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Transcription:

NAOSIE: Nagaaki Univriy' Ac il ディジタル制御システム Auhor() 辻, 峰男 Ciaion ディジタル制御システム ; 06 Iu Da 06 URL hp://hdl.handl.n/0069/3686 Righ hi documn i downloadd hp://naoi.lb.nagaaki-u.ac.jp

第 章ブロック線図. インパルス列を用いた z 変換 前節では, 数列を用いてz 変換を定義したが, インパルス列 (ring of impul) を用いても z 変換を求めることができる 数列で考えるより複雑そうに見えるが, これにより,z 変換したシステム全体のブロック線図が容易に求められるなどの利点がある 数列 { x( k)} に対応して, インパルス列 x *( ) を x*( ) x(0) ( ) x() ( ) x() ( ) x(3) ( 3 ) x( k) ( k) (-) k0 0 / ( k) 0 k と定義する デルタ関数 (dla funcion) ( k) は, k のときのみ の値を持つが, 幅は無限小で, その積分は である ( 面積 の長方形の高さを無限に伸ばした形と考えると良い ) 数列{ x( k)} の例としては, 図 -(a) に示す様に連続時間信号 x() を周期 ごとにサン プリング ( 標本化 )(ampling) したサンプル値信号 (ampld-daa ignal) がある {()} x k x(0) x() x() x(3) x(4) x(5) x * () x(0) ( ) x(3) ( 3 ) 0 3 4 5 0 3 4 5 (a) サンプル値信号 (b) インパルス列図 - サンプル値信号とインパルス列 インパルス列の各値は であり表示しにくいので, 矢印をつけて表し, 高さを数列の値に合わせて書く 両者の違いは, 数列を積分しても値はないが, インパルス列は積分できる点にある すなわちインパルス列は一般の関数と同じようにラプラス変換 (Laplac ranform) 5

ができる そこで, ( k) のラプラス変換 L( ) を求めてみよう ( k) は k 付近 以外は 0 なので, L( ( k)) ( k) d 0 k は一定値として積分の外へ出せる 0 ( k) d k (-) 従って,(-) をラプラス変換すると次式が得られる * 3 Lx ( *( )) X ( ) x(0) x() x() x(3) いま, とおくと, xk ( ) (-3) k0 k z (-4) * X () x() k z k 0 k X ( z) (-5) が成立する このようにインパルス列をラプラス変換して z 変換を求めることができる {()} x k X ( z) 数列 z 変換 インパルス列 ラプラス変換 z x * () X * () 図 - z 変換に至る つの方法. z 変換によるディジタル制御系のブロック線図 () 零次ホールドの伝達関数まず, 重要な零次ホールドの伝達関数を求めよう ここで考える零次ホールドの働きを図 -3 に示す 数列のラプラス変換はできないから, 零次ホールドの入力としてインパルス列 x * () を考える 6

インパルス列 x * () y () 零次ホールド x( k ) ( ( k ) ) x( k) ( k) x * () xk ( ) x( k) y () ( k ) k ( k ) k 図 -3 零次ホールド 単位ステップ関数 (uni p funcion) : k U ( k) (-6) 0 : k を用いると, 零次ホールドの出力は次式で表現できる y() x( k)[ U( k) U( ( k) )] (-7) k0 U ( k) k ( k ) - (-7) をラプラス変換すると以下のようになる Y k ( k ) () xk ()( ) k0 ( ) x ( k ) k0 ( ) * X ( ) k U ( ( k) ) (-8) 従って, 零次ホールドの伝達関数 Goh() は, Goh() ( ) (-9) で与えられる このゲインと位相特性は付録にある 零次ホールドを伝達関数で表すためにインパルス列という考え方が役立った そしてこの伝達関数は零次ホールド+ 制御対象のパルス伝達関数 (z 変換 ) を求めるのに役立つ 7

() 連続時間信号及びラプラス変換した値の z 変換 零次ホールドの伝達関数を利用することを考える 連続時間信号 x() をサンプリングして得られる数列 { x( k )}( 図 -(a) を見よ ) を用いてz 変換が求まるが, x() にはラプラス変換 X () も存在する そこで X () のz 変換が X () を逆ラプラス変換した x() から得られる数列のz 変換と約束して以下のように書く Z{ xk ( )} Z{ xk ( )} Z( x ( )) Z( X( )) (-0) これから, 以下の公式を得る 公式 Z( a f ( ) b g( )) az( f ( )) bz ( g( )) (-) Z( af ( ) bg ( )) az( F ( )) bzg ( ( )) (-) 公式 公式 3 公式 4 z ZU ( ( )) Z( ) (-3) z z Z () Z( ) ( z ) a z Z ( ) Z( ) a z n a (-4) (-5) 公式 5 Z( f ( n)) Z ( F ( )) z ZF ( ( )) (-6) n 公式 6 Z( ) ( z ) Z( ) a ( a) a z a a (-7) ただし,n は整数,a,b は定数 F( ) L( f( )), G( ) L( g( )) : ラプラス変換 公式 の証明 :(-7) に (-0) の定義を用いると得られる 公式 の証明 : 単位ステップ関数 U () をサンプリングした数列は,,,, であるから, (-0) の定義を用いると得られる 公式 3 の証明 : 数列 0,,,3, をz 変換すればよく, 例題 -( 注 ) で p とおき, 全体を 倍すればよい 公式 4 の証明 : a a 3a a a 3a 3 Z,,,, z z z z z z a a 8

公式 5 の証明 : Z( f( )) Z( F( )) Z f(0), f( ), f( ), f(3 ), 3 f(0) f( ) z f( ) z f(3 ) z Z( f( )) Z 0, f(0), f( ), 3 f(0) z f( ) z f( ) z z Z( F( )) Z( f( n)) Z f( n), f( ( n) ),, f(0), f( ), Z 0,0,,0, f(0), f( ), n ( n) ( n) f(0) z f( ) z f( ) z z n Z( F( )) 公式 6 の証明 : Z( ) ( z ) Z( ) a ( a ) ((-),(-6) より ) ( z ) Z( ( )) ( z z z )( ) a a a a z z a z a a (3)z 変換によるシステムのブロック線図 零次ホールドの伝達関数を用いたディジタル制御系のチャンポンブロック線図 ( この言葉は著者の造語で一般にはない (champon; noodl wih afood, vgabl, c.)) を図 -4 に示す u * () は入力のインパルス列である すなわち, u*( ) u( k) ( k) k0 rk ( ) ディジタル演算 uk ( ) u * () 零次ホールド 制御対象 Gp () y () yk ( ) ( k) 図 -4 ディジタル制御系のチャンポンブロック線図 9

入力 uk ( ) の z 変換とそのインパルス列 u * () から求まる z 変換は同じであるから ( 図 -), 簡単のため図 -4 を図 -5 のように書くこともある 図 -5 で yk ( ), rk ( ), uk ( ) をその z 変換 Y( z), R( z), U( z) で置き換えたものは厳密に正しい ブロック線図は演算の仕方さえ誤らな ければ, そこから得られるイメージがピンとくるものが望ましく, ディジタル制御器は差分方程式 ( または z 変換したもの ), 制御対象は連続系の伝達関数で表現されているのが物理的に判りやすいと思われる なぜなら, 差分方程式の方が制御器のソフトウェアとの結びつきが良く, 制御対象はラプラス変換されたものが判りやすいからである rk ( ) yk ( ) uk ( ) Gp () Goh () y () 図 -5 ディジタル制御系のチャンポンブロック線図 ( 図 -4 の簡易表示 ) 図 -4 や図 -5 では差分方程式のブロックとラプラス変換した連続系のブロックがチャンポンになっており, 解析を行うためにはシステム全体を z 変換のブロック線図で表示することが望まれる そこで, uk ( ) と y( k) の間の伝達関数を求めよう 零次ホールド+ 制御対象の伝達関数 G () G G() として, 図 -6 に示すブロック線図を考える を 0h p () G () g() u * () uk ( ) G () y () yk ( ) 0 0 u(0) ( ) ( k) u() ( ) u() ( ) 0 3 (a) インパルス応答 g () (b) インパルス列に対する応答 y () 図 -6 零次ホールド+ 制御対象の応答 (a) 図に示すように, G () のインパルス応答を g () とすると ( L : 逆ラプラス変換 ), 0

g () L G ( ) (-8) である ( 何故なら () のラプラス変換はだから ) (b) 図で k 0 として, 入力が u(0) ( ) のときの出力が (a) 図より u(0) g( ) だから, それをサンプリングした信号は y ( k ) u (0) g (0), u (0) g ( ), u (0) g ( ), u (0) g (3 ), 0 (-9) と表せる k として, 入力 u() ( ) に対する出力は u() g( ) だから, それをサン プリングした信号は時間 以降に生じ y ( k ) 0, u () g (0), u () g ( ), u () g ( ), (-0) である 以下同様に求めることができ, それらの和として yk ( ) { u(0) g(0), u(0) g( ) u() g(0), u(0) g( ) u() g( ) u() g(0), u(0) g(3 ) u() g( ) u() g( ) u(3) g(0), } k を用いて成分を書くと, yk ( ) uig ( ) (( ki ) ) k0,,,3, i0 (-) である yk ( ) の右辺は数列 u と g の畳み込み和 (convoluion um) と呼ばれている (-) 式を z 変換すると定義より 3 Yz ( ) Z{ yk ( )} u(0) Gz ( ) u() Gzz ( ) u() Gzz ( ) u(3) Gzz ( ) 3 ( u(0) u() z u() z u(3) z ) G( z) GzUz ( ) ( ) (-) ここで, Gz ( ) は g () をサンプリングした信号の z 変換で次式を用いた Gz ( ) g(0) gz ( ) g( z ) g(3 z ) 3 (-3) (-) は任意の G () について成り立つ つまり, G () の中に零次ホールドが含まれなくてよい (-) より, 図 -4 について, 数列 {()} uk と数列 { y( k)} に関する伝達関数は Y( z) G () p Gz ( ) Zg ( ( )) ZG ( ( )) Z( Gp ( )) ( z ) Z( ) (-4) U( z) により計算できることが判った すなわち零次ホールド+ 制御対象の部分をまとめてz 変換するだけで良い Gz ( ) を用いると, 図 -4 は図 -7 で表わせる なお, ディジタル制御

器の部分は差分方程式で表されるので,z 変換は容易で Cz ( ) はすぐに得られる () 節の公式 ~6 は, 制御対象の伝達関数 Gp() が得られている場合,(-4) より零次ホールド+ 制御対象の部分の伝達関数 Gz ( ) を求めるのに便利である ディジタル零次ホールド制御器 制御対象 R( z ) U( z) Y( z) Cz ( ) Gz ( ) 図 -7 z 変換によるシステムのブロック線図 [ 例題 -] RL 回路のディジタル制御系で, 電流の比例制御を考えると, 以下のブロック線図が得られる これからz 変換したブロック線図を導け ir ( k) K 制御対象 vr ( k ) v () i () R L ik ( ) ( 解 ) 図で, 零次ホールドと制御対象をまとめてz 変換したパルス伝達関数 Gz ( ) は, 公式 6 より, 以下のように求まる ( 図の vr ( k) と ik ( ) の間 ) I( z) Gz ( ) Z( ) Z( ) V ( z) R L L ( R/ L) R z r R / L R / L 比例制御の部分については, 次式のように z 変換できる V ( z) K( I ( z) I( z)) r r 以上により,z 変換した量についてのブロック線図が以下の様に得られる

Gp ( z) I r ( z ) Vr ( z ) R/ L I( z) K R z R / L なお, このブロック線図は, 既に図 -6 に示していたものと同じである しかし, 制御対象 が比較的簡単な場合には, 例題 - の方法が容易にブロック線図を求めることができ, 便利 である [ 例題 -] 制御対象が次式で与えられるとき, 零次ホールドと制御対象をまとめたパルス伝達関数を求めよ Gp() ( ) p G p () ( 解 ) Gz ( ) ( z ) Z( ) ( z ) Z( ) ( p ) a b c ( ) ( ) z Z p 恒等式を解いて, a, b, c p / p p p p Gz ( ) ( z ) Z( ) z p z z p z ( / ) z z ( z ) p z p ( ) / z p z p [ 例題 -3] 零次ホールドと制御対象をまとめたパルス伝達関数 Y( z)/ U( z) を求めよ rk ( ) K 零次ホールド 制御対象 uk ( ) y () ( )( ) yk ( ) 3

( 解 ) Y( z) 4 z Z z Z U( z) ( )( ) ( ) ( ) ( ) ( ) z ( z) za zb ( a b) zabba ( za)( zb) ただし, a, b / 例題 -4 制御対象が次式で与えられるとき, 零次ホールドと制御対象をまとめたパルス伝達関数を求めよ Gp (), 0 ( 解 ) Gp () a b c Gz ( ) ( z ) Z ( z ) Z 係数を比べて, ( ab) ( ac) a a, b, c Gz ( ) z Z z 付録の公式を利用する z Z z Z Z ( ) ( ) z z co z z co co z in z z ただし, 整理して, ( z) z( )( in co ) Gz ( ) z (co ) z 4

例題 -5 マイナーループ ( y ( k) のフィードバック ) を有する図のディジタル制御システムを z 変換による伝達関数だけを用いたブロック線図に直し, Y ( z)/ R ( z) を求めよ r( k) r ( k) uk ( ) y ( ) y () K K y( k) y( k) y( k) ( 解 ) 求めるブロック線図は図のように表せる R R( z ) ( z) U( z) G( z) K K Y( z) G ( z) Y ( z) ここで, G ( z) ( z ) Z( ) ( 例題 - より ) ( ) z z G ( z) ( z ) Z( ) ( 例題 - より ) ( ) z 一般のブロック線図と同様に計算して, U( z) K R( z) KG だから, K KG Y( z) KG KK G R ( z) K KG K G K K G KG K, K は z の関数すなわち K ( z), K ( z) でも成立つ 5

例題 -6 図のむだ時間要素を含む制御対象のディジタル制御システムで, Y( z)/ U( z) を求めよ ただし,, D. とする rk ( ) uk ( ) D y () yk ( ). Y( z) ( 解 ) ( z ) Z( ) U( z) ( ) ラプラス逆変換して ( ) ( ) ( ) L L. 0 0. 故に L ( ) ( (.) ).. (.) (3.) (4.) Z( ) Z0, 0,,,, ( ) 0 3 4 3 4. 3 3 4 4 z z z z z z z z z z.,より Y ( z ). ( ) ( z z z ) U( z) z z z 0. 0. ( ) z z ( ) 6