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計測工学講義 第 7 回目 担当 : 西野信博 A3-525 号室 nishino@hiroshima-u.ac.jp home.hiroshima-u.ac.jp/nishino/ 1 プラズマ実験装置 NSTX(Princeton)

目 次 第 2 章スペクトル解析 フーリエ展開とフーリエ変換 相関関数とパワースペクトル 2

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演習 スペクトル解析とはどのようなものかを わかりやすく簡潔に説明せよ ポイント 物理的には ある時系列の現象が どの周波数成分をどの程度の大きさを含んでいるかということを表すのがスペクトル解析である ある時系列の現象の変動がどのような周波数成分を含んでいるかを調べること 具体的には 周波数別に振幅 もしくは パワー ( 振幅の2 乗に比例 ) を表した図など 通常 横軸 ( 縦軸 ) に周波数を取り 縦軸 ( 横軸 ) に振幅やパワーなどを取る 4

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授業の流れ 前回では スペクトル解析 ( 周波数解析などとも言う ) の基本的な手法であるフーリエ級数展開の方法を学んだ フーリエ級数展開とは N 次元の任意のベクトルを直交基底ベクトルで近似する方法を 関数を無限次元ベクトルとみなした場合に応用したものとして考えられる 今回は それを発展させたフーリエ変換を説明する 6

フーリエ級数展開 ベクトルと同様に 単位直交関数列を利用して関数を展開する ( 近似する ) 1 1 nx 1 nx, cos, sin ( n 1) 2a a a a a この単位直交関数列を使って 関数を展開した時 1 n x n x 0 ( ) ( ncos 2a a n1 a nsin a ) f x f ( x) f ( x) 右辺を関数のFourier( フーリエ ) 級数といった 因みに, sinは奇関数, cosは隅関数である 7

フーリエ級数の複素表示 オイラーの関係式を用いて e iθ cos isin θ 2 i 1 三角関数から指数関数表示に変更すると, クイズ i 1 inx / a inx / a ( ) ( n n ) n0 f x A e B e a 1 1 in x / a An ( n in) f( x) e dx 2a 2a a a 1 1 in x / a Bn ( n in) f( x) e dx 2a 2a a 8

複素フーリエ表示 あるいは n=- から とし 右辺をまとめて表示すると f( x) n C e n in x / a a 1 in x / a Cn f ( xe ) dx 2a a この表示を複素フーリエ表示という. 9

フーリエ級数展開からフーリエ変換へ フーリエ級数展開を拡張する. 区間 (-a,a) は有限な任意の大きさであるがa とした時の表現を考える 今 k n =nπ/aとおく (k n は波数と呼ばれる量 ) すると その間隔 Δkは Δk=k n+1 k n =π/aで 1 k in x / a iknx f ( x) Cne Cne 2a n 2 n a iknx Cn f( x) e dx a 10

フーリエ変換への移行 a の時 Δk 0 となるので k C C( k) dk と考えてよい. よって k k, k dk として n が得られる. これをフーリエ変換という n 1 ikx f ( x) C( k) e dk 2 ikx Ck ( ) f( xe ) dx 11

ディラックのδ 関数 前の式の積分変数の表記を変えてもよいので 1 ikx ikt f( x) C( k) e dk, C( k) f( t) e dt 2 すると 2 2 1 ikt ikx 1 ik ( xt) f( x) f() t e dt e dk f() t e dtdk 2 1 ik ( xt) f() t e dk dt これと f( x) f( t) ( xt) dt を比較すると 1 ik ( xt) e dk ( x t) のように見える 2 事実 これは δ 関数の定義の一つである 12

数係数 2π の任意性 フーリエ変換, またはその逆変換の間には見て判るように2π が入っている. この2πをどこにつけるかにより, 見掛けが変わるが 本質的な差はない. 本授業では, f ( x) のフーリエ変換を その逆変換を と書くようにする. 1 ikx Fk ( ) f ( xe ) dx 2 f ( x) F( k) e ikx dk 13

余弦変換と正弦変換 関数 f( x ) が偶関数の時 すなわち f( x) f( x) であれば 1 ikx 1 Fk ( ) f( xe ) dx f( x)(coskx isin kxdx ) 2 2 1 0 f( x)coskxdx となることは容易にわかる この時 Fk ( ) も偶関数で ikx f( x) F( k) e dk 2 F( k)coskxdk となる 関数 f( x) が奇関数なら 同様に以下の形にかける 1 Fk ( ) f( x)sinkxdx 0 ikx f( x) F( k) e dk 2 F( k)sinkxdk 0 0 虚数は F(k) に入れている 14

フーリエ変換とスペクトル 例えば プリズムによる光のスペクトル分解の様に 計測値や不規則信号をフーリエ変換によって 周波数とその成分波の強さ エネルギーに分解されたものをスペクトル ( あるいはエネルギースペクトル ) と言う 光のスペクトル (7 色 ) ( 硝子 もしくは 水晶 ) どちらが青? どちらが赤? 常識問題 15

パワースペクトル密度関数 周波数の波のエネルギーはその振幅の2 乗で表される f X ( f ) 周波数の信号成分の単位時間当たりのエネルギー (=パワー) は, 一般に f の関数である f これをパワースペクトル密度関数と呼び, 次の様に定義する 1 2 1 * P( f ) lim X ( f ) lim X ( f ) X ( f ) T T T T この時 Tは測定時間で 理想的には十分長い間測定することをで表現している lim T 定常状態に近い現象を暗に仮定 16

平均パワーとパワースペクトル密度関数 不規則変動である信号 x(t) の平均パワーは T 2 2 1 2 T T T 2 x lim x ( t) dt であり これはあらゆる周波数成分のパワーを含んでいる よって, 周波数 f ~ f df の間の成分波のエネルギー P( f ) df の 総和であるから 2 x P( f ) df という関係になるはずである x 2 17

ディジタルフーリエ変換を使用したデータ処理の例 右の図は 実験装置と計測装置を示したものである. 実験装置は 立体磁気軸のヘリオトロン J で図 1 ではピンク色がプラズマ, 赤の装置はヘリカルコイルで青と緑がトロイダルコイルである. 図 2の高速カメラ ( 上 ) でプラズマに近づけたリミター ( 下 ) を撮影 また, 水平ポートからも低速カメラでモニターしている 図 1 ヘリオトロン J プラズマの鳥瞰図 fast camera (40500fps, max.) to spectroscopy half mirror Heliotron J plasma second camera (500fps, max.) Langmuir probes <R>=1.2m cannonball-shape limiter (movable) 図 2 計測装置概要 18

実験結果の一例 下図は 高速カメラによるヘリオトロンJプラズマの計測の結果の一例です. (Journal of Plasma and Fusion Research 80 (2004) pp179-180) 左が原映像 ( 白黒 64x64 画素 ) 右が時間についてフーリエ変換 ( 実際は,FFT) をかけ 最も強い周波数成分 (5.7kHz 程度 ) を取り出したもの これにより コヒーレントな振動が確認されている. R トロイダル方向 19

筑波大学のプラズマ実験装置 上から概略図 コイル配置図 磁束管と加熱機器 磁場強度分布 ポテンシャル分布 20

カメラの撮影結果 #202552 #202553 セントラル部の ECH がある時は 磁力線に沿った揺動の構造がはっきり見える セントラル部の ECH がない時は 磁力線に沿った揺動の構造がはっきり見えない ECH:electron cyclotron (resonance) heating ( 電子サイクロトロン [ 共鳴 ] 加熱 ) とは, 磁場中にある電子のサイクロトロン周波数付近の電磁場を使って電子を加熱 ( あるいは, 加速 ) する方法

下図の中央付近の赤い線上の光量の時間変化を追うと 瑶動の挙動 (ECH あり ) #202552 t=160-175ms フィラメント状の揺動が見つかる t=165-166ms

高速フーリエ変換 (FFT) によるスペクトル解析結果 (ECH あり ) 光量が大きい適当な画素 (80,52) を選び その信号を FFT にかけた 縦軸 : 強度 横軸 : 時間 周波数 6.5kHz 帯にブロードなピーク 時間全区間での FFT 縦軸 : 強度 横軸 : 周波数 (1/ 時間 )

時間依存 FFTを2 次元画像にかけて 各画素の位相を色表現すると 2 次元的な挙動がわかる (32フレーム使用) 基準とした色 FFT による 2 次元位相差図 (ECH あり ) π π π/2 π/2 0 t=165ms 位相が水平方向で一定上から下に回転 #202552 t=162-173ms t=166.5ms 位相が水平方向で一定回転が止まり その後 逆回転 t=170ms 位相がばらつく回転等は見られない

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演習 1, 区間 (-a,a) のフーリエ級数展開の式 0 1 n x n x f( x) ( cos n sin n ) 2a a n1 a a を利用して 以下を証明せよ f ( x) が偶関数の場合は n 0 f ( x) が奇関数の場合は n 0 2, 次に ωを定数として 区間 (-π π) で定義される以下の関数のフーリエ級数展開を求めよ f ( x) f( x) cos x (0 x) f( x) sin x ( x0) 26

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本日のポイント フーリエ級数展開から 区間無限大の関数にも適用可能なフーリエ変換を概説した 1 ikx Fk ( ) f ( xe ) dx 2 f ( x) F( k) e ikx dk 但し 係数の 2π の位置は任意性がある 28