高度蛋白尿 0.15 未満 0.15~0.49 0.50 以上 *1 *1 40 歳未満は 40~69 歳も 70 歳以上も G5 末期腎不全 <15 3カ月以内に30% 以上の腎機能の悪化を認める場合は腎臓専門医へ速やかにすること *1: 血尿と蛋白尿の同時陽性の場合には : 尿所見正常の場合, 腎臓専門医へのは, 安定した70 歳以上の患者ではeGFR40mL/ 分 /1.73m 2 としてもよい. 図 2 腎臓専門医への基準 (KDIGO CKD guideline 2012 を日本人用に改変 ) アルブミン尿 蛋白尿 (albuminuria または proteinuria: A) の値から分類する. 病期 ( ステージ )3 は, 推算 GFR(eGFR) の値から新たに G3a と G3b に細分類されている. 病期分類では, 移植患者である場合には transplantation( 移植 ) の英語の頭文字 T を, ステージ 5 で透析を受けている場合には dialysis( 透析 ) の頭文字 D をつける. たとえば, 移植患者では CKDG3A2T, 透析療法を受けている患者は CKDG5D と表現する. 健康診断 ( 健診 ) や学校 社内検診などで検尿 ( 血尿, 蛋白尿 ) や s-cr,egfr に異常がみられれば, それらの担当者は直ちにかかりつけ医の受診をすすめる. その後, かかりつけ医はヒートマップに従い腎臓専門医へのがなされる ( 図 2). 腎臓専門医は, 専門的な観点から診療し, またかかりつけ医へ逆することとなる. 富野康日己 3

2 CKD A 1 糖尿病は, インスリン治療が必須な 1 型糖尿病と必ずしも必須ではない 2 型糖尿病がある. しかし,2 型糖尿病でも栄養食事指導や運動療法, 薬物療法 ( 経口糖尿病薬など ) で効果が得られない場合には, インスリンの投与 ( 皮下注 ) も考えられる. わが国では, 中年発症で肥満を伴った 2 型糖尿病が 1 型糖尿病に比べはるかに多い. 糖尿病腎症 (diabetic nephropathy) は, 糖尿病により慢性的に進行する腎障害 ( 細小血管症 ) である. 細小血管症としては, 他に神経障害 (diabetic neuropathy) と網膜症 (diabetic retinopathy) がある. 糖尿病腎症の原因としては,1 遺伝因子 ( 腎症の発症に家族内集積性などが考えられている ) と,2 環境因子 高血糖による細胞内代謝異常, 高血糖の持続による終末糖化産物 (advanced glycation end-products: AGEs) の産生 蓄積, 糸球体高血圧 ( 糸球体過剰濾過 ), レニン アンジオテンシン系 (RAS) の異常など があげられている. わが国においては, 透析療法導入の原疾患として糖尿病腎症が 1998 年に慢性糸球体腎炎を抜いて第 1 位の患者数となり, その後も増え続けている.2012 年 12 月末の日本透析医学会の調査では, 透析患者総数は約 30 万 9 千人と報告されており, 新規透析導入患者の約 44% に糖尿病腎症が原疾患となっている. 一方, 慢性糸球体腎炎から末期腎不全 (end stage kidney disease: ESKD) への進行患者数は, 減少している. 2 2 型糖尿病を念頭におき 1991 年厚生省糖尿病研究班が糖尿病腎症病期分類を作成した. その後, 日本糖尿病学会と日本腎臓学会からなる糖尿病腎症合同委員会により議論がされ, 改訂が続けられてきた ( 表 3). 2014 年, 糖尿病腎症病期分類の再改訂版が刊行された. 改訂の要旨は, 現行の分類を踏襲しつつも CKD 分類との整合性も検討された ( 表 4). 病期分類に用いる GFR を egfr に変更し,3 期の A と B( 顕性腎症前期 後期 ) の区別は行わないこととしている. また, 尿アルブミン値の程度にかかわらず,GFR 30 ml/ 分 / 1.73m 2 未満を全て腎不全 (renal failure) とした. a) 第 1 期 ( 腎症前期 ) 糖尿病腎症の臨床症状は, みられない. 微量アルブミン尿は陰性で,eGFR は正常ないしやや増加している (30 ml/ 分以上 ). 組織学的には, ほぼ正常か軽度のびまん性病変 4

2. 慢性腎臓病 (CKD) の主な原因疾患 3 1 病期 尿アルブミン値 あるいは尿蛋白値 GFR(eGFR) (ml/ 分 /1.73m 2 ) 第 1 期 ( 腎症前期 ) 正常アルブミン尿 (30 未満 ) 30 以上注 2 第 2 期 ( 早期腎症期 ) 微量アルブミン尿 (20 ~ 299) 30 以上 第 3 期 ( 顕性腎症期 ) 注 3 顕性アルブミン尿 (300 以上 ) あるいは持続性蛋白尿 (0.5 以上 ) 30 以上注 4 第 4 期 ( 腎不全期 ) 問わない注 5 30 未満 第 5 期 ( 透析療法期 ) 透析療法中 注 1:糖尿病性腎症は必ずしも第 1 期から順次第 5 期まで進行するものではない. 本分類は, 厚労省研究班の成績に基づき予後 ( 腎, 心血管, 総死亡 ) を勘案した分類である (URL:http://mhlw-grants.niph.go.jp/, Wada T, Haneda M, Furuichi K, Babazono T, Yokoyama H, Iseki K, Araki SI, Ninomiya T, Hara S, Suzuki Y, Iwano M, Kusano E, Moriya T, Satoh H, Nakamura H, Shimizu M, Toyama T, Hara A, Makino H; The Research Group of Diabetic Nephropathy, Ministry of Health, Labour, and Welfare of Japan. Clinical impact of albuminuria and glomerular filtration rate on renal and cardiovascular events, and all-cause mortality in Japanese patients with type 2 diabetes. Clin Exp Nephrol. 2013 Oct 17. [Epub ahead of print]) 注 2:GFR 60 ml/ 分 /1.73m 2 未満の症例は CKD に該当し, 糖尿病性腎症以外の原因が存在し得るため, 他の腎臓病との鑑別診断が必要である. 注 3:微量アルブミン尿を認めた症例では, 糖尿病性腎症早期診断基準に従って鑑別診断を行った上で, 早期腎症と診断する. 注 4:顕性アルブミン尿の症例では,GFR 60 ml/ 分 /1.73m 2 未満から GFR の低下に伴い腎イベント (egfr の半減, 透析導入 ) が増加するため注意が必要である. 注 5:GFR 30 ml/ 分 /1.73m 2 未満の症例は, 尿アルブミン値あるいは尿蛋白値に拘わらず, 腎不全期に分類される. しかし, 特に正常アルブミン尿 微量アルブミン尿の場合は, 糖尿病性腎症以外の腎臓病との鑑別診断が必要である. 重要な注意事項 本表は糖尿病性腎症の病期分類であり, 薬剤使用の目安を示した表ではない. 糖尿病治療薬を含む薬剤特に腎排泄性薬剤の使用に当たっては,GFR 等を勘案し, 各薬剤の添付文書に従った使用が必要である. (2013 年 12 月糖尿病性腎症合同委員会 ) 日本糖尿病学会. 糖尿病性腎症病期分類 2014 の策定 ( 糖尿病性腎症病期分類改訂 ) について. 糖尿病. 2014; 57(7): 529-34 より許可を得て転載 ( 日本腎臓学会 http://www.jsn.or.jp/academicinfo/ckd/dm_nephro.pdf) 4 CKD アルブミン尿区分 A1 A2 A3 尿アルブミン定量尿アルブミン /Cr 比 ( 尿蛋白定量 ) ( 尿蛋白 /Cr 比 ) 正常アルブミン尿 30 未満 微量アルブミン尿 30 ~ 299 顕性アルブミン尿 300 以上 ( もしくは高度蛋白尿 ) (0.50 以上 ) (ml/ 分 /1.73m 2 ) G1 > 90 G2 60 ~ 89 G3a 45 ~ 59 G3b 30 ~ 44 G4 15 ~ 29 G5 <15 第 1 期 ( 腎症前期 ) 第 2 期 ( 早期腎症期 ) 第 4 期 ( 腎不全期 ) 第 3 期 ( 顕性腎症期 ) G5D 透析療法中第 5 期 ( 透析療法期 ) (2013 年 12 月糖尿病性腎症合同委員会 ) 日本糖尿病学会. 糖尿病性腎症病期分類 2014 の策定 ( 糖尿病性腎症病期分類改訂 ) について. 糖尿病. 2014; 57(7): 529-34 より許可を得て転載 ( 日本腎臓学会 http://www.jsn.or.jp/academicinfo/ckd/dm_nephro.pdf) 5