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551 東ソー製 AIA-2000 を用いた SCC 試薬基礎検討報告 槇恭佑 1) 後藤正寿 1) 鈴木萌子 1) 沖縄徳洲会湘南鎌倉総合病院 1) はじめに SCC 測定は CLIA 法 RIA 法による測定が一般的であったが 新たに FEIA 法での測定が開発された 栄研化学より販売された SCC 試薬の基礎検討結果を報告する 機器 試薬 測定機器として東ソー製 AIA-2000 測定試薬として FEIA 法である E テスト TOSOH Ⅱ (SCC)( 東ソー ) を用いた 相関の対照法として CLIA 法であるアボット社製 アーキテクト SCC を用いた 結果 1) 同時再現性 :2 濃度の管理試料とヒト血清を用いて測定を実施したところ 管理試料濃度 1 濃度 2 の CV% は 4% 以下であり ヒト血清低濃度 高濃度の CV% は 4% 以下であった 2) 日差再現性 :SCC 試薬常時搭載で 12 日間 2 濃度の管理試料の測定を行ったところ 濃度 1 の CV% は 4.0% 濃度 2 の CV% は 3.7% であった 3) 相関性 :SCC 検査依頼のある検体から 30 件選択し FEIA および CLIA 法にて測定を行った 相関係数 :R= 0.9082 となったが値が大きく乖離する検体も存在した 4) 乖離検体の精査 : 値が 10% 以上高い検体と乖離を認めた検体をゲル濾過法 (TSKgel G3000SWXL) により分離し 各 画分を CLIA 法及び FEIA 法で測定して溶出パターンを比較したところ CLIA 法では SCC の溶出画分以外に高分子化 SCC の存在が認められた 各溶出画分に SCC 抗原を添加し回収率を検討したところ 両測定系の値が乖離した検体については IgG 溶出画分で回収率の低下が認められ SCC の高分子化に IgG の関与が示唆された まとめ FEIA 法同時再現性 日差再現性は良好な結果が得られた CLIA 法との相関性は約 10% 低値となり 値が乖離する検体も存在した 乖離の原因として FEIA 法と CLIA 法は高分子 SCC 抗原に対する反応性が異なることが示された 高分子化 SCC を原因とする偽高値の報告もあることから 高分子化 SCC への反応性の小さい FEIA 法はより臨床経過を反映している可能性が考えられた FEIA 法は測定時間も 20 分と短く診療前検査に適用可能であり 院内検査に有用と考えられた 連絡先湘南鎌倉総合病院検査部電話番号 :0467-46-1717 内線 (12201)

552 CA19-9 の 3 社間での検討 齋藤裕之 1) 船木稲子 1) 六平典子 1) 横山一二美 1) 秋田赤十字病院 1) 目的 糖鎖抗原腫瘍マーカーである CA19-9 は 膵癌 胆道癌などの消化器癌や卵巣癌の腫瘍マーカーとして 診断補助や治療のモニタリングとして使用されている 近年 短時間分析が可能のため普及している non-ria 法の測定では 測定法間のデータの乖離が大きく問題視されている 今回 我々は試薬変更に伴い測定法の異なる 3 社 (CLIA 法 : アーキテクト,ECLIA 法 : エクルーシス,CLEIA 法 : HISCL) のキットについて検討した また 変更前後の CA19-9 値を1ヶ月間臨床に報告し 測定値に関するアンケートを実施したので報告する 対象 2014 年 8 月 1 日 ~8 月 31 日に当院を受診し CA19-9 の検査依頼があった 312 例 (250 名 ) 方法 全例を 3 法で測定し 以下 7 つの条件で解析を実施 互換性 関連性について検討した 1 全例 23 社のうち1 社でも値が 100U/mL 以下であった例 33 社とも値が 100U/mL 以上であった例 43 社とも値が 100U/mL 以下であった例 53 社のうち値が 1 社でも 100/mL 以上であった例 6 診療科別 7 今回値 / 前回値の変化率 (%) 結果 全例 診療科別 変化率の各検定では有意差が認められなかった CA19-9 値を 100U/mL で区切った2~5では有意差が認められ 3 社間のデータは乖離が大きかった アンケート結果では 試薬変更前後のデータの同時報告は 参考になったとの意見が多かった 結語 CA19-9 は 測定法によりデータが乖離するため機種 / 試薬の変更時は 臨床への理解を得ることは難しいとされているが 相関 のデータだけではなく 変更前後の 測定データ を報告することで臨床の理解も得やすくなると考える 連絡先 018-829-5000( 内線 5616)

553 CEA 測定試薬変更時に遭遇した乖離検体 園雪絵 1) 永吉幸 1) 有村義輝 1) 鹿児島市医師会病院 1) はじめに CEA( 癌胎児性抗原 ) は 主に消化器系癌の腫瘍マーカーとして利用されている この CEA という分子に非常に構造の類似した物質が生体内には多く存在しており これらを CEA ファミリーと呼ぶ CEA 測定キットで使われる抗体には この CEA ファミリーとの交差反応性に違いがあり 各社キットで CEA 値が乖離することがある 今回我々は CEA 測定試薬の変更にあたり CEA ファミリーである NCA-2 による乖離と思われる検体に遭遇したので報告する 対象 方法 CEA 試薬の変更に際し 新 旧両試薬において当院で CEA の依頼があった 50 検体を測定した 相関は良好であったが 1 検体のみ大きく乖離した 乖離した検体について 他社試薬での測定 酸加熱処理試験 ゲルろ過処理を行った 考察 新試薬と他社試薬では旧試薬より高値を示した また 新試薬における酸加熱処理後の回収率は低下せず 酸加熱処理に強い CEA を測定していることが示された さらに ゲル濾過分析の結果では 溶出フラクションの CEA 測定値ピークは IgG および IgM の測定値ピークとは一致せず 血清中の免疫グロブリンによる非特異的な反応による偽高値ではないと考えられた また 旧試薬より低分子量側に測定値ピークが観察されたことから CEA ファミリーである NCA-2 により乖離が生じた可能性が高いと思われた まとめ CEA 測定系で用いられている試薬において CEA ファミリーに対する交差反応性が各社で異なることが知られている 今回 CEA 測定試薬変更にあたり 2 試薬間で大きく結果が異なる検体に遭遇した 各試薬の特性を理解することの重要性を再認識できた 連絡先 :099-256-6232

554 p2psa 測定試薬 ( アクセスハイブリテック ) の基礎的検討 中原栄子 繁正志 1) 池本敏行 1) 岡田仁克 1) 大阪医科大学附属病院中央検査部 1) はじめに 前立腺特異抗原(PSA) 値 4~10ng/mL においては freepsa と PSA の比 (F/T 比 ) を用いても癌 非癌の判別が難しいとされている 文献では PSA の前駆体である propsa の一種 [-2]proPSA が前立腺癌でより多く分泌され PSA freepsa p2psa から求めるインデックスを使用することで前立腺癌の診断精度が向上したとの報告がある 今回 測定試薬 ( アクセスハイブリテック p2psa) を検討する機会を得たので報告する 機器及び試薬 使用機器: ユニセル DxI800 使用試薬: アクセスハイブリテック PSA freepsa p2psa( 共にベックマン コールター社 ) 方法 基礎的性能として再現性 希釈直線性 検出限界 (2.6SD 法 ) 干渉物質の影響 凍結融解の影響を検討した また 当院検査部に検査依頼のあった患者血清を使用し Prostate Health Index (phi)=p2psa/freepsa PSA を算出し 前立腺癌群と非前立腺癌群で比較した 結果 1) 再現性 : 管理血清 3 濃度および pool 血清を用いた同時再現性 (n=10) は CV=1.6~4.4% 日差再現性 (n=10) は CV=4.2~5.4% であった 2) 希釈直線性 : 5000pg/mL 付近まで直線性が認められた 3) 検出限界 : 0 濃度及び 10 段階希釈した低値標準液を 10 回測定し求めた検出限界は 0.41pg/mL であった 4) 干渉物質の影響 : 干渉チェック RF プラスを用いたところ 400IU/mL まで影響は認められなかった 5) 凍結融解の影響 :5 回の凍結 融解を繰り返した結果 測定値に影響は認められなかった 6) 患者データの解析 : 前立腺癌群 (26 例 ) の平均値は PSA 6.863ng/mL F-PSA 0.894ng/mL p2psa 31.24pg/mL F/T 12.86% phi 81.67 であり 非前立腺癌群 (59 例 ) の平均値は PSA 5.484ng/mL F-PSA 1.082ng/mL p2psa 15.19pg/mL F/T 20.64% phi 33.89 であった 考察 アクセスハイブリテック p2psa の基礎的性能は十分満足できる結果であった 前立腺癌と非前立腺癌を比較すると PSA や p2psa に有意な差は認められなかったが F/T 比 phi で有意な差が認められた このことより phi が有力な指標になることが推測された 連絡先 :072-683-1221( 内線 3304)

555 Cobas6000 e601 を用いたエクルーシス試薬 ProGRP の基礎的検討 木村英樹 1) 石倉はる美 1) 吉川康弘 1) 栗原惣一 1) 福山光和 1) 大塚喜人 1) 医療法人鉄蕉会亀田総合病院臨床検査部 1) 背景と目的 先進国において 肺がんは癌死亡原因の第一位である 肺癌は組織学的に小細胞肺癌と非小細胞肺癌に分けられ 進行速度 治療方法が異なる点から鑑別が必要である ガストリン放出ペプチド前駆体 (ProGRP) は小細胞肺癌の腫瘍マーカーとして有用である 今回 我々は院内測定化を見据え エクルーシス試薬 ProGRP (Roche diagnostics 社 ) の基礎的な検討を行った 方法 分析装置は cobas6000 e601 を用いた 1) 同時再現性 : 専用コントロール 2 濃度の 10 回連続測定により評価した 2) 日差再現性 : 分注凍結保存した専用コントロール 2 濃度及び調製試料 2 濃度を測定時室温にて融解し 7 日間連続測定により評価した 3) 希釈直線性 : 低濃度域 ( 約 200 pg/ml) 高濃度域 ( 約 3000 pg/ml) 調製試料を専用希釈液にて 10 段階希釈して 2 重測定した 4) 相関性 : 当院に提出された患者検体を用いて 外部委託検査結果との相関性 (n=92) を評価した また 同一患者の血清 血漿検体間での相関性 (n=79) を評価した 5) 検体安定性 : 調製試料血清及び血漿 2 濃度を室温 4 及び-40 で 保存し 経時的に測定を行った 結果 1) 同時再現性 : 専用コントロール 2 濃度で CV = 1.5% 以下の良好な再現性を認めた 2) 日差再現性 : 専用コントロール 2 濃度で CV=1.8% 以下の良好な再現性を認めた 3) 希釈直線性 : 各濃度域試料ともに良好な直線性を得た 4) 相関性 : 他法との相関は相関係数 r=0.9978 回帰式 y=1.2283x-11.564 検討試薬を用いた血清 血漿間での相関は相関係数 r=0.9982 回帰式 y=0.9796x-2.4889 と良好な結果を得た 5) 検体安定性 : 室温保存血清及び血漿において 72 時間後までの測定値に有意な低下を認めなかった その後 測定値の漸減を認めた 冷蔵 凍結保存血清及び血漿では測定終了時点まで安定であった 考察 基礎的検討の結果は良好であった さらに これまでは血清での ProGRP の不安定性から血漿が用いられていたが 本試薬では分解による影響を受けにくいエピトープを認識する抗体により 血清においても安定した結果が得られるため 患者採血の負担軽減につながる 連絡先 )04-7092-2211 ( 内線 3444)