市民皆様が安心して利用していただくために 佐伯市橋梁長寿命化修繕計画 佐伯市建設課 2018 年 12 月
目 次 これまでの橋梁維持管理の取り組み 1 1 橋梁長寿命化修繕計画の策定 ( 平成 25 年 3 月 ) 1 2 橋梁長寿命化修繕計画の対象橋梁 1 3 橋梁長寿命化修繕計画に沿った維持管理の実施状況 2 4 橋梁長寿命化修繕計画に沿った維持管理の結果 3 5 今後の橋梁の維持管理に向けて 3 Ⅰ 橋梁の現状と策定対象 4 1 橋梁の高齢化 4 2 橋梁の現状 4 3 長寿命化修繕計画の策定対象 6 4 長寿命化修繕計画の対象橋梁 15 Ⅱ 計画期間と手法 16 1 長寿命化修繕計画の策定と計画期間 16 2 PDCA サイクル 16 Ⅲ 橋梁維持管理の優先順位 17 1 維持管理の優先順位の考え方 17 2 橋梁維持管理の優先順位 20 Ⅳ 橋梁の修繕対策 修繕内容 修繕時期および対策費用 22 1 橋梁修繕対策方法 22 2 修繕内容 修繕時期および対策費用 24 Ⅴ その他 27 1 学識経験者等への意見聴取 27 2 計画策定担当部署 27
佐伯市では これまでに市が管理する 900 橋以上の橋梁群に対して 限られた財源の中で利用者の安全 安心を確保するための計画的な橋梁維持管理に対する取り組みを行ってきました その中で平成 25 年 3 月に将来的な財政負担の軽減および道路交通の安全確保を図るため 従来の対症療法型から損傷度が大きくなる前に計画的な対策を行う予防保全型への転換を基本とした橋梁長寿命化修繕計画を策定しました 平成 25 年 3 月に策定した橋梁長寿命化修繕計画では 佐伯市が管理する全橋梁のうち 橋長 5m 以上の橋梁から供用中止となっている橋梁を除いた 615 橋を対象としていました - 1 -
橋梁長寿命化修繕計画に沿った平成 25 年から平成 30 年現在まで 5 年間の維持管理の実 施状況を下表に示します - 2 -
橋梁長寿命化修繕計画に沿った平成 25 年から平成 30 年現在まで 5 年間の維持管理の結 果 早急に対応しなければならない (5 年後の定期点検まで ) 橋梁数は平成 25 年度の時点で 全橋梁中 27% だったのに対し 平成 30 年度では 16% にまで低下しています 平成 30 年時点での維持管理の結果より 橋梁長寿命化修繕計画の効果があったことがわかります ただし 維持管理の実施状況の一覧表を見ると平成 25 年から平成 30 年までの間で修繕計画を立てた橋梁が計画年度に修繕されてないものもあります これは 橋梁点検結果の健全度評価が I やⅡの判定となっており 早急に修繕する必要はないと判断したことや実際の年間の予算により費用配分のバランスを考え 他の橋梁を先に修繕するといったことによる乖離だと考えられます また 平成 30 年度時点で佐伯市が管理する全橋梁の定期点検 ( 近接目視 ) が完了したことや 平成 28 年に橋梁定期点検要領が改訂されたこと等から 現行の計画は 実際の状況に応じた実施計画に対応できないものとなってきています 以上のことから 今後の適切な橋梁維持管理に向けて時勢や最新の点検結果に沿った橋梁長寿命化修繕計画の見直しを行うこととします 以下に具体的な見直し項目を示します 最新( 平成 30 年現在 ) の定期点検結果 (H28 橋梁定期点検要領を適用 ) の反映 平成 30 年までの修繕 架替実績と既に予定されている実施計画の反映 橋梁健全度評価による対象橋梁の抽出( 健全度判定 Ⅲ 以上 ) 橋梁の重要度を決める指標項目の追加と評価値の見直し 防災拠点接続路線, 水道施設占用路線, 学童通学路,1 日当り交通量を橋梁重要度指標項目として新たに追加 橋梁修繕計画を橋梁の重要度と損傷度の評価により決定した優先順位に基づき再策定 橋梁耐震化計画の策定 - 3 -
佐伯市が管理する橋梁は 平成 30 年現在で 919 橋となっております そのうち 建設後 50 年以上が経過する橋梁は全体の 25% を占め 10 年後には 74% 20 年後には 85% 程度に増加すると考えられています これら橋梁の老朽化が進行する状況の中 従来通りの対症療法型の維持管理を継続した場合 橋梁の修繕 架け替え等に要する補修費用が一時期に集中してしまい 一時的な事業費の増大により 適切な維持管理が不可能となることが懸念されています 佐伯市が管理する 919 橋のうち 過年度に実施した橋梁点検の結果 次回点検 ( 最新点検時期から 5 年後 ) までに何らかの対策 ( 詳細調査を含む ) が必要な橋梁は約 16%(145 橋 ) で 次回点検までに対策を必要とする橋梁は決して少なくない状況にあると言えます 次頁に橋梁の損傷事例を示します 対策区分 健全度 Ⅲ Ⅳ C2,E1, E2,S1 健全度 Ⅰ Ⅱ A,B0,B1, C1,S2,M 合計 橋梁数 145 774 919-4 -
橋梁損傷事例 箇所損傷内容損傷状況写真 主桁 防食機能 の劣化 腐食 上部工 床版 剥離 鉄筋露出 下部工橋脚ひびわれ 舗装 路面の凹凸 - 5 -
長寿命化修繕計画の策定は 下表に示す佐伯市が管理する 919 橋を対象とします - 6 -
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今回 策定対象とする橋梁 919 橋のうち これまでの点検結果で橋全体の健全性が Ⅲ 判定 以上となった法令点検後 2017 年度までに修繕した橋梁と 蒲 -86 清滝橋 を除いた 126 橋 について橋梁修繕計画を実施します なお 蒲 -86 清滝橋 は Ⅳ 判定となっていましたが 市道の当該部を廃止する予定であることから 今回の修繕計画の対象から除外することと します 市道市道市道 1 級 2 級その他 合計 全管理橋梁数 179 140 600 919 うち計画の対象橋梁数 ( 健全性 Ⅲ 判定以上 ) 29 23 75 127 うち平成 30 年度修繕計画橋梁数 29 23 74 126 点検後修繕済みおよび清滝橋を除く - 15 -
計画期間は 5 年毎の定期点検結果と今後の政策実践を踏まえて 短中期対策として 10 年間の期間に着目して計画を立案することとしました 優先順位は 維持管理水準 ( 重要度 ) が高く 健全度の悪い橋梁から順位を決定し 年間予算規模に応じた調査 補修工事を順番に実施していきます なお 定期点検後には最新の点検結果データに応じて 長寿命化計画の見直しを行い 予防保全型の維持管理を行っていきます 策定年月平成 30 年 12 月計画期間 10 年間 (2019 年度 ~2028 年度 ) 佐伯市橋梁長寿命化修繕計画は PDCA サイクルに沿って行います - 16 -
維持管理の優先度評価は 橋梁の重要度である 定性的評価値 と健全度の評価から算出した 総合評価値 をもとに決定します 定性的評価値と総合評価値を下表のように 3 つの区分に分類し 9 つのカテゴリに分類します 各カテゴリに優先順位を 1~9 の間で設定し 順位が低いものほど優先順位を高く評価します なお 同ランク内に複数の橋梁が存在する場合は まず総合評価値が 0 の橋梁を優先し 次に総合評価値が 0 以外の橋梁では定性的評価値を総合評価値で除した値の降順で優先順位を決定します 定性的評価値 ( 橋梁の重要度 ) 100 以下 60 以上 60 未満 30 以上 30 未満 総合評価値 ( 橋梁の健全度 ) 30 未満 1 3 6 30 以上 60 未満 2 5 8 60 以上 100 以下 4 7 9 総合評価値の考え方最新の定期点検結果から橋梁の各部材における健全度を 5 段階で評価し 健全度の評点化を行います 部材ごとの健全度の評点に 耐荷性 災害抵抗性 走行安全性 の重み係数を掛けた値の合計値を損傷度評価値とし 100 から損傷度評価値を引いた値の最小値を総合評価値とします 本検討における健全度ごとの評点と 耐荷性 災害抵抗性 走行安全性 の重み係数は次のようにします なお 損傷度評価値が 100 を超える場合は 100 として評価します 健全度の評点 健全度評点 A 0 B 10 C 20 D 40 E 80 部材 重み係数耐荷性災害抵抗性走行安全性 主桁 1.0 0.4 0.2 床版 0.6 0.2 1.0 下部工 0.2 1.0 - 支承 0.2 0.8 0.2 路面 - - 0.8-17 -
定性的評価値の考え方各橋梁の諸元項目ごとに重み係数を設定し 各諸元の評価項目ごとに評点を設定し 加重平均をとるとともに 諸元項目を考慮した重要度を 100 点満点で算出し 定性的評価値とします 本検討において考慮する橋梁諸元とその評価項目の重み係数 評点を以下のとおりに設定します 次頁に維持管理優先順位決定のフローを示します 維持管理の定性的評価 ( 橋梁の重要度 ) 橋梁諸元重み係数評価項目評点評点 重み 緊急輸送道路 0.20 迂回路 0.15 該当 100 20.0 非該当 0 0.0 該当 100 15.0 非該当 0 0.0 100m 以上 100 5.0 橋長 0.05 50m 以上 100m 未満 70 3.5 15m 以上 50m 未満 35 1.8 15m 未満 0 0.0 鉄道 100 5.0 交差条件 0.05 道路 80 4.0 河川 40 2.0 開水路 0 0.0 防災拠点接続路線 0.15 水道施設占用路線 0.15 学童通学路 0.10 該当 100 15.0 非該当 0 0.0 該当 100 15.0 非該当 0 0.0 該当 100 10.0 非該当 0 0.0 交通量 (1 日当り ) 0.15 10 台未満 0 0.0 10 台以上 50 台未満 10 1.5 50 台以上 100 台未満 20 3.0 100 台以上 500 台未満 40 6.0 500 台以上 1000 台未満 60 9.0 1000 台以上 5000 台未満 80 12.0 5000 台以上 100 15.0-18 -
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各橋梁の 定性的評価値 と 総合評価値 により優先度の評価を行い 橋梁維持管理の 順位を決定し 下表にまとめました - 20 -
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対策は 健全度ごとに設定を行い 補修単価は既往の成果を元に設定します 1) 鋼橋 - 主桁, 鋼床版 健全度工法単価 ( 千円 ) 補修範囲補修割合 A - B - C 3 種ケレンふっ素樹脂塗料 10.2 塗装面積 1.00 3 種ケレン D ふっ素樹脂塗料 10.2 塗装面積 1.00 あて板補強 240.0 塗装面積 0.01 3 種ケレン E ふっ素樹脂塗料 10.2 塗装面積 1.00 あて板補強 240.0 塗装面積 0.05 2) 鋼橋 - コンクリート床版 健全度工法単価 ( 千円 ) 補修範囲補修割合 A 床版防水工 11.5 橋面積 1.00 B 床版防水工 11.5 橋面積 1.00 ひび割れ注入 5.0 橋面積 0.50 C 床版防水工 11.5 橋面積 1.00 上面増厚 45.0 橋面積 1.00 D 床版防水工 11.5 橋面積 1.00 鋼板接着工法 57.0 橋面積 1.00 E 打換え 109.0 橋面積 1.00 3) コンクリート橋 - 主桁, 床版 健全度工法単価 ( 千円 ) 補修範囲補修割合 A 表面被覆 11.0 橋面積 1.00 B 表面被覆 11.0 橋面積 1.00 断面修復 70.0 橋面積 0.10 表面被覆 11.0 橋面積 1.00 C ひび割れ注入 5.0 橋面積 1.00 断面修復 70.0 橋面積 0.10 D 断面修復 70.0 橋面積 0.30 炭素繊維シート接着工法 67.0 橋面積 0.80 表面被覆 11.0 橋面積 1.00 E 断面修復 70.0 橋面積 1.00 外ケーブル補強 45.0 桁本数 1.00-22 -
4) 下部工 (RC) 健全度 工法 単価 ( 千円 ) 補修範囲 補修割合 A 表面被覆 11.0 部材表面積 1.00 B 表面被覆 11.0 部材表面積 1.00 断面修復 70.0 部材表面積 0.10 表面被覆 11.0 部材表面積 1.00 C ひび割れ注入 5.0 部材表面積 1.00 断面修復 70.0 部材表面積 0.10 D 断面修復 70.0 部材表面積 0.30 炭素繊維シート接着工法 67.0 部材表面積 1.00 E 断面修復 70.0 部材表面積 1.00 RC 巻き立て工法 55.0 部材表面積 1.00 5) 支承 健全度工法単価 ( 千円 ) 補修範囲補修割合 A - B - C - D - E 取替 565.0 基数 1.00 6) 舗装 健全度工法単価 ( 千円 ) 補修範囲補修割合 A - B - C - D - E 打換 12.0 橋面積 1.00 7) 架替費用 架替費用は橋梁毎に算出したものを計上することとします 8) 設計費用 総事業費の 20% を設計費用として計上することとします - 23 -
対象橋梁 126 橋の修繕計画を下表に示します - 24 -
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橋梁長寿命化計画は 計画の妥当性確認の目的として 学識経験者の専門的な知識を有 する者からの意見聴取が義務付けられています 独立行政法人国立高等専門学校機構 大分工業高等専門学校都市 環境工学科 教授一宮一夫博士 ( 工学 ) 大分県佐伯市役所建設課道路維持係 876-8585 大分県佐伯市中村南町 1 番 1 号 TEL:0972-22-3526( 直通 ) FAX:0972-24-2615 http://www.city.saiki.oita.jp/index.html - 27 -